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PDF - 慶應義塾大学 経済研究所
KEIO/KYOTO JOINT
GLOBAL CENTER OF EXCELLENCE PROGRAM
Raising Market Quality-Integrated Design of “Market Infrastructure”
KEIO/KYOTO GLOBAL COE DISCUSSION PAPER SERIES
DP2010-020
住宅購入における親の費用負担割合:
経済危機と親からの支援
石野卓也*
要旨
日本の多くの家計では、住宅を購入する際の費用を親に負担してもらう。本研究は、子
供が住宅を購入した時に、景気変動も含めて、どのような要因に基づき親の費用負担割合
が決定されるのかを分析したものである。
ただし、実際に親の費用負担割合を観察できるのは持ち家に住んでいる家計だけである。
持ち家家計に限定して親の費用負担割合を実証分析した場合、サンプル・セレクション・
バイアスが生じてしまう可能性がある。本研究では、Heckman (1979)の2段階推定のモデル
を採用して、このバイアスを検証し、修正した実証分析を行う。またその際には、親子そ
れぞれの属性や景気の影響を考慮することとする。
分析の結果、サンプル・セレクション・バイアスが存在したため、これを修正した。加
えて、親の経済状態が良いことを前提にすれば、景気が悪化した時に資本還元率を通じて
子供に経済的支援を多く行うことがわかった。親による費用負担は不況下の住宅購入条件
の悪化を緩和する効果があると期待できる。
しかし、世界同時不況下においては、親の経済状態が悪化しており、この効果が小さく
なっている可能性もある。ゆえに、今後、世界同時不況から抜け出すに当たり、住宅市場
の質が保たれるかは親の経済状態が鍵になってくるだろう。
*石野卓也 慶應義塾大学大学院経済学研究科
KEIO/KYOTO JOINT GLOBAL COE PROGRAM
Raising Market Quality-Integrated Design of “Market Infrastructure”
Graduate School of Economics and Graduate School of Business and Commerce,
Keio University
2-15-45 Mita, Minato-ku, Tokyo 108-8345, Japan
Institute of Economic Research,
Kyoto University
Yoshida-honmachi, Sakyo-ku, Kyoto 606-8501, Japan
住宅購入における親の費用負担割
合:経済危機と親からの支援
慶應義塾大学大学院経済学研究科
石野卓也
要約
日本の多くの家計では、住宅を購入する際の費用を親に負担してもらう。本研究は、子
供が住宅を購入した時に、景気変動も含めて、どのような要因に基づき親の費用負担割合
が決定されるのかを分析したものである。
ただし、実際に親の費用負担割合を観察できるのは持ち家に住んでいる家計だけである。
持ち家家計に限定して親の費用負担割合を実証分析した場合、サンプル・セレクション・
バイアスが生じてしまう可能性がある。本研究では、Heckman (1979) の 2 段階推定のモ
デルを採用して、このバイアスを検証し、修正した実証分析を行う。またその際には、親
子それぞれの属性や景気の影響を考慮することとする。
分析の結果、サンプル・セレクション・バイアスが存在したため、これを修正した。加
えて、親の経済状態が良いことを前提にすれば、景気が悪化した時に資本還元率を通じて
子供に経済的支援を多く行うことがわかった。親による費用負担は不況下の住宅購入条件
の悪化を緩和する効果があると期待できる。
しかし、世界同時不況下においては、親の経済状態が悪化しており、この効果が小さく
なっている可能性もある。ゆえに、今後、世界同時不況から抜け出すに当たり、住宅市場
の質が保たれるかは親の経済状態が鍵になってくるだろう。
1
第 1 節 はじめに
日本の多くの家計では、住宅を購入する際の費用を親に負担してもらう。本研究は、子
供が住宅を購入した時に、どのような要因に基づき費用負担割合が決定するのかを分析し
たものである。
KHPS2010 を参考にすれば、現在持ち家に住んでいる家計において、土地と建物の両方
の購入資金を自分の貯蓄あるいは自分名義の住宅ローンで全額賄っている家計は 25%程度
にすぎない。残りの大半の家計が、親に何らかの形で住宅購入の費用を負担してもらって
いる。先行研究では、この親子による費用の分担について、特に親から子供への購入資金
の贈与に着目して分析が行われている。親が子供家計に対して所得移転を行うことによっ
て、子供家計の住宅需要がどのように変化するかは以下のように分析されている。
Engelhardt and Mayer (1998)は、アメリカの住宅購入者のサーベイデータを用いて、親
からの所得移転と子供の住宅購入の関係について分析を行っている。そこでは、子供は親
からの所得移転を受けると、住宅購入のタイミングを早め、その購入額も大きくすること
が示されている。しかし、Guiso and Jappelli (2002) によれば、親からの所得移転は住宅
購入のタイミングには影響を与えず、その購入額にのみ影響を与えている。日本を対象と
したものでは、森泉・直井 (2006) が慶應義塾家計パネル調査 (KHPS) を用いて分析を行
っており、贈与税率が緩和されると、親からの所得移転を通じて、子供は住宅購入のタイ
ミングを早めることを明らかにしている。これらの先行研究においては、いずれも親から
の所得移転が子供の住宅需要を増大させることを示している。
Yano (2009)で示される市場の質という観点から、住宅市場の効率性や公正性を類推する
に、このような親からの経済的な支援や費用の分担は、特に世界同時不況といった大きな
景気変動との関連で大きな意義を持つように考えられる。住宅市場の質としては、家計が
住宅を購入するための条件が可能な限り時間を通じて一定であることが望ましい。住宅サ
ービスの購入時期によって条件が異なると、世代間の公平性の問題や石野 (2010) の指摘す
る住宅購入計画の歪みによる効率性の問題が生じる。しかしながら、実際には、不況時に
は住宅を購入すれば、不動産資産のキャピタル・ロスに直面することになり、好況期より
も不利な購入条件を強いられる。もし、親による費用負担が不況下で多くなり、好況下で
は小さくなっているのであれば、親による費用負担は景気変動による購入条件の良し悪し
を緩和し、住宅市場の質を改善する可能性がある。
ゆえに、本研究では、親がどのような要因に基づき子供の住宅購入費用を負担するかを
分析するにあたり、特に景気変動が親子間の意思決定にどのような影響を与えるかに焦点
を当てて分析を行っていきたい。
先行研究では、親子による住宅購入費用の分担について、特に親から子供への資金の贈
与に着目して分析が行われている。しかし、日本では資金の贈与のみならず、住宅を親子
の共同名義で購入するなど、多様な分担方法がとられている。本研究では、この多様な親
子間の費用分担を全て含めた、包括的な親による住宅購入の支援を分析対象とする。しか
2
し、親の負担割合を観察することができるのは、実際に住宅を購入して持ち家に住んでい
る家計だけである。日本における持ち家・借家間の居住形態選択を分析した Seko and
Sumita (2007)や Horioka (1988) によれば、持ち家に住む家計と借家に住む家計では、経
済的あるいは人口学的属性に大きな違いがあることが示されている。ゆえに、持ち家家計
のみを対象として分析を行った場合、サンプル・セレクション・バイアスが生じる可能性
がある。本研究では、このような可能性を考慮して、Heckman (1979) による 2 段階推定
モデルを採用して分析を行った。包括的な親の費用負担や、親の支援の分析において居住
形態の選択によるサンプル・セレクション・バイアスを考慮した先行研究は無く、この点
は本研究の貢献となろう。
実証分析の結果、居住形態の選択によるサンプル・セレクション・バイアスは親の費用
負担割合の分析において存在することが示された。サンプル・セレクション・バイアスを
考慮した推定を行ったとき、住宅の資本還元率は親の費用負担割合に正の影響を与えるこ
とが有意に示されている。親による費用負担は不況下で多くなり、好況下では小さくなっ
ていると考えられる。ただし分析結果からは、世界同時不況下において、親の資産運用状
況も悪化しているため、親の費用負担割合が減少している可能性も示されている。
本論
文の構成は以下のようになっている。まず第 2 節において、親子間の意思決定を通じて家
計がどのように住宅需要を形成するのかを考える。続いて、第 3 節において、景気変動が
どのように住宅需要の形成に関わってくるかを導きたい。第 4 節では、実証分析に用いる
データや変数の設定について説明する。第 5 節では、実証分析に用いる手法や分析結果を
示す。最後に、第 6 節では、分析結果から親の費用負担が住宅市場の質という観点からど
のような意味を持つのかを論じ、世界同時不況後の家計の住宅需要について考える。
第 2 節 親子間の意思決定と住宅需要の形成
まず、親が子供の住宅購入を支援する背景として、どのような要因が働くのかを先行研
究から考えてみたい。親から子供へ金銭の移転が生じる動機を分析した研究は数多く存在
する。Light and Mcgarry (2004) を参考にすれば、経済学的には主に以下の 3 つの動機に
対して分析が行われることが多い。
第 1 に、子供の効用が高ければ親の効用も高くなるという親の子供への利他動機が挙げ
られる。親子間の金銭の移転を対象とした分析で、この利他動機を無視した先行研究は殆
ど無いと言える。利他動機をもとに考えれば、子供の所得が低かったり、直面する価格が
高かったり、その予算制約が厳しい時には限界効用均等の法則が働き、親は子供から得ら
れる効用を大きくしようとして子供への金銭の移転を増加させると考えられる。
第 2 に、将来子供が親の介護などを行うことの報酬として金銭の移転を行う交換動機が
挙げられる。近年の日本の相続を分析した Horioka (2002) では、利他動機よりも交換動機
3
に基づくモデルの方が日本の現状をより説明できることを主張している。交換動機が働く
場合には、親が自分の老後を強く意識するようになると、子供の介護サービスを買うため
に子供への金銭の移転をより多くすると考えられる。
第 3 に、自分の家系や血筋といったものを継続させていくために金銭の移転を行う世襲
動機が挙げられる。世襲動機に基づけば、子供家計に孫が生まれていれば、家系や血筋を
継続し易くなるので、子供家計への金銭の移転を増すと考えられる。
親はこれらの動機に基づいて子供への経済的支援を行うと考えられるが、特に住宅購入
時に経済的支援が行われる理由として、日本の税制の特徴が挙げられる。森泉・直井 (2006)
で詳しく説明されているように、住宅購入時の親から子供への金銭の贈与は税制面で優遇
されており、近年さらにこの優遇措置は拡大されている。また、共同の名義で住宅を購入
しておいて、後に遺産として子供家計に譲渡する方法も税制面から優遇されている。相続
税の算定においては、5,000 万円以上の基礎控除を受けられる上に、不動産資産の相続の場
合は市場価格の 70%から 80%をとる路線価をもとにその資産価値が測られる 1。これらの
税制面での優遇により、日本では親から子供への金銭の移転が住宅購入時に特に盛んに行
われている可能性がある。このように親が生きている間に経済的支援を行うことは、
Bernheimら (2003) を参考にすれば、遺産よりも親の選好や意思を反映したものであるこ
とも指摘されている。
子供はこのような親からの支援に対して、どのような態度を見せるのだろうか。子供の
親からの独立を経済学的に分析したManacorda and Moretti (2006) やYamada (2006) 、
Ishino (2009) を参考にすれば、子供が親からの支援を必要とするか否かは子供が置かれて
いる経済的環境に大きく依存すると考えられる。親による住宅サービスの提供から独立し
て自ら住宅費用を負担するまでの過程を分析したIshino (2009) の分析によれば、子供が経
済的に余裕のあるとき、子供は親による支援から独立する 2。
以上の議論を踏まえれば、住宅購入における親の負担割合は、親子それぞれの意思決定
の均衡によって達成されたものだと考えられよう。ゆえに、どのような要因が親の負担割
合に影響を与えるかを分析するためには、親と子供の両方の属性を考慮する必要がある。
そこで本研究では、親子双方の属性を説明変数とする回帰分析を行う。
なお、本研究では、家計の住宅需要の決定に対して以下のような仮定を置いている。ま
ず、家計が現在住んでいる住居に入居したタイミングは、居住形態の選択や住宅購入にお
ける親の負担割合には影響を受けないものであり、転勤などの労働環境や結婚などの人口
学的な要因により決まったものであると仮定する。次に、家計は入居時の属性によってそ
の住宅需要を決定することを仮定する。さらに、住宅の市場は各都道府県別に分かれてい
1
さらに、生前に住宅の建物部分について共同購入しておけば、減価償却を受けられ、より
課税されにくくなるだろう。
2 この理由としては、慣習による側面もあるが、経済学的には、交換動機に基づく見返りと
しての親の介護を避けたいということ、あるいは親の経済的な負担を減らしたいという親
への利他動機が考えられる。
4
ることを仮定し、住宅価格は基本的には各都道府県別になっていることを考える。
以上の仮定の下で家計の住宅需要の決定を考え、住宅需要の形成において、住宅購入時
の親の負担割合がどのような要因により決まるのかを分析する。
第 3 節 景気変動と住宅需要
本節では、景気変動がどのような経路を辿って家計の住宅需要の形成に影響を与えるか
を導きたい。
Poterba (1984) や石川 (2001) を参考にすれば、住宅のストック価格に住宅の資本還元
率を掛けたものが住宅のフローの価格であるユーザーコストになる。持ち家として住宅を
保有した時の資本還元率を当てはめれば持ち家のユーザーコストとなる。借家として住宅
を保有した時の資本還元率を当てはめれば借家のユーザーコスト、つまり、家賃価格にな
る。日本では、住宅の保有にかかる税金の違いから、持ち家と借家では資本還元率が異な
る値をとっている。日本における持ち家の資本還元率は以下のように定まる。
𝑃𝑡𝐿̇
𝑃𝑡𝐵̇
𝑈𝐶𝑂 = �𝜃 �𝑖 + 𝛿 − 𝐵 � + (1 − 𝜃) �𝑖 − 𝐿 �� (1 − 𝑀𝐼𝑇𝐷 + 𝛾) + 𝜏,
𝑃𝑡
𝑃𝑡
𝜃=
𝑃𝑡𝐵
,
𝑃𝑡𝐵 + 𝑃𝑡𝐿
(1)
ここで i は名目利子率、δ は減価償却率、PtB は住宅の建物部分の名目資産価値、PtL は住宅
の土地部分の名目資産価値、MITD は住宅ローン減税による補助率、γは不動産取得税率、
τ は固定資産税率を表している。本研究では、入居時の属性をもとに家計の意思決定を分析
していくので、不動産取得税もユーザーコストの中に含むと考える。
さらに、日本における借家の資本還元率は以下のように定まる。
�1 −
𝑃𝑡𝐿̇
𝑃𝑡𝐵̇
𝑈𝐶𝑅 = �𝜃 �𝑖 + 𝛿 − 𝐵 � + (1 − 𝜃) �𝑖 − 𝐿 ��
𝑃𝑡
𝑃𝑡
ここで b は事業税率、S は法定耐用年数を表している。
0.9𝑏𝑡 (1 − 𝑒 −𝑖𝑆 )
+ 𝛾�
𝑖𝑆
+ 𝜏,
1 − 𝑏𝑡
(2)
景気変動の影響は利子率や資産価値の変化を通じて、どちらの資本還元率にも反映され
る。利子率も資産価値の変化も好況時には大きな値をとり、不況時には小さな値をとる。
利子率が大きければ資本還元率は大きくなり、資産価値の変化は逆の方向に働く。そのた
め、景気変動の影響は利子率と資産価値の変化で相殺されるように思える。しかし、景気
の変動は利子率よりも資産価値の変化に、より強く反映される。1980 年から 2009 年にお
ける毎年の変動金利制住宅ローンの利子率の標準偏差は 2.42、これに対して毎年の全国平
均の資産価値の対前年変化率では、土地と建物の割合を 5:5 で想定すると、標準偏差は 5.03
となっている。ゆえに、資本還元率における景気変動の影響は資産価値の変化で表すこと
5
ができると見なしうる。
この資本還元率を構成する各変数に対しては、利子率には変動金利制住宅ローンの利子
率を、減価償却率には 7%を、建物の資産価値の変化には各都道府県の物価指数の対前年変
化率を、土地の資産価値の変化には各都道府県の公示地価の対前年変化率を、それぞれ当
てはめた。固定資産税率、不動産取得税率、事業税率および法定耐用年数については石川
(2001) を参考にして一律で当てはめている。土地と建物割合と住宅ローン減税による補助
率には、持ち家に住んでいる家計には実際に観察された値を当てはめ、借家に住んでいる
家計には各都道府県の平均値を当てはめた。
景気変動の影響が住宅価格という経路を辿って住宅需要に影響を与える時、資本還元率
だけではなく、ストック価格の変化も住宅需要に影響を与えることが考えられる。しかし、
家計がどのようなストック価格に直面していたかを直接観察することは難しい 3。そのため、
本研究では家計が現在の住宅に入居した年次の家計が居住している各都道府県別の住宅地
の 1 平米あたりの公示地価を、ストック価格の 1 つの指標として分析に用いる。
景気変動は、各家計の労働環境にも大きな影響を与えるであろう。Moriizumi and Naoi
(2008) では、各家計が直面している失業リスクの増加が家計の住宅購入を妨げていること
が示されている。失業リスクの増加は、家計の流動性制約を厳しくしていることが考えら
れる。これらの失業リスクの影響を考慮するために、本研究では入居年次の全国完全失業
率を分析の中で用いる。
上記の資本還元率や失業リスク以外にも、親の資産運用の状況など、景気との関連で住
宅需要に影響を与える要素は存在する可能性がある。本研究では、このような景気の影響
を考慮するため、内閣府から公表されている景気循環をもとにして、その家計の入居年次
がどの景気に属したものだったかをダミー変数で考慮した。
第 4 節 データ
実証分析に当たっては、KHPS2010 年度版をデータとして使用する。1980 年以降に現在
の住宅に入居し、入居時に世帯主の両親が生きていた家計を分析対象とみなし、各入居年
次の分析対象となる家計をプールした 4。さらに、観察される家計の住宅需要が本当に子供
家計の意思によってなされたものなのかを明確にするため、家計の意思決定は主に世帯主
によって行われることを仮定し、調査対象者あるいはその配偶者が世帯主の家計に分析対
象を限定した。
3家計が直面していた正確なストック価格を把握するためには、各住宅購入年次において、
住宅の購入総額額を被説明変数とするヘドニック分析を行い、住宅の属性ごとの単価を推
定する必要がある。
4 1980 年以降に入居した家計に限定したのは、各都道府県別の公示地価の対前年変化率を
計測できたのが 1980 年からだからである。
6
住宅購入時の親の費用負担割合については、世帯主もしくはその配偶者の親から住宅購
入時にどれくらいの割合や購入額を親に負担してもらっているかをKHPSにおいて調査し
ており、そのデータをもとに変数を作成した 5。
第 2 節で述べたように、親子間の経済的支援を踏まえた上で、住宅需要の形成を分析す
るのであれば、親と子供の両方の属性を分析の中で考慮する必要がある。本研究において
は、親の属性として、世帯主の父親の入居時の年齢、学歴、世帯主 15 歳時の職業、および
世帯主の母親の年齢を考えた。父親の学歴や職業は親の経済状態、父母の年齢は経済状態
に加えて親の健康状態をそれぞれ表したものであると考えられる。子供の属性としては、
入居時の住宅の資本還元率、失業率、学歴、入居時の年齢、入居時に結婚しているか否か、
入居時の子供の数、危険回避度、時間選好率を当てはめた。資本還元率、失業率、学歴は、
景気変動なども考慮した子供家計が住宅市場において直面している経済状態を表したもの
であると考える。年齢や結婚しているか否か、および子供の数は、経済状態だけでなく、
親の世襲動機による経済的支援の有無についても考慮できる。危険回避度や時間選好率は、
資産のポートフォリオという観点から、住宅需要に対して影響を与えている可能性や将来
の親の介護に対する子供の態度について考慮したものである。ここでの危険回避度には
KHPS2009 年度版で調査した項目を、時間を通じて一定であると仮定して当てはめた。危
険回避度には、大竹 (2004) や Kamimura and Noda (2010) を参考にし、傘を持ち出す降
水確率に 1 を足した値の逆数を用いている。
景気変動を考慮した住宅需要の形成を分析するためには、これらの属性に加えて住宅の
地価以外の住宅のストック価格なども考慮する必要がある。住宅のストック価格について
は、景気以外にも居住地域や居住都市の規模に大きく依存することが直井・瀬古・隅田
(2009) において示されている。ゆえに、本研究においては居住地の地域ダミーや都市規模
ダミーを用いてこれを考慮する。
各属性の記述統計は以下の表 1 から表 3 にまとめられている。表 1 は全体の記述統計で
あり、表 2 は持ち家家計の記述統計、表 3 は借家家計の記述統計である。表 2 と表 3 を見
ると、様々な属性においてその平均値が異なっていることがわかる。持ち家に住むか借家
に住むかという居住形態の選択では、先行研究が指摘するように、各属性が家計の意思決
定に影響を与えていることが考えられる。
第 5 節 推定
住宅購入時の親の費用負担割合は、現在持ち家に住んでいる家計においてのみ観察する
2005 年までに現在の住居に入居した家計については購入時の親の負担割合を調査してお
り、その値を用いた。2006 年以降に現在の住宅に入居した家計については購入時の親の負
担額調査しており、その値を総購入額で割った値を用いた。
5
7
ことができる。この親の費用負担割合にどのような要因が影響を与えるかを実証分析する
ためには、持ち家の家計に限定して分析を行うことができるのかどうかを検証する必要が
ある。
Seko and Sumita (2007) が分析しているように、持ち家に住むのか借家に住むのかとい
う居住形態の選択は家計の多くの経済的属性に影響を受ける。Goodman (1988) ではこの
ような場合、どちらか片方の居住形態の家計を対象として分析を行うと、サンプル・セレ
クション・バイアスが生じてしまうことを示している。本研究においては、Goodman (1988)
の居住形態の選択によるサンプル・セレクション・バイアスの修正方法を参考にして、
Heckman (1979) の 2 段階推定を行う。まず第 1 段階で持ち家か借家かの居住形態の選択
を分析し、第 1 段階の推定結果のもとにサンプル・セレクション・バイアスを考慮して、
第 2 段階で親の費用負担割合の分析を行う。すなわち、サンプル・セレクション・バイア
スの有無を確認して、どのような要因が親の費用負担割合に影響を与えるのかを明らかに
する。
Heckman (1979)の 2 段階推定の第 1 段階目の推定には居住形態の選択を考え、持ち家に
住むのなら 1 をとり、借家に住むのなら 0 をとる被説明変数を考え、家計の各属性がこれ
にどのような影響を与えるかをプロビット・モデルで推定する。
𝛼+𝛽𝑥 ′ 1𝑖
𝑃𝑖 = �
−∞
1
√2𝜋
𝑒 −𝑧
2 /2
𝑧 = 𝛼 + 𝛽𝑥 ′1𝑖 .
𝑑𝑧,
(3)
ここで、𝑃𝑖 は持ち家を選択する確率であり、𝑥 ′1𝑖 は居住形態の選択に影響を与える家計の属
性である。
続いて、第 2 段階目の親の費用負担割合の推定では、第 1 段階目で推定されたパラメー
タと、逆ミルズ比と、第 1 段階と第 2 段階の誤差項の共分散を推定の中で用いることで、
サンプル・セレクション・バイアスを考慮する。すなわち以下の(4)式のように示される。
(4)
𝑦2𝑖 = 𝑥′2𝑖 𝛽2 + 𝜎12 𝜆�𝑥 ′1𝑖 𝛽̂1 �+𝜀2𝑖 .
ここで、𝑦2𝑖 は親の費用負担割合であり、𝑥′2𝑖 は親の費用負担割合に影響を与える家計の属性
である。𝜎12 は第 1 段階目と第 2 段階目の誤差項の共分散であり、𝜆�𝑥 ′1𝑖 𝛽̂1 �は逆ミルズ比で
ある。もし、サンプル・セレクション・バイアスが存在し、バイアスが親の費用負担割合
の推定に影響を与えてしまっている場合、この逆ミルズ比が有意に推定される。このとき、
第 2 段階目の誤差項は平均が 0 で、分散は N をサンプルサイズ、ε�2𝑖 を(4)式から得られる残
差として、𝑁 −1 ∑[𝜀̂2𝑖 2 − 𝜎�12 2 𝜆�𝑥 ′1𝑖 𝛽̂1 � �𝑥 ′1𝑖 𝛽̂1 + 𝜆�𝑥 ′1𝑖 𝛽̂1 ��]となる。
縄田 (1997) が指摘しているように、推定において効率性を保つためには、第 1 段階目に
推定する居住形態の選択には影響を与えるが、第 2 段階目の住宅購入時の親の費用負担割
合には影響を与えないため、第 2 段階目の推定から外すことのできる属性が必要である。
本研究においては、借家の資本還元率がこれに当たると考え、第 2 段階目の推定から除外
8
した。
この Heckman (1979) の 2 段階推定による推定結果は表 4 で示されている。サンプル・
セレクション・バイアスを考慮せず、持ち家の家計に分析対象を限定して、親の費用負担
割合の回帰分析を単純最小二乗法 (OLS) で行った場合の推定結果が表 5 である。
表 4 で推定された逆ミルズ比を見ると、5%の有意水準で有意に推定されている。サンプ
ル・セレクション・バイアスは存在し、第 2 段階目の推定に影響を与えていることがわか
る。表 5 の推定結果と比較すると、推定されたパラメータの正負は概ね一致しているが、
各パラメータの有意水準が異なることがわかる。
まず表 4 の第 1 段階目の居住形態の選択の推定において有意に推定されたパラメータを
解釈する。推定されたパラメータは、先行研究と同じインプリケーションを示している。
持ち家の資本還元率の係数は負に有意に推定されており、持ち家のフローの価格が高くな
ればなるほど持ち家を選択しないことが示されている。借家の資本還元率の係数は正に有
意に推定されており、家賃価格が高くなればなるほど持ち家を選択することが示されてい
る。公示地価の係数は負に有意に推定されており、ストック価格の水準が高いほど、流動
性制約により、持ち家に入居できないことがわかる。入居時の失業率の係数については負
に有意に推定されており、失業率が高くなればなるほど持ち家を選択しないことが示され
ている。失業リスクにより、住宅ローンのリスクが増していることや流動性制約が厳しく
なっていることが考えられる。子供の数の係数は正に有意に推定されている。子供に将来
の資産を残しておく動機が働いている可能性がある。世帯主の危険回避度の係数は正に有
意に推定されている。日本においては持ち家に住むよりも借家に住んだ方が、敷金や礼金
の不明瞭な扱いや大家との関係などにより、リスクが大きいことを反映している可能性が
ある。時間選好率の係数について負に有意推定されているのは、住宅という資産を持つよ
りも現在の消費を重視していることが表れていると考えられる。父母の年齢の効果につい
ては、父親と母親で逆の効果が推定されている。持ち家の方が、バリアフリーの設備をつ
けやすい、あるいは住居内で死亡した時に違約金を払わないで済むなど、高齢者と暮らし
やすいことが反映されて母親の年齢の効果が正に有意に推計されたと考えられる。しかし、
父親の年齢の係数が負に有意に推定されているのは、第 2 段階目の推定結果と併せて考え
る必要がある。父親の年齢が高くなると、定年退職を迎えるなどして収入が減り、経済的
な余裕が無くなってしまう可能性がある。そのため、子供が住宅を購入した場合に思うよ
うに経済的支援ができず、結果として子供は住宅を購入しづらくなってしまっていると考
えられる。
次に表 4 の住宅購入における親の費用負担割合の推定について解釈する。持ち家の資本
還元率の係数は、正に有意に推定されている。これは景気が悪化して不動産資産のキャピ
タル・ロスが生じている場合、親の費用負担割合が増すことを意味している。第 2 節でも
議論したように、子供家計は、直面している経済状態が厳しければ、親の経済的支援への
需要を増すと考えられる。加えて、親からも利他動機や交換動機が働き、子供家計の需要
9
の増加に応えていることが考えられる。係数の大きさからは、持ち家の資本還元率が 1%上
昇した時、親の負担割合がおよそ 0.78%増すことがわかる。2009 年に東京都に入居し、総
購入額が 5,000 万円で土地建物比率が半々かつ不動産取得税率と住宅ローン減税による補
助率が相殺されている家計を想定する。東京都の公示地価の対前年変動率は約-6.5%、東京
都の物価指数の対前年変動率は約-1.2%だから、キャピタル・ロスにより資本還元率が約
3.9%上昇しており、親の負担割合は約 3%増して、負担額は 150 万円増すことになる。入
居時の世帯主結婚ダミーの係数についても正に有意に推定されている。この結果が導かれ
るには 2 つの理由がある。第 1 には、配偶者の親からも経済的な支援を引き出すことがで
きることを示している。第 2 には、世襲動機により、家系や血筋を残す可能性が高いため
に、親が経済的な支援を多く行ったということである。世襲動機として同様に解釈できる
子供の数については、係数は動機と矛盾せず正に推定されているが、有意に推定されてい
ない。結婚ダミーとともに推定に用いたことで多重共線性が生じてしまった可能性がある。
入居時の景気ダミーについては、2008 年以降に入居した世界同時不況ダミーをベースと
すると、第 2 段階目の推定ではいずれも正に有意な係数であるという推定結果が得られた。
近年の贈与税制の緩和にも関わらず、このような結果が生じている理由は、親の資産の運
用状況という観点から解釈できる。父親の年齢の効果の解釈と同様に、親の経済状態に余
裕が無ければ、子供の親への需要には応えられない。住友信託銀行の調査月報を参考にす
れば、世帯主 60 歳以上の世帯の貯蓄額が年金や医療制度の見直しを通じて、2000 年以降
減少し続けていることが図 1 のように示されている。図 1 は 1995 年と 2000 年は総務省の
「貯蓄動向調査」から、2005 年と 2010 年は「家計調査/貯蓄負債編」から作成されている。
第 6 節 経済危機後の親の支援と住宅市場の質
最後にここまでの分析結果を踏まえて、経済危機後の住宅購入における親の経済的支援
が住宅市場でどのような役割を果たしていくのかを議論したい。
第 5 節の推定結果より、親が経済的に余裕のある状態にあることを前提にすれば、資本
還元率という経路を辿り、好景気時には子供にあまり経済的支援を行わず、景気が悪化し
た時に子供への経済的支援を拡大することがわかった。景気変動による住宅購入の条件の
良し悪しを緩和することが期待できる。親子間の所得移転により、住宅購入条件が時間を
通じて一定になるという意味で住宅市場の質の向上が達成されるのである。
しかし、親の経済状態に余裕が無ければ、子供への大きな経済的支援は期待できず、住
宅市場の質を改善する役割は果たせない。今後、世界同時不況から抜け出すに当たり、住
宅市場の質が保たれるかいなかは、親による経済的支援が鍵になってくるだろう。ゆえに、
住宅購入時の贈与税非課税のさらなる拡大など、親による経済的支援を行いやすい制度を
整えることが今まで以上に求められる。
10
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住友信託銀行調査月報 (2010) 「経済の動き~60 代以上の貯蓄動向に異変あり」10 月号.
12
表 1 全体の記述統計
記述統計
サンプルサイズ
持ち家の資本還元率(数値)
借家の資本還元率(数値)
入居年次
入居年次の1平米当たりの公示地価(千円)
入居時の失業率(%で表示)
入居時の世帯主年齢
入居時の世帯主年齢の自乗
入居時に世帯主が結婚していたダミー(結婚していた=1)
入居時の子供の数
世帯主の危険回避度(傘を持ち出す降水確率+1の逆数)
世帯主の主観的時間選好率(高いほど現在の消費を重視する)
入居時の世帯主の父親の年齢
入居時の世帯主の母親の年齢
世帯主の父親最終学歴中学校ダミー
世帯主の父親最終学歴高等学校ダミー
世帯主の父親最終学歴専門学校ダミー
世帯主の父親最終学歴短大ダミー
世帯主の父親最終学歴高専ダミー
世帯主の父親最終学歴4年制大学ダミー
世帯主の父親最終学歴大学院ダミー
世帯主の父親最終学歴その他ダミー
北海道ダミー
東北ダミー
関東ダミー
中部ダミー
近畿ダミー
中国ダミー
四国ダミー
九州ダミー
16大市ダミー
その他の市ダミー
町村ダミー
世帯主最終学歴中学校ダミー
世帯主最終学歴高等学校ダミー
世帯主最終学歴短大・高専ダミー
世帯主最終学歴大学ダミー
世帯主最終学歴大学院ダミー
世帯主最終学歴その他ダミー
世帯主15歳時の父親自営業ダミー
世帯主15歳時の父親自由業者ダミー
世帯主15歳時の父親家族従業者ダミー
世帯主15歳時の父親勤め人ダミー
世帯主15歳時の父親会社と雇用関係のない在宅就労・内職ダミー
世帯主15歳時の父親委託労働・請負ダミー
世帯主15歳時の父親無職ダミー
オイルショック後の好況ダミー(入居年次1980-1982年ならば1)
円高不況ダミー(入居年次1983-1985年)
バブル景気ダミー(入居年次1986-1991年)
複合不況ダミー(入居年次1992-2001年)
いざなみ景気ダミー(入居年次2002-2007年)
世界同時不況ダミー(入居年次2008年以降)
13
全体
690
平均値 標準偏差
0.083
0.049
0.086
0.050
1997.541
7.679
18.621
14.125
3.754
1.043
34.616
7.729
1257.909
596.821
0.142
0.349
0.962
0.971
0.037
0.118
239.218
305.058
65.180
9.217
60.068
10.005
0.419
0.494
0.362
0.481
0.051
0.220
0.001
0.038
0.013
0.114
0.129
0.335
0.006
0.076
0.019
0.136
0.043
0.204
0.043
0.204
0.370
0.483
0.130
0.337
0.225
0.418
0.041
0.197
0.041
0.197
0.107
0.310
0.306
0.461
0.597
0.491
0.097
0.296
0.039
0.194
0.459
0.499
0.094
0.292
0.338
0.473
0.030
0.172
0.039
0.194
0.278
0.448
0.010
0.100
0.023
0.151
0.603
0.490
0.004
0.066
0.022
0.146
0.058
0.234
0.051
0.220
0.049
0.217
0.097
0.296
0.452
0.498
0.267
0.443
0.084
0.278
表 2 持ち家家計の記述統計
記述統計
サンプルサイズ
親の負担率(%で表示)
持ち家の資本還元率(数値)
借家の資本還元率(数値)
入居年次
入居年次の1平米当たりの公示地価(千円)
入居時の失業率(%で表示)
入居時の世帯主年齢
入居時の世帯主年齢の自乗
入居時に世帯主が結婚していたダミー(結婚していた=1)
入居時の子供の数
世帯主の危険回避度(傘を持ち出す降水確率+1の逆数)
世帯主の主観的時間選好率(高いほど現在の消費を重視する)
入居時の世帯主の父親の年齢
入居時の世帯主の母親の年齢
世帯主の父親最終学歴中学校ダミー
世帯主の父親最終学歴高等学校ダミー
世帯主の父親最終学歴専門学校ダミー
世帯主の父親最終学歴短大ダミー
世帯主の父親最終学歴高専ダミー
世帯主の父親最終学歴4年制大学ダミー
世帯主の父親最終学歴大学院ダミー
世帯主の父親最終学歴その他ダミー
北海道ダミー
東北ダミー
関東ダミー
中部ダミー
近畿ダミー
中国ダミー
四国ダミー
九州ダミー
16大市ダミー
その他の市ダミー
町村ダミー
世帯主最終学歴中学校ダミー
世帯主最終学歴高等学校ダミー
世帯主最終学歴短大・高専ダミー
世帯主最終学歴大学ダミー
世帯主最終学歴大学院ダミー
世帯主最終学歴その他ダミー
世帯主15歳時の父親自営業ダミー
世帯主15歳時の父親自由業者ダミー
世帯主15歳時の父親家族従業者ダミー
世帯主15歳時の父親勤め人ダミー
世帯主15歳時の父親会社と雇用関係のない在宅就労・内職ダミー
世帯主15歳時の父親委託労働・請負ダミー
世帯主15歳時の父親無職ダミー
オイルショック後の好況ダミー(入居年次1980-1982年ならば1)
円高不況ダミー(入居年次1983-1985年)
バブル景気ダミー(入居年次1986-1991年)
複合不況ダミー(入居年次1992-2001年)
いざなみ景気ダミー(入居年次2002-2007年)
世界同時不況ダミー(入居年次2008年以降)
14
持ち家
435
平均値
標準偏差
9.011
18.424
0.093
0.035
0.096
0.035
1995.533
7.687
18.276
13.779
3.550
1.055
35.034
7.288
1280.405
564.499
0.103
0.305
1.023
0.972
0.040
0.124
210.742
285.376
65.715
8.921
61.984
8.440
0.474
0.500
0.347
0.477
0.037
0.188
0.002
0.048
0.009
0.096
0.103
0.305
0.005
0.068
0.023
0.150
0.037
0.188
0.037
0.188
0.361
0.481
0.159
0.366
0.237
0.426
0.048
0.215
0.041
0.199
0.080
0.272
0.246
0.431
0.637
0.481
0.117
0.322
0.039
0.194
0.464
0.499
0.092
0.289
0.349
0.477
0.025
0.157
0.030
0.170
0.274
0.446
0.009
0.096
0.021
0.143
0.614
0.487
0.007
0.083
0.009
0.096
0.064
0.246
0.074
0.261
0.069
0.254
0.126
0.333
0.478
0.500
0.209
0.407
0.044
0.205
表 3 借家家計の記述統計
記述統計
サンプルサイズ
持ち家の資本還元率(数値)
借家の資本還元率(数値)
入居年次
入居年次の1平米当たりの公示地価(千円)
入居時の失業率(%で表示)
入居時の世帯主年齢
入居時の世帯主年齢の自乗
入居時に世帯主が結婚していたダミー(結婚していた=1)
入居時の子供の数
世帯主の危険回避度(傘を持ち出す降水確率+1の逆数)
世帯主の主観的時間選好率(高いほど現在の消費を重視する)
入居時の世帯主の父親の年齢
入居時の世帯主の母親の年齢
世帯主の父親最終学歴中学校ダミー
世帯主の父親最終学歴高等学校ダミー
世帯主の父親最終学歴専門学校ダミー
世帯主の父親最終学歴短大ダミー
世帯主の父親最終学歴高専ダミー
世帯主の父親最終学歴4年制大学ダミー
世帯主の父親最終学歴大学院ダミー
世帯主の父親最終学歴その他ダミー
北海道ダミー
東北ダミー
関東ダミー
中部ダミー
近畿ダミー
中国ダミー
四国ダミー
九州ダミー
16大市ダミー
その他の市ダミー
町村ダミー
世帯主最終学歴中学校ダミー
世帯主最終学歴高等学校ダミー
世帯主最終学歴短大・高専ダミー
世帯主最終学歴大学ダミー
世帯主最終学歴大学院ダミー
世帯主最終学歴その他ダミー
世帯主15歳時の父親自営業ダミー
世帯主15歳時の父親自由業者ダミー
世帯主15歳時の父親家族従業者ダミー
世帯主15歳時の父親勤め人ダミー
世帯主15歳時の父親会社と雇用関係のない在宅就労・内職ダミー
世帯主15歳時の父親委託労働・請負ダミー
世帯主15歳時の父親無職ダミー
オイルショック後の好況ダミー(入居年次1980-1982年ならば1)
円高不況ダミー(入居年次1983-1985年)
バブル景気ダミー(入居年次1986-1991年)
複合不況ダミー(入居年次1992-2001年)
いざなみ景気ダミー(入居年次2002-2007年)
世界同時不況ダミー(入居年次2008年以降)
15
借家
255
平均値
標準偏差
0.066
0.063
0.069
0.064
2000.965
6.347
19.210
14.705
4.104
0.925
33.902
8.394
1219.533
647.603
0.208
0.407
0.859
0.962
0.032
0.106
287.796
330.947
64.267
9.649
56.800
11.525
0.325
0.469
0.388
0.488
0.075
0.263
0.000
0.000
0.020
0.139
0.173
0.379
0.008
0.088
0.012
0.108
0.055
0.228
0.055
0.228
0.384
0.487
0.082
0.275
0.204
0.404
0.027
0.164
0.039
0.194
0.153
0.361
0.408
0.492
0.529
0.500
0.063
0.243
0.039
0.194
0.451
0.499
0.098
0.298
0.318
0.466
0.039
0.194
0.055
0.228
0.286
0.453
0.012
0.108
0.027
0.164
0.584
0.494
0.000
0.000
0.043
0.204
0.047
0.212
0.012
0.108
0.016
0.125
0.047
0.212
0.408
0.492
0.365
0.482
0.153
0.361
表 4 Heckman (1979) の 2 段階推定
被説明変数:親の負担率(%:Heckmanの2段階推定)
入居時の持ち家の資本還元率(数値)
入居時の1平米当たりの公示地価
入居時の失業率(%で表示)
入居時の世帯主年齢
入居時の世帯主年齢の自乗/10
入居時の世帯主結婚ダミー(結婚している=1)
入居時の子供の数
世帯主の危険回避度(傘を持ち出す降水確率の逆数)
世帯主の主観的時間選好率/100
世帯主の父親の入居時の年齢
世帯主の母親の入居時の年齢
オイルショック後の好況ダミー(入居年次1980-1982年ならば
1:ベースは入居年次2008年以降の世界同時不況ダミー)
円高不況ダミー(入居年次1983-1985年)
バブル景気ダミー(入居年次1986-1991年)
複合不況ダミー(入居年次1992-2001年)
いざなみ景気ダミー(入居年次2002-2007年)
世帯主の学歴ダミー
世帯主の父親の学歴ダミー
世帯主15歳時の父親の職業ダミー
地域ダミー
都市規模ダミー
被説明変数:持ち家ダミー(1=持ち家に居住)
入居時の持ち家の資本還元率(数値)
入居時の借家の資本還元率(数値)
入居時の1平米当たりの公示地価/1000
入居時の失業率(%で表示)
入居時の世帯主年齢
入居時の世帯主年齢の自乗/10
入居時の世帯主結婚ダミー(結婚している=1)
入居時の子供の数
世帯主の危険回避度(傘を持ち出す降水確率の逆数)
世帯主の主観的時間選好率/100
世帯主の父親の入居時の年齢
世帯主の母親の入居時の年齢
オイルショック後の好況ダミー(入居年次1980-1982年ならば
1:ベースは入居年次2008年以降の世界同時不況ダミー)
円高不況ダミー(入居年次1983-1985年)
バブル景気ダミー(入居年次1986-1991年)
複合不況ダミー(入居年次1992-2001年)
いざなみ景気ダミー(入居年次2002-2007年)
世帯主の学歴ダミー
世帯主の父親の学歴ダミー
世帯主15歳時の父親の職業ダミー
地域ダミー
都市規模ダミー
逆ミルズ比
サンプルサイズ
持ち家のサンプルサイズ
*,**,***はそれぞれ 10%、5%、1%の有意水準を示している
16
係数
77.10
-0.04
0.20
1.38
-0.16
11.06
1.60
-1.60
0.33
-0.46
0.30
標準誤差
35.99 **
0.10
1.45
1.01
0.13
3.33 ***
1.12
7.24
0.31
0.25 *
0.26
20.02
7.74 ***
15.13
15.46
10.14
8.23
7.15
6.65
5.21
4.87
係数
-33.23
48.34
-0.02
-0.34
0.11
-0.01
-0.23
0.16
0.71
-0.04
-0.04
0.07
使用
使用
使用
使用
使用
標準誤差
14.97
14.86
0.01
0.11
0.06
0.01
0.20
0.07
0.73
0.02
0.01
0.01
**
**
*
*
**
***
***
***
*
*
**
**
***
***
2.04
0.59 ***
1.70
1.31
0.42
0.05
0.56 ***
0.41 ***
0.26 *
0.24
使用
使用
使用
使用
使用
9.5818
4.8077 **
690
435
表 5 持ち家家計に限定した推定
被説明変数:親の負担率
入居時の持ち家の資本還元率(数値)
入居時の1平米当たりの公示地価/1000
入居時の失業率(%で表示)
入居時の世帯主年齢
入居時の世帯主年齢の自乗/10
入居時の世帯主結婚ダミー(結婚している=1)
入居時の子供の数
世帯主の危険回避度(傘を持ち出す降水確率の逆数)
世帯主の主観的時間選好率/100
世帯主の父親の入居時の年齢
世帯主の母親の入居時の年齢
オイルショック後の好況ダミー(入居年次1980-1982年ならば
1:ベースは入居年次2008年以降の世界同時不況ダミー)
円高不況ダミー(入居年次1983-1985年)
バブル景気ダミー(入居年次1986-1991年)
複合不況ダミー(入居年次1992-2001年)
いざなみ景気ダミー(入居年次2002-2007年)
世帯主の学歴ダミー
世帯主の父親の学歴ダミー
世帯主15歳時の父親の職業ダミー
地域ダミー
都市規模ダミー
自由度調整済み決定係数
*,**,***はそれぞれ 10%、5%、1%の有意水準を示している。
17
係数
標準誤差
33.92
27.81
0.01
0.10
0.55
1.49
1.07
1.04
-0.12
0.13
11.65
3.43 ***
0.95
1.10
-2.39
7.34
0.47
0.31
-0.28
0.23
0.04
0.22
11.96
6.64 *
8.46
9.03
5.85
5.78
6.42
5.92
4.92
4.95
使用
使用
使用
使用
使用
0.0446
図 1 高齢者世帯の貯蓄額の推移
世帯主60歳以上の世帯貯蓄残高
2700
2650
2600
世 2550
帯
貯 2500
蓄
残
2450
高
世帯主60歳以上の世帯貯
蓄残高
2400
2350
2300
1995
2000
2005
2010
調査年次
18
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