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EMCのコンサルティングを活用し サイロ化したIT環境の統合化を実現

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EMCのコンサルティングを活用し サイロ化したIT環境の統合化を実現
IT Transformation ユーザー事例
EMCのコンサルティングを活用し
サイロ化したIT環境の統合化を実現
「あなたの未来を強くする」というブランド・ビジョンを掲げ、お客さまに信頼・
支持される会社を目指している住友生命保険相互会社(以下、住友生命)
。同
社にとって、情報システムは経営資源そのものであり、常にその強化が求めら
れている。そうした中で同社は中期システム化計画の1 つとして「ITインフラ
全体最適化」を目指したが、多くのシステムを抱えているがゆえ課題は山積。
そこで頼ったのが、EMCのコンサルティングであった。
仮想化統合・標準化により
ITの構造改革を推進
住友生命保険
相互会社
とはいえ、システムを活用している各部門では、高い
サービスレベルを求めがちなことから、客観的な基準に
よる判断が不可欠であった。そこで、コンサルティング
住友生命のブランド・ビジョンを実現するうえで欠か
を依頼するという案が浮上する。
せないIT 競争力の強化に向け、同社が2011年〜 2013年
「当初、自社のシステムは自分たちが一番よく分かっ
度の中期システム化計画の中で打ち出したのが、ITイン
ているという声が、情報システム部の内部からも上がる
フラ全体最適化への取り組みである。
ほど、コンサルティングの採用には抵抗があった。ただ、
住友生命 情報システム部 次長でありシステム企画室
思い切った構造改革を進めるうえで保守的な考えにとら
長を兼務する汐満 達氏は、そのねらいを次のように語る。
われてはならず、外部の客観的な視点を導入することが
「当社では基幹系システムの大半についてはメインフ
欠かせないと考えた。そこで、まずは数社からの提案を
レームでの運用を行っており、統合化・標準化を実現で
比較検討することから始めた」と、住友生命 情報システ
きている。しかし、オープン系システムは、個別に構築・
ム部 システム業務室長を務める森 啓氏は語る。
運用が行われており、サイロ化したシステムが150 以上、
比較検討の結果、同社がコンサルティングを務めるパー
サーバ台数も約1,000 台にふくらんでいた。そこで、これ
トナーに選んだのはEMCであった。
らのシステムを全社横串で貫いて標準化を進めれば、IT
「決め手となったのは、私達が目指すインフラ全体最適
投資の最適化やシステム構築のスピードアップ、ITアー
化の方向性に合致した“テンプレート”を持っていたこ
キテクチャ標準による人材およびスキルの集約化・効率
と。これに則ってポリシー(全体最適化方針)
、構想/計
化といった効果が実現できると考えた」
画(ロードマップ)
、ルール(サービスカタログ)を策定
し、社内のオーソライズを獲得していこうということに
全体最適に不可欠だった
EMCのコンサルティング
なった」
(森氏)
そこで住友生命は、2010年ごろから先進企業の成功事
例をはじめ、多方面から情報収集に当たってきた。その
過程で得たのは、既存のさまざまなシステムに対して、
単純に仮想化し、サーバを集約するだけでは、本当の意
味での全体最適化したインフラ構造にはならないという
ことだった。
「システムによって、求められる可用性やサービスレベ
ルは違うはず。ところが、個別最適で導入されてきたこ
とから、統一的な基準が存在しなかった。そこで、これ
を機に各システムの重要性を整理しようと考えた」
(汐満
氏)
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住友生命保険相互会社
情報システム部 次長兼システム企画室長
汐満 達氏
システムのクラス定義を
テンプレートで“見える化”
るための仮想化統合プラットフォームの構築である。
EMCが提供した
“テンプレート”
とはいかなるものだろうか。
迎えたアプリケーションを順次巻き取っていく。ただし、
ITインフラ全体最適化プロジェクトの推進を担うスミ
社外から直接アクセスされるサーバや対外システム、開
セイ情報システム ITアーキテクチャ管理部長を務める太
発・テスト環境などについては、セキュリティ保護やガ
田雅一氏は、次のように説明する。
バナンスの観点から最低限の分離を行うという方針の下、
「簡単に言うと、ビジネス・インパクトの観点から各シ
新たな社内標準となる統合インフラ構築に臨んだ」
(森氏)
ステムが適正なサービスレベルで運用されているかどう
そこでの“要”となるプラットフォームについて、コ
かのギャップ分析を行い、是正していくためのツール。ま
ンサルティングとは切り離して選定を行ったが、そこで
ず、個人保険や企業保険、資産管理、一般管理といった
もEMCのストレージ「EMC Symmetrix VMAX」が最
「まず、サービスレベルに応じた『最重要』と『それ
以外』の2 種類のプラットフォームを用意し、更改期を
業務エリア別の個別プロセスを洗い出し、それらの重要
適だという判断になった。
度を定義する。次に、それらプロセスと業務システムの結
「SSAクラスのシステムの運用に耐える、ハイエンド・
び付きを整理したうえで、各システムのサービスレベルを、
ストレージならではの高可用性と高パフォーマンスを備
SSA(超高)
、SA(高)
、A(中)
、B(低)の4段階に分類
えていることに加え、仮想化基盤として用いるVMware
する。EMCのテンプレートを用いて一連の作業を進めて
vSphereとの親和性の高さが決め手になった」と太田氏
いくと、業務プロセスとシステムの関連性を“見える化”
は語る。
でき、
システムの重要度も客観的に定義することができる」
仮想化統合プラットフォームは2012年7月にカットオー
例えば、
「お客さま」を対象として「常時」使われてい
バーし、第一弾として営業職員システムの移行を終えた
るシステムは、無停止のサービスレベルを原則とするSSA
段階にある。今後、2017 年度の5 年間でプラットフォー
クラスに定義される。一方、一般管理のような「従業員」
ム自体の世代交代を行いつつ、順次移行を進めていく計
を対象にしたアプリケーションは、優先度を落としたAあ
画だ。
るいはBクラスとすることで、運用コストを低減させる。
また、次代のITインフラに向けた構想もさらに大きく
「このプロジェクトには、アプリケーションの開発・保
ふくらみつつある。
守を担っている各部門のマネジャーにも参加してもらい、
「ここまでは住友生命社内におけるITの構造改革を目
全員の納得と了解を得ながら進めていくという形をとっ
指して取り組んできたが、将来的には子会社も巻き込ん
た。客観的な判断を促してくれるテンプレートに加え、
だ形でIT組織の見直しを促すようなグループ・プライベー
EMCのコンサルタントが討議をうまく仕切ってくれたお
ト・クラウド化を推進していきたい。そのためには、仮
陰で、各アプリケーションのクラス定義をスムーズに進め
想化統合によるサービス化だけでなく、運用の自動化も
ることができた」と太田氏は評価する。
進めていく必要がある。こうした多くのチャレンジを支
えていく基盤として、ITインフラ全体最適化への取り組
グループ企業も対象とする
プライベート・クラウドへ
みや、今回構築した仮想化統合プラットフォームを発展
させていきたい」と汐満氏。今回の取り組みにより、新
たなTo Be(将来イメージ)が描きやすくなった。
クラス定義の次は、アプリケーションを実際に運用す
住友生命保険相互会社
情報システム部 システム業務室長
森 啓氏
スミセイ情報システム株式会社
ITアーキテクチャ管理部長
太田 雅一氏
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