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2011 年 4 月 13 日 スポーツ用品市場に関する調査結果 2011 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内スポーツ用品の市場調査を実施した。 1.調査期間:2010 年 12 月~2011 年 3 月 注: 2011 年 3 月に発生した東日本大震災の影響は考慮していない 2.調査対象:スポーツ関連企業・メーカー・卸売業・輸入商社・小売業約 450 社 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに郵送アンケート調査を併用 <スポーツ用品市場とは> 本調査におけるスポーツ用品とは、ゴルフ、スキー・スノーボード、釣り、アスレチックウエア、アウトドア、スポーツシューズ、テ ニス、スイム、野球・ソフトボール、サイクルスポーツ、バドミントン、武道、卓球、フィットネス、サッカー・フットサル、バスケットボ ール、バレーボール、ラグビーの主要 18 分野の関連用品をさす。本年版においてカテゴリーの見直しと追加を行ったため、全 体市場規模等、過去の調査の数値と一致しない箇所がある。 【調査結果サマリー】 2010 年スポーツ用品国内市場は、前年比 100.1%とプラス成長の見込み 2010 年スポーツ用品国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比 100.1%の 1 兆 2,863 億円 の見込みである。 大幅な市場拡大となったカテゴリーは「アウトドア」「サイクルスポーツ」の 2 分野 2010 年スポーツ用品市場全体において、大幅な市場拡大となったのが、「アウトドア用品」と「サイクル スポーツ用品」である。アウトドア用品市場は、若い女性を中心とした「山ガール」による消費が当該市場 の拡大に大きな影響をもたらし、2010 年は前年比 105.5%の 1,443 億円の見込みである。 またサイクルスポーツ用品市場は、世の「健康志向」を追い風にして成長が持続しており、2010 年は 同 104.3%の 316 億円となる見込みである。 健康志向に合致したパーソナルスポーツが好調、牽引したのは女性の活発な活動 「アウトドア」「サイクルスポーツ」以外にも、「スポーツシューズ」における「ランニングシュー ズ」「ウォーキングシューズ」や「アスレチックウエア」における「コンプレッションアンダー ウエア」が好調であり、スポーツ用品市場拡大のプラス要因となっている。これらに共通してい る点は、どれも個人として参加できるパーソナルスポーツ用途の商品群であり、「健康」といっ たキーワードが当てはまるという点である。そして、それら成長カテゴリー(アイテム)を牽引 しているのが女性の活発な活動である。今や「女性」を取り込む事がマーケット成長の必須条件 となっている。 資料体裁 資料名:「2011 年版 スポーツ産業白書」 発刊日:2011 年 3 月 31 日 体 裁:A4 判 607 頁 定 価:146,475 円(本体価格 139,500 円 消費税等 6,975 円) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報宣伝グループ迄お問合せ下さい。 Copyright © 2011 Yano Research Institute Ltd. 2011 年 4 月 13 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況 2010 年のスポーツ用品国内出荷市場規模は、前年比 100.1%の 1 兆 2,863 億 2,000 万円の見込みで ある。スポーツ用品市場は 2009 年に景気後退の影響を受けマイナスに転じたものの、僅かながらとは 言え、1 年でプラス成長へと回復する見通しである。 【 主要カテゴリーの概要 】 1-1. ゴルフ用品 • 2010 年のゴルフ用品国内出荷額は、前年比 99.0%の 2,653 億 9,000 万円になる見込みである。 マイナス幅こそ 1%程度の微減レベルとなっているが、比較対象となる 2009 年が前年(2008 年) 比で 10%近いマイナスにて推移したことを考えると、未だ回復基調とは程遠い状態にあると言える。 商品カテゴリー別に見ると、前年に引き続き「ウッド」「アイアン」を中心としたゴルフ クラブの縮小幅が大きく、市場全体のマイナス要因となっている。「キャディバッグ」や「そ の他バッグ・カバー類」など、ソフトグッズ関連商品の中にはプラス成長している分野も見 受けられるが、それらのプラスもゴルフクラブのマイナスを埋めるまでの力強さは持ち合わ せていない。またこの数年間の当該市場における(市場成長の)「頼みの綱」のような存在 であった「ゴルフウエア」市場も、マイナス幅こそ微減レベルに止まっているものの、2 年 連続のマイナス成長が見込まれる。 1-2. アスレチックウエア • 2010 年の「アスレチックウエア」国内出荷額は、前年比 100.6%の 1,782 億円の見込みである。 本市場はトレーニングウエア、ライフスタイルウエア、陸上競技・ランニングウエアの 3 カ テゴリーから形成される。 リーマンショック以降、生活防衛意識の高まりから不要不急の消費が伸び悩むなか、アス レチックウエアの販売も大きな落ち込みを見せている。特に、以前から定番アイテムとして 定着している競技者向けのベーシックなトレーニングウエアは、景気悪化による買い控えや、 各部活の財政事情からオーダーを控える動きが顕著となっている。さらに各競技種目の専用 トレーニングウエアが充実してきたこと、ユニクロやしまむらといった低価格カジュアル衣 料チェーンが展開するスポーツテイストのウエアに市場を侵食されていることで大きな販 売不振に陥っている。近年、実需以上の商品が供給され続けていることから、流通在庫がダ ブつき特価商材も増加傾向にある。その一方、近年は、運動機能の向上といったほか、疲労 回復やサポーター機能、医療機器といった打ち出しで多種多様なコンセプト商品が登場し急 成長を遂げているコンプレッションアンダーウエアが当市場の成長を下支えしているとい った明るい話題もある。 1-3. スポーツシューズ • 2010 年のスポーツシューズ国内出荷額は、前年比 101.9%の 1,846 億 9,000 万円になる見込みであ る。 当市場はランニングシューズ、ウォーキングシューズ、多目的シューズ、キッズシューズ、 スポーツサンダルの 5 カテゴリーから形成される。 ここ数年、流通在庫の問題が取り沙汰されている本市場であるが、2011 年に入った現在で もこの問題は解決する気配を見せていない。そのうえ、近年、実需以上の商品が投入され続 けた結果、特価商材がかつてないほど氾濫している。 2010 年の国内出荷額は微増推移となっているが、厳しい経済情勢のなかで消費末端の販売 状況を加味すれば、出荷ベースにおいて 2 ケタ以上のマイナス成長に達しても不思議ではな い。それだけ、まだ実需に見合わないプロダクトアウトによる商品供給が続けられていると 言える。 Copyright © 2011 Yano Research Institute Ltd. 2011 年 4 月 13 日 1-4. アウトドア用品 • 2010 年のアウトドア用品国内出荷額は、前年比 105.5%の 1,443 億円になる見込みである。 本市場は、2005 年より堅調にプラス成長を遂げている。成長の主たる要因として根底にあ るのは「健康志向」である。エコや健康ブームを背景にした中高年のトレッキングや軽登山 参加者の増加は、ひと頃に比べるとやや落ち着きを見せるようになってきたが、確実に需要 は安定し、マーケットを下支えている。そして、若い女性達が登山に参加することでメディ アにおける露出も高まり、新規参加者を更に取り込んでいる。今ではアウトドア参加の若い 女性には「山ガール」という呼称が付くほどのトレンドとなっている。 そうした「山ガール」による消費が当該市場の拡大に大きな影響をもたらしている。若い 女性のアウトドア参加が旺盛になってくるにしたがって、トレッキングスタイングが多様化 した。特に、ウエアを始め、シューズやザック・バッグといったアイテムのファッション性 が飛躍的に向上したことで、一人で何点ものウエアや用具を持つようになり、買い増し需要 を取り込むことに繋がっている。 1-5. サイクルスポーツ用品 • 2010 年のサイクルスポーツ用品国内出荷額は、前年比 104.3%の 316 億円になる見込みである。 2007 年から 2009 年にかけてのような高い成長率ではないものの、世の「健康志向」を追 い風にして成長は持続しており、我が国にも少しずつではあるが、「スポーツバイク文化」 というものが着実に根付き始めている。最近では一般メディアなどの取り扱いも多く、また 芸能人など著名人の中にもスポーツバイクを楽しむ人が増えている。巷では「スポーツバイ クブーム到来」などといったことが言われて久しいが、「ブーム」ともてはやされる産業は 市場成長が急激なスピードで実現するが故に、「ブーム」が生じたことによる様々な「反動 (課題や問題)」が遅れて顕在化するのも事実である。当市場においても、需要を超えた供 給により流通在庫にダブつきが見られる等の「ブームゆえの課題」といったものが徐々に浮 き彫りになってきている。 2. 将来展望 2011 年のスポーツ用品国内出荷市場規模は、前年比 102.0%の 1 兆 3,125 億 7,000 万円になると予 測する。 成人男女における健康志向は年々高まりを見せている。また、エコロジーという考え方が一つ の価値として浸透している。今後も健康ブームやエコブームを背景に、「楽しさ」や「爽快感」 などを味わうことができる「アウトドア」「ランニング」「ウォーキング」「サイクル」といっ たパーソナルスポーツが牽引役となって、当該用品市場を拡大させていくと予測する。 一方で、2011 年予測においてマイナス成長を予測するカテゴリーの傾向として見られるのは、 プレーをするのに人数を要するスポーツ、所謂「チームスポーツ」が多いということである。具 体的には「野球・ソフトボール」「サッカー・フットサル」「バスケットボール」「バレーボー ル」である。チームスポーツはプレーヤーに占める学生の割合が高い。こうした結果は、少子化 の影響がいよいよ顕在化したということに加えて、チームスポーツ離れが進行している表れであ ると考える。マーケット全体を底上げしていく為には、チームスポーツ全体の活性化策が喫緊の 課題である。 Copyright © 2011 Yano Research Institute Ltd. 2011 年 4 月 13 日 表 1. スポーツ用品分野別国内市場規模推移 単位:百万円,% 上段:構成比 下段:前年比 2006 2007 % ゴルフ 281,820 % 22.4 294,030 - スキー・スノーボード 67,455 5.4 釣 り 125,330 10.0 60,570 161,980 12.9 アウトドア 119,660 9.5 179,400 13.2 テニス 63,700 5.1 170,090 2.0 野球・ソフトボール 74,470 5.9 25,520 1.6 バドミントン 12,870 1.0 22,600 1.1 卓 球 10,520 0.8 13,690 1.3 サッカー・フットサル 66,100 5.2 19,050 1.6 バレーボール 10,780 0.9 20,140 1,259,360 100.0 - 1.1 0.8 1.5 5.1 1.6 0.8 1,790 0.1 1,297,835 100.0 10.6 13.6 4.6 2.0 5.8 2.1 1.0 13,450 1.0 181,310 0.8 1.4 5.1 24,330 1.5 0.8 30,300 0.1 1,325,845 100.0 2.4 1.0 12,700 1.0 0.8 23,770 1.5 5.0 31,600 1.6 0.8 13,120 0.1 1,285,510 100.0 6.0 2.5 1.1 1.0 0.8 19,890 1.5 23,950 4.9 1.5 32,800 0.8 0.1 1,286,320 100.0 13,400 1.0 102.1 10,290 0.8 100.2 21,500 1.6 108.1 62,600 4.8 98.7 19,400 1.5 99.4 9,950 0.8 99.7 1,710 0.1 1,312,570 100.0 98.2 100.1 1.1 102.3 99.3 1,650 2.5 103.8 13,820 97.9 9,980 5.9 99.7 98.8 19,510 1.8 100.8 76,930 102.1 63,400 4.3 99.8 100.1 94.9 97.0 1.8 14.6 103.6 56,080 103.3 10,270 94.8 1,680 191,280 101.3 98.3 10,050 4.4 11.8 107.1 104.3 13,510 94.8 19,930 14.4 13.8 101.7 154,550 99.0 101.8 64,200 181,210 97.7 77,190 100.4 19,490 11.2 9.4 103.4 96.4 94.4 10,260 13.9 4.1 100.1 123,980 101.9 56,200 98.1 98.9 102.2 184,690 107.8 13,340 99.4 1,770 6.1 9.3 105.5 100.8 100.7 10,600 1.9 53,810 100.6 144,300 91.1 77,960 102.3 20,280 178,200 96.1 100.5 67,700 4.5 4.2 20.2 100.0 95.9 100.4 58,270 99.0 19,140 14.1 % 265,310 98.1 119,910 104.0 98.2 10,220 53,740 94.4 103.0 99.4 103.1 136,800 124.3 13,595 98.9 - 合 計 28,100 101.0 10,660 0.1 1.0 13.8 100.3 100.2 - 1,800 1.7 177,090 104.6 77,310 113.0 66,200 19,940 26,700 98.1 - バスケットボール 5.9 9.9 9.7 20.6 99.0 99.9 99.1 98.8 10,320 16,865 2.0 14.1 4.3 2011(予測) % 265,390 93.4 124,980 106.2 60,620 102.5 - フィットネス 180,560 111.6 13,195 13,850 4.7 9.4 104.7 103.5 - 武 道 13.1 54,770 104.5 131,510 100.9 77,050 20,250 187,550 96.0 - サイクルスポーツ 9.7 4.4 20.9 91.5 98.7 102.1 61,150 25,300 13.8 268,050 96.9 125,110 105.0 - スイム関連 9.8 110.8 125,610 166,670 58,670 2010(見込) % 22.1 99.6 101.1 - スポーツシューズ 4.7 2009 % 292,960 89.8 126,770 - アスレチックウエア 22.7 104.3 - ラグビー 2008 103.6 102.0 矢野経済研究所推計 注 1:全てのカテゴリーの市場規模を 2006 年に遡り再調査・再算出してある。また一部カテゴリーの見直しと追加を行った。 注 2: メーカー出荷金額ベース 注 3:(見込)は見込値、(予測)は予測値 注 4: 2011 年 3 月に発生した東日本大震災の影響は考慮していない Copyright © 2011 Yano Research Institute Ltd. 2011 年 4 月 13 日 図 1. スポーツ用品分野別国内市場規模推移 単位:百万円 1,400,000 1,300,000 1,800 10,780 19,940 1,200,000 1,100,000 66,100 16,865 10,520 13,850 12,870 20,250 1,790 10,660 20,140 66,200 19,050 10,320 13,690 13,195 22,600 1,770 10,600 20,280 67,700 19,140 10,220 13,450 13,595 28,100 77,310 77,050 26,700 74,470 25,520 1,000,000 25,300 60,620 61,150 63,700 900,000 170,090 1,680 10,050 19,930 1,650 9,980 19,510 64,200 63,400 19,490 10,260 12,700 13,340 30,300 19,890 10,270 13,120 13,510 31,600 77,960 77,190 ラグビー 62,600 21,500 10,290 13,400 13,820 32,800 バレーボール バスケットボール 76,930 サッカー・フットサル 23,950 24,330 23,770 58,270 56,200 180,560 56,080 フィットネス 卓 球 武 道 191,280 181,310 166,670 1,710 9,950 19,400 184,690 800,000 バドミントン 125,610 700,000 131,510 119,660 136,800 144,300 154,550 サイクルスポーツ 野球・ソフトボール 600,000 161,980 179,400 187,550 177,090 178,200 181,210 スイム関連 500,000 テニス 400,000 300,000 125,330 126,770 125,110 スポーツシューズ 124,980 67,455 60,570 119,910 123,980 アウトドア 58,670 54,770 53,740 53,810 アスレチックウエア 200,000 釣 281,820 294,030 292,960 268,050 265,390 り 265,310 スキー・スノーボード 100,000 ゴルフ 0 2006 2007 2008 2009 2010(見込) 2011(予測) 【凡例】 矢野経済研究所推計 注 5:全てのカテゴリーの市場規模を 2006 年に遡り再調査・再算出してある。また一部カテゴリーの見直しと追加を行った。 注 6: メーカー出荷金額ベース 注 7:(見込)は見込値、(予測)は予測値 注 8: 2011 年 3 月に発生した東日本大震災の影響は考慮していない Copyright © 2011 Yano Research Institute Ltd.