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簡単な粉体供給機構を採用した低コスト型高精度粉体フィーダ (コーン
簡単な粉体供給機構を採用した低コスト型高精度粉体フィーダ (コーンフィーダ) 岡部 匡1),楢崎義悟2),向井洋貴2),濵畑貴之3) 2. 粉体フィーダの構造 図1に本粉体フィーダの全体図を示す.本粉体フィ ーダの粉体供給部(図2)は,回転シリンダとその下 に設置したコーンで構成されている(図3) .コーンは ベースプレート上に固定され静止している.この回転 シリンダには回転中心軸 A-A’(コーンの中心軸と一 致)に対し r 3mm 偏心した位置(中心軸を B-B’)に テーパ付穴が設けられている.回転シリンダの回転運 動に伴い,このテーパ付穴がコーンの中心軸まわりで 偏心回転運動を行う.このテーパ付穴の回転により, コーンの表面と回転シリンダ内壁で囲まれる空間(粉 体充填部)の体積が徐々に小さくなる.その結果,コ ーンの表面と回転シリンダ内壁底部の隙間 が最も 小さくなった位置で粉体は押し出されるようにして 排出される.隙間が最小となる箇所は,回転シリンダ の回転とともに移動するため,回転シリンダの運動の みで粉体を連続的に排出できる. 粉の流れ 回転シリンダ 精密 ステージ 粉体供給部 図 1 粉体フィーダ全体図 図2 粉体供給部 40 A B A 回転シリンダと コーンの中心軸 B 回転シリンダに設け られた穴の中心軸 r=3 97 回転シリンダ コーン B’ A’ 50 図3 B’ A’ 42 回転シリンダとコーン フィーダ運転中 0.01 停止中 0 0 5 10 15 20 時間 t [s] 粉体排出量 w [g/s] 3. 粉体フィーダの性能の検証 粉体供給精度を確認のため,食塩を使用した場合の 実験結果を示す.粉体フィーダから排出される粉体質 量の計測は,静電容量式粉体流量計(インステック社 製 CS-110)を使用した.図4は,回転シリンダの回転 速度 n を66rpm とした場合の粉体排出量の計測結果 であり,横軸は時間 t [s],縦軸は粉体排出量 W [g] で ある.図4から,粉体フィーダから排出される粉体質 量には,若干の変動があるものの,ほぼ一定の粉体供 給が実現できていることが確認できる.図5には,回 転シリンダの回転数と粉体供給量の関係を示した.横 軸は,シリンダの回転数 n [rpm] ,縦軸は単位時間当 たりの粉体排出量 w [g/s] である.回転シリンダの回転 数 n と粉体供給量 w の間にはリニアな関係を有し, 粉体供給量の調整は,回転シリンダの回転数の変更の みで容易に行うことができる.さらに,本粉体フィー ダは,極めて簡単な構造であるため,フィーダの保 守・管理も容易であり,製造コストも安価である. ベース プレート コーン ホッパ 粉体排出量 W [g] 1. はじめに 粉体フィーダは,ホッパ内の粉体を後段のプロセス へ供給する装置である.現在,その用途により非常に 多くのタイプの粉体フィーダが使用されている.一般 に高精度に定量化された粉体の供給のためには,必然 的に複雑な粉体供給機構やシステムを採用する必要 がある.この場合,製造コストの著しい増加,保守・ 管理作業の煩雑さなどの多くの問題が発生する.そこ で本研究では,簡単な機構・構造を採用しながらも, 高い供給精度を実現する粉体フィーダの開発を行っ た.本研究で開発した粉体フィーダ(コーンフィーダ) の粉体供給機構は,静止した円錐状の物体(以後,コ ーンと呼ぶ)の上部に位置するシリンダの回転運動の みによって,ホッパ内の粉体を連続的に排出するもの である. 図4 粉体供給量 30 40 8 6 4 2 20 50 60 70 シリンダの回転速度 n [rpm] 図 5 回転シリンダの回転速度と粉体排出量の関係 4.おわりに 本粉体フィーダは,構造が簡単ながら,非常に高い粉 体供給精度を有しているのが特徴である.本フィーダ の粉体供給機構は,微少量の粉体供給から大容量の粉 体供給に至るまで応用が可能であり,各種産業界にお ける生産ラインなどの現場で利用可能である. 1) 工学教育研究部,2) 大学院工学研究科,3) 工学部教育研究支援技術センター