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最近の国際協力銀行(JBIC)の取り組み
最近の国際協力銀行(JBIC)の取り組み -総裁定例記者会見- 平成25年2月28日 株式会社国際協力銀行 1 1.円高対応緊急ファシリティの実施状況 (2011年9月~) (1)円高対応緊急ファシリティの概要 日本政府が2011年8月に発表した「円高対応緊急パッケージ」を受け、円高の進行に対応し、 日本企業による海外企業の買収や資源・エネルギーの確保などを促進するべく、「円高対応 緊急ファシリティ」 を設置(本ファシリティの期限は2013年3月末まで)。なお、2012年12月に は、大規模自然災害や暴動等、事業者の責めに帰することのできない事由により、急激な売 上げの減少等、安定的な事業継続への支障が広範囲の進出日系企業に及んでいる開発途 上地域に進出している日系企業に係る案件も、本ファシリティの支援対象に含めた。 (2)円高対応緊急ファシリティの実施状況 (2013年2月27日時点公表ベース) 種 別 件数 本行承諾額 (注1) ①資源・エネルギーの確保・開発の促進 29 23,170百万米ドル ②M&A支援(注2) 20 10,824百万米ドル 49 33,994百万米ドル (注1) 1ユーロ=1.310米ドル、1加ドル=1.012米ドル、1豪ドル=1.05米ドルで換算(単位未満四捨五入) (注2) M&Aクレジットラインについては、JBICは、㈱三菱東京UFJ銀行(150億米ドル限度)、㈱三井住友銀行及び㈱みずほコーポ レート銀行(各140億米ドル限度)、三菱UFJ信託銀行㈱、三井住友信託銀行㈱、農林中央金庫、㈱みずほ銀行及び㈱りそな 銀行(各20億米ドル限度)、日本生命保険相互会社(10億米ドル限度)、㈱日本政策投資銀行(DBJ、3.5億米ドル限度)、㈱千 葉銀行(1億米ドル限度)及び㈱池田泉州銀行(20百万米ドル限度)との間で、海外M&Aや中堅・中小海外事業安定化支援に 係るクレジットライン設定のための一般協定を締結しており、本ファシリティに基づく既設定済クレジットラインの総額は544.7 億米ドル限度。但し、DBJとの一般協定は中堅・中小企業のM&Aのみが対象。 2 円高対応緊急ファシリティによる支援案件一覧(平成25年2月27日時点公表ベース) 【49件、総額約340億米ドル】(1ユーロ=1.310米ドル、1加ドル=1.012米ドル、1豪ドル=1.05米ドルで換算) 【資源関連】 29件 約232億米ドル (2011年9月以降のJBIC融資承諾累計。単位未満四捨五入) 発表年月 プロジェクト名 2011年11月、2012年7月(注1) 豪州/ウィートストーンLNGプロジェクト権益取得 2011年11月・12月、2012年9月(注2) パプアニューギニア/LNGプロジェクト権益取得 2012年2月 豪州/ケストレル炭鉱の新規鉱区開発 2012年3月 コロンビア/ドラモンド炭鉱権益取得 2012年3月・8月(注3) チリ/シエラゴルダ銅鉱山開発 2012年3月 カナダ/アロエッテ・アルミ製錬事業権益取得 2012年3月 豪州/ゴーゴンLNGプロジェクト開発 2012年3月 カナダ/グランドキャッシュ炭鉱権益取得 2012年7月 米国/イーグルフォード・シェール・オイル鉱区開発 (注1)豪州/ウィートストーンLNGプロジェクトでは、JBICは、2011年11月に九州電力㈱の豪州子会社との間で貸付契約を締結。また、 2012年7月に本プロジェクトの本邦民間株主及びパンパシフィックエネルギー㈱(PE社)との間で、PE社の優先株引受に係る契 約を締結。これとは別に、東京電力㈱とPE社の豪州現地法人との間で貸付契約を締結済。これらを纏めて1件としてカウント。 (注2)パプアニューギニア・LNGプロジェクトでは、JBICは、2011年11月に丸紅㈱との間で、2011年12月にJX日鉱日石開発㈱の豪州子 会社との間で、2012年9月にJX日鉱日石開発㈱及び丸紅㈱の米国子会社との間で、それぞれ貸付契約を締結済。これらを纏 めて1件としてカウント。 (注3)シエラゴルダ銅鉱山開発プロジェクトでは、JBICは、2012年3月にシエラゴルダ銅鉱山開発プロジェクトの実施主体との間で、2012 年8月に住友商事㈱及びシエラゴルダ銅鉱山開発プロジェクトの実施主体との間で、それぞれ貸付契約を締結済。これらを纏め て1件としてカウント。 3 円高対応緊急ファシリティによる支援案件一覧(平成25年2月27日時点公表ベース) 【資源関連】 (続き) 発表年月 プロジェクト名 2012年8月 カナダ/シェールガス権益(ブリティッシュコロンビア州モントニー)取得・開発 2012年8月 カナダ/シェールガス権益(ブリティッシュコロンビア州ホーンリバー、コルドバ及 びリアード)取得・開発 2012年8月 ブラジル/植林及び木材チップの製造・販売事業 2012年8月 豪州/バイヤウェン炭鉱権益取得 2012年8月 カナダ/ピースリバー炭鉱(ススカ鉱区、スクンカ鉱区)権益取得 2012年8月 豪州/アイザック・プレーンズ炭鉱権益取得 2012年8月 カナダ/炭層メタンガスの権益取得・開発 2012年10月 米国/タイトオイル権益取得・開発(注4) 2012年10月 インドネシア/木材チップの製造・販売事業 2012年10月 ブラジル/ニオブ生産企業の株式取得(注5) 2012年10月 アラブ首長国連邦アブダビ首長国/油田権益更新 (注4)米国/タイトオイル権益取得・開発プロジェクトでは、JBICは、2012年10月に住友商事㈱)及び住友商事㈱)の米国現地 法人Summit Discovery Resources III LLCとの間でそれぞれ貸付契約を締結。これらを纏めて1件としてカウント。 (注5)ブラジル/ニオブ生産企業の株式取得プロジェクトでは、JBICは、2012年10月に新日鐵住金㈱)及びJFEホールディング ス㈱との間でそれぞれ貸付契約を締結。これらを纏めて1件としてカウント。 4 円高対応緊急ファシリティによる支援案件一覧(平成25年2月27日時点公表ベース) 【資源関連】 (続き) 発表年月 プロジェクト名 2012年11月 チリ/Anglo American Surの株式取得(注6) 2012年11月 チリ/カセロネス銅鉱山開発(注7) 2012年12月 米国/Samson Investment Companyの株式取得 2012年12月 チリ/エスコンディーダ銅鉱山追加開発 2012年12月 豪州/イクシスガス・コンデンセート田開発(注8) 2013年1月 カザフスタン/カシャガン油田開発 2013年2月 豪州/プレリュードフローティングLNGプロジェクト権益取得・開発 2013年2月 アラブ首長国連邦アブダビ首長国/原油・ガス増産事業 2013年2月 フィリピン/ニッケル・コバルト混合硫化物の製造・販売事業(注9) (注6)チリ/Anglo American Surの株式取得プロジェクトでは、JBICは、2012年11月に三菱商事㈱、三井物産㈱及び三井物産㈱の 100%出資会社であるオランダ王国法人Oriente Copper Netherlands B.V.との間でそれぞれ貸付契約を締結。これらを纏めて 1件としてカウント。 (注7)チリ/カセロネス銅鉱山開発プロジェクトでは、JBICは、2012年11月に三井物産㈱と2件の貸付契約を締結。これらを纏めて1 件としてカウント。 (注8)豪州/イクシスガス・コンデンセート田開発プロジェクトでは、JBICは、2012年12月に豪州法人Ichthys LNG Pty Ltd及び大阪瓦斯 ㈱の豪州現地法人Osaka Gas Ichthys Pty Ltdとの間で、また、2012年11月に東京瓦斯㈱との間でそれぞれ貸付契約を締結。こ れらを纏めて1件としてカウント。 (注9)フィリピン/ニッケル・コバルト混合硫化物の製造・販売事業では、JBICは、2013年2月に住友金属鉱山㈱及び三井物産㈱との 間でそれぞれ貸付契約を締結。これらを纏めて1件としてカウント。 5 円高対応緊急ファシリティによる支援案件一覧(平成25年2月27日時点公表ベース) 【M&A関連】 20件 約108億米ドル 発表年月 プロジェクト名 2012年2月 スウェーデン/ソニー㈱によるソニー・エリクソン社(携帯電話事業)完全子会社化 (注10) 2012年2月 スイス/㈱東芝によるランディス・ギア社(電力メーター等事業)買収(注10) 2012年5月 米国/東京海上日動火災保険㈱によるデルファイ社(保険事業)買収(注10) 2012年5月 スイス/㈱豊田自動織機によるウースター・テクノロジー社(紡績糸品質測定機器等事業)買収(注10) 2012年6月 アイルランド/三井住友ファイナンス&リース㈱、㈱三井住友銀行、住友商事㈱によるRBSの航空機リー ス事業買収 (注11) 2012年7月 イタリア/日本電産㈱によるアンサルド・システム・インダストリー社(産業用モータ等事業)買収 (注10) 2012年8月 米国/東洋製罐㈱によるStolle Machinery Company, LLC社(製缶・製蓋機械事業)買収(注10) 2012年8月 米国/旭化成㈱によるZOLL Medical Corporation(救命救急医療機器事業)買収(注10) 2012年8月 英国/グローリー㈱によるTalaris Topco limited(貨幣処理機事業)買収(注10) 2012年8月 米国/日本電気㈱によるConvergys Corporation(事業支援システム事業)買収(注10) (注10)本邦金融機関向け海外M&Aや中堅・中小海外事業安定化支援に係るクレジットライン経由での融資分。 (注11) JBICは、①被買収会社たるアイルランド法人RBS Aerospace Ltd.(現SMBC Aviation Capital Ltd.)向けの他、株式取得 資金として②三井住友ファイナンス&リース向け及び③住友商事向けの融資を供与しており、これらを纏めて1件として カウント。 6 円高対応緊急ファシリティによる支援案件一覧(平成25年2月27日時点公表ベース) 【M&A関連】 (続き) 発表年月 プロジェクト名 2012年9月 米国/ダイキン工業㈱によるGoodman Global Group, Inc.(空調機器事業)の買収(注10) 2012年9月 キプロス/日本郵船㈱によるCrownvision Ltd.(ロジスティック関連事業)の買収(注10) 2012年9月 英国/ミツカングループによるPremier Group(食酢・ピクルス等事業)の買収(注10) 2012年11月 米国/日本電産㈱によるKinetek Group Inc.(商業用モータ事業)買収 (注10) 2012年12月 英国/UCCホールディングス㈱による英国法人Café 2011 Holdings limited(コーヒー焙煎・卸販売事業)の買 収(注10) 2012年12月 インド/オリックス㈱のインド法人ORIX AUTO INFRASTRUCTURE SERVICES LIMITED(リース、レンタカー事 業等事業)の完全子会社化 2013年1月 フランス/豊田通商㈱によるフランス大手商社CFAO S.A. (自動車、医薬品、消費財事業)の買収(注10) 2013年2月 ドイツ/㈱安川電機によるVIPA GmbH(モーションコントロール事業)の買収(注10) 2013年2月 英国/ミツカングループによるPremier Group(スィートピクルス等売事業)の買収(注10) 2013年2月 スイス/㈱IHIによるIonbondグループ(コーティング受託事業)の買収(注10) (注10)本邦金融機関向け海外M&Aや中堅・中小海外事業安定化支援に係るクレジットライン経由での融資分。 7 2.エネルギー・資源確保への取り組み 国民生活・経済活動を担う資源の安定調達が重要な課題として認識される中、JBICは、日本企業に よる海外でのエネルギー資源や鉱物資源等の開発や権益取得、或いは輸入に必要な資金を支援し ている他、資源分野における日本企業のビジネス機会創出等に向けた取り組みにも力を入れている。 (1)日本企業によるエネルギー資源の権益取得や開発を支援 2012年8月には豊田通商㈱によるカナダでの炭層メタンガス、国際石油開発帝 石(株)(INPEX)や日揮(株)によるシェールガス権益の取得等を支援した他、 同10月には住友商事㈱による米国でのタイトオイルの権益取得や開発資金を 融資するなど、非在来型エネルギーへの支援も実施。同12月には、INPEX及 び日本の電力・ガス会社が権益の約7割を保有し、INPEXが日本企業として初 めてガス田の開発からLNG等の生産までを一貫して行うオペレーターを務める 豪州での大型LNGプロジェクトへの支援を実施した他、2013年2月にはアブダ ビ国営石油会社(ADNOC)向けに原油・ガス増産事業等に必要な資金を融資。 (2)日本企業による鉱物資源の権益取得や開発を支援 2012年8月~12月にかけては、日本の商社によるチリでの複数の銅鉱山開 発事業を支援。また、レアメタル関連でも、同10月には新日鐵住金㈱及び JFEホールディングス㈱によるブラジルでのニオブ生産企業の株式取得資金 を融資した他、2013年2月には三井物産㈱及び住友金属鉱山㈱が出資参画 するフィリピンでのニッケル・コバルトプロジェクト等を支援。 (3)日本企業の資源関連事業参画機会創出等に向けた取り組み JBICは、日本企業による資源の長期安定的な確保や日本企業の事業参画 機会の創出を図るべく、外国の有力企業等との関係強化も進めており、 2012年9月には英国BG Group 、同10月にはブラジル石油公社(ペトロブラ ス)及びアンデス開発公社(CAF)、同12月にはADNOCとの間でも、夫々業 務協力協定を締結。 8 3.海外インフラ事業等への取り組み 我が国産業の国際競争力の維持・向上を図るため、パッケージ型インフラ海外展開をはじめとする海 外案件に対する民間企業の取り組みをより有効に支援することが求められる中、海外での鉄道事業 や発電事業を支援した他、海外でのインフラ案件を投資対象とするファンドにも出資。また、国内造船 所で建造される船舶の輸出なども支援。 (1)日本企業による海外でのインフラ事業展開を支援 2012年7月には㈱日立製作所が英国で行なう都市間高速鉄道事業に融資し た他、同12月には日本車輌製造㈱及び㈱東芝製の鉄道車両のベネズエラ向 け輸出に必要な資金を融資。2012年10月には電源開発(株)が出資参画す るタイでのガス焚複合火力発電事業(三菱重工業(株)製の高効率低環境負 荷の最新発電設備を導入)を支援した他、丸紅㈱によるインドネシア向けの 送変電設備等の輸出を支援。 (2)ファンドを通じた海外でのインフラ事業への参画 2012年12月には、㈱三菱東京UFJ銀行他が参加する東南アジア諸国で のインフラ事業を投資対象とするファンドに出資。 (3)船舶輸出を支援 2012年10月、三菱重工業(株)建造の3次元海底資源探査船のノルウェー 向け輸出、同11月には㈱新来島どっく建造のばら積み貨物船の輸出に必 要な資金を融資。 (4)インフラ分野等における日本企業の事業参画機会創出等に向けた取り組み 2012年9月、ベトナムのハノイ市及びホーチミン市の人民委員会との間で、 インフラプロジェクト等の民間投資事業への日本企業のビジネス拡大支援 を企図した覚書を調印した他、同10月には米国輸出入銀行との間で、日米 両国企業の第三国向け輸出支援のための協定書を締結。 9 4.中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み 経済のグローバル化の進展に伴い、海外市場の成長を取り込むべく海外事業展開に積極的に取り組 む中堅・中小企業が増える中、JBICはこれら企業の海外事業展開に関し、融資等の資金調達支援に 加え、海外投資環境情報の提供や各種セミナーの開催等、情報面からの支援も実施。また、日本の地 方銀行や途上国の地場金融機関などとも連携した中堅・中小企業の海外事業展開支援も推進。 (1)中堅・中小企業向け支援体制を強化 JBICでは現在、本店と西日本オフィス(大阪)夫々に中堅・中小企業向け支援 の専担ユニットを設置し、個別の融資や各種情報提供等を行っているが、2012 年9月以降、取引先企業に対し、法務、会計、税務の専門家を活用したアドバイ ス・サービスも順次開始するなど支援体制を強化。2012年11月には、西日本オ フィスにおいて、西日本所在の中堅・中小企業の取引先にお集まり頂き、「JBIC アジア投資セミナー」を開催。 (2)途上国地場金融機関との連携強化 2012年8月には、インドステイト銀行との間で、日本の地域金融機関を通じた中 堅・中小企業の現地進出支援体制の整備に係る覚書に調印しており、既に多 くの地方銀行が本枠組みに参加。同様の覚書は、タイのカシコン銀行(2011年 5月)、インドネシアのバンクネガラインドネシア(同7月)でも締結済。 (3)日本の地方銀行との連携強化 2012年11月に㈱百十四銀行(本店:香川)との間で、地元企業の海外事業 展開支援に係る情報交換等を企図した業務協力協定を締結すると共に、 同行と協調して地元中小企業のインド事業に必要な資金を融資。また、㈱ 池田泉州銀行(本店:大阪)に対しては、2012年7月に日本企業の海外事業 展開支援のための投資クレジットラインを設定。2013年2月には、㈱池田泉 州銀行及び㈱千葉銀行に対し、夫々M&A及び中堅・中小海外事業安定化 支援クレジットラインを設定するなど、地方銀行との連携を強化。 10 5.地球環境保全等への取り組み 近年、先進国、途上国を問わず、環境保全と経済発展の両立を図ることが共通の課題として認識され る中、JBICは国際経済社会の持続可能な発展に向け、環境保全・改善プロジェクト等への支援に取り 組み中。最近では、日本企業が事業参画する再生可能エネルギー事業向けにプロジェクトファイナン スにより支援した他、海外の地場金融機関向けに再生可能エネルギー関連機器等の輸出支援のた めのクレジットラインを設定した他、海外での温室効果ガス削減事業や植林事業等を支援。 (1)再生可能エネルギー事業を支援 2012年12月、三井物産他が出資参画するカナダでの再生可能 エネルギー発電事業について、カナダドル建のプロジェクトファイ ナンスにより支援。また、インドやトルコの複数の地場金融機関に 対し、日本からの再生可能エネルギー機器や省エネ機器等の輸 出を支援対象とした輸出クレジットラインを設定。 (2)製油所や油田での温室効果ガス排出削減を支援 2012年10月、ブラジル国営石油公社(ペトロブラス)向けに、製油 所でのコジェネレーション事業及び海底油田でのフレアガス削減 事業における温室効果ガス排出削減に必要な資金を融資。 (3)植林及び木材チップの製造・販売事業を支援 2012年8月、日本企業がブラジル現地法人が行う同国での植林 及び製紙原料となる木材チップの製造・販売事業を支援。世界的 に木材チップ需要が拡大し、中長期的に需給の逼迫が見込まれ る中、天然木を使用しない植林木由来の木材チップの長期安定 的な確保への寄与を企図。 11 6.国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処 国際金融秩序の混乱は、日本を含む世界経済や企業活動に深刻な影響を及ぼすところ、JBIC は、これまでも1997年に発生したアジア通貨危機や2008年以降の世界的な金融危機に際し、 日本政府と一体となってさまざまな施策を推進してきました。2011年5月2日に公布・施行された 株式会社国際協力銀行法では、JBICの業務分野の一つとして、「国際金融秩序の混乱の防止 またはその被害への対処」が規定されており、これに基づく様々な取り組みを実施中。 (1)インドネシア政府向けの融資枠設定(国際金融秩序の混乱への予防的取り組み) JBICは2012年7月、インドネシア政府との間で、国際金融市場の混乱に対する同国政府の危機対応 能力を強化するための予防的措置として、世界銀行、アジア開発銀行、豪州政府と協調する形で、総 額1,200億円限度(JBIC分)の融資枠を設定する貸付契約に調印。 (2)ミャンマーの国際金融市場への復帰を支援 JBICは2013年1月、ミャンマー政府に対し、同国のアジア 開発銀行(ADB)及び国際開発協会(IDA)に対する延滞 債務解消のためのブリッジローンを供与。今回のブリッジ ローンにより、ミャンマーの国際金融市場への復帰を支 援することで、中長期的な同国及び周辺地域の安定及び 発展、ひいては国際金融秩序の混乱の防止に繋がること を企図しています。 12 7.日本企業の海外拠点の取引支援に向けた融資制度の拡充 グローバル化の進展を背景に、日本企業の製造拠点の現地化が進行することに伴い、日本企業の第 三国からの調達が増加し、日系現地法人等による第三国への輸出や進出先国内での販売が拡大し つつある中、JBICは2013年2月、(1)日系企業による現地及び第三国生産品を考慮した輸出金融の運 用(3割ルール)の柔軟化及び(2)海外現地法人等による第三国輸出や進出先国での販売支援のため の投資金融(ローカル・バイヤーズ・クレジット、以下「ローカル・バイクレ」)の運用を開始。 1.輸出金融における3割ルールの柔軟化 輸出金融においては、従来より、輸出契約額に3割以 上の本邦品(我が国において生産されたもの)が含ま れること等を要件として、第三国品(仲介品)を含む輸 出契約全体を融資対象とすることができる運用(3割 ルール)としておりましたが、今般、本邦品を「1割以 上」確保し、かつ、本邦品と日系現地法人等において 生産されたもの(日系品)との合計が輸出契約額の3 割以上を確保すること等を要件に、輸出契約全体を 融資対象とすることができるよう、3割ルールを柔軟化 しました。 * 日系品の比率は現地法人に対する本邦親会社 の出資比率を勘案して算定します。 13 (続き)日本企業の海外拠点の取引支援に向けた融資制度の拡充 2.ローカル・バイヤーズ・クレジット(「ローカル・バイクレ」) 投資金融制度の下で、日系現地法人等による設備や 技術の輸出・販売に必要な資金を当該現地法人等の 取引先に対して融資するスキーム(ローカル・バイク レ)の運用を開始しました。 ローカル・バイクレは、日系現地法人等が生産・販売 する財やサービスを購入する買主(バイヤー)に対す る融資を通じて、日本企業の海外拠点の取引を支援 することを目的としたものです。なお、輸出金融と同様 に、外国の銀行等を経由した融資も可能です。 14 8.海外展開支援出資ファシリティの創設 「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(本年1月閣議決定)を踏まえ、JBICは2013年2月、 JBICが本邦投資家や邦銀等と連携し、日本企業によるM&A案件等への出資を目的とする「海 外展開支援出資ファシリティ」を創設。民間の投資を喚起しつつ、日本企業の成長を支援 。 出資により、JBICがリスクマネーを供給することで、中堅・中小企業を含む日本企業の海外 M&A案件やインフラ分野等への海外展開を推進。 海外 日本 出資 日本政府 JBIC 出資 民間 (本邦投資家・ 邦銀等) 日本企業による 海外M&A案件等 出資(※) ※JBICの出資比率は原則として50%未満 15 (参考1) 近年のJBICの主な資源関連案件への取り組み 16 (参考2) 17