Oracle Database 10g および Real Application Clusters 10g for SAP
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Oracle Database 10g および Real Application Clusters 10g for SAP
2 Oracle 10g Update for SAP Oracle Database 10gおよび Oracle Real Application Clusters 10g for SAPに関するアップデート情報 はじめに 表領域の名前変更 Oracle Database 10gは、 グリッド・コンピューティング 表領域の名前が変更できるようになり、新たに表領 向けに設計された最初のデータベースです。低コスト 域を作成して古い表領域からコンテンツをコピーし、古 のハードウェアの利用とリソース使用率の大幅な向上 い領域を削除するという煩雑な手順が必要なくなりまし によりハードウェアのコストを削減することで、SAPの た。この機能により、 たとえばディクショナリ管理表領域 「Advanced Computing Infrastructure」というコン からローカル管理表領域への変換や、すでに表領域を セプトを実現します。 もつデータベースへ の 同 名の 表 領 域の 追 加など、 Oracle Database 10gの透過的な機能は、 これまで MCOD環境における操作が簡単になります。 のバージョンと同様、全種類のSAPアプリケーションで すぐに利用できます。Oracle Database 10gはSAPに オンライン・セグメントの圧縮 よる初期認定が済んでおり、今後さらに多くの新機能 空き領域を含む配置済みの表や索引のセグメントを がSAP製品に採用される予定です。 オンラインで圧縮することにより、領域の使用効率を向 上させます。 SAPでサポートされる機能 本項では、すべてのSAPアプリケーション・ユーザー エンド・ツー・エンドのアプリケーション・トレース がすぐに使える有用な機能について説明します。 多層環境におけるパフォーマンスの問題を簡単にデ Instant Client フトウェアでのみサポートされ、既存のバージョンでは使 Instant Clientを利用すれば、標準のOracleクライ 用できません。 バッグできます。この機能は新しいバージョンのSAPソ アントをインストールしたりORACLE_HOMEを作成し たりしなくてもアプリケーションを実行できます。SAPな LONGからLOBへのオンライン移行 どのOCIベースのアプリケーションを変更することなく実 本リリースでは、現在も多くのSAPアプリケーションで 行でき、使用ディスク領域も大幅に減少します。 使われているLONGおよびLONG RAWデータを含む 表を、SAPのBR*SPACEユーティリティからオンライン Oracle Advanced Security Network Encryption でLOBデータへ移行できます。 Oracle Advanced Security Network Encryption は、Oracleデータベースとの通信を保護するための設 オプティマイザ統計情報の自動収集 定が容易なソリューションを提供します。これには標準 この機能は、 オブジェクトのオプティマイザ統計情報 ベースのネットワーク暗号化、 ネイティブで堅牢な暗号化 の収集を自動化します。古いオブジェクトや統計情報 アルゴリズムと整合性アルゴリズムが 用いられます 。 のないオブジェクトは自動的に分析されるため、管理者 Net Weaver 2004ベースのすべてのSAP製品で、 は分析しなければならないオブジェクトを把握したり、手 ABAPとJavaのアプリケーション・サーバーとOracle 作業で分析を実行する必要がなくなりました。 データベース間のネットワークの暗号化がおこなえます。 変更を認識する増分バックアップ 新しい種類のログ・ファイルを使ってデータベース内 Oracle Advanced Security Transparent Data Encryption で変更されたブロックを追跡することにより、Oracle ディスクへの書込み時にデータを透過的に暗号化 Recovery Manager( RMAN)が増分バックアップ中 し、ユーザーからの読出し時に復号することにより、機 のデータファイル全体のスキャンを回避します。この場 密データの暗号化処理を簡略化します。データを暗号 合、 スキャンされるデータ量は変更されたデータ量に比 化することで、 ファイルの盗難などによるデータ流出の危 例します。 険性に対処できます。 Oracle 10g Update for SAP Data Pump ExportおよびImportユーティリティ るアルゴリズムが新しくなったことで、パーティション化さ Data Pump ExportおよびImportユーティリティ れた表や索引の削 除が 大 幅に高 速 化されました。 は、 データベース間のデータとメタデータのバルク転送 SAP BWアプリケーションでは、パーティション化された を高速に実行します。これらのユーティリティには、 もと オブジェクトの削除が頻繁におこなわれるため、最大 のエクスポートおよびインポート・ユーティリティと比較す の効果が得られます。 ると大きな利点があります。たとえば、エクスポートおよ 1,000個のパーティションを含む表へのクエリを実行 びインポート・ジョブの完全な再起動機能、長時間実行 するテストでは、パーティション化されたメタデータを使 されているジョブの切断と再接続機能、エクスポート・ 用するOracle Database 10gの新たな方式により、 ジョブが消費する領域の算出機能、 ネットワークを介し SGA内のSQLメモリ使用量が低下しました(9.2.0.6: たエクスポートおよびインポート操作のサポート、オブ 52KB、10.2:11KB。つまり、 この表のすべてのクエリ ジェクトとオブジェクト・タイプに基づく詳細なオブジェク で使用するメモリが5分の1になります)。 ト選択のサポートなどが挙げられます。この機能は、 当 初はS A P 管 理ツールには統 合されません。新しい Oracle Real Application Clusters 10g Data Pump ExportおよびImportユーティリティは Oracle Real Application Clusters( 以下、Oracle 並列処理が可能なため、 データおよびメタデータのロー RAC)により、Oracleデータベースはクラスタリングされ ドとアンロードのパフォーマンスが向上します。 たサーバー上のすべてのパッケージ・アプリケーション やカスタム・アプリケーションを変更することなく実行す クロス・プラットフォームのトランスポータブル表領域 ることができます。これにより、最高レベルの可用性と、 トランスポータブル表領域機能により、異なるプラット もっとも柔軟な拡張性を実現します 。標準的なサー フォーム間での転送が可能になり、SAPユーザーのプ バーを使用してハイエンドなシステムを構築できるの ラットフォーム移行がさらに容易になりました。 で、 コストを低く抑えることも可能です。Oracle RAC 10gは、 オラクルのグリッド・コンピューティング・アーキテ SAP Business Information Warehouse クチャの基盤を提供し、 そのテクノロジーは、低コストの 7.0の新機能 ハードウェア・プラットフォームを使用して、 もっとも高価 SAP Business Information Warehouse( 以下、 なメインフレームSMPコンピュータ・レベルの可用性と SAP BW)ユーザーは、 この項で説明する新機能に 拡 張 性を超える高 品 質のサービスを実 現します 。 よって多くのメリットを得ることができます。これらの機 Oracle RAC 10gは、すべてのプラットフォーム上の 能は、すべてのSAP Business Intelligence( 以下、 SAPバージョン4.6 C以上で利用が可能です。 SAP BI)ユーザーにすぐにご利用いただけます。 統合クラスタウェア 表のDROPとTRUNCATEの高速化 Oracle RAC 10gは完全なクラスタウェア管理ソリュー データベース・バッファ・キャッシュにアクセスする際の ションを提供する統合コンポーネントであり、O r a c l e アルゴリズムが改善され、DROPとTRUNCATEの操 Database 10gが稼動しているすべてのプラットフォー 作が大幅に高速化されました。とくに、SAP BWで頻 ム上で利用できます。このクラスタウェア機能には、 クラ 繁に使用される小さい表に対して効果を発揮します。 スタとの接続、 メッセージとロック、 クラスタの制御とリカ バリ、サービス提供フレームワークが含まれます。サー メモリ内UNDO ド・パーティ製のクラスタウェア管理ソフトウェアを購入 データベース・サーバーによる短いトランザクションの する必要はありませんが 、オラクルは特定のプラット ブロック変更の管理方法が改善され、 その結果として フォーム向けのサード・パーティ製クラスタウェア製品の CPUサイクルが短縮されました。 サポートも継続します。 Oracle Database 10g Release 2は高可用性APIを パーティション化されたオブジェクトの スケーラビリティ向上 バッファ・キャッシュ内でパーティション化されたオブ ジェクトのブロックを識別し、 これらのブロックを消去す 備えており、 Oracle以外の処理をOracle Clusterware 内の高可用性フレームワークで制御できます。 3 4 Oracle 10g Update for SAP SAP Control SAPでサポートが予定されている機能 Oracle Clusterwareは、SAPリソースにOracleリ バックアップ圧縮 ソースと同様の高可用性を提供します 。オラクルは、 ディスク領域が問題となっている場合や、 メディア管 Oracle ClusterwareのツールとしてSAP Control 理ソフトウェアが圧縮をサポートしない場合、RMAN (SAPCTL)を開発しました。このツールを使用すれ がRMANバックアップ・セットを圧縮する機能を提供 ば、SAPの高可用性リソースを簡単に管理できます。 します。 SAPCTLでは、使いやすいインタフェースにより、 リソー 可 用性コンポーネント間の依 存 性を管 理できます 。 データベース全体に対する BEGIN BACKUPコマンド SAPCTLは、 ABAPとJava用のSAP Enqueue Service 表領域ごとにコマンドを発行してホット (オンライン) ・ およびSAP Replication Service、ABAPと (または) バックアップ・モードに移行する必要はなくなりました。 ス、 スクリプト、 およびOracle ClusterwareとSAPの高 Java用のSAP Enqueue Serviceで使われる追加の 現在は、ALTER DATABASE文によりすべての表領 仮想IPアドレスを簡単に管理することができ、Oracle 域をバックアップ・モードに設定できます。また、BEGIN のコマンドライン・ツールの機能を統合します。バージョ BACKUPコマンドの実行が高速化されました。 ン6.40ベースとそれ以降のSAPシステム (現時点では L i n u xとA I Xのみ)では、S A P C T Lの導 入により、 セキュアなREDO送信 SAP Enqueue ServiceおよびSAP Replication Oracle Database 10gのOracle Advanced Security Serviceの管理と制御をおこなうサード・パーティ製ソフ Optionを利用すれば、スタンバイ・データベースへの トウェアは不要です。 送信時にREDOデータの改ざんを防止することで、 Oracle Data Guard環境のセキュリティを強化できま 単一システム・イメージ管理 す。SAPが認定するまで、SAPシステムではこの機能 Oracle Enterprise Manager 10gの大幅な機能 は利用できません。 拡張により、 クラスタ・データベースの構成における単一 のシステム・イメージによる管理が可能になりました。 フラッシュバック機能 Oracle Enterprise Managerのクラスタ・データベー Oracle Database 10gでは、 データベース・フラッシュ スのページでは、複数ノードにわたるシステム・ステータ バック機能が拡張されました。バッチ・ジョブを2回連続 スの単一ビューが提供されます。また、必要に応じて で実行するなどの大きなエラーが発生した場合、 デー 個別インスタンスへ直接ドリルダウンすることもできます。 タベース管理者はフラッシュバック処理をリクエストする 新しいクラスタ構成検証ツールと、Oracle9i Database ことで、 データベース全体を過去のある時点まで迅速 から導入された診断ツールの拡張により、問題を回避 に回復できます。これにより、バックアップを復元して、 ポ することや、発生した問題をより迅速に解決することが イント・イン・タイム・リカバリをおこなう必要がなくなりま 可能です。 す。Oracle Database 10gでは、 データベース・レベル でのフラッシュバック処理に加えて、表全体のフラッシュ Oracle Data Guardの統合による障害時リカバリ バックもおこなえます。同様に、ユーザーが誤って削除 Oracle Enterprise Manager 10gでは、Oracle した表をデータベースに復元する機能も新たに導入さ Data Guardの管理コンポーネントであるData Guard れました。既存のフラッシュバック問合せ機能も改善さ BrokerがOracle RACに完全統合されています。現 れています。 在、Oracle RACを含むOracle Data Guardの障害 時リカバリ環境は、単一インスタンスのデータベースを 使用する環境と同様、 簡単に管理することができます。 Oracle 10g Update for SAP ● F l a s h b a c k D a t a b a s e:この 機 能では 、S Q Lの PURGEコマンドまたはFLASHBACK BEFORE FLASHBACK DATABASE文が導入されました。 DROPコマンドで消去または復元できます。 FLASHBACK DATABASE文を実行すると、 過去の ある時点以降に加えられたすべての変更を取り消すこ ● ● Flashback Transaction Query:この機能では、 ト とで、 データベースをある時点まで迅速に戻せます。バッ ランザクション・クエリのフラッシュバックが導入されまし クアップを復元する必要がないため、 高速に処理を実行 た。これにより、 データベースへの変更をトランザクション・ することができます。その結果、 データ破損や人為的エ レベルで調べることができます。その結果、問題の診断 ラーによるシステムの停止時間が大幅に短縮されます。 や分析の実施、 トランザクションの監査が可能です。 Flashback Reinstantiation:この機能は、 フェイル 追加情報 オーバー後に古いプライマリ・データベースを再度インス 「SAP Database Guide: Oracle」は、http: // タンス化する必要を軽減します。これにより、障害発生 service.sap.com/のMedia Libraryから入手できま 時により迅速に完全回復できます。この処理は、SQL文 す。このガイドは、SAP NetWeaver 2004でサポートさ のFLASHBACK DATABASEを使用してプライマリ・ れるOracle Database 10gの新機能について説明して データベースを適切な時点にロールバックし、 スタンバイ ・ います。 「Database Upgrade Guide( Upgrade to データベースと同期することで実現されます。 Oracle 10g Database)」は、 アップグレード・プロセスの 技術的な詳細情報について解説しています。 ● Flashback Standby Database:この機能により、 ス SAPの「OSS Note 720886」は、Oracle Database タンバイ ・データベースのスイッチオーバーとフェイルオー 10gのSAP環境への統合に関する情報の重要なエン バーにかかる時間が短縮されます。プライマリ・データ トリ・ポイントです。 ベースで発生したエラーがスタンバイ ・データベースに伝 播された場合、 スタンバイ・データベースをロールバック 結論 させることができるため、 ログの適用を遅らせる指定は Oracle Database 10gは、絶えず変化するビジネス 不要です。 環境にSAPシステムを対応させるためのインフラを提 供します。低コストのサーバーやディスクを使用してい ● Flashback Table:この機能では、SQLのFLASH- ても、 グリッド・コンピューティングの実装に必要な柔軟 BACK TABLE文が導入されました。FLASHBACK 性が得られます。グリッド・コンピューティングの設計は、 TABLE文を実行すると、バックアップを復元することな SAPのAdaptive Computing Infrastructureのコ く、 過去のある時点まで表を迅速に復旧できます。 ンセプトを補完するものです。Oracle Database 10g は、 リスクの軽減という利点をもたらすと同時に、管理 ● Flashback Versions Query:データベースに保存さ コストを削減し、 スケーラビリティと予測可能性を高め、 れているUNDOデータを使用すると、1行または複数行 最高レベルの可用性を実現します。 に対する変更とそのメタデータを参照できます。 ● Flashback Drop(ごみ箱) :Oracleは、誤って削除 された表を復元する方法を提供しています。Oracle Database 10gより前のリリースでは、 DROPコマンドを実 行するとオブジェクト削除され、 永久に復元できませんで したが、Oracle Database 10gでは、DROPコマンドに よってオブジェクトがごみ箱に移動されます。セグメントに 割り当てられたエクステントは、 オブジェクトが消去される まで再割当てされません。ユーザーは、 いつでもオブジェ クトをごみ箱から復 元できます 。S Q L * P L U Sでは、 SHOW RECYCLEBIN[original _ name] コマンド でオブジェクトを表示できます。これらのオブジェクトは、 5