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ME瞑想 実践マニュアル Mind Essence version 2.0 一般社団法人ME応用心理学研究所 深瀬 啓介 Keisuke Fukase. Practice manual of Mind Essence meditation version 2.0 Institute Of Mind Essence Applied Psychology.April 2015. ME瞑想 ME瞑想 瞑想は認知面や感情面において大きなメリットをもたらす可能性があり、臨床心理学や精神医学、予防医 学、教育の目的と多く重なっています。また、瞑想にはうつ病や慢性疼痛の治療、全体的な安寧感(あんね いかん)を養成する効果があることが分かってきています。近年の研究では、長年瞑想を続けていると脳が 変化することが分かっています。さらに、瞑想は前帯状皮質や海馬に変化を与えるということが確かめられ ていることから、自己統制という、不適切な反応の意識的抑制や感情の統制、計画の柔軟性の向上や複雑な 思考、戦略決定における直感の向上や自己認識、痛みへの耐性、ストレスによるうつ病やPTSDなどへの抵 抗力の強化などにも影響を及ぼすことがわかって来ています。しかも、これらの神経科学的発見は、まだま だ瞑想研究の始まりにすぎないと言われています。 瞑想には、集中して気を散らさずに注意力を保つ「フォーカス・アテンション」と、現在の感情や思考や感 覚に対する気づきを持つ「オープン・モニタリング」という代表的な二つのメソッドがあります。これらの メソッドは全く違うように見え、実はある程度同時に行うことができます。それは、思考を何かに向けてお き、周囲の状況や自分自身の状態に自然な気づきを持ち続けるということです。ME瞑想はこのような統合 的瞑想として、宗教的または何らかの儀式的側面を完全に排除した、メンタルトレーニング、脳訓練法とし て開発されました。 ME瞑想では、何かに気づいている「意識」と、何かを考えたり思ったりするような「意志」を分けていま す。そして、意識には「態度」を、意志には「矛先・ベクトル」を与えます。ME瞑想における意識の態度 は、オープン・モニタリングです。これは、周囲の音、風や匂いなどの環境の刺激や、自分の頭に浮かんで きた考え、感じた感情、体の感覚などへの気づきに捉われることなくただ観察し続けるというものです。そ して、その状態のまま、意志は「支援音」というのに向け続けます。呼吸に意識を向けないのは、それが自 然のままに無意識で自動的に調整されるようにするためです。支援音は声として出さないので、正確には 「音」ではないのですが、なるべく口腔内が開かれた自然な音で、舌や喉の筋肉を緊張させない音が選ばれ ています。音、言葉には、それを思っただけでも、無意識で口腔や喉の筋肉とつながっている脳の反応が起 こってしまい、それが何らかの印象をその人に抱かせてしまう可能性があるためです。支援音に集中するこ とにより、環境や自分自身についてのさまざまなことに捉われずに手放すことができ、「今この瞬間」に在 り続けることができるようになります。 瞑想の準備 ME瞑想は、特別な状態を作らずに、できるだけ自然な環境で体験の中に入っていく瞑想です。なので、特 に準備は必要ありません。極端な例では、人通りの多い商店街の真ん中で立って行ってもかまいませんが、 その場合は通行している人の邪魔になるでしょうし、あなたが怪しい人と思われて声をかけられ、瞑想を中 断しなければならなくなるかもしれません。ME瞑想が特別な空間やポーズを必要としないのは、何時間も 何日も座り続ける必要はないということと、どのような環境であっても瞑想状態を再現できるように脳を訓 練するためです。 mem-01 ME瞑想 ME瞑想では、瞑想のための特別な場所を用意する必要はありません。塩を盛ったり聖水で清めたりする必 要も、お香やアロマを使ったり瞑想用の音楽をかけたりする必要もありません。それでも、やりたければ やっても構いません。しかし、そのような特別な環境にいなければ瞑想ができないという思い込みは手放し ましょう。瞑想を毎日長く続けていると、瞑想をしていなくても、静かに落ち着いた明晰な意識を自然と 保っている状態になるでしょう。長く瞑想を続けると人の脳は変化するということも分かっています。ME 瞑想では、特別な環境を用意する必要はありませんので、仕事場でいつもの椅子に座って短時間行うことも できるのです。 服装はどのようなものであってもいいですが、最初はリラックスのために時計を外すやベルトを少しゆるめ るということを行っても構いません。座り方は自由です。椅子に座っても、壁にもたれても、座布団の上で あぐらをかいてもよいです。横になって寝ると瞑想の途中で眠ってしまうかもしれませんので、どうしても 横になった姿勢しかできない人以外はお勧めしません。慣れて来たら、立って瞑想したり、歩いて瞑想した りも可能です。飛行機が怖い人なら、飛行機に乗っている時に行うと、いつもの深いリラックスした状態を 得られるでしょう。 ME瞑想のステップ ME瞑想のステップは次の三つです。 (1)支援音を選ぶ。 →3つの支援音から1つを選んでそれを使い続けます。なので、このステップは初めの1回だけです。 (2)瞑想を始める。 →支援音を繰り返して、「今この瞬間」の体験の中に入って行きます。 (3)瞑想を終える。 →ゆっくり目覚めて、フラつかないよう、しっかり起きます。 (1)支援音を選ぶ 「HAUN(ハウン)」、「AUN(アウン)」、「OUN(オウン)」という三つの「支援音」の内のどれか一 つを選びます。一度選んだなら、それを使い続けてください。瞑想の途中では一つの支援音を繰り返しま す。支援音に慣れてくると、より無意識的に使えるようになりますので、一度選んだら、安易に変更はしな いでください。 支援音は注意を内側に向けるための乗り物のようなもので、特別な意味はありません。支援音は、とても微 かな「思い」のようなものです。なので、口を動かしてはっきりと唱えるものではありません。だからと 言って、支援音を微かなものにしようとする必要はありません。支援音は努力するものではないからです。 呼吸に合わせて唱える必要もありませんし、心臓の鼓動に合わせる必要もありませんし、速く繰り返す必要 もありませんし、意図的にゆっくり繰り返す必要もありません。自分のペースで、心の中で自然に繰り返し mem-02 ME瞑想 てください。唱え続けている 内に、呼吸や心臓の鼓動に合ってしまっていても問題はありません。ずっと 合っていてもよいし、しばらくして離れて行ったなら、それでも構いません。繰り返している途中で意図せ ず支援音が変わってもそのままにしておきましょう。 支援音はコントロールしようとせずに、自分のペースで自然に繰り返してください。また、瞑想以外で支援 音を思い出す必要もありません。起きている時は支援音など忘れて構いません。 (2)瞑想を始める 初めの方は、朝と夕に1日2回、1回15分から30分ぐらい行います。朝起きて、トイレに行って、お湯や水 を飲んで行うのもいいかもしれません。夕方は夕食前に行うことを勧めますが、あまりこだわらなくてもい いです。時間はきっちり計って行わなくてもよく、15分の瞑想で5分オーバーしても問題はありません。目 を閉じて瞑想を行っていたなら、瞑想中にゆっくり目を開けて時計を確認すればいいのです。時間がまだな ら、また目を閉じて瞑想を続け、時間が来たら瞑想を終えます。時間を計る時には電子的な大きなアラーム を使わない方がいいでしょう。びっくりしてしまう音、気に触る音は使わないでください。その音でドキド キしてしまいます。どうしても、音を使いたい場合は自分が心地よく聞こえる音を使ってください。 目は閉じても閉じなくてもどちらでも構いません。慣れてない人や、深い瞑想状態に入りたい人は目を軽く 閉じるとよいでしょう。慣れていない人が目を開いていると、キョロキョロしてしまったり、見えているも のに気を取られ過ぎて考え事の中に入ってしまったりと、振り回されます。そのような状態も体験としては よいのですが、自分が思考に入り込んでしまったということに気づきがない状態が続いてしまいます。ME 瞑想は、「意志を支援音に向けておき、周囲の状況や自分自身の状態に自然な気づきを持ち続ける」という 方法ですので、なるべく体験に振り回されないよう、慣れていない人は目を閉じて行うことを勧めます。 次に、支援音を心の中で繰り返します。なるべく最初に選んだ1つの支援音を使ってください。毎回変えな いで長く使ってください。どうしても変えたいと思ったなら、その思いを観察してみることを勧めます。変 えたい支援音を繰り返している時、そこにどのような考えや感情があるのかに気づきを持ってみましょう。 そのうち、変えなくてもよくなるかもしれません。 ME瞑想で行うことは、支援音を心の中で繰り返すだけです。気づきというのは、自然なものですので、何 かをする必要は全くありません。砂漠の真ん中には気づきが少なく、都会の交差点には気づきが多いという ことはありません。その時の状態によって体験は変わるものです。常に必要なことが起こっているに過ぎな いので、どれが正しいのかと評価する必要はありません。どれも正しい個人の体験です。 瞑想中は支援音を繰り返して、自然とやって来る体験を判断せずに、ただ気づいているという状態に在り続 けます。瞑想が深まって行かない、止まっているような感じがしても問題はありません。むしろ、何かのス トレスを解消している時かもしれないので、とてもよく瞑想できているでしょう。勝手に浮かんでくる考え mem-03 ME瞑想 というのも体験の一つです。ストレス解消のために出てきた思考や感情は古い記憶かもしれないし、最近の 出来事かもしれないですが、本当のことは分かりません。分析したいという考えや感情も手放しましょう。 それも自動的に浮かんでくる体験の一つでしかありません。思考や感情に気づいたら、また支援音に戻って ください。 雑念がやってくるのは自然なことで、悪いことや避けなければならないことではありません。雑念を意図的 に払うようなコントロールをする必要はありません。ただ、「思考」と気づいて、また支援音に戻ってくだ さい。 眠気というのは、疲れを解消しようとして自然になる状態です。眠気を感じたら、「眠気」と気づいて、ま た支援音に戻るだけでいいのです。寝てしまっても、起きたら「寝ていたな」と気づいて、また支援音に 戻ってください。 聞こえてくる騒音は、単なる気づきに対しての「現れ」であり、とくに頑張って気をとられないようにする 必要はありません。ただ、「音」と気づいて、また支援音に戻ってください。その時その時の状態があり、 それに気づいていればいいのです。思考や感情や記憶や感覚などの気づきに対する「現れ」は、やってきて は去っていくもので、これは自然なことです。ただ気づいて、また支援音に戻ってください。 瞑想というのは個人の体験であって、他の人と比べるものではありません。ただ「今この瞬間」の自分の体 験をしていればいいのです。「集中していなかった」、「雑念が多かった」、「寝ていた」、「ずっと考え 事をしてしまった」…などは、どれも悪いことではありません。それでもしっか瞑想をしていたのです。 瞑想中に何らかのアイディアが出て来てしまい、どうしても瞑想に集中できないのであれば、メモを取って もいいですが、直ぐに瞑想に戻りましょう。それは、アイディアが大切なのではなく、アイディアでさえも 単なる気づきに対しての「現れ」に過ぎないためです。アイディアを出すために瞑想を行ってもいいのです が、瞑想の目的とはズレるでしょう。瞑想は何かを成し遂げるために行うのではないからです。何にも執着 しないで「今この瞬間」に在り続けるというのが目的です。なので、瞑想中の想念は大切ではありません。 例えば、天使が現れてあなたに何らかの指示を出したとしても、その事が瞑想を止める理由にはなりませ ん。何かのメッセージを受け取ったとしても、瞑想を終えた後に忘れても問題はありません。全ての体験は 気づきに対してのたんなる「現れ」に過ぎません。体験はやってきては去っていくものです。あなたはそれ らの体験に気づいているということだけで、「現れ」に特別な意味は何もありません。ただ支援音を繰り返 して、瞑想を続けてください。 あなたが、何らかの瞑想の効果を信じていなくても構いません。それでも、毎日続けることが大切です。瞑 想中に「自分は毎日何をやっているのだろう」…という考えが浮かんでも構いません。そのような時でも 「思考」と気づいて、また支援音に戻ってください。15分の瞑想で10分考え事をしてしまっていたとして も、それはそれで問題はありません、瞑想はよくできています。 mem-04 ME瞑想 どのような思考や感情や感覚がやってきたとしても、また、それら思考や感情や感覚の中に入ってしまった としても、眠ってしまったとしても、気づいたときにまた支援音に戻るだけでよいのです。「ちゃんと瞑想 はできているだろうか?」という疑問もただの気づきに対しての「現れ」ですので、その考えの中に入ら ず、また支援音に戻ってください。心配しなくても、瞑想はできています。 (3)瞑想を終える 瞑想を終える時は、少し時間を取ってください。目を閉じている場合は、ゆっくり目を開け、背伸びをした り首を回したりしてください。しっかり目覚めるということが大切です。すぐに立ち上がって行動を始める と、くらくらすることがありますので注意してください。脳のためにも、心臓のためにも、安全のためにも 瞑想後は時間を取って、ゆっくり行動を始めてください。 ME瞑想が深まっているしるし 以下のうちのどれか一つでもあてはまれば、よく瞑想できているでしょう。 ※あてはまるものがなくてもいいのですが、一つの参考としてください。 (1)支援音はもはや音ではなく、フィーリングのようなものになっている。 (2)呼吸がゆっくりとなり、深くなっていく。 (3)呼吸をすることを忘れていたかのように、突然大きな深呼吸がやってくる。 (4)手足の感覚がなくなっていく。 (5)眠気がやってくる。 (6)動きたくなるような、ムズムズした感覚を感じる。我慢しないで動いても良い。 (7)かゆみが出てくる。かゆいでも良い。 (8)気持ちが良くなる。 (9)気づきと「現れ」の関係が一体となって体験される。 (10)ただ静かに「在る」状態になっている。 (11)愛や至福を感じる。 mem-05 ME瞑想 瞑想にまつわる5つの嘘 以下のことは間違いです。 (1)瞑想とは、心を無にすることである 我々の脳は気まぐれな子犬のようなものでコントロールすることはできません。そうした脳の動きをとらえ て、1つの目的に集中できるようにするのがME瞑想です。 (2)瞑想には宗教が必要 確かに瞑想のルーツは、仏教やヒンズー教の哲学にあります。だからといって、それらの宗教を信じる必要 はありません。 (3)瞑想には、お香や音楽、その他もろもろのグッズが必要 ME瞑想に必要なのは自分だけです。催眠誘導的な瞑想でないかぎり、むしろ余計な刺激は準備しない方が よいでしょう。日常の環境はそのままでよく、外の音が少々聞こえていても構いません。催眠状態になるこ とがME瞑想の目的ではないからです。 (4)瞑想の恩恵を得るには、何年もの修業が必要 長く続けていれば、より早く瞑想状態に入ることができるようになるでしょうし、脳の構造も変わってくる でしょうが、それはあまり重要なことではありません。常に「今この瞬間」に在り続けるということが大切 です。どのような瞬間であっても、その人だけの体験がされていて、それで完璧なのです。瞑想の体験を人 と比べることはできません。 (5)瞑想は瞬間的なものであり、終わったらいつもの生活が待っている ME瞑想の効果は瞑想中だけにとどまりません。瞑想が終わった後でも、しばらく落ち着いた状態は続きま す。長く続けていると、その効果も長くなります。 ■注意事項等 (1)本資料はME瞑想の実践マニュアルとして一般に公開されているものです。 (2)重大な精神疾患をお持ちでない方が対象ですが、心配な場合はかかりつけの医師に相談してください。 (3)ME瞑想は安全にできるよう開発されていますが、万が一、気分が悪くなった等の場合は直ぐに中止し、 不安であれば医師の診断を受けてください。 (4)一般社団法人ME応用心理学研究所は、全ての責任を負うものではございませんし、全てのご質問にお答えすることもできません。 (5)本資料の著作権は一般社団法人ME応用心理学研究所にあります。 (6)配布やダウンロードはご自由に行ってください。 (7)本資料の内容を無断で改変されたものはME瞑想とは全く関係はなくなります。 Keisuke Fukase. Practice manual of Mind Essence meditation version 2.0 Institute Of Mind Essence Applied Psychology.August 2015. [著者] 一般社団法人ME応用心理学研究所(Institute Of Mind Essence Applied Psychology.) 深瀬 啓介 [事務局]〒983-0857仙台市宮城野区東十番丁65−506 [研修室]〒983-0861仙台市宮城野区鉄砲町166−502 TEL:022-298-5766 FAX:022-292-8336 [e-mail] [email protected] [URL] http://www.cog.pw/ mem-06