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江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法

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江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法
日本金属学会誌 第 77 巻 第 8 号(2013)318327
江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法
1
釘屋奈都子
永田和宏
桐野文良
北 田 正 弘2
東京芸術大学大学院美術研究科
J. Japan Inst. Met. Mater. Vol. 77, No. 8 (2013), pp. 318
327
 2013 The Japan Institute of Metals and Materials
Technique of Manufacturing Kozane Steel Sheets Used for Kusazuri Armature in the Edo Period
1, Kazuhiro Nagata, Fumiyoshi Kirino and Masahiro Kitada
2
Natsuko Kugiya
Graduate School of Tokyo University of the Arts, Tokyo 1108714
The manufacturing technique of steel sheets in the Edo period has been investigated from a Kusazuri armature that is a protector of the waist. The size of the steel sheets is 300 mm by 235265 mm and 0.61.0 mm in thickness. Most of the steel sheets
are composed of multiple steels with different carbon contents. The nonmetallic inclusions in the steel sheets are FeO and a few
2FeO・SiO2. Most of the nonmetallic inclusions are finely distributed in the sheets while some lie in lines in parallel to the sheet
surface. The nonmetallic inclusions which are arranged in lines were produced during forge welding. From the number of lines,
forge welding was performed one to three times. The nonmetallic inclusions are elongated in the side direction of the sheet than
the longitudinal direction. This means that a large plate was extended while maintaining the width of 300 mm and was cut to the
length of 235265 mm. The Vickers hardness of the sheets was larger than that of annealed steel sheet in the literature, suggesting that annealing was not performed to the steel sheets after forging. Finally, the steel sheets were shaped and curved slightly.
[doi:10.2320/jinstmet.J2013009]
(Received February 25, 2013; Accepted May 8, 2013; Published August 1, 2013)
Keywords: Japanese armature, Kusazuri, steel sheet, nonmetallic inclusion, mechanical properties, Edo period
鎧などの武器,武具や道具などに広く使用されるようにな
1.
緒
言
る.鎧に用いられる材料においても鉄鋼は防御の役割を果た
す上で重要な素材である.
日本において鎧は,出土遺物や埴輪の装飾などの美術工芸
これまでの日本の鎧に関する研究には,鎧の形式や形式の
品に見られるように,古墳時代にはすでに使用され,長い歴
変遷に関する研究13),甲冑師の系譜に関する研究46),考古
史を持つ.その中で日本の鎧の形式は,各時代の戦闘法を反
遺跡から出土した甲冑や関連する遺跡や鉄滓に関する研
映して変化している.鎧の形式に関する研究1)を参考に変遷
究710)などが挙げられる.一方,鎧の材料科学的観点からの
を辿ると,日本の鎧は古墳時代の短甲(たんこう)や挂甲(け
研究は少ない.俵11)は,鎧の部品である小札と呼ばれる鋼板
いこう)に始まり,平安時代後期から鎌倉時代には騎馬戦に
(上野国,満州より発掘)に関して,金属組織観察と化学分析
対応した大鎧となる.また,歩兵戦が主流となり,室町時代
を行った結果,炭素濃度が 0.25 mass以下の鋼板であり,
末期から江戸時代にかけ火縄銃が導入されると,日本刀,弓
熱処理は施されていないとしている.また,宇野ら12) は,
矢,火縄銃に対応した防御性の高いとされる当世具足が主流
法隆寺に奉納された鎧の異なる部位の鋼板の金属組織観察か
となる.江戸時代初期,島原の乱以降,武断政治から文治政
ら,素材や製作方法が鋼板により異なり,鎧の鋼板の鍛造が
治に変わると,鎧は装飾性を重視したものや大鎧を模した復
粗漏であると結論づけている.また金山13) は,古墳時代か
古調が現れる.その後,幕末の混乱とともに需要は一時的に
ら江戸時代の時代の異なる出土遺物および伝世品の小札に関
高まるが,明治時代に入るとともに鎧は終焉の時を迎える.
して,従来研究を含め金属組織観察の結果をまとめ,炭素濃
一方で,材料に着目すると,鎧には金属,革,布,糸,漆
度の異なる鋼を接合する「合わせ鍛え」や折返し鍛錬に着目
など複合的な材料が用いられている.基礎となる材料は,古
して時代による鋼板の材料や製造方法の違いを述べている.
墳時代より鉄鋼や革である.日本では,6 世紀後半までに製
このように,鎧に用いられた鋼板の金属組織観察や分析か
鉄技術が朝鮮半島より伝播したとされており,磁鉄鉱である
ら材料や製造方法,特に合わせ鍛えに関する考察はなされて
砂鉄を原料とするたたら製鉄が確立すると,鉄鋼は日本刀や
いるものの,鋼板の一連の製造方法に関する詳細な検討はな
されておらず,鎧に用いられた鋼板の材料科学的特徴や製造
1 東京芸術大学大学院生(Graduate School, Tokyo University of
the Arts)
2 東京芸術大学名誉教授(Professor Emeritus, Tokyo University
of the Arts)
方法に関しては未だ不明な点が多い.よって本研究の目的
は,江戸時代に製作されたと伝えられる鎧である一部位の草
摺に用いられた鋼板を研究対象とし,鎧の基礎材料である鋼
8
第
号
江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法
板の製造方法を明らかにすることである.
319
鎖は小札鋼板の穴に通し,これを円形の鎖で繋いでいる.試
料全体の寸法は縦 300 mm ,横 235~ 265 mm である.試料
実
2.
2.1
験
試料
本研究で用いた草摺試料(北田正弘所蔵)の外観像を Fig. 1
に示す.(a)に全体像を示すが,草摺とは腰から大腿にわた
の上部の幅が狭く下部の幅が広い草摺に特徴的な形状であ
る.小札鋼板と鎖を合わせた試料の総重量は 383 g である.
本研究では,42 枚の小札鋼板の内,周辺および中央から 12
枚を選択し試料断面の観察を行った.選択した小札鋼板の位
置を Fig. 1(c)で示す.
る部位を守るための鎧の一部である.(b)に示すように,鋼
Table 1 に小札鋼板の形状の測定結果を示す.小札鋼板の
板が鎖で繋ぎ合わされている.この形式の鎧は「カルタ」の
寸法は縦 43~45 mm,横 25~33 mm であり,地金の最大厚
形状をした金属片に由来して骨牌札鎧(かるたざねよろい)と
さは 0.6 ~ 1.0 mm である.小札鋼板の大きさは配置場所に
も称される.鎖に可動性があり折り畳めることが特徴で畳具
より異なり,上部に配置されている鋼板は小さく下部に配置
足とも呼ばれており,持ち運びも容易であるため緊急武装用
されている鋼板は大きい.また,小札鋼板は体に固定しやす
に使われたとも考えられている3).また,草摺試料は形式か
いように曲面となっており,曲率半径は 1.7 ~ 15.3 m であ
ら当世具足に分類される.当世具足とは,「当世」は現代風
る.小札鋼板の周囲には鎖を通すため,約 1 mm の孔が空け
の「具足」は鎧を備えるという意味が示すように,一領の鎧
られているが,孔の数は 16 ~ 18 個である.草摺試料の表
が兜,胴,袖の三つ物と呼ばれる基本部位の鎧に加え,様々
面,裏面は黒色の樹脂状の塗料で覆われており,特に表面で
な小具足とともに成り立ち,体全体を隙間なく覆い隠すよう
の剥落が見られる.剥離した面では,錆が発生している.
に構成される.火縄銃や弓矢を中心とした大規模な集団によ
る戦闘法に対応した実用性が高い鎧の形式である.また当世
2.2
比較試料鋼板の作製
具足は,室町時代末期から安土桃山時代に始まり江戸時代に
小札鋼板の製造方法を推定するため,比較試料鋼板を作製
かけて主流となった鎧の形式である.本試料の詳細な製造年
した.原料には,日本美術刀剣保存協会の玉鋼 2 級品と和
代は不明であるが,形式から本試料は江戸時代に製作された
釘から製造した和鉄の炭素濃度の異なる 2 種の鋼を用い
と推定される.
草摺試料は,小札(こざね)と呼ばれる四角い札状の鋼板が
た . 比 較 試 料 鋼 板 の 平 均 炭 素 濃 度 は , 玉 鋼 試 料 が 0.85
massで和釘試料が 0.03 massであった.
縦 6 段,横 7 列に 42 枚が配置され,鋼線の鎖で繋ぎ合わさ
まず手子棒の端の鉄皿の上に大きさ 2, 3 cm 玉鋼の塊を乗
れている.鎖には,円形と楕円形の 2 種があり,楕円形の
せ,ホウ砂を少しかけて鍛冶炉にいれ,木炭を燃焼させて温
Fig. 1 A Kusazuri armature and Kozane samples (A property of one of the authors: M. Kitada): (a) a Kusazuri armature, (b) some
pieces of Kozane sheets and (c) Kozane samples in Kusazuri armature.
320
第
日 本 金 属 学 会 誌(2013)
Table 1
77
巻
Size, thickness, radius of curvature, number of holes of Kozane steel sheets.
Size
Width
Sample No.
Length, l/mm
Maximum thickness,
t/mm
Upper side,
w/mm
Lower side,
w/mm
Radius of curvature
R/m
Number of holes
Kozane 1
44
25
28
0.6
8.7
16
2
44
25
28
0.8
6.5
16
3
44
25
28
0.8
6.3
16
4
45
28
29
0.9
7.7
17
5
44
45
29
30
1.0
3.1
18
6
44
31
33
0.6
1.7
18
7
44
29
31
0.8
2.6
17
8
45
31
32
0.9
9.6
18
9
43
44
31
31
0.8
7.1
18
10
43
44
31
31
0.8
5.4
18
11
44
31
31
0.8
2.1
18
12
44
31
31
0.9
15.3
18
度を上げる.鉄皿は玉鋼と同程度の炭素濃度の板である.1
す.小札鋼板の炭素濃度は鋼板により異なり,鋼板の最小炭
時間ほどで炎の中に白い細かい「沸き花」と呼ぶ火花が発生
素濃度は最小値が 0.1 mass 以下,最大値が 0.6 mass と
し始めたら,炉から取り出し,藁灰をかけて鍛造する.最初
推定される範囲で観察される.また,最大炭素濃度は 0.1
は軽く鍛造し,再度炉中に入れて沸き花を合図に取り出して
mass から 0.8 mass と推定される範囲で観察される.小
鍛造し,一気に矩形に造形する.この工程を「積沸し鍛錬」
札鋼板は 2 種に大別され,1 種の炭素濃度からなる試料と異
と呼ぶ.鋼材表面がまだ黄色を呈する 800 °
C 程度になった
なる複数の炭素濃度からなる試料がある.以下,代表的な小
時,中心部分に鏨で切れ目を入れ,半分に折る.これを藁灰
札鋼板について金属組織を示しながら述べる.
で塗し,泥を掛けて炉に入れ加熱する.沸き花の発生を合図
Fig. 2 に 1 種の炭素濃度からなる試料の代表例を示す.
に鍛接を行う.これを「折返し鍛錬」と呼ぶ.たたら製鉄や
(a)に小札 No. 9 の短手方向断面の全体像を示す.小札鋼板
鍛冶工程で製造された鋼は炭素濃度が不均質であるの
は全体が湾曲しており,左端の形状は丸い.一方,小札鋼板
で11) ,折返し鍛錬によりある程度均質になるように調整す
の右端では上下に裂けた形状をしている.小札鋼板の A の
る.本研究では,玉鋼試料の折返し鍛錬を 2 回行った.和
部分の金属組織を(b )で示す.鋼板中央から下部の SEM 像
釘試料も積沸し鍛錬の後,折返し鍛錬を 3 回行った.和釘
を(c)で示すが,金属組織は主にフェライトである.炭素濃
と玉鋼から製造した矩形の材料を重ね合わせ,藁灰と泥を塗
度は,0.1 mass以下と推定され,小札鋼板は 1 種の炭素濃
して鍛接し,板状に伸ばし,試料を作製した.板材の大きさ
度で構成されている.結晶粒径は 10~210 mm である.また
は,縦 85 mm,横 55 mm,地金厚さ約 1 mm である.
試料下部の表面近傍では,結晶粒が微細で 10 mm 程度であ
る.
実験方法
2.3
Fig. 3 に,炭素濃度の異なる複数の鋼からなる試料の代表
小札鋼板および比較試料鋼板より断面試料を切り出し,樹
例を示す.小札 No. 1 の短手方向に切断した小札鋼板中央の
脂に包埋した後,バフで鏡面研磨を行った.各試料を,2~
断面の金属組織は,( a )で示すように,試料上部(鋼板表面
5 ナイタール液( CH3CH2OH  95 ~ 98 mL, HNO3  2 ~ 5
側)と試料下部(鋼板裏面側)で異なる.( b )で試料上部の金
mL )でエッチングし,金属組織観察用試料とした.金属組
属組織を示すが,試料上部はフェライトとパーライトからな
織観察には,偏光顕微鏡および走査型電子顕微鏡( SEM )を
る.炭素濃度は 0.3 massと推定される.結晶粒径は 5~30
用いた.炭素濃度は,炭素濃度が既知の鉄鋼材料の標準組
mm である.一方,( c )で示すように板下部(鋼板裏側)の金
織14) との比較により推定した.平均炭素濃度は燃焼法によ
属組織は主にフェライトであり,炭素濃度は 0.1 mass 以
り測定した(LECO 社 CS444LS).非金属介在物の組成をエ
下と推定される.結晶粒径は 10~150 mm である.このよう
ネルギー分散型 X 線分析計( EDS)により測定した.また,
な鋼板を 2 層とする.小札 No. 1 は,先述した小札 No. 9 と
硬度をマイクロビッカース硬度計で測定した.
異なり,一枚の鋼板が,異なる複数の炭素濃度の鋼から構成
されている.
実 験
3.
3.1
3.1.1
結 果
小札鋼板
小札鋼板の炭素濃度
Table 2 に 12 枚の小札鋼板の炭素濃度を調べた結果を示
小札鋼板には観察場所により金属組織が異なる試料もある.
Fig. 4(a)に小札 No. 11 の短手方向に切断した断面の全体像
を示す. A で示す部分の金属組織を Fig. 4(b)で示す.鋼板
の炭素濃度は,試料上部から順に 0.2, 0.7, 0.4 mass と推
定される 3 層からなる.一方,B の部分の金属組織を Fig. 4
第
8
号
Table 2
sheets.
321
江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法
Carbon contents, number of layers by carbon contents, and maximum number of lines by nonmetallic inclusions in Kozane steel
Carbon contents
(mass)
Sample No.
Minimum
Maximum
Maximum number of lines by nonmetallic inclusion with
relation to phase and structure, and carbon contents
Number of layers
by carbon contents
Phase and structure
ferrite+pearlite
<0.1
Kozane 1
0.4
1-3
2
0.6
0.8
1
(partially 2)
3
<0.1
0.6
1-2
5
6
7
0.2
0.3
0.4
0.1
0.7
0.8
0.8
0.8
2-3
0.2
Maximum number of lines
by nonmetallic inclusion
1
<0.1
1
ferrite+pearlite
0.2
―
ferrite+pearlite
0.7
4
<0.1
4
ferrite
ferrite
4
Carbon contents
(mass)
ferrite+pearlite
0.1
1
ferrite+pearlite
0.4
1
ferrite+pearlite
0.6
1
ferrite+pearlite
0.2
―
ferrite+pearlite
0.7
4
pearlite
0.8
1
1-2
pearlite
0.8
1
ferrite+pearlite
0.5
1
ferrite+pearlite
0.5
1
ferrite+pearlite
0.1
―
ferrite+pearlite
0.2
1
1-2
2-3
8
<0.1
0.1
1
(partially 2)
ferrite
<0.1
3
9
<0.1
0.1
1
(partially 2)
ferrite
<0.1
1
0.1
1
ferrite+pearlite
10
0.1
0.6
2-3
ferrite+pearlite
0.6
―
<0.1
1
ferrite+pearlite
0.1
―
ferrite+pearlite
0.4
―
ferrite+pearlite
0.7
―
ferrite+pearlite
0.2
―
ferrite+pearlite
0.1
1
pearlite
0.8
1
ferrite
11
12
0.2
0.1
0.7
0.7
2-4
2-5
ferrite+pearlite
0.4
―
ferrite+pearlite
0.7
1
ferrite+pearlite
0.5
―
( c )で示すが,炭素濃度は試料上部が 0.7 mass ,下部が
物の分布には 2 種ある. Fig. 5 に小札 No. 11 に見られる非
0.3 mass と推定される 2 層からなる.また Fig. 4 ( d )で示
金属介在物を代表的な例として示す. Fig. 5 ( a )の全体像で
す C においても金属組織は変化しており,試料上部より炭
示す A や C の箇所では, Fig. 5 ( b )や Fig. 5 ( d )で示すよう
素濃度が 0.1, 0.4, 0.7, 0.2 massと推定される 4 層が観察さ
に,非金属介在物は主に小札鋼板の板面に平行に線状に伸び
れ,一枚の鋼板中で観察位置により金属組織が変化する.以
た非金属介在物や丸い粒子が線状に連続的に分布している.
上のように,炭素濃度による層数を調べた結果を Table 2 に
また Fig. 5(a)の全体像の B で示す箇所では,Fig. 5(c)に示
示すが,小札鋼板には炭素濃度により 1 層から 5 層が観察
すように,鋼板中にランダムに分布しているものが一部に観
され,1 種の炭素濃度からなる試料や,異なる複数の炭素濃
察される.これらの非金属介在物の組成を調べると,非金属
度により積層している試料がある.
3.1.2
小札鋼板の非金属介在物の分布,組成と形状
介在物は組成により 3 種に大別される. EDS では軽元素の
測定が不可能なため, C, O を除く元素に関して,小札 No.
Fig. 2(b)や Fig. 3(a)の矢印は非金属介在物である.非金
11 で観察される非金属介在物の組成を調べた結果を Table
属介在物は小札鋼板中に観察されるが,主に板面に対して平
3 に示す.線状にのびた非金属介在物には Fe を主成分とす
行に線状に並んでいる.小札鋼板中に観察される非金属介在
るものや,Fe や Si を主成分とするものがある.他の鉄鋼文
322
日 本 金 属 学 会 誌(2013)
第
77
Fig. 2 Kozane steel sheet (No. 9) of single layer: (a) macro image of crosssection of steel sheet, (b) crosssectional optical micrograph near A (Arrow shows a linear arrangement of nonmetallic inclusions) and (c) microstructure of ferrite in (b).
Fig. 3 Kozane steel sheet (No. 1) of double layers with different carbon contents: (a) crosssectional optical micrograph of steel
sheet (arrows show linear arrangements of nonmetallic inclusions), (b) microstructure of ferrite and pearlite in the upper layer and
(c) microstructure of ferrite in the lower layer.
巻
第
8
号
江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法
323
化財の非金属介在物の分析例15,16)を参考にすると,これらは
た小札鋼板の非金属介在物の形状を比較した.Fig. 6 に金属
組成よりウスタイト( FeO )やファイヤライト( 2FeO ・ SiO2 )
組織を示す.(a), (b)の矢印は,鋼板中同一線上に配列する
と考えられる.また中には, Si の含有量が多いものが存在
非金属介在物を示すが,非金属介在物の形状に着目すると,
する.一方,ランダムに分布した非金属介在物は,Fe と Si
( a )の長手断面より( b )の短手方向断面のほうが平らに伸ば
を主成分とした非金属介在物である.これらの組成の非金属
されているようにみえる.
介在物が鋼板中に存在する割合は観察する小札鋼板により異
なる.また,非金属介在物には, K が検出されるものが存
在する.
また,小札 No. 1 の長手方向断面と短手方向断面に切断し
3.2
3.2.1
比較試料鋼板
比較試料鋼板の炭素濃度
炭素濃度の異なった和釘試料と玉鋼試料を上下にはりあわ
Fig. 4 Kozane steel sheet (No. 11) of multiple layers with different carbon contents: (a) macro image of crosssection of steel
sheet, (b) crosssectional optical micrograph near A, (c) crosssectional optical micrograph near B and (d) crosssectional optical
micrograph near C.
Fig. 5 Distribution of nonmetallic inclusion in Kozane steel sheet (No. 11): (a) macro image of crosssection of steel sheet, (b)
linear arrangement near A (Line 1, 2), (c) random distribution near B (Random 4) and (d) linear arrangement near C (Line 3).
324
第
日 本 金 属 学 会 誌(2013)
77
巻
せ鍛造した比較試料鋼板を短手方向に切断した断面の金属組
Hv より高い.小札 No. 9 は,炭素濃度が 0.1 mass以下と
織を Fig. 7 に示す.金属組織は,(a)に示すように試料上部
推定されるフェライトの領域の硬度は 165 ~ 228 Hv でやは
と試料下部で異なり,鍛接界面では炭素濃度は連続的に変化
り極軟鋼( 0.08 ~ 0.12 mass )の硬度約 85 ~ 130 Hv より高
している.また,試料上部では,最表面に炭素濃度が低い層
い.また小札 No. 1 は,炭素濃度が 0.3 mass と推定され
が 20~30 mm 程度形成している.試料上部は,(b)で示すよ
るフェライトとパーライトの混合組織の領域の硬度は 209~
うに主にパーライトからなり,炭素濃度は 0.8 mass と推
236 Hv であり,フェライトの領域の硬度は 145~170 Hv で
定される.一方,試料下部の金属組織は,( c )で示すよう
ある.半軟鋼(0.20~0.30 mass )の硬度約 130~ 150 Hv や
に,主にフェライトからなり,炭素濃度は 0.1 mass 以下
極軟鋼の硬度約 85~130 Hv より高い値を示した.一方,比
と推定され,炭素濃度により 2 層を形成している.
較 試 料 鋼 板 の硬 度 は , 炭 素 濃 度 0.8 mass  と 推 定 さ れ る
比較試料鋼板の非金属介在物の分布
パーライトの領域の硬度は 258~ 302 HV で,フェライトの
3.2.2
比較試料鋼板中の非金属介在物は Fig. 8 に示すように鋼
領域では 183 ~ 189 Hv である.比較試料鋼板においても,
板全体に分布している.非金属介在物の分布に着目すると鋼
至硬鋼や極軟鋼の硬度約 190~245 Hv,約 85~130 Hv より
板の板面に平行に線状に分布しているものがある.このよう
高い値を示した.
に線状に分布する非金属介在物は,組成から主にウスタイト
(FeO)やファイヤライト(2FeO・SiO2)と考えられる.Al や
Si を多く含むガラス質成分を主成分とする非金属介在物も
存在する.
3.3
考
4.
4.1
察
鋼板の炭素濃度と非金属介在物の分布から推定する鍛
錬工程
小札鋼板と比較試料鋼板の硬度
Table 2 の結果から,小札鋼板の最小炭素濃度や最大炭素
小札鋼板の硬度測定を行った.鋼板の硬度は炭素濃度によ
濃度は鋼板により異なる.また,炭素濃度による層数を調べ
No.
た結果,小札鋼板には 1 種の炭素濃度からなる試料や,異
9),複数層の試料(No. 1),および比較試料鋼板に関して,
なる複数の炭素濃度により積層している試料が観察される.
硬度を測定した.結果を Table 4 に示す.小札 No. 2 は,炭
これは,宇野12) ,金山13) の行った鎧の地金の金属組織観察
素濃度が 0.7 mass と推定されるパーライトとフェライト
の結果とも一致するが,本研究では鎧の一部位である草摺中
の混合組織の領域の硬度は 285 ~ 342 Hv である.同等の炭
においても炭素濃度や構造の異なる鋼板が観察されるという
素濃度の焼鈍し材のブリネル硬度17) から近似的に換算した
結果を得た.また,鋼板の炭素濃度や構造と小札鋼板の配置
値と比較すると,至硬鋼( 0.5 ~ 0.8 mass )の約 190 ~ 245
位置には相関は見られない.
り異なるため,炭素濃度による層が 1 層の試料(No. 2,
Table 3
Chemical composition of nonmetallic inclusions in Kozane steel sheet (No. 11).
Chemical composition (mass)
Line 1
Na
Mg
Al
Si
K
Ca
Ti
Mn
Fe
―
0.9
0.4
0.4
―
―
―
―
98.3
Line 2
0.9
1.3
4.9
19.7
2.5
5.5
1.0
0.3
63.9
Line 3
1.2
3.6
10.7
45.8
6.8
20.8
3.3
0.7
7.0
Random 4
1.3
2.3
8.6
36.7
3.7
7.9
1.3
0.2
37.8
Fig. 6 Difference in shapes of nonmetallic inclusions in the direction of (a) length and (b) width of Kozane steel sheet (No. 1)
(Arrows show nonmetallic inclusions).
第
8
号
江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法
325
Fig. 7 Reference steel sheet; two steels with different carbon contents of 0.03 mass and 0.85 mass are welded: (a) crosssectional optical micrograph of reference sheet, (b) microstructure of pearlite in upper layer and (c) microstructure of ferrite in lower
layer.
や折返し鍛錬に関して推定する指標となる.小札鋼板の炭素
濃度による層数を調べた結果,1 種の炭素濃度からなる試料
は 12 枚中 3 枚のみで,大半が異なる複数の炭素濃度からな
る. Fig. 3 や Fig. 4 に示すような複数の炭素濃度からなる
小札鋼板は,複数の鋼が使用され鍛接されている.また,
Fig. 3 の小札鋼板の場合,これも炭素の拡散により明確な境
界は不明瞭であるが,中央の非金属介在物の位置が鍛接面で
あり,2 材を接合している.小札鋼板は,炭素濃度の異なっ
た鋼を鍛接することで 2 層になる.炭素濃度が 3 層の小札
鋼板は,2 材の鋼を鍛接したものを折返し鍛錬したか,3 材
を鍛接した場合になる.もう一度折返し鍛錬をすると 5 層
になる.
また, Fig. 7 ( a )の比較試料鋼板では,表面近傍で脱炭層
Fig. 8 Distribution of nonmetallic inclusions in the reference
steel sheet (Arrows of H, W and T show linear arrangements of
nonmetallic inclusions. H arrows are in the high carbon layer,
W arrows are in the low carbon layer and T is in the interface of
two layers).
が観察された. Fig. 2 ( b )の小札 No. 9 の表面近傍の組織
は,結晶が微細化して観察される.このように,小札鋼板の
表面近傍では,加工過程における影響を受けやすく,結晶粒
の微細化や浸炭,脱炭層の形成が起こる.
永田ら18)は,鍛接原理について,鍛接温度は約 1300°
Cで
あるが,鍛接面では Fe の燃焼により 1470 °
C にもなり,鋼
Fig. 7 の比較試料鋼板の炭素濃度を調べた結果,炭素の拡
表面が溶解し沸き花を発生する.この時鍛造することにより
散により明確な境界は不明瞭であるが,金属組織は鋼板上部
鋼板は接合するとしている.小札鋼板中においても,鍛接界
と下部で異なり,異なる炭素濃度の鋼を鍛接したことを示す
面にはウスタイト(FeO)を含む非金属介在物が取り残され,
結果が得られた.このことから,炭素濃度による層数は鍛接
薄く伸ばされた非金属介在物や,点状の比較的大きな非金属
326
Table 4
(
第
日 本 金 属 学 会 誌(2013)
77
巻
Vickers hardness of Kozane steel sheets (No. 1, No. 2, No. 9, and reference).
1
2
3
4
5
6
7
8
9
No. 1
209
( 80)
236
( 90)
209
(140)
221
(180)
209
(190)
151
(380)
160
(410)
170
(500)
145
(530)
No. 2
285
( 90)
309
(110)
289
(140)
302
(210)
342
(260)
336
(330)
342
(390)
302
(400)
317
(440)
No. 9
181
( 50)
221
( 70)
183
(100)
165
(140)
165
(190)
193
(290)
216
(300)
228
(330)
reference
274
(100)
294
(200)
258
(300)
302
(400)
306
(500)
268
(600)
240
(700)
224
(800)
189
(900)
10
11
12
183
(1000)
183
(1100)
189
(1200)
)distance from surface, d/mm
介在物が線状に配列しているのが観察された.また,小札鋼
粒径の微細な組織が観察されたことから,硬度の上昇は鋼板
板中の非金属介在物からは K が検出された. K は鍛接時に
の鍛造の影響を示しているが,表面近傍における硬度の低下
覆う藁灰に含まれる成分である18).
は鍛造工程での加熱により表面が脱炭されたことによる.こ
Fig. 2(b)や Fig. 3(a)に示すように,非金属介在物は異な
れは,(b)の小札 No. 2 の硬度測定の結果においても,表面
る組織の界面や組織中で観察される.また,Fig. 5 で示すよ
近傍で硬度が低下する傾向を示しており,金属組織観察を行
うに,非金属介在物には線状に連続して分布しているものや
うと,試料の炭素濃度は 0.7 mass であるのに対し,表面
ランダムに分布しているものがある.比較試料鋼板は,和釘
近傍では 0.4 mass と炭素濃度が低下していることから分
試料は 3 回の折返し鍛錬を行ったものであり,Fig. 8 で全体
かる.また比較試料鋼板においても同様で,特に試料上部の
に線状に連続した非金属介在物の並びは,矢印で示す 7 本
表面近傍の硬度が低下しているのは, Fig. 7 ( a )で示すよう
ある( W1 7 ).一方, 2 回折り返し鍛錬を行った玉鋼試料
に表面近傍が脱炭されたことによる.
は,鋼板中に 3 本の非金属介在物の並びが観察され(H1
3),
また, Fig. 9 ( c )で示す小札 No. 1 のように,異なる炭素
2 つの鋼の鍛接面では,1 本の非金属介在物の流れが鋼板中
濃度の鋼板を接合した試料では,試料中央では硬度は徐々に
央部に見える(T).鋼中には原料から含まれる非金属介在物
変化する.この傾向は, Fig. 9 ( d )で示す比較試料鋼板でも
がランダムに配列したり,非金属介在物や折返し鍛錬による
同様に観測され,鍛造中に炭素が高濃度側から低濃度側に拡
非金属介在物の線状の分布が不明瞭になる場合もある.ま
散したことを示している.
た,和釘試料のように和釘に製造する際に折返し鍛錬がなさ
また,Fig. 6 の長手方向と短手方向の断面試料の非金属介
れており,その時点で非金属介在物が混入している可能性も
在物の形状を比較した結果,短手方向の断面で伸びた形状の
ある.しかし,組織中に観察される線状の非金属介在物の並
非金属介在物が観察された.釘屋ら19)は小札 No. 1 の表面近
びは折返し鍛錬の回数,また,異なる組織の界面に観察され
傍の残留応力を測定し,長手方向より短手方向でより高い圧
る非金属介在物は鍛接を示す指標となる. Fig. 2( b )で示し
縮応力を示すことを示した.これは,小札鋼板が短手方向に
た小札鋼板では,非金属介在物の線状の流れは 1 本であり,
伸ばされたことを示している.
1 回の折返し鍛錬がなされたことが分かる.Fig. 3(a)の小札
鋼板では,試料下部に 1 本の非金属介在物の並びが観察さ
れ,1 回折返し鍛錬がなされたことが分かる.試料中央の非
4.3
4.3.1
小札鋼板の製造方法
鋼板の素材
金属介在物は,試料上部と試料下部の試料の鍛接による.こ
小札鋼板の炭素濃度は,最小値が 0.1 mass 以下,最大
のように,小札鋼板の組織中に線状に分布した非金属介在物
値が 0.8 mass と推定される範囲で観察され,様々な炭素
の最大本数を調べた結果を Table 2 に示す.炭素濃度が 1 層
濃度の鋼板が存在する.たたら製鉄により製造される鋼に
や 2 層の小札鋼板の場合,非金属介在物の本数は素材の折
は,銑鉄を脱炭して作った炭素濃度が 0.1 mass 程度の包
返し鍛錬の回数を示す.組織中に見られる非金属介在物の線
丁 鉄 と 刃 物 の刃 に 使 わ れ て い た 0.7 mass  程 度 の 鋼 が あ
状の並びは 1~4 本である.したがって,折返し鍛錬の回数
る11) .小札鋼板の炭素濃度から,小札鋼板には包丁鉄のよ
は最低 1~3 回である.炭素濃度が 3 層や 5 層の小札鋼板で
うな炭素濃度の低い鋼と刃物の刃に使われていたような炭素
は,組織中の非金属介在物は素材の折返し鍛錬に起因するも
濃度の高い鋼が混用されていたことが分かる.
のと,2 材を鍛接した後に折返し鍛錬を行ったことにより混
4.3.2
入する可能性がある.
4.2
硬度と非金属介在物からみた小札鋼板の延伸
小札鋼板の製造方法
小札鋼板の最大地金厚さはいずれの試料でも 0.6~1.0 mm
であり,一定の地金厚さに制御されている.1 mm の厚さの
板を作る方法としては,玉鋼から製造する現代ののこぎり製
小札鋼板と比較試料鋼板のビッカース硬度を測定した結
作方法20) を参考にすることができる.鋼板を約 800 °
C に加
果,調べた小札鋼板の硬度は,同等の炭素濃度の焼鈍し材の
熱して板厚 5 mm 程度にする.それを 2 分割しその 2 枚を
硬度より高い. Fig. 9 に小札鋼板の硬度と測定位置を示す
重ねて鍛造して 5 mm 程度にする.さらに別に作った同程度
が,(a)で示すように,小札 No. 9 の硬度は表面に近づくに
の厚さの板を重ね,最後は 8 枚を重ね,各鋼板が表面に出
従って上昇しているが表面近傍で低下している.表面に結晶
るように交互に入れ替えて鍛造し,それぞれの板の厚さを
第
8
号
江戸時代の草摺に用いられた小札の鋼板製作方法
327
Fig. 9 Vickers hardness of the crosssection of Kozane steel sheets and reference steel sheet: (a) Kozane steel sheet with low carbon
content (No. 9), (b) Kozane steel sheet with high carbon content (No. 2), (c) Kozane steel sheet of multiple layers with different carbon contents (No. 1) and (d) reference steel sheet of double layers with different carbon contents.
0.5 mm 程度にする.小札鋼板の場合も同様の方法により厚
さ 1 mm 程度まで伸ばしたことが推察される.
文
献
津野7)によると,小札の製造工程には,板の切断,穿孔,
整形がある.本試料の場合,小札鋼板は,包丁鉄や玉鋼など
の素材を用いて折返し鍛錬や鍛接を行った後,1 mm 程度に
作製された.非金属介在物の形状や残留応力から,小札鋼板
は短手方向に延伸されている.長手方向を一定幅のまま短手
方向に長く伸ばされた鋼板は,熱処理などはなされずに,鋼
板の短手方向の幅で一枚ずつに切りわけられ,鋼線を鋼板に
通すための孔が穿たれた.また,小札鋼板の端の形状から,
鋼板切断後,切断面のバリなどは処理され,少し内側に湾曲
させて鎖で留められた.
5.
結
言
江戸時代の草摺に用いられた小札鋼板の金属組織観察を行
った結果,鋼の素材には包丁鉄が使われるような低炭素濃度
の鋼や,刃物に使われるような高炭素濃度の鋼が混用されて
いる.また,小札鋼板には,炭素濃度の異なった鋼が積層状
に鍛接されているものが存在する.非金属介在物の分布か
ら,素材の折返し鍛錬は最低 1~3 回である.鋼板は,厚さ
1 mm 程度に鋼板の短手方向に鍛造された後,焼鈍しなどを
せず,切断,穿孔,整形が行われている.
比較試料鋼板の製作には松田周二刀匠にご協力いただい
た.また,本研究の遂行に関して,日本学術振興会の特別研
究員科学研究費補助金( 22・ 5506 )により支援を受けた.こ
こに謝意を表する.
1) T. Udagawa: Nihon no Bijyutsu 340(1994) 8698.
2) Y. Sasama: Nihon no Kacchu Bugu Jiten, (KashiwaShobo,
Tokyo, 1981).
3) M. Yamagishi and M. Miyazaki: Nihon Kacchu no Kisochishiki,
(Yuzankaku, Tokyo, 1990).
4) R. Matsui: Ritsumeikan Bungaku 542(1995) 723735.
5 ) T. Miyazaki: Nara Kacchushi no Kenkyu, ( Yoshikawa 
Kobunkan, Tokyo, 2010).
6) H. Nagata and S. Hirano: Kacchu Bugu Kenkyu 136(2002) 2
32.
7) J. Tsuno: The Bulletin of the Institute of Tochigi Archaeological
Research Center 10(2002) 5177.
8) K. Kitano: Koukogaku Zasshi 54(1969) 120.
9) M. Sasaki: Rekishigaku Kenkyu 730(1999) 3544.
10) T. Hashimoto: Kodai Buki Kenkyu 2(2001) 7984.
11) K. Tawara: Nihonto no Kagakuteki Kenkyu, (HitachiHyoron
sha, Tokyo, 1953).
12) D. Uno and S. Katori: Nihon Gakujyutu Kyokai Hokoku 12 No.
3 (1937) 4650.
13) Y. Kanayama: Kacchu Kozane Kenkyu Noto, (Revook, Tokyo,
2006).
14) Tohoku University (Ed.): Tekko Kenbikyo Soshiki, (Maruzen,
Tokyo, 1972).
15) M. Kitada: Muromachiki Nihonto no Bisaikozou, (Uchida
Rokakuho, Tokyo, 2008).
16) M. Tanaka and M. Kitada: J. Japan Inst. Metals 74(2010) 250
257.
17) The Japan Institute of Metals (Ed.): Kinzoku Binran,
(Maruzen, Tokyo, 1952).
18) K. Nagata, T. Watanabe and N. Kugiya: Tetsu to Hagane 97
(2011) 637644.
19) N. Kugiya, M. Kitada, F. Kirino and K. Nagata: CAMPISIJ 26
(2013) 220 (CDROM).
20) The Iron and Steel Institute of Japan (Ed.): Nihon no Nokogiri,
(Iwanami Audio Visual Media Inc., 1970) (DVD).
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