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“人のために何かをしてみないか”水谷修さん(夜回り先生)のインタビュー記事
「これから死にます。最後に先生の声、聞きたいな」とメールが入ってきた、21才の引きこも
りの女性です。彼女はパニック障害と過敏性腸炎を幼稚園の頃から持っており、中学生の時
に、おもらしをして、猛烈なイジメにあって学校に行けなくなり、引きこもりと、リストカッ
ト(手首を切る)を始めたのです。
「お父さん、お母さんもつらそうだし、私が死んだら、二人とも自由になれるから」
「君は優しい子だね、だけど違うと思うよ、それより人のために何かをしてみようよ。人生変
わるから」私が言うと「そんな事出来ないよ」と灘話を切られたが、翌日から、毎朝6時半
に、電話をくれるようになりました。
「ひとつだけ頼みをきいてくれるかな、窓に張った黒いピニール袋に、穴を開けてみないか、
新緑がきれいだよ」彼女は、2階の自室の窓という窓を、黒いビニール袋で被って、自分を
“モグラッ子”と呼んでいたのです。
「わあ、眩しい。あっ、お隣のおばあちゃん、ゴミ捨てている、」「手伝ってやれよ」と言っ
たら、そんな事出来ないとことわられ、電話を切られた。
しかし、ある日、お隣のおばあちゃんがゴミ捨てに来て、風に煽られて倒れ、電柱に頭をぶつ
けて、動かなくなった時、表に飛び出して行き、おばあちゃんを助けました。
それから、おばあちゃんが出て来ると手伝いにそ行って、はなし相手になり、そして、つい
に、窓の黒いビニールは、全部とれました。
それから間もなく働きたいと言いいだして、私の先輩の経営する特別養護老人ホームを紹介
し、その施設で一番の難しい、おばあちゃんの担当にしてもらったのです。
左半身麻痺で車椅子生活の上、うまく喋れない。その自分の状態を受け入れられず、心を閉ざ
して食べ物をひっくり返す、働いている人をなぐるというおばあちゃんです。
6月の末に彼女から、弾けるような声で、電話が、かかってきました。おばあちゃんが、おも
らしをした時に、先輩たちはきれいに拭いて、おむつを替えるだけでいいよと言ったが、あま
り可哀そうだから、シャワーにつれて行って、きれいに洗ってあげたら、おばあちゃんは、そ
の間中、私のこと拝みながら「ムニュムニュ」と言ってくれた。
きっとありがとうと言ってくれたんだ」と、彼女は言っていました。
そのあと、車椅子から、ベットに乗せる時に、左の袖がめくれて、彼女の腕にある何本もの傷
跡が見えてしまった。
それを見たおばあちゃんは、アッと驚いた声を上げて、泣きながら、一生懸命に、傷を撫でて
くれた。彼女は言いました。
「先生、私、生きて昼て良かった、人は、誰かを幸せにするために、生きなきゃならないんだ
よね」人は何故苦しむのか、それは、自分のことしか考えないからです。
でも、入のために何かをすると、「ありがとう」と言う思いや、言葉が返ってきて、自分が、
必要とされている大切な存在であると、感じられ、それが生きる力になるのです。彼女はその
後、夜問定時綱高校に入り、社会福祉士の資格を取って、高齢者介護の仕事がしたいと大学に
進みました。おばあちゃんは、彼女が高校に入学したのを機に、乏しい年金の中から、自分の
食べるお菓子や果物を我縷して、彼女が、大学の教科書を入れられる丈夫なカバンをプレゼン
トしてくれたそうです。私はその話を闘いて、うれしくて、うれしくて、彼女と抱き合って泣
きました。
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