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加齢による睡眠脳波の変化・

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加齢による睡眠脳波の変化・
博士(医学)福田紀子
学位論文題名
加齢 による 睡眠脳波の変化・
―日常生活下における検討一
学 位論 文 内 容 の要 旨
【研究目的】 睡眠脳波が加齢とともに変化することは、よく知られている。近年、高齢者の
増加にともなぃ睡眠障害も問題となってきている。また睡眠は、環境の影響を受けやすく、環
境への順応性が低い高齢者の睡眠研究におぃては記録環境への配慮も重要である。しかし、こ
の点に配慮し、普段と変わりのなぃ環境下におぃて睡眠脳波を記録し、加齢の変化を検討した
報告は見あたらなぃ。そこで本研究では、独自に開発した携帯型長時間生体情報記録装置を用
いて、終夜睡眠ポリグラフィを日常生活下で記録し、その結果をもとに、睡眠構造が、若年か
ら老年までに加齢により変化する過程を検討した。
【 対象 と 方 法 】 対 象 は 、 20歳 か ら 69歳ま での 健常 成人男 性、 各年 代毎 10例 、合 計50
例とした。
記 録 は 、 各 自 の 白 宅 に お い て 携 帯 型 長 時 間 脳 波 記 録 装 置 を 用 い 連 続 n 夜 乎 に 行
た
ま
た 、 睡 眠 表 に 基 づ ] 前 夜 の 睡 眠 評 価 も 行 つ た 。
O
つ
き
。
検 討には、おおむね第3夜めの記録を用い、睡眠段階はRechtschaffen and Kalesの基準に
従 い、 1区画 を20秒と し、 1デ 一夕 にっき 2名 の者 で相 互に 視察 で判定 を行 った 。睡 眠構 造
の各年代間の比較は、一元配置の分散分析あるいはKruskalーWallis検定を行い、その後多重
比 較 を 行 っ た 。 睡 眠 の 経 時 的 変 化 の 検討 に は 、 二 元 配 置 の 分 散 分析 を 行 っ た 。
【結果】1.自覚的睡眠状況
睡 眠表 にい つも と同 じあ るい はいつもより良く眠れたとした記載は、第1夜目では20代か
ら60代までの5群におぃてそれぞれ55
. 60
<、5
00、300、30%、80
%であったが、3夜目にはそれ
ぞれ88
.9
%、7
5%
、88
.9
%、90
%、9
0%
と、どの年代群におぃても良く眠ることができたとしていた。
2.睡眠の持続
全 就 床時 間、 睡眠 期間 、全 睡眠 時間 には 、各 年代 群に 有意 な 差は 認め られ なか つた 睡 眠効
率は 5 0代 、6 0代 群に おい て他 の年 代群 に比 ベ有 意な 低下 が みら れ、 覚醒 回数 も5 。代 、6
潜 時は 、3 O 代に 比ベ 60 代で 有意 0延 長し
代
年 と比 べ有 意 増加 して いた
0 で 他の 代 個人 によ るに ラつ きが 多く 。人 眠れ た。
に
0
は
5・ 代 から 築、
パ
認め ら
3 睡 眠構
睡眠期間に対する覚醒および各睡眠段階の出現率を検討した。覚醒の出現率は、20代、4
0代 に 比 べ て 50代 、 60代で 有 意 に 増 加 し 、 覚醒 の理 由に 尿意 をあげ た者 が、 50代 に2名
60代 で は 5名 あ っ た 。 睡 眠 段 階 1は 、 20代 、 30代 、 40代 に 比 ベ 50代 で 有 意 に 増 加 し
60代 で も 20代 、 40代 に 比 べ て 有 意 に 増 加 し て い た 。 睡 眠 段 階 2は 20代 に比 ベ 40代 で
有 意 に 増 加 し て い た 。 睡 眠 段 階 3は 、 20代 で 最 も 出 現 率 が 高 く 、 30代 でも 50代 、60代
と 比ベ 有意 に高 い出 現率 であ った 。睡 眠段階4は、20代で最も出現率が高かったが、50代
で は著 明に 減少し、60代では全く認められなくなっていた。徐波睡眠(睡眠段階3十4)は
20代 に 比 ベ 他 の 年 代 で 有 意 な 減 少 を 示 し 、 50代 、 60代 で は 30代 あ る い は40代 と 比 較
しても有意に減少していた。REM睡眠の出現率は、加齢とともに減少する傾向はみられたが、統
計学的有意差は認められなかった。
4.RE
M睡眠
総R
EM時間、平均R
EM時間、REM出現回数、REM
活動、RE
M密度、R
EM
出現率、RE
M潜時に各年代間
で 統計学的 有意差は 認められな かった。 しかしREM潜 時は、20代 から50代ま ではおお むね5
0分 か ら 90分 の 間 に あ っ た が 、 60代 で は 50分 以 下 の 者 が 3夜 め で 4名 ( 38分 : 2名 、
42分 、 46分 ) 、 2夜 目 で も 6名 ( 32分 、 33分 、 41分 、 46分 、 49分 、 50分 ) 、
50代で47分の者が1名認められた。
5.睡眠段階の1
夜の経時変化
睡 眠のパラ メ―夕の 1夜の経時的 変化を3分 割法(睡 眠期間/3)により検討した。中途覚
醒 と 睡 眠段 階 1は 、 1夜 のど の 期間 で も 50代 、 60代 で多 く 出 現し た が、 睡 眠 段階 2は 、 各
年 代間で際 立った特 徴は認めら れなかった。徐波睡眠は、睡眠前半1/3では、20
代と比較し
て 他 の 年代 で 有意 な 減 少が 認 めら れ 、 50代 で は、 30代 と 比較 して有意 に減少し 、60代で
は 、 30代 、 40代 と 比較 し て 有意 な 減少 を 示 した 。 中1/3では、 20代に比ベ 他の年代 で有
意 な減少が 認められ た。しかし 後半1
/3では、20代と他の年代問に有意差は認められなかっ
た 。REM睡眠は 、前半1/ 3では各年代 間に有意 差はなか ったが、中1/3では6
0代で2
0代と比
較 し て 有 意 な 減 少 が 認 め ら れ 、 後 半1/3にな る と50代 で20代 、40代と の 間 に、 60代で
は 、 20代 、 30代 、 40代 と の 間 に 有 意 な 減 少 が 認 め ら れ 、 50代 、 60代 に お い て は 、 2
0代 か ら 40代 に み ら れ る よ う な REM睡 眠 の 後 半 1/ 3の 延 長 が 認 め ら れ な く な っ た 。
6.睡眠周期
睡 眠周 期 は、 1周 期 目 に比 ベ、 2、3周期目 が長く、 4、5周期目 は再び徐 々に短縮 すると
いうドーム型を、どの年代も示した。
【 考察】 睡 眠の持続 については 、全睡眠 時間が60代 で減少傾 向を示し たものの 有意差は
なく、これまでの実験室における記録から得られているデ一夕と同様であった。睡眠効率は、
50代 か ら 有 意 な 低 下 を 示 し た 。 60代 か ら低 下 する と し てい る 報 告、 あ るい は 51一 70歳
群で低下するとする報告がある。しかし前者は男女を混合し、後者は中高年をひとまとめにし
て おり各年 代での詳 細な変化は 把握でき ず、10歳毎 に検討し た今回の 結果から 50代から既
に 睡眠効率 が低下し ていること が明らかになった。覚醒回数は50
代から増加し、入眠潜時は
60代 で延長し たが、こ の背景には 、50代以降 で個人に よる差が 大きく反 映してき たことが
起因すると思われ、この年代から高齢者に特徴的な所見が現れ始めたことは、注目に値すると
思われる。
睡 眠構 築 につ い て は、 覚 醒、 睡眠段階 1の出現率 が50代から 増加し、 その理由 を50代、
60代 では、他 の年代で はみられな かった尿意とする者が出現し、これが結果に反映している
ことも考えられ、加齢に伴う身体変化が睡眠にも影響を与えている可能性も考慮に入れる必要
が あると思われる。徐波睡眠の出現率は他の報告と同様に、加齢による影響が最も早く現れ3
0代 から有意 な減少を 示した。徐 波睡眠1夜の分布は、睡眠の前半に最も多く出現し時間の経
過とともに減少する出現様式は、どの年代も変わらなかったが加齢による睡眠前半1/3
での減
少が目立った。ヒトの徐波睡眠の出現量については体温リズムとの関連を指摘する報告もあり、
今 後 体温 リズ ム の加 齢変 化 につ いても 考慮する必要があ ると思われる。
REM睡眠についての報告は一定していず、加齢とともに減少するとぃう報告、あるいは2
0代
から60
代では全く変化がないとする報告がある。今回の結果では、総R
EM睡眠、平均RE
M時間、
REM睡眠出現回数、RE
M活動、R
EM密度、REM
睡眠段階出現率およびR
EM
睡眠潜時のいずれのパラメ
― 夕にも統 計学的有 意差は認め られなか った。し かしREM潜時 については60代で50分以下に
短 縮 し てい る 者が 3夜 目 そ 10名中 4名、2夜目 でも6名に 及んだ。 REM潜時の短 縮を睡眠 の第
1周期めにおける徐波の減少に起因するとする報告もあるが、徐波の減少のみがRE
M潜時に影響
すると考えるならぱ、著明な減少が始まるより早い年代から短縮傾向が現れても良いと思われ
る。この点については、視察判定では検出されない徐波の関与の有無を確認することが重要で
あると思われる。またR
EM
睡眠の出現様式は、若年者にみられる後半になるに従っての延長が、
50代 、60代では 認められ なくなり 、前半と 後半との差も少なくなり、生体リズムの加齢変
化 と の関 連も 考 えら れる が 今回 の結 果 から は明 確 とは なら な かっ た。
睡 眠周期は 、20代から 60代までの 年代間で 殆どかわらず、諸家の報告と同様、加齢の影
響を受けにくいものであることが確認された。
学位論文審査の要旨
主査
副査
副査
教授
教授
教授
小山 司
本間研一
田代邦雄
学 位 論 文 題 名
加齢に よる睡眠脳波の変化
一日 常 生 活下 に おけ る検討 一
加 齢により 睡眠脳波が 変化する ことは既 に知られ ている。 日本人に ついての報 告もいく
っ かはある が、若年者 と高齢者 との比較 で、中間 年齢層に ついての 検討がされ ていなか っ
た り、性差 を考慮しな い男女を 混合して の報告で あり充分 な検討が なされてい るとはい い
難 い。しか もこれまで の研究の 殆どは、 実験室に おぃて記 録が行わ れ、新しぃ 環境への 適
応 に問題が ある高齢者 への記録 環境に対 する配慮 も充分行 われてる とはいい難 かった。 本
研 究では、 被験者の自 宅で睡眠 記録を行 うことに より、心 理的負荷 が睡眠構造 に影響を 与
え ることを 極力避ける ようにこ ころがけ た。この ようにし て得られ た結果にも とづぃて 、
若 年から高 年者にいた る加齢の 変化が、 睡眠の持 続や睡眠 構築に与 える影響を 検討する こ
と によって 、睡眠構造 が、どの 年齢層か らいかな る変容を とげるの かを明らか にしよう と
し た 。 対 象 は 、 20歳 か ら 69歳 ま で の 不 眠 の 訴 え の な い 健 常 成 人 男 性 50例 で 20代 か
ら 60代 ま で の 各 年 代 群 10名 ず つ で あ る 。 被 験 者 全 員 が 在 宅 生 活 者 で あ り 、 60代 例 も
有 職 者 で あ る 。 終 夜 睡 眠 ボ リ グ ラ フ ィ を 3夜 連 続 で 記 録 し 、 60代 例 に お ぃ て は 呼 吸 も モ
ニ 夕 一 し 、 睡 眠 時 の 10秒 以 上 持 続 す る 無 呼 吸 が 1夜 に 30回 以 上 認 め ら れ た 者 を 、 対 象
か ら 除 外 し た 。 記 録 日 は 、 休 日 を 避 け 平 日 に 行 っ た 。 睡 眠 段 階 の 判 定 は 、 Rechtshaffen
and Kelesの 基 準 に 従 い 、 20秒 毎 に 決 定 し 、 1デ ― 夕 に っ き 2名 の 者 で 相 互 に 行 っ た 。 統
計 処 理 は 、 各 年 代 間 の 比 較 ‘ に は 一 元配 置 の 分散 分 析 を 行い 、 一 部分 散 が 一様 で な かっ た も
の に つ い て は Kruscal− Wallis検 定 を 用 い そ の 後 多 重 比 較 を 行 っ た 。 また 、 各 年代 と 睡 眠段
階 の出現様 式の検討に は二元配 置の分散 分析をお こなった 。結果に ついては、 自覚的睡 眠
感 は 、 記 録 の 1夜 目 で は ど の 年 代 で も よ く 眠 ら れ な か っ た と し た 者 が 多 か っ た が 、 3夜 め
に な る と よ く 眠 ら れ た と 睡 眠 表 に 記 載 し た 者 が 約 90% を 占 め た 。 従 っ て 、 睡 眠 が 安 定 し
た と 思 わ れ る 第 3夜 目 の 結 果 に つ い て 主 に 検 討 し た 。 睡 眠 の 持 続 につ い て は、 全 就 床時 間 、
睡 眠 期 間 、 全 睡 眠 時 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 睡 眠 効 率 は 50代 、 60代 に お い て
20代 か ら 40代 ま で と 比 較 し て 有 意 に 低 下 し て い た 。 覚 醒 回 数 も 50代 、 60、 代 で 有 意
に 増 加 し て い た 。 睡 眠 潜 時 は 60代 で 延 長 し て い た 。 睡 眠 構 築 に つ い て は 、 睡 眠 段 階 3、
4、 3十 4の 出 現 率 は 、 20代 と そ れ 以 後 の 年 代 と の 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ 30代 か ら 著
明 に 減 少 し 、 そ の 減 少 は 50代 、 60代 で は 30代 40代 と 比 較 し て も さ ら に 減 少 し 、 6
0代 で は 睡 眠 段 階 4の 出 現 は 全 く 認 め ら れ な く な っ て い た 。 逆 に 、 中 途 覚 醒 や 睡 眠 段 階 1
の 出 現 率 は 50代 、 60代 で 有 意 な 増 加 が 認 め ら れ 、 ′ 覚 醒 の 理 由 に 、 他 の 年 代 で は 認 め ら
れ な か っ た 尿 意 に よ る 覚 醒 を 挙 げ た も の が 50代 で 2名 、 60代 で は 5名 に 認 め ら れ た 。
- 289―
睡 眠 段 階 の 1夜 の 出 現 の 分 布 に つ い て 1夜 を 3等 分 し て検 討 す る3分割 法 によ っ て 検討 を
行 っ た と こ ろ 中 途 覚 醒 は 、 50代 、 60代 で は 睡 眠 の 前 半 、半 ぱ 、 後半 の いず れ に おい て
も 他の 年 代よ り 多 く出 現 し た。 睡 眠段 階 3十 4で 表さ れ る 徐波 睡 眠 の出 現 につ い ては、 前
半 に最 も 多く 出 現 し後 半にな るに従っ て減少する 出現様式 は、各年 代で変わ らなかっ た。
REM睡眠に ついての 検討では 、総REM睡眠、 出現回数 、REM潜時、 出現率、 REM活動やREM密度
に は各 年 代間 に 有 意差 が 認 めら れ なか っ た 。し か しな が ら REM睡 眠 の1夜の 分 布 は、20代
か ら40代 まで に みら れ る よう な 後半 で の 延長 が 有意 に認め られなく なった。 REM潜時の出
現 も 60代 で は 50分 以 下 の 短 縮 を 示 す 者 が 4名 に 認 め ら れ た 。 睡 眠 周 期 に つ い て は 、 2
O代 か ら 60代 ま で 殆 ど 変 化 が認 め られ な か った 。 以 上の 結 果か ら 、 加齢 と 睡眠 構 造 の詳
細 な 関 連 が 明 ら か に な っ た 。 50代 か ら の 覚 醒 回 数 や 60代に お け る潜 時 の延 長 は 、個 人
に よる 影 響が 大 き く反 映して きたもの と考えられ 、この年 代から高 齢者に特 徴的な所 見が
現 れ 始 め た よ う に 思 わ れ る。 覚 醒段 階 や 睡眠 段 階 1の50代 から の 増 加に つ いて は 、 他の
年 代 で は 認 め ら れ な か っ た 尿 意 に よ る 覚 醒 と す る 者 が 認 め ら れ (50代 : 2名 、 60代 :
5名 ) 、加 齢 にと も な う身 体 変化 が 睡 眠に も 影 響を 与えて いる可能 性が示唆 された。 徐波
睡 眠に は 加齢 の 変 化が 最も早 く認めら れた。一方 、REM睡眠に ついては 、REMの指標 に有意
差 が 認 め ら れ な か っ た に もか か わら ず 、 50代 以 降で の 1夜 の出 現 の 分布 に 変化 が 認 めら
れ たこ と や、 60代で REM潜 時の 短 縮が 多 く の者 に 認め ら れ 、こ の こ とは 睡 眠1周期 めの徐
波 の減 少 の影 響 あ るい は体内 時計の加 齢変化によ る影響を 示唆する 所見であ ることが 推察
さ れる が 、そ の ど ちら が起因 している かは今回明 らかにな らなかっ た。今後 体温リズ ムと
脳 波の 長 時間 同 時 計測 等によ り解明さ れることが 期待され る。以上 の発表に 際し、質 問を
受 け解 答 した 。 本 聞さ と 助 教授 。 (1)60代 で睡 眠 感調 査表と実 際の睡眠 構造との 間の違い
を どう 考 える か 。 一睡 眠効率 が低下し ていたにも かかわら ず不眠と は記載せ ず、本人 には
眠られ なかった とぃう自 覚がなかっ たものと 思われる 。(2)被験者 の日中の 活動状況はどう
で あっ た か。 ― 60代 被 験 者も 全 員が な ん らか の 職業 に 従 事し て お り、 高 齢者 に 認めら れ
る 日中 の 居眠 り が 出来 る状況 にはなく 、各年代間 に際立っ た違いは 認められ なかった 。田
代 邦男 教 授。 ( 1) 1晩 に30回以上 の無呼吸 は除外した とのこと だがどの くらいに 認められ
た か 。 − 60代 被 験 者 14名 中 4名 を 無 呼 吸 に よ り 除 外 し た 。 (2)無 呼 吸 は脳 波 上ど の よ う
な 変化 が 認め ら れ るか 。 一 睡眠 段 階1、2ある い はREM睡眠期に 頻回な覚 醒が認め られる。
(3
)今回の記録に無呼吸者はいたか。−いなかった。(4
)アルコールを禁止した影響は?全
員 検査 中 は飲 酒 し てい なかっ たのか。 一多飲者は 対象から 除外した 。また前 日からは 完全
に 禁酒 さ せた 。 (5) 判 定者は2名 とのこと だが、決ま った判定 者2名か。 一決まっ ていた。
素 読( 下 読み ) と 、チ ャート 記載時の 読みは別の 者が行い 、一致し なぃ点に ついては 両者
の合議 をもって 決めた。 (6)体動と脳波 との関係 は。一表 に示した MTが体動の ことである。
無 呼吸 な どが あ る とMTが 多く な るが 今 回 は、 各 年代 間 に 差は 認 め られ な かっ た 。本聞 研
一教授 。(!)RechtshaffenandKalesの 判定基準 で30代から徐 波睡眠が 変化する とのこと
だ が、 変 化す る の は振 帽か、 周期か、 両方か。一 高振幅、 低周波の 波が、高 齢になる と低
下する とぃう報 告もある ql本実験に関 しても、 自動解析による検討で今後明らかにしたぃ。
(2)徐 波の有無 と睡眠感 は平行しな ぃとのこ とだが、 それでは 、30代での 徐波の減少に対
応 し て 変 化 す る フ ん ク タ ーは あ るか 。 -30代で 徐 波 が減 少 する の は 、身 体 的な 加 齢 が影
響して いるのか もしれな い。(3)徐波睡 眠の低下 と理解カ とが相関 するとい う報告もある。
徐 波睡 眠 の30代 での 減 少 は老 化 では な く 、知 的 な変 化 な いし は 脳 のmaturationを示して
い ると ぃ う考 え は いか がか。 一精神的 な負荷が、 徐波に影 響を与え ていると する報告 もあ
る。今 後検討し たぃ。(4)男 女差はどう か。―高 齢者では 、不眠の 訴えに男 女差があり、女
性 に不 眠 が多 い と ぃわ れてい る。また 我々の若年 女性につ いての実 験では、 月経期、 卵胞
期で徐 波睡眠が 増加し、 月経期で朝 の眠気が 強いなど 女性には性周期の影響が認められた。
本 研 究 は、 若 年か ら 高年者ま での多数 例の終夜睡 眠ボリグ ラフィを 、当教室 と其同で 開
発 した 携 帯型 長 時 間脳 波記録 装置によ り日常睡眠 環境下で 反復測定 し、睡眠 構造の加 齢に
ー 290―
ともなう詳 細な変化 を明かにしたものである。審査員一同は、これらの成果を高く評価し、
また研究者 として誠 実かつ熱 心であり 、申請者 が博士( 医学)の学 位を受け るのに充分な
資格を有す るものと 判定した 。
― ‘ 291―
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