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2次元電気泳動装置Auto2Dを用いたタンパク質の同定
No. 2 2次元電気泳動装置 Auto2Dを用いたタンパク質の同定 北里大学 薬学部 服部成介先生、佐藤龍洋先生 研究概要と方法 Auto2D 泳動条件 Auto2Dはゲルの分離サイズが幅52mm×奥行 48mm×厚さ1mmと小さいために検出される2次元電気 泳動(2-DE) のスポットサイズも1mm以下と非常に小さ く密集している。 そのため、 スポットをピッキングする時 に近傍のスポットも取ってしまう恐れがあった。 今回、pH4-5.5のナローIEFチップを用いて分離した タンパク質をIonspray型(MS/MS)質量分析計を用 いて同定を試みた。 20μgのマウス肝臓可溶性タンパク質をサンプルと してAuto2Dに供してメーカー標準レシピに基づいて 2-DEを行った。IEFチップは、pH4-5.5、PAGEチップは、 10.0% アクリルアミドゲルを用いた。2-DE後に銀染色 キットを用いて染色を行った後、 目視で単一に分離され ているスポットから8つのスポットを任意に選択して、 ス ポットを含むゲルをピペットチップの先端でカットしてチ ューブに入れた。 トリプシン消化を行った後、C18カートリ ッジで精製してペプチド断片を得た。Nano-LCにア プライしたペプチドをLC-MS/MSシステムを用いて 同定した。解析およびタンパク質の同定は、 マウスタン パク質データベースと照合し行った。 膨 潤 IEF 平衡化 SDS-PAGE 膨潤時間:5分 電流リミット:100μA STEP1: 200V、 5分、維持 → STEP2:1000V、 5分、 リニア → STEP3:1000V、 5分、維持 → STEP4:7000V、15分、 リニア → STEP5:7000V、 5分、維持 平衡化時間 1:5分 平衡化時間 2:0分 平衡化時間 3:0分 振とう幅:1.000mm 駆動モード:定電流 STEP1 定電流設定値:20mA 電圧リミット:300V 電気泳動時間:30分 Auto2D アプリケーションデータ 結果および考察 pH4-5.5のIEFチップで2次元電気泳動を行った ときのタンパク質スポットパターンはゲルをピッキングで きる程度に隣接するスポットと離れていた (図1)。 ストリ ーク上にない8つの濃さの異なるタンパク質スポットをカ ット (図2) してLC-MS同定を行った結果、 いずれも高い 信頼度でタンパク質同定を行う事ができた (表1,図3)。 以上の結果から、Auto2Dのゲルは小さくても、pH 範囲の狭いIEFチップを用いる事によってタンパク質 同定を行う事が可能であることが示された。 サンプル導入時間:30分 等電点 4 5.5 155 98 63 分 子 量 40 32 21 11 Auto2Dで2-DEを行ったマウス肝臓可溶性タンパク質の2ゲル画像 試料:マウス肝臓可溶性タンパク質(20μg) IEFチップ:pH4-5.5 PAGEチップ:10.0% アクリルアミドゲル ● 染色:銀染色 ● ● (図1) Auto2D アプリケーションデータ タンパク質同定したスポットの位置(図2) 同定したタンパク質(図3) Spot# Protein name 1 2 3 4 6 5 Calculated pl Mw(kDa) 1. 78kDa glucose-regulated protein P06761 5.07 90.8 2. ATP synthase subunit beta,mitochondrial P10719 5.18 56.4 3. 60 kDa heat shock protein,mitochondrial P63039 5.91 61.0 4. Actin,cytoplasmic 1 Actin,cytoplasmic 2 P60711 P63259 5.29 41.7 5. Actin,cytoplasmic 1 Actin,cytoplasmic 2 6. Protein SEC13 homolog Q5XFW8 5.15 35.5 7. Proteasome subunit alpha type-5 P34064 4.79 26.4 8. Lactoylglutathione lyase Q6P7Q4 5.12 20.8 7 8 UniProt Accession# #1 Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) 45.81 61.31 48.01 40.37 2 21.05 21.05 21.05 Accession | | sp| P62989| UBIQ_RAT sp P06761 GRP78_RAT Name 78 kDa glucose-regulated protein OS=Rattus norvegicus GN=Hspa5 PE=1 SV=1 Ubiquitin OS=Rattus norvegicus GN=Rps27a PE=1 SV=1 #2 Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) Accession Name 55.81 75.99 69.94 69.94 ATP synthase subunit beta, mitochondrial OS=Rattus norvegicus GN=Atp5b PE=1 SV=2 10.61 45.17 22.70 16.63 2.54 23.26 2.56 2.56 7.64 33.48 16.63 13.26 | | sp| Q6P9T8| TBB2C_RAT sp| P47819| GFAP_RAT sp| P85108| TBB2A_RAT Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) 35.64 60.21 52.88 48.34 sp P10719 ATPB_RAT Tubulin beta-2C chain OS=Rattus norvegicus GN=Tubb2c PE=1 SV=1 Glial fibrillary acidic protein OS=Rattus norvegicus GN=Gfap PE=1 SV=2 Tubulin beta-2A chain OS=Rattus norvegicus GN=Tubb2a PE=1 SV=1 #3 Accession | | sp P63039 CH60_RAT Name 60 kDa heat shock protein, mitochondrial OS=Rattus norvegicus GN=Hspd1 PE=1 SV=1 #4 Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) Accession 63.41 84.00 80.27 75.20 61.42 84.00 75.73 70.67 22.46 79.58 35.81 25.20 | | sp| P63259| ACTG_RAT sp| P68035| ACTC_RAT sp P60711 ACTB_RAT Name Actin, cytoplasmic 1 OS=Rattus norvegicus GN=Actb PE=1 SV=1 Actin, cytoplasmic 2 OS=Rattus norvegicus GN=Actg1 PE=1 SV=1 Actin, alpha cardiac muscle 1 OS=Rattus norvegicus GN=Actc1 PE=1 SV=1 #5 Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) 11.59 45.60 31.47 31.47 11.59 45.60 31.47 31.47 4 14.88 2.56 2.56 Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) 2.74 12.11 8.70 3.42 Accession | | sp| P60711| ACTB_RAT sp| P47819| GFAP_RAT sp P63259 ACTG_RAT Name Actin, cytoplasmic 2 OS=Rattus norvegicus GN=Actg1 PE=1 SV=1 Actin, cytoplasmic 1 OS=Rattus norvegicus GN=Actb PE=1 SV=1 Glial fibrillary acidic protein OS=Rattus norvegicus GN=Gfap PE=1 SV=2 #6 Accession | Name | sp Q5XFW8 SEC13_RAT Protein SEC13 homolog OS=Rattus norvegicus GN=Sec13 PE=1 SV=1 #7 Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) Accession 10.81 45.64 31.12 26.97 2.03 16.20 2.13 2.13 2.03 11.59 2.15 2.15 2.03 8.97 2.14 2.14 2 11.43 5.71 5.71 | | sp| P48675| DESM_RAT sp| P31000| VIME_RAT sp| P21807| PERI_RAT sp| P68255| 1433T_RAT Total %Cov %Cov(50) %Cov(95) Accession 3.39 42.39 19.57 9.24 sp Q6P7Q4 LGUL_RAT sp P34064 PSA5_RAT Name Proteasome subunit alpha type-5 OS=Rattus norvegicus GN=Psma5 PE=2 SV=1 Desmin OS=Rattus norvegicus GN=Des PE=2 SV=2 Vimentin OS=Rattus norvegicus GN=Vim PE=1 SV=2 Peripherin OS=Rattus norvegicus GN=Prph PE=1 SV=1 14-3-3 protein theta OS=Rattus norvegicus GN=Ywhaq PE=1 SV=1 #8 | | Name Lactoylglutathione lyase OS=Rattus norvegicus GN=Glo1 PE=1 SV=3 (表1)各スポットのスコアの詳細 LC-MS/MS分析を行った後、 質量分析ソフトウェアを用いて解析を行った結果、#1-8のスポットすべてにおいてタンパク質を同定 することができた。 図3はもっともトータルスコアの高かった結果を記載している。 (注意) 当資料の内容を他で引用する場合には下記までご相談ください タンパク質解析・2次元電気泳動装置 ●本資料は発行時の情報に基づいて作成されており、予告なく改訂することがあります。 〒581-8581 大阪府八尾市跡部本町4丁目1番33号 TEL (072)991- 0681 (代表) URL http://www.sharp.co.jp/sms/ この資料の内容は、 2012年9月現在のものです。 SMS-152