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平成25年度 事業計画 Ⅰ 周辺状況 平成25年度の経済

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平成25年度 事業計画 Ⅰ 周辺状況 平成25年度の経済
平成25年度
Ⅰ
事業計画
周辺状況
平成25年度の経済状況について、政府は、世界経済の緩やかな回復が期待され
る中で「平成25年度の経済財政運営の基本的態度」(平成25年1月)に示された施
策(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本
の矢」で長引く円高・デフレ不況から脱却し、雇用や所得の拡大を目指す)の推
進等により、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれ、国内需要主導で回復が進
むとしている。一方、経済の先行きリスクとして、欧州の政府債務問題等の海外
経済をめぐる不確実性、為替市場の動向、電力供給の制約等があることに留意す
る必要があるとしている。
当協会の事業に関連しては、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」の中で具体
的施策として、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域
活性化」等が示され、これらに関連する重点事業分野に積極的に取り組んでいく。
防災関連では、「事前防災・減災等」、「民間投資の喚起による成長力強化」等
の施策における防災事業分野、民間の災害対策や安全管理を支援する安心・安全
情報の事業分野について、当協会の基幹事業として積極的に取り組む。
環境・エネルギー関連では、「再エネ・省エネの最大限の推進」、「資源・エネ
ルギー安定供給の確保」等に示された関連事業分野、民間投資によるクリーンエ
ネルギー関連事業分野に積極的に参画する。とりわけ、黎明期から継続的に関わ
る風力発電関連事業の拡大を目指す。
情報事業関連では、ネットビジネスがさらなる拡大基調を見せる中で、スマー
トフォンやタブレット端末といった通信機器の急速な普及、ツイッターやフェー
スブック等のソーシャルメディアが拡大し、当協会の情報ビジネスのあり方にも
少なからず影響を与えつつある。これらを活用したコンシューマビジネスの拡大
は必要不可欠であり、今後とも事業拡大を目指す。
海外事業では、東南アジアを中心に途上国向けの政府開発援助(ODA)に関連
した業務を継続しつつ、防災、環境など官民連携プロジェクトなどにも積極的に
参画するとともに、民間事業者との連携や協業を積極的に推進し事業の拡大を目
指す。
平成25年度の事業環境では、特に、環境・エネルギー関連事業で明るい兆しが
あるものの、これまで以上に市場競争は激化しており、確実に事業を実施し顧客
の要望に応えていく。
Ⅱ
事業概要
(1)事業方針
平成25年度は、中期経営計画「ビジョン2014」達成に向けた最終年度と
して、全役職員一丸となって事業に取り組む。
これまでの成果をさらに発展させるとともに進捗が遅れている施策に鋭意取
り組み、また、社会の潮流の変化をしっかりと捉えて事業の発展強化を図り業
績の向上を図る。
このための重点施策は以下のとおりである。
1.事業戦略に基づく営業力の強化及び企画営業と地域営業を活性化し、収
入を伸ばす。
2.組織力の強化、経費節減の徹底等を推進し、効率的な処理体制を実現す
るとともに品質向上を図り顧客の信頼を獲得することにより黒字を確保
する。
3.成長が見込める分野の強化を図り、収益向上に繋げる。
4.持続的成長を目指した次期中期経営計画を策定し、平成 26 年度からの
実施に向け準備する。
(2)事業項目
次の6事業を実施する。
①公益目的支出計画事業
防災知識等の普及事業、調査・研究事業、及び連絡会等事業
②その他公益事業
岡田記念事業
③防災事業
河川砂防・海象分野における観測・解析から予測システムの設計構築事
業。レーダによる局地的な集中豪雨の事前予測等を用いた防災システムの
設計構築事業。津波防災に関する監視システムの設計、構築事業
④環境事業
環境アセスメント事業。実験(風洞・拡散)及びシミュレーション等を
利用した解析、気象調査、環境計測事業。再生可能エネルギー調査・予測
及び地球温暖化防止等コンサルティング事業
⑤予報事業
防災対策や安全管理・維持管理のための気象・海象独自予測情報提供と
気象予報士によるコンサルティング事業。放送・新聞やデジタルメディア
向け気象コンテンツ提供サービスおよび気象解説サービス事業
⑥情報システム事業
法人向け各種システムによる災害リスク回避を目的とする気象情報サー
ビス事業。個人向け携帯公式サイトやポータルサイトによる健康や安心・
安全の確保など生活を豊かにする気象情報サービス事業
(3)事業規模
平成25年度の契約目標額は107億円以上とし、事業収入の目標額は107億円以
上とする。
Ⅲ
事業内容
(1)公益目的支出計画事業
1)一般市民への防災知識等の普及を図る事業(継続事業1)
① 気象・気候等に関する講演会・講習会の実施又は講師の派遣を行う。
② 国や地方自治体の防災フェア等に積極的に参加する。
③ 前年度提案した日本の気候風土に合った新しい季節のことばを普及する。
④ 熱中症予防を広域に呼びかけ、発症件数を減じる取り組みを実施する。
2)調査研究の成果を広く学術・科学技術振興に供する事業(継続事業2)
① 京都大学への寄附による「水文環境システム(日本気象協会)研究部門」に
ついては研究成果のまとめを行ない平成25年9月で終了する。また、平成25
年10月~平成30年9月までの5年間「気象水文リスク情報研究分野」の設置を
予定している。
② 福島大学と公共インフラを気象災害から守るための気象レーダ等利活用
に関わる研究を実施する。
3)公益事業の事務局を運営しその達成を助成する事業(継続事業3)
① 電力・鉄道気象連絡会等の事務局業務を実施する。
(2)その他公益事業
① 気象事業貢献者の顕彰(岡田賞)及び育英事業を実施する。
(3)防災事業
平成24年は、集中豪雨や台風などによって、時間雨量100mmを越える記録的な
大雨が全国各地で発生し、豪雨による甚大な被害をもたらした。平成23年の東
日本大震災によって襲来した津波や昨年の大雨など自然災害の脅威は高まり、
防災対策の重要性は年々増している。防災に関する意識の向上とともに国の取
り組みも、「復興・防災対策」として新政権の重要政策に挙げられている。
このような状況のもと、防災事業部では、今まで取り組んできた「局地的な
集中豪雨の監視・予知」関連分野の更なる事業拡大に加えて、震災後津波関連
事業の獲得に向けた企画営業を強化する。
局地的な集中豪雨関連分野では、国土交通省を中心に進められてきた新型レ
ーダ(XバンドMPレーダ)の整備が順調に進み、来年度から情報提供の本運用が
始まろうとしている。「レーダ導入段階の配置計画」から、「観測を開始したレ
ーダの精度検証や利活用」等へと業務内容がシフトしている。一方、津波関連
では、平成24年度から沿岸海洋分野という新しい分野を設けた。新たな想定で
の津波浸水予測図の作成業務の他、「リアルタイムな津波浸水予測情報」をキー
ワードとした企画を推進し、「観測~解析~情報伝達」を担当できる日本気象協
会の強みを活かした事業活動を実施する。
平成 25 年度は、平成 24 年度の事業活動を継承し、引き続き、新型レーダの利
活用分野と津波対策関連の事業に重点的に取り組む。また、事業活動の拡大を図
るため、各種の防災・減災事業に対し、これまでの実績と経験を最大限活用した
企画営業を更に充実させる。具体的には平成 24 年度発足した企画推進チームを
中心に新しい商品を企画し、商品ラインナップを増やす。海外事業については今
までの気象レーダ関連業務に加え、ASEAN 地域の気象災害調査関連業務について
も積極的に取り組む。
【主な受託業務】
①地震、津波防災コンサルティング業務
②新型レーダの精度評価及び利活用検討業務
③XRAIN(国土交通省 X バンド MP レーダネットワーク)情報を活用した防災
情報の高度化とシステム構築業務
④河川・ダム管理のための降雨・流出解析、土砂災害警戒避難のための解析
や支援情報業務
⑤数値シミュレーション等を用いた大雨・強風などの気象解析業務
⑥防雪対策のための観測・解析業務
⑦外洋や沿岸、港湾に到達する波浪や潮位の観測・解析から高波、高潮を予
測するシステムの構築業務
⑧レーダ等気象技術などの海外防災活動支援業務
(4)環境事業
東日本大震災以後、電力供給のひっ迫や、燃料コスト増による電力コスト上
昇懸念等、国内の電気事業をめぐる環境は激変し、これまで以上に電力の安定
的かつ効率的な電力供給が強く求められるようになった。
平成 24 年 3 月には、電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議において
新規火力電源について IPP 事業者参入の方針が示された。一方、平成 24 年 7
月に自然エネルギーによる電力の固定買取制度(FIT)が導入され、風力発電、
太陽光発電等事業が大幅に拡大している。更に、平成 24 年 10 月のアセス法改
正により風力発電事業が法アセスの対象となるなど、IPP 関連事業や再生可能
エネルギー関連事業の分野は、環境事業部にとって事業拡大が期待され、積極
的な取組みを行っていく。
このような状況のもと、政府が示した「復興・防災対策」、「成長の富の創出」
等平成 25 年度の重要政策に関連した事業分野で、当協会が長年取組んできた気
象観測、PM2.5 等大気測定、解析検証、数値シミュレーション等や温暖化対策
関連事業に対して継続的な取組みを強化する。また、基幹技術を活かした環境・
エネルギーなどの分野で、官民連携プロジェクトなどにも積極的に参画すると
ともに、民間事業者との連携や協業を通して海外業務の拡大に積極的に取組ん
でいく。
【主な受託業務】
① 発電所、清掃工場、鉄道等の建設に伴う環境アセスメント業務
② 風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギー分野における調査・解析・
発電量予測業務
③ 野外拡散実験、風洞実験及び数値シミュレーション等を利用した大気汚染
関連業務
④ 大気環境、汚染物質、花粉等の測定・監視・情報システムの構築・運用業
務
⑤ 気象観測(地上、高層)調査、環境測定・保守・運用業務
⑥ 気候変動解析、地球温暖化モニタリング、地球温暖化防止対策等のコンサ
ルティング業務
⑦ 温室効果ガスweb収集管理システム、火山ガス等の監視システムの構築・
運用業務
⑧ GOSAT(温室効果ガス観測技術衛星)データの検証支援業務
⑨ 上記業務関連分野の海外業務
(5)予報事業
集中豪雨や干ばつ、大雨・大雪、熱波・低温など、近年は異常気象が世界的
に頻発している。わが国においても、平成 24 年 7 月の九州北部豪雨、記録的な
残暑ののち、寒冷かつ降雪量の多い冬の到来など社会に大きな影響を与える気
象現象が多発しており、リスク対策として気象情報には高いニーズがある。
予報事業部は、予測情報サービス分野においては道路・鉄道の維持管理、河
川・ダム管理、陸上・海上の安全輸送及び電力・エネルギー系統運用などに対す
る判断支援情報を提供し、気象予報士による気象障害対策アドバイスを実施し
てきた。また、メディア向けサービス分野では、テレビ局には放送システム
「MICOS-Hit!」、CATV 局には新商品「MICOS-Leaf」をリリース、新聞社向けに
デジタル化にマッチしたコンテンツサービスを行うなど、新たな顧客を開拓し
てきた。
平成 25 年度は、防災対策や維持管理支援に精通した気象予報士による地域密
着型の予測サービスを拡大する。また、スマートシティをはじめとする次世代
エネルギー社会を支える気象情報提供に注力する。メディア向けサービスとし
ては、映像・画像コンテンツを充実するとともに、わかりやすく多彩な表現に
よる情報提供を展開し、放送局・新聞社等メディア顧客の拡大を図る。加えて、
インターネットを活用したソーシャルサービスやデジタルサイネージなど広報
サービスの充実を引き続き推進する。
【主な受託業務】
① 道路管理、鉄道安全輸送、河川・ダム管理などのための独自気象予測や体
制判断支援予測情報提供とコンサルティングサービス
② 台風情報、注意報・警報、地震・津波情報などの防災気象情報提供とコン
サルティングサービス
③ 電力需要予測のための気象予報とコンサルティングサービス
④ スマートシティ実現支援のための気象情報提供サービス
⑤ 船舶向けウェザールーティングサービス業務
⑥ テレビ・ラジオ・新聞・CATV などメディアへの気象情報提供とキャスタ
ー出演・解説業務
⑦ 洗濯指数・花粉情報・紫外線情報などの生活情報提供、夏山・スキー場な
どのレジャー情報提供業務
⑧ デジタルサイネージなど広報活動と連携した情報提供業務
⑨ tenki.jp「日直予報士」などのソーシャルサービス業務
(6)情報システム事業
東日本大震災からの復興途上にある我が国において、自然災害に対するリス
ク回避、安心・安全の確保に対するニーズは、国・自治体の防災関係機関にとど
まらず民間企業においても高まりをみせている。
一方、情報システムサービスは、インターネットをベースとし、モバイルの
利用が様々なシーンで主役の座を占めてきた。特にスマートフォン及びタブレ
ット端末の普及は急速であり、あらゆるシーンで利用価値を高めてきている。
このような状況のもと、情報システム事業部では、PC及びモバイルを用いて、
官公庁や企業等の法人向けと個人向けサービスを提供している。法人向けとし
ては、総合気象情報サービスMICOS Fitをベースとし、顧客毎のニーズをカスタ
マイズした「災害リスクを回避・軽減するためのオンライン気象情報サービス」
を推進してきた。個人向けとしては、インターネットによる気象情報ポータル
サイト「tenki.jp」を核とし、健康や安心・安全の確保など生活を豊かにする
Web・モバイルサービスやアイテム提供を推進した。
平成25年度も引き続き、法人向けサービスにおいては、顧客へのヒヤリング
活動を軸として顧客分野別の企画営業活動を強化する。各分野におけるソリュ
ーションの融合と防災事業部を中心とした他事業部との連携強化により事業の
拡大を図る。
個人向けサービスでは、マーケティング活動により個人のニーズを捉えつつ、
パートナーとの協業、プロモーション強化、インターネット広告への深耕等を
総合して事業の拡大を図る。
【主な受託業務】
① 自然災害リスク回避・軽減を目的とした情報システムの開発・運用業務
② XRAIN情報を活用した気象情報システムの開発・運用業務
③ 津波監視予測システムの検討・設計・構築業務
④ 電力エネルギー施設の安全管理支援システムの開発・運用業務
⑤ 各インターネットサービスプロバイダーへの気象情報提供業務
⑥ 日本最大級の気象情報サイト「tenki.jp」を活用した情報提供業務
⑦ 携帯公式サイトによる気象情報サービス業務
⑧ 新機能付き携帯型熱中症計など健康維持をサポートする商品サービスの
提供業務
⑨ 飲食、美容、健康、環境等をキーワードとする販売促進のための気象情
報提供
Ⅳ
研究開発及び投資等
次の研究開発及び投資を実施する。投資総額約7億円。
(1)研究開発
特に防災事業分野の事業の拡大ならびに新たな需要を生み出す事業戦略の
基盤になることを目指して、予測モデルやシステム、コンテンツを開発する。
① 今後南海トラフ等で発生が見込まれる大規模地震・津波を想定した、微気
圧観測による津波早期検知システムを開発する。(継続)
② レーダを用いた降雨予測分野において、XバンドMPレーダやフェーズドア
レイレーダ(注1)の データを用いた新たな降雨予測モデルを開発する。(継
続)
③ 国土交通省が提供しているXRAIN情報を活用した、新たな土砂災害危険度
コンテンツの開発を行う。(新規)
(注1) 現在開発中のレーダで、パラボラがなく、電子的にアンテナスキャンを行なうため30秒程
度で3次元観測ができるという特徴がある
(2)業務重点投資
情報分野における急速な進化(特にICT技術)を受けて、それに対応する
システムやコンテンツを作成するだけでなく、トラブルの防止や顧客満足度
の向上を目的として、業務重点投資を行う。
① 予報・解説サービス現場の情報基盤更新を引き続き推進することにより、
迅速かつ正確な情報提供環境を高度化して、カスタマーサービスの充実を
図る。これにより、当協会の全国組織を生かした顧客サービスや情報のバ
ックアップ体制及び作業環境をさらに充実させ、顧客の信頼度を高める。
② 気象情報は顧客により使用目的及び提供内容が異なることが多い。これ
までも顧客の声を反映させてきたが、さらにそれらの用途に応じた顧客別
システムの高度化を図る。
③ 各種モバイルに対応させたコンシューマ向け情報サービスの拡張を行う。
特にtenki.jp及びスマートフォンなどのコンテンツの充実及び双方向性の
拡大を図る。
④ 現在運用中の当協会独自の気象予測モデルSYNFOS-3Dについて、予報現場
の要望の増加や活用範囲の拡大(日射量予測、2週間予報等)に伴い、ハ
ードウェアの更新と計算機能や仕様の拡大を行う。
(3)環境整備投資
将来を見据えた先行事業の実施や業務実施環境を充実させるための投資
を行う。主要な項目は以下に示すとおり。
① 本社事務所のCVCF設備更新(機器老朽化、BCP対応)
② 地方事務所の再編、機能維持のための補修(事業の整理、事務所経費節減)
③ バックアップシステムに遠隔地へのバックアップ機能を追加(ISMSリス
ク対応計画)
Ⅴ
業務実施体制・処理環境の整備等
① 実行予算管理、経費の月次管理等を実施し、損益管理を徹底する。
② 教育・訓練を充実し、マネジメント力の強化や技術資格者の増強を図ると
ともに、品質管理を徹底して、迅速かつ的確な顧客対応体制を構築する。
③ 法令遵守体制の充実を図り、法令遵守に努める。
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