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農林水産物等の輸出について
農林水産物等の輸出について 平 成 2 2 年 1 0 月 0 農林水産物・食品の輸出促進の意義 ●農林水産物・食品の輸出は、多様な意義を有している。 背景 意義 ●日本国内のマーケットは縮小するおそれ −我が国の少子高齢化社会の到来 ●他方、海外には今後伸びていくと考えられる有望なマーケットが存在 −世界的な日本食ブームの広がり −アジア諸国等における経済発展に伴う富裕層の増加、人口増加 (産地・地域にとってのメリット) ●農林水産物・食品の新たな販路拡大、所得の向上 ●国内価格下落に対するリスクの軽減 ●海外輸出を通じた国内ブランド価値の向上、経営に対する意識改革 ●地域経済の活性化 (国民全体にとってのメリット) ●生産量の増加による食料自給率の向上、食料安全保障への貢献 ●我が国の輸出入バランスの改善 ●日本食文化の海外への普及、世界各国の人々の対日理解の増進 1 農林水産物・食品の輸出額の推移 ●目標 : 農林水産物・食品の輸出額につき、平成29年までに1兆円水準を目指す。 (億円) 500 (億円) 6000 +12.0% 5000 +11.1% 4000 +6.1% +50.2% +14.9% ▲1.6% 5,160 5,078 440 ▲12.3% 4,490 60.0% 400 4,454 +25.7% 300 1 724 1,724 20.0% 3000 1,482 118 2,040 104 93 90 88 8 0.0% +19.9% 117 +12.3% 1,748 178 369 367 170 153 2,077 8 9 7 153 142 +0.8% 141 +8.4% 7 10 ▲0.0% 9 ▲5.0% 200 92 40.0% 392 354 3,609 441 407 2,378 4,008 農産物 林産物 水産物 対前年同月増減率 2000 ▲20.0% 2,678 2,038 1000 2,168 2,359 2,883 2,637 0 246 100 231 254 263 217 228 218 ▲40.0% ▲60.0% 0 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 農産物 林産物 水産物 対前年増減率 1月 2月 平成22年 3月 4月 5月 6月 7月 資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省作成 2 農林水産物・食品の輸出額の品目別内訳 ●農林水産物・食品の輸出額を品目別でみると、水産物が約4割、加工食品が約3割を 占める。 (単位:億円) (平成21年) 水産調製品 475億円 (10.7%) ※カッコ内は輸出額 に占める割合 加工食品 1,225億円 (27.5%) 水産物 1,724億円 (38.7%) 水産物 (調製品除く) 1,250億円 (28.1%) 総額 4,454億円 農産物 2,637億円 (59.2%) 畜産品 351億円 (7.9%) 林産物 93億円 (2.1%) 平成20年 その他 702億円 (15.8%) 野菜・果実等 164億円 (3.7%) 増減率 農林水産物 5,078 4,454 ▲12.3% 農産物 2,883 2,637 ▲8.5% 1,308 1,225 ▲6.4% 畜産品 342 351 2.7% 穀粉等 245 195 ▲20.2% 野菜・果実等 205 164 ▲19.8% その他農産物 784 702 ▲10.4% 林産物 118 93 ▲21.3% 水産物 2,077 1,724 ▲17.0% 1,574 1,250 ▲20.6% 503 475 ▲5.6% 4,312 3,843 ▲10.9% 総輸出額 810,181 541,706 ▲33.1% 乗用車 119,466 57,971 ▲51.5% 加工食品 水産物(調製品以外) 水産調製品 農林水産物(※3品目除く) 穀粉等 195億円 (4.4%) 平成21年 ※「3品目除く」の「3品目」とは、アルコール飲料、たばこ、真珠。 資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省作成 3 農林水産物・食品の輸出額の国・地域別内訳 ●農林水産物・食品の輸出額を輸出先国・地域別でみると、アジアが約7割、北米が約2 割を占める。 ●国・地域別順位は、1位香港、2位米国、3位台湾、4位中国、5位韓国。 (億円) EU 242億 円 (5.4%) (平成21年) ※カッコ内は輸出額 に占める割合 香港 991億円 (22.2%) ヨーロッ パ 317億円 (7 1%) (7.1%) 米国 731億円 (16.4%) 北米 782億円 (17.5%) 総額 4,454億円 ベトナム 119億円 (2.7%) シンガポー ル 124億円 (2.8%) タイ 181億円 (4.1%) 韓国 458億円 (10.3%) アジア 3,145億 円 (70.6%) 中国 465億円 (10.4%) 台湾 585億円 (13.1%) 平成20年 世界 アジア 香港 台湾 中国 韓国 ASEAN タイ シンガポール ベトナム フィリピン マレーシア インドネシア GCC UAE 北米 米国 カナダ 欧州 EU ドイツ 英国 オランダ フランス ロシア 大洋州 豪州 ニュージーランド アフリカ 南米 5,078 3,547 1,053 692 450 528 715 282 127 126 77 48 54 70 43 902 836 57 373 290 55 55 53 40 53 136 57 31 83 37 平成21年 4,454 3,145 991 585 465 458 554 181 124 119 50 40 38 60 35 782 731 45 317 242 48 44 44 41 48 122 55 26 57 33 増減率 ▲12.3% ▲11.3% ▲5.8% ▲15.5% 3.4% ▲13.2% ▲22.5% ▲35.9% ▲2.2% ▲5.1% ▲34.7% ▲16.7% ▲29.1% ▲15.2% ▲18.4% ▲13.4% ▲12.7% ▲21.3% ▲15.1% ▲16.6% ▲12.7% ▲19.5% ▲18.5% 2.0% ▲8.6% ▲10.4% ▲5.1% ▲15.5% ▲31.6% ▲11.6% 資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省作成 4 中国地域農業の概要 中国地域では、県ごとに特徴ある農業を展開。 その他 (7) 県別の農業産出額と部門別の割合(平.20) 畜産 (32) 島根 602億円 果実 (6) 鳥取 702億円 野菜 (28) その他 (7) 畜産 (33) 米 (23) 果実 (10) 米 (39) 野菜 (14) その他 (5) 畜産 (37) その他 (7) 畜産 (27) 果実 (6) 山口 697億円 野菜 (18) その他 (6) 米 (42) 畜産 (38) 米 (28) 広島 1,073億円 果実 (12) 岡山 1,294億円 果実 (13) 米 (30) 野菜 (14) 野菜 (16) 資料:農林水産省「生産農業所得統計」 5 輸出拡大に向けた取組 農林水産物等輸出促進全国協議会 中国四国地域農林水産物等輸出促進協議会 ∼輸出拡大目標の実現を目指し、民と官を挙げて取組∼ ∼中国四国農政局と関係各機関が連携∼ 我が国の高品質で安全な農林水産物・食品の輸出 を一層促進するため、関係者が一体となった取組を 推進することを目的に、平成17年4月27日設立。 農林水産団体、食品産業・流通関係団体、外食・観 光関係団体、経済団体、47都道府県知事、関係省 庁で構成。 《これまでの取組》 ・17年4月27日 設立総会 ・18年5月31日 年 月3 日 18年度総会 年度総会 (18年度「農林水産物等輸出倍増行動計画」 の決定等) ・19年5月25日 19年度総会 (「我が国農林水産物・食品の総合的な輸出戦 略」 の了承等) ・20年6月20日 20年度総会 (「ニッポン食の親善大使」就任式等) ・21年6月29日 21年度総会 (世界が認める日本の食150の 発表等) ※平成21年6月29日総会の模様 (茂木会長(キッコーマン株式会社 代表取締役会長CEO)より挨拶) 中国四国地域の農林水産物・加工食品の輸出を一 層促進するため、関係者が一体となった取組を推進 することを目的に、平成20年6月に設置。 中国四国農政局が事務局となり、管内各県、農業 団体、漁業団体、食品産業団体、経済団体、(独)日 本貿易振興機構貿易情報センター、各省庁地方支分 部局で構成。 《これまでの取組》 ・20年6月17日 設立総会 ・21年6月 4日 幹事会 ・22年7月 1日 幹事会 (21年度取組報告と22年度活動計画の協議等) ※平成20年6月17日設立総会の模様 6 中国四国地域農林水産物等輸出促進協議会の構成員 【会長】 勝山 達郎 (中国四国農政局長) 【農業関係】 鳥取県農業協同組合中央会 島根県農業協同組合中央会 岡山県農業協同組合中央会 広島県農業協同組合中央会 山口県農業協同組合中央会 徳島県農業協同組合中央会 香川県農業協同組合中央会 愛媛県農業協同組合中央会 高知県農業協同組合中央会 【経済団体関係】 中国経済連合会 四国経済連合会 【貿易関係】 (独)日本貿易振興機構 鳥取貿易情報センター 松江貿易情報センター 岡山貿易情報センター 広島貿易情報セ タ 広島貿易情報センター 山口貿易情報センター 徳島貿易情報センター 香川貿易情報センター 愛媛貿易情報センター 高知貿易情報センター 【水産業関係】 岡山県漁業協同組合連合会 【食品産業関係】 岡山県食品産業協議会 岡山県酒造組合 【金融関係】 日本政策金融公庫 岡山支店 【県】 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 【省庁】 神戸税関 広島国税局 高松国税局 中国四国厚生局 中国経済産業局 四国経済産業局 中国地方整備局 四国地方整備局 中国運輸局 四国運輸局 神戸植物防疫所 動物検疫所神戸支所 中国四国農政局(事務局) ※平成22年7月1日現在 7 8 農林水産物・加工食品等輸出オリエンテーションの会 日 時:平成22年1月25日(月)10:00∼17:00 場 所:メルパルク岡山(岡山県岡山市) 10:00∼ 12:00 輸出促進セミナー 輸出意欲のある約100名の農林漁業者、食品事業者等が参加し、「転換期を 迎えた日本産農林水産物・加工食品等の海外輸出を考える」をテーマにした基調 講演、及び「北京」、「シンガポール」の海外レポートを講師を招いて開催。 13:00∼ 17:00 展示・商談会 輸出に取り組む事業者及びこれから輸出をめざす事業者等31団体が参加し、 国内外の11社のバイヤーと商談を実施。 輸出促進セミナーの模様 輸出促進セミナ の模様 「転換期を迎えた日本産農林水産物・加工食品等の海外輸出 を考える」をテーマにアジアネットの中田氏による基調講演を開 催しました。 また、「北京レポート」として豊田通商(天津)有限公司/渡辺氏、 「シンガポールレポート」としてISETAN(SINGAPORE)/牧野氏よ り、最新の市場情報の提供をいただきました。 展示・商談会の模様 展示 商談会の模様 参加事業者から提出された産品情報シートと、バイヤーのプロフィー ルにより、ローテーションによる個別マッチング方式で実施しました。商 談成立の成果をあげた参加者もあり、実りのある商談会となりました。 また、会場には商談会に出品したサンプル商品が展示されました。 その他、ジェトロ、アジアネット、神戸植動物防疫所の専門機関による 相談コーナーや、輸出資料の情報公開コーナーも設置されました。 9 2分の1補助事業 ●幅広い輸出促進の取組に係る経費について、2分の1を上限として助成します。 (事業スケジュール) (予算名、予算額) (補助対象事業・補助率) ● 以下の取組に係る経費について、2分の1を上限として助成します。 ※総事業費400万円(国庫補助金額200万円)以上の事業計画が公募の対象となり ます。 1 次世代技術者・ 輸出担当者育成 2 専門家を講師とする研修会 の開催、輸出先進地・流通 現場への実態把握の実施 3 産地PR・国内商談 会 4 産品の生産・加工地に海外 バイヤー等を招へいし、産品 の紹介や産地商談会を開催 6 海外販売促進 活動 国際見本市等への出展、 商談会・物産フェア等の開催 による販売促進活動 7 海外市場開拓調査 ・輸出国の市場の流通状況、 消費者の嗜好の調査の実施 ・市場開拓戦略やブランド確 立に向けた戦略策定 海外試験輸送 輸送コスト削減のための試 験輸送、品質保持のための 梱包資材を試作した上での 試験輸送等の実施及びその 結果への対応策の検討 海外ニーズ産品の 試作・実証 国産食材と加工・包装技術と の連携による新産品の試作、 試食会による反応把握 5 輸出環境整備 輸出先国の規則などの対応 の検討、検疫官の招へい、知 的財産権者と生産地が連携し た海外進出組織体制の確立 8 〆切:8/25 交付決定 4/30 〆切:8/18 事業実施計画提出 ● 農事組合法人、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合、商工会 議所、商工会、農業生産法人、有限責任事業組合(LLP)等 ※生産者など個人や単独の法人で申し込むことはできません。 参加表明書提出 (事業実施主体) 公募開始 ● 農山漁村6次産業化対策事業のうち、輸出総合支援事業のうち、輸出に取 り組む事業者向け対策(補助事業) (平成22年度予算:5.4億円の内数) 事業実施 H23 3/31 まで 10月下旬予定 (事業の活用例) ●事業実施主体:いわて農林水産物輸出促進協議会 ●岩手県産品の輸出拡大に向けて、平成21年12月、 香港の高級スーパー10店舗において、販売促進 フェアを開催し、多品種のりんごの試食を通じたPR とアンケート調査を実施。その結果、現地消費者の りんごへの値頃感や甘さの強い品種が好まれる嗜 好性を把握し、次年産りんごの輸出拡大に向けた県 内産地との調整や他産地との差別化の方策を検討 中。 輸出プロモーター の活用 商社OB、貿易コンサルタン ト、海外への商標登録を行う 弁理士等の活用 10 鳥取県 JA全農とっとり (梨を台湾、香港、アメリカ/柿をタイ、台湾へ) 鳥取県の二十世紀梨の輸出は80年以上の歴史があり、日本を 代表する輸出果実のひとつ。品質の良さが好評で知名度も高 い。 アジアの富裕層をターゲットに、高級果実として大玉の梨を輸 出。特に、台湾では中秋節や旧正月の贈答用品として定着。 たわわに実る大玉二十世紀梨 【平成21年産 輸出量】 ○梨743トン(台湾384トン、香港223トン、アメリカ(ハワイ含む)125ト ン、他11トン) ※JA全農とっとり取扱量に占める輸出比率:約5% ○柿 52トン(タイ51トン、台湾1トン) ※JA全農とっとり取扱量に占める輸出比率:約5% 【販売戦略、工夫した点等】 ・高い剪定技術等により、徹底的に品質を重視し、大玉梨の販売へ と戦略転換。 ・中国(北京・上海)やロシア(ウラジオストク)等の新しいマーケット に対し、中期的な展望も踏まえ、試験輸出に取り組んでいる。 ・あたご梨の輸出にも取り組むなど、二十世紀梨のブランドイメージ を生かした商品の多角化を図っている。 【輸出によるプラスの効果等】 ・検疫のための高度な管理が求められることにより、栽培管理のレ ベルアップに結びついている。 ・鳥取が積極的に輸出を行うことにより、国内の梨市場も活性化。 【ウェブサイト】 http://jazen-tt.jp/info/inpaku/inpaku.html 台湾での陳列販売(平成21年) 11 鳥取県 (有)AONケミカル (二十世紀梨酢を台湾へ) 鳥取県特産の高級品である二十世紀梨の認知度をフルに利用した意匠 登録を行い、世界で初めての果実酢であり、葡萄、リンゴに続く第3の果実 酢を目指す。 梨酢をベースにしたブルーベリー梨酢ドリンクも好評であり、今後は商品ラ インナップの充実を予定している。 台湾での販売風景 【輸出量・輸出金額等】 平成18年からの取組であり、台湾をベース に順調に推移し、平成21年の実績は150ケース程。ニューヨークは 計10ケース程試験販売。平成22年は上海、ソウルを目標。 【輸出のき かけ 経緯】 【輸出のきっかけ、経緯】 「フードタイペイ2007」に出品したことがきっかけとなり、国内商談会で認知さ れるなど、需要先との繋がりに至った。平成21年、ニューヨークでの鳥取フェア に出品し、また、ニュージャージー州の日系スーパーでの試験販売は大変好評 で、平成22年に入り再度、販売の要請が来ている。 【輸出によるプラスの効果等】 二十世紀梨の栽培農家の間では、規格外梨の新しい利用方法ができ、費用 削減につながったことから、大変喜ばれている。 商流ルートを確立したため、他産品目の輸出に取り組む基盤ができた。ま た、県産の味噌をニューヨークに輸出した。 写真 二十世紀梨酢 【ウェブサイト】 http://www.h3.dion.ne.jp/~aon-chem/ 12 島根県 JA西いわみ (ヘルシー元氣米を台湾へ) 島根県では、環境にやさしい農業を推進し、自然にやさしい土づくりと減農薬・減化学 肥料で栽培する生産者をエコファーマーとして認証。JA西いわみのエコファーマーが栽 培したコシヒカリを「ヘルシー元氣米」として、平成15年から台湾へ輸出。 平成20年産 台湾での販売促進会 輸出量:3.6トン 輸出金額:180万円 【販売戦略、工夫した点等】 • 食味、品質面、安全・安心を前面に宣伝し、輸入業者や量販店に対し、 米の試食を実施。 • 高級百貨店での継続的な試食 高級百貨店での継続的な試食・宣伝会を実施し、ブランドイメージを形 宣伝会を実施し、ブランドイメ ジを形 成。 • パッケージを日本らしいデザインにして現地語で作成、21年にデザイン を商標登録。 • 品質、風味を保つためJA指定の精米所で管理を行い、量販店が2ヶ月 程度で売れる量を輸出。 【輸出によるプラスの効果等】 • 生産者の生産意欲が向上し、売れる米づくりに対する意識の変化。 • 米の輸出を通して、販売店舗に対し直接的交渉が可能となり、デラウエア やあんぽ柿など、他の農産物の輸出が実現。 商標登録したデザイン 【ウエブサイト】 http://nishi-iwami.ja-shimane.gr.jp 13 岡山県 利守酒造(株) (日本酒をアメリカ、台湾、中国、カナダ等へ) 利守酒造のある赤磐郡軽部地区は、昔から良質な酒米「雄町米(おまちまい)」が採れる地域として知られてい る。 この良質な米でつくった日本酒を30年程前からアメリカ在住の日本人向けに輸出を始めた。近年では、海外で の日本食ブームも手伝い、その輸出量は順調に推移している。 なお、利守酒造の日本酒は、国内にとどまらずヨーロッパのモンドセレクション国際コンクールで最高金賞を受賞 するなど、海外でも高い評価を得ている。 【平成21年輸出量】 売上額の約6%を海外へ輸出。 【販売戦略、工夫した点等】 ニューヨークでの展示・商談会 • 30年程前、アメリカ在住の日本人向けとして輸出を始めたのがきっかけ。 • 国内のみならず海外の鑑評会にも積極的に出品し、日本酒の普及に努めている。 ず • 日本酒を通して、日本の文化や岡山県の産物を海外の方に知ってもらえればと、海外 での展示・商談会に積極的に参加している。 • 複数の国や地域に輸出しているが、国や州によって法律が違うため、それに合わせた 様々な対応が必要となる。このため、日頃の輸出入業者との情報交換はもとより自らも 現地に渡航し、目で見て・耳で聞いて現地情報の収集を行っている。 【輸出によるプラスの効果等】 ・地道な取組ではあるが、長年海外に日本酒を輸出し続けてきたことで、近年では、海外 の消費者にもワインやウイスキー同様メジャーな飲物として認識されつつある。 ・また、輸出に取り組むことで、従業員には、酒造りは海外に誇れる日本の文化であると の意識が芽生えている。 カナダでの展示・商談会 【ウェブサイト】 http://www.sakehitosuji.co.jp 14 広島県 JA広島果実連 (広島産果実を台湾、香港、シンガポールへ) JA広島果実連では、広島産青果物・加工食品の販路拡大・消費拡大 を目指す目的で、平成17年から台湾、19年から香港へ輸出。 21年からシンガポールへ出荷を開始。 爽やかな風味を持つ柑橘 「はるか」の試食 品目 輸出量(kg) 輸出金額(千円) 品目 輸出量(kg) 輸出金額(千円) ぶどう 250 216 なし 2,140 1,030 レモン 100 32 はるか 875 250 その他かんきつ 250 78 農産加工品 595 244 ※香港、シンガポール向け含む。21年度実績 【経緯、販売戦略、工夫した点及び苦労したこと等】 ○JA広島果実連は、平成16年春に広島空港への台湾便の就航を機に、その年の秋に、台湾の日系百貨店「そごう」の「四国・九州・瀬 戸内美食工芸展」に参加し、温州みかん・かんきつ加工品の展示販売を行った。その後、台湾のバイヤーを広島に招き、ぶどうを中心に 産地の見学会を開催したところ、食味等概ね好評だったことから、17年に県事業を活用して台湾にテスト輸出を行い現在に至る。 ○19年7月からは、香港「そごう」の物産展への参加をきっかけに、香港にも進出し、21年秋からは、シンガポールへ出荷を開始。 ○販売戦略としては、国内他産地との競合に勝つため、富裕層をターゲットに、 より新品種、高品質なものを厳選。また、輸送費の軽減 のため、東京の卸売業者へ荷を委託し、台湾へまとめて空輸するなど、不況のなか、価格上昇しないように心がけている。 ○苦労していることは、ぶどうの脱粒など輸送中での商品ロスの防止対策である。 【輸出によるプラスの効果等】 海外で高値で販売されることが農家の自信につながり、生産意欲が向上するとともに、地域も活性化 した。 【ウェブサイト】 http://www.fruit-morning.com 写真 香港そごうにて 15 広島県 賀茂泉酒造(株) (日本酒をアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア等へ) 広島県の西条地域(現:東広島市)は、灘、伏見と並ぶ三大銘醸地 として名を知られている。 多くの造り酒屋が製法等の技術を切磋琢磨する中で、品質を高め ていった。 【平成21年産輸出量】 ○輸出の売上げは、総売上げの8%を占める。輸出売上げの90%が、アメリカ向け。 ○平成13年度の輸出額を100とすると、21年度は420になる見込。 フランス・リヨンの食品見本市 【販売戦略、工夫した点等】 ・日本酒の輸出は 国内における消費が減っていくことの対策として ・日本酒の輸出は、国内における消費が減っていくことの対策として、 主に海外の日本料理店向けに、約30年前から酒の卸や酒販店が出資 する組織を通じて始めた。 ・海外での消費は、品質に妥協しなかったため、日本料理店中心から フランス料理店やイタリア料理店などへと、客の層が広がってきた。 ・更に日本酒(海外では”SAKE”)を海外で認めてもらうには、世界に通 用するSAKEの規格やワインソムリエに相当するものを、公的機関が 定めることも必要だろう。 サンフランシスコでのイベントJoy of Sake 【輸出によるプラスの効果等】 •輸出先の国にはそれぞれ独自の酒がある中で、日本酒が受け入れられるのは文化の交流にプラスになり、 何より少子高齢化で消費が減っているので、経営にプラスになる。 •海外から評価が返ってくることで、新しい発見や製造の意欲につながる。 【ウェブサイト】 http://www.kamoizumi.co.jp/index.php 16 山口県 下関ふく輸出組合 (ふぐをニューヨークへ) 下関のふぐを、アメリカのフグ輸入組合を通じて、ニューヨーク の日本料理店へ輸出。 厳格な条件下で認められた輸出事業で、下関のふぐが初め て太平洋を渡った。 水揚されたトラフグ 【輸出量の推移】 平成20年度:約2トン、21年度:約1.5トン。 限定数量の輸出で年間の輸出量が決まっている。 【輸出のきっかけ、苦労した点等】 • ニューヨーク駐在の日本企業の人達からふぐ刺しを食べたいという話があり、日本料理店のオーナーから 「ニューヨークでもふぐが食べられるようにしたい」という依頼があったのがきっかけ。 • ニューヨークでは、ふぐの輸入は原則として禁止されており、科学的な調査、実験などを繰り返して輸入国側 の条件をクリアすることが非常に困難であった。 【輸出によるプラスの効果等】 • ニューヨークで食べられる下関のふぐは、日本料理店のみの販売。販売 量もごく僅かなため、地域の活性化に直接つながるものではない。 • しかし、輸出による下関ふぐの宣伝効果があったことと、ふぐを食べると いう日本文化の発信に役立ったと考えている。 • 欧州等への輸出はハードルが高いが、今後の課題。 輸出される一次加工品 17 山口県 林兼産業(株) (魚肉ソーセージを香港へ) 地域資源の活用から生まれた魚肉ソーセージを、香港へ輸出 し、今年で47年。 輸出相手国の歴史の移り変わりとともに培われた、輸出事業 への自信と誇り。 平成20年度:404トン、21年度:377トン。 香港向け主力製品 香港では、日本の魚肉ソーセージの市場評価が「日本製品=高品質・ 安全・安心」という顧客の支持に支えられており、販売は増加。 【輸出のき かけ、販売戦略等】 【輸出のきっかけ、販売戦略等】 • 昭和38年に現地に事務所を開設したことと、当時、地元の下関漁港が全 国屈指の水揚量を誇っており、この地域資源を活用することが原点となり、 輸出の取組が始まった。 • 商品を多くの人に認知してもらうため、現地で開催される大規模な食品の 展示会への参加や消費者キャンペーンによる喚起、雑誌への商品掲載等 を実施した結果、魚肉ソーセージは子供向けのおやつとして受け入れら れ、定着している。 香港 Food Expo 2007 現地のスタッフと一緒にソーセージを販売 【輸出によるプラスの効果等】 • 香港の中国への返還後に安価な中国製品が市場に参入してきたが、日本製品は「高品質・安全性」という面で 消費者の支持が盛り返してきたことにより、輸出事業を行っていることに対する自信につながっている。 【ウェブサイト】 http://www.hayashikane.co.jp 18 農山漁村の6次産業化について <参考> ○農業者による生産・加工・販売の一体化や、農業と第2次・第3次産業の融合等により、農山漁村に由来する農林 水産物、バイオマスや農山漁村の風景、そこに住む人の経験・知恵に至るあらゆる「資源」と、食品産業・観光産業、 IT産業等の「産業」とを結び付け、地域ビジネスの展開と新たな業態の創出を促す農業・農村の6次産業化を推進。 6次産業化とは、農業を農畜産物の生産という1次産業にとどめず、加工や食品製造などの2次産業及び流通や販売等の3次産業を組み合わ せ新たな付加価値を創造し、地域に新たな雇用の場を創造する活動を推進すること。(東京大学名誉教授 今村奈良臣 氏提唱) 状 ① 国内食品マーケットの縮小 85 マーケットの拡大を図りつつ、 農山漁村の6次産業化 農山漁村に由来する様々な地域資源 ○ 農林水産物 ○ 生産・加工・流通(販売)の一体 化による付加価値の拡大 1割減 (兆円) 80 75 80.4 兆円 70 79.5 兆円 65 73.6 兆円 60 H12 H17 飲食料の最終消費額 ② 農業産出額の低下 3割減 14 (兆円) ○ バイオマス 12 ・食品廃棄物 ・林地残材 10 11.5 兆円 8 6 10.4 兆円 4 9.1 兆円 8.3 兆円 2 ○ 経験・知恵 0 H2 H7 H12 H18 ③ 農業所得の低下 7 6 5 4 3 2 1 0 (兆円) 半減 6.1 兆円 H2 5.0 兆円 H7 ○公共事業の減少 ○ 風景 ○ 伝統文化 4.0 兆円 H12 ④ 農山漁村地域における ○企業の撤退 ○ 自然エネルギー 3.4 兆円 H17 等 農山漁村の地域資源を活 用し新たな事業に取り組も うとする産業 食品産業、観光産業、IT産業、 化粧品・医薬製造業、エネルギー産業 等 農林漁業者による加工・販売分 野の取組(多角化、複合化等) 等 ○ 2次・3次産業による農林漁業へ の参入 ○ 農林漁業と2次・3次産業との 連携・融合による地域ビジネス の展開や新たな産業の創出 バイオマス等地域資源を活用し た新事業の創出 農商工連携の推進 再生可能エネルギー利用の推進 等 農山漁村地域の再生・ 活性化 H7 ※ 地 域 資 源 の 有 効 活 用 雇用の確保と所得の向上による 現 新たな付加価値を創出 19 20