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日マレーシア経済連携協定 (概要)

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日マレーシア経済連携協定 (概要)
日マレーシア経済連携協定
(概要)
平成18年7月
経済産業省
日マ経済連携協定交渉の経緯
2002
●1月:小泉総理ASEAN歴訪:「日・ASEAN包括的経済連携構想」を提唱
2003
●2月:平沼大臣とラフィダ大臣会合で日マEPA作業部会(Working Group)設置を合意
●5月:第1回WG会合(東京)●7月:第2回WG会合(ランカウイ):産官学共同研究会(Joint Study Group)開催を決定
●9月:第1回JSG会合(KL)
●11月:第2回JSG会合(KL):首脳への報告書を作成
2004
●12月:アブドラ首相訪日:日マ首脳会談にて正式交渉入りに合意
●1月13日:第1回交渉(プトラジャヤ) ●7月19-21日:第4回交渉(東京)
●11月4-6日:第6回交渉(東京)
交渉の枠組みを合意
関税・非関税障壁に関するリクエスト・オファー
市場アクセス、投資・サービス以外の
●3月9-11日:第2回交渉(東京)
交換、投資・サービスの日本側リクエスト手交
分野の議論が収束に向かい始める
分野ごとの交渉の進め方を議論
●9月11日:次官級会合(プトラジャヤ) ●12月3日:日下経済産業審議官
●5月19-21日:第3回交渉(プトラジャヤ)
懸案事項の考え方を議論
マレーシア訪問
分野ごとに実質的議論を本格化
●9月25-27日:第5回交渉(KL)
日本側関心事項についてマ側に説明
一部条文案を提示
投資・サービス分野でマ側リクエスト提示
2005
各種専門家ミッション・中間会合を随時開催
●1月18-19日:次官級会合(KL)
●5月9-10日:次官級会合(東京)
●5月25日:日マ首脳会談(東京)
日マEPA交渉の大筋合意を確認
懸案事項の考え方を議論
詰めの議論を開始。重要論点の
●4月22日:中川大臣とラフィダ大臣会談(東京) 解決の方向性を議論
条文確定交渉を随時開催
5月末の大筋合意を目指して最大限努力すること ●5月16-19日:次官級会合(プトラジャヤ)
●12月13日:日マ首脳会談(KL)
事務方で詰められる論点を解決
を確認
●4月22日:投資・サービスのマ側オファー提示 ●5月22日:中川大臣とラフィダ大臣会談
協定署名、共同声明発表
(KL)鉱工業品、投資・サービス部分の
各種専門家ミッション・中間会合を随時開催
大筋合意に向けて議論し、合意
2006
●6月:協定の効力発生のための公文交換
●7月13日:協定発効、第一回合同委員会開催(東京)
1
日マ経済連携協定の意義・特徴
意義
東アジア・コミュニティ
構想の具現化
マレーシアにおける日本企業
の経済的利益の確保
マレーシア産業の
国際競争力の強化
・ ASEAN諸国との包括的
な連携の重要なステップ
となる
・マレーシアの事業環境の向上
・部品調達コスト等の低減による競
争力向上
・新たなビジネスモデルの可能性
・ 国内産業を国際競争にさ
らすことで強化すべく、段
階的に自由化
・日本側からの各種協力を
通じた競争力強化
特徴
包括的経済連携協定である
(物・資金・人材の移動の自由化・円滑化、
ルールの調和、並びにそれらに伴う協力
を対象)
ハイレベルな自由貿易協定である
(ほぼ全品目の関税を撤廃することとし、
WTOルールの求める水準を遙かに超え
る)
知的財産、競争、基準認証、ビジネス環境整備等
に係るルールを整備。
物品貿易では、約9,300品目を対象。
(中タイ間のアーリーハーベストは約200品目が対
象)
サービス貿易では、規制の透明性・安定性を向上。
投資でも透明性、安定性の向上に加え、投資家・
投資財産の保護を強化。
(中ASEAN協定では、投資・サービスは今後議論)
2
物品市場アクセス(鉱工業品)に関する合意
鉱工業品全体
日マともに、ほぼ全品目の関税を協定発効から10年以内に撤廃
鉱工業品
マレーシア側
自動車・同部品
鉄
鋼
電気・電子製品
繊 維 ・ 衣 類
化
鉱工業品
学
品
・ CKD部品は即時撤廃。CKD以外の自動車部品は、2008年に0~5%ま
で引き下げ、2010年までに撤廃
・2000cc以上3000cc以下の乗用車、3000cc超のMPV、20㌧超のトラック、
バスは2010年までに段階的に撤廃
・ 3000cc超の乗用車は2008年に0~5%まで引き下げ、2010年までに撤廃
・ 上記以外の全ての完成車は2015年までに段階的撤廃
・実質的に全ての鉄鋼製品について10年以内に関税撤廃
・用途別免税をEPAの枠内で制度化
ほぼ全ての品目について10年以内に関税撤廃
ほぼ全ての品目を相互に即時撤廃
ほぼ全ての品目について10年以内に関税撤廃
日本側
・日本が輸入する鉱工業品の関税は、実質上全て即時撤廃される
・マ側の自動車・自動車部品産業の競争力を向上させるため、共同の事業を実施する
3
自動車分野の市場アクセス(マレーシア側関税の譲許)
2005
3000cc超の乗用車
2006
(発効後)
2007
2008
2009
50% 35% 20% 0-5% 0-5%
2010
2011
2012
2013
2014
2015
関税
撤廃
関税
2000cc以上、3000cc
50% 40% 30% 20% 10% 撤廃
以下の乗用車
関税
3000cc超のMPV、
50% 40% 30% 20% 10% 撤廃
20トン超のトラック、バス
上記以外の
全ての完成車
関税
40%
30%
20%
10%
35%
25%
15%
5%
45%
50%
撤廃
CKD部品
10%
CKD以外の
自動車部品
20% 20% 20% 0-5% 0-5%
関税
撤廃
関税
撤廃
4
鉄鋼分野の市場アクセス(マレーシア側関税の譲許)
関税撤廃
○一部のマレーシアにとってセンシティブな製品を除き、全品目について協定発効後
10年以内に完全撤廃。
熱延鋼板、冷延鋼板、表面処理
鋼板等
10年以内に関税撤廃(一部の熱延鋼板を除く。)
棒鋼、線材、パイプ類
7年以内に関税撤廃
ステンレス
5年以内に関税撤廃
*一部の熱延鋼板についても、15年を目途に関税撤廃の予定。
用途別免税制度
○本制度は、自動車用鋼板、家電用鋼板、製缶用ブリキ等、現在マレーシア国内で
は供給できないため、日本から輸入している鉄鋼製品について、数量の上限を設
けずに、関税を賦課しない(無税)というもの。
○この制度の実施により、協定発効当初から、日本から供給される鉄鋼製品のほぼ
全品目が、無税扱いで輸入できることとなる。
5
繊維分野の協定内容(日マ双方の関税の譲許と原産地規則)
関税撤廃
○繊維分野はすべての品目について関税撤廃。
○このうち一部の品目を除きほぼすべての品目について即時撤廃。
原産地規則(注)
繊維原産地規則のイメージ
テキスタイル
○関税番号変更基準2工程ルール
により、第三国からの迂回輸入を防
止。
○ASEAN域内での素材調達を認
めることにより、日本とASEANとの
経済的な連携を強化する、という目
標の達成に向けて大きく前進。
(注)それぞれの品目について、EPAの対象となるために
クリアしなければならない条件を定めた規則
衣類
中国
無税
タイ
マレーシア
インドネシア
6
投資・サービス貿易に係るルールに関する合意
サービス貿易
投
締約国の義務を規定
●市場アクセス
●内国民待遇
●最恵国待遇
透明性の向上
透明性の向上
安定性の向上
安定性の向上
法・規制の情報
交換枠組の設立
WTOより約束
レベルの向上
投
資
・
ビ
ジ
ネ
ス
環
境
改
善
資
締約国の義務を規定
●内国民待遇
●最恵国待遇
●パフォーマンス要求の禁止
義務に適合しない分野を列挙
透明性・安定性の向上
透明性・安定性の向上
例外リスト
投資保護規定
(収用・補償、送金の自由、 国
対投資家の国際仲裁等)
対マ直接投資の拡大を期待
7
知的財産・競争・ビジネス環境整備に関する合意
知 的 財 産
適 切 な 権 利 保 護
適 切 な 取 締 執 行
協
力
の
実
施
協議メカニズム設置
・権利保護強化
・執行強化
・協定レビュー
競
Z
反 競 争 的 行 為
への適切な措置
争
協 力 の 実 施
公正取引と競争を促進
公正取引と競争を促進
権利者の権利保護の実現
権利者の権利保護の実現
ビ ジ ネ ス 環 境 整備
ビジネス環境改善の
ための枠組みの設置
※次頁に
詳細あり。
政府
民間部門
関連団体の参加
ビジネス環境の改善
ビジネス環境の改善
8
ビジネス環境の整備に関する枠組み
マレーシア
●機能:協定全体の運用管理、各小委員会の監督、協定の見直し検討
●構成:両国政府代表
指示
所見の報告
勧告、レビュー
各省庁
各省庁
と協議
日本国
日馬経済連携協定合同委員会
相談
監督・指示
連絡
所見の報告
勧告、レビュー
各省庁
ビジネス環境の整備に関する小委員会
各省庁
が回答
●任務:ビジネス環境の整備に関連する問題に取り組むこと
両締約国に所見を報告し、及び勧告を行うこと
勧告の実施状況について検討すること等
所見の ●構成:両国政府代表。必要に応じ産業界、関係機関の代表者を招聘
報告
各省庁
が回答
各省庁
と協議
連絡事務所 マレーシア
指定された日本側当局
苦情、照会
協議の要請
所見の
報告
回答の送付
マレーシア進出日系企業
連絡事務所 東京
指定されたマレーシア側当局
回答の送付
苦情、照会
協議の要請
日本進出マレーシア企業
二国間協力に関する合意
協定本文
協定構造
協定構造
(基本事項と対象分野を規定)
実施取極
(分野ごとに協力の範囲と形態を規定)
政治宣言
(各分野の具体的プロジェクトを明記)
対象分野
対象分野
早期実施案件
早期実施案件
経済連携研修
経済連携研修
農林水産
教育・人材養成
情報通信技術
科学技術
中小企業
観光
環境
「アーリー・ハーベスト」協力案件
(協定の発効後速やかに24のプロジェクト及びプログラムを実施)
経済連携のための小泉・アブドゥラ研修プログラム
(今後10年間に亘り、約1000人の研修員をマレーシアの関連機関より受け入れる。
これまでのマレーシアの人材育成に貢献してきた「東方政策」(ルック・イースト・ポ
リシー)を強化。)
10
日マ経済連携協定のポイント
【日本にとってのマレーシアとの貿易】
約1兆4千億円の輸出市場
- これまで署名したEPA相手国の中では最大の貿易額
- 合意済みの国を合わせてもタイに次2番目
(参考)日本と各国の2005年の貿易額(輸入額+輸出額)
マレーシア
06年7月発効
約3兆23億円
シンガポール
02年11月発効
メキシコ
05年4月発効
約2兆7736億円
約1兆446億円
【出典】輸出額、輸入額共に
「日本貿易統計」
フィリピン
タイ
04年11月大筋合意
05年9月大筋合意
1兆8496億円
4兆1952億円
【日馬EPAによる経済効果】
約 4 千億円
(日マレーシア経済連携共同研究会(産学官研究会)試算※)
※交渉前に行われた産官学研究会の試算では0.08%(3,404 百万ドル)のGDP押上効果。
11
(参考)日マレーシア貿易構造 〈2005年〉
日
日本
本の
の輸
輸出
出
日本の対マレーシア輸出(2005年)
船舶
貴石貴金属 2%
3%
プラスティック
3%
鉄鋼製品
4%
精密機器
4%
その他
14%
電気機器
31%
日
日本
本の
の輸
輸入
入
日本の対マレーシア輸入(2005年)
プラスティック
3%
精密機器
3%
特殊取扱品
鉱物性燃料
33%
その他
14%
3%
機械類
8%
特殊取扱品
5%
鉄鋼
6% 自動車
12%
総輸出額
1兆3829億円
機械類
16%
木材・同製品
9%
電気機器
27%
総輸入額
1兆6194億円
【出典】財務省「貿易統計」
12
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