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地中海東岸地域のエネルギー産業(1)

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地中海東岸地域のエネルギー産業(1)
JPEC レポート
JJP
PE
EC
C レ
レポ
ポー
ートト
第 27 回
2013年度
平成 26 年 2 月 5 日
地中海東岸地域のエネルギー産業(1)
米国DOE・エネルギー情報局(EIA)のレポートを主なベースとして、地中海東岸地域の
エネルギー産業について、2回に渡って紹介する。対象はシリア、イスラエル、キプロス、
ヨルダン、レバノンの5ヵ国とパレスチナ自治区の1地区である。
1. 地中海東岸地域の一般情報
1.1. 地中海東岸地域の位置(図 1 参照)
図 1 地中海東岸地域の位置図(黄色の部分)
1
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1.2. 地中海東岸地域の主な一般情報(表 1 参照)
表 1 地中海東岸地域の主な一般情報
シリア
イスラエル
キプロス
正式国名
シリア・アラ イスラエル キプロス
および地区 ブ共和国
国
共和国
名
首都
ダマスカス
イスラエル ニコシア
はエルサレ
ムと宣言し
ているが、国
連は承認し
ていない。在
外公館の多
くはテルア
ビブにある。
人口(推定)
2,200 万人
800 万人
90 万人
公用語
アラビア語
ヘブライ語、 ギリシャ語、
アラビア語
トルコ語
通貨
シリアポン イスラエル ユ ー ロ
ド(SYP)
新シェケル (EUR)
(ILS)
名目 GDP
(推定)
740 億ドル
2,100 億ドル 230 億ドル
ヨルダン
レバノン
ヨルダン・ハ レバノン
シェミット 共和国
王国
アンマン
ベイルート
630 万人
アラビア語
430 万人
アラビア語
パレスチナ
自治区(注 1)
パレスチナ
自治政府
(注 2)
450 万人
アラビア語
ヨルダンデ レバノンポ ヨルダンデ
ィ ナ ー ル ンド(LBP)
ィ ナ ー ル
(JOD)
(JOD)、
エジプトポ
ンド(EGP)、
イスラエル
新シェケル
(ILS)
300 億ドル
400 億ドル
100 億ドル
(注 1):パレスチナ自治区とはヨルダン川西岸地区とガザ地区を指す。2012 年 11 月の国
連総会において「オブザーバー組織」から格上げされ「オブザーバー国家」として
国家扱いされることになった。加盟 193 ヵ国中 132 ヵ国が国家として承認してい
るが、米国や日本を含む 61 ヵ国は承認していない。
(注 2):自治政府は東エルサレムを首都とする独立国家を目指しているが、現在の首都機能
はヨルダン川西岸のラマッラにある。
2. 地中海東岸地域のエネルギー資源
2.1. エネルギー資源開発の歴史
地中海東岸地域での炭化水素分野の開発はおよそ 80 年前に始まった。サウジアラビア
など近隣諸国での石油探査が成功したのに続きシリアで始まった。シリアでの本格的な石
油の商業生産は 1960 年代になってからである。
一方、イスラエルとヨルダンの石油探査活動は 1960 年代~1970 年代に高まったが、シ
リアに比べ成功率は遥かに低く石油生産量も非常に少なかった。シリアとイスラエルは天
然ガスの生産国だが、シリアでは 1980 年代まで・イスラエルでは 2000 年代半ばまで商業
的な開発がなされなかった。ヨルダンでは 1980 年以降、石油と天然ガスの生産量が非常
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に少なくなり国内需要のほとんどを輸入に依存している。
キプロス・レバノン・パレスチナ自治区の石油探査と開発は未だ初期段階だが、Levant
Basin での天然ガスの探査成功により天然ガス分野への投資が期待されている。
2.2. 石油と天然ガスの確認埋蔵量(表 2 参照)
地中海東岸地域での炭化水素資源の確認埋蔵量は世界合計の 1%未満である。当該地域
の石油確認埋蔵量の合計は 25 億バレルを僅かに超えているが、近隣の北アフリカの地中
海沿岸諸国の石油確認埋蔵量合計(650 億バレル)に比べ遥かに少ない。地中海東岸地域
ではシリアが最大の石油確認埋蔵量を有するが、世界では 32 番目に過ぎない。
2013 年 1 月の OGJ の報告によれば、当該地域の天然ガス確認埋蔵量の合計は 5,150 億
m3 であるが、北アフリカの地中海沿岸地域の天然ガス確認埋蔵量合計(6 兆 470 億 m3)
に比べ遥かに少ない。地中海東岸地域が保有する天然ガスの確認埋蔵量は世界レベルでは
少ないが、最近発見された Levant basin のキプロス水域やイスラエル水域での天然ガス
の推定可採埋蔵量は 1 兆 750 億 m3 を超えている。
2013 年 1 月の OGJ のレポートによれ
ば、シリアの石油確認埋蔵量は 25 億バレル丁度で、地中海東岸地域では最大である。又、
OGJ は 2012 年末時点のシリアの天然ガス確認埋蔵量を 2,400 億 m3 と報告している。
イスラエル沖の天然ガスの大規模な発見は同国の炭化水素分野への関心を大いに喚起し
ている。これまで商業化できる規模の石油の発見は皆無だったが、2000 年以降のイスラエ
ルにおける天然ガス分野は大きく変化した。2000 年に OGJ はイスラエルの天然ガス確認
埋蔵量を僅か 3 億 m3 と見積もっていたが、2013 年 1 月の時点では同国沖の発見が 2,690
億 m3 まで押し上げたと報告している。
他の諸国について、OGJ はヨルダンには石油資源はほとんどないが 60 億 m3 の天然ガ
ス確認埋蔵量があるとしている。2013 年 1 月時点で、キプロス・レバノン・パレスチナ
自治区には石油と天然ガスの確認埋蔵量は零である。しかし、過去数年間における Levant
basin での探査の成功がまもなくキプロスとパレスチナ自治区の炭化水素資源の埋蔵量を
変えるであろう。一方、レバノンでは今後数年内の探査が同国の石油と天然ガスの埋蔵量
を明らかにするであろう。
表 2 地中海東岸地域の石油と天然ガスの確認埋蔵量(2013 年時点)
石油確認埋蔵量(10 億バレル) 天然ガス確認埋蔵量(億 m3)
シリア
2.50
2,400
キプロス
--------イスラエル
0.01
2,690
ヨルダン
----60
レバノン
--------パレスチナ自治区
--------合計
2.51
5,150
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2.3. 炭化水素資源の堆積層
地中海東岸地域における過去の炭化水素資源の生産エリアの大半は Western Arabian
Province と Zagros Province で占められていたが、近年は Levant Basin が当該地域で探
査活動が最も盛んなエリアとなっている。地中海東岸地域は 8 つの主要な堆積盆地を保有
している。即ち、Cyprus basin、Eratosthenes High、Latakia basin、Levant basin、Judea
basin、Nile Delta basin、Western Arabian province、Zagros province の 8 ヵ所である。
(図 2 参照)
歴史的な炭化水素資源の生産の多くは Nile Delta basin、Western Arabian province、
Zagros province の 3 ヵ所で行われてきた。Nile Delta basin の大部分はエジプトの領海内
だが、一部の狭いエリアがキプロスの領海に属している。これまでキプロスの領海内では
大規模な発見がなかったが、
エジプト沖では大量の石油と天然ガスの生産が行われてきた。
Western Arabian province の大半がヨルダンとシリアに属し、イラク・サウジアラビ
ア・トルコにも広がっている。ヨルダンの炭化水素田の大半とシリアの多くの炭化水素田
は Western Arabian province に存在している。
Zagros province は、北はトルコからイラク・イランを通り、南はオマーン湾に至って
いる。シリア最大級の油田のいくつかは Zagros province の一部である。しかし、Zagros
province 内の大多数の油田はイラク・イラン・サウジアラビアに属している。Western
Arabian province や Zagros province での炭化水素生産は歴史的なものであり、近年は
Levant basin に焦点が移っている。
地中海東岸地域の沖合に広がっている Levant basin は当該地域における最近のエネル
ギー資源探査の中核となっている。米国地質調査所(US-GS)は 2010 年のレポートで
Levant basin の未発見石油量を 17 億バレル・未発見天然ガス量を 3 兆 4,520 億 m3・未
発見天然ガス液(NGL)を 31 億バレルと推定している。2013 年 1 月時点の石油の確認
埋蔵量は当該地域合計で 25 億バレル、その 99.5%はシリアに存在している。一方、天然
ガスの確認埋蔵量は 5,150 億 m3 である。
もし、Levant basin の未発見石油(17 億バレル)が発見されれば、当該地域の現在の
消費量ベースで約 20 年分に相当する。さらに、当該地域の現在の天然ガス確認埋蔵量の 6
倍超に当る未発見天然ガス(3 兆 4,520 億 m3)が発見されれば、現在ベースの当該地域
の需要を長期間に亘り満たすことができる。Levant basin における最近の大規模な発見の
ほとんどは天然ガスで、石油の発見は商業的に実行可能なものはなかった。
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図 2 東地中海堆積層と油田・ガス田の位置図
2.4. 海洋の炭化水素資源の探査と発見(表 3 参照)
キプロスとイスラエルの沖合の Levant basin における最近の天然ガスの発見は Levant
basin が保有する潜在的なエネルギー資源への関心を掻き立てるとともに、地中海東岸地
域におけるエネルギー資源の見通しを大きく変えた。イスラエル・キプロス・パレスチナ
自治区における探査の成功は当該地域のさらなる探査に拍車をかけ、レバノンとシリアは
直ちに探査プログラムに着手しようとしている。
レバノンの探査はライセンシングの初期段階だが、シリアにおける探査は無期限に延期
されている。シリア国内の紛争や当該地域内の領土論争および経済状況が探査活動の規模
と成功を左右するものと思われる。過去 10 年間の重大な天然ガスの発見のほとんど全て
は Levant basin においてで、
キプロスとパレスチナ自治区にもかなりな発見があったが、
大半はイスラエル水域であった。
レバノンとヨルダンにおける探査では 2013 年 6 月時点で大規模に商業化できる発見は
ない。以前は当該地域最大の炭化水素生産国であったシリアは紛争が続いている限り、探
査プロジェクトが前進しそうもない。以下に Levant basin における重大な天然ガスの発
見を列記する。
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・1999 年の Noa ガス田と 2000 年の Mari-B ガス田の発見。
・2009 年の Dalit ガス田と Tamar ガス田の発見。
・2010 年の Leviathan ガス田の発見。
・2011 年の Aphrodite ガス田と Tanin ガス田の発見。
これらの発見は全て米国企業 Noble Energy 社によるもので、Levant basin が大量の天
然ガスを保有していることが確認された。これまでで、地中海東岸地域の沖合いでの最大
の発見は Leviathan ガス田である。同ガス田はイスラエル沿岸沖 129km・水深 1,520m
超に位置し、推定可採埋蔵量は 5,100 億 m3 である。2013 年内に同ガス田の下方で探査油
井を掘削する計画がある。
そこには最大で 6 億バレルの石油が眠っていると見られている。
もう 1 つのイスラエルの重大な発見は Tamar ガス田で 2013 年 4 月に生産を開始した。
同
ガス田は発見から 5 年未満の驚くべき短期間で商業ベースの生産を開始した。最近、同ガ
ス田の可採埋蔵量が見直され、現状の消費レベルでイスラエルの何十年分かを満たすこと
ができる 2,830 億 m3 となっている。一方、Dalit ガス田と Tanin ガス田は今後 10 年内に
生産開始する見込みである。イスラエルでの発見に加えキプロスが同国水域での探査に成
功した。これまでのところ、キプロス水域での大規模な天然ガスの発見は Aphrodite ガス
田で、推定可採埋蔵量は 1,980 億 m3 である。
表 3 最近の地中海東岸地域での天然ガスの発見
Recent natural gas discoveries in the eastern Mediterranean region
Country
Discovery
Field
Estimated
First
date
name
reserves (Tcf)
volumes
Cyprus
2011
Aphrodite
7
2017
Israel
1999
Noa
0.04
2012
2000
Mari-B
1.5
2004
2009
Dalit
0.5
2013
2009
Tamar
10
2013
2010
Leviathan
18
2016
2011
Dolphin
0.08
unknown
2012
Shimshon
0.3
unknown
2012
Tanin
1.2
unknown
2013
Karish
1.8
unknown
Palestinian Territories
2000
Gaza Marine
1
unknown
Source: EIA estimates, IHS, Oxford Institute for Energy Studies, Oil & Gas Journal,
company reports, trade press
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2.5. 内陸の炭化水素資源の探査と発見
地中海東岸地域のいくつかの国で内陸の石油と天然ガスの探査が進行中であるが、海洋
の探査と同じ様には進んでいない。シリアの内戦が同国で活動している各企業の能力と目
標を制限している。ここ数年、暴動がエスカレートし且つシリアのエネルギー分野を対象
とする制裁が実施されたため国際石油企業が同国で活動することを放棄した。
イスラエルには数件の内陸探査があり、同国東部にある程度成功したいくつかの探査井
がある。又、最近イスラエルは論争の的となっているゴラン高原での探査も進めている。
ヨルダンにおける内陸の炭化水素探査はゆっくりと進んでいる。ヨルダン東部のイラクと
の国境付近と死海の周辺に存在すると見られているが大規模発見は発表されていない。キ
プロス・レバノン・パレスチナ自治区では小規模な内陸探査が行われている。
2.6. オイルシェールとシェールオイル
オイルシェールとは液体炭化水素を含んだ油母頁岩として知られている堆積岩である。
今後、オイルシェールとシェールオイル(Light Tight Oil)は地中海東岸地域の石油資源
量を引き上げる可能性があるが、商業生産はまだ何年も先になるだろう。イスラエルはオ
イルシェールを保有しているが、ここしばらくの間生産していない。1980 年代後半に発電
プラントにてオイルシェールが使用されたが、現在は稼動していない。
2008 年に Israel Energy Initiatives 社(IEI)がイスラエルのオイルシェールを開発す
るライセンスを取得し、同社は 2020 年までに 2,000BPD の実証プラントを稼動させる計
画である。2005 年に、米国地質調査所(US-GS)はイスラエルのオイルシェール推定埋
蔵量を 120 億トンだと報告している。
又、シリアにもオイルシェール資源がある。2010 年後半、シリア政府は同国のオイルシ
ェール埋蔵量を約 500 億トンだと見積もった。しかし、シリアの混乱は同国のオイルシェ
ール資源の競争入札の時期を当初予定の 2011 年 11 月から延期させた。米国と EU および
その他の国によるシリアのエネルギー分野に科している制裁により、国際エネルギー企業
が同国で活動するのは困難である。この困難と非在来型炭化水素開発のコスト高により、
近い将来にシリアのオイルシェール開発がさらに進捗することはないと思われる。
US-GS によれば、ヨルダンもイスラエルとシリアのようにオイルシェールを保有して
いる。同国のオイルシェール埋蔵量は約 650 億トンである。オイルシェール事業が経済的
に実行可能なら、将来ヨルダンの外国エネルギー資源依存度を下げるであろう。2013 年 1
月の EIA レポートによれば、ヨルダンは回収可能な 150 万バレルのシェールオイルと
1,950 億 m3 の天然ガスを保有していると報告している。
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3. 石油と天然ガスの生産・消費・輸出入
3.1. 石油と天然ガスの生産と消費(図 3、図 4 参照)
地中海東岸地域における現在の石油と天然ガス生産のほとんどはシリアとイスラエルに
おいてである。両国合わせて当該地域の石油と天然ガスの生産量の 99%を占める。シリア
は歴史的にかなりな石油生産国であったが、
2011 年 3 月に始まったシリア国内の紛争によ
り石油の生産と輸出が厳しく制限されている。当該紛争と 2011 年 1 月に始まったエジプ
トの混乱は地中海東岸地域のエネルギー展望を劇的に変えている。シリアの石油と天然ガ
ス生産量は減り続け、さらにエジプトからの天然ガスの供給も減り続け、当該地域の重要
なエネルギー源である天然ガスの供給量は著しく落ち込んでいる。
現在、イスラエルのみが地中海東岸地域で唯一の主要な炭化水素(主として天然ガス)
生産国となっている。増加しつつある需要を満たすため、地中海東岸地域の諸国はエネル
ギー資源の生産量を増やすか輸入量を増やす必要がある。イスラエル沖での天然ガス開発
の成功は同国のエネルギープロフィールをかなり変えた。イスラエルは現在、天然ガスの
自給自足を計画している。同時に、このことは石油消費量を減らすのにも貢献することに
なる。他の諸国もイスラエルに続くことを望んでいるが、進捗状況は不揃いである。もし、
それらの諸国が石油または天然ガスの国内生産ができなければ、当該地域外からエネルギ
ー資源を輸入する必要がある。イラクやエジプトのように近隣の供給国が混乱している状
態では、そこから調達するのは難しい。
シリアは地中海東岸地域最大の石油生産国だが、現時点では当該地域の他国への石油供
給国とはなっていない。地中海東岸地域の石油の生産量と消費量の大きなギャップは需要
を満たすため大量の石油輸入の必要性を示している。加えて、地中海東岸地域の石油の埋
蔵量と生産量の現在の比率は回収可能な石油が 20 年間分しかないことを示している。も
し、
当該地域の石油消費パターンが輸入から離れ、
より多くの地元産石油の使用に向けば、
現在の石油確認埋蔵量レベルでは当該地域の自給年数は 10 年未満と短くなろう。もちろ
ん、輸入・輸出・非在来型エネルギー資源の利用・需要パターンの変化・エネルギー資源
の新発見などが相まって当該地域の供給形態を変えることになる。
地中海東岸地域の天然ガス市場は成熟し続けている。追加の探査や開発がなくても、当
該地域の天然ガス埋蔵量は現在の需要レベルを 40 年間以上満たすに十分である。2011 年
の地中海東岸地域の乾性天然ガスの生産量合計は 107 億 m3、消費量合計は 125 億 m3 で
あった。イスラエルとシリアが生産量のほぼ全量を占め、且つ消費量の 92%を占めている。
2010 年~2011 年間に地中海東岸地域の天然ガス消費量が 162 億 m3 から 125 億 m3 に、
23%も落ち込んだ主な原因はエジプトからの輸入の中断とシリアの紛争の始まりに起因し
ている。最近の国内の不安定性によるシリアの天然ガス生産量の減少は他の地域での生産
量の増大によって一部相殺されるだろう。特にキプロスとイスラエルで最近数多くのガス
田が発見され、これらが今後数年のうちに生産開始する見通しである。
8
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図 3 地中海東岸地域の石油生産量と消費量(2003~2012 年)
図 4 地中海東岸地域の天然ガス生産量と消費量(2002~2011 年)
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3.2. 石油と天然ガスの輸出入
現在、地中海東岸地域は石油や天然ガスの輸出地域ではなく、強度に輸入石油に依存し
ている地域である。従来、シリアの輸出石油のほとんどが欧州市場へ送られ、最近まで同
国は堅実な石油輸出部門を維持することができていた。しかし、2011 年の暴動が始まると
ともにシリアの石油生産量は急激に落ち込み輸出量もほとんどなくなった。現在、イスラ
エルが少量ではあるが、当該地域唯一の石油製品の輸出国となっている。
現時点で、イスラエルとキプロスが天然ガス資源への投資を準備している。イスラエル
は近い将来、天然ガスを自給自足することを目指している。現在、地中海東岸地域のどの
国も天然ガスを輸出していないが、イスラエルとキプロスでの最近の天然ガス発見が当該
地域からの天然ガスの輸出の可能性をもたらしている。事実、キプロスが最近提案した
LNG プラントの建設計画では 2019 年までに LNG の輸出が始まる見通しである。イスラ
エルも又、近々天然ガスを輸出する能力を開発する動きを見せている。
<出典および参考資料>
(1) 米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート 、Eastern Mediterranean Region
http://www.eia.gov/countries/regions-topics.cfm?fips=EM
(2) 外務省ホームページ、各国情勢
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html
(3) Wikipedia 、Eastern Mediterranean
http://en.wikipedia.org/wiki/Eastern_Mediterranean
(4) Wikipedia.org
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/3/38/EasternMedMap.JPG
(5) Wikipedia 、Palestinian territories
http://en.wikipedia.org/wiki/Palestinian_territories
(6) Wikipedia 、Shale oil
http://en.wikipedia.org/wiki/Shale_oil
(7) Wikipedia 、Oil shale
http://en.wikipedia.org/wiki/Oil_shale
以上
本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析
したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは[email protected]
までお願いします。
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次回の JPEC レポート(2013 年度 第 28 回)は
「地中海東岸地域のエネルギー産業(2)
」
を予定しています。
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