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子ども用衣類の安全性(2016年3月15日掲載)
子ども用衣類の安全性 子ども用衣類に起因した子どもの事故が、多くあることをご存じ でしょうか。 子ども用衣類の腰回りや裾に付いている紐(ひも)が、ドアのノ ブやストッパーに引っかかり転倒したなど、重篤な事故には至って いないものの、「ヒヤリ・ハット」を経験したことがある割合が多い ことが報告されています。 その他にも家庭内だけでなく、公園の滑り台から滑り落ちた瞬間 に首回りに付いている紐が滑り台の隙間に引っかかり、紐が引っ張られて首が絞まったと いう事故事例が報告されています。 このように、子ども用衣類に付いている紐や付属品が、子どものけがや重大な事故に繋 (つな)がる危険性が指摘されていました。 事故の危険性防ぐ服選びを これらの事故を防ぐために、アパレル業界では、平成22年2月に自主基準として「子供 衣類の設計に関する安全対策ガイドライン」を策定し、安全を確保するための子ども服の デザイン設計と服作りが実施されてきました。 しかし、あくまで各事業者の自主基準に任せられているため、十分に普及しているとは いえませんでした。 この点、子ども用衣類の紐に起因する死亡事故が発生した欧米では、公的な安全規格が 制定されて以降、事故事例が大きく減少したという報告があります。 わが国でも公的な安全規格の必要性が高まる中、平成27年12月に「JIS L4129 子ども用衣料の安全性-子ども用衣料に附属するひもの要求事項」が公示されました。 このJIS規格では、子ども用衣類の紐の長さや種類、仕様について、紐が偶発的に引 っかかるリスクを最小限に抑えるために、ひもに対する要求事項が定められています。 新しいJIS規格の公示により、従来に比べて安全な子ども用衣類が販売されることが 期待されますが、JISには法的な強制力がありません。私たちも、子ども用衣類に付い ている紐や付属品が、子どものけがや重大な事故に繋がる危険性があることを認識し、安 全性に考慮して服を選ぶことが大切です。 具体的には、引っかかり等による事故を防ぐために、腰や手首足首を絞るための紐の長 さや取り付け部分に注意をすることや、鋭利な形の装飾ボタンが使われていないかなどに も気を付けて、事故を防ぎましょう。 【筆者ひとこと】 子ども用衣類以外にも、身近にあるもので、子どもが事故に遭遇する事例が多く発生し ています。消費生活センターおよび各関係機関に寄せられた事故情報は、製品改良や法律 改正などへと繋がります。事故が起こりにくい環境を作るためにも、事故が発生したとき の情報を、メーカーやセンターなどに伝えるようにしましょう。(県消費生活センター)