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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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<研究論文>化粧行為を構成する文化 : 社会・文化的アプ
ローチの視点から
木戸, 彩恵
教育方法の探究 (2007), 10: 57-63
2007-03-31
https://doi.org/10.14989/190333
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
【研究 論 文 】
化 粧行為 を構成す る文化
社 会 ・文 化 的 ア プ ロー チ の視 点 か ら 一一
一
木
1,は
戸
彩
恵
粧 の 側 面 で あ る。
じめ に
化 粧 は 、顔 を 中 心 とす る身 体 に 意 図 的 な 加 工(肌
手 入 れ 、 顔 面 の 色 ・質 感 ・形 の 変 形)を
の
施 し、 そ の 容
よそ お
な お 、大 坊(1997)は
、化 粧 の 意 味 を 「変 身 」 と 「粧
貌 に 変 化 を もた らす 行 為 で あ る。 身 体 の な か で も、 顔
う」 こ と と して い る。 前 者 は 、 素 顔 に 色 彩 を 施 し、 眉
は最 も デ ィ ス プ レイ 的 要 素 の 高 い 部 位 で あ る 。 それ ゆ
を描 き 直 し た り、 ま つ げ を長 く す る な ど して 、構 造 的
え に 、 顔 に化 粧 を 施 す こ と は 、 自 己 の個 性 表 現 、 審 美
に は 容 易 に は 変 え られ な い顔 の 特 徴 を 操 作 し、 印象 を
的表 現 な ど とい っ た 意 味 で 大 変 効 果 的 で あ る。化 粧 は 、
変 え よ う とす る 意 図 が 含 まれ る。 日常 の 自 分 と特 別 な
コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の ツ ー ル と して 、 対 人 場 面 にお い
自分 との 切 り替 え 、 日 々 の 自分 か ら抜 け 出 す 、変 身 す
て大 き な 役 割 を果 た す 。
一般 に
、 「化 粧 」 と い う言 葉 は 広 義 の 意 味 を もつ が 、
る こ と に よ っ て抑 制 され て い る 自 己 の別 な 側 面 を さ ら
す こ とが そ の 目 的 と さ れ る。 後 者 は 、 い つ もの 自分 に
薬 事 法 第 二 条1で は 、 化 粧 品 は 次 の よ うに 定 義 され て
手 を加 え 、 恒 常 的 に 一 定 の 対 人 的 効 果 を 目指 す もの で
い る。 「『化 粧 品 』とは 、人 の 身 体 を 清 潔 に し、美 化 し、
あ り、 い わ ば 自 己 の 「改 善 」 行 為 と して機 能 す る。
魅 力 を増 し、 容 貌 を 変 え 、 又 は 皮 膚 若 し く は 毛 髪 を健
や か に保 つ た め に 、 身 体 に 塗 擦 、 散 布 そ の 他 これ ら に
こ の よ うに 、 化 粧 と そ の 行 為 を 媒 介 す る 化 粧 品 は 、
一 見 す る と そ れ ぞ れ が 独 立 した 要 素 で は あ る が
、決 し
類 似 す る 方 法 で 使 用 され る こ とが 目 的 と され て い る物
て 単 一 に 機 能 を果 た して い る わ け で は な い 。 そ れ ぞ れ
で 、人 体 に 対 す る 作 用 が 緩 和 な もの を い う。(電 子 政 府
が 複 雑 に 連 関 しあ い な が ら化 粧 行 為 は 成 立 す るの で あ
よ り,薬 事 法 に つ い て は 電 子 政 府 を 参 照 した)」、 化 粧
る。
品 は 、1.ケ
ア 、2.メ
イ ク ア ッ プ 、3.フ
レグ ランス に
大 き く分 類 す る こ と が で き る(阿 部,1992)。
阿 部(1992)に
よ る と、1は
、 一般 的に ス キンケア と
称 され る 「
維 持 」 機 能 を 、2・3は
た す 。 な お 、2は
さ らに 、
2.化
粧の 文化化
化 粧 は 、 有 史 以 来 、 人 類 に広 く 普 及 して い る文 化 的
「
演 出 」 機 能 を果
行 為 の 一 つ で あ る。 そ の 性 質 は 可 変 的 で あ り、 時 代 背
「
維 持 」 機 能 と もや や 関 連 す る と さ
景 、 所 属 す る 集 団 、 文 化 に よ っ て 、 化 粧 の と らえ られ
れ て い る。
方 や 意 味 合 い は 変 容 して き た 。
この よ うな 定 義 か ら も わ か る よ うに 、化 粧 は 「
ケ ア」
た と え ば 、 現 代 の 日本 に お い て 、 化 粧 は 「女 性J一
と 「ビ ュ ー テ ィ フ ィ ケ ー シ ョ ン 」 と い う2つ の側 面 を
般 の お こ な う行 為 で あ る。 化 粧 は 、 化 粧 自分 ら し さ を
持 つ 。 基 本 的 に 、 前 者 は 、 自 己 や 自身 の 身 体 を 慈 しむ
容 易 に 、 直 接 的 に示 す 手 が か りで あ る 顔 の 印 象 管 理 の
行 為 で あ り、 手 入 れ 、 健 康 の 維 持 と い っ た 目的 も含 ま
方 法 と して 、 多 く の 女 性 か ら広 く受 け 入 れ られ て い る
れ るinfra-personalな 性 質 を 持 つ 化 粧 の 側 面 で あ る。 一
(阿 部 、2002な
ど)。
方 、 後 者 は 他 者 に 対 して 自分 ら し さ を ア ピー ル す るた
しか しな が ら、 明 治 時 代 以 前 の 日本 に お い て は 、 化
め に 化 粧 を 施 して い る 自分 を み る 「
他 者 」 を想 定 し、
粧 品 は 高 級 品 で あ り、 化 粧 を す る こ と 自体 、 身 分 の 高
他 者 に 対 して 自分 ら し さ を ア ピ ー ル す る とい っ た 、 他
い 一 部 の 人 々(男 性 も含 む)に
者 との 対 峙 を 目的 と したinter-persona且な 性 質 を も つ 化
2006)。 さ らに 歴 史 を紐 解 け ば 、そ の 歴 史 は 、現 生人 類
一57一
限 ら れ て い た(上 谷,
の 誕 生 に ま で さ か の ぼ る こ とが で き る と推 測 され る
は あ ま りな か っ た 。 一 方 で 、近 年 で は 、 外 見 の もつ 力
(阿 部,2002)。
が 大 き く意 識 され て お り、 そ の 文 化 的 な 価 値 ・重 要 性
古来 、化粧 は呪術 的な意 味 を もってお
り 、 神 事 や 呪 い を 目的 と して 用 い られ て お り、 化 粧 を
は 徐 々 に 認 め られ は じめ て い る。
す る 対 象 は 女 性 とい う よ り もむ しろ 男 性 で あ っ た(村
3.心
澤,1992)。
現 代 の 日本 で は 、 一 般 的 に 、 化 粧 は 成 人 女 性 の 身 だ
理学 にお ける化粧研 究 とその課題
化 粧 を 心 理 学 の 研 究 対 象 と して扱 う研 究 は 、1980年
しな み で あ る と指 摘 され て お り(岡 村 ・金 子,2005)、
代 に 、 臨 床 的 効 用 を 検 討 す る こ と を 目的 と して 開 始 さ
日本 人 成 人 女 性 の 多 く が(化 粧 の 濃 さや 施 し方 の 程 度
れ た 。 以 後 、 多 く の研 究 が な され た 結 果 、 現 在 で は 、
に 差 は あ る もの の)化 粧 を して い る。 同 様 に 、 化 粧 の
そ の 方 法 も、 取 り扱 う対 象 は 多 岐 に わ た り、 体 系 的 な
本 格 的 な 習 慣 化 は 成 人 と して の社 会 参 入 条 件 で あ る こ
知 識 が 積 み 上 げ られ て い る。 本 項 で は 、 そ の 主 要 な 分
と も阿 部(2002)に
野 に つ い て 概 観 す る。
よ っ て 指 摘 され て い る 。 実 際 、 就 職
活 動 、成 人 式 な どの よ う な 、社 会 参 入 場 面 に お い て は 、
女 性 に 対 して 化 粧 をす る こ と を直 接 的 ・間 接 的 に 求 め
る シ ュチ ュ エ ー シ ョ ン は 少 な か らず 存 在 す る。
(1)臨
床 的研 究
化 粧 を ケ ア の 一 貫 と捉 え る研 究 と して 、 心 身 に 疾 患
日本 に 特 徴 的 な 化 粧 の 傾 向 性 と して 、 石 井 ・石 田
を 持 っ た 人 を 対 象 とす る 臨床 的 研 究 が あ る 。 臨床 的 研
(2005)は 、「文 化 的 に 横 並 び 意 識 が 強 い と され る 日本 に
究 は 、 グ ラハ ム と ク リ ン グ マ ン(1985)に
お い て は 、 目立 た な い 外 見 で な い と社 会 か らバ ッ シ ン
床 的 効 用 に つ い て の 関 心 か ら始 め られ た 。
よ る化 粧 の 臨
グ され る と い う恐 怖 感 と、 美 し くな い と生 き づ らい と
現 在 で は 、太 田母 斑 な ど の よ うな外 観 に 障 害 を 持 つ
い う二 重 条 件 の な か で 暮 ら して い るjと い う こ と を指
人 、 老 人 性 痴 呆 症 を 中 心 に うつ 病 や 統 合 失 調 症 な ど 、
摘 し て い る。目立 っ こ とや 派 手 さを 求 め る の で は な く 、
精 神 に 障 害 を も つ 患 者 の 症 状 改 善 に役 立 っ た と い う報
自 分 を 平均 に 近 づ け る た め に 化 粧 を す る の で あ る。 こ
告 が な され て い る(野 崎,2004:加
う した 傾 向 性 は 、 日本 人 の ナ チ ュ ラル メ イ ク 志 向(村
2005な
澤,1992)を
た る効 用 と して は 、 情 動 の 活 性 化 、 食 欲 の 上 昇 、 痴 呆
形 成 して い る とい え る 。
こ の よ うに 、 化 粧 は 、 他 者 に 対 して 自 分 の 魅 力 を 伝
え る た め の 単 な る ツー ル と して の み で は な く 、 女 性 の
生 き 方 や ア イ デ ン テ ィ テ ィ に も影 響 を与 え る(岡 本,
藤 ・小 松 ・濱 畑,
ど)。 化 粧 を 臨 床 場 面 に適 用 す る こ とに よ る 主
の 改 善 な ど とい っ た ポ ジ テ ィ ブ な 効 用 が 認 め られ て い
る。
こ の よ うな研 究 が 積 み 重 ね られ 、 検 討 され た 結 果 と
2005)。 特 に 、化 粧 を す る 主 体 が 女 性 で あ る こ と か ら も 、
して 、 福 祉 ・医 療 を 目的 と した 化 粧 サ ー ビス が 各 方 面
性 役 割 や セ ル フ ・イ メ ー ジ の形 成 に 対 す る 影 響 は 強 い
に お い て 取 り入 れ られ て い る 。 特 に 、 美 容 先 進 国 で あ
と考 え られ る 。
る フ ラ ン ス で は 、 化 粧 は ヒュ ー マ ン ・ケ ア と して 一 般
先 述 した よ うに 、 化 粧 は そ の機 能 の 一 部 と して 、 対
的 に 受 け入 れ られ て お り、 ソ シオ ・エ ス テ テ ィ ッ ク と
人 関 係 や 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン場 面 に お い て 重 要 な 機
呼 ば れ る 国 家 資 格 と な っ て い る。日本 国 内 に お い て も 、
能 を は た す 。 そ の た め 、 化 粧 をす る 主 体 で あ る個 人 の
化 粧 を 医療 行 為 と して 、 積 極 的 に 治 療 に 取 り入 れ る試
化 粧 の 文 化 化(acculturation)に
み が 始 め られ て い る。
つ いて考 え る こと、
個 人 の もつ 文 化 の 意 味 を 考 えて い く こ とが 重 要 な こ と
と な る(矢 吹,2004)。
(2)生
す な わ ち 、 日常 的 な 化 粧 に 対 して 文 化 ・社 会 的 要 因
第2に
理 心 理 学 的 ・免 疫 学 的研 究
、化粧 が心身 の健康 に与 える直接的 な影響 を
が 与 え る 具 体 的 な 影 響 、 化 粧 行 為 が 個 人 に 与 え る影 響
検 討 す る こ と を 目的 と して 、 生理 指 標 が 用 い られ る 研
や そ の 変 化 プ ロセ ス に つ い て 具 体 的 に考 察 し て い く研
究 も あ る。
究 が 必 要 な の で あ る。 文 化 的 行 為 で あ る化 粧 は 、 近 年
阿 部(2002)は
、 ス キ ン ケ ア と生 理 指 標 の 相 関 性 か ら、
まで 「
お しゃ れ 」 の 一 環 で あ る と考 え られ 、 文 化 的 な
ス キ ン ケ ア が 日常 生 活 で 降 りか か る ス トレ ス を 緩 和 し、
価 値 を見 出 され る こ とや 学 術 的 な 研 究 が な され る こ と
本 来 の 自分 を 取 り戻 す 機 能 と して の 効 果 を も つ こ とを
一58一
報 告 して い る。ま た 、木 戸 ・サ トウ ・
佐 々 木 ・吉 井(2006)
そ して 、 そ の 結 果 か ら、 日本 人 の 顔 認 知 が 、 韓 国 人 と
は、 女 性 の 身 体 的 ・内 的 な 変 化 を 表 す 指 標 と して 、 肌
比 較 して 平 面 的 で あ る こ と を指 摘 して い る 。
状 態 に着 目 し、 肌 表 面 の 生 理 指 標 と心 理 的 要 因 の 関 連
性 を 検 討 す る た め に 基 礎 的 な 研 究 を行 っ て お り、 主 観
的 な肌 状 態 と 日常 生 活 の 充 実 の 関 連 性 を指 摘 して い る。
(5)先
行 研 究 にお け る 課 題
従 来 の 化 粧 研 究 は 、 女性 が 化 粧 を す る と い うこ とを
度 を指標 とした精神神
前提 して な され て き た 。 そ し て 、 多 くの 場 合 、化 粧 は
経免 疫 学 的 な 手 法 か ら、 化 粧 品 が も た らす 心 理 的 効 果
女性 に と っ て ポ ジテ ィ ブ な 効 用 を もた らす も の と して
と、免 疫 の 活 性 化 へ の 有 益 な 効 果 を 見 い だ し て い る。
取 り扱 わ れ て き た 。 研 究 の 文 脈 に お い て 、 この よ うに
さ らに 、 管(2004)は
、S-1gA濃
化 粧 が 取 り扱 わ れ て き た 理 由 と し て 、 次 の2つ
(3)社
第3に
会心 理学 的研 究
、 社 会 心 理 学 的 研 究 が 挙 げ られ る。 社 会 心 理
学的研 究領域 で は、化粧 は容 貌印象 管理 の一 環 として
捉 え られ て お り、 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンや 社 会 的 ス
キ ル(socialski11),性
の理 由
が 考 え られ る。 一 つ は 、 個 人 の 持 つ 文 化 に つ い て 着 目
役 割 とい っ た 観 点 か ら研 究 が
され て こな か っ た こ とで あ り、 も う一 つ は 、 量 的研 究
が主流 な研 究手法 とな っていた こ とである。
し か し、 化 粧 に 対 す る態 度 や 考 え方 、 実 際 の 行 為 に
は 、 個 人 差 が あ り、 一 様 で あ る とは 言 い が た い。 そ の
た め 、世 界 や 人 び とが 生 き る世 界 の 複 雑 性 を 認 め つ つ 、
お こな わ れ て い る。
Cash,Dawson,Davis,Bowen&Galmbeck(1989)}ま
、
社 会 ・文化 的 環 境 や 時 間 に よ っ て 変 化 す る 「
現実」 を
女 性 の 身 体 的 魅 力 と 化 粧 の 関 連 を 検 討 して お り 、
把 握 す る た め に は 、 フ ィー ル ドと 事 例 に密 着 した 「ロ
Rudd(1999)は
ー カ ル な 理 論 」 に 関 心 を 持 つ(や
、 女 子 大 学 生 の ボ デ ィ イ メ ー ジ と化 粧 を
的方
法 が 相 応 しい と考 え られ る 。
含 む容 貌 印 象 管 理 行 動 の 関 わ りを 検 討 し て い る。Mack
&Rainey(1990)の
ま だ ,2004)質
研 究に よって も、化粧 を含む 外見 の
文 化 と い う観 点 か ら 、 こ う した 主 張 を 実 現 す る方 法
手 入 れ を 入 念 に して い る外 見 魅 力 の 高 い 人 の 方 が 採 用
と して 、 社 会 ・文 化 的 ア プ ロー チ が あ る 。 次 項 に お い
され や す い こ とが 報 告 され て い る こ とか ら も 、化 粧 を
て 、社 会 ・文 化 的 ア プ ロー チ に つ い て 詳 述 した い 。
マ ナ ー とみ な す 社 会 的 傾 向 性 ・化 粧 行 為 や 、 要 望 印 象
管理 がいか に文化 的根 強 さを もってい るか を窺 い知 る
4.文
こ とが で き る 。
から
大 坊(2004)は
化 の 捉 え方
一 社 会 ・文 化 的 ア プ ロー チ の 方 法
、 化 粧 を 社 会 的 ス キ ル とみ な し 、一 連
の 研 究 結 果 か ら化 粧 の もつ 心 理 的 な 働 き と は 、1)自
己満 足 感 と対 人 的 な 効 用 とい え る役 割 遂 行 、2)自
呈 示 を通 じ て な され る 自 尊 心 の 向 上 、3)他
(1)文
己
者 か らの
評価向上 に よる満 足感 であ る、 とま とめて いる。
化 とは
Hatano&Wertsch(2001)は
、 「文 化 」 は 人 間 生 活
を 構 成 す る相 互 関 係 性 を も っ た 道 具 と して の 特 別 な 媒
介 で あ る と して お り、 文 化 は あ る程 度 の コ ミュ ニ テ ィ
の メ ンバ ー と共 有 され る し、 しば しば 世 代 を 超 え て 継
(4)比
第4に
較文化 的研 究
承 され る 。 こ う した 媒 介 と な る道 具 に は 身 体 ツ ー ル 、
、 比 較 文 化 的 研 究 が あ る。 比 較 文 化 的 研 究 で
常識 的 知 識 や 信 念 、 社 会 的 認 識 、 身 体 的 、 象 徴 的 、 社
は 、民 族 に よ る魅 力 的 な 顔 ・「
美 人 」顔 の 形 態 特 徴 や そ
の認 知 方 法 と い っ た 個 々 の 要 素 に 焦 点 を あ て 、 そ の 差
異 が 検 討 され て い る。
例 え ば 、 大 坊 ・村 澤 ・趙(1994)は
会 的 ツー ル と関 わ る 習 慣 的 な 行 動 様 式 が 含 ま れ る。
個 人 に形 成 され た 文 化 的 行 為 は 、 あ る文 化 内 部 で 多
様 性 を も ち な が ら も 、 そ の 根 源 と して 、 文 化 と して の
、 日 本 と韓 国 の 女
共 通 の パ タ ー ン を有 し て い る。 つ ま り、 個 人 の 持 つ 文
子大生 を対象 とし、両国 の女性 の容貌 写真 の提 示 をお
化 は 、 個 人 が 独 自 に 開 発 す る もの で は な く 、 歴 史的 に
こ な い 、 自国 民 ら し さ、 対 人 魅 力 度 ・パ ー ソナ リテ ィ
構 築 され た 文 化 と い う、 多様 だ が 、 あ る程 度 の 制 約 を
ー 印 象 と い っ た 容 貌 特 徴 に 対 して 評 定 を 行 わ せ
、そ の
文化 差や 回答の傾 向性 につ いて分 析 をお こな ってい る。
一59一
持 つ さ ま ざ ま な 可 能 性 の 中 で 、個 人 が 選 択 的 に 取 り入
れ て 、 形 成 す る もの で あ る。
は 、 個 人 と個 人 が 生 き る
起 す る現 実 の世 界 か ら導 き 出 され る結 果 と、 統 制 変 数
文 脈 は 、文 化 的 に構 成 され て お り、人 生 発 達 に お い て 、
ま た 、Valsiner(2000)で
を用 い た 実 験 室 実 験 に よ っ て も た ら され る 結 果 は 異 な
あ る文 化 を 獲 得 す る(獲 得 しな い と い う選 択 を す る)
る(Strauss&Corbin,1998)。
プ ロセ スや 関 わ り方 は 多 元 的 で 多 様 で あ る と考 え られ
人 が 生 き る 文 脈 は 、文 化 的 に 構 成 され て い る(Valsiner,
て い る。
2000)と
つ ま り、 文 化 の 中 で の 多 様 な 発 達 と そ の 変 容 を と ら
い え 、 人 生 発 達 に お い て 、 あ る行 為 を文 化 と
して 獲 得 す る(獲 得 しな い とい う選 択 を す る)プ
え る こ と は 、 個 人 レベ ル で の 化 粧 文 化 の 獲 得 を考 え て
精 神 へ の 社 会 ・文 化 的 ア プ ロ ー チ の 基 本 的 な 考 え に
考 え られ る。
お い て 、そ の 記 述 と説 明 の 対 象 は 、人 間 の 行 為(action)
で あ る(Wertsch,1991/田
社 会 ・文化 的(sociocultural)ア
介 手 段 は 、 行 為 の 形 成 に 本 質 的 に 関 わ っ て い る。 こ こ
で は 、 「個 人 」 は 単 一 体 と して の 個 人 で は な く 、 「
媒介
「
社 会 ・歴
一 手 段 を 一 用
も し く は 「文 化 一 歴 史 的
(cultural‐historical)」
人 間の行 為
を 用 い て コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン が 行 わ れ る 。 こ れ ら の 媒
プ ロ ー チ が あ る。
社 会 ・文 化 的 ア プ ロー チ は 、Vigtskyの
史 的(sociohistorica1)」
島 ら訳,2004)。
は 道 具 や 言 語 と い っ た 媒 介 手 段(mediationalmeans)
会 ・文 化 的 ア ブmチ
心 理 学 に お い て 、 文 化 ・社 会 を 捉 え る 方 法 と し て 、
ア プ ロ ー チ とBakhtinの
対話
い て 一 行 為 す
る 一
個 人
(individual(s)-acting-with-mediational-means)
理 論 を 中核 と して構 成 さ れ て い る 。
と して 捉 え られ る。
社 会 ・文 化 的 ア プ ロー チ の 提 唱 者 で あ るWertsch
(1991)は
ロセ
ス や 関 わ り方 は 多 元 的 で 多 様 で あ る。
い く 上 で も 有 用 で あ り、 十 分 に意 義 深 い こ とで あ る と
(2)社
そ れ ゆ え に 、 個 人 と個
Wertschは
、 人 間 の 精 神 活 動 を理 解 す る た め に は 、
、こ の基 本 的 な 目標 を 、 「
人 間の 心的過 程 と
行 為 媒 介 と して 用 い られ て い る 記 号 装 置 を 正 し く理 解
文 化 的 、 歴 史 的 さ らに は 制 度 的 な 状 況 との 本 質 的 関 連
しな け れ ば な らな い と述 べ て い る 。 こ こ で の 記 号 装 置
性 を説 明 して い く こ と」 と して い る。 この ア プ ロ ー チ
とは 、Bakhtinの
で は 、 既 存 の パ ラ ダ イ ム に 拘 束 され な い 、 超 領 域 的 な
さす 。 人 間 の 精 神 機 能 は基 本 的 に は コ ミュ ニ ケー シ ョ
「
人 間 性 の 科 学 」 の構 築 を 目指 した もの で 、 現 代 社 会
ン過 程 と む す び つ い て お り、 個 人 の 中 で 展 開 され て い
の 深 刻 な 諸 問 題 をそ の 複 雑 さ にお い て と ら え 、 それ を
る精 神 機 能 は 社 会 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン過 程 の 中 に
め ぐ る議 論 に 関 与 す る こ とが 目論 ま れ て い る(石 橋,
そ の 起 源 が あ る。 つ ま り、 個 人 が 何 ら か の こ と ば を 発
1997)p
す る と き に は 、 人 間 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン過 程 と 心 理
社 会 ・文 化 的 ア プ ロ ー チ の 考 え 方 は 、 文 化 心 理 学
(culturalpsychology)の
い う 「
他 者 の 声 」(Bakhtin,1963)を
的 過 程 の 対 話 と い う、 少 な く と も2つ の 声 が 同 時 に 聞
こ え て く る。 こ う した 意 味 で 、声 は 常 に 「
多 声 」的 で あ
考 え方 と 、多 く の 点 で一 致
す る。こ う した 潮 流 に お い て は 、 「文 化 的 伝 統 と社 会 的
る と い え る。
習 慣 が 人 間 の 心 を以 下 に 制 御 し 、表 現 し、 変 換 し、 変
社 会 ・文 化 的 ア プ ロ ー チ に お い て 、 「声 」 の 概 念 を
更 す るかに預 かってお り、その結果 、人 間の精 神 、 自
扱 う際 の 具体 的 な 方 法 に 関 す る示 唆 と して 、 土 屋
我 、感 情 に お い て は普 遍 性 よ りも 民 族 的 な 違 い とい う
(2004)の 、 どの よ うな 「
声 」が 「
特 権 化 」2さ れ て い る
も の が よ り大 き く な っ て い る 」(Shwder,1990)と
か を 知 る こ と と 、対 象 に と っ て どの よ うに 「
特 権 化 され
い う
前 提 が 一 般 に 共 有 され て い る 。
Vigotskyは
た 声 」が 経 験 され て い る か を 知 る こ とで は 、分 析 の 視 点
、精 神 現 象 に つ い て 、感 覚 ・知 覚 な どの
が 異 な っ て く る との 指 摘 が あ る。そ の 上 で 、「
特 権化 さ
精 神 プ ロセ ス に っ い て は 実 験 で 扱 え る と考 え て い た 。
一方で
、 高 次 の 精 神 プ ロセ ス に つ い て は 実 験 で は な い
れ た 声 」が 、主 体 に よ っ て 具 体 的 に どの よ うに 経 験 さ れ
方 法 で 社 会 的 文 脈 と共 に 理 解 す べ き だ と考 え て い た。
を 、 経 験 す る 主 体 の 側 か ら と ら え る 視 点 が よ り心 理 学
実 際 、Wundtは
て い る の か とい う、 主 体 と 「
特 権 化 され た 声 との 関係 」
、 実 験 的 な 内観 が 適 用 で き な い 分 野 に
的 で あ る と して い る。 わ れ わ れ が 何 らか の 社 会 的 実 践
対 して は 、 観 察 と記 述 の 理 解 を 軸 とす る 方 法 を 用 い て
の 場 に 身 をお い た と き 、 そ こ で 居 心 地 の 悪 さ が あ る と
い た(Flick,1995)。
す れば 、それ はそ こにおい て何 らかの 「
特 権 化 」され た
出 来 事 が 自然 の 流 れ の な か で 生
.1
「
声 」が あ る とい う こ と、 さ らに そ の 「
特 権 化 され た 声 」
と の 相 互 作 用 を 通 し て す る行 為 を 問 題 に す る こ とな の
と自分 の 「声(複 数)」 の い ず れ か との 関 係 に お い て 違
で あ る。Wertsch(1991)の 言 葉 を 借 りれ ば,「 我 々 の 実 際
和感 が 生 じて い る の で は な い か と 考 え られ る の で あ る
の 日常 生 活 的 な発 話 に は 、他 者 の 言 葉 が満 ち 溢 れ て い
(土屋,2004)。
る。 我 々 は 、 あ る他 者 の 言 葉 に つ い て は 、 そ れ が 誰 の
言 葉 で あ る の か を 忘 れ て 、 そ れ に 自分 の 声 を 完 全 に融
5。 社 会 ・文 化 的 ア プ ロ ー チ か らみ た 化 粧 研 究 の 課 題
合 させ た り、 ま た別 の 他 者 の言 葉 に つ い て は 、 そ れ を
自分 に と っ て 権 威 あ る 言 葉 と して 受 け取 り 、 そ れ に よ
と展 望
木 戸(2006)の
研 究で は、質 的研 究 の方法論 の一 っ
っ て 自分 の 言 葉 を補 強 した り、 さ らに ま た 別 な 他 者 の
で あ る 複 線 径 路 ・等 至 性 モ デ ル(=Trajectoryand
言 葉 につ い て は 、 そ こ に そ の 言 葉 に 無 縁 な 、 あ るい は
EquifinalityModel:TEM,Sato,Yasuda,Kido,Arakawa,
敵 対 的 な 自分 自身 の 志 向性 を組 み 込 ん だ り して い るの
Mizoguchi&Valsiner.(inpress);ValsinerandSato,
で あ る。」
2006な ど)を 用 い,化 粧 へ と至 る プ ロ セ ス と文 化 的 越
こ の よ うな 対 象 に つ い て一 化 粧 が 個 人 に とっ て い
経 験 し た 日本 人 女 子 大 学
か な る と し て捉 え られ て い るか 一 につ い て は 、 時 間 的
生 の化 粧 観 の 変 容 につ い て 具 体 的 な 記 述 を行 っ た が 、
経 緯 と選 択 肢 とい っ た 問 題 を 考 慮 に入 れ つ つ 、 文化 的
それ は あ く ま で も行 為 の レベ ル か ら の 記 述 に と どま っ
行 為 と し て の 意 味 に つ い て 、 社 会 ・文 化 的 ア プ ロ ー チ
て い る。 そ の た め 、 化 粧 と い う行 為 自 体 の もっ
か ら研 究 を 検 討 す る必 要 が あ る。
境(こ
こで は 、 米 国 留 学)を
の行 為(actofmeaning:Bruner,1990)」
「
意味
十 分 な検 討
に は な っ て い な い。
Bakhtinの
「
他 者 の 声 」 を 意 識 しつ つ 、 社 会 ・文 化
的 ア プ ロー チ の 方 法 を 用 い る こ とに よ り、 こ れ ま で に
そ こ で 今 後 の 研 究 と して 、 外 見 変 容(主 と して 、 メ
可 視 化 され る こ との な か っ た 媒 介 と して の 化 粧 一 化 粧
ー ク ア ッ プ 化 粧)に 対 す る 「
他 者 の 声 」の 影 響 研 究 対 象
の 方 法 ・濃 さ、 化 粧 を す る際 に 意 識 す る 対 象 な ど を 決
と し、 研 究 対 象 と して は 、 化 粧 を しな い 人 ・す る人 の
定付 ける、 見 えない他者 の存在 等 につ いて一 個人 がい
両 方 を研 究 の 対 象 と し 、 そ れ ぞ れ に と っ て の 化 粧 の 持
か に 意 識 して い る か に を 考 察 す る こ と が 可 能 とな る だ
っ 意 味 を 考 え て い き た い 。 化 粧 を す る人 と しな い 人 の
ろ う。 一 連 の 試 み と し て 、 こ の よ うな 研 究 を 行 うこ と
双 方 か ら語 りを 得 る こ とに よ っ て 、 そ れ ぞ れ の 立 場 に
に よ っ て 、 心 理 学 に お い て 質 的 方 法 を 用 い る こ との 利
お け る化 粧 をす る こ との 意 義 ・しな い こ との 意 義 が 相
点 を 十 分 に 生 か しつ つ 、 従 来 の 化 粧 研 究 に 対 して 一 石
対 的 に 見 え や す く な り、 従 来 の 化 粧 研 究 の よ う に 、 化
を 投 じる こ とが で き る と考 え られ る。
粧 を す る こ と に 対 して ポ ジ テ ィ ブ な 効 用 一 一 方 向 的 な
価 値 づ け一 が 強 調 され る こ と を 防 ぐ こ と が 出 来 る と 考
謝辞
ご多 忙 中 に もか か わ らず 、 丁 寧 な指 導 を く だ さい ま
え られ る。
具 体 的 に は 、 化 粧 を す る こ とが 当 た り前 と い う価 値
観 を 持 ち 、 化 粧 を す る こ とを 是 と し 、 そ れ を 前 提 と し
した,や
ま だ よ うこ 先 生,ご
諸 先 輩 方 に,こ
助言 を下 さった研 究室 の
の 場 を 借 りて お 礼 を 申 し上 げ ます 。
て行 わ れ て き た 文 化 的 文 脈 に 埋 め 込 ま れ た 化 粧 研 究 自
体 の含 む 問題 を 、 「
他 者 の 声 」(Bakhtin,1963)と
い う
引 用 ・参 考 文 献
概 念 を 通 じて 問 い 直 した い。 自 己 と化 粧 と社 会 の 関 係
阿 部 恒 之1992化
性 を あ ら た め て 考 察 す る こ とに よ り 、 文 化 と個 人 を 媒
阿 部 恒 之2002ス
介 す る 行 為 し て の 化 粧 の 意 味 を 明 ら か に す る こ とが 可
京:フ
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トレ ス と化 粧 の 社 会 生 理 心 理 学
東
レグ ラ ンス ジャ ー ナル 社
Bruner,J.S.1990Actsofmeaning.HarvardUniversityPress.
能 とな る と考 え られ る。
そ の 際 に は 、 特 に化 粧 行 為 自 体 が 持 つ 意 味 を 、 社 会
的 な方 向 付 け に よ る制 約 に着 目 しな が ら考 察 して い く
こ とが 重 要 に な る と 考 え られ る。つ ま り、「
社 会的 言語」
や「
特 権 化 され た 声 」を 問 題 とす る こ とは 、 個 人 が社 会
一61一
岡 本 夏 木 ・仲 渡 一 美 ・吉 村 啓 子(訳)1999意
味の
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矢 吹 理 恵2004日
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無 籐 隆
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理 性 の 声 一 精
チ ー
現 代 思 想19
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Wertsch,J.V.1991VoicesoftheMind‐ASociocultural
ApproachtoMediatedAction.田
呂 雄 二
島 信 元
・上 村 佳 世 子(訳)2004心
・佐 藤 公 治
の 声
東 京:福
・茂
村
出 版
注
1)薬
事 法 は,昭
和 三 十 五 年 八 月 十 日法 律 第 百 四 十 五
号 と し て制 定 され,現
段 階 で の 最 終 改 正 は,平
成
一 八 年 六 月 ニ ー 日で あ る
。
2)Wertsch(1990)が
提 示 し た 概 念 で あ り、Bakhtin
の「
権 威 的 な 言 葉 」が も と に な っ て い る 。「
権威 的 な
言 葉 」は 他 の 「
声 」と の接 触 能 力 を 欠 い て お り、他 の
「
声 」 との 「
対 話 」に よ っ て 相 互 活 性 化 され る こ と
を 極 力 拒 む 。Wertschは そ の よ うな 「
声 」の 権 威 性 の
考 え を援 用 し、 固有 の 社 会 文化 的状 況 に お け る
「
声 」と 「
声 」の 関 係 を 、 よ りダ イ ナ ミ ッ ク に と ら え
る概 念 と して 「
特 権 化 」とい う用 語 を 提 示 して い る。
(修士 課 程)
一63一
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