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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策

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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
59
厚木市緑の基本計画
第4章 緑地の保 全及び緑 化の推進 のための 施策
1 施策体系に基づく緑地の保全と緑化の推進のための施策概要
1
緑を結ぶ
◇エコロジカルネットワーク、クールアイランドの形成
大山山麓や河川、農地及び斜面緑地の保全、都市基幹公園と地域制緑地の整
備、都市計画道路における植栽帯の確保を通じて、エコロジカルネットワーク及
びクールアイランドの形成に努めます。
◇レクリエーションネットワークの形成
河川流域に展開するアウトドア資源ネットワークを形成するために、ウォー
キングコース、観光ふれあいの道(あじさいロード)、ハイキングコース、緑道
整備、歩行者優先のプロムナードの整備やサイン・標識・案内板の整備を進める
とともに、活動拠点・中継ポイントとして既存の施設活用に加えてやまなみ山の
駅整備構想事業の検討を進め、レクリエーションネットワークの形成に努めます。
◇災害時の避難や延焼防止に寄与するネットワークの形成
広域避難場所の確保と整備を進めるとともに、避難路の整備により、災害時
の避難や延焼防止に寄与するネットワークの形成に努めます。
◇連続した景観を形造るネットワークの形成
自然景観、山頂、河川、斜面緑地、田園景観、里山景観の保全に努めるとと
もに、計画的な住宅地や産業地の新しい里山景観の形成や、本市の顔となる地域
の都心景観を形成する公共施設・街路・民有地の緑化により、連続した景観を形
作るネットワークの形成に努めます。
【白山順礼峠ハイキングコース】
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【河川沿いの散策路】
第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
2
緑を守る
◇自然公園・森林地域等の保全
清流の水源ともなる東丹沢の山地・山麓の自然環境、鳶尾山の保全など自然
公園・森林地域等の保全に努めます。
◇地域制緑地の指定
緑地保全地区の指定による緑地保全事業の実施のほか、斜面緑地保存地区の
指定など地域制緑地の指定に努めるとともに、斜面緑地公有地化事業、借地によ
る斜面緑地の保全等を実施し、斜面緑地の保全に努めます。
鳶尾山では、風致地区指定を検討し、保全と緑の復元に努めます。
◇社寺林、屋敷林、生垣等の保全・育成
ふるさとの森、保護樹林、保護樹木、保存生垣の指定を通じて、社寺林、屋
敷林、生垣等の保全・育成に努めます。
◇優良な農地の確保・生産緑地の指定
農業振興地域における農地の確保及び荒廃農地の活用に努めるとともに、市
街化区域内の生産緑地については維持・保全に努めます。
◇動植物の生息環境の保全
自然公園・森林地域等の保全、地域制緑地、自然環境保護地区の指定を通じ
て動植物の生息環境の保全に努めるとともに、希少動植物保護事業などを通じて
野生動植物の保護が必要な地区が明らかになった際には、野生動植物保護地区の
指定に努めます。
◇緑を育む水・河川の保全
豊かな自然を水源とする水や河川の清流は緑を育む重要な役割を担っており、
相模川、中津川、小鮎川、荻野川、玉川、恩曽川の水辺環境の保全に努めます。
【丹沢・市街地内の斜面緑地・相模川】
【ふるさとの森(温水)】
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厚木市緑の基本計画
3
緑を育む
◇森林の保全・育成
広葉樹林の保全・育成、市民ボランティア活動支援、森林組合等との連携に
よる森林づくり事業の推進により、里山の保全・整備に努めるとともに、水源の
森林づくりの支援に努めます。
◇環境保全型農業の促進
生物の生息環境などにも配慮した環境保全型農業の促進に努めます。
◇都市公園等の整備の推進
(仮称)高松山風致公園等の整備や、買取りの申出があった生産緑地におけ
る都市公園の検討など都市公園の整備に努めます。
さがみグリーンラインに基づく相模川沿いの公園整備の促進、野球場・球技
場、スポーツ広場、青少年広場などスポーツ施設の整備、児童遊園等の整備など
公共施設緑地の整備に努めます。
また、コミュニティパーク、コミュニティガーデンの整備など民間敷地を活
用した公園施設等の整備に努めるとともに、都市公園等の施設のユニバーサルデ
ザイン化の推進に努めます。
【高松山からの眺め】
【コミュニティガーデン】
◇公共施設の緑化の推進
今後整備する公共施設は緑化の推進に努めるとともに、道路・街路空間では、
並木路づくりや街路樹の多層化植栽による防災機能の充実に努めます。
また、河川環境創出事業(中津川リージョンパーク)
、さがみグリーンライン
に基づく相模川沿いの公園整備の促進に努めるとともに、恩曽川多自然護岸整備
を始めとする環境に配慮した整備の検討など公共空閑地としての河川の緑化に
努めます。
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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
◇民間施設の緑化の促進
「特定開発事業」における緑化の促進を進めるとともに、地域緑化、住宅の
緑化、都市空閑地の緑化の促進など「緑を増やす事業」の推進に努めます。
また、地域まちづくり協定、緑地協定等の締結促進や、地区計画制度の導入
を通じて緑地の保全と緑化の促進に努めます。
さらに、屋上緑化推進事業補助制度の活用促進に努めるとともに、資源利用
跡地・未利用地の緑化、地域集会施設建設費等補助事業と併せた地域集会施設の
緑化の促進、開発地区の残地森林の保全に努めます。
◇緑化重点地区の指定と緑化の推進
緑化重点地区の指定に努めるとともに、ポケットパークなど歩行者のための
空間確保や外周部の緑地保全や緑化修景の誘導などに努めます。
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厚木市緑の基本計画
4
緑を活かす
◇自然公園等の保護と調和のとれた活用の推進
(仮称)七沢ふるさと食文化村事業、里山マルチライブプラン事業、七沢も
みじの里の整備を始めとする事業の実施に努めるとともに、東丹沢の山地・山麓
や鳶尾山のレクリエーションへの活用に努めます。
◇都市農業対策事業等による農地等の活用
市民農園、交流農園、小学生体験農園、花のさとづくり事業、農業まつり開
催事業、果樹栽培の支援など都市農業の育成に努めるとともに、自然とのふれあ
い、農業・農村体験のできる施設の調査研究を進めます。
また、買取りの申出があった生産緑地については、都市公園・市民農園化の
検討に努めます。
◇河川・公園緑地等における環境学習等への活用
地域の川に親しむつどい開催事業、あつぎの鳴く虫復活調査事業、親水環境
施設整備事業、歴史的景観ウォッチング事業、生涯学習振興事業、高齢者生きが
い教室事業を通じて、河川・公園緑地等の環境学習等への活用に努めます。
◇樹木や剪定材の活用
公園維持管理に伴う落ち葉、剪定材等の活用、緑の銀行制度による不要樹木
の再活用の促進など樹木や剪定材の活用に努めます。
【里山マルチライブプラン(荻野)】
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【地蔵橋親水公園】
第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
5
緑を広げる
◇民間の参加、協力等の促進
自治会活動・ボランティア活動の育成、指導者の育成、緑地協定の指定など
都市緑化関係団体の育成、活用、強化に努めます。
また、都市緑化助成制度の拡充に努めるとともに、花いっぱい運動の展開な
ど市民参加の促進に努めます。
◇普及啓発活動の推進
緑や環境に関わる祭り・イベント・活動の展開、緑に関わる学習機会の提供
に努めるとともに、緑化の啓発と利用促進のための情報発信、普及啓発のための
モデル地区指定・コンクール等の開催に努めます。
【花いっぱい運動】
【緑のまつり(花と緑のステージ)】
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厚木市緑の基本計画
2 施設緑地の整備目標及び配置方針
(1)都市公園
前述の都市公園の配置及び整備方針に基づき、都市公園の整備を積極的に進
めます。
(2)公共施設緑地
公共施設緑地については、施設の整備推進、緑地環境の保全及び緑化の向上
のための基本方向を示します。
公共公益施設における植栽地の拡充に向けて本市では、
「厚木市緑を豊かにす
る事業推進要綱」により、公共施設、街路、公共空閑地等の施設について、積極
的な緑化を進めます。
1)緑地
現在確保されている緑地(一部借地も含む)は、大規模住宅開発等によって
残された周辺緑地が大部分となっています。今後も丘陵地開発で、このような緑
地が残される場合には、地域の生活環境保全のための緑地として保全に努めます。
2)河川緑地
河川緑地は、相模川、中津川、荻野川、小鮎川、恩曽川、玉川を対象とし、
河川管理者と連携しながら堤防道路の緑化及び歩道空間の確保による移動型レ
クリエーション空間としての提供とともに、ネットワーク利用の軸となるルート
とします。
特に自然性の高い河川環境を有している相模川及び中津川は
核
としての
機能を担う環境として保全に努め、緑地として機能している高水敷を活用して、
堤体部分の歩道空間等との連続した移動空間の確保などレクリエーションの軸
としても活用していきます。
3)道路関連緑地(環境施設帯)
高規格幹線道路等整備に関わる環境施設帯及びインターチェンジ、パーキン
グエリアは、密度の高い緑化が可能であることから、騒音及び塵等の緩衝機能と
ともに、ビオトープ空間としての緑化を積極的に導入し、エコロジカルネットワ
ークの形成での 拠点 や 飛び石空間 としての役割を担う整備の推進を図り
ます。
また、今後事業を実施する道路、現在ある道路も含めて並木路づくりなどの
緑化を推進するとともに、街路樹の多層化植栽による防災機能の充実に努めます。
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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
緑化区間の維持管理や花だんづくり、手入れ等は市民による維持管理の「里
親制度(アダプトプログラム)
」の導入を検討します。
4)教育施設
教育施設は、防災計画の地域における避難場所としての機能充足を図るため
に、全ての施設を公共施設緑地として位置づけ、緑化を充実する対象とします。
また、周辺に避難路としての機能を担う緑道の接続など、他の緑地空間との
連携に努めます。
5)運動施設(運動場、スポーツ広場、青少年広場)
多くの施設は広場が主体となった施設であるため、周辺部での緑化や休養施
設などの整備によって利便性を高めるとともに、隣接して都市公園を整備するな
ど、他の緑地との一体化を図り、公園緑地としての機能を持ち合わせた施設とし
て充実する方向とします。
6)児童遊園
現在の児童遊園の維持管理・改修を進め、児童の多い地区で小規模な公園が
不足する地区などを対象に、必要に応じて新たな児童遊園の整備に努めるととも
に、親子の身近なふれあいの場として子育て広場の整備を図ります。
児童遊園は、街区公園とともに最も身近な施設であり、市街化区域内の都市
公園等の誘致距離圏域外の地域などでは、比較的規模の大きな児童遊園や周辺に
未利用地が存在する児童遊園などを対象に、街区公園レベルの施設整備を目指す
ことによって、その充実に努め、地域のレクリエーション施設のネットワーク構
築に寄与する施設としていきます。
7)コミュニティパーク
市街化区域内の都市公園等の誘致距離圏域外の地域における暫定公園と位置
づけ、市民が自由に憩える広場として施設整備に努めます。
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厚木市緑の基本計画
8)コミュニティガーデン
花いっぱい運動の一環として市民に潤いとやすらぎを与えるコミュニティガ
ーデンは、身近な花を楽しめる場所として、今後は市民の参加・協力のもとに充
実を図ります。
【コミュニティガーデン】
9)市民緑地
市民緑地は、市民の利用を通じて、その緑地に親しみ、緑地の価値への理解
を深めることが大きな役割と考えられます。
市民緑地制度は、土地の所有者からの申し出に基づくことを基本としており、
現在「ふるさとの森」や「斜面緑地保存地区」等に指定している樹林などを対象
として、緑地の保全と市民の利用に供する緑地として提供するための申し出が合
った場合には積極的に支援を行う方向での検討を進めます。
また、今後指定する緑地保全地区内や保全配慮地区内の緑地で、市民の利用
にも適する緑地については、緑地の保全上必要があると判断する場合には、本市
行政からも土地所有者に対して申し出を行い、市民緑地としての保全と利用を行
います。
【市民緑地制度の適用が想定される緑地のイメージ】
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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
10)その他の公共施設緑地
その他の公共施設緑地は、緑の質の向上を目指した緑化を推進するために、
県立自然環境保全センター、厚木サンパークなどの現況公共施設のほか、相模川
汚泥貯留地上部利用施設、(仮称)市民交流支援センター整備事業、斎場施設整
備事業、公民館整備事業、児童館整備、生涯学習施設整備事業、(仮称)戸室ハ
イツ建設事業など新たに整備する公共施設の緑化を推進します。
(3)民間施設緑地
民間施設緑地は、現在公開されている施設及び今後公開性が高まると考えら
れる施設を対象として位置づけます。
1)教育施設
これからの大学は、公開講座の実施などによって、より市民に開かれた生涯
学習施設としての役割が増し、空間としての開放性も期待されることから、他の
公共教育施設と同様に、避難所としての機能を高める緑化の促進を働きかけてい
きます。
2)娯楽・スポーツ施設
ゴルフ場は、大規模な緑地空間として重要ですが、公開施設ではないため、
通常時においては、民間施設緑地と位置づけられませんが、災害時の緊急避難場
所としての活用やビオトープ空間としての緑化手法の取組などによって、緑化空
間としての役割を担うことができる施設として位置づけます。ここでは、広域避
難場所に指定されている本厚木カンツリークラブを位置づけることとします。
3)公開空地
公開空地は、高層建築物などの高度利用がなされた空間の周囲に配置される、
市街地内では広場としての機能を有する重要な緑地であり、街路と一体的に避難
路としての機能を補うことが期待されます。
商業・業務地における再開発時等には、総合設計制度等の導入の促進などに
よって、街路と一体化した緑化空間として連続性を図っていく対象とします。
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厚木市緑の基本計画
4)公共緑地
比較的規模の大きな開発の際に設置される緑地で、市民の自由な利用が可能
な構造であり、緑地としての充実を図る対象とします。
5)市民農園
市民農園の需要は今後増加するものと予想されます。施設周辺部での公園的
な整備や都市公園への取り込みなど、公園緑地系統の一つとして位置づけ、緑地
としての充実を図る対象とします。
また、生産緑地地区はその維持・増進を原則としますが、買取の申出があっ
た場合には、都市公園としての整備の検討と合わせて、市民農園としての利用の
検討を行います。
6)その他の民間施設緑地の緑化の促進
① 「特定開発事業」の緑化の促進
「厚木市住みよいまちづくり条例」に基づき「特定開発事業」における緑化
の促進に努めます。
②
「地域まちづくり計画」による緑化の促進
市民等による「地域まちづくり協議会」の組織化を促すとともに、
「住みよい
まちづくり条例」に基づく市民主体の緑地の保全と緑化を促進します。
さらに、制度に基づき、緑地協定、地区計画制度の適用など継続性ある緑地
への担保のための方策適用を検討します。
③
「緑を増やす事業」の促進
本市では、
「緑を豊かにする事業推進要綱」により民間施設で「緑を増やす事
業」の促進を行っており、地域・都市空閑地などの緑化を今後とも促進していき
ます。
産業地などの緑化については、地区ごとに緑地協定等による緑化協力を促進
します。さらに、尼寺原工業団地については工場緑化などによる周辺環境に配慮
した産業環境の育成に努めます。
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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
④
屋上緑化推進事業補助制度の活用促進
本市では平成15年度より本厚木駅周辺地区及び愛甲石田駅周辺地区の指定
区域内で新たに屋上緑化を行う場合は、緑化面積20㎡以上を対象に「屋上緑化
推進事業補助制度」を実施しており、建築確認申請に関わる建築主や建築士の事
前情報確認などの機会を捉え、補助制度パンフレットの配布を行い、制度の普
及・活用を促進していきます。
⑤
その他
◇施設整備の助成と併せた緑化の促進
本市では地域集会施設等の建設に際し、施設整備の助成を行っています。こ
うした助成と併せて、緑化の促進を検討します。
施設整備に対する助成事業等における緑化促進方策等を検討し、展開してい
きます。
◇資源採取跡地・未利用地の緑化の促進
緑の連続性の確保等のために未利用地等の緑化を促進します。
71
厚木市緑の基本計画
3 地域制緑地の指定目標及び指定方針
(1)法による指定緑地
1)緑地保全地区及び保全配慮地区
① 斜面緑地保存地区の現況
本市における緑地保全地区及び保全配慮地区指定の対象は、「清流のてのひ
ら」を構成する斜面緑地保存地区(協定未締結地を含む)が挙げられます。
斜面緑地保存地区の現況から見た特性としては、最もまとまった緑地であり、
斜面緑地全体を代表する景観を形成している下川入地区や、北部では自然度が高
い依知地区、ランドマークとしての景観機能や緩衝機能を持つ恩曽温水・恩曽恩
名・戸室・温水の各地区が存在します。
②
緑地保全地区及び保全配慮地区の指定方針
今後は、以下の視点などから、優先的に保全すべき斜面緑地を選択しながら、
緑地保全地区の指定を行うことを検討していきます。
◇ 市街化区域内に位置する斜面緑地を優先的に保全
◇ 協定締結の割合が高い地区を優先的に保全
◇ 地形上開発の可能性が高い地区を優先的に保全
◇ 植生上優れた地区を優先的に保全
◇ レクリエーションの視点から公園との連携を考慮し、公園サービス圏域外
の地区を優先的に保全
◇ 防災面から急傾斜地崩壊危険区域指定、斜面上下が市街化している地区を
優先的に保全
◇ 景観上優れた地区、景観木が存在する地区を優先的に保全
◇ 湧水がある地区を優先的に保全
以上を踏まえ、土地所有者の意向も把握した上で、今後優先順位を設定する
必要があります。
優先順位の設定にあたっては、斜面緑地保存地区の協定締結割合が高い地区
でも開発が行われていることから、特に市街化区域では、協定締結割合に関わら
ず早急な保全方策を実施することに留意する必要があります。また、斜面緑地は、
連続した緑地であることによって、優れた環境保全機能や景観構成機能などを発
揮していることから、連続性の確保にも充分留意する必要があります。
したがって、協定未締結地の中で保全の必要性の高い地区にも留意しながら、
緑地保全地区指定に対する理解が得やすいと考えられる、現在の協定締結地面積
49.2haを目標年次までの緑地保全地区の指定目標とし、これらを取り巻く
協定未締結地18.8haの範囲を保全配慮地区として設定することによって緑
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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
地の連続性を確保し、本市の「清流のてのひら」の一翼を担う斜面緑地の積極的
な保全と、緑の機能の強化に努めていきます。
また、土地所有者の意向を踏まえ、公共施設等に隣接した緑地で、一定の広
がりがある地区については、都市林等の施設緑地として確保していきます。
表4-1
地区名
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
緑地保全地区及び保全配慮地区の指定
(単位:ha)
緑地保全地区
候補地面積計
保全配慮地区
の指定目標
(当面の保全配慮地区面積)
依知地区
17.54
8.43
下川入地区
9.96
3.29
三田地区
5.46
2.28
飯山・林地区
4.28
1.62
戸室地区
2.55
0.02
恩曽温水地区
3.36
0.80
恩曽恩名地区
0.87
0.56
温水地区
3.16
1.57
愛甲地区
2.04
0.21
計
49.22
18.78
注)依知地区には上依知都市林 7.12ha を含む。
25.97
13.25
7.74
5.90
2.57
4.16
1.43
4.73
2.25
68.00
2)風致地区
市内の歴史・文化的な緑地については、その多くが「ふるさとの森」に指定
され、今後も保全していきます。一方、山域の自然景観については、自然公園系
の指定によって、保全が行われています。
本市の風致地区の指定対象としては、市街地に最も近接している自然豊かな
山域の一つである中津川上流部右岸の鳶尾山周辺が挙げられ、隣接する愛川町で
は北側山域を風致地区に指定し、里山の景観保全を行っています。
本市としても愛川町との連携のもとで、鳶尾山の保全を図る必要があり、当
該地区を風致地区の対象候補地として位置づけます。
なお、現在の範囲内にある採石場など植生が損なわれている部分については、
自然植生等の回復方策を検討していきます。
3)自然公園区域、自然環境保全地域
現状の自然環境の維持増進を基本としますが、今後は環境の把握に努め、自
然林、施業林としての保全が行われる方策の実施に努めます。
4)生産緑地
生産緑地の指定は、農地の持つ緑地機能に重点を置き、優れた緑地機能を持
つ市街化区域内農地を計画的に保全することによって、良好な都市環境の形成に
資するものです。保全に当たっては、隣接地や周辺部での公園緑地整備により、
緑地としての効果を増進する方策の実施に努めます。
73
厚木市緑の基本計画
5)農用地区域
農地のうち、農用地区域は、今後の農業の将来像の中で位置づけられていく
対象であり、農業の生産の場として農地の保全を図ります。
6)保安林
丹沢山地の山麓域に指定されており、自然公園区域と一体化した対象と考え
られることから、自然公園区域と同様に継続的な環境調査を基にした自然林、施
業林としての保全が行われる方策を推進します。
7)河川区域
河川区域の中で、市街地に面する区域は、公共施設緑地(河川緑地)として
位置づけていく対象とします。
(2)協定により創出される緑地
森の里地区で10社(63.0ha)の緑地協定が締結されており、効果的な緑
化の促進に貢献しています。今後も、土地区画整理事業等の大規模な開発におけ
る協定や既存工業団地における緑化充実のための協定の積極的な締結に努めま
す。
(3)条例等により保全・創出される緑地
「厚木市住みよいまちづくり条例」及び「厚木市緑を豊かにする事業推進要
綱」に基づき、次のとおり保護地区等の指定により保全に努めていきます。
1)自然環境保護地区
現在指定している高松山地区については、今後、風致公園の候補地と位置づ
けて保全に努めるとともに、自然環境が良好に保全されている森林、草原、河川
などを対象として、指定に努めていきます。
2)ふるさとの森
現在、15箇所が社寺の指定であり、担保性が高く、現状維持が可能と考え
られます。現在指定されていない社寺等に対しても、身近な緑地、郷土景観の保
全対象として、指定に努めていきます。
74
第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
3)斜面緑地保存地区
前述の緑地保全地区以外の斜面樹林は保全配慮地区に設定するとともに、借
地形態や用地買収を含めて、斜面緑地保存地区の保全に努めます。
地区別には、依知、下川入、三田、飯山・林、戸室、恩曽恩名、恩曽温水、
温水、愛甲の自然環境を有する場所の緑地保全地区指定を検討するとともに、当
該地区内の緑地のうち斜面緑地保存地区の協定未締結地については、市民の理解
を得るための活動を展開します。
上記の中で、合意を得られない地区では、保全配慮地区の指定を行い、現在
実施している斜面緑地保存地区の協定締結、借地による斜面緑地の保全などの施
策を継続して実施します。
4)野生動物保護地区
現在は指定がありませんが、特定の野生動植物の保護のため特に必要とする
区域がある場合は、指定の検討対象とします。
5)保護樹林
現在、9箇所の樹林地を指定しており、これらの継続的な保全を促進する一
方、今後も一団の樹容が美観上特に優れている樹林地については指定に努めます。
6)保護樹木・保存生垣
保護樹木、保存生垣は、身近な緑として緑の街づくりに重要な役割を担って
おり、今後も美観上特に優れた樹木や生垣について積極的な指定に努めます。
【保護樹木】
【保存生垣】
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厚木市緑の基本計画
4 都市緑化の目標及び推進方針
(1)公共施設の緑化目標及び緑化方針
1)緑化目標
身近で日常的な緑として、次に示す目標の下で、公共施設の緑化に努めてい
きます。
◇ 身近な緑地空間の充実を図り、日常的に緑の自然性を感じられる緑化に努めます。
◇ 街路樹等の防災機能の向上を目指した量、質の両面における緑化の充実に努めま
す。
◇ エコロジカルネットワーク形成のための緑化手法の導入に努めます。
◇ 公共公益施設の積極的な緑化により、緑化モデルとしての機能を担います。
◇ ワークショップ形式の公園緑化計画等への市民参加の体制づくりを進めて、市民と
ともに育て、守ることを目指します。
2)推進方針
各施設の特性を踏まえ、次に示す具体的な方策により緑化を進めていきます。
①都市公園
街区公園では、景観形成や、環境保全面からのビオトープ機能、市民参加の
緑化空間などとしての緑の質・機能を考慮しながら、緑化率の向上に努めます。
近隣公園以上の比較的規模が大きい公園では、避難場所としての機能を考慮
し、延焼防止機能の高い樹種や植栽手法による外周部緑地の充実に努め、総合公
園では、広域避難場所としての多様な利用が可能な広場空間の確保に努めます。
運動公園では、隣接する河川や樹林地の自然環境との調和を図り、緩衝機能
を担うことを基本とし、水辺空間では、河川の自然を活かした親水性の高い緑地
空間の創出を目指します。
また、各公園種別ともに、エコロジカルネットワークの地域拠点として、水
辺空間や草地空間など多様な生息・生育環境の確保に努めます。
②公共公益施設の緑化
河川緑地における河川敷及び護岸部の多自然型整備、骨格的な都市計画道路
における積極的な多層化植栽の整備、学校施設におけるビオトープの導入などを
通じて、エコロジカルネットワークの形成に向けた緑化の推進に努めます。
運動施設(スポーツ広場、青少年広場)については、外周部の緑化の充実に
努め、河川敷の施設では、河川環境と調和した親水空間の整備に努めます。
76
第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
道路整備における残地利用の緑化では、ポケットパークや修景緑地としての
整備を目指します。また、相模川、中津川の堤防上部を利用した遊歩道等の景観
的な緑化の充実に努めます。
学校施設では、シンボルツリーの植栽や、教育に配慮した多彩な樹種の植栽
と樹名板などの設置に努め、緑や自然への関心を高めます。また、防災避難場所
としての緑化の充実に努めるとともに、周辺には避難路としての機能を担う緑道
の接続など、他の緑地空間との連携に努めます。
公民館、地域集会所などの住民サービス施設は、住宅や民間建築物の緑化の
先導役となる空間であり、緑化手法の提案や市民参加の緑化・管理を実施するモ
デル空間として位置づけ、緑化の充実に努めます。
(2)民有地の緑化目標と推進方針
1)緑化目標
民有地の緑化は、公共緑地との連携やまちづくりの中での参加型を目指し、
次に示すことを目標に促進します。
◇ 公共施設緑地との連携による緑化を促し、緑地としての効果を高めます。
◇ 日常的で身近な緑地空間の修景効果や利用効果の向上を促進します。
◇ 飛び石ビオトープなどの機能を担う緑化を促進します。
2)推進方針
住宅地では、生垣や高木、花木の導入促進に向けた啓発に努めるとともに、
住宅開発に対しては、地区計画制度や緑地協定などの導入や開発時の緑化指導な
どにより、まちづくりの中での緑化の促進に努めます。
商業地(小売店、業務施設、スポーツ施設等)では、総合設計制度の活用に
よる公開空地制度の導入を促すなど緑化への参加を促進するとともに、公共施設
である道路緑化空間との連携に努めます。
工業地(工場、研究施設)では、既設施設においても、緑地協定等による外
周緑地の確保などにより、地域の緑としての役割を担う緑化を促進します。
現在、厚木市緑を豊かにする事業推進要綱によって実施している民有地緑地
の保全方策については、その充実に努めます。
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厚木市緑の基本計画
(3)民間の参加、協力等の促進方針
緑化事業等への参加促進を軸に、緑への意識の向上や理解を深めるために、
次に示すような各種施策・方針を展開し、より多くの市民が主体的に参加、協力
できる緑化活動の促進に努めます。
具体的には以下の施策を実施していきます。
①
都市緑化関係団体の育成、活用、強化
コミュニティガーデン事業における市民団体との協働維持管理の推進を行い、
緑地協定の区域指定と植栽樹木の指定等を推進しながら、自治会活動・ボランテ
ィア活動による緑化活動の育成に努めるとともに、
「地域まちづくり計画」の策
定の促進に努めます。
また、緑を豊かにする事業推進要綱による「みどりの指導員」、花未来事業に
おける指導者、アウトドアガイドなど指導者の育成に努めます。
②
都市緑化助成制度の拡充
緑を豊かにする事業推進要綱に基づく保護地区等の奨励金を継続するととも
に、屋上緑化推進事業補助制度の活用の促進に努めます。
また、みどりの基金等の有効な活用による市民と協働した緑地の保全や推進
などを行い、「みどりの基金条例」に基づく積み立て・運用に努めます。
さらに、緑の銀行制度による不要樹木の再活用の促進や、
「かながわのナショ
ナルトラスト運動」への参加などに努めます。
③
市民参加の促進に関する方針
新たに公園を整備する段階からの市民参加や、緑の創出のための市民と一体
のワークショップ方式の活用など市民参加の公園整備・みどりの創出に努めます。
道路等における里親制度(アダプトプログラム)の実施や、フラワーボック
スの設置、街路・都市公園・コミュニティガーデンにおける花だんづくり等の機
会の提供により、花いっぱい運動・花だんづくりの展開に努めます。
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第4章 緑地の保全及び緑化の推進のための施策
(4)普及啓発活動の推進方針
市民に対する緑化の普及啓発等については、次に示す方策によって取り組み
ます。
①
緑や環境に関わる祭り・イベント・活動の展開
あつぎ飯山桜まつり、厚木観光桜まつり、厚木市緑のまつり、厚木市さつき
まつり、相模川クリーンキャンペーンの実施、あつぎ鮎まつり、あつぎ河川ふれ
あいまつり、七沢観光森のまつり、あつぎ飯山秋まつりなど緑や環境に関わる祭
り・イベント・活動の展開に努めます。
②
緑に関わる学習機会の提供
生涯学習振興事業におけるみどりに関する教養講座、指導者養成講座の開催
検討、歴史的景観ウォッチング事業、緑の保全と緑化推進説明会の開催など緑に
関わる学習機会の提供に努めます。
③
緑化の啓発と利用促進のための情報発信
緑化啓発パンフレットの作成配布を行うとともに、インターネットや広報に
おける情報発信や、パンフレットやマップ等の作成など緑化の啓発と利用促進の
ための情報発信に努めます。
④
普及啓発のためのモデル地区指定・コンクール等の開催
緑化推進モデル地区や保護樹木・保存生垣等の指定、生垣及び庭園見本コン
クールの開催など普及啓発のためのモデル地区指定・コンクール等の開催に努め
ます。
【あつぎ飯山桜まつり】
【厚木市緑のまつり】
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