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ゼラチンとポリフェノールとを組み合わせたガムベースなどのゴム状

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ゼラチンとポリフェノールとを組み合わせたガムベースなどのゴム状
JP 2007-89579 A 2007.4.12
(57)【 要 約 】
【課題】 ゼラチンとポリフェノールとを組み合わせたガムベースなどのゴム状組成物
の技術を改良し、口中において良好な噛み心地を長時間にわたって維持でき、不快な渋み
を生じることもないゴム状組成物を提供する。
【解決手段】 ゼラチンと、タンニンやカテキンなどのポリフェノールと、乳酸カルシ
ウムなどの多価金属塩およびラッカーゼなどのフェノール酸化酵素からなる群から選ばれ
る凝集剤とを含むゴム状組成物である。また、ゼラチンとポリフェノールとグリセリンと
を含み、乾燥処理が施されたものである、ゴム状組成物である。さらにまた、ゼラチンと
ポリフェノールとグリセリンとその他の材料とを含み、ゲル化させることにより得られる
、ゴム状組成物である。
【選択図】 なし
10
(2)
JP 2007-89579 A 2007.4.12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンとポリフェノールと凝集剤とを含み、この凝集剤が多価塩類およびフェノール
酸化酵素からなる群から選ばれている、ゴム状組成物。
【請求項2】
前記ゼラチンとポリフェノールの配合割合(ゼラチン:ポリフェノール)が重量比基準
で、4:1∼2:3であり、凝集剤の配合割合が、前記ゼラチンとポリフェノールの合計
量に対し、0.01∼10重量%である、請求項1に記載のゴム状組成物。
【請求項3】
前記ポリフェノールが、タンニン、カテキン、大豆イソフラボン、アントシアニジンか
10
らなる群から選ばれ、
前記多価塩類が、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸アンモニウム、硫酸アル
ミニウムカリウム、クエン酸鉄からなる群から選ばれ、
前記フェノール酸化酵素が、ラッカーゼ、チロシナーゼからなる群から選ばれている、
請求項1から3までのいずれかに記載のゴム状組成物。
【請求項4】
多価塩類の前記ゼラチンとポリフェノールの合計量に対する配合割合が0.5∼10重
量%の範囲内であり、フェノール酸化酵素の前記2者合計量に対する配合割合が0.01
∼1.0重量%の範囲内である、請求項3に記載のゴム状組成物。
【請求項5】
20
ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとを含み、乾燥処理が施されたものである、ゴ
ム状組成物。
【請求項6】
前記ゼラチンとポリフェノールの配合割合(ゼラチン:ポリフェノール)が重量比基準
で、4:1∼2:3であり、グリセリンの配合割合が、前記ゼラチンとポリフェノールの
合計量に対し、50∼150重量%である、請求項5に記載のゴム状組成物。
【請求項7】
前記乾燥処理は、水分含量が10重量%未満となるよう施されるものである、請求項5
または6に記載のゴム状組成物。
【請求項8】
30
ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとその他の材料とを含み、ゲル化させることに
より得られる、ゴム状組成物。
【請求項9】
前記ゼラチンとポリフェノールの配合割合(ゼラチン:ポリフェノール)が重量比基準
で、4:1∼1:1であり、グリセリンとその他の材料の配合割合が、前記ゼラチンとポ
リフェノールの合計量に対し、それぞれ、50∼150重量%、30∼150重量%であ
る、請求項8に記載のゴム状組成物。
【請求項10】
凝集剤も含まれており、この凝集剤が多価塩類およびフェノール酸化酵素からなる群か
ら選ばれている、請求項5から9までのいずれかに記載のゴム状組成物。
40
【請求項11】
請求項1から4までのいずれかに記載のゴム状組成物を製造する方法であって、
前記ゼラチンと前記ポリフェノールと前記凝集剤とを十分な量の水の存在下で撹拌混合
する工程(a)と、
前記工程(a)で生成したゴム状組成物を水と分離して回収する工程(b)と、
を含む、
ことを特徴とするゴム状組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項5から7までのいずれか、または10に記載のゴム状組成物を製造する方法であ
って、
50
(3)
JP 2007-89579 A 2007.4.12
前記ゼラチンと前記ポリフェノールと前記グリセリンとを水の存在下で撹拌混合する工
程(c)と、
前記工程(c)で生成した粘稠溶液を乾燥する工程(d)と、
を含む、
ことを特徴とするゴム状組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項8から10までのいずれかに記載のゴム状組成物を製造する方法であって、
前記ゼラチンと前記ポリフェノールと前記グリセリンと前記その他の材料とを水の存在
下で撹拌混合する工程(e)と、
前記工程(e)で生成した粘稠溶液をゲル化する工程(f)と、
10
を含む、
ことを特徴とするゴム状組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれかに記載のゴム状組成物を3∼100重量%含む、菓子
。
【請求項15】
請求項1から10までのいずれかに記載のゴム状組成物を基材としてなる、美容用パッ
ク剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
20
【0001】
本発明は、ゴム状組成物とその製造方法および用途に関し、詳しくは、チューインガム
のようなゴム状の噛み心地を示すとともに食べることも可能なゴム状組成物と、このよう
なゴム状組成物を製造する方法と、その用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼラチン水溶液にタンニンなどのポリフェノールを加えて撹拌混合すると、ゼラチン水
溶液にポリフェノールが作用して、ゴム状物質が得られることが知られている。
例えば、非特許文献1では、ゼラチンの水溶液にタンニンを加えて撹拌混合することで
ゴム状物質を得、前記ゴム状物質をチューインガムベースとして利用した技術が報告され
30
ている。
特許文献1も、タンニンなどのポリフェノールとゼラチンとの混合物をチューインガム
に加工することで、歯石形成抑制機能を発現させることができることを報告している。
ゼラチンとポリフェノールは、何れも、天然の原料から抽出された材料であり、そのま
ま食べても、安全上の問題はなく、このような可食性という性質から、上記非特許文献1
や特許文献1に記載されているように、特に、食品への利用が期待されている。
【0003】
さらに、食品に限らず、通常のゴム状物質の代替として、美容用パック料や玩具など、
種々の応用が期待されている。
【非特許文献1】技術論文「タンニンとゼラチンより形成されたチューインガムベースの
40
研究」、日本食品工業学会誌、35巻、12号、835∼842頁、1998年12月。
【特許文献1】特開2004−315414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ゼラチンとポリフェノールの組み合わせからなる上述のゴム状組成物は
、咀嚼性や収斂性といった点で以下のような問題がある。
例えば、ゼラチンとポリフェノールの組み合わせからなる上述のガムベースを用いたチ
ューインガムは、天然チクルや酢酸ビニル樹脂などからなるガムベースを用いたものに比
べて、弾力的な噛み心地を楽しめる時間が短か過ぎるという問題がある。ゼラチンとポリ
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フェノールとを組み合わせたガムベースは、噛み始めにおける弾力性や噛み心地は、天然
チクルや酢酸ビニル樹脂などのガムベースに劣らない良好なものであっても、しばらく噛
み続けると、溶けてなくなってしまうからである。具体的には、1分程度咀嚼すれば溶け
てなくなってしまうのが通常である。
【0005】
なお、天然チクルや酢酸ビニル樹脂などのガムベースに、ゼラチンとポリフェノールと
を組み合わせたゴム状組成物を組み合わせる技術も提案されているが、その場合は、天然
チクルや酢酸ビニル樹脂などの食べられない材料が含まれているので、一定の時間を楽し
んだ後は、やはり、口中から取り出して捨てなければならない点で、従来のチューインガ
ムと変わりがない。
10
一方、タンニンなどのポリフェノールには、その特有の収斂性がチューインガムの味に
強い渋みを与えてしまい、これを用いたチューインガムを、食味や嗜好性の点で劣るもの
にするという問題もある。
【0006】
また、美容用パック剤などの基材として、コラーゲンなどを主成分としたパック剤を利
用した場合、ゴム状質でないため、延伸性が乏しく、肌への密着性が低かったり、肌から
スムーズに剥離しにくいだけでなく、肌の適度な引き締まり感がないといった問題がある
。
本発明の課題は、ゼラチンとポリフェノールとを組み合わせるゴム状組成物がそのまま
食することができると言う利点を生かしながら、このものが持つ前述の問題を解消し、口
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中における咀嚼性(咀嚼時間、歯応えの強さ)を向上させることができるとともに、ポリ
フェノールに独特の不快な渋みを生じさせることもなく、さらに、美容用パック剤などの
基材などにも応用できる、新規なゴム状組成物とその製造方法および用途を提供すること
である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その過程において、ゴム状
組成物の咀嚼性を向上させるためには、ゼラチンに対するポリフェノールの含有割合を増
加させればよい、との知見を得、これにより確かに咀嚼性が向上することを確認したが、
単にポリフェノールの含有割合を増加させるだけでは、ポリフェノールが有する独特の不
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快な渋み、という前述した問題がますます顕在化してしまうことが分かった。
そこで、さらなる検討を重ね、ポリフェノールの含有割合を増加させるのではなく、凝
集剤を用いるか、および/または、グリセリンを用いたうえで乾燥処理を施すか、もしく
は、グリセリンとその他の材料とを用いた上でゲル化させるようにすれば、ポリフェノー
ルによる渋みを増加させることなく咀嚼性を向上させることができることを見出し、それ
を確認して、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明にかかるゴム状組成物は、第一に、ゼラチンとポリフェノールと凝集
剤とを含み、この凝集剤が多価塩類およびフェノール酸化酵素からなる群から選ばれてい
る、ゴム状組成物である(以下、「第一の発明」と称することがある)。
40
第二に、ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとを含み、乾燥処理が施されたもので
ある、ゴム状組成物である(以下、「第二の発明」と称することがある)。
第三に、ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとその他の材料とを含み、ゲル化させ
ることにより得られる、ゴム状組成物である(以下、「第三の発明」と称することがある
)。
【0009】
第一の発明にかかるゴム状組成物は、上記において、ゼラチンとポリフェノールの配合
割合(ゼラチン:ポリフェノール)が重量比基準で、4:1∼2:3であり、凝集剤の配
合割合が、前記ゼラチンとポリフェノールの合計量に対し、0.01∼10重量%である
ことができる。そして、多価塩類の前記2者合計量に対する配合割合が0.5∼10重量
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%の範囲内であり、フェノール酸化酵素の前記2者合計量に対する配合割合が0.01∼
1.0重量%の範囲内であることができる。さらに、ポリフェノールが、タンニン、カテ
キン、大豆イソフラボン、アントシアニジンからなる群から選ばれ、多価塩類が、乳酸カ
ルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸アンモニウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム
、リン酸アンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、クエン酸鉄からなる群から選ばれ、
フェノール酸化酵素が、ラッカーゼ、チロシナーゼからなる群から選ばれることができる
。
【0010】
第二の発明にかかるゴム状組成物は、上記において、ゼラチンとポリフェノールの配合
割合(ゼラチン:ポリフェノール)が重量比基準で、4:1∼2:3であり、グリセリン
10
の配合割合が、前記ゼラチンとポリフェノールの合計量に対し、50∼150重量%であ
ることができる。さらに、前記乾燥処理は、水分含量が10重量%未満となるよう施され
るものであることができる。
第三の発明にかかるゴム状組成物は、上記において、ゼラチンとポリフェノールの配合
割合(ゼラチン:ポリフェノール)が重量比基準で、4:1∼1:1であり、グリセリン
とその他の材料の配合割合が、前記ゼラチンとポリフェノールの合計量に対し、それぞれ
、50∼150重量%、30∼150重量%であることができる。
【0011】
また、第二および第三の発明にかかるゴム状組成物は、凝集剤をも含み、この凝集剤が
多価塩類およびフェノール酸化酵素からなる群から選ばれていることができる。
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第一の発明にかかるゴム状組成物の製造方法は、ゼラチンとポリフェノールと凝集剤と
を十分な量の水の存在下で撹拌混合する工程(a)と、工程(a)で生成されたゴム状組
成物を水と分離して回収する工程(b)とを含む方法である。
第二の発明にかかるゴム状組成物の製造方法は、ゼラチンとポリフェノールとグリセリ
ンとを水の存在下で撹拌混合する工程(c)と、前記工程(c)で生成された粘稠溶液を
乾燥する工程(d)とを含む方法である。
【0012】
第三の発明にかかるゴム状組成物の製造方法は、ゼラチンとポリフェノールとグリセリ
ンとその他の材料とを水の存在下で撹拌混合する工程(e)と、前記工程(e)で生成さ
れた粘稠溶液をゲル化する工程(f)とを含む方法である。
30
そして、本発明にかかる菓子は、上記本発明のゴム状組成物を3∼100重量%含むも
のである。
さらに、本発明にかかる美容用パック剤は、上記本発明のゴム状組成物を基材としてな
るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、凝集剤を用いるか、および/または、グリセリンを用いたうえで乾燥
処理を施すか、もしくは、グリセリンとその他の材料とを用いた上でゲル化させることに
より、咀嚼性の向上が実現できるので、ゼラチンに対するポリフェノールの含有割合を増
加させる必要がなく、したがって、ポリフェノールに独特の不快な渋みを生じさせること
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を防止しつつ、口中における咀嚼性を向上させることができる。さらに、第一および第二
の発明については、以下の効果も得られる。
第一の発明、すなわち、凝集剤を用いて咀嚼性を得る場合、ゼラチンに対するポリフェ
ノールの含有割合を増加させる必要がないことにより、ポリフェノール由来の渋みが強く
なるのを防止する、という消極的な効果だけでなく、前記凝集剤によって前記渋みを積極
的に抑制する効果も得られる。
【0014】
第二の発明、すなわち、グリセリンを用いた上で乾燥処理を施して咀嚼性を得る場合、
水分を多く含んだ従来のゴム状組成物と比較して、保存性に優れ、常温で保存することも
可能となる。
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ゼラチン、ポリフェノールはもちろん、多価塩類およびフェノール酸化酵素も、食品安
全上の問題がないので、口中から取り出すことなく、そのまま食べてしまうことが可能で
ある。
その結果、例えば、天然チクルや酢酸ビニル樹脂などの従来のガムベースの代わりに、
本発明のゴム状組成物を用いてチューインガムを製造すれば、そのチューインガムは、不
快な渋みを与えることなく、長時間にわたって良好な噛み心地を楽しむことができる上に
、口中から取り出して処分する面倒も解消することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第一の発明にかかる実施形態〕
10
本発明にかかるゴム状組成物は、第一に、ゼラチンとポリフェノールと凝集剤とを含み
、この凝集剤が多価塩類およびフェノール酸化酵素からなる群から選ばれている、ゴム状
組成物である。
<ゴム状組成物の材料>
−ゼラチン−
通常の食品製造に用いられるゼラチンと同様のゼラチンが使用できる。
一般的なゼラチンには、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酵素処理ゼラチンな
どが知られているが、何れも使用できる。ゼラチンの原料となる生物としては、豚や牛な
どの家畜を代表とする哺乳類、鶏などの鳥類、ティラピア、タイなどの魚類などがあり、
ゼラチン原料となる生体組織として、皮や骨、腱、歯、鱗などの生体内結合組織が使用で
20
きる。
【0016】
ゼラチンの重量平均分子量は、通常、約10万程度である。より分子量を小さくした分
解ゼラチンやコラーゲンペプチドも使用できる。
ゼラチンの特性としてゼリー強度と等電点があるが、本発明では、ゼリー強度70∼3
50ブルーム(bloom)、等電点pH4.0∼9.0の範囲内のゼラチンが使用でき
る。
−ポリフェノール−
ポリフェノールは、多価フェノール化合物とも呼ばれ、フェノール性水酸基を2個以上
有する化合物である。具体的には、タンニン、カテキンなどがある。
30
【0017】
タンニンは、植物の葉や実、樹皮などに含まれるポリフェノールやタンニン酸の総称で
ある。タンニンには、由来の違いによって、柿渋タンニン、栗皮タンニン、植物タンニン
(5倍子、タラ末、没食子など)、タマリンドタンニン、ミモザタンニンなどが知られて
いる。タンニン酸は、カテコール系に属する縮合タンニンと、ピロガロール系に属する加
水分解型タンニンとに分類することができる。具体的には、ガロタンニン、エラジタンニ
ン、エラグタンニン、ラタンニン、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、エ
ピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ガロイルプロトシアニジン、プロトシ
アニジン、クロロゲン酸、エラグ酸、アントシアニジン、イソフラボン、フラバンジェノ
ールなどがある。タンニン酸は、通常、純粋物質ではなく、ガロタンニンを主成分とする
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複数成分の混合物として供給される。
【0018】
カテキンは、広義にはタンニンの概念に含まれ、緑茶などの茶類に含まれるものをカテ
キンと呼ぶことが多いが、カテコールと呼ばれることもある。
これらのポリフェノールは、単独または複数組み合わせて用いることができる。ポリフ
ェノールとしては、ゼラチンと組み合わせたときに形成される沈殿物が、弾力性や噛み心
地などの特性を良好にできるものが好ましい。例えば、上述したタンニンやカテキンが入
手し易く、目的とする特性を達成し易いため、好ましいが、緑茶や中国茶、紅茶などの茶
葉、柿、栗皮、5倍子、タラ末、没食子などの植物、タマリンド、ミモザなど、天然の飲
食品材料であってポリフェノールを多く含む材料からの抽出成分をそのまま用いることも
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できる。後者の場合は、単一のポリフェノール化合物だけでなく、複数のポリフェノール
化合物が含まれていることがあり、さらに、ポリフェノール以外の薬効成分や食味成分、
着色成分などが含まれていることがあって、そのときには、ゴム状組成物にそれらポリフ
ェノール以外の薬効成分の機能を与えることもできるのである。
【0019】
−凝集剤−
本発明において特に選んだ以下に述べる凝集剤は、ゼラチンとポリフェノールに作用し
て、渋みがなくて、長時間良好な噛み心地を維持できるゴム状組成物を生成させることが
できる。
ゼラチンとポリフェノールとだけからでもゴム状組成物を生成させることはできるが、
10
これらだけで、後述する第二の発明のように水分含量の調整を行なうことも、第三の発明
のようにゲル化させることも行なわない場合には、口中で自然に溶解する。その点、凝集
剤は、ゴム状組成物の凝集を促進させる作用や、生成されるゴム状組成物の性状や特性を
改善する機能を果たす。ゼラチンやポリフェノールを凝集し易くしたり、生成したゴム状
組成物を強固にしたりするとともに、ポリフェノールに作用して、その収斂性や渋みを隠
蔽する。
【0020】
このような機能を果たす凝集剤として、本発明では、多価塩類および/またはフェノー
ル酸化酵素を使用する。両者は、組み合わせて用いることで、ゴム状組成物の特性をさら
に向上させることができる。
20
前記多価塩類は、カチオンおよびアニオンの何れか一方あるいは両方からなる塩類であ
る。多価塩類は、水溶液状態のゴム状組成物を高イオン濃度にすることで、タンパク質分
子の表面を脱水して溶解度を下げる機能がある。また、多価塩類のカチオンあるいはアニ
オンは、ポリフェノールに作用し、ポリフェノールに特有の収斂性を低減させる機能があ
る。
【0021】
食品製造分野において使用できる化合物であれば、特に限定されない。具体的には、硫
酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、
硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどの硫酸塩がある。硝酸カ
リウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウムなどの硝酸塩もある。クエン酸カルシウム、
30
グアニル酸ナトリウム、グルタミン酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸カリウム
、酒石酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、
乳酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウ
ム、プロピオン酸カルシウムなどの有機酸塩がある。リン酸一ナトリウムなどのリン酸ナ
トリウム、リン酸一カリウムなどのリン酸カリウム、リン酸一カルシウムなどのリン酸カ
ルシウム、リン酸一マグネシウムなどのリン酸マグネシウム、リン酸一アンモニウムなど
のリン酸アンモニウムなどを包含するリン酸塩がある。酸化マグネシウム、水酸化マグネ
シウムなどの酸化塩がある。硫酸鉄、水酸化第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、三二酸化
鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、グルコン酸鉄などの鉄塩がある。
【0022】
40
好ましい多価塩類としては、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸アンモニウム
、硫酸アルミニウムカリウム、クエン酸鉄が挙げられる。多価金属塩が特に好ましい。
前記フェノール酸化酵素は、ゼラチンとポリフェノールの組み合わせによるゴム状組成
物の良好な噛み心地を長時間維持させるだけでなく、ポリフェノールに特有の収斂性を低
減させる機能もある。
食品製造分野において使用でき、目的とする機能を有するフェノール酸化酵素であれば
、特に限定されない。具体的には、ラッカーゼ、チロシナーゼなどが挙げられる。
<ゴム状組成物の組成配合>
第一の発明にかかるゴム状組成物において、ゼラチンとポリフェノールの配合割合(ゼ
ラチン:ポリフェノール)が重量比基準で、4:1∼2:3であり、凝集剤の配合割合が
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、前記ゼラチンとポリフェノールの合計量に対し、0.01∼10重量%であることが好
ましい。凝集剤としての多価塩類とフェノール酸化酵素の各好ましい配合割合は、上記合
計量に対して、多価塩類が0.5∼10重量%の範囲内、フェノール酸化酵素が0.01
∼1.0重量%の範囲内である。ゼラチンとポリフェノールの配合割合が、4:1よりも
ゼラチンの配合割合が多く、これに伴い、相対的にポリフェノールの配合割合が少なくな
る場合には、十分な咀嚼性が得られないおそれがあり、また、2:3よりもゼラチンの配
合割合が少なく、これに伴い、相対的にポリフェノールの配合割合が多くなる場合には、
渋みがつよくなるおそれがある。凝集剤の配合割合が10重量%よりも多くなると得られ
るゴム状組成物が硬くなりすぎてしまうおそれがあり、0.01重量%よりも少なくなる
と十分な歯応えが得られないおそれがある。
10
【0023】
ゴム状組成物には、上記材料に加えて、通常、少なくとも、水分が含まれる。最終的に
得られるゴム状組成物の水分量は、通常のゴム状組成物と同様、10∼50重量%に設定
することができる。なお、本発明において「ゴム状組成物の水分量」というときは、以下
の測定方法により測定された水分量を意味するものとする。
水分量を測定したいゴム状組成物約3gを精密に秤量した後、乾燥機に入れて105℃
で17時間乾燥させる。乾燥後、ゴム状組成物の重量を再び秤量して重量がいくら減少し
たかを算出する。乾燥により減少した重量の初期重量に対する百分率を算出し、これをゴ
ム状組成物の水分量とする。
【0024】
20
ゴム状組成物には、通常のゴム状組成物やチューインガム、菓子類などのほか食品類に
用いられる添加材料をさらに加えることもできる。このような添加材料としては、着色料
や香料、甘味料などがあり、これら通常の菓子類や食品に使用されている添加材料を、ゴ
ム状組成物の用途や使用目的、要求性能に合わせて、適宜に組み合わせて用いることがで
きる。
ゴム状組成物の柔軟性を調整するために、可塑剤を用いることができる。可塑剤として
は、食品用の材料であれば特に限定せずに使用できる。可塑剤の具体例として、グリセリ
ン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレン
グリコールなどの多価アルコール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシ
リトール、還元水飴などの糖アルコール、グルコース、フルクトース、スクロース、ガラ
30
クトース、マルトース、トレハロース、ラクトースなどの糖類、乳酸ソーダなどの潮解性
を有する塩類が挙げられる。
【0025】
ゴム状組成物が口中で歯に付着し難いようにする歯付き防止剤を用いることも有効であ
る。
ゼラチンに加えて、ゼラチン以外のタンパク質を添加することもできる。ゼラチン以外
のタンパク質としては、例えば、小麦由来グルテン、牛乳由来カゼイン、大豆由来アルブ
ミンなどが挙げられる。これらは、ゼラチン単独の場合と異なる弾性などの特性をゴム状
組成物に付与することができる。
<ゴム状組成物の製造>
40
ゴム状組成物の製造方法としては、基本的には、ゼラチンとポリフェノールとを組み合
わせる通常のゴム状組成物の製造技術が適用できる。
【0026】
具体的には、以下の工程を組み合わせることができる。
−工程(a)−
ゼラチンとポリフェノールと凝集剤とを十分な量の水の存在下で撹拌混合する。その結
果、水中にゴム状組成物が生成される。
各材料を水中に均一に分散あるいは溶解させ、目的とするゴム状組成物が十分に生成さ
れるように、撹拌混合条件を設定する。撹拌混合装置として、高粘度撹拌機やニーダーが
使用できる。回転式の撹拌装置の場合、撹拌速度を50∼200rpmに設定できる。使
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用する装置、撹拌条件によっても異なるが、処理時間を20分∼1時間に設定できる。撹
拌混合を段階的に行なう場合は、各段階の処理時間を前記範囲に設定することができる。
【0027】
各材料は、固形のまま用いることも、予め水に溶解あるいは分散した状態の水溶液に調
製して用いることもできる。具体的には、各材料の全てを固形のまま混合した後に加水す
るか、各材料の一部は固形のままで他の材料を水溶液として混合するか、または、水溶液
同士を混合することができる。通常は、均一な混合を効率的に行なうために、水溶液同士
を混合する。この場合においては、各材料が均一に分散あるいは溶解した水溶液濃度とな
るよう調製して用いることが好ましい。
撹拌混合を開始する段階における水の量は、最終的にゴム状組成物に含まれる水分量よ
10
りも過剰である。各材料を均一に分散あるいは溶解させるために、各材料を混合した後の
水溶液の水分量が25重量%以上となるよう用いるのが通常である。ただし、第一の発明
では、後述するゴム状組成物と水の分離を容易に行なうために、60重量%以上であるこ
とが好ましい。
【0028】
各材料は、同時に配合してもよいし、順番に加えていくこともできる。例えば、ゼラチ
ン水溶液に凝集剤を加えて混合したあとでポリフェノールを加えて混合することができる
。ゼラチン水溶液にポリフェノールを混合したあとで凝集剤を加えることもできる。凝集
剤として、多価塩類とフェノール酸化酵素を併用する場合、同時に加えてもよいし、別々
に加えてもよい。
20
処理温度は、各材料が均一に混合されるとともに目的とするゴム状組成物の生成が良好
に行われるように設定する。通常、40∼90℃の範囲に設定することができる。処理段
階によって、処理温度を変えることもできる。
【0029】
各材料を混合した水溶液のpHを適切に設定することが有効である。各材料を混合する
段階では、pH4.0∼7.0に調整することで、ゼラチンの凝集およびゴム状組成物の
生成が良好に行われる。
−工程(b)−
工程(a)で生成されたゴム状組成物を水と分離して回収する。
得られたゴム状組成物の水分量が10∼50重量%になるように水を分離するのが一般
30
的である。組成物は沈殿として得られる場合が多いので、比較的容易に水と分離できるが
、固液分離装置として、遠心分離器や真空乾燥器が使用できる。
【0030】
前記したように、各材料を段階的に加える場合は、一部の材料から生成したゴム状組成
物を水と分離してから、残りの材料を加えて混合し、その後に生成したゴム状組成物を水
と分離して、最終的なゴム状組成物を得ることができる。
−その他の工程−
ゴム状組成物に付着したり内包されている不溶性分などを、水などで洗い落したり取り
除いたりすることが必要である。
凝集剤としてフェノール酸化酵素を使用している場合、水と分離されたゴム状組成物に
40
対して酵素失活処理を行なうことが必要である。
【0031】
得られたゴム状組成物を、含水状態のままで、フィルムや袋による水密包装を行って、
保存や輸送、流通に供することができる。冷蔵状態で取り扱うことが望ましい。
〔第二の発明にかかる実施形態〕
本発明にかかるゴム状組成物は、第二に、ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとを
含み、乾燥処理を施されたものである、ゴム状組成物である。
この場合、ゴム状組成物の材料としては、上記に述べたゼラチンとポリフェノールとグ
リセリンを用いればよく、さらに、第一の発明と同様、凝集剤を用いてもよいし、歯付き
防止剤、ゼラチン以外のタンパク質などを用いてもよい。グリセリンが必須のものとして
50
(10)
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用いられるのは、第二の発明では、水分含量を少なくしており、十分なゴム弾性を得るた
めに、可塑剤として添加する必要があるからである。
【0032】
第二の発明にかかるゴム状組成物において、ゼラチンとポリフェノールの配合割合(ゼ
ラチン:ポリフェノール)が重量比基準で、4:1∼2:3であり、グリセリンの配合割
合が、前記ゼラチンとポリフェノールの合計量に対し、50∼150重量%であることが
好ましい。ゼラチンとポリフェノールの配合割合が、4:1よりもゼラチンの配合割合が
多く、これに伴い、相対的にポリフェノールの配合割合が少なくなる場合には、十分な咀
嚼性が得られないおそれがあり、また、2:3よりもゼラチンの配合割合が少なく、これ
に伴い、相対的にポリフェノールの配合割合が多くなる場合には、渋みがつよくなるおそ
10
れがある。グリセリンの配合割合が150重量%よりも多くなると柔らかすぎて十分な咀
嚼性が得られないおそれがあり、50重量%よりも少なくなると硬くなりすぎてゴム様の
弾力が得られないおそれがある。
【0033】
ゴム状組成物の製造については、通常のゴム状組成物の製造に採用されている製造技術
に代え、以下の工程を組み合わせた製造技術が適用できる。
−工程(c)−
ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとを水の存在下で撹拌混合する。その結果、均
一な粘稠溶液が得られる。
撹拌混合条件や撹拌混合装置などは、第一の発明と同様にして選択することができる。
20
また、各材料は、第一の発明と同様、固形のまま用いることも、予め水に溶解あるいは
分散した状態の水溶液に調製して用いることもできる。
【0034】
撹拌混合を開始する段階における水の量は、最終的にゴム状組成物に含まれる水分量よ
りも過剰である。各材料を均一に分散あるいは溶解させるために、各材料を混合した後の
水溶液の水分量が25重量%以上となるよう用いるのが通常である。ただし、第二の発明
では、後述する乾燥工程を効率的に行なうために、55重量%以下であることが好ましい
。
各材料は、第一の発明と同様に、同時に配合してもよいし、順番に加えていくこともで
きる。
30
処理温度も、第一の発明と同様に設定することができる。
【0035】
−工程(d)−
工程(c)で生成された粘稠溶液を乾燥することでゴム状組成物が得られる。
得られるゴム状組成物の水分量が10重量%未満になるように乾燥すれば好ましい。
乾燥装置として、例えば、恒温乾燥機が使用でき、乾燥条件としては、例えば、45∼
80℃で3∼60時間乾燥すればよい。
−その他の工程−
凝集剤としてフェノール酸化酵素を使用している場合、酵素失活処理を行なうことが必
要である。
40
【0036】
〔第三の発明にかかる実施形態〕
本発明にかかるゴム状組成物は、第三に、ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとそ
の他の材料とを含み、ゲル化させることにより得られる、ゴム状組成物である。
この場合、ゴム状組成物の材料としては、上記に述べたゼラチンとポリフェノールとグ
リセリンを用いればよく、さらに、第一の発明と同様、凝集剤を用いてもよいし、歯付き
防止剤、ゼラチン以外のタンパク質などを用いてもよい。第三の発明では、最終的な食品
としてゴム状組成物を得る場合に好適に用いられるため、当該食品に必要なその他の材料
もゲル化を行なう前において添加されるのが通常である。そのようなその他の材料として
は、例えば、糖質、酸味料、香料、果汁などが挙げられる。
50
(11)
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【0037】
第三の発明にかかるゴム状組成物において、ゼラチンとポリフェノールの配合割合(ゼ
ラチン:ポリフェノール)が重量比基準で、4:1∼1:1であり、グリセリンとその他
の材料の配合割合が、前記ゼラチンとポリフェノールの合計量に対し、それぞれ、50∼
150重量%、30∼150重量%であることが好ましい。ゼラチンとポリフェノールの
配合割合が、4:1よりもゼラチンの配合割合が多く、これに伴い、相対的にポリフェノ
ールの配合割合が少なくなる場合には、十分な咀嚼性が得られないおそれがあり、また、
1:1よりもゼラチンの配合割合が少なく、これに伴い、相対的にポリフェノールの配合
割合が多くなる場合には、ゲル化がうまくいかなかったり、渋みが強くなるおそれがある
。グリセリンの配合割合が150重量%よりも多くなると柔らかすぎて十分な咀嚼性が得
10
られないおそれがあり、50重量%よりも少なくなると均一な組成物が得られなかったり
、硬くなりすぎてゴム様の弾力が得られないおそれがある。その他の材料の配合割合が1
50重量%よりも多くなると均一な組成物が得られなかったり、十分な咀嚼性が得られな
いおそれがあり、30重量%よりも少なくなるとゲル化や乾燥がうまくいかずに均一な組
成物が得られないおそれがある。
【0038】
ゴム状組成物の製造については、ゼラチン溶液のゲル化作用を利用して製造される通常
のグミキャンディの製造と同様の技術を用いることができる。
−工程(e)−
ゼラチンとポリフェノールとグリセリンとその他の材料とを水の存在下で撹拌混合する
20
。その結果、均一な粘稠溶液が得られる
撹拌混合条件や撹拌混合装置などは、第一の発明と同様にして選択することができる。
また、各材料は、第一の発明と同様、固形のまま用いることも、予め水に溶解あるいは
分散した状態の水溶液に調製して用いることもできる。
【0039】
撹拌混合を開始する段階における水の量は、最終的にゴム状組成物に含まれる水分量よ
りも過剰である。各材料を均一に分散あるいは溶解させるために、各材料を混合した後の
水溶液の水分量が25重量%以上となるよう用いるのが通常である。ただし、第三の発明
では、後述するゲル化工程で、所定の水分に調整し易いように、40重量%以下であるこ
とが好ましい。
30
各材料は、第一の発明と同様に、同時に配合してもよいし、順番に加えていくこともで
きる。
処理温度も、第一の発明と同様に設定することができる。
【0040】
各材料を混合した水溶液のpHを適切に設定することが有効である。各材料を混合する
段階では、pH3.5∼7.0に調整することで、ゼラチンの凝集およびゴム状組成物の
生成が良好に行われる。
−工程(f)−
工程(e)で生成された粘稠溶液をゲル化することでゴム状組成物が得られる。
ゲル化を起こさせるための操作としては、特に限定されないが、例えば、乾燥したスタ
40
ーチモールドに充填した後、冷却し、除湿した部屋において適度な水分まで乾燥する。
−その他の工程−
凝集剤としてフェノール酸化酵素を使用している場合、酵素失活処理を行なうことが必
要である。
【0041】
〔その他の実施形態〕
その他の実施形態として、第二の発明または第三の発明において、凝集剤を用いること
もできる。この場合、ゴム状組成物の咀嚼性を向上できるとともに、ポリフェノール由来
の特有の渋みを積極的に抑制することができる。
〔本発明にかかるゴム状組成物の利用〕
50
(12)
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本発明にかかるゴム状組成物は、例えば、チューインガムのガムベースとして利用でき
るほか、チューインガム以外の菓子やその他の食品、例えば、ソフトキャンディやグミキ
ャンディなどにも利用でき、優れた咀嚼性を付与することができる。
【0042】
第一の発明および第二の発明にかかるゴム状組成物は、特に、チューインガムのガムベ
ースとして好適に使用でき、例えば、本発明にかかるゴム状組成物に甘味料や調味料、香
料、着色料などを加えて混練し、成形することによって製造できる。
第三の発明にかかるゴム状組成物は、特に、グミキャンディとして好適に使用でき、例
えば、前記その他の材料として、グミキャンディに通常使用される糖質や調味料、香料、
着色料などを加えた後にゲル化させれば製造することが可能である。
10
食品に配合される場合におけるゴム状組成物の配合量は、対象とする食品の種類や要求
性能によっても異なり、例えば、ゴム状組成物を3∼100重量%の範囲で配合すること
ができるが、通常、20∼100重量%の範囲で配合する。
【0043】
ゴム状組成物は、弾力的な噛み心地を付与するだけでなく、ゴム状組成物を構成するゼ
ラチンやポリフェノールなどの成分が有する栄養機能や薬効機能を、チューインガムなど
の菓子や食品に付与することができる。例えば、ゼラチンやポリフェノールには健康補助
効果があるとされている。
食品ではなくても、幼児などが口に入れる可能性がある物品の製造に、ゴム状組成物を
利用することができる。例えば、幼児用おしゃぶりなどの玩具をゴム状組成物で成形すれ
20
ば、弾力的な変形が可能であるとともに、幼児が一部を噛み切って飲み込んだりしても安
全上の問題が生じないようにすることができる。幼児用に限らず、老人介護用の物品や愛
玩動物の飼育に用いる物品なども、ゴム状組成物で製造することができる。
【0044】
さらに、美容用パック剤へ利用することも可能である。例えば、本発明にかかるゴム状
組成物を基材として用いることにより、美容用パック剤を製造することができる。
【実施例】
【0045】
ゴム状組成物を具体的に製造し、その性能を評価した。以下では、便宜上、「重量部」
を単に「部」と、「重量%」を単に「%」と記すことがある。
30
〔実施例1∼7〕
第一の発明にかかる、実施例1∼7のゴム状組成物を、表1の材料を用い、表1の配合
で、以下の製造工程により得た。
(1)各材料の準備:
ゼラチンとして、酸処理豚ゼラチン(新田ゼラチン社製、ゼリー強度290bloom
、等電点7.8)を用いた。濃度20%の水溶液を調製し、乳酸または水酸化ナトリウム
を加えてpHを調整した。
【0046】
ポリフェノールとして、タンニン(富士化学工業社製、タンニン酸AL)およびカテキ
ン(太陽化学社製、サンフェノンBG)を用いた。何れも、乳酸または水酸化ナトリウム
40
を加えてpHを調整し、濃度20%の水溶液を調製した。
多価塩類として、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸一アンモニウムを用意し
、濃度20%の水溶液を調製した。
フェノール酸化酵素として、ラッカーゼ(大和化成社製、ラッカーゼダイワY120)
を用意し、濃度2%の水溶液を調製した。
(2)撹拌混合:
撹拌装置として、東京理化器械社製の高粘度撹拌機を用いた。撹拌速度を100∼20
0rpmに設定し、ゼラチン水溶液を60℃で撹拌しながら、多価塩類水溶液を添加し、
均一に混合したあと、さらに、ポリフェノール水溶液を徐々に投入し、60℃で1時間か
けて、撹拌混合を続けた。
50
(13)
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【0047】
水中にゴム状組成物が生成され凝集沈殿が生じた。
(3)固液分離:
凝集沈殿したゴム状組成物の固まりと残った水とを、上澄みの水を除去することにより
分離した。分離されたゴム状組成物を手揉み水洗した。
(4)フェノール酸化酵素の添加:
フェノール酸化酵素を加える場合は、前段階で得られたゴム状組成物を、撹拌速度50
∼150rpm、50∼55℃で撹拌しながら、ラッカーゼ水溶液を徐々に加え、55℃
で1時間、撹拌混合した。その後、前記同様にして、固液分離を行った。
【0048】
10
(5)酵素失活:
フェノール酸化酵素を加えている場合は、酵素を失活させる処理を行なう。具体的には
、ゴム状組成物を80∼85℃で30分間撹拌しながら維持した。その後、水洗を行った
。
(6)グリセリンの添加:
グリセリンを加える場合は、前段階で得られたゴム状組成物にグリセリンを徐々に加え
、撹拌速度50∼150rpm、60℃、30分間で撹拌混合して、ゴム状組成物を得た
。
【0049】
(7)包装保存:
20
最終的に得られたゴム状組成物が、均一なゴム状組成物になっていることを確認したあ
と、水洗を行って、目的とするゴム状組成物を得た。
含水状態のゴム状組成物を、水密性を有する市販の包装フィルムで包み、さらに、市販
の水密包装用袋に収容し、密封状態にして4℃に設定された冷蔵庫に保存した。
〔実施例8∼14〕
第二の発明にかかる、実施例8∼14のゴム状組成物を、表2の材料を用い、表2の配
合で、以下の製造工程により得た。
【0050】
(1)各材料の準備:
ゼラチンとして、アルカリ処理牛骨ゼラチン(新田ゼラチン社製、ゼリー強度280b
30
loom、等電点4.9)を用いた。濃度40%の水溶液を調製し、乳酸または水酸化ナ
トリウムを加えてpHを調整した。
ポリフェノールとして、ミモザタンニン(川村通商社製)およびカテキン(太陽化学社
製、サンフェノンBG)を用い、それぞれについて濃度50%の水溶液を調製した。
多価塩類として、乳酸カルシウムを用意し、濃度20%の水溶液を調製した。
フェノール酸化酵素として、ラッカーゼ(大和化成社製、ラッカーゼダイワY120)
を用意し、濃度2%の水溶液を調製した。
【0051】
(2)撹拌混合:
撹拌装置として、東京理化器械社製の高粘度撹拌機を用いた。撹拌速度を100∼20
40
0rpmに設定し、ゼラチン水溶液を70℃で撹拌しながら、多価塩類水溶液を添加し、
均一に混合したあと、さらに、ポリフェノール水溶液を徐々に投入し、70℃で30分か
けて、撹拌混合した。その後、グリセリンを加えて、さらに、30分間撹拌混合した。
均一で粘稠な溶液が得られた。
(3)乾燥:
前記溶液をプラスチックトレイに厚さ2mmとなるよう平らに充填し、恒温乾燥機(サ
ンヨー社製)を用いて45℃で60時間乾燥した。
【0052】
(4)フェノール酸化酵素の添加:
フェノール酸化酵素を加える場合は、段階(2)において、ポリフェノールを加えて撹
50
(14)
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拌混合した後に、温度を60℃まで下げてから加えた。添加後、30分撹拌混合し、温度
を85℃にして失活させた。その後、前記同様にして、グリセリンの添加および乾燥を行
った。
(5)包装保存:
乾燥して得られたゴム状組成物をトレイからはがし、市販の防湿性包材で密封し、常温
で保存した。
【0053】
〔実施例15∼22〕
実施例15∼22のチューインガムは、表4に示す配合で、実施例5,8∼14のゴム
状組成物に、キシリトール、還元パラチノース、酸味料、香料を加え、ニーダーを用いて
10
混練することにより、得た。
〔実施例23,24〕
第三の発明にかかる、実施例23,24のゴム状組成物を、表5の材料を用い、表5の
配合で、以下の製造工程により得た。
(1)各材料の準備:
ゼラチンとして、アルカリ処理牛骨ゼラチン(新田ゼラチン社製、ゼリー強度280b
loom、等電点4.9)を用いて、濃度40%の水溶液を調製した。
【0054】
ポリフェノールとして、ミモザタンニン(川村通商社製)およびカテキン(太陽化学社
製、サンフェノンBG)を用い、それぞれについて濃度50%の水溶液を調製した。
20
(2)撹拌混合:
撹拌装置として、東京理化器械社製の高粘度撹拌機を用いた。撹拌速度を100∼50
0rpmに設定し、ゼラチン水溶液を70℃で撹拌しながら、ポリフェノール水溶液を徐
々に投入し、70℃で30分かけて、撹拌混合した。その後、キシリトール、または、水
分を調整した糖液を加えて、撹拌混合した。さらに、必要に応じて、酸味料、香料、果汁
を加えて撹拌混合した。グリセリンを加えて、さらに、30分間撹拌混合した。
【0055】
均一で粘稠な溶液が得られた。
(3)充填:
よく乾燥したコーンスターチに凹型のくぼみをつけてスターチモールドとし、そこに上
30
記溶液を3gずつ流し込んだ。
(4)ゲル化:
25℃の除湿された部屋に48時間放置してゲル化させた後、スターチモールドから取
り出し、ゴム状組成物を得た。前記ゴム状組成物をグミキャンディとして、後述する性能
評価試験に供した。
【0056】
〔実施例25,26〕
前述の実施例8∼14に準じて、表6の材料を用い、表6の配合で、ゴム状組成物を製
造した。前記ゴム状組成物を、70℃に加熱して流動性を良くし、これを離型処理された
ポリプロピレンシートにコーティングロッドを用いて、厚み1.0mmのシート状になる
40
ように乾燥し、縦横寸法5cm×5cmに切断して、美容用パック剤とした。それらを実
施例25,26とした。得られたパック剤の含有水分量は8%であった。
〔比較例1∼3〕
比較例1∼3として、凝集剤を含んでおらず、水分含量が10%以上であるゴム状組成
物を、表3に示す配合で、上記実施例1∼7と同様の方法により作製した。
【0057】
〔比較例4,5〕
比較例4,5のチューインガムは、表4に示す配合で、比較例2,3のゴム状組成物に
、キシリトール、還元パラチノース、酸味料、香料を加え、ニーダーを用いて混練するこ
とにより、得た。
50
(15)
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〔比較例6,7〕
市販製品のソフトキャンディとグミキャンディを入手し、それぞれを比較例6,7とし
た。
前記ソフトキャンディ(比較例6)およびグミキャンディ(比較例7)は、原料として
ゼラチンを含むが、ポリフェノール、グリセリン、凝集剤は含まないものであった。また
、ソフトキャンディ(比較例6)は水分含量7%、グミキャンディ(比較例7)は水分含
量18%のものであった。
【0058】
〔比較例8〕
市販製品の、100%天然コラーゲン線維からなるスポンジ状シートパック剤を入手し
10
、これを比較例8とした。後述するパック剤の性能評価試験に際しては、前記パック剤を
5cm×5cmに裁断し、純水で濡らしてから顔パックに使用するようにした。
〔性能評価〕
<ゴム状組成物の性能評価>
実施例1∼14および比較例1∼3にかかるゴム状組成物を用いて、第一の発明および
第二の発明にかかるゴム状組成物の性能を評価した。
【0059】
−咀嚼性−
冷蔵庫で1日保存した実施例1∼7および比較例1∼3にかかるゴム状組成物と、常温
で保存した実施例8∼14にかかるゴム状組成物を、7mm角のサイコロ状に裁断し、室
20
温に戻して、試験品を得た。5名の試験者が、試験品を口中で噛みながら、溶解するまで
の時間をストップウォッチで測定した。溶解時間の幅を、咀嚼持続時間(分)で示した。
さらに、前記試験の後に、各試験者にアンケート調査を行い、ゴム状組成物の歯応えを、
下記の4段階で評価し、その平均点を、歯応えで示した。
◎:非常に良い
○:良い
△:やや物足りない
×:物足りない
−収斂性(渋み)−
ゴム状組成物の歯応えと同様に、各試験者にアンケート調査を行い、口中で感じた収斂
性あるいは渋みを、下記の4段階で評価し、その平均点を、収斂性(渋み)で示した。
【0060】
◎:収斂性はなく、渋みもほとんど感じない。
○:収斂性は弱く、渋みも少ない。
△:収斂性をかなり感じ、若干渋みもある。
×:収斂性が強く、非常に渋い。
試験の結果を、実施例1∼7については表1に、実施例8∼14に関しては表2に、比
較例1∼3については表3に、それぞれ示す。
【0061】
30
(16)
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【表1】
10
【0062】
20
(17)
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【表2】
10
20
【0063】
30
(18)
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【表3】
10
20
【0064】
−評価−
(1)実施例1∼14のいずれもが、比較例1∼3に比べて、咀嚼時間が延長され、歯
応えも良くなり、咀嚼性が向上している。凝集剤によって咀嚼性が向上していることはも
ちろんであるが、凝集剤を用いる場合、ポリフェノールの渋みを抑制するという効果もあ
るため、ポリフェノールの配合量を通常よりも多くすることができ、このことによっても
咀嚼性の向上が可能となっている。凝集剤としては、多価塩類およびフェノール酸化酵素
の何れも有効であることが判る。なお、ポリフェノールと凝集剤の組み合わせによって、
咀嚼性には違いが生じている。多価塩類:乳酸カルシウムとフェノール酸化酵素:ラッカ
ーゼとを併用した実施例5は、咀嚼持続時間が特に長くなった。
30
【0065】
(2)ポリフェノールの配合割合を多くすることのみによって、咀嚼性を向上させよう
としている比較例1,2については、非常に収斂性が強く、このまま食品にするには問題
がある。これに対して、凝集剤により咀嚼性を向上させようとしている、本発明にかかる
実施例1∼7は、いずれについても収斂性が少なく、食品に利用しても問題ない。
(3)多価塩類の中では、二価金属塩である乳酸カルシウム(実施例2)と硫酸マグネ
シウム(実施例3)とは同等の性能を示し、三価金属塩であるリン酸一アンモニウム(実
施例7)が最も高い性能を示した。
(4)実施例6は、ポリフェノールとしてカテキンを使用したが、タンニンと同等以上
の優れた性能を発揮することが実証された。なお、カテキンは、日本茶などの含有成分と
40
して古くから食されており、健康上の有用な機能もあるとされている。ゴム状組成物の使
用用途や商品価値を高めるのに有効となる。
【0066】
<チューインガムの性能評価>
第二の発明にかかる実施例8∼14にかかるゴム状組成物をチューインガムのガムベー
スとして用い、チューインガムとして製造されたものを評価した。あわせて、第一の発明
にかかる実施例1∼7のうち、実施例5のゴム状組成物をガムベースとして用い、チュー
インガムを製造し、その性能を評価した。実施例5をガムベースとしたものは上記実施例
15、実施例8∼14をガムベースとしたものは上記実施例16∼22、にそれぞれ対応
している。
50
(19)
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比較例としては、比較例2,3のゴム状組成物をガムベースとして用いて製造した、比
較例4,5を用いた。
【0067】
−咀嚼性−
製造されたチューインガムについて、前記ゴム状組成物の場合と同様の試験を行って、
咀嚼性(咀嚼持続時間、歯応え)を評価した。
−収斂性(渋み)−
上記試験の後に、前記ゴム状組成物の場合と同様の試験を行って、収斂性(渋み)を評
価した。評価基準も同じである。
各試験の結果を表4に示す。
【0068】
10
(20)
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【表4】
10
20
30
40
50
(21)
JP 2007-89579 A 2007.4.12
【0069】
−評価−
(1)実施例5のゴム状組成物をガムベースに用いた実施例15のチューインガムは、
比較例2のゴム状組成物を用いた比較例4のチューインガムに比べて、咀嚼持続時間、収
斂性が改善されていた。咀嚼持続時間はゴム状組成物をそのまま噛んだときに比べると、
短くなっているが、これは、チューインガムを調製する際に加えられた糖質や香料などの
添加物の影響によるものと推測できる。
(2)実施例8∼10のゴム状組成物を用いた実施例16∼18のチューインガムは、
水分含量の調整と凝集剤の使用により、咀嚼性が非常に向上している。水分含量の調整に
よって製造時の成形性や保存性も向上している。実施例16∼18では配合組成は同じで
10
あるが、用いたゼラチン水溶液のpHの違いによって咀嚼性に差が生じていることが分か
った。
【0070】
(3)実施例11のゴム状組成物をガムベースに用いた実施例19のチューインガムは
、水分含量を調整するとともに、凝集剤を用いたものであるため、比較例と比べ、咀嚼時
間は最も長くなり、収斂性(渋み)もほとんどなかった。
(4)実施例12のゴム状組成物は水分含量の調整だけで凝集剤を使用していないが、
実施例12のゴム状組成物を用いた実施例20のチューインガムは、ゼラチンとタンニン
との比率が同じで、水分の高い比較例3(水分含量30%)のゴム状組成物を用いた比較
例5のチューインガムと比較しても咀嚼性、収斂性ともはるかに優れており、水分含量調
20
整の効果が確認できた。
【0071】
(5)実施例21のチューインガムはポリフェノールとしてカテキンを用いた実施例1
3のゴム状組成物を使用しており、香料がなくても独特のお茶の風味とわずかな渋みを有
するものとなった。
(6)タンニンの比率が高い実施例14のゴム状組成物を使用したチューインガムであ
る実施例22は、咀嚼持続時間も長くなり、歯応えも良いが、タンニンが多い分僅かに収
斂性があった。
<グミキャンディの性能評価>
実施例23,24にかかるゴム状組成物は、グミキャンディであり、該グミキャンディ
30
の性能を以下の基準により評価した。比較例として、市販製品のソフトキャンディ(比較
例6)とグミキャンディ(比較例7)をそれぞれ用いて試験に供した。
【0072】
−咀嚼性−
製造されたグミキャンディおよび市販製品について、前記ゴム状組成物の場合と同様の
試験を行って、咀嚼性(咀嚼持続時間、歯応え)を評価した。
−収斂性(渋み)−
上記試験の後に、前記ゴム状組成物の場合と同様の試験を行って、収斂性(渋み)を評
価した。評価基準も同じである。
各試験の結果を表5に示す。
【0073】
40
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【表5】
10
20
【0074】
−評価−
30
(1)実施例23はオレンジ風味の咀嚼性のあるグミキャンディであった。比較例6お
よび7の市販ソフトキャンディ、市販グミキャンディに比べて咀嚼持続時間が大幅に増加
している。
(2)実施例24はポリフェノールとしてカテキンを用いている。そのため、お茶独特
の風味とカテキンのわずかな渋みを有するグミキャンディとなった。実施例23よりも柔
らかい食感になったが、これはポリフェノールの差による。
<美容用パック剤の性能評価>
実施例25,26で製造された、本発明にかかるゴム状組成物を基材とするパック剤お
よび比較例8にかかるパック剤を10人のパネラーが顔パックに使用して、伸ばしやすさ
、膜の強靭さおよび肌の引き締まり感を下記の4段階で評価し、それぞれ平均点で示した
。以下の基準により評価した。
【0075】
◎:非常に良い。
○:良い。
△:やや物足りない。
×:物足りない。
各試験の結果を表6に示す。
【0076】
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【表6】
10
20
【0077】
−評価−
(1)実施例25および26のパック剤は、全ての性能評価で比較例8にかかるパック
剤よりも評価が良く、美容用パック剤として非常に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のゴム状組成物は、例えば、チューインガムのガムベースに利用することができ
30
る。得られたチューインガムは、従来の天然チクルや酢酸ビニルなどをガムベースに用い
たものと比べて、弾力的な噛み心地の点で遜色がないとともに、十分に長時間にわたって
良好な噛み心地を維持することができる。しかも、口中から取り出さずに食べてしまって
も問題がないので、吐き捨てられたチューインガムが路上などを汚すという問題の解消に
も貢献できる。口中から取り出さずに食することで、ゴム状組成物の構成成分であるゼラ
チンやポリフェノールが有する健康補助効果が期待できる。グミキャンディやソフトキャ
ンディなどの菓子製造にも、ゴム状組成物を利用することで、咀嚼時間の長い食品を提供
することができ、「咀嚼」による健康補助効果も高めることができる。
【0079】
さらに、食品以外でも、例えば、美容用パック剤などにも好適に利用することができる
。
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(51)Int.Cl.
FI
A61K
8/02
(2006.01)
A61K
テーマコード(参考)
8/02
(72)発明者 周防 晃子
大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラチン株式会社大阪工場内
Fターム(参考) 4B014 GB14 GG12 GG15 GL01 GL03
4C083 AC12 AC121 AC122 AC30 AC302 AC84 AC841 AC842 AD43 AD431
AD432 CC07 DD22 EE06 EE07 FF01
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