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海洋と水素エネルギー
海洋と水素エネルギー:
超伝導技術の海事科学分野への応用
氏名 武田 実
所属 海事科学研究科
1.研究の概要とキーワード
周囲を海に囲まれた我が国において、海洋における自然エネルギーを利用することは、
石油代替エネルギー源確保のひとつの方策として大きな意義があります。本研究は、
超伝導MHD(magnetohydrodynamics)効果を利用して海洋の流れ(海流や潮流)に伴う運
動エネルギーを電気や水素へ変換し、発生した水素を液化して効率的に輸送・貯蔵する基
盤技術の開発を目指しています。
2.他の研究との相違点・新規な点
海流や潮流のエネルギーは季節や天候に左右されないので、再生可能エネルギーとして
極めて有効です。このようなエネルギーを対象とした海流MHD発電機・水素発生器の開発
研究は、世界的に例がありません。我々の研究グループではヘリウム液化機(図1)を保有
しているので、超伝導実験や極低温実験等も行えます。また、光学観測用クライオスタット
(図2)を用いて、液体水素の熱流動特性等の実験も行えます。
3.内容
(1)新型海流MHD発電機・水素発生器の開発
新型(ヘリカル型)海流MHD発電機・水素発生器は、超伝導マグネット、同軸2重円筒状の
電極およびヘリカル状の仕切り板等で構成されています(図3)。図のように、同軸方向へ磁
場Bを印加した状態で海水が電極の周りを回転運動すると、フレミングの右手の法則に従っ
て起電力が発生します。これが電気分解電圧を超えると、電流 I が流れて発電するとともに
水素ガスが発生します。これまでに小型の発電機を試作し、7テスラの超伝導強磁場を用
いて世界で初めて発電実験に成功しました。現在、発電機・水素発生器の形状の最適化、
大型化および実用化を目指して研究を進めています。
(2)水素エネルギー海上輸送基盤技術の開発
再生可能エネルギーは地球全体に豊富に存在しますが、エネルギー密度が小さいために
これを2次エネルギーに変換して消費地まで輸送する必要があります。この2次エネルギー
媒体として、水素が注目されています。水素を利用するエネルギーは反応後に残るのが水
だけなので、究極のクリーンエネルギーであると言えます。本研究では、大量輸送・貯蔵シ
ステムを確立するために貯蔵効率の高い液体水素(沸点-253℃)に着目し、これを海上輸
送する基盤技術の開発を目指すとともに液体水素の熱流動特性を明らかにします。
図1. ヘリウム液化機
図2. 光学観測用
クライオスタット
図3. ヘリカル型海流MHD発電の原理
4.研究の適用分野
新型海流MHD発電ではゼネコン、プラントメーカーなどとの連携に期待します。超伝導実
験や極低温実験では多方面の産業界に活用いただけます。
氏名 武田 実
所属 海事科学研究科マリンエンジニアリング講座
◇研究歴
・ 超伝導強磁場効果の研究
・ 超伝導MHD効果の研究
・ 超伝導体の物性研究および応用研究
・ 極低温液体の物性研究および応用研究
◇専門分野
・ 低温工学
・ 低温物性
◇代表的な研究論文
・ M. Takeda, Y. Matsuno, I. Kodama and H. Kumakura:
Characteristics of MgB2 Sensor for Detecting Level of Liquid Hydrogen,
Advances in Cryogenic Engineering (2008) in press.
・ M. Takeda, Y. Iwamoto, T. Akazawa, K. A. Bui, T. Kida, X. Liu and T. Kiyoshi:
Basic Characteristics of Helical-Type Seawater MHD Power Generator with Flow
Rectifiers, Journal of the Japan Institution of Marine Engineering, Vol.43, No.1,
pp.130-134 (2008).
・ M. Takeda, T. Tachibana, T. Akazawa, K. Nishigaki and A. Iwata:
Improvement in MHD Separation Device for Separation of Oil from Oil-Contaminated
Seawater Using High-Field Superconducting Magnet, Journal of the Japan Institution
of Marine Engineering, Vol.41, Special Issue September, pp.101-106 (2006).
・ X. Liu, T. Kiyoshi and M. Takeda:
Simulation of a seawater MHD power generation system,
Cryogenics, Vol.46, pp.362-366 (2006).
・ M. Takeda, Y. Okuji, T. Akazawa, X. Liu and T. Kiyoshi:
Fundamental studies of helical-type seawater MHD generation system,
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, Vol.15, No.2, pp.2170-2173 (2005).
◇特許出願名称と出願番号
・ 超低温液化ガス液面測定用センサ及び超低温液化ガス液面測定用液面計
(特開2007-139441)
他1件
◇興味のある共同研究分野
・ 環境・エネルギー分野
・ 電力分野
・ 海事科学分野
連絡先:神戸大学 連携創造本部 TEL:078-803-5945 FAX:078-803-5947
E-mail:[email protected] URL:http://www.innov.kobe-u.ac.jp/
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