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事務局 開設 記載欄 年度 2014年度 科目 区分 専門科目 科目 1554735 コード ドイツ哲学の系譜 履修 制限 (’14)= 無 科目名(メディア) = 英文名 = 〔 A Genealogy of German Philosophy ('14) 〕 単位 数 2 (R) 〔主任講師(現職名): 佐藤 康邦 (放送大学客員教授) 〕 〔主任講師(現職名): 湯浅 弘 (放送大学客員教授) 〕 【 本 学 担 当 専 任 教 員 : 魚住 孝至 (放送大学教授) 】 講義概要 近代哲学の中心の位置を占めるドイツ哲学を、それぞれの分野の専門家とともに学ぶ授業である。一方では、その 内容がどのようなものであったのかを学ぶとともに、他方では、その現代的意義、さらに日本人にとっての意義を探 求する。まず始めは、ドイツ哲学の源流を探り、次に、カントの『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』、 続いてフィヒテ、シェリング、ヘーゲルのドイツ観念論の哲学の古典、さらにショーペンハウアー、ニーチェの生哲学 を学ぶ。続いて、フッサール、ハイデッガーを通じて、20世紀のドイツ哲学を学ぶ。これらの哲学者の思想は、今日 なお一般にも人気のあるものであるだけではなく、哲学という学問のことを考える時、内容を理解することが必須のも のである。 授業の目標 近代哲学の歴史を飾るドイツ哲学の理解を通じて、哲学という学問がどのような問題を扱うのかの理解に達すること が第一の目標である。カントに即すれば、『純粋理性批判』で認識問題、『実践理性批判』で道徳問題、『判断力批 判』で美と有機体の問題が、それぞれ、哲学という場面でどのような扱いをされるかが理解される。続いて、この哲学 的問いが、今日の学問、今日の社会、今日の文化の理解にどのように適用されるかを考えることが、第二の目標で ある。そこで、現代科学というものを、人間の知恵という立場から振り返り、現代人の生き甲斐というものを、知性に即 して考えるということが探求される。 履修上の留意点 現在開講している、哲学の専門科目のうち西洋哲学に関するものとしては、「経験論から言語哲学へ(’16)」「現代 フランス哲学に学ぶ(’17)」があり、また導入科目として「近代哲学の人間像(’12)」「西洋哲学の起源(’16)」があ る。本科目は、それらと直接重ならないものであるので、履修上の問題は少ない。 回 テ ー マ 内 容 執 筆 担 当放 送 担 当 講 師 名講 師 名 (所属・職名) (所属・職名) 「ドイツ哲学」と言っても、カントの先行者や同時代人にとっ てのドイツは今日のそれと同じではないし、ドイツ語で思索 した人ばかりでもない。英仏の哲学の影響も無視できない。 ドイツ哲学の誕生 山根 雄一郎 山根 雄一郎 カントの登場を「ドイツ哲学」のこうしたオープンな性格の豊 (大東文化大 (大東文化大 1 -カントに先立つドイ かな実りとして捉えたい。 ツ哲学- 学教授) 学教授) 【キーワード】 ルター、ライプニッツ、ヴォルフ、ヘルダー、ハーマン 2 3 カント『純粋理性批 判』の考察 カント『実践理性批 判』の考察 カントは、近代科学の進歩を強く意識しながら、人間の認識 能力は何を・どこまで学問的に厳密に認識できるのかを吟 味する批判的な方法によって、哲学の中枢を担ってきた形 而上学の再構築を試みた。『純粋理性批判』を中心に理論 山根 雄一郎 山根 雄一郎 (大東文化大 (大東文化大 哲学の諸問題を概観する。 学教授) 学教授) 【キーワード】 形而上学、認識能力、コペルニクス的転回、ア・プリオリな 綜合判断 カントは、感性的な欲望を理性的に統御することが「できる」 点に人間の自由を認める自律的人間観を打ち出した。それ は、互いの人格を目的として尊重する理想的共同態を説く 山根 雄一郎 山根 雄一郎 点で、社会哲学への射程も有している。平和論を含む実践 (大東文化大 (大東文化大 哲学の諸問題を概観する。 学教授) 学教授) 【キーワード】 定言命法、意志の自律、目的の国、永遠平和 回 テ ー マ 内 容 執 筆 担 当放 送 担 当 講 師 名講 師 名 (所属・職名) (所属・職名) カントは、理性・悟性と並ぶ上級認識能力である判断力を 扱うにあたり、「自然の合目的性」の概念を問題にする。こ れを「美しいもの」と有機体とに適用して、自然の全体を、美 山根 雄一郎 山根 雄一郎 カント『判断力批判』 と目的の観点から一個の体系として判定しようとする『判断 (大東文化大 (大東文化大 4 の考察 力批判』の諸問題を概観する。 学教授) 学教授) 【キーワード】 趣味判断、目的なき合目的性、有機体、神学 カントの超越論哲学の徹底化を図りながらも、図りきれない フィヒテの倫理的観念論、および、この主観性の限界の打 山田 忠彰 破を目ざしつつも、躓くシェリングの芸術的観念論の哲学 山田 忠彰 倫理的観念論から芸 (日本女子大 (日本女子大 5 術的観念論へ 的特質を検討する。 学教授) 学教授) 【キーワード】 観念論、物自体、自我、非我、絶対的無差別 「クモの巣」としての 6 『エンチュクロペ ディー』? ドイツ観念論の集大成といわれるヘーゲルの哲学体系『エ ンチュクロペディー(哲学的諸学の百科事典)』の内実およ 山田 忠彰 び方法論を瞥見しながら、先行者たちとの差異ないしこの 山田 忠彰 (日本女子大 (日本女子大 体系の独自性と問題性を検討する。 学教授) 学教授) 【キーワード】 理念、弁証法、反照運動、相互承認、自由 ヘーゲル哲学への対応の仕方を、イタリアの思想家たち、 抽象芸術の先駆的芸術家ならびに芸術終焉論を唱える現 代の芸術哲学者に探りながら、この哲学の影響力、射程の 山田 忠彰 山田 忠彰 最後の哲学体系のそ 広さについて考える。 (日本女子大 (日本女子大 7 の後 学教授) 学教授) 【キーワード】 弁証法、思惟の行為、ブギウギ、芸術終焉論、ポップ・アー ト 最近のショーペンハウアー研究には、従来のショーペンハ ウアー像の修正の必要性を指摘する新しい動向がある。本 湯浅 弘 講義では、その点も紹介しながらショーペンハウアー哲学 湯浅 弘 ショーペンハウアーの (放送学客員 (放送学客員 8 についてその人間論を中心に考究する。 人間論 教授) 教授) 【キーワード】 意志、表象、苦しみ、芸術、イデア、観照、同情、諦念 ニーチェの思想的営みは、ヨーロッパのキリスト教的伝統に 対する批判と自らの生肯定の哲学の構築に分けられる。前 者を取り上げる本講義では、批判的視点の形成過程を紹 湯浅 弘 介した上で『道徳の系譜』を中心に彼のキリスト教批判につ 湯浅 弘 (放送学客員 (放送学客員 9 ニーチェの伝統批判 いて考究する。 教授) 教授) 【キーワード】 神の死、ニヒリズム、系譜学、ルサンチマン、良心のやまし さ、禁欲主義的理想 ニーチェの生肯定の哲学は永遠回帰思想をはじめとする 後期ニーチェ哲学に結実しているが、本講義では、初期 ニーチェの『悲劇の誕生』の世界観とも絡めてニーチェの生 湯浅 弘 湯浅 弘 ニーチェの生肯定の 肯定の哲学について考究する。 (放送学客員 (放送学客員 10 哲学 教授) 教授) 【キーワード】 ディオニュソス、芸術家形而上学、永遠回帰思想、運命 愛、ツァラトゥストラ 回 テ ー マ 内 容 執 筆 担 当放 送 担 当 講 師 名講 師 名 (所属・職名) (所属・職名) 20世紀から現在に至るまで、ニーチェの影響には甚だ大き なものがある。それは哲学者や文学者に対してばかりでは ないが、本講義では、20世紀の思想に与えたニーチェのイ 湯浅 弘 湯浅 弘 ニーチェと20世紀の ンパクトを検証する。 (放送学客員 (放送学客員 11 思想 教授) 教授) 【キーワード】 ジンメル、ウエーバー、レーヴィット、ヤスパース、ハイデ ガー、フランクフルト学派、ドゥルーズ、フーコー フッサールは一方では、学問の基礎付けを目指して、自然 的態度をエポケーし、純粋意識に遡源する。しかし他方で は、学問の危機という立場から科学的世界の基盤として生 寿 卓三 寿 卓三 フッサール現象学 活世界の重要性を説く。今回は、この二面性を他者問題と (愛媛大学教 (愛媛大学教 12 -事象そのものへ- 関連づけながら考察する。 授) 授) 【キーワード】 エポケー、現象学的還元、自然的態度、生活世界、他我 ハイデガーは、現存在を世界内存在、関心(Sorge)として 考察し、その存在体制である時間性を析出する。また、不 安、退屈を手がかりに現存在の有り様を本来性と非本来性 ハイデガーの存在論 寿 卓三 寿 卓三 とに二分する。今回は、ハイデガーの現存在把握の基本特 (愛媛大学教 (愛媛大学教 13 -現象学者ハイデ 徴を考察する。 ガー- 授) 授) 【キーワード】 世界内存在、関心、不安、本来性 環境問題の深刻化、科学技術への信頼の揺らぎ、ことばへ の不信、不安の時代といったことが、今日しばしば話題と なっている。これらはまさにハイデガー哲学の基本テーマに 寿 卓三 寿 卓三 ハイデガーの思索と 他ならない。今回は、一見無味乾燥な存在の思索としての (愛媛大学教 (愛媛大学教 14 現代 ハイデガー哲学の今日性について考察する。 授) 授) 【キーワード】 集−立、在庫品、 四者連関、ことば 15 ドイツ哲学と日本 佐藤 康邦 (放送大学客 員教授) 湯浅 弘 (放送大学客 明治以来、哲学を学ぶ日本人にとってドイツ哲学は、第一 員教授) に学ぶ対象であった。そのことをめぐっての座談会をもと 山田 忠彰 に、ドイツ哲学と日本との関係について考える。 (日本女子大 学教授) 寿 卓三 (愛媛大学教 授) 山根 雄一郎 【キーワード】 (大東文化大 学教授) カント、ハイデガー、超越論、人格、生 佐藤 康邦 (放送大学客 員教授) 湯浅 弘 (放送大学客 員教授) 山田 忠彰 (日本女子大 学教授) 寿 卓三 (愛媛大学教 授) 山根 雄一郎 (大東文化大 学教授)