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集 団 安全保障 と 中 立
滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀 要 人 文 科 学 ・社 会 科 学 ・教 育 科 学 No.43 57 pp..57-66,1993 集 団 安 全 保 障 と 中 立 土 Collective 屋 茂 Security Shigeki 樹 and Neutrality TSUCHIYA 本 稿 を 草 す る に 当 た り、 恩 師 故 田 岡 良一 先 生 の数 多 くの 名 著 に 深 く啓 発 され 、 そ の整 然 た る は じめ に 理 論 に 教 え られ る とこ ろ多 大 で あ った 。 学 生 時 国 連 平 和 維 持 活 動(PKO)協 力 法 が成 立 し 代 よ り40年 余 の永 き に わ た り、 先 生 の 偉 大 な御 て か ら1年 有 余 の歳 月 が 経 過 した。 当 初 、'自党 業 績 を 常 に支 え と して 、 拙 な い 歩 み を続 け て来 の衆 議 院 議 員 の 総 辞 職 ま で 持 ち 出 して反 対 して た が 、遂 に呉 下 の 阿蒙 と も な り得 な い 自分 を恥 い た 社 会 党 も、 今 で は細 川 内 閣 の与 党 と して 、 じる と と も に 、 あ らた めて 先 生 の 高 大 な御 学 識 かつ て は 自 民 党 の 中枢 部 を 占 めて い た 新 生 党 議 の前 に 、 深 く頭 を 垂れ るの み で あ る。 員 と肩 を組 み 、PKO法 の こ とは も は や 念 頭 に な い か の よ うで あ る 。 カ ン ボ ジ ア に 派 遣 され て い た 自衛 隊 員 も帰 国 の 途 につ き、PKOは 1、 中立 の 意 義 国民 の 関 心 か ら も遠 ざ か りつ つ あ る。 しか し、 ソマ リア で は 依 然 と して 武 力 衝 突 が続 き 、'国連 の 平 国 家 間 に戦 争 が発 生 した 時 、 戦 争 に参 加 しな い他 の 国 家 の 地 位 を 中 立 とい い 、 この 地 位 に 立 和 維 持 活 動 は泥 沼 に 落 ち入 っ てい る 。 そ して 、 つ 国 を 中 立 国 と呼 ぶ。 「中立 は 、第 三 国 に よ っ て わ が 国 の 政 治 家 の発 言 の 中 に は 、相 変 わ らず 「国 取 られ 、 交 戦 国 に よ っ て 認 め られ る公 平 な 態 度 連 の活 動 に 協 力 す るの は 当然 の 義務 で あ る」、「 汗 で あ り、 この 第 三 国 と交 戦 国 との 間 に 権 利 義 務 を流 さず に は国 際 社 会 の 表 舞 台 に は 立 て な い 」 を作 り出 す 。 戦 争 発 生 時 に 、第 三 国 が 公 平 な態 とい う類 い の も の が 数 多 く見 受 け られ る。 果 し 度 を取 る か ど うか は 、国 際 法 上 の 問 題 で は な く、 て わ が 国 は 、 国 際 連 合 の 活 動 に無 条 件 で 協 力 す 国際 政 治 の 問 題 で あ る 。 そ れ 故 、既 存 の 条 約 が る義 務 を:負って い る だ ろ うか。 そ れ は 、 つ き つ 明確 に規 定 して い ない 限 り、 国 際 法 に よれ ば、 めれ ば 、 国 際 連 合 の 活 動 が武 力 行 使 に まで お よ 戦 争 発 生 時 に 国 家 が 中 立 の 地 位 に止 ま る義 務 は ん だ 時 、 加 盟 国 が 中 立 の 立 場 に立 つ こ とが 許 さ れ る か とい う問題 に ま で 立 ち至 る 。PKOの の 存 在 しな い 。」 「しか し、 明確 な態 度 ま た は言 将 葉 に よ っ て反 対 の 意 思 を 表 示 しな い 限 り、 す べ 来 が 予 断 を 許 さ な い 今 、 も う一 度 、原 点 に 帰 っ て の 国家 は 中 立 とみ な され 、 中立 に 由来 す る権 て 中 立 の 意 義 と集 団 安 全 保 障 との 関係 を 、 考 え 利 義 務 関 係 が 発 生 し継 続 す る。 そ れ は 、 国 家 が 直 す こ とが 必 要 で あ ろ う。 公 平 な態 度 を 取 り、 交 戦 国 に よ って 戦 争 に 引 き 58 土 屋 茂 樹 コ 入 れ られ な い と い う事 実 の み に 由 来 す る 。」 中 は 艦 内 に官 憲 を 派 して 乗 組 員 を拉 致 拘 留 す る 事 立 国 相 互 の 関 係 、 お よ び 中 立 国 と交 戦 国 との 関 を得 な い 。 然 るに 戦 時 、 交 戦 国 軍 艦 が 中 立港 に 係 は 平 和 な状 態 で あ り、通 常 の 国 際 法 に よ って 入 り、 中 立 国 が 交 戦 国 軍艦 の入 港 碇 泊 に 関 して 支 配 され る。 た だ 、 交 戦 国 は 、 国 際 法 上 、 中立 定 め た 規則 に 服 従 しな い 時 、例 へ ば 碇 泊期 間 を 国 に対 して 、 平 時 に は 存 在 しな い 要 求 を行 い得 守 らず して 出 発 を遷 延 す る時 は 、 中 立 国 は 此 の る権 利 を 有 し、 中立 国 は 、 これ を受 忍 す る義 務 軍 艦 を 拿 捕 し、其 の 乗 組 員 を 拘 留 す る事 を得 る 。 を負 う。 この 交 戦 国 の 権 利 は 、 戦 争 遂 行 上 、必 従 っ て 中 立 国 は 、 平 時 に於 て外 国 軍 艦 に 向 って 要 止 む を 得 ぬ も の と して 認 め られ 、 中 立 国 の義 為 す を 得 な い 行 為 を 、 中立 国 と して は為 す こ と 務 は 、 交 戦 国 の 何 れ に も加 担 しな い もの と して を 得 、 交 戦 国 政 府 を して 是 を容 認 せ しめ る こ と の公 平 な 態 度 か ら生 ま れ る と され る。 こ の よ う を 得 るの で あ る 。 な権 利 義 務 を定 め た 国 際 法 を 、'中 立 法 とい う 。 然 し此 の場 合 に 中立 国 が右 の 権 利 を行 使 す る 注 意 し な けれ ば な らな い の は 、 こ こ にい う権 か 否 か は 中立 国 の 自 由 に委 ね られ て 居 な い 。 交 利 義 務 とは 、 も っ ぱ ら交 戦 国 の権 利 と 中立 国 の 戦 国 軍 艦 に して 不 当 に 中立 領 水 内 を利 用 す る も 義 務 で あ る とい う こ とで あ る 。戦 時 にお け る中 の を 拘 留 す る こ とは 、 上 に 述 べ た公 平 義 務 の 一 立 国 の 権 利 と し て 従 来 説 かれ て来 た も の は 、 元 部 を 為 す 。 従 っ て 交 戦 国軍 艦 の 拘 留 は 、 其 の旗 来 国 家 が平 時 に 有 して い る権 利 に 過 ぎず 、 戦 時 国 た る交 戦 国 に対 して 権 利 で あ る と同 時 に 、 其 に 中 立 国 と して 特 に 認 め られ る権 利 で は な い 。 の 相 手 交 戦 国 に対 して は 義 務 で あ る 。」4)田岡 博 戦 時 にお い て 新 た に 発 生 す る の は 、 平 時 に は 存 士 の こ の著 書 は 、 半 世 紀 前 に書 かれ た も の で あ 在 し ない 中 立 国 の 義 務 で あ り、 これ に対 応 す る るが 、 今 日な お わ が国 に お け る最 高 権 威 書 と し 3) 交 戦 国 の権 利 な の で あ る 。従 っ て 、 中立 法 の ほ て の 価 値 を失 わ な い 。) とん どは 、 中 立 国 の 義 務 に 関 す る も の と考 えて 中立 国 の義 務 は 二 つ に 分 け られ る 。 第 一 は 黙 差 し支 え な い 。(田 岡 良 一 博 士 は 、そ の 大 著 「国 認i義務 duty of acquiescence(容 際 法 学 大 綱(下)」 の 中で 、次 の よ うに 説 い て お 容 義 務 、.黙止 義 務 な ど と呼 ばれ る こ と が あ る)、 られ る 。「 例 へ ば 自国 領 水 内 に 於 て 交 戦 国 軍 艦 が 第 二 は公 平 義 務 duty of impartialityで あ り、 敵 国 商船 を捕 獲 した 時 中 立 国 が そ の解 放 を求 め 後 者 は さ らに 防止 義 務 duty of prevention(阻 得 る事 は 、 戦 争 に よ っ て 始 め て 生 ず る 中 立 国 の 止 義 務 、遮 止 義 務 と もい う)と 避i止義 務 duty 権 利 で あ る と称 せ られ る が 、 平 時 に も 国 家 は 、 of abstention(自 そ の領 水 内 に於 て 外 国 の 軍 艦 が他 の外 国 の 商 船 とに分 け られ る。 を捕 獲 した 時 、 其 の解 放 を求 め得 る こ とは 疑 を 認 義 務 、寛 制 義 務 、 回 避 義 務 と も い う) 黙 認 義 務 と は 、「交 戦 国 が 戦 争 遂 行 の た め に行 容 れ な い 。 又 交 戦 国 が 公 海 に於 て 国 際 法 の 許 す う行 為 に よ っ て 自国 国 民 が うけ る不 利 益 を戦 争 限界 を超 え て 中 立 商 船 を捕 獲 した 時 、 中立 国 が 法 が 認 め る限 りに お い て 、 中 立 国 が黙 認 しな け 其 の 解 放 を求 め 得 る 事 も、其 の 一 例 とせ られ る。 れ ば な ら ない 義 務 」5)であ る。 「 交 戦 国 は 敵 国領 然 し乍 ら、平 時 に 国 家 は 、外 国軍 艦 が 自国 商船 土 内 の 私 有 財 産 を 、 敵 国民 の 所 有 に属 す る か 、 を拿 捕 した時 、 其 の 解 放 を求 め る 権 利 が有 る こ 中 立 国 民 の所 有 に 属 す る か を問 わず 、 戦 争 の必 とは 疑 な く、 平 時 と戦 時 との差 は 、 後 者 に於 て 要 に 基 づ い て破 壊 又 は押 収 し、 敵 国 と 中立 国 と 此 の 権 利 が 、 交 戦 国 の戦 争 上 の必 要 に応 じて 、 の 問 の通 商 を 阻 止 し、 海 底 電 線 の切 断 そ の他 の 或 程 度 ま で縮 小 せ られ る事 の み で あ る。 方 法 に よっ て 敵 国 と中立 国 との 間 の通 信 を絶 ち 、 然 し例 外 的 に 中 立 国 が戦 争 発 生 に因 っ て新 た 又 或 場 合 に は 中 立 国船 舶 及 び 中立 国 航 空 機 を傘 ラ な 権 利 を取 得 す る 場 合 が な い とは 云 へ な い 。 例 捕 没 収す る。 」 平 時 にお け る これ らの 行 為 は 、 へ ば 国 家 は 、 平 時 に 外 国 軍艦 が 自国 領 水 内 に 入 損 害 賠 償 請 求 の 原 因 とな る が 、戦 時 に於 て は あ る時 は 、入 港 、 航 海 、 碇 泊 に 関 す る諸 規 則 の 遵 る程 度 ま で 交 戦 国 の合 法 的 行 為 と され 、 中 立 国 守 を要 求 す る事 を 得 る が 、是 に従 は な い外 国 軍 は これ らの損 害 を黙 認 す る義 務 を 負 う。 艦 に たい して は 、 自国 領 水 よ りの 退 を命 ず る 権 避 止 義 務 とは 、 中立 国 が 交 戦 国 の 一 方 に 対 し 利 が 有 る の み で あ って 、 此 の 軍艦 を拿 捕 し、 又 て 戦 争 遂 行 に 関 す る直 接 ま た は 間 接 の援 助 を与 59 集 団安全保 障 と中立 の えて は な らな い とい う義 務 で あ る 。 直接 の敵 対 己防 衛 」、 「財 産 の 回復 」、 「 処 罰 」の 三 つ で あ り、 行 為 を 行 うこ とに よ り、 交 戦 国 の 一方 を 援 助 す こ う した 原 因 に よ らな い 領 土 拡 張 や 支 配 の た め る こ とが で き な い の み な らず 、 軍 隊 の 供 給 、 軍 艦 、 軍 用 の船 舶 ・航 空 機 ・武 器 弾 薬 そ の 他 の軍 ラ の戦 争 は 正 しか ら ざ る戦 争 と して 、 正 戦 と 区別 の され た 。 しか し、正 戦 論 が実 現 され るた め に は 、 用 資 材 、補 助 金 の供 与 は す べ て 禁 じ られ る 。 但 交 戦 国 の 何 れ が 正 当 原 因 に基 づ い て 戦 って い る しこ れ ら は 国 家 的 行 為 と して 行 うこ と を禁 じ ら か を判 断 す る 「審 判 者 」 を必 要 とす る。 こ の 審 れ る の み で あ り、 中立 国 民 の 私 人 と して の行 為 判 者 が 存 在 しな い 限 り、 正 戦 論 は 机 上 の空 論 と ま で 禁 じる もの で は な い 。 化 して しま うの で あ る。16世 紀 以 降 の 国際 法 学 防 止 義 務 は 、 中 立 国 が そ の領 域 を交 戦 国 の 者 が 、 正 当原 因 が な い 場 合 で も、 当 事 国 が 正 し 戦 争 遂 行 の た め に利 用 され る こ と を防 止 す る 義 い原 因 が あ る と信 じ、 そ れ が 不 可 抗 力 に よ る誤 務 を い う。 国 家 の領 域 は そ の 国 の 排 他 的 管 轄 権 認 に 基 づ く場 合 で あ る時 は 、「克 服 し難 い 不 知 に属 し、 他 国 が これ を侵 犯 し得 な い こ とは 当 然 invincible ignorance」 と して 許 容 され ね ば な ら で あ る が 、 戦 時 に お い て は、 中 立 国 はそ の領 域 な い と した の は 、 こ う した 「審 判 者 」 が存 在 し を 敵 国 侵 入 のル ー ト、 ま た は 交 戦 区 域 か らの 撤 な い 国 際 社 会 に お い て、 交 戦 国 双 方 が 正 当 原 因 退ル ー トと して 利 用 させ て は な らな い 義 務 を 負 を主 張 す る 場 合 の打 開策 を 考 案 し た も の に 他 な 12) う。「陸 戦 の 場 合 に お け る 中立 国 お よび 中立 人 の らな い 。 権利 義 務 に 関 す る条 約 」と、「海 戦 の 場 合 に お け 正 戦 論 の 実 現 が不 可 能 とな った 以 上 、戦 争 に る 中 立 国 の 権 利 義 務 に 関 す る 条 約 」 は、 それ ぞ 訴 え るか 否 か は 国 家 の 自由 に 委 ね られ 、 法 的領 れ 防 止 義 務 に関 す る具 体 的 内 容 を定 めて い る が 、 域 か ら政 治 的 判 断 の領 域 に移 る こ とに な っ た 。 陸 戦 の 場 合 は 中 立 国 に 厳 しい 防 止 義 務 を 課 し、 こ う して 正 戦 不 正 戦 の 区別 は 消 滅 し、 す べ て の 交 戦 国 の 軍 隊 や 輜 重 の 通 過 の 阻 止(2条)や 、 戦 争 は皆 同 じで あ る とい う、 無 差 別 戦 争 観 が 一 交戦 国の戦 闘部隊の編成や募 集事務所 の開設の 般 的 な も の とな る。 中立 の 概 念 は 、 こ の時 極 め 禁 止(4条)、 て 明確 な 形 で 登 場 して来 る。 交 戦 国 の 何 れ が 正 お よ び 、中 立 国 の 領 土 内 に 入 っ た 交 戦 国 軍 隊 の 留 置 と監 視 の義 務(11条)が 定め 当原 因 に 基 づ い て 闘 っ て い るか を 、 議 論 す る必 られ て い る 。 海 戦 の場 合 は 、 領 海 内 で の 交 戦 国 戦 闘 力 を増 要 が な い 以 上 、 第 三 国 が そ の 何 れ に も加 担 しな い 立 場 に 立 つ こ とは 、極 めて 合 理 的 だ か らで あ 中立国 に る。 そ の こ とに よ っ て 、 中立 国 は 公 平 な第 三 者 要 求 され る が、 領 海 内 の 交 戦 国 軍艦 や 軍 用 航 空 と して の 立 場 を 強調 す る こ とが で き 、 同時 に 戦 機 の 通 過 や 碇 泊 ま で 禁止 す る こ とは 要 求 され な 争 に よ る被 害 が 自国 に及 ぶ こ とを 防 止 で き る。 い 。 た だ 、 中立 国 の 意思 に よ っ て禁 止 、 制 限 す そ れ は 、 戦 争 を違 法 化 しよ う とす る 試 み が 次 第 る こ と は 可 能 で あ るが 、 そ の場 合 は 交 戦 国双 方 に 強 くな っ て来 る20世 紀 に入 っ て も、 な お か つ に均 等 に行 わ な けれ ば な らな い 。 意 義 を 持 つ 。国 際 社 会 に お け る侵 略 国 の 認 定 と、 の 戦 闘 や 捕 獲 行 為 を禁 止 し(5条)、 加 す る 行 為 を阻 止 す る義 務(17条)が 9) 紛 争 解 決 の為 の強 制 的 処 理 方 法 が完 備 せ ず 、個 々 の 国 家 の 実 力 に よ る権 利 救 済 を あ る程 度 認 め ざ 2、 中 立 制 度 の 発 展 る を 得 な い現 状 に あ って は 、 戦 闘 に 直 接 参 加 し 中 立 法 の 端 緒 は 、 ギ リシ ャ 時 代 、 す で に発 見 な い 第 三 国 を武 力 攻 撃 の被 害 か ら守 る た め の 中 す る こ とが で き る とい われ て い るが 、 実 際 に 中 立 法 規 は 、 な お 存 在 意 義 を有 す る と考 え られ る 立 の 概 念 が 意 義 を持 つ よ うに な るの は、18世 紀 か らで あ る 。 ユ の 以 降 の 「無 差 別 戦 争 観 」 の発 展 と時 を 同 じ くす る と考 え られ る。 近 世 初 頭 の 国 際 法 学 者 が 中 心 3、 集 団 安 全保 障 と 中立 課 題 と した の は、 いか な る原 因 に基 づ く戦 争 が 正 当 な 戦 争 と して 許 され る か とい う、 い わ ゆ る 「正 戦 論 」 の 研 究 で あ っ た。 「国 際 法 の 父 」 と さ 第 一 次 大 戦 後 、 戦 争 を地 上 か ら追 放 し、 国 際 れ る グ ロチ ウ ス に よれ ば 、戦 争 の 正 当 原 因 は 「自 強 制 を 行 うこ と を 目的 と した集 団 安 全 保 障 体 制 社 会 の 手 に よ る平 和 の維 持 と、 違 反 国 に対 す る 土 屋 茂 樹 60 の 確 立 が 求 め られ る よ うに な った 。そ れ に伴 い, わ れ 、 他 の 交 戦 国 に対 して 行 わ れ る も の で は な 中 立 制 度 が 従 来 通 り維 持 し得 るか につ い て も 、 い か ら、 伝 統 的 な 中立 の 概 念 と は 明 らか に両 立 疑 問 の声 が 起 っ て 来 た。 集 団 安 全 保 障 に 参 加 す しな い 。 また 、16条3項 は 、1項 の 制裁 措 置 実 るす べ て の 国 が 、 平 和 を破 壊 す る 国 に 対 して 、 施 の た め に連 盟 国 の軍 隊 が 使 用 され る時 、 連 盟 制 裁 を加 え る こ と が約 束 され て い る 時 、 中 立 を 国 が相 互 に援 助 しな け れ ば な らな い こ とや 、 自 維 持 す る こ と は 、 こ の制 度 に 参 加 して い る 国 に 国 領 域 内 の軍 隊 通 過 の 便 宜 を 与 え な けれ ば な ら とっ て は 不 可 能 で あ る よ うに 見 え る。 集 団 安 全 な い こ と を定 め て い た 。 これ も ま た 、 中 立 の概 保 障 が発 動 され る時 、武 力 の 行 使 は 、 平 和 破 壊 念 と対 立 す る も の で あ る。 国 に 対 す る他 の加 盟 国 の 制裁 とい う形 で 行 われ しか し、 国 際 連 盟 規 約 の 枠 内 で 、 中 立 が 全 く るの で あ り、 加 盟 国 の 中 で 、 平 和 破 壊 国 と、被 存 在 し得 ない 訳 で は な い 。 先 に 述 べ た よ うに 、 害 国 又 は 制 裁 参 加 国 の何 れ に 対 して も、 公 平 な 判 決 や 報 告 書 に従 わ な い 国 に対 して は 、 判 決 や 立 場 に立 つ も の が あ る こ とは 、 理 論 上 不 可 能 な 報 告 書 の 三 ヶ月 後 に は 戦 争 に 訴 え る こ と が 可能 筈 だ か らで あ る 。 集 団 安 全 保 障 の 最 初 の 代 表 例 で あ り、 理 事 会 で紛 争 当 事 国 を 除 く全 会 一 致 の と も云 え る国 際 連 盟 で は 、 中 立 は どの よ うに扱 報 告 書 が 得 られ な い場 合 も 同 様 で あ っ た 。 従 っ わ れ た で あ ろ うか 。 て これ らの 場 合 の戦 争 は 、 規 約 第16条 の 適 用 を 国 際 連 盟 規 約 は 一 切 の戦 争 を禁 止 した 訳 で は な い 。 連 盟 国 は 国 交 断 絶 に 至 るお そ れ の あ る紛 受 けず 、 そ こで は古 典 的 な 中 立 法 規 が依 然 と し の て 妥 当 す る こ とに な る 。 ま た 、連 盟 規約 中 唯一 争 を仲 裁 裁 判 、 司 法 的 解 決 又 は連 盟 理 事 会 の審 の 制 裁 規 定 で あ っ た第16条 も 、 実 際 の運 用 の上 査 に 付 す る こ と、 お よび 判 決 又 は 理 事 会 の 報 告 で は全 く骨 抜 きの 状 態 で あ っ た 。1921年 の 連 盟 後 三 ヶ月 を 経 過 す る ま で は 戦 争 に訴 え る こ とを 総 会 は 、 規 約 第16条 の 適 用 指 針 と して 、 次 の よ 禁 止 され た(規 約12条)。 ま た 、判 決 に従 う国 、 うな 解 釈 決 議 を採 択 した 。「あ る 国 が規 約 違 反 の 又 は 当事 国 を 除 く他 の 理 事 国 す べ て の 同 意 を得 戦 争 を 開 始 した こ とは 、 当 然 に 他 のす べ て の連 た 理 事 会 の報 告 書 、 又 は 当事 国 を除 く理 事 国 す べ て と他 の 連 盟 国 の 過 半 数 の 賛 成 を得 た 総 会 の 盟 国 との 間 の 戦 争 状 態 を発 生 させ る も の で は な 報 告 書 に従 う国 に 対 して 戦 争 に 訴 え る こ とは 禁 理 を取 る 自由 を発 生 せ しめ る も の で あ る 。」そ の 止 され た(13、15条)。 結 果 、 連 盟 国 は、 規 約 違 反 の 戦 争 に対 して も 、 従 っ て 、判 決 や 報 告 の 後 三 ヶ月 を経 過 し、 か つ 判 決 や 報 告 に従 わ な い 国 に対 して 戦 争 に訴 え る こ とは禁 止 され て い な か っ た 。 また 、理:事会 で 当 事 国 を 除 い て 全 会 一 致 の く、 た だ 連 盟 国 が各 自の 判 断 に よ う て適 宜 の処 自 らの 判 断 で これ を規 約 違 反 と認 定 せ ず 、 中立 の を 維持 す る こ とが可 能 で あ った 。 実例 に よっ て 見 て も 、1922年 、 常 設 国 際 司 法 裁 判 所 は 、 ウ ィ ユ の 報 告 書 が 得 られ な か っ た時 は 、 連 盟 国 は 正 義 公 ンブ ル ドン号 事 件 の判 決 に お い て 、 中 立 法 規 の 道 を 維 持 す る た め必 要 と認 め る処 置 を取 る 権 利 存 在 を 認 定 して お り、 そ の 他 、1921年 の 「 通過 を 留 保 す る こ とが で き た(15条7項)。 の 自由 に関 す る規 定 」、1922年 の9ヶ 国 条 約 な ど、 そ して 、 12、13、15条 に違 反 して 戦 争 に訴 え た 連 盟 国 は 、 多 くの 条 約 が 中立 制 度 の 存 在 を 認 め て い る。 当 然 他 のす べ て の 連 盟 国 に対 し戦 争 行 為 を な し 規 約 第16条 が実 際 に 適 用 され た 唯 一 の 例 で あ た もの とみ な され 、 他 の す べ て の 連 盟 国 は これ る イ タ リア 、 エ チ オ ピア 戦 争 に お い て も、 イ タ に対 し一 切 の通 商 上 又 は金 融 上 の 関 係 を断絶 し、 リア に 対 す る経 済 断 交 に 参 加 す る こ とは 、 連 盟 自国 民 と違 約 国 国 民 との 一 切 の 交 通 を禁 止 し、 国 に 義 務 付 け られ な か っ た 。 参 加 した 国 も 、戦 連 盟 国 と否 と を問 わ ず 他 のす べ て の国 の 国 民 と 闘用 器 材 な ど若 干 の物 資 の イ タ リ ア へ の 輸 出 を 違 約 国 国 民 との 一 切 の 金 融 上 、 通 商 上 又 は個 人 禁 止 し た に 止 ま り、 制 裁 は ほ とん ど 実効 性 を持 的 交 通 を 防止 す る こ とが 約束 され た(16条1項)。 たなか った 。 (い うま で も な く、連 盟 規 約 は連 そ して 、 理 事 会 は 、連 盟 の 約 束 擁 護 の た め使 用 盟 国 の み に 対 して 拘 束 力 を 持 つ もの で あ り、 非 す べ き兵 力 に対 す る連 盟 各 国 の 分 担 程 度 に つ い 連 盟 国 に対 して は 効 力 を 持 た な い 。 従 っ て 連 盟 て 、各 国 政 府 に 提 案 す る こ と に な っ て い た(16 国 相 互 の戦 争 に お い て は 、 例 え そ れ が規 約 違 反 条2項)。 の 戦 争 で あ っ て も、 非 連 盟 国 は伝 統 的 中 立 の立 こ の措 置 は 、違 約 国 に た い して の み 行 う 集 団 安全保 障 と中立 場 に 立 つ こ とに な る。 連 盟 規 約 に よ っ て も 中 立 が完 全 に 消 滅 した 訳 で は な い 一 例 が 、 こ こ に も 1938年 、 迫 り来 る戦 争 の 危 機 に備 え て 、 自 らの 中 立 国 と して の 姿 勢 を 、 国 際 連 盟 を 通 じて 明 ら 存 在 す る 。) 61 ラ か に した に過 ぎ な い 。 以 上を要約す れ ば、国際連盟規約 は、伝統 的 第 二 次 大 戦 後 に 発 足 した 国 際 連 合 は 、 戦 争 の な 中 立 制 度 に 制 約 を加 え な が ら、 な お か つ 中 立 禁 止 を一 層 徹 底 させ 、制 裁 措 置 の 充 実 を 計 った 。 の存 在 を 全 く否 定 す る も の で は な か っ た 。 規 約 国 際連 合 憲 章第2条4項 が 、「 す べ ての 加 盟 国 は、 の文 言 か らだ け で は な く、 国 家 の 実 行 の 上 に お そ の 国 際 関係 に お い て 、 武 力 に よ る威 嚇 又 は武 いて も、中立 の成 立 す る可 能性 は否 定 され な か っ 力 の 行 使 を、 い か な る 国 の領 土 保 全 又 は 政 治 的 た。 こ の こ とは 、 永 世 中 立 国 と して の 立 場 を維 独 立 に 対 す る も の も、 ま た 国 際 連 合 の 目的 と両 持 しな が ら、 国 際 連 盟 に加 入 した スイ ス の 例 を 立 しな い 他 の い か な る方 法 に よ る も の も慎 まね 見 れ ば極 めて 明 白 とな る 。1919年 のパ リ平 和 会 ば な らな い 」と規 定 して お り、戦 争 の み な らず 、 議 は 、2月14日 、 国 際 連 盟 規約 草 案 を 可 決 し、 武 力 に よ る威 嚇 又 は 武 力 の行 使 を も禁 止 す る こ 3月20日 、 中 立 国13ヶ 国.を招請 して 意 見 を 求 め た 。 席 上 、 デ ンマ ー ク代 表 は 、 規 約 第16条 に 、 とに よ っ て 、 両 大 戦 間 に多 発 した 「事 変 」 の よ うな 、 戦 争 の 名 を用 い な い 武 力 衝 突 を追 放 し よ 伝 統 的 中 立 を 宣 言 した 国 は制 裁 参加 を免 れ る条 う と して い る。 ま た 、 制 裁 措 置 発 動 の 前 提 とな 項 を追 加 す る こ と を提 案 した が 拒 否 され 、 国 際 る平 和 に対 す る脅 威 、 平 和 の破 壊 、 侵 略 行 為 の 連 盟 と中 立 とは 両 立 しない こ とが 明 ら か に な っ た 。 そ の た め 、 ス イ ス は連 盟 加 入 と永 世 中 立 と 存 在 と、 そ の 結;果取 られ るべ き非 軍 事 的 及 び 軍 :事:的 措 置 の 決 定 は 、 安 全 保 障 理 事 に よ って 行 わ の 妥 協 を計 り、連 盟 の 制 裁 措 置 に 関 して は 、 経 れ る こ とに な っ て お り、(39条)、 国 際 連 盟 時 代 済 断 交 の み に参 加 して 、 これ を確 保 す る た め の に 連 盟 国 の 自主 的 判 断 に よ って 制 裁 措 置 へ の 参 軍 事 行 動 に は参 加 せ ず 、 自国領 域 内 の 外 国 軍 隊 加 が 決 定 され た の に比 して 、 は るか に組 織 的 に の 通 過 も認 め な い こ と を条 件 に加 入 す る こ と を 機 能 が 果 た され る よ うに 見 え る。 ま た 、 憲 章 第 求 め た 。1920年 、連 盟 理 事 会 は この 条 件 を 認 め 、 25条 に よ り、安 全 保 障 理 事 会 の 決 定 は加 盟 国 を ス イ ス は 正 式 に 国 際 連 盟 に加 入 した 。 この ス イ 拘 束 す る こ とに な って お り、 この 点 で も 国 際 連 ス の 提 案 は 、 国 際 連 盟 の 制 裁 措 置 と、 通 常 の 戦 合 の 安 全 保 障 は 、 国 際 連 盟 に 比 して 強 化 され て 争 とを 区 別 し、 前 者 の 場 合 は 中立 を 制 限 し、 後 い る。 さ らに 、 制 裁 措 置 は 、第41条 に規 定 され 者 の 場 合 は 従 来 通 りの 中立 政 策 を維 持 し よ う と る経 済 関 係 、運 輸 通 信 手 段 の全 部 又 は一 部 の 中 す る もの で あ り、「区 別 の あ る 中立neutralit6 断 、 お よび 外 交 関 係 の 断 絶 を含 む 非 軍 事 的措 置 ユ の diff6rentielle」 と呼 ば れ た 。実 際 に は 、そ の 後 と、 この 非 軍:事的 措 置 が不 適 当 で あ る こ とが 明 スイ ス は 従 来 の 中 立 政 策 を守 り、 イ タ リア 、 エ らか に な っ た時 、又 は 当初 か ら不適 当で あ る こ チ オ ピア 戦 争 の 際 の経 済 制 裁 に も ほ とん ど参 加 とが 明 らか な時 に 、 第42条 に よ っ て 取 られ る 軍 せ ず 、1920年 、 ヴ ィル ナ 市 帰 属 決 定 の 人 民 投 票 事 的措 置 の 両 方 が用 意 され てお り、 非 軍 事 的 措 監 視 の た め の 国 際 軍 の 物 資 の 領 土 内通 過 も拒 否 置 しか 規 定 され て い な か った 国 際連 盟 に比 べ て 、 し、1925年 の ザ ー ル 人 民 投 票 監 視 の た め の 国 際 は るか に強 力 とな っ て い る。これ らの 規定 に よ っ 軍 に も参 加 しな か っ た 。1933年 の ドイ ツ に お よ て 、 国 際 連 合 は 中 立 の 概 念 を排 し、加 盟 国 に 対 び37年 の イ タ リー の 国 際 連 盟脱 退 に よ り、 永 世 して 、 国 際 連 合 の安 全 保 障 措 置 に協 力 す る義 務 中立 国 と し て の 立 場 を確 保 す る必 要 に迫 られ た ス イ ス は 、1938年4月 、経 済 制 裁 参 加 の 義 務 を サ ン フ ラ ンシ ス コ会 議 に お い て 、 憲 章 の基 礎 と 免れて 「 完 全 な 中 立neutralit6 な った ダ ンパ ー トン ・オ ー クス 草 案 が審 議 され int6graie」 へ の 復 帰 を連 盟 理 事 会 に 要請 し、 同 年5月 、理 事 を課 して い る と考 え られ 勝 ちで あ る。1945年 の た 時 、 フ ラ ンス 代 表 は、 「 す べ て の加 盟 国 は、国 会 は これ を 承 認 す る決 議 を行 っ た 。 史 上 に名 高 際 連 合 が こ の憲 章 に従 っ て とる い か な る行 動 に い 「区 別 の あ る 中立 か ら完 全 な 中 立 へ 」 の転 換 つ い て も 国際 連 合 に あ らゆ る援 助 を 与 え、且 つ 、 は こ う して 実 現 した が 、 実 際 は 、 ス イ ス の態 度 国 際 連 合 の 防 止 行 動 又 は 強制 行 動 の対 象 とな っ は 常 に 永 世 中立 国 と して の 立 場 を 貫 き、 ただ 、 て い る い か な る 国 に 対 して も援 助 の供 与 を慎 ま 土 62 屋 茂 樹 な け れ ば な ら な い 」 と い う 現 在 の 憲 章 第2条5 連加 盟 国 が 、 中 立 国 と して これ らの委 員 会 に 参 項 に 、「い か な る 国 家 も 中 立 の 地 位 を 援 用 し て こ 加 した 。 そ して 、 これ らの 委 員 会 に 、 ス イ ス が の 義 務 を 免 れ る こ とは で き な い sans qu'un 中 立 国 と して 参 加 して い る こ とは 、 注 目 に値 す etat puisse s'y sustraire, invoquer un statut る。 de neutralit6」 国 際連 合 と中立 が 両 立 し得 る こ とを示 した もっ と い う文 言 の 追 加 を 提 案 し た 。 こ の提 案 は 実 現 し な か っ た が、 フ ラ ンス の 主 張 とも大 き な 出 来 事 は 、1955年 、永 世 中 立 国 と し は 否 定 さ れ た 訳 で は な く 、 第5項 て の オ ー ス ト リア が 国 際 連 合 に加 入 した こ とで の文言は フラ ン ス の 主 張 を 含 ん で い る と 了 解 され た か ら で あ あ る。1955年4月 「 独 立 国 家 オ ー ス トリア の 再 る 。 ス イ ス は これ らの 事 情 を考 慮:して 、中立 国 建 に 関す る国 家 条 約 」 の 調 印 に よ り、 米 英 仏 ソ と して の 立 場 を 維 持す るた め 、 今 日 まで 国 際 連 に よ る 占領 を脱 して 主 権 を 回 復 した オ ー ス ト リ 合 に加 入 して い な い 。 ア は 、同 年10月 、「オ ー ス トリア の 中立 に 関す る と こ ろで 、憲 章 が規 定 す る制 裁措 置 は 、 す べ 連 邦 憲 法 規 定 」 を 国 会 で 可 決 し、11月 、諸 国 の て の加 盟 国 が 強 制 行動 に参 加 す る こ と を義 務 付 承 認 を 得 て 永 世 中立 国 とな っ た 。 ラ 12月 、オ ー け て い るだ ろ うか 。制 裁 措 置 の もっ と も強 力 な ス トリア の 国 際 連 合 加 入 申請 は 安 全 保 障理 事 会 形 と して 発 動 され る第42条 の軍 事 的 措 置 は 、 陸 と総 会 の 承 認 を 得 、 オ ー ス トリア は 国 際 連合 加 海 空 軍 の兵 力 に よ る軍 事 行 動 で あ るが 、 こ の た 盟 国 とな っ た。 この 際 、 かつ て ス イ ス が 国 際 連 め に 提 供 され る兵 力 、 援 助 お よび 便 益 は 、第43 盟 に加 入 した時 の よ うな 、「区 別 の あ る 中立 」の 条 に よ っ て 、 安 全 保 障 理 事 会 と加 盟 国 との 間 に よ うな 条 件 は全 く付 け られ な か った 。 従 っ て 永 締 結 され る 特別 協 定 に よ っ て 義 務 付 け られ る も 世 中 立 国 と して の オ ー ス トリア の 立 場 と、 国 際 の で あ り、 憲 章 に よっ て 当 然 義 務 付 け られ る の 連 合 の集 団安 全 保 障 体 制 とが 両 立 し得 る こ とは 、 で は な い 。 今 日ま で 、 こ の 特別 協 定 は全 く締 結 公 式 に 承 認 され た と見 て よ い(具 体 的 規 定 と の され て お らず 、 第42条 の軍 事 行 動 に 参 加 す る 義 関 係 に つ い て は 、 後 述 す る 。) 務 を負 っ て い る加 盟 国 は 存 在 しない 。 従 って 、 憲 章 第2条5項 第42条 が 発 動 され る可 能 性 は全 くな い の で あ る 。 国 際 連 合 の行 動 に援 助 を 与 え る義 務 を 定 め、 中 憲 章 第2条5項 が、 す べ て の 加 盟 国 に 、 国 際 立 の 立 場 を 主 張 して そ の 義 務 を免 れ る こ とは で 連 合 の行 動 に 援 助 を与 え る こ と を規 定 して い る きな い 旨 了解 され て い た に も拘 らず 。 永 世 中立 ン が 、す べ て の 国 連 加 盟 国 に、 た め、 国 際 連 合 の 下 で は 、 もは や 中立 は存 在 し 国 オ ー ス トリア が、 何 らの 留 保 も な く国 際 連 合 得 ない か の よ うな 印象 を 受 け易 い こ とは 、 先 に 加 入 を認 め られ た 事 実 は 、 一 見 奇 異 の 感 を抱 か 述 べ た が 、 具 体 的 規 定 を 見 る と、第42条 と第43 せ る が 、憲 章 を詳 細 に検 討 す れ ば 、 答 え は 自 ら 条 との 関 係 の よ うに 、伝 統 的 な 中立 の概 念 が 全 明 らか とな る。 憲 章 第2条 は 、本 来 国 際 連 合 の く存 在 し得 な い も の で は な い こ とは 、容 易 に理 行 動 につ い て の 原 則 を 定 め た もの で あ り、 そ の 解 で き.よう、国 際 連 合 発 足 後 数 年 を経 な い1950 具 体 的 内 容 につ い て は 、 個 々 の 条 文 につ い て 詳 年 、朝 鮮 半 島 に お い て 、 朝 鮮 人 民民 主 主 義 共 和 細 に検 討 す る必 要 が あ る。 軍 事 行 動 に 関 す る第 国 と大 韓 民 国 との 間 に 武 力 衝 突 が起 っ た 際 に、 42条 の規 定 は、第43条 の特 別 協 定 の不 存 在 に よ っ 安 全 保 障理 事 会 は大 韓 民 国 を援 助す る決 議 を行 っ て 実施 不 可 能 で あ る こ とは先 に 述 べ た 通 りで あ た が 、 こ の決 議 の 内容 は勧 告 で あ っ て 、 加 盟 国 り、 オ ー ス トリア は 安 全 保 障理 事 会 と特 別 協 定 が い か な る行 動 を 取 る か は 、各 国 の 自 由に 委 ね を締 結 す る義 務 も な く、 第42条 の行 動 に 当然 参 の られ た 。そ の 結 果 、朝 鮮 に派 兵 した加 盟 国 は16ヶ 加 す る義 務 もな い 。 第2条5項 国 に 過 ぎず 、そ の大 部 分 は米 軍 で あ っ た 。1953 関 係 は 、 第43条 に よ っ て具 体 化 され る もの で あ 年 、 国 連 軍 と朝 鮮 人 民 民 主 主 義 共 和 国 及 び 中華 り、 第43条 が活 用 され な い 現 状 で は 、 オ ー ス ト り と軍 事 行 動 との 人 民 共 和 国義 勇 軍 との 間 に成 立 した 休 戦 協 定 の リア の軍 事 行 動 に 関す る 中立 は、国 際 連 合 に よっ 中 に 、 中立 国 監 視 委 員 会 や 中 立 国 捕 虜 送 還 委 員 て 承 認 され た こ と も決 して 不 思 議 で は な い。(田 会 な どの 制 度 が 設 け られ 、 ス ウ ェー デ ン、 チ ェ コス ロ ヴ ァ キ ア 、 ポ ー ラ ン ド、 イ ン ドな ど の 国 条 約 の 解 釈 に経 験 の あ る者 は 、 条 約 の 前 文 ま た 岡 良 一 博 士 は 次 の よ うに説 い て お られ る。「国 際 集 団安全 保 障 と中立 63 は条 約 の 冒頭 部 分 に 述 べ られ て い る 高 邁 な 主 義 意 味 で は 、 第41条 に 関 して は 、伝 統 的 な 中 立 制 や 目的 が 、 そ の 後 に つ づ く細 目規 定 に 於 て 必 ず 度 は 国 際 連 合 の下 で は 制 限 を受 け る 。 オ ー ス ト しも 完 全 に貫 か れ て お らず 、 甚 だ 制 限 され た形 リア の場 合 は 、 永 世 中 立 国 と して の 立 場 を 認 め で具 体 化 され る 場 合 が 多 い こ とを知 っ て い る。 られ た上 で加 入 を承 認 され て お り。 第41条 適 用 当事 者 の 真 の 意 図 、 言 い か え れ ば 、 当 事 者 が こ の 場 合 に は 、 例 外 的 に 参加 を免 除 され る こ とに の条 約 を結 ぶ こ とに よ っ て 設 定 しよ う と した権 なる 。 ラオス が国 連 加盟 後 、1962年の ジュネ ー 利 義 務 関 係 は 、 後 者 に現 れ て い る の で あ って 、 ブ 協 定 に よっ て 永 世 中 立 を認 め られ た の も 同 様 前 者 は 、 これ を 美 化 し、 当 時 国 の 双 方 また は一 の 理 由 に よる'6) 方 の 国 民 感 情 に 受 入 れ 易 く し、 ま た は 第 三 国 の 以 上 見 て来 た よ うに 、 国 際 連 合 に お い て も 、 感 触 を 害 し な い よ うにす る 政 策 的 意 図 を以 て 選 軍 事 的措 置 に よ る紛 争 の 強 制 的 処 理 は 、 加 盟 国 ば れ た美 辞 麗 句 、外 交 辞 令 に外 な らな い こ とを知 を強 制 す る形 で 行 うこ とは で きな い 。 そ の 限 り って い る 。 従 っ て 条 約 の 解 釈 に 当 た り学者 は 締 で は 、 中 立 の 制 度 は現 在 で も容 認 され る余 地 が 約 国 の 政 策 的 意 図 を受 けつ い で これ を 宣伝 す る あ る。 しか し、例 え第42条 に よ る武 力 行 動 が 、 立 場 を と る な らば 兎 に 角 、法 律 学 的 解 釈 を 下 そ 安 全 保 障 理 事 会 の 決 議 に よ り、加 盟 国 の 自発 的 う とす る 立 場 を と るな らば 、 条 約 の 冒頭 に 通 例 参 加 に よ って 行 わ れ る場 合 で あ って も 、 そ れ が か か げ られ る 一般 的 抽 象 的 な 主 義 や 目的 の 表 現 国 連 決 議 に基 づ く もの で あ る 以 上 、 直 接 こ れ に を基 礎 と して 、条 約 の 設 定 を し ょ う とす る 権利 参 加 しな い他 の加 盟 国 が援 助 を 与 え て も 、 中 立 義 務 関係 の 性 質 を 断 定 し た り、条 約 各 条 の 意 味 義 務 違 反 と して非 難 す る こ とは で き な い 。ま た 、 を決 定 した りす る 方 法 に 対 して警 戒 的 で な け れ 第41条 に よ る非 軍 事 的 措 置 に よ る 紛 争 処 理 は 、 ば な らな い 。 これ は 条 約 解 釈 に於 て 忘 れ て な ら 加 盟 国 を拘 束 し、 そ こで は 中立 は制 約 され る 。 な い 教 訓 で あ る が 、 この 教 訓 は しば しば無 視 さ 従 っ て 、 国 際 連 合 の 下 で の 中立 は 、 も はや 完 全 う れ る。」 田 岡博 士 の 主 張 され る厳 格 な条 約 解 な 形 で 存 在 す る こ とは で きず 、 大 き く変 形 した 釈 の 態 度 は 、 わ が 国 に お い て も っ と も忘 れ られ 状 態 で 生 き残 る こ とが で き る のみ で あ る。 そ れ 勝 ち な 事 柄 で あ り、官 民 とも に衿 を 正 して 守 る べ き も の で あ ろ う。) 故 、「国 際 連 合 は 、違 反 国 に 対 し、す べ て の加 盟 国 際 連 合 憲 章 は 、第42条 の軍 事 的 措 置 と並 ん で 、第41条 に 非軍 事 的措 置 に よ る制 裁 を定 め、「 安 確 立 を 目的 とす る か ら、 中立 の 制 度 は 存 在 す る 国 が 一 致 して 制 裁 を加 え る集 団 安 全 保 障 体 制 の 余 地 は な い 」 と判 断す る こ とは 明 らか に 誤 りで 全 保 障 理 事 会 は 、 そ の 決 定 を実 施 す るた め に 、 あ る が 、「 古 典 的 な 中 立 制 度 は国 際 連 合 の 下 で も 兵 力 の 使 用 を伴 わ な い い か な る措 置 を使 用 す る そ の ま ま 存 在 し得 る」とす る の も 正確 で は な い 。 か を 決 定 す る こ とが で き、 且 つ 、 この 措 置 を適 用 す る よ う に 国 際 連 合加 盟 国 に要 請 す る こ とが 集 団 安 全 保 障 体 制 の 下 で は 中立 は存 在 し得 な い とす る説 は 、わ が国 で は 横 田 喜 三郎 博 士 に よ っ で き る。 こ の 措 置 は、経 済 関 係 及 び 鉄 道 、航 海 、 て 唱 え られ た 。博 士 の見 解 に よれ ば 、「 第 一次大 航 空 、 郵 便 、 電 信 、 無 線 通 信 そ の他 の 運 輸 通 信 戦後 の顕著な傾向 は、戦争防止のた めの国際協 手 段 の 全 部 又 は一 部 の 中 断 並 び に外 交 関 係 の 断 力 で あ る 。 戦 争 は これ を 犯 す 国 が あ る か ら生 ず 絶 を 含 む こ とが で き る」 と規 定 して い る。 こ の る。 故 に 、 戦 争 を犯 した 国 、 即 ち侵 略 国 に 対 し 場 合 の 安 全 保 障理 事 会 の 要 請 は、 第42条 の 場 合 て 、 他 の 国 が 団 結 して制 裁 を加 え る こ とに よ っ の よ うな 、 加 盟 国 との 特 別 協 定 を必 要 とせ ず 、 て 戦 争 は撲 滅 され る。 第 一 次大 戦後 に 生 じた 集 か つ 、 第25条 に基 づ い て加 盟 国 に対 す る 拘 束 力 団 安 全 保 障 は こ の 時 代 の精 神 を表 した も の で あ を持 つ 。 従 って 、 安全 保 障 理 事 会 が侵 略 国 に対 る 。 即 ち或 国 が 他 国 か ら攻 撃 され た場 合 そ の 他 す る経 済 制 裁 を決 定 し、 被 害 国 に 対 す る物 資 の の 国 々 は 、 それ を 座 視 傍 観 す る こ とな く、 力 を 援 助 を加 盟 国 に要 請 した 場 合 、 加 盟 国 は 、 武 力 合 せ て 攻 撃 国 に 制 裁 を加 へ る の が、 集 団 安 全 保 紛 争 の 当 時 国 の 一 方 に経 済 的 打 撃 を与 え 、他 方 障 の精 神 で あ る 。 この20世 紀 の 精 神 の 下 で 、 他 に 物 的 援 助 を 提 供 す る義 務 を:負う。 中立 国 の 避 止 義 務 は こ の 場 合 主 張 す る こ とを 得 な い 。 そ の 国 間 の 戦 争 に対 して 中 立 を守 ろ うとす る の は 時 代 錯 誤 で あ る 。 」 と い う こ と に な る 。こ の 説 の 64 土 屋 茂 樹 問 題 点 に つ い て は 後 に述 べ る 。 のす べ て の 国 が 制 裁 を加 え る の が 集 団 安 全 保 障 国際 連 合 の 下 で も 中立 が存 在 し得 る こ とを 明 で あ る」 とい う説 明 も、 集 団 安 全 保 障 に よ る制 らか に され た の は 田 岡 良 一 博 士 で、「 永世 中立 と 裁 措 置 が 甚 だ 不 十 分 な現 状 で は 、 説 得 力 を持 た は 日本 の 安 全 保 障 」 を始 め とす る多 くの 著作 の な い 。「 世 界 の す べ て の 国 が違 反 国 に 制 裁 を加 え 中 で 、 理 路 整 然 と説 明 され て い る。 そ の 精 密 な る体 制 」 は未 だ か つ て完 成 され た こ と はな く、 理 論 と詳 細 な実 証 に は 、 た だ感 嘆 の他 な い が 、 今 後 も容 易 に 達 成 し得 る 目標 で は な い 。「 永世 中 憲 章 第41条 と中 立 との 関 係 が 今 一 つ 明 らか で な 立 は 時 代 錯 誤 で あ る。」とい う主 張 は 、歴 史 と現 い こ とだ け が 、1何と して も気 に か か る。 先 に 述 実 を 直 視 して い な い の で あ る 。 べ た オ ー ス トリ アの 国連 加 盟 に して も 、 憲 章 の 第 二 の 誤解 は 、 ス イ ス の 地 理 的 条 件 が 永 世 中 下 で 当 然 そ の 永 世 中立 国 と して の立 場 が そ の ま 立 を可 能 と した とい う主 張 で あ る 。「ス イ ス は 山 ま存 在 し得 る の で は な く、特 例 と して第41条 の ば か りの 国 で 、ほ とん ど平 地 とい うも の が な い 。 義 務 を 免 除 され た と考 え な け れ ば 、 お そ ら く理 した が っ て大 軍 を通 過 せ しめ る こ と も 困難 で あ 論 的 に破 綻 を来 す で あ ろ う 。 り、ま た大 きな 飛 行 場 を 設 け る こ と も で き な い 。 つ ま り通 路 と して も基 地 と して も 、 ス イ ス は軍 4、 永 世 中 立 に 対 す る誤 解 :事的 に利 用 価 値 が な い 。 だ か ら周 囲 の 国 が 手 を お 出 さな か っ た の で 、 スイ ス は 中立 国 で あれ た の 現 に発 生 中 の 戦 争 に対 して 、 何 れ の側 に も 参 で あ る。 わ が 国 は これ と異 な り軍 事 的 に利 用 価 加 せ ず 、 公 平 の 立 場 を維 持 す る の は本 来 の 中 立 値 が 多 い か ら、 中 立 な ど とい うこ とは 考 え られ で あ る が 、 あ る 国 家 が 永 年 に わ た り、政 策 と し な い 。 」 とい う類 い の 主 張 が こ れ に 当 た る。実 て 中立 の 立 場 を と り続 け る こ と を永 世 中立 とい 際 は 、 ドイ ツ 、 オ ー ス トリア 、 フ ラ ンス 、 イ タ う。 今 、 永 世 中 立 に つ い て詳 し く論 述 す る余 裕 リア に 周 囲 を 囲 ま れ た ス イ ス は 、17世 紀 以 降 、 は な い が 、 中立 を理 解 す る必 要 上 、 永 世 中立 に 度 々 侵 入 を受 け 、1709年 、 ス ペ イ ン王 位継 承 戦 関 して 広 ま って い る誤 解 を説 い て お きた い 。 役 の 際 は 、 オ ー ス トリア 軍 が バ ー ゼ ル 州 を通 過 第 一 の 誤 解 は 、 先 に挙 げ た横 田喜 三 郎 博 士 の して フ ラ ン ス を 攻 撃 した 。1797年 、 フ ラ ン ス軍 所 論 に 見 られ る 「19世紀 に は 、他 国 の 戦 争 に対 は カ ンポ ・フ ォル ミオ の 戦 で オ ー ス トリア 軍 を して 袖 手傍 観 す る こ とが 普 通 で あ った が 、20世 破 っ た 後 、1798年 、ス イ ス全 土 を 占領 した 。1813 紀 で は 、 あ る国 が 攻 撃 され た場 合 、 他 の 国 が力 年 、 ナ ポ レ オ ンの 敗 北 後 、対 仏 同 盟 軍 は 、 二 度 を合 わ せ て 攻 撃 国 に 制 裁 を加 え るの が 集 団安 全 に わ た っ て スイ ス を通 過 して フ ラ ンス を 攻 撃 し 保 障 の精 神 で あ り、 中立 を守 ろ う とす る の は時 た 。 ス イ ス の 永 世 中立 が 宣言 され た の は 、1815 代 錯 誤 で あ る。 」 とい う主 張 で あ る。永 世 中立 年 の ウィ ー ン会 議 に よ っ て で あ る が 、 ス イ ス が の 制 度 は19世 紀 に 始 ま り、 マ ル タ、 スイ ス、 ク 戦 略 上 の 要 路 と して しば しば 諸 国 の侵 入 を受 け ラ カ ウ 、 ベ ル ギ ー 、 ル クセ ン ブ ル グ、 コ ン ゴ 自 た事 実 は 、「ス イ ス は 軍 事 的 価 値 が な い 」 とい う 由国 な どが 相 次 い で 永 世 中立 国 とな った 。 これ 説 が 事 実 無 根 で あ る こ とを 明 確 に物 語 って い る 31) らの諸 国 の 多 くは 、 そ の 後 種 々 の 理 由 に よ っ て o 永 世 中立 の 立 場 を 離 れ 、 今 日、 永 世 中立 国 と し (「ス イ ス が 永 世 中 立 国 た り得 る の は 、そ の地 て は、 ス イ ス 、 オ ー ス トリア 、 ラオ スの 三 国 が 理 的 条 件 に よ る 」 とい う説 は 、 戦 後 の 一 時 期 、 あ る のみ で あ る。 しか し、 永 世 中立 国 が 多数 発 識 者 の 間 に広 く流 布 した こ とが あ る 。 筆 者 は 学 生 した19世 紀 、 特 に ウィ ー ン会 議 以 後 は 、 い わ 生 時 代 、著 名 な 民 法 学者 某 氏 の講義 を受 講 した 。 ゆ る 「欧州 協 調 」 の 時 代 で あ り、 そ れ まで の 時 某 氏 の話 は度 々脱 線 す る の で 有 名 だ っ た が 、 あ 代 に比 して 、 は る か に 国 際 社 会 の 連 帯 が 強 ま っ る時 「 軍 隊 を 持 つ 国 は必 ず 戦 争 に巻 き込 まれ る。 た 時 代 で あ る。 も し、他 国 の 戦 争 を 傍 観 す る時 だ か ら 日本 は どん な小 規 模 な軍 隊 的 な もの で も、 代 に 永 世 中 立 が 発 達 した の で あれ ば 、18世紀 に 、 決 して持 っ て は な らな い 。 そ れ が 憲 法 第9条 永 世 中立 が よ り多 く生 ま れ た 筈 で あ るが;歴 史 守 る 唯一 の 道 で あ る 」と話 され た こ とが あ っ た 。 は これ を証 明 し な い 。ま た 、「 違 反 国 に 対 して 他 す る と一 人 の 学 生 が 「 スイ スは永世 中立国 とし を 集 団安 全保 障 と中立 て永 年 平 和 を 維 持 して い るが 、 そ の軍 隊 は 極 め て優 秀 で 、 山 岳 地 帯 の戦 闘 で は ヨー ロ ッパ 第 一 65 ち 、 そ の 限 りで は 、 中立 の 制 度 が 大 き く修 正 を の能 力 を持 つ と聞 い て い る。 だ か ら軍 隊 を持 っ 受 け るこ とは先 に述 べた 通 りで あ る 。 しか し、 「国 際 連 合 の 強 制 的 紛 争 処 理 に は 、 す べ て の加 て も、 必 ず 戦 争 に巻 き込 ま れ る とは 限 らな い の 盟 国 が 参 加 す る義 務 を有 し、 中立 の 立 場 を取 る で は あ りま せ ん か」 と質 問 した 。 とた ん に某 氏 こ とは 許 され な い 」と簡 単 に結 論 付 け る こ とは 、 は大 声 を 張 り上 げ て 「 君 イ、 スイ ス は あ あ い う 憲 章 の 具 体 的 規 定 を無 視 し、 事 実 を偽 る も の で 山 国 だ か ら戦 争 に巻 き 込 まれ ない んだ よ。 日本 ある。 は ス イ ス とは 違 うん だ よ オ 」。スイ ス は 山国 で 日 る が 故 に戦 争 に巻 き 込 ま れ な い 筈 の ス イ ス が 、 ガ リ国 連 事 務 総 長 の 構 想 に よれ ば ヤ 現 在 の 国 連 平 和 維持 活 動 Peace-keeping operationsを 一 層 強 化 し、 武 力 の 行 使 を 直 接 の 目的 とす る平 多額 の 国 費 を投 じて 軍備 を保 持 してい るの は 何 和 執 行 部 隊 を編 成 して 、事 務 総 長 の 指 揮 監 督 の 故 か 。 地 理 的 条 件 が 異 な る故 に 日本 は ス イ ス た 下 に 、 世 界 の い か な る地 域 に も直 ち に 派 遣 し得 り得 ない な らば 、軍 隊 が な くて も戦 争 に 巻 き 込 る態 勢 を 取 る計 画 で あ る とい う。 国連 憲 章 上 の 本 は 違 う とい うの も 正確 で は ない が 、 山国 で あ まれ る こ と にな る の で は な い か 。 某 氏 は こ う し 明確 な根 拠 を持 た ぬ ま ま動 き 始 め たPKOは た 自説 の矛 盾 に全 く気 付 い て お られ な か っ た ら 遂 に 直接 の 武 力 行 使 まで そ の 目的 の 中 に 取 り入 しい 。) れ よ う と して い る。も し、「国 際 連 合 の 下 で は 中 、 立 は存 在 し得 な い 」 とい う従 来 の 誤 解 が解 か れ む す び ない ま ま 、「 国 連 活 動 に 日本 が 協 力 す る の は 当然 で あ る 」 とい う論 理 が 押 し進 め られ る な らば 、 第 一 次 大 戦 お よ び 第 二 次 大 戦 後 、戦 争 の 悲 惨 わが国の 「 国 際 貢 献 」 は、 憲 法 の 枠 を超 え て 、 さを 痛 感 し た世 界 の 諸 国 は 、 戦 争 の禁 止 と国 際 止 ま る所 な く拡 大 して 行 く危 険 が あ る 。憲 法 の 社 会 の手 に よ る平 和 維 持 を求 めて 、国 際 連 盟 と 精 神 を今 一 度 思 い 起 しな が ら、 国 際 連 合 の 活 動 国 際 連 合 と を作 り出 した 。「 違 法 な 戦 争 を行 っ た の 限界 と、 中立 の 意 義 を再 検 討 して 、 日本 の 取 国 に 対 し、 世 界 のす べ て の 国 が強 制 を加 え て 平 るべ き針 路 を 見極 め る こ とが 、 今 も っ とも必 要 和 を 回復 す る」 とい う目標 に 向か って 国 際 組 織 と され る 事 柄 で あ ろ う。 が活 動 を始 め る 時 、 あ る国 だ け が 「 我 関せず 」 と して 中 立 の立 場 を 取 る こ とは、 許 され な い か 注 の よ うに思 われ る 。 しか し、 国際 連 盟 の 紛 争 処 理 は 極 め て 不 完 全 な もの に過 ぎず 。 結 局 第 二 次 (1}Oppenheim-Lauterpacht;International 大 戦 の発 生 を 防 止 し得 な か っ た。 国際 連 合 に お け る紛 争 処 理 は 、 非 軍 事 的 措 置 と軍 事 的 措 置 と (2} ibid. PP.653∼654 の 両 方 に よ る制 度 を備 え、 一 見 国 際連 盟 よ りは (3)田 る か に進 歩 して い る よ うな印 象 を与 え る、 け れ 昭 和14年 ど も、 憲 章 の規 定 を詳 細 に検 討 す れ ば 、 結 局 加 (4)同 上 403∼404頁 盟 国 の 自主 的判 断 に よ る以 外 に 、 強力 な 紛 争 処 (5)田 畑 茂 二 郎 国 際 法 新 講i(下)、287頁 理 は 行 い 得 な い こ とは 明 らか で あ る。 半 世 紀 に 平 成3年 わ た る国 際 連 合 の歴 史 にお い て 、第42条 の 発 動 (6)田 は 一 度 と し て 可 能 に な っ た こ とは な い 。従 っ て 、 ⑦ 石 本 泰 雄 中 立 制 度 の 史 的 研 究 26頁 有 斐 閣 国 際 連 合 の 名 に よっ て 武 力 行 使 が行 わ れ て も 、 昭 和33年 これ に参 加 す る こ とが 各 国 の判 断 に委 ね られ て (8>海 い る 以 上 、 中立 の 立 場 に立 っ て これ に 参 加 しな い こ とは 、 何 ら憲 章 に反 す る も の で は な い 。 も (9)同 とよ り、 第41条 の 非 軍 事 的 措 置 に 関す る安 全 保 ⑩ 石 本 前 掲 書 38頁 障 理 事 会 の 決 定 は 、加 盟 国 に対 す る拘 束 力 を持 (11)田 畑 前 掲 書 175頁 Law Vol. H,7thed., P.653. Longmans,1952. 岡 良 一 国 際 法 学 大 綱(下)、396頁 巌 松堂 有 信堂 岡 前 掲 書 398頁 戦 の場合 に おけ る中立国 の権利義 務に 関す る 条 約 第6条 上 第9条 土 屋 茂 樹 66 (14 同 上 176頁 ⑳ 横 田 喜 三 郎 日本 の 講 和 問 題79∼81頁 ⑬ 石 本 前 掲 書 177頁 閣 日 召下025年 (⑳ 田 岡 良 一 国 際 法(新 版)139∼140頁 有 斐閣 有 斐 (31)田 岡 前 掲 中 立 及 び 中 立 主 義 19∼27頁 昭 和48年 (34 0ppenheim-Lauterpacht;ibid. 同 中立 の 本 来 の 意義 中立 及 び 中立 主義 75∼ 石 本 前 掲 書 223頁 にP.49と あ る のは 誤 記 又 は誤 植 で 76頁 日本 国 際 連 合 協 会 京 都 本 部 昭 和36年 、 あ ろ う。 石 本 前 掲 書 178頁 ⑮ ロシ ア 、ポ ー ラ ン ド問 の戦 争 中 に 、 英 国商船 ウィ ンブ ル ドン 号 が キ ー ル 運 河 を 通 過 し よ う と した 際 、 ドイ ツ が 積 荷 の 中 に兵 器 が あ る こ とを 理 由 に 中 立 義 務 を 主 張 して 通 過 を拒 否 した 。常 設 国 際 司 法 裁 判 所 は 、 ドイ ツ の 行 為 は ベ ル サ イ ユ 条 約 に 定 め られ た キ ー ル 運 河 の 自由 に 違 反 す る と して 損 害 賠 償 を 命 じた が 、中立 法 の 有 効 性 は 認 め られ た 。 ㈲ 拙 稿 勢 力 均 衡 政 策 と集 団 安 全 保 障 37頁 滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀 要 第40号 (珊 田 岡 前 掲 中 立 の 本 来 の 意 味 34∼36頁 (捌 同 上 38∼43頁 (19)石 本 前 掲 書 218∼219頁 Hans Kelsen;Law of the United Nations. P.94,Praeger,1951. ⑳ Goodrich-Simons;The and The United Maintenance Nations of Peace and Security. PP.398∼405. Brookings Institute 1955.拙 稿 、国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 と 日本 国 憲 法 196頁 滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀 要 第42号 ⑳lGoodrich-Simons;ibid. P.460 ⑳ 田 岡 良 一 オ ー ス ト リア の永 世 中 立 5頁 国 際 法 外 交 雑 誌 第55巻 第5号 (23)Kelsen;ibid。 PP.751∼757 ⑳ 田 岡 前 掲 オ ー ス ト リア の 永 世 中 立 15頁 ㈱ A,Verdross;Austria's permanent trality and the United Nations isation. PP.61∼68 American neu. Organ- Journal of International Law. Jan.1956 ㈱ 田 畑 前 掲 書 293頁 ⑳ 横 田喜 三 郎 永 世 中 立 論 を 批 判 す る 30頁 前 進 昭 和24年7月 号 ⑳ 高 野 雄 一 国 際 法 概 論323頁 弘 文 堂 昭 和32 年 ⑳ 横 田 前 掲 論 文 こ れ に対 す る批 判 は 田岡 良 一 永 世 中立 と 日本 の 安 全 保 障 162∼170頁 有 斐 閣 昭 和25年 P.649