駐在員便り

駐在員便り
シカゴ
１０月に入ると外の風景は秋から冬に様変わりします。郊外にある自宅の前の街路樹も
半分は落葉し、黄色と茶色の落ち葉があたり一面に敷き詰められています。もちろん、「淹
れたての湯気の立つコーヒーを片手に、冷たい秋風に吹かれ散りゆく葉の様を眺めながら、
世知辛い世の中を思いつつ感傷に浸る。」という間はなく、秋の休日のお仕事である落ち葉
掃除にさっそく取りかかることになります。ひととおり作業が進むとゴミ袋いっぱいに詰
め込まれた落ち葉と綺麗になった庭先を見ながら一時は自分の仕事に満足するのですが、
翌日になるとまた同じ惨状を目にし、世の中の世知辛さを感じることになります。
秋も大分深まり、冬の前の最後の外遊びの時期になりました。今回は、秋限定で郊外の
農場地帯に出現する「コーン・メイズ」に行ってきました。コーン・メイズ（Corn Maze）
はその名のとおり、「トウモロコシ畑の迷路」であり、高さ 2.4 メートルほどに育ったトウ
モロコシ畑を使った迷路です。通常、郊外のトウモロコシ農場などで９月～１0 月までの約
２カ月間限定でオープンしています。シカゴ郊外には色々な場所に大小様々なコーン・メ
イズがあるのですが、今回は、世界一の広さ！が売り文句の「リチャードソン・ファーム・
コーンメイズ」に行ってきました。
シカゴ市内から車で２時間ほど北西に向かった郊外の農場地帯にお目当てのコーン・メ
イズがありました。お昼の開園を前にして、すでに農場前の駐車場は満杯。受付窓口の前
はたくさんの家族連れの人々による長い列が出来ていました。今年のリチャードソン・フ
ァームのコーン・メイズは、地元シカゴのアイスホッケーチーム「ブラックホークス」の
マークをモチーフにした迷路でした（写真参照）。約３３エーカーの広さ（東京ドーム３個
分）に全長約１５キロメートルの迷路ということで、目安の所要時間は約２時間と掲示さ
れています。
受付で入手した迷路の地図を頼りに、迷路の途中にある全２４カ所のチェックポイント
を全て回り、スタート地点に戻って来ます。チェックポイントにはそれぞれ違う形の小型
の穴あけパンチが置いてあり、地図についてくるチェックポイントシートに２４個の穴を
開けて行きます。迷路終了後に受付に提出することで、コーン・メイズ達成の証明書を受
け取ることができます。
最初こそ、リアル体験の迷路に我が家の子供達も活き活きと楽しんでいましたが、何し
ろ迷路は非常に長い。行けども、行けども我がゴールまったく見えずで、既に 1 時間が経
過。その頃になると、すでに足がだいぶ疲れており、もはやチェックポイントなどどうで
も良くなってきます。ちょうど秋にしては天気が良い日であったため、気温は２６度を超
えて暑くなり、途中には休憩場所どころかベンチもトイレもない。風景は相変わらず 360
度トウモロコシ。これは、ちょっとした拷問に感じられます。最後はとりあえず、迷路か
ら抜け出すことを目的にひたすら進み、1 時間半ほどでなんとかクリアとなりました。なお、
地図には書いていませんでしたが、迷路の後半には先人の猛者が作ったと思われるショー
トカット（近道）がいくつかありました。きっと、迷路後半になって我慢できなくなった
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人達が作ったものでしょう。最後に藁をも掴む、いや、モロコシをも掴みたくなる気持は
非常に良くわかります。
さて、コーン・メイズのデザインにはなりませんでしたが、同じ、地元シカゴのスポー
ツチームであるメジャーリーグのシカゴ・カブスが久しぶりに大活躍しており、地元シカ
ゴでは大盛り上がりになっています。メジャーリーグはアメリカンリーグとナショナルリ
ーグの２つのリーグに分かれていますが、４月から９月までのレギュラーシーズンの成績
により、３つの地域毎（東地区、中地区、西地区）に地区優勝チームが決まります。この
地区優勝の３チームに、同リーグの１チームを加えた４チームでトーナメント戦を行い、
トーナメント戦の優勝チームがリーグ優勝となります。トーナメント戦に加わる残りの 1
チームは地区優勝チームを除いてレギュラーシーズン中の勝率の高かった上位２チームに
よる 1 度きりの決定戦（ワイルドカードゲーム）により決まりますが、シカゴ・カブスは
ワイルドカードゲームに勝ち、トーナメント戦に出場する権利を得ました。決定戦は、同
じ中地区の宿敵ピッツバーグ・パイレーツとの試合となったため、球場の内外に多くのフ
ァンが詰め掛け、ダウンタウンのスポーツ・バーでも多くのファンが声援を送るなど、さ
ながらシカゴ全体が応援団のようでした。これで負けたら、明日は会社や学校を休む人が
続出するのではと少し心配になったものですが、無事、シカゴ・カブスは試合に完勝し、
見事ワイルドカードを手に入れました。
シカゴ・カブスは、近年、リーグ５位と低迷しており、１９４５年を最後にリーグ優勝
から遠ざかっています。そのため、７０年ぶりのリーグ優勝、更には１０７年ぶりのワー
ルドチャンピオンに向けて、多くのファンが期待しています。スポーツニュースでは大穴
と言われているカブスですが、果たしてどこまで行くか、非常に楽しみです。
ジェトロ・シカゴ事務所
産業機械部 高橋 貴洋
（上）33 エーカーの広さを誇るコーン・メイズの様子と達成証明証
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