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ソニーフィナンシャルホールディングス調査レポート
ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部長 尾河 眞樹
issue date 2016/11/21
トランプ・ラリーは続くか 今週のドル円予想レンジ 109.50-112.50
「米株高・ドル高」の「トランプラリー」が今週も続くかが焦点。米株価の上昇にブレーキがか
かり始めるなど懸念はあるものの、投機筋はまだ円ショートに傾いていないうえ、トランプ新政
権の重要ポスト人事の発表など、目先は好材料が目立ちやすく、今週もドル円は堅調地合いか。
先週はドルが続伸。トランプ次期政権による財政出動への期待が高
まるなか、米長期金利が上昇。ドル指数(ドルの名目実効為替レー
ト)は100の大台を超え、18日には2003年4月以来となる101.48
の高値を付けた。ドル円は週明けに111円台に乗せる展開。また、
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は先週17日に行われた
議会証言で、「今後明らかになる経済指標が米連邦公開市場委員会
(FOMC)の目標に向けて前進を続ける更なる証拠を示せば、比較
今週の注目材料
【米】11月22日:10月中古住宅販売件数
【米】11月23日:10月新築住宅販売件数
FOMC議事要旨(11月分)
【独】11月24日:11月Ifo景況感指数
【日】11月25日:10月消費者物価指数
的早期に(利上げが)適切になる可能性が十分ある」と述べ、12
月の利上げを示唆したが、これもドル上昇の支援材料となった。
今週は、11月1、2日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)
■図表1:MSCI新興国通貨指数
の議事要旨が公表されるが、FF金利先物が織り込む12月の米利上
げ確率は既に98%に達しており、もはや利上げ自体にサプライズ
はない。また、同FOMCは米大統領選投票日より前に行なわれたた
め、注目度は低いだろう。同議事要旨で12月の利上げが示唆され
ても、ドル相場への影響は軽微とみている。それよりも、果たして
トランプ氏勝利による株高・ドル高、いわゆる「トランプ・ラ
リー」が続くかが今週の焦点。急速なドル高を嫌気して、米株価上
昇にもブレーキがかかり始めている。足元のドル指数は、これまで
FOMCメンバーなど米要人が懸念を示してきた水準である100を優
に超えており、新興国通貨も軒並み売られ、MSCI新興国通貨指数
出所:MSCI
*¹は、大統領選直後の高値からすでに約4%下落した(図表1)。
潜在的には将来ドル円が反落するリスクは大きいと見ているが、目
■図表2:IMM円ポジションとドル円
先、少なくとも来年1月20日の就任式までは、期待先行のトラン
プ・ラリーは続くとみている。理由としては、第1に、シカゴ通貨
先物市場IMMにおける投機筋の円ポジションをみると、ポジション
はまだ円ロングに傾いていることが挙げられる(図表2)。想定外
の円安トレンドに、投機筋もまだ追いついていないようだ。恐る恐
るドルを買っている間は、「ドルロング・円ショートポジション」
は溜まりにくいため、まだ相場は上昇しやすい環境だ。第2に、目
先はしばらく、トランプ次期政権を巡る良好なニュースが目立ちや
すい。政権重要ポストの人事が固まりつつあるが、財務長官に元
ウォールストリートの中心で活躍する人物を据える可能性は高く、
金融規制緩和への期待も高まりやすい環境だ。テクニカル上は週足
一目均衡表の雲下限(111円64銭)や、昨年6月高値125円86銭か
ら今年6月安値99円02銭の半値戻し112円44銭を超えるかがカギ。
出所:CFTC、Bloomberg、SonyFH金融市場調査部
*¹MSCI新興国通貨指数:25カ国の新興国通貨を
束ねて指数化した通貨インデックス。ウェイトは
LATAM24.8%、EMEA25.2%、ASIA50.2%。
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