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基礎マクロ経済学 (2008) 練習問題6章[5][8][9]解答

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基礎マクロ経済学 (2008) 練習問題6章[5][8][9]解答
基礎マクロ経済学 (2008)
1
基礎マクロ経済学 (2008) 練習問題 6 章 [5][8][9] 解答
6 章「乗数理論と IS—LM 分析」練習問題
[5] 乗数理論
(1) 与えられた数値を代入すると財市場の需給均衡式は、
Y
=
∗
60 + 0.8(Y − 50) + 100 + 50,
=
170.
5Y
よって、
Y ∗ = 850.
(2) 政府支出乗数は
∆Y
1
=
= 5.
∆G
1 − 0.8
また租税乗数は
∆Y
0.8
=−
= −4.
∆T
1 − 0.8
(3) T = 50 のままで、G = 60 に変化すると、
Y
=
∗
60 + 0.8(Y − 50) + 100 + 60,
=
180.
5Y
よって、
Y ∗ = 900.
(4) G = 50 のままで、T = 60 に変化すると、
Y
=
5Y ∗
60 + 0.8(Y − 60) + 100 + 50,
=
162.
よって、
Y ∗ = 810.
(5) この問題での数値を代入した、国民所得 Y に対応する総需要 Y D は以下のようになる。
Y D (Y ) =
0.8Y + 170
均衡国民所得 Y ∗ は財市場の需給均衡 Y = Y D (Y ) が成り立つような国民所得なので、図 1 のよ
うに 45 度線と総需要の交点で決まる。
基礎マクロ経済学 (2008)
2
YD
YD
0.8
170
45 °
Y ∗ = 850
0
Y
図 1.均衡国民所得の決定
② この総需要のとき、完全雇用国民所得 Yf での総需要は
Y D (Yf ) = 906
となり、完全雇用水準での供給量 Yf = 920 より少ない。完全雇用国民所得に対する不足分(デ
フレギャップ)は、
Yf − Y D (Yf ) = 14
である。
③ 租税 T = 50 で政府支出が G のときの均衡国民所得を求めると
Y
=
Y∗
60 + 0.8(Y − 50) + 100 + G,
=
600 + 5G.
これが完全雇用国民所得に等しくなるような政府支出を求めればよい。
600 + 5G =
G =
920,
64.
したがって完全雇用国民所得を達成するには政府支出を 64 に増加させればよい。
(別解)また、完全雇用を達成するために必要な政府支出の増加はデフレ・ギャップに等しいので、
そのように説明して [問 5] の結果より、G = 64 としてもよい。)
④ 政府支出が G = 50 で租税が T のときの均衡国民所得を求めると
Y
=
∗
60 + 0.8(Y − T ) + 100 + 50,
=
1050 − 4T.
Y
基礎マクロ経済学 (2008)
3
これが完全雇用国民所得に等しくなるような租税水準を求めればよい。
1050 − 4T
=
920,
T
=
32.5.
したがって完全雇用国民所得を達成するには租税を 32.5 に減税すればよい。
⑤ 均衡予算のときは政府支出が G とすると、租税は T = G でないといけない。このとき均衡
国民所得は
Y
=
Y∗
60 + 0.8(Y − G) + 100 + G,
=
600 + G.
これが完全雇用国民所得に等しくなるような政府支出を求めればよい。
800 + G
=
920,
G
=
120.
したがって均衡予算の下で完全雇用国民所得を達成するには政府支出と租税をともに 120 に増加
させればよい。
[8] IS-LM 分析
(1) 財市場の需給均衡式 Y = C(Y − T ) + I(i) + G より、
Y
=
i =
(2) 貨幣市場の需給均衡式
50 + 0.85(Y − 40) + 200 − 5i + 50
−0.03Y + 53.2
M
= L(Y, i) より、
P
100
=
2
i =
0.1Y − 10i + 70
0.01Y + 2
(3)IS 曲線と LM 曲線の式を連立して Y と i について求めると、
Y ∗ = 1280, i∗ = 14.8
IS 曲線、LM 曲線、均衡国民所得、均衡利子率は図 2 のようになる。
基礎マクロ経済学 (2008)
4
i
LM 曲線
E
i∗
IS 曲線
Y∗
0
Y
図2.IS-LM 分析の均衡
(4) 政府支出が G = 60 のときの IS 曲線の式は財市場の需給均衡式より、
Y
=
i =
0.85(Y − 40) + 50 + 200 − 5i + 60
−0.03Y + 55.2
LM 曲線の式と連立して Y と i について求めると、
Y1 ∗ = 1330, i1 ∗ = 15.3
(5) 財政政策後の IS 曲線、均衡国民所得、均衡利子率は図3のようになる。
基礎マクロ経済学 (2008)
5
i
LM 曲線
E1
i1 ∗
E
i∗
IS 曲線
Y∗
0
Y1 ∗
Y
クラウディング・アウトによる国民所得の減少分
図3.IS-LM 分析での財政政策
(6) クラウディング・アウトとは政府支出の増加が利子率を増加させ、民間投資を減少させて
しまう現象である。
(7) 図 3 を参照。
(8) 租税が T = 50 のときの IS 曲線の式は財市場の需給均衡式より、
Y
=
i =
0.85(Y − 50) + 50 + 200 − 5i + 50
−0.03Y + 51.5
LM 曲線の式と連立して Y と i について求めると、
Y1 ∗ = 1237.5,
i1 ∗ = 14.375
(9) 名目貨幣供給量が M = 120 のときの LM 曲線の式は貨幣市場の需給均衡式より、
120
=
2
i =
0.1Y − 10i + 70
0.01Y + 1
IS 曲線の式と連立して Y と i について求めると、
Y2 ∗ = 1305,
i2 ∗ = 14.05
(10) 金融政策によって LM 曲線、均衡国民所得、均衡利子率は図4のようになる。
基礎マクロ経済学 (2008)
6
i
LM 曲線
E
i∗
i2 ∗
E2
IS 曲線
Y ∗Y2
0
∗
Y
図4.IS-LM 分析での金融政策
[9] IS-LM 分析
(1) IS 曲線は財市場の需給均衡式より、
Y
=
C(Y − T ) + I(i) + G
100i
=
−0.2Y + 566.
(2) LM 曲線は貨幣市場の需給均衡式より、
100i = 0.3Y + 10.
(3)IS-LM 分析の均衡の (Y ∗ , r ∗ ) は財市場・貨幣市場の均衡式で決まるので、次の連立方程式を
Y と i について解けばよい。
⎧
⎪
⎨
Y と i について求めると、
⎪
⎩
100i = −0.2Y + 566
(1)
100i = 0.3Y + 10
Y∗
=
1112 兆円,
(2)
∗
=
3.436 %.
(3)
i
基礎マクロ経済学 (2008)
7
(4) 政府支出 G だけ決まっていないとき、G に対応する均衡国民所得 Y ∗ は、 Y ∗ = 1052 + 2G
これがちょうど完全雇用国民所得 Yf = 1200 に一致するには、G = 74 兆円に増加すればよい。
政府支出のみ動かしたので、LM 曲線は変化していない。よって、LM 曲線に完全雇用国民所
得 Yf = 1200 を代入すれば、均衡利子率が求まる。 i∗1 = 3.7 %
財政政策前に比べて、均衡利子率は 0.264 %上昇している。
(5) 貨幣供給量 M だけ決まっていないとき、M に対応する均衡国民所得 Y ∗ は、 Y ∗ = 1032 + 0.2M
これがちょうど完全雇用国民所得 Yf = 1200 に一致するには、M = 840 兆円に増加すればよい。
貨幣供給のみ動かしたので、IS 曲線は変化していない。よって、IS 曲線に完全雇用国民所得
Yf = 1200 を代入すれば、均衡利子率が求められる。 i∗2 = 3.26 %
金融政策前に比べて、均衡利子率は 0.176 %低下している。拡張的な金融政策では、利子率は減
少することがわかる。
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