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家具小売 - 大阪府

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家具小売 - 大阪府
家
具
小
売
ブ ラ イダ ル需 要 を中 心に 拡 大し てき た 当業 界で は 、近 年、売 上 は 減少 傾 向で ある が 、一 部に
明 る い動 きも み られ てい る 。
季 節 によ りば ら つき があ る もの の、客単 価 は強 含 みで 推移 し てお り、オー ダ ー家 具 や高 級品 の
需 要 が増 えつ つ ある 。
依然と して 厳 しさ は続 く が 、今後 は 個店 と地 域 の有 志グ ル ープ 双方 が 活発 に交 流 を重 ねる こ
と で 、よ り一 層 の活 性化 が もた らさ れ るこ とが 期 待さ れる 。
業界の 概要
家具の種類を 材質 別にみ ると 、①木 製家 具、② 金属 製家具 、③ 成型家 具( プ ラ
ス チ ッ ク 製 )、 ④ 籐 製 家 具 に 大 別 さ れ る 。 こ の う ち 金 属 製 家 具 に つ い て は 、 オ フ ィ ス 向 け の ス
チール 机、事務用 ロッ カー、キャ ビネッ トな どが中 心で 、多く はメ ーカー 直販 方式あ るい は 直
系販売 会社 経由の 販売 となっ てい る。
木製家 具を 形状で 分類 すると、① 洋服ダ ンス 、整理ダ ン ス、本棚 、食器棚 など の箱物 家具 、②
応 接 セ ッ ト 、 食 堂 セ ッ ト な ど の 脚 物 家 具 、 ③ ベ ッ ド 、 ④ そ の 他 ( 調 理 台 、 流 し 台 な ど の 台 類、
傘立て 、帽 子掛け など の小物 類) に分か れる 。
木 製 家 具 の 流 通 経 路 は 一 般 に 、( メ ー カ ー ) → ( 産 地 問 屋 ) → ( 消 費 地 問 屋 ) → ( 小 売 業 )
→(消費 者 )となっ て いるが、メ ーカー から 大型小 売店 への直 接販 売や、小 売 業者が VC(ボ
ランタ リー・チェ ーン )を組 織し てメー カー から共 同仕 入を行 うな ど、消 費地 問屋も 含め て 卸
売業者 を経 由しな い取 引が増 えて いる。
大阪の地 位
平成 14 年におけ る大阪 府の 家具小 売業 は、商 店数 は 1,006 店 (対全 国シ ェ ア
7.8%)、従 業者数は 6,110 人(同 7.9%)、年 間販売額 2,656 億円( 同 15.0%) となっ てい る
( 経 済 産 業 省 『 商 業 統 計 表 』)。 か つ て 商 店 数 で は 全 国 第 1 位 の シ ェ ア を 占 め て い た が 、 昭 和
60 年調査以 降、減 少傾 向とな り、 平成 11 年には東 京都 に首位 の座 を明け 渡し ている 。
以前は大 阪でも 家具 の製造 業者 が多く みら れたが、後 継者不 足の 問題な どか ら現在 は卸 売 業
者や小 売業 者とい った 流通業 者の 集積地 とな ってい る。 なかで も、 昭和 30 年 代に大 阪府 内 の
家具製 造業 者が大 企業 に対抗 し、共存共 栄を 図るた めに 集団化 した 枚方市 の家 具団地(カ グ ニ
ティ枚 方)や、現 在は ファッ ショ ンスト リー トへ変 貌し つつあ るが 、大阪 市西 区南堀 江に 江 戸
時代か ら続 く家具 のま ち立花 通り(オレ ンジ ストリ ート )は有 名で ある。なお 、家具 団地 に つ
いては 昭和 40 年代後半 頃から 小売 業への 転換 が進み 、現 在は小 売業 を中心 に立 地して いる 。
売 上は 厳し い が一 部に 動 きも
ブライ ダル 需要を 中心 に市場 を拡 大して きた 当業界 は、婚 姻
数が 100 万 組を超 えた 昭和 40 年代後半 には 、婚礼 家具 の予約 が1 ∼2年 先ま で入る ほど 活 況
で 、 60 年 代 も 好 景 気 に よ り 堅 調 に 販 売 額 を 伸 ば し た が 、 そ の 後 の 景 気 後 退 か ら 平 成 3 年 頃 を
ピーク に減 少傾向 が続 いてい る。
全国に おけ る 14 年の 年間販 売額 は 1 兆 7,698 億円と、 11 年に比べ て 7.2%減 少して おり 、ヒ
アリン グで もここ 数年 間、毎 年約 10%ずつ減 少して いる とする 企業 もあっ た。
16 年 4 ∼ 6 月 の 動 き を み る と 、 今 年 は ゴ ー ル デ ン ウ ィ ー ク の 並 び が 良 く 、 消 費 者 が 旅 行 や
行楽な ど遠 出した こと なども あり 、連休が 明 けて5 月下 旬頃ま で売 上が伸 びな かった との 声 が
聞かれた。一方、個別企業の動きをみると、増加したとする見方が多かったが、その中には
15 年 が 店 舗 改 装 や 業 態 転 換 、 あ る い は 主 力 従 業 員 の 転 職 と い っ た 理 由 で 売 上 高 が 大 き く 落 ち
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込んだ 反動 による 増加 もあっ た。また、和家 具を扱 う企 業のよ うに 、兼業 する 住宅リ フォ ー ム
事業の 繁忙 で家具 小売 に注力 でき ず売上 を減 少させ たと いう例 もあ った。
このよう に、全 体と して厳 しい 状況で ある ものの 、一 部には 明る い動き もみ られる 。A 社 で
は 、 15 年 秋 頃 か ら エ ス テ テ ィ ッ ク ・ サ ロ ン や レ ス ト ラ ン な ど の コ ン ト ラ ク ト ( 業 務 用 の 特 注
家具)需要 が増え 、現 在、売 上高 の約4 割に 達する とと もに、個人 のオー ダー 家具の 需要 も 増
えてお り、 今年は 前年 に比べ て 30%増で 推移 してい る。
また、ダ イニン グや リビン グ家 具の扱 いが 6割以 上を 占める B社 では 、営業 努力や 接客 力 の
向上、独自 の商品 開発 が奏功 して 、4∼ 6月 期は前 年同 期比5 ∼10%増と なっ ている 。建 築 設
計事務 所や ゼネコ ンな どと長 年接 点があ った ことを 生か して、オ リ ジナル 商品 の開発 が可 能 に
なった よう である 。
構 造的 要因 か ら売 上高 が 減少
売上高 減少 の背景 には まず 、消費 マイン ドの 冷え込 みに よ り 、
耐久消 費財 である 家具 の買い 替え 期間が 長期 化して いる ことが 挙げ られる 。ま た、家具購 入 の
契機と なる 新設住 宅の 減少も 考え られる 。最 近では 新築 住宅に 作り 付けの 収納 家具が 増え 、建
設業者 が家 具メー カー と直接 取引 きする ケー スが増 えて おり、新 設 住宅着 工戸 数の増 加が 箱 物
家具( タン ス等) の小 売需要 に直 接結び つき にくく なっ ている 。
さらに、社会環 境や 生活ス タイ ルの変 化が ある 。婚礼 家具を 結婚 の象徴 の一 つとす る考 え が
薄れて いる ことや 婚姻 数の減 少( 平成 15 年はピー クで ある昭和 47 年の 67.3%。厚 生労 働 省
『人口 動態 統計』よ り )などに よ り、購入 機 会が減 少す るとと もに 、その都 度 、必要最 小 限の
商品を 購入 する傾 向が 強まっ てい る。さら に 、家 具の 購 入目的 も「 応接 」か ら「く つろ ぎ 」へ
と変化 して いる。
このよう な事情 が、従来の 高価 な婚礼 家具 や応接 家具 のセッ トよ りも 、客単 価が低 くな る ソ
ファー やベ ッドな どの 需要を 高め 、売上 高の 減少を もた らして いる 。
最 近の 商品 特 性
大阪市西 区の オレン ジス トリー ト界 隈では 、ミ ッドセ ンチ ュリー の家 具を
扱 う 小 売 業 も 多 く み ら れ る 。 ミ ッ ド セ ン チ ュ リ ー と は 元 来 、「 世 紀 の 半 ば の 」 と い う 意 味 で あ
るが、1950 年代前後 (1940∼60 年代) に米 国や北 欧な どで工 業製 品とし て大 量生産 され た 家
具類や その デザイ ンの ことを いう 。プ ラスチ ックや 成型 合板な どを 素材に 採り 入れ 、ポッ プ な
デザイ ンや 大胆な 配色 である にも かかわ らず 、滑らか な 曲線に よる 温かさ やシ ンプル で機 能 性
の高い モダ ンなデ ザイ ンが特 徴で ある。
このほか 、最 近では 、先 進的な イタリ アモ ダンと 和風 の要素 を持 つモダ ン家 具との 組み 合 わ
せや、健康・安全 面に 配慮し た商 品(ホ ルム アルデ ヒド を使わ ずア レルギ ー症 状が発 生し ない )
との組 み合 わせな ど、 コーデ ィネ ートに も創 意工夫 がみ られる 。
各 社と も収 益 確保 に注 力
季節によっ てば らつき はあ るが、直 近 の客単 価は 強含み で推 移し
ている 。オ ーダー 家具 が好調 であ る先述 のA 社では 、消 費者が 使い 勝手や 機能 性を重 視す る 傾
向にあ ると みてお り、そうし たニ ーズを 満た すオー ダー 家具は 、割 高であ って も売れ 行き が よ
くなっ てい る。ま た、他社の ケー スでも セッ ト購入 では なく、一点 豪華主 義の ような 形で 需 要
が高級 品に シフト しつ つある とい う。
ただし、収益面 につ いては 大手 小売店 と中 小小売 店と の格差 は大 きく 、業界 の上位 を占 め る
企 業 で は 粗 利 益 率 が 50% を 超 え る ケ ー ス が あ る の に 対 し て 、 中 小 で は 店 舗 面 積 や 取 扱 商 品 の
競合な どか ら苦戦 を強 いられ てい る。そこで 各社で は、他社と 競合 しない オリ ジナル 商品 の 開
発やメ ーカ ーとの 独占 販売契 約の 締結 、ある いは原 価が ほとん どか からな い家 具修理 など 、粗
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利を増 加さ せる方 法を 模索し てい る。
今 後の 見通 し
売上高の減 少や 店舗の 淘汰 など 、業 界 では厳 しい 状況が 続く ことが 予想 され
る中で 、企 業は生 き残 りをか けた さまざ まな 取り組 みを 進めて いる 。
家具のリ サイク ルや 家のリ フォ ーム事 業を 手掛け る企 業では、今 後イン ター ネット を活 用 し
てこれ らの 事業を さら に拡大 し、売上増 につ なげた いと してい る。ただし 、商 売の基 本は 話 術
による 顧客 との信 頼関 係の構 築で あると 考え ており 、専 門店と して「話術 のプ ロ」を 目指 し て
いる。
また、東 南アジ アの メーカ ーと 提携し てオ ーダー 家具 を製作 する 企業で は、今後、東南 ア ジ
アの家 具技 術のレ ベル を欧州 と同 等程度 に引 き上げ るた めに、現 地 の工房 にデ ザイン や品 質 向
上のた めの 指導を 強化 する考 えで ある。
このほか、快適な住空間を提案するために、トータルコーディネートに注力する企業など、
それぞ れに 特徴を 生か した経 営が みられ るが 、集積地 域 として のP Rによ る効 果的な 集客 を 進
め る 動 き も あ る 。 立 花 通 り で は 地 元 の 家 具 小 売 店 経 営 者 た ち が 立 ち 上 が り 、 14 年 4 月 に 「 堀
江 街 づ く り 活 性 化 連 盟 ( 通 称 : 堀 江 ユ ニ オ ン )」 を 結 成 し た 。 堀 江 ユ ニ オ ン で は 、 同 地 域 を 単
なるシ ョッ ピング エリ アとし てだ けでな く、まちの 安全 や快適 性を 追求し て地 域に出 店や 居 住
したく なる ような まち づくり を目 指して いる 。
このよう に、個店や グルー プに よる業 界活 性化の 動き がみら れる ように なっ たが 、今後 は 双
方が活 発に 交流を 重ね ること で、業界や 地域 のより 一層 の活性 化が もたら され ること が期 待 さ
れる。
(担当 :研 究員
山本
敏也 )
家 具 小 売 業 の 推 移 ( 全 国 ・ 大 阪 )
大
家 具
小売業
(店)
昭 和 63
年
平成3
6
9
11
14
製
造
小
売
阪
府
全
製造小
売
でない
もの
従業者
数
(人)
年間商
品
販売額
(百万
円)
家 具
小売業
(店)
製
造
小
売
国
製造小
売
でない
もの
従業者
数
(人)
年間商品
販売額
(百万円)
2,181
229
1,952
9,282
185,272
25,895
3,220 22,675 117,290 2,319,509
2,116
1,488
1,303
1,111
1,006
240
121
87
−
−
1,876
1,367
1,216
−
−
9,275
7,068
5,830
5,716
6,110
226,715
162,881
146,807
124,471
265,642
25,033
17,177
15,495
13,992
12,892
3,265 21,768 116,736 2,740,728
1,795 15,382
91,012 2,205,408
1,544 13,951
84,231 2,083,065
−
−
81,466 1,906,875
−
−
76,960 1,769,774
資 料:大 阪 府『 大 阪 の 商 業 』、経 済 産 業 省『 商 業 統 計 表 』よ り 。
( 注 )1.11 年 値 は 簡 易 調 査 に よ
る。
2.平 成 14 年 の 大 阪 府 の 年 間 商 品 販 売 額 は 突 出 し て い る が 、原 デ ー タ の ま ま 掲 載 した。
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