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講座に入る前に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
NYS-010 認知症の基礎知識 認知症予防アドバイザー講座 【目 1巻 次】 NYS-010 認知症の基礎知識Ⅰ 講座に入る前に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 認知症の基礎知識・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・2 認知症の症状・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 NYS-020 認知症の基礎知識Ⅱ 1時間目の復習・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・19 家族が認知症に……。そのときどうしますか?・・・・・・・・・・・・19 脳の働き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・25 脳の構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 NYS-030 認知症の予防Ⅰ 認知症予防の現状(国家戦略としての取り組み)・・・・3 3 認知 症 予 防の 現 状( 治 療の 現 状 )・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 38 2大認知症の予防方法・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・39 NYS-040 認知症の予防Ⅱ 軽度認知症とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・49 認知症の 初期症状・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・ ・57 認知症の診断方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 解答と解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68 NYS-010 認知症の基礎知識 NYS-010 認知症の基礎知識 講座内容 1. 講座に入る前に 2. 認知症の基礎知識 3. 認知症の症状 1. 講座に入る前に 予防の現状と講座の目的 認知症患者数の現状 認知症患者は約 439 万人 軽度認知障害は 380 万人 ※65 歳以上の高齢者人口 2874 万人 4 人に 1 人が認知症 平成 22 年度厚生省調べ 予防の取り組み 認知症の容態に応じた適時・適切な 提供 ・発症予防 ・発症初期 ・急性増悪時 ・中期 ・人生の最終段階 講座の目的 この講座は、認知症予防専門士に近い知識を持ち、自分の家族や周りの人々に正確な情報 を伝え、認知症予防を身近な所から提供出来る人材を育成する事を目的としています。 ポイント 認知症予防アドバイザー認定証 講座を最後まで受講いただくと、「認知症予防アドバイザー認定資格」の 試験を受験する事ができます。 NYS-010 認知症の基礎知識 認知症予防アドバイザーの役割 認知症予防活動 高齢者やそのご家族に認知症予防への関心を高めていただき、認知症予防活動を理解して いただく 地域社会活動 認知症・認知症予防の正しい知識を持ち、地域社会活動の支援者や相談者としての役割を はたす 全講座の概要 知識講座 1.認知症の基礎知識 2.軽度認知障害と初期症状について 実践講座 3.生活習慣編 4.運動編 5.食生活編 ポイント 模擬試験 それぞれの項目毎に、簡単な模擬試験がついていますので、 講義の内容を確認いただきながら、進めて行って下さい。 細かい栄養素や講座で紹介できなかった料理のレシピなどの 情報もテキスト後半に付録として掲載しています。 2. 認知症の基礎知識 認知症はどんな疾患なのだろう 認知症とは これまでの「痴呆」という医学用語 は差別用語となることから厚生労 働省は 2004 年 12 月に「認知症」と 改称した 「認知症」とは病名ではなく様々な 原因で脳の働きが悪くなり、およそ 半年以上精神機能の全般的機能の 低下によって、日常生活に支障をき たしている状態の事をいう NYS-010 認知症の基礎知識 60 歳を過ぎると健常者であっても 1 年に約 5.4ml ずつ脳の委縮が始ま り放置すると認知症になる 日常生活で気づいた認知症の症状 認知症になった家族の方が、最初に気付いた日常生活の変化や症状 同じ事を何回も言ったり 聞いたりする 財布を盗まれたと言う だらしなくなった いつも降りる駅なのに 乗り過ごした NYS-010 認知症の基礎知識 夜中に急に起き出して騒いだ 計算の間違いが多くなった 物の名前が出てこなくなった 些細なことで怒りっぽくなった 対処方法 自己判断しない 症状が出てもすぐに素人判断で 「認知症」と断定はしない 「軽度認知障害」といって、回復が 可能な状況である可能性も高い為 すぐに内科、神経内科等を受診し、 しっかりとした検査を受け、状態に 合った治療をうける NYS-010 認知症の基礎知識 認知症は何科にいけばよいのでしょう 病院の選択 「精神科」「神経科」「神経内科」 「老年病内科」「老年内科」など、 認知症に限らず身体部分も含めて 診察してくれる総合的な科もある ※最近は認知症の診療を専門的に行う 「物忘れ外来」も多く見られるよう になってきた 大きな総合病院や大学病院では待 ち時間も長く初めての時は躊躇す る場合もあるので、はじめはかかり つけ医に相談するのも一案 認知症の診断基準(DSM) 認知症の検査 臨床症状の問診だけでなく、画像検 査、血液検査、整理検査などを組み 合わせ最終判断とします 意識障害がない「記憶障害」と「判 断力の障害・計画や段取りを立てら れない」症状がでている その為に社会生活や対人関係に支 障をきたしている それが気質病変といわれる「がんや 他の疾患」が原因でない事「うつ病」 の症状ではない事を確認する ポイント DSM Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders の略です。 NYS-010 認知症の基礎知識 認知症の投薬治療 現段階では認知症を根本的に治せ る特効薬はありませんが、投薬によ って症状の進行を遅らせる事がで きると言われています ※ただし、実際の効果は個人差が大き く副作用の可能性もありますので、 かかりつけの医師又は専門機関の 医師にご相談下さい 認知症の種類 発症の割合 認知症の種類には次のようなもの があり原因によって名称が変わり ます ・レビー小体型認知症 ........... 18% ・アルツハイマー型認知症 ....... 55% ・前頭側頭型認知症(ピック病) ・脳血管性認知症 ............... 19% ・その他の認知症 ................ 8% ポイント 3大認知症 アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体認知症 アルツハイマー型認知症は、全体の 55%を占めています アルツハイマー型認知症 アルツハイマー病が原因で起こる 認知症 ※アルツハイマー病が発症すると神経 細胞の死滅が進み脳の委縮が進ん でいきます 最近よく転ぶようになったという 人は要注意 ※アルツハイマー病の場合、歩くこと にかかわる脳構造が死んでいき、初 期症状として「転倒」がおこります NYS-010 認知症の基礎知識 ロコモティブシンドローム 「転倒」の原因は骨格や筋肉の老化によるものもあります 運動機能障害 加齢に伴って筋力 や持続力、歩くスピードも低下し 「転倒」しやすくなる ※略してロコモという場合も あります 「転ぶことが多くなった」という場 合、又は「転倒して骨折してしまっ た」などの場合は、整形外科と合わ せて神経内科の両方を受診し、医者 の診断を仰ぎ治療をうけなければ なりません アルツハイマー発症後の症状 アルツハイマー発病後の症状は 3 段階に分けられます 第1期 はじめに「転倒」が起こり、新しい 事が覚えられない「学習障害」、今 日の日付や現在の時刻がわからな くなる「見当識障害」が現れます ※不安や恐怖など感情の動揺も見られ これまでできていた社会生活がで きにくくなる事が初期のサインで す 第2期 記憶力は少しずつ減退し、最近の記 憶だけでなく昔の記憶も少しずつ 薄れて行きます 論理的に計画・実 行ができない「実行機能障害」など の症状がでてくる為、着替え、入浴、 トイレといった「自分のこと」も次 第に出来なくなります ※この頃になると自分のいる場所がわ からなくて道に迷い「徘徊」してし まう事もあります 日常生活をお くるには介助が必要になり、話が難 しくなると、取り繕ったり、作り話 も目立つ様になります NYS-010 認知症の基礎知識 第3期 歩けない、食事ができない、発する 言葉も減り寝たきりになります 脳の委縮が進み、自分の事や親しい 人がわからなくなります 第 2 期で見られた徘徊や妄想はな くなります 入浴、食事の介助が必要になり、歩 く姿や立ち姿が不安定になります やがては寝たきりになり、自発的な 運動や会話もなくなります ※重度に進行した段階では、かなり個 人差があり、簡単な会話ができる人 もいます レビー小体型認知症 大脳皮質の神経細胞にレビー小体 という特殊なたんぱく質が広く出 現することから名付けられた パーキンソン病に似た症状がでる のが特徴 手足が震える・動作がゆ っくりになる・筋肉がこわばるなど がある 初期の段階で「ベッドの上に猫がい る」「天井に蛇がはっている」など 「幻視」がはっきり見える 歩く時に歩幅が小さかったり、細か い指の動きができない 認知機能が1日のうち変化しやす く、午前中は調子がよかったのに午 後になるとボーっとして記憶障害 が起きてしまうというような症状 が、日、または週や月によって変動 する事がある NYS-010 認知症の基礎知識 脳血管性認知症 「脳血管性認知症」は脳梗塞や脳出 血、くも膜下出血など、脳血管障害 が原因で起こる認知症 自分が持っている知識や技術を使 いこなす事が困難になり、日常生活 での「実行機能障害」が現れる 服を着替えようとしているのに、ど こにしまったかわからない、服の前 後上下で戸惑う、ボタンがしめられ ない等の支障がみられます 今日の日付を聞くと、大分時間がた ってから正答がでたりする これ はある知識が失われているのでは なく、知識を引き出すまでに手間が かかっている ※怒りっぽい、涙もろいなど、感情の 動揺・無気力や意欲の減退も見られ ます ポイント アルツハイマー病と脳血管性障害 アルツハイマー病の場合は、知識自体失われているので、いくら時間を かけても答えは出てきませんが、脳血管性障害の場合は時間をかけるこ とで色々なことができる場合もあります NYS-010 認知症の基礎知識 前頭側頭型認知症(ピック病) 大脳の「前頭葉」や「側頭葉」が委 縮しておこる認知症 発症当初は認知障害が目立たず性 格の変化が現れる事がある 発症後の言動 ・店で物を取って食べて 平然としている ・きれい好きだった人が入浴を嫌がる ・仕事をおろそかにする ・すぐ興奮する ・万引きなど衝動的な行動 その他の認知症 胃を切除した人に起こりやすいビ タミン B12 欠乏症 アルコール依存症の人に起こりや すいビタミン B1 欠乏症 甲状腺機能低下症などによって認 知症のような症状が出ることがあ る ポイント アルコール依存症 アルコール依存症の高齢者は依存症者全体の 20%を占め、そのうち、治 療中の患者(60 歳以上)の 40%もの人に、認知症状が見られるというデ ータがあります。またアルツハイマー型やレビー小体型の認知症と合併 する場合もあります。 アルコール性の認知症のみでは、治療である程度の改善が期待されるの ですが、他の認知症と合併してしまうと改善は困難になります 若年認知症 若年認知症は 64 歳以下で発症した 認知症の総称 18 歳~39 歳は若年性認知症 40 歳~64 歳は初老期認知症 NYS-010 認知症の基礎知識 若年性認知症患者は 4 万人弱 18 歳~64 歳中 10 万人当たり 47.6 人(0.05%) 男性が多い 発病年齢は平均で 51 歳 脳血管性・アルツハイマー型が圧倒 的に多い 脳血管性では、はっきりしている時 と、全く理解が出来ない時が出る、 まだら認知になる特徴があります 言葉が出てこず、あれやこれといっ た表現が多くなる事があります アルツハイマー型では、失認や視空 間失認が起こりやすくなります ドアなどが見えているのに、部屋か ら出られないとグルグル部屋を回 っていたり、本人の目の前にある物 を取って欲しいと言っても、言われ たものと目の前にある物が結びつ かず、取れなくなったりします 時計の文字盤を書いてと言っても 正確に書けません。また何時何分と 指定して、針を書いてもらっても正 確に書けない事が多くなります 幻視を訴える場合が多く、何もない 所に向かって話しかけたり、怒った りするため、精神疾患と間違われる 場合もあります 手が震えたり、動きが遅くなるパー キンソン病に似た症状が見られや すくなります ポイント 若年認知症の問題 事例は少ないのですが、高齢者に比べて問題は深刻です。多くは働いて いる時期に発症しますので、収入が減り経済的問題を抱えます 高齢者の認知症よりも進行が早いと言われていますので、早期発見し治 療を行い、症状の進行を遅くするための早い段階での受診が必要です NYS-010 認知症の基礎知識 認知症一覧 ミニテスト(解答はこの講座テキストの後半に掲載) 問1「3大認知症」として広く知られている認知症を3つあげましょう。 レビー小体型認知症 アルツハイマー型認知症 前頭側頭型認知症(ピック病) 脳血管性認知症 その他の認知症 問2 アルツハイマー型発症後の症状は 2段階 3段階 4段階 5段階 何段階にわけられるでしょう。 問3 若年性認知症は何歳以下で発症した認知症の総称でしょう。 60 歳 64 歳 70 歳 75 歳