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富士通ジャーナル2010 1月号 VOL.36 NO.1 2010 NO.325

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富士通ジャーナル2010 1月号 VOL.36 NO.1 2010 NO.325
左
株式会社マツダレンタカー 様
レンタカー事業を支える高信頼なIT基盤を確立
ブレードサーバを中心とした
データベースシステムの再構築
レンタカー及びカーシェアリング事業を営む
(株)
マツダレンタカー様では、急増するインター
ネット予約のニーズに呼応するため、ブレードサーバを中心としたデータベースシステムに
刷新。64bitシステムを導入
(SANBoot、クラスタ構成、Linux及びOracleのバージョン
アップ)
し、2倍以上の処理能力向上と安定稼働を確保。年中無休のレンタカー事業を支える
基幹システムの再構築を実現しました。
止サービス)
です。RTSとMOS.netが互いに情報連携し
て稼働しています。
インターネット予約が24時間対応になってからの状
況について、谷増氏は「旧システムでも十分なスペック
で構築しましたが、当初の予想を遥かに超えるインター
左/情報システム部 部長
中/情報システム部 システム支援グループ マネージャー
右/情報システム部 システム支援グループ リーダー
後藤 裕由 氏
谷増 諭 氏
片山 佳之 氏
ネット予約数の増加で処理が追い着かなくなりました。
私たち担当者は夜間~早朝対応や人手による操作が
多くなり、作業負荷が増大していました」
と、当時の苦労
お客様へ24時間365日安定したサービスの
提供を目指し、ITシステムの刷新を決断
を語られます。
(株)マツダレンタカー様は、車のレンタル事業を全国
カー様は、
この状況を改善するためにベンダー数社に
展開しており、店舗数は約400店舗、保有台数は1万
提案を求めました。
9,000台と、業界トップクラスを誇る企業です。2005年か
「条件は、“止まらないシステム”であること。富士通に
らは車を所有せずに登録メンバー間で共同利用し、利
決めたのは、単にハードウェアの提案のみならず、当社
用した分だけ料金を支払うシステムであるカーシェアリ
が使っているOracle Databaseの取り扱いに熟練してい
ング事業「カーシェア24」にも力を入れており、現在は全
ること、運用面と拡張性まで含めた総合的な内容であっ
国に130以上のステーションを展開しています。
たからです」
(谷増氏)
。
昨今のレンタカー事業の動向について、後藤氏は「景
年中無休のサービス提供を目指す(株)マツダレンタ
ることは否めません。そんな中、インターネット予約は
ブレードサーバを中心にLinux、
Oracle Real Application Clusters構成で
高可用性、安定稼働を実現
近年急増しています。即時性や利便性の点から、24時間
旧システムで改善すべき点として、
データベースサーバ
365日予約ができるという年中無休のサービスが求め
の能力不足が出ていたことが判明。
CPU、
メモリ、
ディスク
られるようになりました」
と、説明されます。
のいずれも増設や拡張をする必要性が浮上しました。
(株)マツダレンタカー様の販売システムは2つの独
これらを解決するために、
ブレードサーバを中心とし
自システムが動いています。初期開発は店舗中心の貸
たシステムを構築することにしました。
システム全体の
渡契約等を処理するRTS(社内へ営業時間内8時~20
設計は、事前検証済みの構成パターン集である、富士通
時サービス)、次開発はRTSを補完するために予約や
のTRIOLEテンプレートから引用。ハードウェアでは、OS
稼働等の処理を担うMOS.net(お客様へ24時間無停
は全てLinuxに統一し、32bitから64bitにアップ。CPU
気低迷の影響により、
レンタカー事業も厳しい時代であ
12
右
■(株)マツダレンタカー様システム構成図
ブレードサーバ
PRIMERGY BX600
予備機
(ハード障害時
の切替用)
MOS.net DBサーバ
検証環境/開発環境
RTS DBサーバ
運用管理
サーバ
(Windows)
OS
FCスイッチブレード
OS
MOS.netDB
OPC
RTSDB
OS
MOS.netDB
RTSDB
バックアップ
共有ストレージ
ETERNUS2000
モデル200
OS
バックアップサーバ 兼 ストレージ管理サーバ
PRIMERGY TX300 S4
能力2.5倍以上、
メモリ容量2倍以上のスペックにし、増
また旧システムでは、
メイン業務の処理に4時間ほど
設可能な環境を整備。SANBootとDISK高速化でスト
かかっていましたが、新システムではわずか30~40分
レージを導入、
データベースはOracle Real Application
で終了するようになりました。その他の処理も含め、夜
Clusters構成にし、バージョンを10gから最新の11gへ
間処理全体に約8時間かかっていたのが、いまは2時
アップすることで、処理速度の向上を図りました。念願
間半までに短縮。当初は処理速度2倍を目標としてい
の64Bit高可用性DBシステムの誕生です。
ましたが、実際には約3倍も向上しました。
片山氏は
「新システムが本当に安定稼働をもたらすの
ブレードサーバのメリットについて、
後藤氏は
「本番環
か、当初は不安でした。新システム導入後のアプリケー
境も検証環境も一つのブレード内に構築できること、省
ション検証には1ヵ月を要し、対象は約25種、検証項目
スペースであるためにITインフラのアウトソーシング費用
は2,000件もありました。最初は何か起こるだろうと覚
が抑えられること、
消費電力効率の向上で環境負荷低減
悟して挑みましたが、拍子抜けするくらいトラブルは起
に寄与できる等の効果を再認識しました」
と、
話されます。
こらず、最後まで検証を続けることが苦になったくらい
運用面では、
ブレードサーバのSANBootシステムに
ブレードサーバを利用し、
基幹システムの集約を検討中
­
より自動復旧を実現。
ストレージによる高速バックアッ
今回のITシステム刷新で手ごたえを得た(株)マツダ
プ/コピーも可能となり、一元管理ツールや監視ツー
レンタカー様では、現在、他の基幹システムをブレード
ルの導入、運用支援サービスへの加入で、作業負荷の
サーバで仮想化し集約しようと検討中です。
低減を図りました。
さらに、
ブレードサーバ内に本番環
「情報システム部にとっての直接のお客様とは、マツ
境と同一の検証環境を構築。障害時の再現テストがより
ダレンタカーシステムをご利用いただくお客様と、社内
確実に、迅速になりました。
こうして新システムは2009
システムを利用する従業員であると言えます。”お客様
年4月よりスタート。以来、小トラブルはありましたが業
が喜び、従業員が幸せになる”ために、移り変わる社会
務は一度も停止することなく、繁忙期である7月~8月を
環境に対応するシステムに改善し進化させなくてはと
何事もなく乗り切りました。
思っております」
(後藤氏)
。
です」
と、語られます。
「新システムの目標の一つにサービス稼働率99.9%
を掲げていましたが、導入して一度もダウンしていな
株式会社マツダレンタカー
設 立 2002年9月
(創業1965年1月)
いので、現時点では100%と言える状態です。以前は大
資 本 金 1億5,000万円
量処理時のピーク値と通常状態との差が大きかった
従業員数 1,118名(パート・アルバイト含む)
のですが、いまは波がなくなり安定稼働を維持してい
ます」
(片山氏)。
U R L http://www.mazda-rentacar.co.jp/
(2009年3月現在)
導入事例 / FUJITSU JOURNAL / JAN.2010
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