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調査方法 結 果

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調査方法 結 果
3 章 水生生物の生息状況
7 ヶ所(左北の沢支流 A ∼ E、左北の沢川 A,B)、
また、生息環境の特性として、川幅 (cm)、
の合計 35 ヶ所で行なった(図 3.4.1)。各調査
水深 (cm)、水温 (℃ )、底質、湧水の有無、周
地の生息環境評価をする際に人工工作物の影
辺林相(主要な樹種、主な林冠木の直径)、調
響を除くため、なるべく上流部には砂防ダム
査地点上流の砂防ダムの有無について記録し
や落差工がない場所で行なった。
た。川幅と水深については調査区間内でラン
ダムに 5 ヶ所を測定し、その平均値を用いた。
調査方法
底質は巨石、石、礫、砂利、砂泥、泥から選
各 沢 と も 沢 沿 い に、30 ∼ 40m の 調 査 区
択した。また、[ 川幅×水深÷ 2] を流量の指
を設置し、1 ∼ 4 人で調査を行なった(写真
標とした。また、沢の勾配については DEM か
3.4.1)。複数の調査員がいる場合は、一人の
ら GIS ソフト(Esri 社 , ArcGIS 9.2)を用いて
調査員が 10 mずつ担当して、礫や倒木の下な
算出した。
どを中心に 15 30 分間ほどかけて探索した。
調査は、2006 年度と 2007 年度に分けて行
ザリガニが確認されたときは、体重 (g)・頭胴
ない、ザリガニの繁殖期にあたり活動が活発
甲長 (mm)・体長 (mm)・雌雄・抱卵の有無な
になる 6 月を中心に行なった。
どをその場で記録し、測定後は放逐した(写
結 果
真 3.4.2)。調査中に他の底生動物を見つけた
際は種名を記録した。
■分布状況 各沢の環境とザリガニの捕獲数を表 3.4.1 に
示す。35 ヶ所のうち 6 ヶ所は涸れ沢になっ
ており、ザリガニは生息していないと判断し、
環境についてのみ調査した。
ザリガニが確認されたのは、円山西部 A(2
個体)、旭山川(2 個体)、藻岩川(4 個体)
、
山 鼻 川 支 流 A(3 個 体 )、 ス キ ー 場 内(1 個
体)・北の沢支流 A(1 個体)の 6 ヶ所で合計
13 個 体 だ っ た( 写 真 3.4.3)。 円 山 西 部 A で
写真 3.4.1 調査風景
は、2006 年度には確認できなかったものの、
写真 3.4.2 ザリガニの計測
写真 3.4.3 確認されたザリガニ
− 57 −
藻岩山円山動物調査報告書
表 3.4.1 調査地の概要
No
調査年
調査地
1
2006-7
円山西部 A
2
2006-7
円山西部 B
捕
調査
獲
人数
数
6
6
2
0
生息
密度
川幅 水深 流量
湧水
(/15 分
(cm) (cm) 指数
・1 人 )
0.3
0
○
○
32
62
1.9
1.6
水温
(℃ )
30
48
傾
斜
角
林相
直径
(cm)
林床植生
広葉樹林
60
クマイザサ
オオハナウド
なし
40-200
クマイザサ
キツリフネ・ミジソバ
なし
40-100
クマイザサ
キツリフネ
なし
広葉樹林
40-50
-
なし
巨石・礫・
広葉樹林
砂利・砂泥
20-30
-
なし
13.7
巨石・石・
広葉樹林
6.1
礫・砂利
20-30
-
なし
-
巨石・石・
広葉樹林
16.7
礫・砂利
20-30
-
なし
13.5
底質
7.0 礫・砂利
13.3
礫・砂利・
広葉樹林
17.1
砂泥
礫・砂利・
広葉樹林
7.9
砂泥
3
2006-7
円山西部 C
6
0
0
○
34
0.9
16
9
4
2006
円山西部 D
1
0
0
○
36
0.9
16
-
15.9
5
2007
円山川 A
2
0
0
×
21
0.5
5
--
16.7
6
7
2007
2007
円山川 B
円山川 C
2
2
0
0
0
0
×
×
56
-
6.6
-
185
5
8
2007
円山川 D
2
0
0
×
-
-
5
-
11.1
9
2007
円山川周辺 A
0
-
-
×
涸沢
-
-
-
6.2
10
11
2007
2007
円山川周辺 B
円山川周辺 C
2
0
0
-
0
-
×
×
20
涸沢
1
-
10
-
-
10.3
23.8
砂泥
広葉樹林
20-30
-
なし
土
広葉樹林
(二次林)
10-20
クマイザサ
なし
石・礫
・砂泥
広葉樹林
(二次林)
20-30
-
なし
土
広葉樹林
(二次林)
12
2006
旭山川
4
2
0.2
×
66
4.6
153
12.3
13
2006
旭山公園沢 A
3
0
0
×
37
4.6
84
12.0
5.0 泥(赤土) 広葉樹林
15
2006
2006
旭山公園沢 B
界川
1
4
0
0
0
0
×
×
117
7.0
408
14.0
カラマツ
9.5 泥(赤土)
広葉樹混交
なし
なし
264
11.5
8.7
17
2006
伏見川 B
3
0
0
×
37
4.2
78
11.3
9.9
石・礫
・砂利
9.7
礫・砂利
・砂泥
10.5
なし
40-50
8.3
15
なし
なし
64
0.9
クマイザサ
クマイザサ
シダ類
×
36
40-50
クマイザサ
クマイザサ
オニシモツケ
0
×
10-20
30-40
0
1
なし
広葉樹林
(二次林)
3
4
40-60
60-80
伏見川 A
4
なし
シダ類
エンレイソウ
広葉樹林
2006
藻岩川
クマイザサ
11.9
16
2006
10-20
石・礫
・砂利
石・礫
・砂利
18
ダム
石・礫
・岩盤
巨石・礫・
広葉樹林
9.3
砂利・砂泥
14
砂防
広葉樹林
広葉樹林
30-40
クマイザサ
シダ類
あり
クマイザサ
(なし)
シダ類・オニシモツケ
19
2006
山元川
3
0
0
×
18
0.5
4
11.5
19.1
岩盤
・砂利
20
2006
山鼻沢 A
0
-
-
×
涸沢
-
0
-
10.3
土
広葉樹林
80-100
シダ類・オオイタドリ
-
21
2006
山鼻沢 B
0
-
-
×
涸沢
-
0
-
9.7
土
広葉樹林
50-60
クマイザサ
コンロンソウ
-
-
なし
22
23
2006
2006
山鼻沢 C
山鼻沢 D
1
3
0
0
0
0
×
×
57
4.6
130
11.0
24
2007
山鼻沢 E
1
0
-
×
涸沢
-
-
-
25
2006
山鼻川
3
0
0
×
179
7.1
635
10.0
広葉樹林
40-50
エンレイソウ
シダ類・オオウバユリ
礫・砂利・
広葉樹林
16.2
砂泥
巨石
17.2
・石・礫
広葉樹林
広葉樹林
29.6 泥(赤土)
(二次林)
6.2 石・砂利
広葉樹林
100
シダ類・オオウバユリ・
なし
エンレイソウ
10-20
クマイザサ
なし
40-50
クマイザサ
オニシモツケ
なし
40-50
シダ類
オニシモツケ
なし
26
2006
山鼻川支流 A
3
3
1
×
37
0.6
12
11.5
27
2006
山鼻川支流 B
0
-
-
×
涸沢
-
0
-
10.3
土
広葉樹林
-
-
28
2007
スキー場内
1
1
1
○
なし
なし
なし
-
-
礫
人工草地
-
なし
29
2007
左北の沢川支流 A
1
1
0
×
43
4.5
97
10.8
9.4
巨石・石・
広葉樹林
礫・砂利
30-40
シダ類・ルイヨウショウ
なし
マ
30
2007
左北の沢川支流 B
1
0
0
×
25
1.1
14
9.2
19.6
礫・砂利・
広葉樹林
砂泥
30-40
シダ類・ルイヨウショウ
なし
マ
31
2007
左北の沢川支流 C
1
0
0
×
34
0.8
14
10.0
広葉樹林
30-40
シダ類・ルイヨウショウ
なし
マ
32
2007
左北の沢川支流 D
1
0
0
×
47
5.2
122
12.4
4.9 泥(赤土) 広葉樹林
25-30
クマイザサ
なし
33
2006
左北の沢川支流 E
3
0
0
×
92
8.8
408
10.5
5.7
広葉樹林
10-30
オシダ(右岸)
クマイザサ(左岸)
なし
34
2007
左北の沢川 A
1
0
0
×
30
4.0
60
-
6.9 礫・砂利
広葉樹林
15-20
クマイザサ
なし
35
2007
左北の沢川 B
1
0
0
×
50
6.5
163
-
4.5 礫・砂利
広葉樹林
15-20
クマイザサ
なし
※「-」は、未測定の項目をあらわす
− 58 −
9.1 石・砂泥
18.7 礫・砂利
石・礫・砂
泥
広葉樹林
3 章 水生生物の生息状況
2007 年度に地面から数十センチ下の地中深く
■生息環境
で個体を確認した。
ザリガニの生息環境として、沢の勾配、底質、
ザリガニの大きさは、体長 50mm を超える
流量、森林の発達度の4つの生息環境につい
成熟個体が 9 個体で、50mm 以下の未成熟個
て検討した。
体が 4 個体だった。未成熟個体は藻岩川と北
沢 の 勾 配 は、 生 息 し て い る 場 所 で は 全 て
の沢支流 A でのみ見られた。
10 度 以 下 だ っ た( 図 3.4.2)。 底 質 は、 生 息
している場所では全て礫が優占していた(図
沢数
3.4.3)。生息している場所の流量指数は、ス
キー場内の生息地を除いて 12 ∼ 153 であり、
枯れ沢や流量の多い沢には生息する場所はな
かった(図 3.4.4)。植生は落葉広葉樹林がほ
とんどで、その発達度は生息している場所で
図 3.4.2 沢の勾配と生息状況の関係
は全て壮齢林だった(図 3.4.5, 写真 3.4.4)。
ただし、スキー場内の生息地は、広葉樹林の
林縁の湧水地で人工草地だった(写真 3.4.5)。
生息していない場所で、この4つの生息環境
沢数
を満たす場所はなかった。
図 3.4.3 底質と生息状況の関係
沢数
写真 3.4.4 ザリガニが生息する沢
図 3.4.4 流量指数と生息状況の関係
沢数
写真 3.4.5 ザリガニが生息する湧水地
図 3.4.5 周辺林相と生息状況の関係
− 59 −
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