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地域活性化における「新しい公」の視点 コミュニティビジネスやマッチングギフトに基
第42回 ESRI−経済政策フォーラム 「地域活性化のための人財育成 ー産官学連携の観点からー」 地域活性化における「新しい公」の視点 コミュニティビジネスやマッチングギフトに基づく役 割について ーソーシャルキャピタルの視点からー 獨協大学 1 高松 和幸 問題意識 ・「新しい公」におけるコミュニティの活動領域 「新しい公 における ミ テ の活動領域 ・コミュニティの形成条件 ・ソーシャルキャピタル(SC) ッチ グギ ト ・マッチングギフト ・共働のコミュニティ ・コミュニティビジネスにつながるクリエイティブなコ ミュニティとは,どのようにして誕生するのか? ・コミュニティに対して大学は,どのような教育的役割が コミ ニティに対して大学は どのような教育的役割が 求められているか? 2 コミュニティの形成条件 ・住民相互の作り合う関係性が重視されてきた=コ ミュ ティ意識 ミュニティ意識 ・その実体は,新しい共同処理を志向する住民の意 識であり しかし現実は 近隣関係の希薄さや軋轢 識であり,しかし現実は,近隣関係の希薄さや軋轢 などによる住民意識とは異なる関係性からの限界が 指摘 3 ソーシャルキャピタル(SC) ・地域を取り巻く環境は,一方には,地域と良好な関 係を結びたいとする行政や企業(社員)がいて 他 係を結びたいとする行政や企業(社員)がいて,他 方には,地域活動やボランティア活動ができない市 民が る 民がいる ・その結果,時間的な制約や様々な理由が存在して, その障壁と狭間で喘ぐ地域環境が想定できる ・「協調行動を誘発することで,コミュニティの参加 者に具体的な成果を発生させる社会的共有資源 者に具体的な成果を発生させる社会的共有資源」 4 マッチングギフト ・こうした地域環境の狭間を埋めるものとして,地 域住民のボランティア活動への参加をはじめ 域住民のボランティア活動 の参加をはじめ,間接 間接 的に補うNPOの参入や,さらにはマッチングギフ ト制度 導入などが要望される ト制度の導入などが要望される ・「社員や消費者などが寄附行為(金銭の提供やボ ランティア活動など)を行った場合、それに関係す る企業や行政が その行為に見合う(マッチング) る企業や行政が、その行為に見合う(マッチング) だけの寄附行為(金銭や資材提供)を上乗せする寄 附の仕組み」 5 リソ リソースマッチングシステム チ グシ テム ・たとえば,カーシェアリングのIT活用: たとえば,カ シ アリ グ IT活用: ・何らかの資源(リソース)を複数の人々が共有するため 何らかの資源(リソ ス)を複数の人々が共有するため の仕掛け ・技術的には「時空間の様々な資源を活用するためのサー 技術的には「時空間の様々な資源を活用するためのサ ビス」と規定 <同様な例> ・まちの助け合いに利用できる「ボランティアマッチング まちの助け合いに利用できる「ボランティアマッチング システム」 ・災害時の助け合いに利用できる「災害時ボランティア 災害時の助け合いに利用できる 災害時ボランティア マッチングシステム」等 6 ボランティアマッチングシステム ・時間に余裕ができた人が,ボランティアとして提 供できる時間と場所を登録 ・協力を得たい人は,協力を受けたい場所と必要時 間を設定 ・ボランティアマッチングサーバーは,上記の情報 をもとに 移動手段 到達可能性 提供されている をもとに,移動手段,到達可能性,提供されている ボランティアの時間などの条件に従って,マッチン グを行う ・マッチングが成立したら,しかるべきルールに 則ってそれぞれの当事者に知らせる 7 大学等で教育が果たす役割 ・たとえば たとえば,学生の社会デビュ 学生の社会デビューや職業訓練の一貫として や職業訓練の 貫として 取り組む ・重要なことは 地域社会に横たわる共同の問題処理シス ・重要なことは,地域社会に横たわる共同の問題処理シス テムの中心に「新しい公共」の担い手の教育 ・公共的領域の問題処理を担うシステムの内部に住民や地 公共的領域の問題処理を担うシステムの内部に住民や地 域にかかわる人の参加を促し,それによる住民自治の拡 大につなげるマネジメントと創発が必要 ・それを実現するためには,住民(私)が中心となって, 企業(民)との自助 共助による共働するだけでなく 企業(民)との自助・共助による共働するだけでなく, さらに行政 (公) などの公的機関の支援が必要 8 「新 「新しい公」におけるコミュニティの活動領域 公 における 活動領域 ・一つは, 民間における個人生活を基本とする私的活動の側 ・一つは 面から, 地域コミュニティに生じた問題の解決のために, 居住 環境の最適化のための住民の自発的な活動に着目 化 住 ・ コミュニティに生じた問題の解決のために, コミュニティ の共益性 (公益性) に着目して, 外部からのボランティア活動の 導入や NPOなどによる共助や, 導入や, NPOなどによる共助や さらに行政の支援 (公助) に よる 新しいコミュニティの活動領域を形成 ・地域コミュニティの活性化のためには 住民の無償の自発 ・地域コミュニティの活性化のためには, 的な活動や, 外部からの犠牲的なボランティア活動の導入だけ では限界 ・行政の支援はもとより, さらに企業によるマッチングギフ ト活動やNPOによる共助活動など, 収益性 (採算性) を加味し た活動が必要 ・ここに「新しい公」におけるコミュニティの活動領域を考 9 えることができる 「私・公・民の共働による」新しい公のコミュ 「私 公 民の共働による」新しい公のコミュ ニティの活動領域 (採算性) 収益性(高) (民) (共) 企業活動 私益性 (個人性) NPO 個人生活 新しい 公の コミュニティ の 活動領域 アウトカム (成果 公益性 (共益性) ボランティア活動 行政 (私) (公) 収益性(低) (採算性) 10 「新しい公」のコミュニティの目指すべき方向 ︵ 経 済 性 ︶ 経 済 価 値 ・ 収 益 経済性重視 (利益) ダブルボトム ライン重視 社会性重視 (不安定) 社会性(社会・生活価値等) 社会性(社会 生活価値等) 11