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火力関係環境審査調査 (陸域調査・大崎上島町)

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火力関係環境審査調査 (陸域調査・大崎上島町)
経済産業省委託調査
平成22年度
火力関 係環 境審査 調査
(陸域 調査 ・大崎 上島 町 )
平 成 23年 2 月
財団法人
自然環境研究センター
は じ め に
本 報 告書 は 経済 産 業省原 子 力 安全 ・ 保安 院 の委託 に よ り財 団 法人 自 然環境 研 究 セン タ ーが
行 っ た 、平 成 22年 度 火力関 係 環 境審 査 調査 ( 陸域調 査 ・ 大崎 上 島町 ) の結果 を と りま と めた
も の で ある 。
近年、発電所建設を含む大規模な環境改変を伴う事業が自然環境に及ぼす影響を予測することにつ
いて、その重要性がますます強調されている。その影響予測手法は一部の分野ではほぼ確立され実用
に供されている。しかし、行動域が広くかつ季節的な移動を伴う野生動物については、調査が困難な
ために分布状況など基礎的な情報すら十分な整備がおこなわれておらず、環境改変による影響を精密
に予測するには程遠いのが現状である。
本 調 査は 、 発電 所 の建設 が 周 辺の 自 然環 境 、特に 野 生 動物 に 及ぼ す 影響を 予 測 し評 価 する
た め の 基礎 資 料を 収 集した も の であ る 。調 査地 域と し て 広島県大崎上島町の発電設備立地計 画地
点 周 辺 地域 を 選定 し 、調査 地 域 にみ ら れる 野 生動物 の 生 息状 況 と自 然 環境と の 関 係を 把 握し
た。
平 成 23 年 2 月
財団法人
自 然環 境 研究セ ン タ ー
理 事 長
大 塚
柳 太 郎
検 討 委員 会
阿部
永
前 北 海 道大 学 農学 部 教授
阿部
學
日 本 猛 禽類 研 究機 構 代表
伊藤
健雄
前 山 形 大学 教 育学 部 教授
森川
靖
早稲田大学大学院人間科学研究科教授
ワ ー キン グ グル ー プ
久保 田 正秀
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 研究 本 部長
安齊
友巳
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 主席 研 究員
小出
可能
財 団 法 人自 然 環 境 研 究セン タ ー 主席 研 究員
青木
正成
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 上席 研 究員
中島
朋成
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 上席 研 究 員
橋本
琢磨
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 上席 研 究員
中山
文仁
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 研究 員
三村
昌史
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 研究 員
根本
唯
財 団 法 人自 然 環境 研 究セン タ ー 研究 員
目
次
はじめに
調査概要
1.調査目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
2.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
3.調査地域
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
本編
第1章 生息環境調査
1.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
2.調査地域の自然環境の概要
3.植生調査
4.まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
第2章 鳥類調査
1.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
2.鳥類相調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
3.鳥類群集調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
4.保全上重要な種の調査
5.まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106
第3章 哺乳類調査
1.調査内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108
2.哺乳類相調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108
3.小型哺乳類調査
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111
4.中・大型哺乳類調査
5.保全上重要な種の調査
6.まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・141
総括
1.本調査の成果
2.今後の課題
引用文献
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・145
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・147
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150
資料編
1.野生動物の環境選好性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・153
2.野生動物の生態的特性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・154
図表一覧
図1 各調査の位置づけ
図2 調査地域図
図1-1
標高区分図
図1-2
標高区分メッシュの割合
図1-3
竹原観測所と久比観測所の測定値から求めた月平均気温と降水量
図1-4
年間降水量の分布
図1-5
現存植生分布図
図1-6
立地地域周辺の土地利用の変遷
図1-7
植生調査ルート
表1-1
標高区分別のメッシュ数とその割合
表1-2
月別平均気温、最高気温、最低気温および降水量
表1-3
調査地域の最低標高・最高標高における暖かさの指数と寒さの指数
表1-4
調査地域内の植生面積とそれらの割合
表1-5
ルート1:大崎(立地地域内/発電所)
表1-6
ルート2:長島北(立地地域内/広葉樹林)
表1-7
ルート3:大串(調査地内/水田)
表1-8
ルート4:神峰山(調査地内/広葉樹林)
表1-9
ルート5:神峰山沢(調査地内/広葉樹林)
表1-10
ルート6:総九郎川(調査地内/河川)
表1-11
ルート7:森ヶ迫(調査地内/果樹園)
表1-12
ルート8:生野島(調査地内/広葉樹林)
表1-13
相観と優占種からみたそれぞれのルートの概要
表1-14
ルート別の出現種数と帰化植物の種数、および帰化率
図2-1
鳥類センサスルート
図2-2
鳥類定点調査地点
図2-3
鳥類捕獲調査地点
図2-4
保全上重要な種の確認地点
図2-5
各ルートにおける鳥類群集類似度(繁殖期:5月)
図2-6
各ルートにおける鳥類群集類似度(非繁殖期:12 月)
図2-7
各ルートにおける鳥類群集類似度(非繁殖期:12 月) (ルート3、5を除く)
図2-8
保全上重要な種の調査 調査地点位置図
図2-9
ミサゴの止まり行動確認地点(繁殖期:5月)
図2-10
ミサゴの狩り行動確認地点(繁殖期:5月)
図2-11
ミサゴの止まり行動確認地点(非繁殖期:12 月)
図2-12
ミサゴの狩り行動確認地点(非繁殖期:12 月)
図2-13
ハヤブサの行動確認地点(非繁殖期:12 月)
表2-1
調査地域で確認された鳥種一覧
表2-2
ルートセンサス(1:大崎(発電所):5 月)の結果:密度
表2-3
ルートセンサス(1:大崎(発電所):12 月)の結果:密度
表2-4
ルートセンサス(2:長島北:5 月)の結果:密度
表2-5
ルートセンサス(2:長島北:12 月)の結果:密度
表2-6
ルートセンサス(3:大串:5 月)の結果:密度
表2-7
ルートセンサス(3:大串:12 月)の結果:密度
表2-8
ルートセンサス(4:神峰山:5 月)の結果:密度
表2-9
ルートセンサス(4:神峰山:12 月)の結果:密度
表2-10
ルートセンサス(5:神峰山沢:5 月)の結果:密度
表2-11
ルートセンサス(5:神峰山沢:12 月)の結果:密度
表2-12
ルートセンサス(6:総九郎川:5 月)の結果:密度
表2-13
ルートセンサス(6:総九郎川:12 月)の結果:密度
表2-14
ルートセンサス(7:森ヶ迫:5 月)の結果:密度
表2-15
ルートセンサス(7:森ヶ迫:12 月)の結果:密度
表2-16
ルートセンサス(8:生野島:5 月)の結果:密度
表2-17
ルートセンサス(8:生野島:12 月)の結果:密度
表2-18
定点観察調査(5 月)の結果
表2-19
定点観察調査(12 月)の結果
表2-20
鳥類捕獲調査結果(繁殖期及び非繁殖期)
表2-21
鳥類音声録音調査で確認された鳥種一覧
表2-22
調査範囲内で確認した保全上重要な種
表2-23
調査ルート別出現密度(5月)
表2-24
調査ルート別出現密度(12 月)
表2-25
保全上重要な種の調査 調査概況(繁殖期:5月)
表2-26
保全上重要な種の調査 調査概況(非繁殖期:12 月)
表2-27
調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(繁殖期)
表2-28
調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(繁殖期)
表2-29
調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(非繁殖期)
表2-30
調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(非繁殖期)
図3-1 地上性小型哺乳類捕獲調査地点
図3-2 コウモリ類捕獲調査地点
図3-3 植生タイプ毎の捕獲個体数
図3-4 痕跡調査ルート
図3-5 自動撮影調査地点
図3-6 イタチ類を対象とした痕跡調査ルート
図3-7 ヘアトラップ法、足跡トラップ法調査地点
図3-8 ヘアトラップ
図3-9 足跡トラップ
図3-10 路上死体確認地点
図3-11 遺伝子分析により確認されたイタチの分布
図3-12 遺伝子分析により確認されたチョウセンイタチの分布
表3-1 目撃による哺乳類の生息確認種
表3-2 調査地域で確認された哺乳類種一覧
表3-3 地上性小型哺乳類調査地点の概要
表3-4 地上性小型哺乳類調査結果概要
表3-5 植生タイプ毎の捕獲個体数
表3-6 コウモリ類捕獲調査結果
表3-7 コウモリ類捕獲個体の外部計測値
表3-8 痕跡調査ルートの概要
表3-9 自動撮影調査地点の概要
表3-10 痕跡調査の結果
表3-11 自動撮影調査結果
表3-12 遺伝子分析結果(糞)
表3-13 遺伝子解析結果(体毛)
表3-14 遺伝子解析結果(組織)と計測記録
表4 本調査で試行した新たな調査手法
資料1
鳥 類の環 境選 好 性
資料2
哺 乳類 の環境 選 好性
資料3
鳥 類の生 態的 特 性1
資料4
哺 乳類 の生態 的 特性1
資料5
鳥 類の生 態的 特 性2
資料6
哺 乳類 の生態 的 特性2
平成22年度
火力関係環境審査調査
(陸域調査・大崎上島町 )
財団法人
自然環境研究センター
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
調 査 概 要
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
調査概要
1.調査目的
本調査の目的は、火力発電所の立地に際して行われる環境影響評価の対象項目のうち、「生物の多
様性の確保および自然環境の体系的保全」における、陸域の「動物」の調査結果を審査するための基
礎資料を得ることである。
本調査の対象地域は、広島県豊田郡大崎上島町の大崎クールジェン株式会社酸素吹石炭ガス化複合
発電実証試験発電所立地予定地及びその周辺である。
2.調査内容
本調査では環境影響評価の対象項目のうち、「生物の多様性の確保および自然環境の体系的保全」
における陸域の「動物」の調査を実施した。本調査は、このうち鳥類および哺乳類に関する下記①、
②の調査項目を実施した(図1)。また、これらの調査項目に加えて生息環境調査を実施した。
鳥類、哺乳類の調査内容、対象種等は、現地の自然環境特性、動物相をふまえて選定した。この作
業に先立ち、既存文献を参考にして、聞き取りの実施、現地での予備調査を行った。
生息環境調査では、調査地域の環境を、地形、土地利用、気象と植生などについて把握した。この
うち動物の生息環境としては、特に植生に着目して、調査地域に見られる代表的な植生の種組成や構
造などを現地調査などによって把握した。
動物調査では、鳥類および哺乳類を対象に、既存文献、現地調査によって調査地域の動物相を把握
した(図1:①)。また、動物相などから鳥類の保全上重要な種として「鳥類、爬虫類、両生類及び
その他無脊椎動物のレッドリストの見直しについて」
(環境省自然環境局野生生物課,2006)や、「改
訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブックひろしま2003」(広島県版レッ
ドデータブック見直し検討会,2004)に記載されているミサゴを選定した。哺乳類についても「改
訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブックひろしま2003」(広島県版レッ
ドデータブック見直し検討会,2004)に記載されているイタチを選定した(図1:②)。
3.調査地域
調査地域は広島県豊田郡大崎上島町全域とした。大崎上島町は瀬戸内海の中央、芸予諸島の一部で
ある大崎上島とその属島の長島、臼島、船島、生野島、契島、佐組島などの小島からなる。今回の事
業予定地の位置する長島を中心に、長島と橋で結ばれている大崎上島と、大崎上島の北に位置する生
野島の3島を調査地域として設定した。大崎上島の面積は 43.28k ㎡であり、北は竹原市、安芸津町と
海上を挟み約 10km で面し、南は愛媛県大三島、岡村島と約1km で面している。最も標高が高いのは
島南東部に位置する神峰山の 432m であり、東岸および南岸は急傾斜に海に面している。島全体に北西
にむけて緩やかに傾斜しており、北岸には干拓、埋立地などの平地が広がっている。主要な河川とし
- 13 -
て二級河川の原田川、原下川、小原川があるが、いずれも小規模なもので、最も大きな原田川でも河
川延長が 1.3km 流域面積は 2.8k㎡である。事業予定地の位置する長島は面積 1.06 k ㎡の有人島であ
り、1987 年に長島大橋により大崎上島と結ばれた。島の約2/3は中国電力大崎発電所の敷地となっ
ている。また、生野島は面積 2.26 k ㎡の有人島であり、大崎上島より定期航路がある。(図2)
。
調査地域内に植生・鳥類調査ルートを8ヶ所、鳥類定点調査地点を7ヶ所、鳥類捕獲調査地点を1
ヶ所、哺乳類痕跡調査ルートを12ヶ所、哺乳類自動撮影調査およびヘアトラップ・足跡トラップ調査
地点20ヶ所、地上性小型哺乳類捕獲調査地点20ヶ所、コウモリ類捕獲調査地点5ヶ所、保全上重要な
種の調査(哺乳類)の痕跡調査ルート13ヶ所を設定した。なお、発電所立地予定地を含む長島全域を
立地地域と設定し、調査地点の設置密度を高め、詳細生息状況の把握を試みた。立地地域内では、植
生・鳥類調査ルートの2ヶ所、保全上重要な種の調査(鳥類)と鳥類定点調査の2ヶ所、哺乳類痕跡
調査および保全上重要な種の調査(哺乳類)2ヶ所、哺乳類自動撮影調査およびヘアトラップ・足跡
トラップ調査地点4ヶ所、地上性小型哺乳類捕獲調査地点4ヶ所、コウモリ類捕獲調査2ヶ所を設定
した。
生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全
動物
生息環境調査
重要な種及び注目すべき生息地
・地域環境の概要
重要な種
・植生調査
①重要な種の抽出に伴う動物相の把握
・鳥類相調査
鳥類群集調査
・哺乳類相調査
小型哺乳類捕獲調査
中・大型哺乳類調査
②重要な種の調査
(鳥類)
ミサゴの生息状況調査
(哺乳類)イタチの生息状況調査
図1 各調査の位置づけ
- 14 -
図2 調査地域図
- 15 -
- 16 -
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
本
編
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
第1章 生息環境調査
1. 調査内容
調査地域の自然環境の概要を把握するため、地形、気象、植生に関する既存資料を収集し、解析を
行った。調査地域内に設定した調査ルート沿いで見られる主な植生については、鳥類と哺乳類の生息
環境としての観点から、種構成や構成比率、階層構造に関する現地調査を実施した。
2.調査地域の自然環境の概要
(1)調査方法
調査地域の月別の平均気温や降水量などの気候に関する情報は、気象庁ホームページ「気象統計情
報(過去の気象データ検索,http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php)」から引用した。観測地点
としては、調査地域より北にある竹原観測所と南にある久比観測所を選定し、1979 年から 2000 年まで
の両観測所の測定値から求めた平均値を用いた。調査地域内の地域的な降水量については、気象庁か
ら発行されたメッシュ気候値 2000(気象庁, 2002)を使用した。このメッシュ気候値は、気候値の分布
が地形の影響を強く受けていることを利用し、観測された気候値と緯度・経度・標高・勾配などの地
形因子との統計的関係をもとにして、観測点が無いメッシュの気候値を推定したものである。
日本においては、雤量が豊富で水不足が森林の成立を妨げることは尐なく、気温(温量)が植生帯
の分布を決める主要因となっている(菊沢,1999)
。気温から調査地域に成立する植生帯を把握するた
め、暖かさの指数と寒さの指数(吉良,1948)を計算した。これらの指数は日本における森林帯の分
布を説明するものとしてよく用いられる(菊沢,1999)。暖かさの指数は1年の各月のうち、月平均気
温が5℃以上の月だけをえらび、各月の平均気温から5℃だけを差し引いた数を積算して得られる指
数である。一方、寒さの指数は月平均気温5℃以下の月について、月平均気温と5℃との差を積算し
た値にマイナスを付けたものである。竹原観測所は標高5m、久比観測所は標高6mにあるので、気
温の逓減率を 0.6 / 100mと仮定して調査地域内の最低地点(0m)と最高地点(452.3m)における暖
かさの指数と寒さの指数を求めた。
調査地域の地形を把握するため、数値地図 50m メッシュ(国土地理院, 1997)を用いて調査地域内の
標高をメッシュ単位で集計し、標高区分図を作成した(図1-1)。
調査地域内の植生の分布については、生物多様性情報システムで公開されている第5回自然環境保
全 基 礎 調 査 に お け る 植 生 調 査 結 果 ( 5 万 分 の 1 植 生 図 , 1999 ) を 利 用 し た
(http://www.biodic.go.jp/J-IBIS.html)。この植生図に描かれている各植生の境界を読み取り、植生の分
布状況を把握し、それぞれの面積を求めた(図1-5)。
(2)地形
調査地域である大崎上島町は、芸与諸島の一部を構成しており、瀬戸内海のやや西寄りに位置して
いる。大崎上島町は、立地地域である長島と、その南東部に位置する大崎上島、大崎上島の北にある
- 19 -
図1-1 標高区分図
- 20 -
生野島などの大小様々な島嶼から成っている。大崎上島は、島全体が北西にむかって緩やかに傾いて
おり、北側の中央部を南北に流れる川の下流には、沖積地がわずかにみられる。その他の河川は小規
模なもののみで、大きな湖沼もない。また、大崎上島の北海岸沖には、生野島、長島などの多くの島々
が点在するが、一部の島と島の間は埋め立てられ、現在は陸続きになっている。大崎上島の東部と南
部は、山頂から急斜面で海岸にのぞんでいる場所が多く、平地は尐ない。調査地域の中で最も標高が
高いのは、大崎上島の南東部にある神峰山(453m)で、その他には大畠山(331m)、落山(283m)、
王子山(245m)、権現山(207m)が続く。
調査地域は島嶼であるため、最も標高が高いところでも 500mに満たない。そのため標高区分図の作
成にあたっては、50mごとと比較的細かく区分し、さらに標高 10m以下を分けた(図1-1、表1-
1)。標高区分図からも、大崎上島が南東から北西にかけて標高が低くなっていることが読み取れる。
ややまとまった面積の平野部は、島の北側の中央部分と西側にみられる。なお、北東部分の標高 10m
以下のメッシュは、くるまえび養殖場である。標高区分別のメッシュの割合を見ると、標高 10m以下
が 25.1%、
標高 10-50mが 28.6%で、これらを合わせた標高 50m以下のメッシュが半分以上を占める。
標高 50m以上のメッシュのほとんどは大崎上島の南東部でみられ、標高が高い区分ほどメッシュ数は
尐なくなる(表1-1、図1-2)
。
表1-1 標高区分別のメッシュ数とその割合
メッシュ数
割合(%)
400<
26
0.2%
350-400
62
0.4%
300-350
105
0.6%
250-300
283
1.6%
200-250
590
3.4%
150-200
1140
6.6%
100-150
2073
12.0%
50-100
3725
21.5%
10-50
4941
28.6%
0-10
4346
25.1%
合計
17291
100.0%
- 21 -
400<
350-400
標
高
区
分
(
m
)
300-350
250-300
200-250
150-200
100-150
50-100
10-50
0-10
0%
10%
20%
30%
40%
図1-2 標高区分メッシュの割合
(3)気象
調査地域より北にある竹原観測所と南にある久比観測所の測定値から求めた月別と全年の平均気温、
最高気温、最低気温、及び降水量を表1-2と図1-3に示す。年平均気温は 15.2℃であり、最暖月
と最寒月の平均気温はそれぞれ8月(26.7℃)と1月と2月(5.4℃)である。年間降水量は 1272.4mm
と尐なく、そのうちの約3割が6月から7月にかけての梅雤期、約1割が台風の多い9月で占められ
る。調査地域である大崎上島町は、東西に細長い瀬戸内海のほぼ真ん中に位置しており、典型的な瀬
戸内気候である。そのため気温は温暖で、年降水量は尐なく、降雤が夏に集中するのが特徴である(大
崎町史編集委員会 1981;宮脇 1983)
。調査地域内の降水量の分布を3次メッシュ単位でみると、年間
降水量は 1150-1350mm で全体的に尐ないが、西側の方が降水量が多い傾向がある(図1-4)
。
表1-3に、竹原観測所と久比観測所の月平均気温から求めた暖かさの指数と寒さの指数、及びに
同観測所の月平均気温から推定した調査地域の最低標高である0mと、最高標高である神峰山頂近く
の 452.3mの2地点における各指数を示す。標高0mの暖かさの指数と寒さの指数はそれぞれ 122.9 と
0.0、標高 452.3mの暖かさの指数と寒さの指数はそれぞれ 94.5 であり-4.6 であった。暖かさの指数が
85 以上で寒さの指数が-15 以上の地域は、照葉樹林と呼ばれる常緑樹のシイ・カシ類や、ツバキ科や
モチノキ科の樹木を主とする常緑広葉樹林が分布する範囲とされる。島嶼からなる本調査地域には標
高が高い場所がないこともあり、全ての地域が常緑樹林が分布する範囲に含まれる。
- 22 -
表1-2 月別平均気温、最高気温、最低気温及び降水量
平均気温
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全年
5.4
5.4
8.2
13.0
17.2
20.9
24.8
26.4
23.1
17.6
12.6
7.9
15.2
8.7
8.9
11.9
17.0
21.2
24.2
28.1
29.9
26.5
21.5
16.3
11.5
18.8
2.0
1.7
4.3
8.9
13.4
17.9
22.1
23.4
20.0
14.1
9.0
4.3
11.8
42.5
57.7
104.6
109.7
123.9
225.4
186.9
86.6
151.4
85.2
60.3
29.2
1272.4
(℃)
最高気温
(℃)
最低気温
(℃)
降水量
(mm)
竹原観測所と久比観測所で、1979年から2000年までの22年間に測定された値の平均値から求めた。
月
降
水
量
(
㎜
)
250
30
200
25
20
150
15
100
10
50
5
0
0
月
平
均
気
温
(
℃
)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 1 1
月 月 月 月 月 月 月 月 月 0 1 2
月 月 月
月降水量
月平均気温
図1-3 竹原観測所と久比観測所の測定値から求めた月平均気温と降水量
- 23 -
図1-4 年間降水量の分布
- 24 -
表1-3 調査地域の最低標高・最高標高における暖かさの指数と寒さの指数
最低地点
最高地点
(標高0m)
(標高452.3m)
暖かさの指数
寒さの指数
122.9
94.5
0.0
-4.6
調査地域の最低標高・最高標高の両指数は、気温の逓減率を0.6℃/100mと仮定した
場合に推定される月平均気温から算出した。
(4)植生分布
調査地域内の植生面積を、群落別、植生区分別に表1-4に、植生分布図を図1-5に示す。
立地地域である長島には、発電所立地地点を中心に造成地が広がっている。その他にみられる植生
としては、弱度の地表改変地である常緑果樹園、畑地雑草群落、水田雑草群落がほとんどを占め、森
林としてはわずかにコバノミツバツツジ-アカマツ群集がみられる。
調査地域である大崎上島や生野島では、南側の標高 100m以上の場所を中心としてコバノミツバツツ
ジ-アカマツ群集が分布しており、そのまわりを取り囲むようにして常緑果樹園がみられる。これら
を合わせた植生面積の割合は 82.55%にのぼる。大崎上島の北西部側にある標高 10m以下の場所には、
半水生植物生育地であるヨシクラスや塩沼地植生もみられるが、その他は強度の地表改変地である市
街地や、弱度の地表改変地である水田雑草群落や畑地雑草群落で占められている。
宮脇(1983)によると、瀬戸内海沿岸地域のアカマツ二次林は、文化景観を大きく特徴づける植生
としてあげられている。瀬戸内海沿岸は気候的に雤が尐ない上に、花崗岩や流紋岩などの火成岩類か
らなる台地や丘陵は酸性に傾きやすく、乾燥しやすい土壌である。さらに過度の伐採により、土壌の
流亡、貧化が進み、常緑広葉樹林の再生が困難な立地となっている。このような土壌条件の貧化した
立地にはアカマツを主とした二次林が成立する。さらに沿岸部や島嶼部では、過去の塩田法製塩にと
もなう樹林の繰り返しの過伐により、アカマ二次林まで容易に生育できなくなっている。さらに頻発
する山火事により森林の回復はさらに遅れている。
太刀掛・久藤(2003)によると、大崎上島は人口が尐ないにもかかわらず耕作可能な土地はよく人
手が入り、山の緩斜面・凹地などもよく耕作されている。耕作が不可能に近い山の急斜面・岩礫地な
どは割合自然がよく保たれている。
- 25 -
図1-5 現存植生分布図
- 26 -
表1-4 調査地域内の植生面積とそれらの割合
植生区分
群落名
強度の地表改変地
市街地
1.25
2.89
造成地
0.57
1.32
小計
1.82
4.21
15.96
36.93
水田雑草群落
3.25
7.53
畑地雑草群落
0.93
2.16
弱度の地表改変地
面積(k㎡)
常緑果樹園
小計
林業利用地
森林・針葉樹林
半水生植物生育地
水生植物生育地
面積割合(%)
20.15
46.62
伐跡群落
0.28
0.64
小計
0.28
0.64
コバノミツバツツジ-アカマツ群集
19.72
45.63
小計
19.72
45.63
ヨシクラス
0.78
1.79
塩沼地植生
0.33
0.76
小計
1.10
2.55
開放水域
0.15
0.35
小計
0.15
0.35
合計
43.21
100.00
自然環境保全基礎調査における第5回基礎調査の植生調査結果(5万分の1植生図から作成)
(5)立地地域の土地利用の変遷
立地地域である長島の、昭和 40(1965)年より平成 11(1999)年に至るまでの地形の変化を図1-
6に示した。
昭和 40(1965)年の旧版地図をみると、現在は大崎発電所として利用されている範囲の大部分は塩
田で、西側の一部については水田や果樹園であった。その他に、現在は建物がみられる島の北東部の
平野は水田として利用されており、人家はまばらであった。昭和 53(1973)年になると、塩田だった
場所は開放水域に変化している。また、おもに島の南側でみられた果樹園が、北側でも多くみられる
ようになり、人家の数も増えてきた。それにともない島内の道路の整備が進められた。昭和 62(1987)
年になると、かつて塩田だった場所は全て埋め立てられて陸地になっている。島の北部にある平野に
は、大型の建物がみられるようになった。さらに、大崎上島との間を結ぶ長島大橋と、それに連なる
道路が建設され、現在とほぼ同様の道路網が整備された。平成 11(1999)年には、大崎発電所が建設
されており、現在とほぼ同じ地形や土地利用になっている。なお、大崎発電所の運転開始は平成 12
(2000)年 11 月 30 日である。
以上のように、立地地域の埋め立てが終了し、現在のような陸地になってからは 20 年以上が経過し
ており、大崎発電所が建設されて現在のような土地利用になってからは約 10 年が経過しているが、ま
だ比較的新しく創出された環境と考えられる。
- 27 -
左上:昭和 40(1965)年
国土地理院発行2万5千分の1地形図(三津:昭和 42 年 10 月 30 日発行、白水:昭和 43 年3月 30
日発行)
右上:昭和 53(1973)年(三津:昭和 55 年5月 30 日、白水:昭和 43 年3月 30 日) 同上
左下:昭和 62(1987)年(三津:平成1年1月 30 日、白水:昭和 63 年 10 月 30 日)同上
右下:平成 11(1999)年(三津:平成 12 年9月1日、白水:平成 12 年1月1日)同上
図1-6 立地地域の土地利用の変遷
- 28 -
3.植生調査
(1)調査方法
2010 年7月 12 日~17 日に8つの調査ルート周辺で植生の調査を行った(図1-7)
。これらの調査
ルートは鳥類群集調査および中・大型哺乳類痕跡調査ルートの一部として設定されたものである。各
ルート沿いで樹林地や草地といった相観や、針葉樹林や広葉樹林など最上層の優占種の違いによって
識別できる植生が生育している地点に調査枠を設定した。各々の調査枠の大きさは群落高やその広が
りの程度に応じて決定した。調査枠内に生育する維管束植物の種名とそれらの被度階級
(Braun-Blanquet の優占度階級)、高さを階層毎に記録した。同時に調査枠の環境条件として標高、地
形、斜面方位および傾斜などを記録した。
調査枠内で確認した植物種について、主に明治時代以降に移入した植物を帰化植物とし、出現した
全植物種に占める帰化植物の割合(以後、帰化率と呼ぶ)を求めた。また、希尐な植物種の生育の有
無を確認するため、環境省のレッドリスト(環境省自然環境局野生生物課,2007)と「改訂・広島県
の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブックひろしま 2004」
(広島県版レッドデータブック見
直し検討会,2004:以下、広島 RDB と略する)の記載種と本調査で確認された種を照合した。
(2)結果
1)各ルートの植生
ⅰ)ルート1
大崎(立地地域/発電所)
大崎発電所の敷地内に設定したルートで、踏査ルートは工場敷地内の外周近くを通る舗装道路であ
るが、車の通行量は尐ない。ルートの両脇で植物が生育している範囲は一部に限られており、そのほ
とんどが定期的な草刈りが行われている芝生または草地である。ルートからやや離れた場所には、か
つて住宅地として利用されていた樹林地が残っている。
植生調査の調査区は、土が盛られてからあまり時間が経っていないとみられる草地(地点1)
、土が
盛られてから数年が経ったとみられる草地(地点2)、砂利がひかれていて植物の生育が尐ない草地(地
点3)、雑草が混生している芝生(地点4)
、比較的手入れが行き届いている芝生(地点5)
、木本類が
優占する広葉樹林(地点6)の合計6カ所に設定した(表1-5)。
草地に設定した地点1~地点5についてみると、多年生草本であるセイタカアワダチソウが優占し
ている地点2を除いては、いずれの調査区ともに草本層からなる高さ 0.5m以下の低い草地で、優占種
はメヒシバ、ギョウギシバ、コウライシバなどのイネ科の植物であった。
地点6の広葉樹林は、高木層の高さは 9.5mで低かったが、亜高木層と低木層の被度がそれぞれ 70%
あり、群落高は低いが下層が密生した林であった。構成種は落葉広葉樹のセンダンやエノキの他に、
ヤシ科の常緑樹であるシュロが多くみられた。草本層にはホシダやベニシダなどのシダ植物や、キヅ
タやツタなどのつる植物が多くみられた。
- 29 -
図1-7 植生調査ルート
- 30 -
表1-5 ルート1:大崎(立地地域内/発電所)(1)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の被度(%)
高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
草本層の被度(%)
草本層の高さ(m)
出現種数
高木層
センダン
スギ
亜高木層
エノキ
シュロ*
ハゼノキ
ヤマザクラ
アカメガシワ
スギ
キヅタ
ツルウメモドキ
低木層
シュロ*
イヌビワ
エノキ
マサキ
ナワシログミ
キヅタ
ノイバラ
エビヅル
シロダモ
センダン
ヤマザクラ
草本層
メヒシバ
セイタカアワダチソウ*
ギョウギシバ*
コウライシバ*
ホシダ
コスズメガヤ*
ヨモギ
ウラジロチチコグサ*
ヒナタイノコズチ
イヌホオズキsp.
ムラサキエノコロ
エノキグサ
スズメノカタビラ
ヘクソカズラ
ニシキソウ
コマツヨイグサ*
ヤハズソウ
地点1
草地
7/13
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
90
0.4
12
地点2
草地
7/13
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
100
1.5
6
地点3
草地
7/13
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
60
0.4
8
地点4
草地
7/13
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
95
0.1
8
地点5
草地
7/13
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
100
0.05
4
地点6
広葉樹林
7/13
4
平地
5 × 10
50
20
9.5
70
6.0
70
2.0
40
0.5
25
1
1
2
2
2
1
1
1
+
+
3
2
1
1
1
1
1
+
+
+
+
4
3
5
5
1
5
2
3
1
3
2
2
+
1
1
1
1
1
1
1
1
- 31 -
+
表1-5 ルート1:大崎(立地地域内/発電所)(2)
地点番号
地点1
地点2
相観
草地
草地
草本層
イネ科sp.
キヅタ
コハナヤスリ
スギ
フユイチゴ
ベニシダ
カタバミ
+
カニクサ
+
オヒシバ
+
タカサブロウ
+
ニワホコリ
+
ノボロギク
+
オニノゲシ*
+
コメツブツメクサ*
+
スギナ
+
カヤツリグサ
コニシキソウ*
オオイヌノフグリ*
シナダレスズメガヤ*
ヒメムカシヨモギ*
ナワシログミ
シュロ*
ツタ
ワラビ
アカメガシワ
ツユクサ
アオツヅラフジ
オニドコロ
オニヤブソテツ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
地点3
草地
地点4
草地
地点5
草地
地点6
広葉樹林
1
1
1
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 32 -
ⅱ)ルート2
長島北(立地地域内/広葉樹林)
大崎発電所の北側にある長島山に設定したルートで、踏査ルートは海岸から海岸までの舗装道路で
はあるが、道幅は狭く車の通行はほとんどない。ルート沿いには森林もみられるが、人家のまわりの
庭や畑、草刈りが行われている空地、竹林などの多様な環境を含んでいる。
植生調査の調査区は、イネ科の植物が生育する路傍雑草群落(地点1)
、つる植物のクズが優占して
いる空き地の雑草群落(地点2)、やや密度が低くて明るい竹林(地点3)、密生した暗い竹林(地点
4)、クスノキなどからなる広葉樹林(地点5)、つる植物のクズで覆われたマント群落を含む広葉樹
林(地点6)、の合計6カ所に設定した(表1-6)
。
草地に設定した地点1と地点2は、優占種はシナダレスズメガヤとクズで異なるものの、シナダレ
スズメガヤ、セイタカアワダチソウ、オニウシノケグサ、コセンダングサなどの帰化植物が多くみら
れた。
地点3は、マダケからなるやや隙間がみられる竹林で、高木層の高さは 11m、被度が 90%であった。
亜高木層はみられず、低木層も被度5%と低かったが、草本層は高さ 0.5m、被度 20%で、ナワシログ
ミなどの様々な植物が生育しており、全体の出現種は 37 種類と比較的多かった。それに対して地点4
は、モウソウチクからなる比較的密度が高い竹林で、高木層の高さは 17m、被度は 100%であった。
林床は暗く、低木層や草本層でみられる種類も限られており、全体の出現種は 16 種類と尐なかった。
地点5は、クスノキ、ヤマザクラ、センダン、オオバヤシャブシなどの多様な樹種からなる広葉樹
林だが、高木層の高さは 9.0mと比較的低かった。低木層は高さ 3.0m、被度が 50%で、ネズミモチや
ヒサカキなどの常緑広葉樹とイヌザンショウやアカメガシワなどの落葉広葉樹が生育していた。草本
層は高さ 1.0m、被度が 80%と高く、常緑のつる植物であるツタや、落葉低木のミヤコイバラやヤマツ
ツジがみられ、全体の出現種も 42 種類と多かった。
地点6は、踏査ルートに沿って林縁部がみられるマント群落で、高木層は高さ 16m、被度は 80%で、
クスノキやアベマキなどの落葉広葉樹が、クズ、サルナシ、フジといったつる植物に覆われていた。
亜高木層は高さ 12m、被度 60%、低木層は高さ 2.0m、被度 60%で、カクレミノ、ヒサカキ、ヤブツ
バキ、ネズミモチといった常緑広葉樹が多くみられた。
ⅲ)ルート3
大串(水田)
調査地の西部に広がる水田内に設定したルートで、踏査ルートは集落内を通る未舗装の幅の狭い農
道で、農家の車以外は通行していない。ルートの周辺には水田が広がっており、その他にはわずかに
湿地がみられる。
植生調査の調査区は、水田のまわりにある護岸されていない水路(地点1)
、小型の草本が繁茂して
いる畦畔(地点2)、放棄水田とみられるヨシ原(地点3)、刈り取り前の水路の法面(地点4)
、やや
雑草が混生している水田(地点5)の合計5カ所に設定した(表1-7)。
5カ所の調査地点は全て草本層からなっており、出現種が多かったのは地点2の畦畔の 27 種類であ
った。ヨシやセイタカアワダチソウといった大型の草本が生育している地点3や地点4の出現種は、
それぞれ 10 種類と7種類で尐なかった。調査時にイネが栽培されていた地点5でも、イボクサやサン
カクイなど、イネ以外を含む8種類の植物が確認された。
- 33 -
表1-6 ルート2:長島北(立地地域内/広葉樹林)(1)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の被度(%)
高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
高木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
草本層の被度(%)
草本層の高さ(m)
出現種数
高木層
マダケ*
モウソウチク*
クスノキ
クズ
アベマキ
アカメガシワ
ハゼノキ
スギ
ネズ
ヤマザクラ
センダン
オオバヤシャブシ
サルナシ
フジ
ツタ
ナナミノキ
シュロ*
亜高木層
カクレミノ
ヒサカキ
モッコク
イヌビワ
ハゼノキ
サルトリイバラ
低木層
ビワ
ネズミモチ
ヤブツバキ
ヒサカキ
イヌザンショウ
アカメガシワ
ハゼノキ
マルバシャリンバイ
ヤマウルシ
イヌビワ
ミヤコイバラ
ネジキ
タイミンタチバナ
カマツカ
ザイフリボク
ヌルデ
ヤブニッケイ
シャシャンボ
ウラジロノキ
ヤツデ
トベラ
ナワシログミ
シュロ*
ヒメドコロ
草本層
シナダレスズメガヤ*
クズ
ナワシログミ
ツタ
ミヤコイバラ
ヨモギ
スギナ
ヤマツツジ
セイタカアワダチソウ*
ヘクソカズラ
カタバミ
オニウシノケグサ*
地点1
草地
7/13
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
-
-
100
0.8
14
地点2
草地
7/13
4
平地
1×4
4
-
-
-
-
-
-
90
0.9
24
地点3
竹林
7/13
4
平地
15 × 15
225
90
11.0
-
-
5
3.0
20
0.5
37
地点4
竹林
7/13
4
斜面下
15 × 15
225
100
17.0
-
-
10
6.0
5
0.5
16
地点5
地点6
広葉樹林 広葉樹林
7/13
7/13
4
4
斜面下
斜面下
15 × 15 15 × 15
225
225
70
80
9.0
16.0
-
60
-
12.0
50
60
3.0
2.0
80
30
1.0
0.5
42
36
5
5
2
+
+
2
3
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
2
2
1
1
1
+
1
+
1
1
2
1
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
3
3
+
1
+
+
+
2
+
2
1
1
1
+
1
+
+
3
3
2
+
+
+
+
+
1
- 34 -
表1-6 ルート2:長島北(立地地域内/広葉樹林)(2)
地点番号
地点1
地点2
相観
草地
草地
草本層
コセンダングサ*
1
ホソムギ*
1
アキノエノコログサ
1
エノコログサ
1
ベニシダ
タカサゴユリ*
+
ノブドウ
+
ツユクサ
シュロ*
センダン
アオツヅラフジ
+
カクレミノ
シロダモ
エビヅル
トラノオシダ
アカメガシワ
イヌビワ
イヌマキ
スイカズラ
トベラ
ホソバイヌビワ
マンリョウ
ネズミモチ
チヂミザサ
ナワシロイチゴ
+
ヌスビトハギ
+
ヤナギハナガサ*
+
ウラジロチチコグサ*
+
カヤツリグサ科sp.
+
スズメノヤリ
+
オオイヌノフグリ*
+
オオオナモミ*
+
カモジグサ
+
キュウリグサ
+
ヒナタイノコズチ
+
ヒメムカシヨモギ*
+
マルバルコウ*
+
ミドリハコベ
+
ムラサキカタバミ*
+
メマツヨイグサ*
+
ヤブジラミ
+
コマツヨイグサ*
+
ツユクサ
+
ヒサカキ
ヤマザクラ
エノキ
オニヤブソテツ
キヅタ
オクマワラビ
ママコノシリヌグイ
アキグミ
アケビ
イネ科sp.
ニッケイ
イノモトソウ
オニドコロ
ビワ
ヤブミョウガ
トキワススキ
サルトリイバラ
イタドリ
ナガバジャノヒゲ
アカマツ
キク科sp.
キクバドコロ
イノデ
ツワブキ
アベマキ
アマチャヅル
タラノキ
サイゴクベニシダ
サカキ
モッコク
ヤブツバキ
ホシダ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
地点3
竹林
地点4
竹林
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
地点5
地点6
広葉樹林 広葉樹林
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 35 -
表1-7 ルート3:大串(調査地内/水田)
地点番号
地点1 地点2 地点3
相観
草地
草地
草地
調査日
7/13
7/13
7/13
標高(m)
3
3
3
地形
平地
平地
平地
方形区形状(m)
0.5×4
2×2
2×2
面積(m^2)
2
4
4
草本層の被度(%)
90
100
100
草本層の高さ(m)
0.5
0.4
1.8
出現種数
15
27
10
草本層
キシュウスズメノヒエ*
3
イヌビエ
3
ヨシ
3
セイタカアワダチソウ*
+
3
イネ*
イボクサ
3
+
カズノコグサ
2
エノコログサ
2
ヘクソカズラ
2
チゴザサ
2
ヤブツルアズキ
イヌタデ
+
1
コセンダングサ*
+
1
ヒメムカシヨモギ*
1
シロツメクサ*
1
カタバミ
1
サンカクイ
キツネノボタン
+
+
スギナ
+
+
トウバナ
+
+
ツユクサ
+
スゲ属sp.
+
ヒロハホウキギク*
+
ミゾカクシ
+
ヒエガエリ
+
チドメグサ
+
セリ
+
チチコグサモドキ*
+
コマツヨイグサ*
+
ケキツネノボタン
+
イヌホオズキ
+
エノキグサ
+
アキノノゲシ
+
コニシキソウ*
+
イヌトウバナ
+
タネツケバナ
+
トキワハゼ
+
ホソムギ*
+
キュウリグサ
+
スカシタゴボウ
+
ウスアカカタバミ
+
メヒシバ
+
カラスノエンドウ
+
タカサブロウ
+
アメリカセンダングサ*
+
コモチマンネングサ
+
サヤヌカグサ
+
イヌタデ
+
スミレ属sp.
ホウキギク*
マルバアサガオ*
ウキクサ
ケイヌビエ
クログワイ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
地点4
草地
7/13
3
平地
4×1
4
100
2.0
7
地点5
水田
7/13
3
平地
2×2
4
80
1.0
8
5
5
1
+
2
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 36 -
ⅳ)ルート4
神峰山(広葉樹林)
調査地の南東部にある神峰山の森林内に設定したルートである。踏査ルートは舗装された林道で、
神峰山を訪れる人の車などが時折通行する。植生図ではコバノミツバツツジ-アカマツ群集が広がっ
ている地域であるが、ルート周辺にはコナラなどからなる落葉広葉樹林や、スギやヒノキなどの針葉
樹からなる植林地がみられる。
植生調査の調査区は、ヒノキが優占する針葉樹林(地点1)
、上層にアカマツがみられる針葉樹林(地
点2)、コナラが優占する落葉広葉樹林(地点3)の合計3カ所に設定した(表1-8)
。
地点1は、植林されたヒノキが優占する針葉樹林である。高木層は高さ 20m、被度が 90%で、植林
地としては、上層にやや隙間がみられる林であった。そのため、低木層と草本層の被度はそれぞれ 20%
と 60%あり、落葉広葉樹のムラサキシキブやヤマツツジ、常緑広葉樹のヒサカキ、常緑のつる植物の
テイカカズラ、常緑草本のヒカンスゲなど様々な植物が生育しており、全体の出現種は 59 種類と多か
った。
地点2はアカマツが生育している場所に設定した調査区であるが、アカマツの中には枯死している
ものが多く、高木層は高さ 7.0m、被度が 30%と貧弱な林であった。高木層の構成種をみると、アカマ
ツよりも常緑針葉樹のネズミサシの方が被度が高かった。低木層には、アカマツ群集の標徴種である
コバノミツバツツジが生育していた。草本層の被度は 100%と高く、シダ植物のコシダが優占していた。
草本層のその他の植物の生育は尐なく、全体の出現種は 26 種類であった。
地点3は、コナラ、ノグルミ、ヤマザクラなどからなる落葉広葉樹林で、高木層は高さ 13m、被度
80%であった。地点1と同様に、低木層や草本層にはアカマツ群集の標徴種であるコバノミツバツツ
ジをはじめ様々な植物が生育しており、全体の出現種は 51 種類と多かった。
ⅴ)ルート5
神峰山沢(広葉樹林)
神峰山に設定したルート4より西側の沢沿いに設定したルートである。踏査ルートは舗装された林
道で、車の通行量はごく尐ない。ルート4と同じく植生図ではコバノミツバツツジ-アカマツ群集が
広がっている地域であるが、ルート周辺にはヒノキなどの針葉樹からなる植林地、落葉広葉樹林、常
緑広葉樹林などがみられ、アカマツが優占している林は見られなかった。
植生調査の調査区は、ヒノキが優占する針葉樹林(地点1)
、コナラが優占する落葉広葉樹林(地点
2)
、ヒサカキが多く見られる常緑広葉樹林(地点3)の合計3ヶ所に設定した(表1-9)。
地点1は、植林されたヒノキからなる常緑針葉樹林で、高木層は高さ 17m、被度 95%で、上層にわ
ずかに隙間がみられた。亜高木層は発達しておらず、低木層は高さ 4.0m、被度 10%で、常緑広葉樹の
ネズミモチやカクレミノが生育していた。草本層は高さ 0.5m、被度 30%で、常緑のつる植物であるテ
イカカズラが多くみられ、その他にはベニシダやミゾシダといったシダ植物の種類が多く、全体の出
現種は 36 種類であった。
地点2は、優占種のコナラのほかに、ハゼノキ、アカメガシワ、ナラガシワといった様々な落葉広
葉樹がみられる林で、高木層の被度は 90%であったが、高さは 11.0mと低かった。低木層は高さ 4.0
m、70%で、常緑広葉樹のネズミモチがみられたが、その他はハゼノキ、カマツカ、ウツギといった
落葉広葉樹が多くを占めていた。草本層にも多様な植物が生育しており、全体の出現種は 54 種と多か
った。
地点3は、常緑広葉樹のヒサカキが多くみられる林で、ヒサカキからなる亜高木層は高さ 9.0m、被
- 37 -
度が 90%であった。それより上の高木層は高さ 12.0m、被度 40%で、常緑広葉樹のヤマモモと常緑針
葉樹のネズミサシがみられた。草本層は高さ 1.2m、被度 80%で、シダ植物のウラジロが優占していた
が、その他の植物も多くみられ、全体の出現種は 42 種類であった。
ⅵ)ルート6
総九郎川(河川)
調査地の南西部にある総九郎川沿いに設定したルートである。総九郎川は幅1m程度の3面護岸の
水路で、踏査ルートはその水路沿いを走る幅の狭い舗装道路で、車の通行量は尐ない。ルートの東側
には水田が多いが、放棄水田とみられるヨシ原やガマが優占した湿地のほか、路傍雑草群落に覆われ
た空き地もみられた。ルートの西側の丘陵部は、植生図では常緑果樹園になっており、ウンシュウミ
カンやレモンなどの果樹が実っていたが、放棄されて果樹以外の樹木や草本類が生い茂っている場所
や、竹林、落葉広葉樹林、針葉樹林などのさまざまな植生がみられた。
植生調査の調査区は、放棄水田とみられるヨシ原(地点1)、ガマが優占する湿地(地点2)、比較
的乾燥した路傍雑草群落(地点3)、ウンシュウミカンが栽培されている果樹園(地点4)、手入れが
行われずに果樹以外の木本類やつる植物が侵入している果樹園(地点5)
、モウソウチクが優占する竹
林(地点6)の合計6カ所に設定した(表1-10)
。
地点1~地点3は、草本層からなる湿地や草地である。地点1は、ヨシが優占する湿地で、高さ 2.5
m、被度 100%であった。ヨシ以外では、スゲ属 sp.の被度が高く、その他にミゾソバやセリといった
湿地に特有な植物がみられた。地点2は、ガマが優占する湿地で、高さ 2.0m、被度 100%であった。
ガマ以外にも、アメリカセンダングサやミゾソバといった湿地を好む植物が多くみられた。なお地点
2については、調査時の大雤のために高さ 0.2m以下の植物は水没していて確認できなかった。地点3
は、地点1や2に比べてやや高いところにある乾いた草地で、高さ 0.9m、被度 90%であった。上層で
開花中のヒメジョオンが目立っていたが、下層のヤハズソウの方が被度が高かった。
地点4は、ウンシュウミカンが植えられた果樹園で、最上層である低木層は高さ 2.5m、被度 80%で
ウンシュウミカンのみからなっていた。その下の草本層は、高さ 0.3m、被度 10%で、カヤツリグサな
どがわずかに見られた。
地点5は、ウンシュウミカン以外の様々な植物が生育している放棄されたとみられる果樹園で、最
上層である低木層は高さ 5.0m、被度 50%で、ウンシュウミカンよりもアカメガシワの方が被度が高く
なっており、これらがスイカズラ、エビヅル、ヘクソカズラなどのつる植物で覆われていた。草本層
は高さ 2.0m、被度 80%と発達しており、大型の草本類であるセイタカアワダチソウや、低木のノイバ
ラが生育していた。
地点6はモウソウチクからなる竹林で、高木層は高さ 15.0m、被度 100%で、上層はほとんど隙間が
ない状態であった。草本層は高さ 0.3m、被度 10%と貧弱で、日陰に生育することが多いノハカタカラ
クサがみられたが、その他の植物は尐なく、全体の出現種は 29 種類であった。
- 38 -
表1-8 ルート4:神峰山(調査地内/広葉樹林)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の被度(%)
高木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
草本層の被度(%)
草本層の高さ(m)
出現種数
高木層
ヒノキ
ネズミサシ
コナラ
ノグルミ
ヤマザクラ
アカマツ
カゴノキ
サルナシ
低木層
ムラサキシキブ
コバノミツバツツジ
ヤブムラサキ
ネジキ
ヒサカキ
ヤマウルシ
ミヤマガマズミ
コナラ
イヌザンショウ
ネズミモチ
ネズミサシ
ソヨゴ
ヤマコウバシ
クサギ
カキノキ
カマツカ
リョウブ
アカマツ
トベラ
ガンピ
コツクバネウツギ
エゴノキ
イズセンリョウ
クリ
サルトリイバラ
ハゼノキ
アオハダ
ノグルミ
ウツギ
ヌルデ
ヤマハギ
コバノガマズミ
ネムノキ
ナガバモミジイチゴ
キクバドコロ
タラノキ
ミツバアケビ
草本層
ヤマツツジ
コシダ
ヒサカキ
テイカカズラ
ヒメカンスゲ
サルトリイバラ
地点1
地点2
地点3
針葉樹林 針葉樹林 広葉樹林
7/16
7/16
7/16
370
350
340
斜面下
斜面下
斜面下
15 × 15 15 × 15 15 × 15
225
225
225
90
30
80
20.0
7.0
13.0
20
40
60
1.6
4.0
4.0
60
100
20
0.5
0.8
0.3
59
26
51
5
2
+
4
2
2
1
1
+
1
1
1
+
1
+
1
1
+
+
1
+
+
2
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
+
+
+
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
1
+
1
1
+
1
5
+
1
1
1
1
+
地点番号
相観
草本層
ウラジロ
ヤブコウジ
オカトラノオ
アカメガシワ
イヌザンショウ
リョウブ
ミツバアケビ
シハイスミレ
ナガバモミジイチゴ
サンヨウアオイ
キクバドコロ
オニドロコ
カクレミノ
コバノガマズミ
クサギ
チヂミザサ
ベニシダ
ソヨゴ
ハゼノキ
ツルアリドオシ
アカマツ
ヤブコウジ
トキワススキ
ガンピ
ヤマハギ
フジ
フユイチゴ
カゴノキ
ムクノキ
シシガシラ
ヒノキ
ホトトギス
クリ
ヤマウルシ
アオツヅラフジ
コバノミツバツツジ
ツルニンジン
ツルリンドウ
カマツカ
クマヤナギ
マンリョウ
ヤマザクラ
タチツボスミレ
ウラジロノキ
ムラサキシキブ
サルナシ
ホラシノブ
イヌビワ
ミヤマガマズミ
イヌホオズキ
オオベニシダ
ワラビ
コナラ
コツクバネウツギ
ネジキ
ナツハゼ
コウヤボウキ
ノグルミ
ネズミモチ
ハシゴシダ
ヘクソカズラ
ジャノヒゲ
スゲ属sp.
トベラ
クサイチゴ
- 39 -
地点1
地点2
地点3
針葉樹林 針葉樹林 広葉樹林
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
表1-9 ルート5:神峰山沢(調査地内/広葉樹林)
調査地点
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の被度(%)
高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
草本層の被度(%)
草本層の高さ(m)
出現種数
高木層
ヒノキ
コナラ
ヤマモモ
ネズミサシ
テイカカズラ
ハゼノキ
アカメガシワ
ナラガシワ
キヅタ
ミツバアケビ
ネムノキ
アズキナシ
亜高木層
ヒサカキ
ネジキ
低木層
ネズミモチ
カクレミノ
ヒサカキ
マルバウツギ
ハゼノキ
カマツカ
ナナミノキ
ウツギ
イヌビワ
イボタノキ
コバノガマズミ
ヤマウルシ
ヤブニッケイ
キヅタ
ネズミサシ
ミツバアケビ
ヒメコウゾ
コバノミツバツツジ
サカキ
草本層
ウラジロ
テイカカズラ
ベニシダ
ミゾシダ
ツワブキ
イノデ
イヌツゲ
カクレミノ
ネズミモチ
ヒメカンスゲ
サネカズラ
地点1
地点2
地点3
針葉樹林 広葉樹林 広葉樹林
7/14
7/15
7/15
220
280
250
斜面下
斜面下
斜面下
15 × 10 15 × 15 15 × 15
150
225
225
95
90
40
17.0
11.0
12.0
-
-
90
-
-
9.0
10
70
10
4.0
4.0
4.0
30
60
80
0.5
0.8
1.2
36
54
42
5
4
2
2
1
1
1
1
+
+
+
+
5
1
1
1
+
1
2
1
+
1
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
2
1
1
+
1
+
+
+
+
+
1
1
+
1
1
+
+
+
+
4
1
+
+
+
+
調査地点
相観
草本層
ツルニンジン
スゲ属sp.
イヌビワ
キヅタ
アキグミ
ヘクソカズラ
ムクノキ
ミツバアケビ
チヂミザサ
ヤマツツジ
ヤマウルシ
オニドコロ
フユイチゴ
ツタ
ヤブコウジ
リョウブ
スミレ科sp.
ヤマイタチシダ
ハゼノキ
ジャノヒゲ
ノコギリシダ
オオイタチシダ
フジ
アラカシ
マルバウツギ
マメヅタ
リョウメンシダ
ナガバヤブソテツ
ナツノハナワラビ
ウマノミツバ
ナワシログミ
フモトシダ
ヤマグワ
サルトリイバラ
ミツバツチグリ
ノダケ
ヒメイタチシダ
ハシゴシダ
ヌスビトハギ
ツユクサ
イネ科sp.
ヒメヨツバムグラ
トウゴクシダ
オカトラノオ
ナガバモミジイチゴ
ヒサカキ
ミヤコイバラ
スイカズラ
ジャノヒゲ
ウラジロノキ
ネムノキ
イヌザンショウ
シハイスミレ
ヤブニッケイ
ツルアリドオシ
ムラサキシキブ
カナクギノキ
シシガシラ
カラタチバナ
ヤツデ
ホラシノブ
- 40 -
地点1
地点2
地点3
針葉樹林 広葉樹林 広葉樹林
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
表1-10 ルート6:総九郎川(調査地内/河川)(1)
調査地点
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の被度(%)
高木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
草本層の被度(%)
草本層の高さ(m)
出現種数
高木層
モウソウチク*
センダン
低木層
ウンシュウミカン*
アカメガシワ
スイカズラ
エビヅル
ヘクソカズラ
イヌビワ
サネカズラ
カモメヅル属sp.
ノイバラ
草本層
ヨシ
ガマ
ヤハズソウ
カヤツリグサ
セイタカアワダチソウ*
ノハカタカラクサ*
スゲ属sp.
アメリカセンダングサ*
ミゾソバ
ヒメジョオン*
スイカズラ
セリ
ヨモギ
ノイバラ
ヘクソカズラ
トキワススキ
ヒサカキ
イワヒメワラビ
サネカズラ
ケイヌビエ
ススキ
キシュウスズメノヒエ*
カタバミ
コセンダングサ*
ノブドウ
ウンシュウミカン*
イタドリ
センダン
地点1
草地
7/14
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
100
2.5
9
地点2
草地
7/14
3
平地
2×2
4
-
-
-
-
100
2.0
7
地点3
草地
7/14
4
平地
2×2
4
-
-
-
-
90
0.9
13
地点4
果樹園
7/14
5
斜面下
4×4
16
-
-
80
2.5
10
0.3
20
地点5
果樹園
7/14
4
平地
4×4
16
-
-
50
5.0
80
2.0
27
地点6
竹林
7/14
8
斜面下
15 × 10
150
100
15.0
-
-
10
0.3
29
5
1
5
5
+
+
2
1
+
+
+
+
+
+
3
3
1
1
1
+
2
1
4
1
3
2
2
2
1
+
+
+
1
1
1
1
1
1
1
+
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
- 41 -
+
+
+
+
+
+
+
表1-10 ルート6:総九郎川(調査地内/河川)(2)
調査地点
地点1
地点2
地点3
相観
草地
草地
草地
草本層
スズメウリ
ネズミモチ
イヌビワ
クズ
+
チゴザサ
+
ドクダミ
+
タカサブロウ
+
イヌタデ
+
ホソムギ*
+
シマスズメノヒエ*
+
ホウキギク*
+
オオニワゼキショウ*
+
ヒメコバンソウ*
+
ミドリハコベ
チチコグサモドキ*
カラスノエンドウ
オニタビラコ
ノゲシ
キツネノマゴ
エノキグサ
キュウリグサ
スベリヒユ
ヤエムグラ
エノコログサ
イ
カモメヅル属sp.
カニクサ
スギナ
ヒメムカシヨモギ*
チドメグサ
オクマワラビ
フユイチゴ
アカメガシワ
キヅタ
トラノオシダ
イヌマキ
ヤマウルシ
シュロ*
ムクノキ
ベニシダ
オオイタチシダ
ヤマイタチシダ
オニヤブソテツ
ヒメカンスゲ
テイカカズラ
ツワブキ
カゴノキ
カクレミノ
アマチャヅル
ツユクサ
イヌホオズキ
イノモトソウ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
- 42 -
地点4
果樹園
地点5
果樹園
地点6
竹林
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
ⅶ)ルート7
森ヶ迫(果樹園)
調査地北部にある果樹園に設定したルートで、踏査ルートは幅の狭い舗装道路で車の通行量は尐な
い。ルートの周辺のほとんどはウンシュウミカンなどの柑橘類が植えられた果樹園であるが、落葉広
葉樹林やクズで覆われた草地もみられた。
植生調査の調査区は、クズで覆われた草地(地点1)
、ウンシュウミカンが良く茂っている果樹園(地
点2)、やや隙間がある果樹園(地点3)、手入れがされずに他の植物が生い茂っている果樹園(地点
4)
、アキニレが優占している落葉広葉樹林(地点5)の合計5カ所に設定した(表1-11)。
地点1はクズに覆われた草地で、草本層は高さ 1.5m、被度 100 であった。優占種はクズであったが、
ムベ、ツユクサ、クサギなど、地点4や地点5と同じ種類の植物も多くみられた。
地点2~地点4はウンシュウミカンが栽培されている果樹園で、最上層である低木層は高さ 2.5~3.0
m、被度 70%~80%であった。地点2の草本層には、メヒシバ、ツユクサ、ミドリハコベといった一
年草や越年草がみられるのに対し、地点3の草本層にはジャノヒゲやキヅタといった常緑の草本やつ
る植物がみられ、同じ果樹園であっても出現種に違いがみられた。地点4は、ウンシュウミカンの他
に、大型の草本であるイタドリや、アキニレなどの木本類、ムベやクズといったつる植物の侵入がみ
られる果樹園である。地点4では、草本層が高さ 1.0m、被度 80%で、地点2の草本層が高さ 0.5m、
被度 30%、地点3の草本層が高さ 0.2m、被度 15%であるのに比べて発達していることがわかる。出
現種も 29 種類で、地点2の 15 種類、地点3の9種類に比べて多かった。
地点5は、アキニレやエノキからなる落葉広葉樹林で、高木層は高さ 10.5m、被度 60%であった。
低木層は高さ 4.0m、被度 80%で、優占種のアカメガシワをはじめ、アキニレ、ノイバラなどの落葉広
葉樹が多くみられた。
地点4の果樹園がさらに放置されて、果樹園の中に侵入した木本類が生長するのにつれて、地点5
のような落葉広葉樹林に推移すると考えられる。
ⅷ) ルート8
生野島(照葉樹林)
大崎上島の北側に位置する生野島に設定したルートで、踏査ルートは幅の狭い舗装道路で車の通行
量は尐ない。植生図ではコバノミツバツツジ-アカマツ群集と果樹園が分布している地域であるが、
アカマツの生育はほとんど見られなかった。
植生調査の調査区は、クズで覆われた草地(地点1)、さまざまな種類の植物が生育する草地(地点
2)、果樹園(地点3)、竹林(地点4)、スギが優占する針葉樹林(地点5)、下層が比較的明るい広
葉樹林(地点6)
、下層が鬱蒼とした広葉樹林(地点7)の合計7カ所に設定した(表1-12)
。
草地に設定した地点1と地点2をみると、地点1ではクズが圧倒的に優占しており、その他の植物
がほとんどみられなかったのに対し、地点2ではクズ以外にササの仲間のネザサ、シダ植物のイワヒ
メワラビ、落葉広葉樹のイヌビワなど様々な種類の植物が生育しており、出現種も 20 種類と草地とし
ては多かった。
地点3は、ユズが栽培されている果樹園で、最上層である低木層は高さ 2.5m、被度 80%であった。
それより下層の草本層には、メヒシバやヤブチョロギが生育していた。
地点4は、マダケからなる竹林で、高木層は高さ 13.0m、被度 70%であった。亜高木層は発達して
おらず、低木層も被度3%と低かった。草本層は高さ 0.2m、被度 20%で、つる植物のキヅタやアマチ
ャヅルがみられたが、その他の植物の被度は低かった。
- 43 -
地点5は、スギからなる針葉樹林で、高木層は高さ 19.0m、被度 90%で、スギの他に落葉広葉樹の
ハゼノキが生育していた。亜高木層は高さ 8.0m、被度 20%で、常緑広葉樹のヒサカキなどがみられた。
低木層は高さ 3.5m、被度 10%で、落葉広葉樹のイヌビワなどがみられた。草本層は高さ 0.5m、被度
30%で、オオイタチシダ、オクマワラビ、ベニシダなどのシダ植物が多くみられ、全体の出現種は 34
種類と比較的多かった。
地点6は、高木層が高さ 13m、被度 90%で、落葉広葉樹のコナラとハゼノキで占められていた。そ
れより下層の低木層には常緑広葉樹のヒサカキが、草本層にはササの仲間のネザサが見られた。出現
種は 39 種類で、ルート8の中では最も多かった。
地点7は、高木層が高さ 18mで、地点6よりやや高かった。優占種は地点6と同様に落葉広葉樹の
コナラであったが、ヤマモモやクロキといった常緑広葉樹が混生していた。低木層は高さ 6.5m、被度
90%で、地点6よりも発達しており、常緑広葉樹のヒサカキが優占していた。草本層は高さ 0.5m、被
度 50%で、シダ植物のサイゴクベニシダが優占していた。全体の出現種は 32 種類であった。
- 44 -
表1-11 ルート7:森ヶ迫(調査地内/果樹園)(1)
調査地点
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の被度(%)
高木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
草本層の被度(%)
草本層の高さ(m)
出現種数
高木層
アキニレ
エノキ
シュロ*
クズ
アオツヅラフジ
アカメガシワ
低木層
ウンシュウミカン*
アカメガシワ
イタドリ
アキニレ
ノイバラ
ムベ
クズ
エノキ
ミヤマイボタ
クリ
ハゼノキ
イボタノキ
ノブドウ
アカネ
ムクノキ
アケビ
ヒサカキ
マサキ
ナワシログミ
キクバドコロ
イヌビワ
クサギ
ヨウシュヤマゴボウ*
ヌルデ
アベマキ
草本層
クズ
メヒシバ
ジャノヒゲ
ムベ
ヤブラン
ツユクサ
クサギ
地点1
草地
7/14
100
斜面下
2×2
4
-
-
-
-
100
1.5
13
地点2
果樹園
7/14
110
斜面下
4×4
16
-
-
80
2.5
30
0.5
15
地点3
果樹園
7/14
50
斜面下
4×4
16
-
-
70
2.5
15
0.2
9
地点4
果樹園
7/14
60
斜面下
4×4
16
-
-
80
3.0
80
1.0
29
地点5
広葉樹林
7/14
110
斜面下
15 × 15
225
60
10.5
80
4.0
30
0.5
52
3
2
1
+
+
1
5
4
2
2
1
+
2
1
1
2
+
2
2
+
+
1
1
1
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
5
+
2
+
1
+
1
+
1
1
1
1
1
- 45 -
+
+
1
+
+
表1-11 ルート7:森ヶ迫(調査地内/果樹園)(2)
調査地点
地点1
地点2
地点3
相観
草地
果樹園
果樹園
草本層
キヅタ
+
+
1
ママコノシリヌグイ
+
ヒヨドリジョウゴ
1
ヒナタイノコズチ
+
クサイチゴ
カタバミ
ノイバラ
1
カラムシ
1
ミドリハコベ
1
イヌタデ
ノブドウ
+
+
ヘクソカズラ
+
+
+
カラスウリ
+
クワクサ
+
+
シュロ*
オニヤブソテツ
イヌビワ
カニクサ
ヤエムグラ
+
ツタ
+
エノキグサ
+
イヌマキ
+
センダン
+
イヌホオズキ
+
センニンソウ
+
ジシバリ
+
エノキ
スズメウリ
エノコログサ
サネカズラ
イノモトソウ
ヨモギ
フユイチゴ
ヤマグワ
シマカンギク
アケビ
ヒサカキ
ミズヒキ
チヂミザサ
ミツバアケビ
ナガバジャノヒゲ
ナワシロイチゴ
オオアリドオシ
ヒカゲイノコズチ
セイタカアワダチソウ*
エビヅル
トラノオシダ
ヤマムグラ
ヒメムカシヨモギ*
ヤブツバキ
クスドイゲ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
- 46 -
地点4
果樹園
地点5
広葉樹林
+
1
+
+
+
1
1
1
+
+
1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
表1-12 ルート8:生野島(調査地内/広葉樹林)(1)
地点番号
相観
調査日
標高(m)
地形
方形区形状(m)
面積(m^2)
高木層の被度(%)
高木層の高さ(m)
亜高木層の被度(%)
亜高木層の高さ(m)
低木層の被度(%)
低木層の高さ(m)
草本層の被度(%)
草本層の高さ(m)
出現種数
高木層
マダケ*
スギ
コナラ
ハゼノキ
クスノキ
アカマツ
ヤマモモ
クロキ
フジ
ツタ
亜高木層
ヒサカキ
イヌビワ
ホルトノキ
低木層
ユズ*
イヌビワ
ヒサカキ
リョウブ
ハゼノキ
ナワシログミ
ヤブニッケイ
トベラ
マサキ
サカキ
マンリョウ
ネズミモチ
エノキ
ビワ
スギ
ヤマツツジ
ヤツデ
カクレミノ
草本層
クズ
イワヒメワラビ
メヒシバ
キヅタ
オオイタチシダ
ネザサ
サイゴクベニシダ
アマチャヅル
イヌビワ
オクマワラビ
ホシダ
ムベ
アオツヅラフジ
ヤブチョロギ*
ベニシダ
イタチシダ
コクラン
テイカカズラ
地点1
草地
7/15
50
斜面中
2×2
4
-
-
-
-
100
1.5
2
地点2
草地
7/15
50
斜面中
2×2
4
-
-
-
-
-
-
100
2.0
20
地点3
果樹園
7/15
50
斜面中
4×4
16
-
-
-
-
80
2.5
30
0.7
18
地点4
竹林
7/15
50
斜面中
15 × 15
225
70
13.0
-
-
3
0.8
20
0.2
25
地点5
針葉樹林
7/15
50
斜面中
15 × 15
225
90
19.0
20
8.0
10
3.5
30
0.5
34
地点6
広葉樹林
7/15
50
斜面中
15 × 15
225
90
13.0
-
-
30
4.0
80
0.5
39
地点7
広葉樹林
7/15
50
斜面中
15 × 15
225
90
18.0
-
-
90
6.5
50
0.5
32
3
3
3
1
2
5
5
1
1
1
1
+
+
1
1
1
5
1
+
+
+
+
+
+
+
+
1
2
1
1
1
+
5
1
+
+
+
+
+
+
+
5
2
3
1
1
3
1
1
1
+
1
1
1
+
1
1
+
+
1
+
+
2
+
+
+
+
+
+
2
+
+
1
1
1
1
1
1
- 47 -
表1-12 ルート8:生野島(調査地内/広葉樹林)(2)
地点番号
地点1
地点2
地点3
相観
草地
草地
果樹園
草本層
ツタ
ハゼノキ
+
ノブドウ
+
+
ツユクサ
+
+
ヘクソカズラ
+
+
オニドコロ
+
ヒメカンスゲ
フジ
イヌマキ
サネカズラ
オニヤブソテツ
ミツバアケビ
ヤブニッケイ
ヤツデ
ムラサキカタバミ*
+
+
ツユクサ
+
イノモトソウ
+
キクバドコロ
+
ヒカゲイノコズチ
+
カタバミ
+
シュロ*
コシダ
ムラサキシキブ
ジャノヒゲ
マンリョウ
ヤブコウジ
ツワブキ
ヤブカラシ
+
ウシハコベ
+
クサイチゴ
+
カラスウリ
+
ヤマノイモ
+
ミヤコイバラ
+
ユズ*
+
ルコウソウ*
+
ヒメムカシヨモギ*
+
イヌビエ
+
コニシキソウ*
+
ノゲシ
+
ボタンヅル
+
イヌホオズキ
+
ミドリハコベ
+
ムクノキ
ネズミモチ
アキグミ
イタドリ
ヒヨドリジョウゴ
スミレ属sp.
オキナワジュズスゲ
イタビカズラ
シキミ
ホラシノブ
トウゴクシダ
イノデ
チヂミザサ
コナラ
ヒメジョオン*
ヒサカキ
シシガシラ
ツボクサ
リョウブ
ハカタシダ
ナツグミ
コハシゴシダ
マサキ
種名の後に付した*印は帰化植物であることを示す。
地点4
竹林
地点5
針葉樹林
地点6
広葉樹林
地点7
広葉樹林
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
- 48 -
2)各ルートの植生の比較
各ルートの植生の特徴を比較するため、相観と優占種からみたそれぞれのルートの概要と、出現種
数、帰化率を比較した(表1-13、14)。各ルートの相観や植物の種数は、中型・大型哺乳類または鳥
類の生息環境の多様さや利用できる植物種の豊かさを表す指標の一つと考えられる。本調査はルート
沿いに生育する植物全種の把握を目的としていないが、各ルート沿いの主要な植生を網羅するように
調査枠を設けており、各調査枠内で出現した種数は植物相の豊かさを現していると想定できる。一方、
帰化率は都市の空地や路傍で高く、人為の影響が尐ない安定した立地で低いことが知られており、自
然林内で帰化植物はほとんど見られない(宮脇編,1977)
。そのため、帰化植物を各ルートにおける人
為の影響の大きさを現す指標として用いた。
8つの調査ルートは、環境の違いと調査地内における位置を考慮して設定したもので、立地地域内
の発電所(ルート1)と広葉樹林(ルート2)、調査地内の水田(ルート3)、広葉樹林(ルート4、
4、8)、河川(ルート6)、果樹園(ルート7)を調査対象としている。しかし、それぞれのルート
内には上記以外の植生も多く含まれており、おもなものとしては針葉樹林、竹林、草地があげられる。
また、果樹園の中には、除草や摘果といった手入れが行われているものから、手入れがされなくなっ
て広葉樹林に移行しつつあるものまで含まれている。このように、それぞれの調査ルートは、多様な
植生環境から成っている。
植生環境ごとの特徴を、構成種、出現種数、帰化率から比較すると以下のようになる。草地では出
現種が2~27 種類と比較的尐ないが、帰化植物が多いのが特徴である。ルート7やルート8にあるク
ズが優占している草地や、ルート6のヨシやガマが優占している湿地を除けば、草地における帰化率
は 17~100%と高いことから、人為的な影響を大きく受けている環境といえる。ルート3に設定した水
田は、イネ以外の植物は在来植物であったため帰化率は 13%と低いが、イボクサやカズノコグサとい
った古い時代にイネとともに日本に渡ってきたとされる史前帰化植物(前川,1943)がみられた。ウ
ンシュウミカンなどが栽培されている果樹園は、出現種が9~29 種類、帰化率は7~28%で、草地に
次いで人為的影響が大きい環境である。マダケやモウソウチクからなる竹林は、
出現種は 16~37 種類、
帰化率は8~13%で、果樹園に比べると出現種が多いが、帰化率は高い傾向にあり、森林としては人
為的な影響が大きい環境である。スギやヒノキが植林された針葉樹林の下層にはコシダやヤマイタチ
シダなどのシダ植物が多く、その他には落葉広葉樹のコバノミツバツツジ、常緑広葉樹のカクレミノ、
つる植物のテイカカズラなど多様な植物がみられた。針葉樹林の出現種は 34~62 種類と多く、帰化率
は0%であることから、植林地であっても出現種からみると人為的な影響が尐ない環境といえる。広
葉樹林で最も多くみられたのは落葉広葉樹のコナラであったが、センダン、エノキ、ハゼノキ、ノグ
ルミなどのほか、常緑広葉樹のヤマモモもみられた。広葉樹林の出現種は 25~56 種類と多く、帰化率
は0~7%と低いのが特徴で、他の植生に比べて人為的な影響が尐ない環境であることがわかる。
8つの調査ルートは上記のような植生環境から構成されるが、それぞれの調査ルートの特徴をまと
めると以下のようになる。ルート1は、部分的には広葉樹林がみられるが、大部分は人為的な影響が
大きい草地が占めている。ルート3も、草地や水田といった人為的な影響が大きい環境が大部分を占
めている。一方、ルート2、ルート6、ルート7、ルート8は、草地、果樹園、竹林、広葉樹林とい
った多様な植生がみられる環境である。ルート4とルート5は、構成種には違いがあるものの、広葉
樹林や針葉樹林からなっており、他のルートに比べて人為的な影響が尐ない環境である。
環境省のレッドリスト(環境省自然環境局野生生物課,2007)と広島県 RDB(広島県版レッドデー
- 49 -
タブック見直し検討会,2004)で、大崎上島町が特に産地としてあげられている種子植物は、セトウ
チコスズ Neosasamorpha magnifica(広島県:絶滅危惧Ⅱ類(VU))
、ヒメヒゴタイ Saussurea pulchella
(広島県:準絶滅危惧(NT)、環境省:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
)の2種類である。シダ植物は、ナチクジ
ャク Dryopteris decipiens(広島県:準絶滅危惧(NT)
)
、アカウキクサ Azolla imbricate(広島県:準絶滅
危惧(NT)、環境省:絶滅危惧Ⅱ類(VU))
、オオアカウキクサ Azolla
japonica(広島県:準絶滅危惧
(NT)、環境省:絶滅危惧Ⅱ類(VU))の3種類である。今回の調査では、これらの種類は確認されな
かった。
太刀掛・久藤(2003)によると、環境省のレッドリストの絶滅危惧Ⅱ類(VU)にランクされている
キキョウが、神峰山南西の尾根筋で 2000 年に確認されているが、2001 年度には不明とされている。当
該地はルート4を設定した地域であるが、本調査ではキキョウの生育は確認されなかった。
- 50 -
- 51 -
広葉樹林
針葉樹林
竹林
果樹園
下層
水田
下層
上層
下層
上層
下層
上層
下層
上層
下層
草地
発電所
センダン
エノキ
シュロ
ホシダ
メヒシバ
セイタカアワダチソウ
ギョウギシバ
コウライシバ
立地地域内
環境
1.大崎
区分
ルート名
クスノキ
クズ
ヤブツバキ
ツタ
マダケ
モウソウチク
ビワ
ナワシログミ
シナダレスズメガヤ
クズ
ヨモギ
スギナ
広葉樹林
立地地域内
2.長島北
セイタカアワダチソウ
キシュウスズメノヒエ
イヌビエ
ヨシ
イネ
イボクサ
水田
調査地内
3.大串
表1-13 相観と優占種からみたそれぞれのルートの概要
ヒノキ
ネズミサシ
コシダ
コバノミツバツツジ
コナラ
ノグルミ
ヤブムラサキ
ヒサカキ
広葉樹林
調査地内
4.神峰山
カクレミノ
テイカカズラ
コナラ
ヤマモモ
ウラジロ
ネズミモチ
ヒノキ
広葉樹林
調査地内
5.神峰山沢
ノハカタカラクサ
ウンシュウミカン
アカメガシワ
カヤツリグサ
セイタカアワダチソウ
モウソウチク
ヨシ
ガマ
スゲ属sp.
ヤハズソウ
河川
調査地内
6.総九郎川
アキニレ
エノキ
ヤブラン
メヒシバ
ジャノヒゲ
ウンシュウミカン
クズ
果樹園
調査地内
7.森ヶ迫
イヌビワ
ヤマイタチシダ
コナラ
ハゼノキ
ヒサカキ
サイゴクベニシダ
スギ
キヅタ
マダケ
メヒシバ
ユズ
クズ
イワヒメワラビ
広葉樹林
調査地内
8.生野島
- 52 -
出現種数
帰化率
帰化植物の種数
出現種数
帰化率
帰化植物の種数
出現種数
帰化率
帰化植物の種数
出現種数
帰化率
帰化植物の種数
1
3
8
4
8
1
2%
1
4%
8%
3
37
43%
6
14
42
100%
4
4
25
25% 17% 38% 50%
3
出現種数や帰化植物の種数は、調査地点ごとに算出した。
帰化率
広葉樹林 帰化植物の種数
出現種数
帰化率
針葉樹林 帰化植物の種数
竹林
果樹園
水田
草地
6
0%
0
36
13%
2
16
42%
10
24
広葉樹林
発電所
環境
12
立地地域内
立地地域内
区分
出現種数
2.長島北
ルート名
1.大崎
7
27
2
10
3
7
13%
1
27% 26% 20% 43%
8
4
15
水田
調査地内
3.大串
表1-14 ルート別の出現種数と帰化植物の種数、および帰化率
0%
0
59
0%
0
51
0%
0
26
広葉樹林
調査地内
4.神峰山
0%
0
54
1
7
3
27
39
8%
2
25
28%
5
18
0%
0
8%
4
3%
1
0
7%
2
29
0%
52
11%
1
9
0%
0
2
0%
7%
1
15
0%
0
13
0%
0
32
5%
1
20
広葉樹林
調査地内
8.生野島
34
69%
9
13
果樹園
調査地内
7.森ヶ迫
0
10%
3
10% 11%
29
2
20
11% 14%
1
9
河川
調査地内
6.総九郎川
36
42
広葉樹林
調査地内
5.神峰山沢
14%
43
305
全体
4.まとめ
調査地域の自然環境の概要を把握するため、地形、気象、植生に関する既存資料を収集し、解析を
行った。調査地域である大崎上島町は、瀬戸内海のやや西寄りに位置しており、大小様々な島嶼から
成っている。大崎上島は、島全体が北西にむかって緩やかに傾いており、北側の中央部を南北に流れ
る川の下流には、沖積地がわずかにみられる。その他の河川は小規模で、大きな湖沼もない。大崎上
島の東部と南部は、山頂から急斜面で海岸にのぞんでいる場所が多く、平地は尐ない。調査地域の中
で最も標高が高いのは、大崎上島の南東部にある神峰山(453m)である。
気象条件としては、年平均気温は 15.2℃であり、最暖月と最寒月の平均気温はそれぞれ8月(26.7℃)
と1月と2月(5.4℃)である。年間降水量は 1272.4mm と尐なく、そのうちの約3割が6月から7月
にかけての梅雤期、約1割が台風の多い9月で占められる。調査地域である大崎上島町は典型的な瀬
戸内気候であり、気温は温暖で、年降水量は尐なく、降雤が夏に集中するのが特徴である。調査地域
内の降水量の分布をみると、西側の方が降水量がより尐ない傾向がある。吉良の温かさの指数と寒さ
の指数は、最低標高である0mではそれぞれ 122.9 と 0.0、最高標高である 452.3mではそれぞれ 94.5
であり-4.6 であった。暖かさの指数が 85 以上で寒さの指数が-15 以上の地域は、常緑広葉樹林が分
布する範囲とされ、本調査地域は全て常緑樹林が分布する範囲に含まれる。現存植生図をみると、立
地地域である長島には、発電所立地地点を中心に造成地が広がっている。その他にみられる植生とし
ては、常緑果樹園、水田雑草群落、畑地雑草群落がほとんどを占め、森林としてはわずかにコバノミ
ツバツツジ-アカマツ群集がみられる。調査地域である大崎上島や生野島では、南側の標高の高い場
所を中心にコバノミツバツツジ-アカマツ群集が分布しており、そのまわりを取り囲むようにして常
緑果樹園がみられる。北西部側にある標高の低い場所には、ヨシクラスや塩沼地植生もみられるが、
その他は市街地、水田雑草群落、畑地雑草群落で占められている。
立地地域である長島の地形の変化を過去の地形図からみると、現在は大崎発電所として利用されて
いる範囲の大部分は昭和 40(1965)年には塩田であった。昭和 53(1973)年になると、塩田だった場
所は開放水域に変化し、おもに島の南側でみられた果樹園が、北側でも多くみられるようになった。
昭和 62(1987)年になると、塩田だった場所は全て埋め立てられ、平成 11(1999)年には、大崎発電
所が建設された。このように立地地域の埋め立てが終了し、現在のような陸地になってからは 20 年以
上が経過し、大崎発電所が建設されて現在のような土地利用になってからは約 10 年が経過している。
調査地域の代表的な植生を把握するため、8ヶ所の調査ルートで植生調査を行い、種組成や階層構
造に関する情報を収集した。8つの調査ルートは、環境の違いと調査地内における位置を考慮して設
定したもので、立地地域内の発電所(ルート1)と広葉樹林(ルート2)、調査地内の水田(ルート3)
、
広葉樹林(ルート4、5、8)、河川(ルート6)、果樹園(ルート7)を調査対象とした。それぞれ
のルート内には、このほかに針葉樹林、竹林、草地などが含まれており、多様な植生環境から成って
いる。
植生環境ごとの特徴を、構成種、出現種数、帰化率から比較すると、草地や水田は出現種が尐ない
が帰化植物が多いのが特徴で、人為的な影響を大きく受けている環境である。果樹園は、草地や水田
に次いで人為的影響が大きい環境である。竹林は、果樹園に比べれば出現種は多いが、森林の中では
人為的な影響が大きい環境といえる。植林地である針葉樹林は、出現種の種数が多いことや帰化植物
が尐ないという点で、落葉広葉樹と同程度に人為的な影響が尐ない環境といえる。
- 53 -
それぞれのルートの特徴は、ルート1とルート3は、草地などの人為的な影響が大きい環境が大部
分を占め、ルート2、ルート6、ルート7、ルート8は、草地、果樹園、竹林、広葉樹林といった多
様な環境がみられ、ルート4とルート5は広葉樹林や針葉樹林からなる人為的な影響が尐ない環境で
ある。
環境省のレッドリストや広島県 RDB に掲載されている種類は、今回の現地調査では確認されなかっ
た。
- 54 -
第2章 鳥類調査
1.調査内容
(1)鳥類相調査
調査地域の鳥類相を把握し、その特徴を明らかにするために、文献調査及び現地調査を行い、確認
種リストを作成した。
(2)鳥類群集調査
ルートセンサスによる調査結果をもとに、調査地域の代表的な環境における鳥類群集を把握し、そ
の特徴についてまとめた。
(3)保全上重要な種の調査
立地地域周辺に生息する保全上重要と考えられる種としてミサゴを選定した。ミサゴは、
「鳥類、爬
虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直しについて」
(環境省自然環境局野生生物課,
2006:以下、環境省 RL と略する)と「改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブ
ックひろしま 2004」(広島県版レッドデータブック見直し検討会,2004:以下、広島 RDB と略する)
で準絶滅危惧(NT)として記載されている。本種は河川や河口、沿岸などで観察される魚類を捕食す
る猛禽類である。立地地域周辺の分布状況や、本種が生息する上で重要な場所等について調査した。
2.鳥類相調査
(1)調査方法
鳥類相調査は、調査地域周辺を含む範囲を対象とした書籍や報告書などの既存文献を収集し、生息
する鳥種の情報を得る方法と、実際に現地調査を実施して確認した鳥種を記録する方法で行った。
収集した既存文献からその情報を精査して、今回の調査地域が含まれる大崎上島町内で観察記録の
ある種について確認種リストを作成した。また、現地調査による確認種リストは、予備調査、ルート
センサス調査、定点観察調査、保全上重要な種(ミサゴ)の調査などで確認した種に加え、鳥類捕獲
調査、IC レコーダーを用いた鳥類音声録音調査で確認した種を整理した。
ルートセンサス調査は、調査地域の代表的な環境を選ぶように7ヶ所のセンサスルートを設け(図
2-1)
、ライン長は1km となるように設定した。8~10 倍の双眼鏡を用い、ルート上を時速約2km
/h で歩行しながら、片側各 25m(合計 50m)で確認された鳥類の種名、個体数と確認時刻などを記
録した。調査回数は、2回で繁殖期(2010 年5月 18・20・21・28 日)と非繁殖期(2010 年 12 月 13
日~17 日)に実施し、1ルートにつき4回(午前中4回)のセンサスを繰り返した。
定点観察調査(以下定点調査とする)は、海浜部を中心とした水辺の鳥類相をより重点的に把握す
るため、調査地域内の海岸沿いに7ヶ所(うち立地地域内に1ヶ所)調査地点を設定し(図2-2)、
8~10 倍の双眼鏡及び 20~45 倍ズームの望遠鏡を用いて、各地点で 30 分ずつの連続観察を行い、有
- 55 -
図2-1 鳥類センサスルート
- 56 -
図2-2 鳥類定点調査地点
- 57 -
視範囲で確認された鳥類の種類と個体数を記録した。なお、調査は午前中に実施することとし、重複
カウントを避けるため、個体数は同時に観察された最大個体数とした。調査回数は2回で、繁殖期(2010
年5月 18・20 日)と非繁殖期(2010 年 12 月 13 日~17 日)に実施した。
これらの調査に加えて、目視調査では確認することが難しい潜行性の強い鳥類を確認することを目
的としたかすみ網による捕獲調査と、夜間活動する鳥類(主にフクロウ類やヨタカ等)の確認を目的
とした鳥類音声録音調査を行った。
かすみ網による捕獲調査(以下捕獲調査)は、繁殖期(2010 年5月 19 日~21 日)と非繁殖期(2010
年 10 月 25 日~29 日)の2回行い、繁殖期は調査地域内の鳥類が移動に利用しそうな山地部の尾根部
にかすみ網を設置し(図2-3)、生息鳥類を確認した。非繁殖期は調査地域内の湿原にかすみ網を設
置し、生息する鳥類を確認した。調査は鳥類が活発に活動する早朝と夕暮れに実施し、捕獲した鳥類
は種を同定し、各部位を計測した後、速やかに放鳥した。
鳥類音声録音調査(以下録音調査)は、各センサスルートに IC レコーダー(OLYMPUS 社製:DS-750)
を1台ずつ設置し、主に鳥類のさえずりを録音した。録音調査は、5月 19 日~27 日の8日間、夜明け
30 分前の早朝 4:30 から 6:30 の2時間と、日の入り時間 19:00 から 21:00 の2時間に実施した。
録音された鳥類の鳴き声を確認し、種を同定した。
なお、調査地域内で確認した鳥種のうち、立地地域内で確認できた種については区別して記録した。
また、本調査で用いる鳥類の分類体系、種の配列及び和名は日本鳥類目録改訂第6版(日本鳥学会,
2000)に準拠した。
(2)調査結果
1)調査地域における鳥類相の特徴
ⅰ)既存文献調査
「広島県の野鳥」
(広島県林務部自然保護課,1980)、
「平成6年度環境審査調査(陸生生物調査)
」
(財
団法人自然環境研究センター,1995)、「ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版」(日本野鳥の会広島県支部,
2002)、
「大崎町自然ガイドブック」
(大崎町,2003)の既存文献には、17 目 41 科 138 種の鳥類が記載
されていた(表2-1)
。
既存文献に記載されていた 17 目 41 科 138 種の鳥類を科別に見ると、最も多かったのはカモ科(11
種)とツグミ科(11 種)で、次いで多かったのはタカ科(9種)、シギ科(9種)
、ウグイス科(9種)、
サギ科(7種)と続いた。大崎上島北西部の西野干拓地には大きな池と広大な湿地が見られたことや
調査地域が海岸に面していること、平野部にま止まった水田域があることから、カモ科、シギ科、サ
ギ科などの水辺に生息する種やそれらを餌とするタカ科などが多く記録されていると考えられた。ま
た、島の大部分が丘陵地で南東部には、標高約 450mで最高峰となる神峰山があり、広葉樹を中心とし
た森林が広がっている。このことによりツグミ科やウグイス科など森林性の鳥類を多く含む科の確認
種数が比較的多く記録されていると考えられた。
ⅱ)現地調査
調査地域では16目37科109種(外来種含)の鳥類を確認した。このうち立地地域内での確認種は11目
28科55種であった(表2-1)
。以下に調査毎の確認状況を示す。
- 58 -
図2-3 鳥類捕獲調査地点
- 59 -
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(1)
目
アビ目
科
アビ科
現地調査
既存
立地地域内 調査地域内 文献
和名
アビ
●
オオハム
●
シロエリオオハム
カイツブリ目 カイツブリ科
●
カイツブリ
●
カンムリカイツブリ
ペリカン目
ウ科
コウノトリ目 サギ科
カモ科
●
●
ウミウ
●
●
●
ゴイサギ
●
●
●
●
●
●
●
チュウサギ
●
●
●
コサギ
●
●
オシドリ
NT
VU
NT
NT
●
VU
DD
●
●
カルガモ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
ハシビロガモ
●
●
ホシハジロ
●
●
キンクロハジロ
●
●
●
●
ミサゴ
●
●
オオタカ
●
●
●
●
●
ツミ
●
ハイタカ
●
●
●
ノスリ
●
●
●
サシバ
ハイイロチュウヒ
●
チュウヒ
●
●
EN
VU
ハヤブサ
●
●
●
VU
VU
チョウゲンボウ
●
●
●
●
ヤマドリ
●
キジ
タマシギ科
チドリ科
NT
●
トビ
チドリ目
NT
NT
●
マガモ
ハチクマ
クイナ科
NT
●
●
ウミアイサ
ツル目
●
●
●
ビロードキンクロ
キジ科
NT
●
●
オナガガモ
キジ目
DD
●
ヒドリガモ
ハヤブサ科
NT
アオサギ
ヨシガモ
タカ科
NT
クロサギ
コガモ
タカ目
CR+EN
●
●
アマサギ
カモ目
広島
RDB
●
カワウ
ダイサギ
環境省
RL
クイナ
●
ヒクイナ
●
●
バン
●
●
オオバン
●
●
タマシギ
コチドリ
●
●
●
●
●
- 60 -
NT
●
NT
VU
NT
VU
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(2)
目
チドリ目
科
チドリ科
現地調査
既存
立地地域内 調査地域内 文献
和名
シロチドリ
●
ケリ
●
●
タゲリ
ハマシギ
●
アオアシシギ
●
クサシギ
●
タカブシギ
●
キアシシギ
●
●
●
●
●
ソリハシシギ
●
●
アカエリヒレアシシギ
●
カモメ科
ユリカモメ
●
●
●
●
シロカモメ
●
●
ウミネコ
●
●
カッコウ科
フクロウ科
●
ハジロクロハラアジサシ
●
アジサシ
●
●
キジバト
●
●
●
アオバト
●
●
ツツドリ
●
●
ホトトギス
●
●
オオコノハズク
●
●
アオバズク
アマツバメ
ブッポウソウ目カワセミ科
カワセミ
キツツキ目
アリスイ
キツツキ科
●
ヨタカ
アマツバメ目 アマツバメ科
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
コゲラ
●
●
●
ヒバリ科
ヒバリ
●
●
●
ツバメ科
ツバメ
●
●
●
●
●
コシアカツバメ
イワツバメ
セキレイ科
VU
CR+EN
DD
●
フクロウ
ヨタカ科
●
ミツユビカモメ
コアジサシ
カッコウ目
●
オオセグロカモメ
カモメ
スズメ目
●
ヒレアシシギ科
セグロカモメ
ヨタカ目
●
タシギ
ハト科
NT
●
チュウシャクシギ
フクロウ目
●
●
イソシギ
ハト目
広島
RDB
●
メダイチドリ
シギ科
環境省
RL
VU
NT
VU
DD
●
キセキレイ
●
●
ハクセキレイ
●
●
●
セグロセキレイ
●
●
●
ビンズイ
●
タヒバリ
サンショウクイ科 サンショウクイ
●
●
- 61 -
●
●
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(3)
目
スズメ目
科
現地調査
既存
立地地域内 調査地域内 文献
和名
ヒヨドリ科
ヒヨドリ
●
●
●
モズ科
モズ
●
●
●
レンジャク科
キレンジャク
ツグミ科
●
コマドリ
●
ノゴマ
●
ジョウビタキ
●
ノビタキ
イソヒヨドリ
●
●
DD
●
●
●
●
●
●
●
●
トラツグミ
●
クロツグミ
●
●
アカハラ
●
●
●
●
●
ツグミ
●
●
●
ヤブサメ
●
●
●
ウグイス
●
●
●
●
●
シロハラ
マミチャジナイ
●
コヨシキリ
●
オオヨシキリ
メボソムシクイ
●
●
エゾムシクイ
●
センダイムシクイ
●
キクイタダキ
ヒタキ科
●
●
セッカ
●
●
●
キビタキ
●
●
●
●
●
オオルリ
エゾビタキ
●
コサメビタキ
●
カササギヒタキ科 サンコウチョウ
エナガ科
エナガ
ツリスガラ科
ツリスガラ
シジュウカラ科
ヒガラ
●
●
●
●
NT
●
●
●
ヤマガラ
●
●
●
シジュウカラ
●
●
●
メジロ科
メジロ
●
●
●
ホオジロ科
ホオジロ
●
●
●
カシラダカ
●
●
●
ミヤマホオジロ
●
ノジコ
アトリ科
広島
RDB
●
ヒレンジャク
ルリビタキ
ウグイス科
環境省
RL
●
NT
アオジ
●
●
●
クロジ
●
●
●
オオジュリン
●
●
アトリ
●
カワラヒワ
マヒワ
●
●
- 62 -
●
●
●
●
表2-1 調査地域で確認された鳥種一覧(4)
目
スズメ目
科
アトリ科
現地調査
既存
立地地域内 調査地域内 文献
和名
ベニマシコ
●
●
ウソ
●
●
イカル
●
●
●
●
●
●
●
コムクドリ
●
●
ムクドリ
●
●
ニュウナイスズメ
スズメ
ムクドリ科
カラス科
外来種
ハト目
ハト科
広島
RDB
●
シメ
ハタオリドリ科
環境省
RL
●
カケス
●
●
ハシボソガラス
●
●
●
ハシブトガラス
●
●
●
カワラバト
●
●
●
全確認種数:17目41科150種(外来種含)
文献確認種:17目41科138種(外来種含)
現地確認種数:16目37科109種(外来種含) 11目28科55種(立地地域内) 16目37科108種(調査地域内)
文献1:平成6年度環境審査調査(陸生生物調査)(財団法人自然環境研究センター.1995)
文献2:広島県の野鳥(広島県林務部自然保護課.1980.広島県林務部自然保護課)
文献3:ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版(日本野鳥の会広島県支部.2002.中国新聞社)
文献4:大崎町自然ガイドブック(大崎町.2003.大崎町)
環境省(環境省版レッドリスト見直し 2006.12.22 報道発表)
EN 絶滅危惧ⅠB類
VU 絶滅危惧Ⅱ類
NT 準絶滅危惧
DD 情報不足
改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブックひろしま2004
(広島県版レッドデータブック見直し検討会.2004.広島県)
CR+EN 絶滅危惧Ⅰ類
VU 絶滅危惧Ⅱ類
NT 準絶滅危惧
DD 情報不足
確認種に無いカテゴリ説明は省略した
- 63 -
① ルートセンサス調査
ⅰ)ルート1(大崎)
本ルートは、立地地域内にある中国電力㈱大崎発電所内の南東にある正門付近から発電所を外周す
るように既設されている道路に沿ってコの字状に設定した。ルート周辺には貯炭施設などの建造物と
整地された土地が広がっており、植生は緑地帯の植栽植物の他、敷地境界付近に林が若干残されてい
るのみであった。
繁殖期の調査では、ヒヨドリ、スズメ、ヒバリが優占し、確認鳥類のそれぞれ16.2%、15.2%、13.1%
を占めた(表2-2)
。非繁殖期の調査では、ヒヨドリ、ハクセキレイ、メジロが優占し、確認鳥類の
それぞれ19.3%、11.4%、10.7%を占めた(表2-3)
。確認鳥類は、主に小規模な樹林帯や、草地など
開けた環境に生息する種で構成されていた。
表2-2 ルートセンサス(1:大崎(発電所):5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
カワウ
アオサギ
カルガモ
トビ
ヒバリ
ツバメ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
イソヒヨドリ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
カワラバト
1回目
2010/5/18
5:10
5:40
0:30
晴
1
9
21
1
3
2
1
4
2回目
2010/5/18
5:45
6:16
0:31
晴
1
9
21
3回目
2010/5/20
6:44
7:14
0:30
曇り
1
11
28
1
1
2
1
5
1
1
4
2
5
1
2
9
1
3
1
5
1
3
5
1
1
1
2
- 64 -
4回目
合計
2010/5/20
7:29
7:55
0:26
1:57
曇り
0
13
17
29
99
2
1
1
4
2
1
13
3
5
3
5
3
11
2
16
2
3
2
2
2
11
1
3
6
15
1
1
2
2
3
確認
最大
羽数
(羽)
1
1
2
1
5
3
3
4
9
2
2
5
1
6
1
2
2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
2.0
1.0
4.0
2.0
13.1
5.1
5.1
11.1
16.2
3.0
2.0
11.1
3.0
15.2
1.0
2.0
3.0
19.8
0.4
0.2
0.8
0.4
2.6
1.0
1.0
2.2
3.2
0.6
0.4
2.2
0.6
3.0
0.2
0.4
0.6
表2-3 ルートセンサス(1:大崎(発電所):12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
トビ
ハイタカ
チョウゲンボウ
キジ イソシギ
キジバト
カワセミ
ヒバリ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ビンズイ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
イソヒヨドリ
シロハラ
ツグミ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
カワラバト
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/14 2010/12/14 2010/12/15 2010/12/15
7:35
8:10
9:06
9:32
8:05
8:40
9:31
9:58
0:30
0:30
0:25
0:26
1:51
曇り
晴
晴
晴
0
0
3
3
13
11
13
14
22
37
41
31
31
140
1
1
2
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
2
1
1
2
2
4
6
6
2
2
16
2
3
3
2
10
4
4
6
15
4
2
27
1
1
3
2
7
1
1
2
2
7
2
2
3
14
1
4
5
5
15
2
5
6
13
2
2
4
1
1
6
1
3
1
2
7
2
2
最大
確認
羽数
(羽)
1
1
1
1
1
1
1
2
6
3
4
15
3
1
2
7
5
6
2
4
3
2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
1.4
0.7
0.7
1.4
0.7
1.4
0.7
2.9
11.4
7.1
2.9
19.3
5.0
0.7
1.4
10.0
10.7
9.3
1.4
4.3
5.0
1.4
28.0
0.4
0.2
0.2
0.4
0.2
0.4
0.2
0.8
3.2
2.0
0.8
5.4
1.4
0.2
0.4
2.8
3.0
2.6
0.4
1.2
1.4
0.4
ⅱ)ルート2(長島北)
本ルートは、中国電力㈱大崎発電所の北側で、海浜部から北西方向へ二次林や果樹園、耕作地等を
通る道路に沿って設定した。
繁殖期の調査では、メジロとヒヨドリがそれぞれ 24.9%、20.6%と優占の上位を占めており、以下、
ウグイス(10.3%)、ホオジロ(8.6%)と続いた(表2-4)。非繁殖期の調査では、ヒヨドリとメジ
ロの確認数が圧倒的に多く、それぞれ 31.0%、21.4%と2種を合計すると確認羽数の約半数を占めた。
果樹園や二次林などの森林環境に生息する種が優占の上位を占めていた(表2-5)
。
- 65 -
表2-4 ルートセンサス(2:長島北:5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
カルガモ
トビ
キジバト
コゲラ
ツバメ
コシアカツバメ
ヒヨドリ
モズ
ウグイス
セッカ
キビタキ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2010/5/18
6:30
7:01
0:31
晴
1
13
58
2回目
2010/5/18
7:06
7:40
0:34
晴
1
13
47
3回目
2010/5/20
8:04
8:32
0:28
曇り
0
10
68
3
1
3
1
2
1
1
16
1
6
1
12
11
8
6
1
17
1
3
2
1
5
1
1
1
5
7
2
1
3
6
17
8
9
5
4
4回目
合計
2010/5/20
8:37
9:05
0:28
2:01
曇り
1
13
19
60
233
1
1
1
1
7
2
3
4
1
1
9
48
1
2
4
24
1
1
9
17
1
19
58
4
20
5
19
3
11
4
1
10
確認
最大
羽数
(羽)
1
1
3
2
2
1
16
1
8
1
1
9
1
19
8
9
5
3
5
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.4
0.4
3.0
1.3
1.7
0.4
20.6
0.9
10.3
0.4
0.4
7.3
0.4
24.9
8.6
8.2
4.7
1.7
4.3
46.6
0.2
0.2
1.4
0.6
0.8
0.2
9.6
0.4
4.8
0.2
0.2
3.4
0.2
11.6
4.0
3.8
2.2
0.8
2.0
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.4
0.4
1.8
0.7
31.0
0.4
3.6
3.6
9.3
7.1
0.4
1.1
21.4
4.6
1.4
0.4
2.8
10.0
56.2
0.2
0.2
1.0
0.4
17.4
0.2
2.0
2.0
5.2
4.0
0.2
0.6
12.0
2.6
0.8
0.2
1.6
5.6
表2-5 ルートセンサス(2:長島北:12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
トビ
キジ
キジバト
セグロセキレイ
ヒヨドリ
モズ
ジョウビタキ
シロハラ
ツグミ
ウグイス
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/14 2010/12/14 2010/12/15 2010/12/15
7:25
8:01
9:01
9:41
7:56
8:33
9:36
10:17
0:31
0:32
0:35
0:36
2:14
曇り
曇り
晴
晴
0
0
1
2
10
11
12
12
18
64
66
65
86
281
1
1
1
1
3
1
1
5
1
1
2
18
24
19
26
87
1
1
2
2
2
4
10
5
2
3
10
15
5
5
1
26
6
6
3
5
20
1
1
2
1
3
8
12
20
20
60
1
5
7
13
4
4
1
1
6
2
8
1
3
8
16
28
- 66 -
最大
確認
羽数
(羽)
1
1
3
1
26
1
4
5
15
6
1
2
20
7
4
1
6
16
ⅲ)ルート3(大串)
本ルートは大串地区の水田域を通る農道に沿って設定した。浜谷集落から郷谷、中の谷集落へ続く
農道でルートの大部分が水田環境であった。
繁殖期の調査では、スズメが 44.5%と最優占種で、以下にツバメ(10.2%)
、ホオジロ(6.3%)と続
いた(表2-6)
。市街地のほか、農耕地や草地といった開けた環境などでよく見られる種が優占の上
位を占めていた。また、ダイサギやアオサギ、カルガモ、ヒクイナ、タマシギ、コチドリ、オオヨシ
キリといった水辺環境に生息する種が多く確認された。非繁殖期の調査では、カワラヒワの確認羽数
が最も多く、全体の 43.4%を占め、以下スズメ(18.0%)、ハシボソガラス(14.3%)と続いた(表2
-7)。確認種は繁殖期同様に農耕地や水田で見られる鳥で構成されていた。
表2-6 ルートセンサス(3:大串:5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ダイサギ
アオサギ
カルガモ
ヒクイナ
タマシギ
コチドリ
キジバト
コゲラ
ヒバリ
ツバメ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
ウグイス
オオヨシキリ
セッカ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2010/5/18
7:56
8:24
0:28
晴
0
8
29
2
2回目
2010/5/18
8:29
9:00
0:31
晴
1
8
32
2
3回目
2010/5/21
5:06
5:34
0:28
曇り
0
13
32
1
2
1
1
3
1
5
2
1
1
1
3
2
1
3
3
1
3
1
12
2
2
18
2
12
4
1
- 67 -
4回目
合計
2010/5/21
5:39
6:10
0:31
1:58
晴
0
15
21
35
128
1
1
1
2
1
7
1
1
2
3
1
3
1
2
3
3
13
1
4
2
5
3
3
1
1
1
5
1
1
1
8
1
15
57
6
1
確認
最大
羽数
(羽)
1
1
2
1
1
3
1
1
2
5
2
3
3
1
3
1
3
1
18
4
1
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.8
1.6
5.5
0.8
1.6
2.3
2.3
0.8
2.3
10.2
3.1
3.9
2.3
0.8
3.9
0.8
6.3
0.8
44.5
4.7
0.8
25.6
0.2
0.4
1.4
0.2
0.4
0.6
0.6
0.2
0.6
2.6
0.8
1.0
0.6
0.2
1.0
0.2
1.6
0.2
11.4
1.2
0.2
表2-7 ルートセンサス(3:大串:12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
カイツブリ
カワウ
ダイサギ
アオサギ
カルガモ
トビ
ヒバリ
キセキレイ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
タヒバリ
ヒヨドリ
モズ
ジョウビタキ
ツグミ
ウグイス
ホオジロ
カシラダカ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/14 2010/12/14 2010/12/15 2010/12/15
9:07
9:44
7:26
8:02
9:37
10:16
7:57
8:35
0:30
0:32
0:31
0:33
2:06
晴
曇り
晴
晴
1
1
2
2
14
16
15
12
22
159
133
191
347
830
1
1
2
1
1
1
1
2
1
2
5
8
7
15
1
3
1
5
1
16
4
13
34
1
1
1
3
4
1
1
2
1
5
21
4
21
46
11
1
1
13
3
1
4
4
1
5
1
6
1
8
1
1
1
3
12
14
4
15
45
3
1
4
4
141
215
360
63
3
11
72
149
51
51
12
5
119
1
1
最大
確認
羽数
(羽)
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.2
0.1
0.1
0.6
1.8
0.6
4.1
0.1
0.5
0.6
5.5
1.6
0.5
0.6
1.0
0.4
5.4
0.5
43.4
18.0
14.3
0.1
166.0
0.4
0.2
0.2
1.0
3.0
1.0
6.8
0.2
0.8
1.0
9.2
2.6
0.8
1.0
1.6
0.6
9.0
0.8
72.0
29.8
23.8
0.2
1
1
1
2
8
3
16
1
3
2
21
11
3
4
6
1
15
3
215
72
51
1
ⅳ)ルート4(神峰山)
本ルートは神峰山の展望台に続く道路に沿って設定した。起点から終点まで全体が広葉樹を中心と
した森林環境を通るルートである。
繁殖期の調査では、ヒヨドリとメジロがそれぞれ 29.2%、21.5%と優占の上位を占めており、次いで
ウグイス(14.6%)、ヤマガラ(11.5%)と続き、この4種で確認種全体の8割近くを占めていた(表
2-8)
。非繁殖期の調査では、メジロとマヒワがそれぞれ 19.5%、18.8%と優占上位を占めており、
次いでヒヨドリ、エナガ(ともに 9.1%)であった(表2-9)。優占の上位以外でもコゲラ、キビタ
キ、オオルリ、シジュウカラなどが記録されており森林性の種が多く確認された。
- 68 -
表2-8 ルートセンサス(4:神峰山:5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジ
コゲラ
ヒヨドリ
ウグイス
キビタキ
オオルリ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
ハシボソガラス
1回目
2010/5/18
5:11
5:40
0:29
晴
1
8
26
2
8
6
2回目
2010/5/18
5:49
6:20
0:31
晴
0
9
34
1
1
10
5
1
2
2
2
2
2
1
12
2
1
3回目
2010/5/21
6:15
6:47
0:32
晴
0
7
30
3
10
3
2
1
7
4
4回目
合計
2010/5/21
6:52
7:22
0:30
2:02
晴
1
8
11
40
130
1
3
9
10
38
5
19
1
3
1
3
6
15
3
10
28
4
8
3
確認
最大
羽数
(羽)
1
3
10
6
2
1
7
2
12
4
2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.8
6.9
29.2
14.6
2.3
2.3
11.5
2.3
21.5
6.2
2.3
26.0
0.2
1.8
7.6
3.8
0.6
0.6
3.0
0.6
5.6
1.6
0.6
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.6
0.6
3.9
9.1
3.2
7.1
1.9
9.1
2.6
6.5
5.8
19.5
1.3
2.6
3.9
18.8
1.3
1.9
30.8
0.2
0.2
1.2
2.8
1.0
2.2
0.6
2.8
0.8
2.0
1.8
6.0
0.4
0.8
1.2
5.8
0.4
0.6
表2-9 ルートセンサス(4:神峰山:12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ハイタカ
オオコノハズク
コゲラ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
シロハラ
ウグイス
エナガ
ヒガラ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
アオジ
クロジ
カワラヒワ
マヒワ
カケス
ハシブトガラス
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/16 2010/12/16 2010/12/17 2010/12/17
7:57
8:25
7:57
8:29
8:23
8:55
8:27
8:55
0:26
0:30
0:30
0:26
1:52
曇り
曇り
曇り
曇り
2
3
1
0
8
14
15
10
18
18
60
33
43
154
1
1
1
1
1
2
1
2
6
2
3
2
7
14
1
4
5
1
1
5
4
11
1
2
3
12
2
14
1
1
1
1
4
2
1
5
2
10
1
3
1
4
9
7
4
5
14
30
2
2
4
4
3
2
1
6
26
3
29
1
1
2
2
1
3
最大
確認
羽数
(羽)
1
1
2
7
4
5
2
12
1
5
4
14
2
4
3
26
1
2
ⅴ)ルート5(神峰山沢)
本ルートはルート4と同じ起点から沢に沿って山尻集落へ下っていく道路に設定した。ルート4と
同様に大部分が広葉樹を中心とした森林環境を通るルートである。
- 69 -
繁殖期の調査では、ヒヨドリが 32.3%と最優占種で、以下にメジロ(15.1%)、ウグイス(11.8%)、
シジュウカラ(10.8%)と続いた(表2-10)。非繁殖期の調査では、マヒワが 51.5%と最優占種で、
以下にヒヨドリ(19.7%)、メジロ(8.4%)と続いた(表2-11)。優占上位以外ではルート4と同様
にコゲラ、キビタキ、エナガ、ヤマガラなど森林性の種が多く確認された。
表2-10 ルートセンサス(5:神峰山沢:5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
カルガモ
コゲラ
ヒヨドリ
ウグイス
キビタキ
エナガ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
ハシボソガラス
1回目
2010/5/18
6:22
6:52
0:30
晴
2
9
54
5
17
5
2
2回目
2010/5/18
6:57
7:27
0:30
晴
1
7
49
4
17
6
6
1
6
15
1
7
6
3
3回目
2010/5/21
5:10
5:39
0:29
晴
0
11
39
1
1
13
4
2
1
3
6
4
2
2
2
4回目
合計
2010/5/21
5:47
6:15
0:28
1:57
晴
2
10
12
44
186
1
1
11
13
60
7
22
3
7
7
8
12
1
20
3
28
4
10
2
4
2
4
確認
最大
羽数
(羽)
1
5
17
7
3
6
8
7
15
4
2
2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.5
5.9
32.3
11.8
3.8
3.8
6.5
10.8
15.1
5.4
2.2
2.2
37.2
0.2
2.2
12.0
4.4
1.4
1.4
2.4
4.0
5.6
2.0
0.8
0.8
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.3
0.3
19.7
1.9
6.8
0.3
4.2
0.3
1.9
8.4
1.3
0.3
51.5
0.3
0.3
1.9
61.8
0.2
0.2
12.2
1.2
4.2
0.2
2.6
0.2
1.2
5.2
0.8
0.2
31.8
0.2
0.2
1.2
表2-11 ルートセンサス(5:神峰山沢:12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
ハイタカ
コゲラ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
シロハラ
ツグミ
ウグイス
エナガ
ヤマガラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
マヒワ
ウソ
カケス
ハシブトガラス
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/16 2010/12/16 2010/12/17 2010/12/17
7:58
8:33
7:58
8:38
8:28
9:08
8:33
9:14
0:30
0:35
0:35
0:36
2:16
曇り
曇り
曇り
曇り
1~2
3
1
0
10
9
11
10
16
56
82
113
58
309
1
1
1
1
16
14
17
14
61
1
1
1
3
6
5
7
5
4
21
1
1
2
1
6
4
13
1
1
1
2
1
2
6
5
2
7
12
26
3
1
4
1
1
22
51
70
16
159
1
1
1
1
2
3
1
6
- 70 -
最大
確認
羽数
(羽)
1
1
17
3
7
1
6
1
2
12
3
1
70
1
1
3
ⅵ)ルート6(総九郎川)
本ルートは島の南部にある総九郎川に沿った谷戸環境に設定した。地形図の情報から、かつては広
く水田が見られた場所であったが、現在は放棄水田のほか、畑地や柑橘類を栽培する果樹園への転用
地などが多く、水田はかなり尐なくなっていた。
繁殖期の調査では、ハシブトガラスとホオジロがそれぞれ 25.2%、20.9%と優占の上位を占めており、
以下、スズメ(17.4%)、ヒヨドリ(13.6%)と続いた(表2-12)。非繁殖期の調査では、カシラダカ
とスズメがそれぞれ 16.7%、15.8%と優占上位を占め、以下、ヒヨドリ(14.0%)
、メジロ(12.9%)と続
いた(表2-13)
。市街地、農耕地、草地といった開けた環境などでよく見られる種が優占の上位を占
めた。
表2-12 ルートセンサス(6:総九郎川:5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
カワウ
ゴイサギ
アオサギ
キジ
コチドリ
キジバト
コゲラ
ツバメ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
モズ
ウグイス
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2010/5/20
5:15
5:48
0:33
小雤/曇り
1
6
41
2回目
2010/5/20
5:52
6:22
0:30
曇り
0
11
85
3回目
2010/5/21
7:50
8:20
0:30
晴(霧)
1
10
70
1
1
1
2
4
5
1
4
17
13
3
4
9
1
1
7
7
1
7
1
7
2
8
14
40
24
11
- 71 -
4回目
合計
2010/5/21
8:25
8:55
0:30
2:03
晴
1
12
19
62
258
1
1
1
1
1
3
8
4
1
1
1
2
5
14
35
1
6
24
2
3
3
16
54
2
4
13
45
1
1
1
65
確認
最大
羽数
(羽)
1
1
1
1
3
4
1
1
4
14
1
7
1
3
17
2
13
1
40
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.4
0.4
0.4
0.4
3.1
1.6
0.4
0.8
1.9
13.6
0.4
9.3
0.8
1.2
20.9
1.6
17.4
0.4
25.2
51.6
0.2
0.2
0.2
0.2
1.6
0.8
0.2
0.4
1.0
7.0
0.2
4.8
0.4
0.6
10.8
0.8
9.0
0.2
13.0
表2-13 ルートセンサス(6:総九郎川:12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
アオサギ
マガモ
ミサゴ
トビ
ハイタカ
ノスリ
キジ
クイナ
キジバト
カワセミ
コゲラ
キセキレイ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
モズ
ジョウビタキ
シロハラ
ツグミ
ウグイス
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カシラダカ
アオジ
ベニマシコ
シメ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/14 2010/12/14 2010/12/15 2010/12/15
9:13
9:51
7:33
8:05
9:45
10:21
8:00
8:33
0:32
0:30
0:27
0:28
1:57
晴
曇り
晴
晴
0
0
1~0
1
17
16
17
15
30
68
67
105
102
342
1
1
2
2
1
1
2
1
3
1
1
2
1
1
3
3
1
1
2
1
1
1
1
2
1
2
3
1
1
1
1
1
2
2
5
6
14
18
10
48
2
4
1
2
9
2
3
5
2
4
8
4
18
2
1
1
4
3
2
11
5
21
1
1
11
2
12
19
44
11
9
5
4
29
14
18
25
57
6
4
6
2
18
1
1
1
1
16
15
23
54
2
2
2
2
最大
確認
羽数
(羽)
1
2
1
2
1
1
3
1
1
1
2
1
1
2
18
4
3
8
2
11
1
19
11
25
6
1
1
23
2
2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.3
0.6
0.3
0.9
0.6
0.3
0.9
0.6
0.3
0.6
0.9
0.3
0.3
1.5
14.0
2.6
1.5
5.3
1.2
6.1
0.3
12.9
8.5
16.7
5.3
0.3
0.3
15.8
0.6
0.6
68.4
0.2
0.4
0.2
0.6
0.4
0.2
0.6
0.4
0.2
0.4
0.6
0.2
0.2
1.0
9.6
1.8
1.0
3.6
0.8
4.2
0.2
8.8
5.8
11.4
3.6
0.2
0.2
10.8
0.4
0.4
ⅶ)ルート7(森ヶ迫)
本ルートは島の北東部、森ヶ迫集落から急峻な斜面地を南方向に横切る道路に沿って設定した。大
部分が果樹園と放棄された果樹園を通るルートであった。
繁殖期の調査では、ホオジロが 30.7%と最優占種で、以下にメジロ(15.1%)、ヒヨドリ(12.2%)、
ウグイス(10.2%)と続いた(表2-14)
。非繁殖期の調査では、メジロとヒヨドリがそれぞれ 40.5%、
34.4%と優占上位を占め、この2種で全体の7割を占めた(表2-15)。環境的にはルート2と似た環
境であり、順位は異なるものの、優占上位種の構成は同じで、果樹園や二次林などの森林環境に生息
する種が優占の上位を占めていた。
- 72 -
表2-14 ルートセンサス(7:森ヶ迫:5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジ
キジバト
コゲラ
ツバメ
ヒヨドリ
イソヒヨドリ
ウグイス
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2010/5/18
8:02
8:31
0:29
晴
2
9
41
2回目
2010/5/18
8:36
9:04
0:28
晴
3
12
62
3
1
1
7
9
2
4
1
15
17
1
2
2
2
1
5
7
1
4
4
14
3回目
2010/5/20
5:19
5:49
0:30
雤・霧
0
10
53
2
1
4
8
8
3
20
2
4
1
4回目
合計
2010/5/20
5:54
6:20
0:26
1:53
曇り
0
10
14
49
205
1
1
1
2
6
13
5
25
3
5
21
5
14
9
31
12
63
5
8
2
11
3
4
4
確認
最大
羽数
(羽)
1
1
2
7
9
2
8
8
15
20
5
4
3
2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.5
0.5
2.9
6.3
12.2
1.5
10.2
6.8
15.1
30.7
3.9
5.4
2.0
2.0
41.0
0.2
0.2
1.2
2.6
5.0
0.6
4.2
2.8
6.2
12.6
1.6
2.2
0.8
0.8
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
2.6
0.3
0.3
34.4
0.5
3.2
0.5
6.9
0.8
2.6
0.5
40.5
3.2
1.9
0.3
1.3
0.3
75.6
2.0
0.2
0.2
26.0
0.4
2.4
0.4
5.2
0.6
2.0
0.4
30.6
2.4
1.4
0.2
1.0
0.2
表2-15 ルートセンサス(7:森ヶ迫:12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジバト
コゲラ
ハクセキレイ
ヒヨドリ
モズ
ジョウビタキ
イソヒヨドリ
シロハラ
ツグミ
ウグイス
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
カワラヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/16 2010/12/16 2010/12/17 2010/12/17
8:04
8:39
8:02
8:35
8:34
9:09
8:30
9:05
0:30
0:30
0:28
0:30
1:58
曇り
曇り
曇り
曇りのち晴
1
2
1
1
11
10
10
13
17
95
105
98
80
378
5
4
1
10
1
1
1
1
39
35
27
29
130
2
2
3
5
3
1
12
1
1
2
3
9
6
8
26
2
1
3
1
2
4
3
10
1
1
2
36
45
44
28
153
1
5
4
2
12
1
1
4
1
7
1
1
2
3
5
1
1
最大
確認
羽数
(羽)
5
1
1
39
2
5
1
9
2
4
1
45
5
4
1
3
1
ⅷ)ルート8(生野島)
生野島は大崎上島北側に約 400m離れて位置する有人島である。島の外周に設置された道路に沿って、
集落から東方向にルートを設定した。集落に近い所には柑橘類を栽培する果樹園があり、それ以外は
- 73 -
広葉樹の森林環境となっていた。
繁殖期の調査では、メジロが 36.8%と最優占種で、以下にヒヨドリ(18.4%)、ウグイス(12.9%)、
と続いた(表2-16)
。非繁殖期の調査では、ヒヨドリとメジロがそれぞれ 43.9%、19.1%を占め、こ
の2種で全体の約6割を占めた(表2-17)
。優占上位種は、果樹園や二次林などの森林環境に生息す
る種であった。
表2-16 ルートセンサス(8:生野島:5月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジ
キジバト
コゲラ
ヒヨドリ
ヤブサメ
ウグイス
オオルリ
ヤマガラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
2回目
2010/5/20
7:33
7:59
0:26
曇り
0
8
43
4
1
6
6
3
18
3
2
1回目
2010/5/20
8:04
8:38
0:34
曇り
0
11
54
1
2
1
17
11
1
2
15
2
1
1
3回目
2010/5/28
6:54
7:22
0:28
晴
1
10
48
3
2
8
2
3
2
14
4
9
1
4回目
合計
2010/5/28
7:27
8:03
0:36
2:04
晴
1
9
13
56
201
1
2
1
10
4
6
37
1
3
6
26
1
2
9
27
74
8
17
4
16
1
1
確認
最大
羽数
(羽)
1
4
2
17
2
11
1
3
27
8
9
1
1
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
1.0
5.0
2.0
18.4
1.5
12.9
0.5
4.5
36.8
8.5
8.0
0.5
0.5
40.2
0.4
2.0
0.8
7.4
0.6
5.2
0.2
1.8
14.8
3.4
3.2
0.2
0.2
優占率
(%)
密度
(羽/ha)
100.0
0.9
43.9
2.2
2.2
10.0
0.9
1.3
1.7
19.1
3.5
10.4
0.4
1.3
1.7
0.4
46.0
0.4
20.2
1.0
1.0
4.6
0.4
0.6
0.8
8.8
1.6
4.8
0.2
0.6
0.8
0.2
表2-17 ルートセンサス(8:生野島:12月)の結果:密度
センサス回数
調査年月日
開始時刻
終了時刻
調査時間
天候
風力
種数
合計個体数
キジバト
ヒヨドリ
ルリビタキ
ジョウビタキ
シロハラ
ツグミ
ウグイス
ヤマガラ
メジロ
ホオジロ
アオジ
カワラヒワ
マヒワ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1回目
2回目
3回目
4回目
合計
2010/12/14 2010/12/14 2010/12/15 2010/12/15
8:11
8:45
8:12
8:46
8:40
9:15
8:41
9:17
0:29
0:30
0:29
0:31
1:59
晴
晴
快晴
晴
0
0
3
3
10
9
8
10
15
51
73
53
53
230
2
2
21
34
25
21
101
1
3
1
5
3
1
1
5
6
7
5
5
23
1
1
2
2
1
3
2
2
4
8
12
10
14
44
2
2
4
8
5
11
6
2
24
1
1
3
3
3
1
4
1
1
- 74 -
最大
確認
羽数
(羽)
2
34
3
3
7
1
2
2
14
4
11
1
3
3
1
②定点調査
定点観察法による調査結果を表2-18(繁殖期:5月)、表2-19(非繁殖期:12月)に示した。
繁殖期の定点調査では、7ヶ所全ての調査地点でカワウ、ウグイス、メジロが確認された。次いで
6ヶ所でアオサギ、トビ、ツバメ、ヒヨドリ、ハシブトガラスが続き、漁港や海浜部などで多く確認
される種と市街地に多く見られる種のほか、一部果樹園や林縁部に見られる種の出現地点数が多かっ
た。水辺環境に生息する種は、サギ類が4種(ゴイサギ、ダイサギ、コサギ、アオサギ)で、それ以
外ではカイツブリ、カワウ、カルガモ、キアシシギ、イソシギ、セグロカモメといった種が確認され
たものの、確認種数、個体数とも際立って多いことはなかった。全ての確認種のうち、確認個体数の
多かったのはヒヨドリとカワウで、それぞれ39、33個体であった。ヒヨドリは立地地域内の調査地点A
(長島東)で15個体と最も多くの個体数が確認された。カワウは調査地点G(権現鼻池)で12個体、調
査地点D(沖浦港)で10個体と多くの個体が確認された。
非繁殖期の定点調査では、7ヶ所全ての調査地点でヒヨドリ、ハシブトガラスが確認された。次い
で6ヶ所でアオサギ、トビ、ハシボソガラスが続いた。繁殖期と同様、漁港や海浜部、市街地に多く
見られる種のほか、一部果樹園や林縁部に見られる種の出現地点数が多かった。全ての確認種のうち、
確認個体数が多かったのは、留鳥を除くと冬鳥であるコガモ(37個体)
、ホシハジロ(25個体)のカモ
類やセグロカモメ(24個体)、ウミネコ(22個体)等のカモメ類であった。
- 75 -
表2-18 定点観察調査(5月)の結果
調査地記号
調査地名
年月日
開始時刻
天候
風力
終了時刻
種数
合計個体数
カイツブリ
カワウ
ゴイサギ
ダイサギ
コサギ
アオサギ
カルガモ
トビ
キジ
キアシシギ
イソシギ
セグロカモメ
ホトトギス
コゲラ
ヒバリ
ツバメ
コシアカツバメ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
イソヒヨドリ
ウグイス
オオヨシキリ
セッカ
オオルリ
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カワラヒワ
スズメ
コムクドリ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
A
B
C
D
E
F
G
出現定点数
長島東
中野港
西野池
沖浦港
木江港
垂水池
権現鼻池 (全地点)
2010.5.18 2010.5.20 2010.5.20 2010.5.20 2010.5.18 2010.5.20 2010.5.20
9:52
9:37
10:57
10:07
9:26
9:11
10:20
曇り
曇り
曇り
曇り
晴
曇り
曇り
1
0~1
0
2
2
1
1
10:22
10:07
11:27
10:37
9:56
9:41
10:50
11
14
20
16
14
19
18
40
34
55
42
23
29
52
3
1
2
3
1
5
10
1
1
12
7
1
1
3
1
2
3
1
1
3
1
4
2
1
5
6
2
1
4
2
1
1
1
2
6
1
1
1
1
4
1
1
1
1
2
1
1
1
1
3
1
1
1
3
1
2
1
3
1
10
5
2
1
3
6
1
1
2
1
2
3
2
2
2
3
15
7
4
5
3
5
6
3
1
2
1
4
3
2
2
3
2
3
2
7
2
1
2
1
2
1
1
1
1
2
1
1
3
4
1
2
2
4
2
1
7
2
1
1
2
2
5
3
4
2
5
2
2
2
2
5
1
1
2
2
3
2
2
5
1
5
2
2
2
7
6
- 76 -
合計
34
275
4
33
1
6
1
16
2
11
4
1
1
2
3
3
4
22
1
5
6
39
7
17
2
3
1
1
4
16
8
7
13
1
11
19
表2-19 定点観察調査(12月)の結果
調査地記号
調査地名
年月日
開始時刻
天候
風力
終了時刻
種数
合計個体数
カイツブリ
カワウ
ダイサギ
アオサギ
マガモ
カルガモ
コガモ
ホシハジロ
ミサゴ
トビ
ハイタカ
ハイイロチュウヒ
チュウヒ
イソシギ
セグロカモメ
ウミネコ
キジバト
カワセミ
ハクセキレイ
セグロセキレイ
ヒヨドリ
ジョウビタキ
イソヒヨドリ
シロハラ
ツグミ
ウグイス
メジロ
ホオジロ
アオジ
オオジュリン
カワラヒワ
スズメ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
A
長島東
2010.12.15
10:20
晴
1
10:50
13
31
B
中野港
2010.12.16
9:31
曇り
4
10:01
10
22
2
2
1
1
7
1
2
3
C
西野池
2010.12.14
10:33
曇り
1
11:03
20
93
1
5
1
1
1
D
沖浦港
2010.12.16
9:25
曇り
3
9:55
12
35
E
木江港
2010.12.15
9:58
晴
2
10:28
11
40
F
垂水池
2010.12.14
9:56
晴
2
10:26
21
33
1
3
5
37
25
1
4
1
1
1
G
権現鼻池
2010.12.14
10:39
晴
2
11:09
20
107
2
6
1
2
2
1
7
15
1
1
2
2
2
1
1
1
2
1
1
2
5
2
2
9
5
1
5
1
7
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
5
1
1
1
11
10
1
1
7
2
1
1
1
5
1
1
2
2
1
2
1
1
5
3
2
2
1
1
3
1
2
1
2
2
4
1
4
1
2
2
1
1
2
43
8
出現定点数
(全地点)
3
5
2
6
4
2
1
1
3
6
1
1
1
2
4
4
2
4
1
3
7
3
5
1
5
4
5
2
2
1
1
2
6
7
合計
34
361
4
18
2
10
17
17
37
25
3
13
1
1
1
4
24
22
2
4
2
3
31
3
7
2
12
5
7
2
2
3
1
4
53
19
③捕獲調査
捕獲調査において、16種、269個体の鳥類を確認した。捕獲調査の結果を表2-20に示す。
繁殖期の調査では、6種、21個体の鳥類が確認された。捕獲された鳥類は、調査地点の環境を反映
し、主に低山帯に生息する鳥類であった。捕獲数は、ヒヨドリ(7個体)、メジロ(6個体)が多く、
その他4種は各2個体であった。捕獲された鳥類は、ホオジロを除き全て抱卵斑 ※が確認されており、
調査地点周辺で繁殖しているものと推測された。
今回の調査では調査実施時期が5月中旬と鳥類の繁殖最盛期にあたり、周辺で繁殖する種が記録さ
れたが、本地域の渡りの最盛期である4月下旬に調査を実施すれば、渡り途中に調査地域を通過(利
用)する種が確認されたものと推測される。なお、個体に負荷がかかると予想された場合や就塒直前
に捕獲された個体については、計測や抱卵斑の確認を行わず速やかに放鳥した。
非繁殖期における捕獲調査では、10種、248個体の鳥類が確認された。優占種はスズメとニュウナイ
スズメでそれぞれ全体の70.2%、16.5%占めた。捕獲された鳥類は、主に水田や休耕田に生息する種で
構成されており、目視調査では確認することが困難な潜行性の強いアリスイやノゴマが確認された。
また、捕獲種にはその他の調査で確認されていないニュウナイスズメ、ノジコも含まれていた。
※抱卵斑:体温を直接卵に伝達させるために腹部の肌が露出した部分。抱卵時の親鳥に見られる。
- 77 -
表2-20 鳥類捕獲調査結果(繁殖期及び非繁殖期)
繁殖期
調査時期
調査日
合計種数(16種)
非繁殖期
5月19日
5月20日
5月21日
10月26日
10月27日
10月28日
10月29日
4
4
2
7
8
8
4
アリスイ
1
コゲラ
2
ヒヨドリ
4
3
ノゴマ
1
ジョウビタキ
1
ウグイス
1
キビタキ
1
メジロ
2
ホオジロ
2
1
8
3
3
1
1
2
1
1
4
カシラダカ
1
1
1
ノジコ
1
1
2
アオジ
1
オオジュリン
1
アトリ
1
1
ニュウナイスズメ
2
22
17
50
88
30
スズメ
6
④録音調査
録音調査の結果を表2-21に示した。本調査では、夜行性のため通常の調査方法では確認すること
の困難な種として、クイナ科のヒクイナがルート3(大串)とルート6(総九郎川)にて、鳴き声で
記録された。また、フクロウ科のフクロウがルート4(神峰山)、ルート5(神峰山沢)、ルート6(総
九郎川)
、ルート7(森ヶ迫)の4カ所で鳴き声が記録されており、多くの個体が広範囲に渡って生息
していることが示唆された。さらに、通常の調査では確認できなかったヨタカ科のヨタカがルート4
(神峰山)、ルート5(神峰山沢)で記録された。録音された音量が大きくなったり、小さくなったり
変化していることから、飛びながら鳴いていると推測された。その他、ツグミ科のトラツグミの鳴き
声がルート4(神峰山)で記録された。
また、日中も活動するが、夕方から夜間にかけて囀るタマシギ科のタマシギの鳴き声が、ルート3
(大串)とルート6(総九郎川)で記録された。ルート6(総九郎川)の確認は、録音調査でのみ記
録されたものである。さらに昼行性ではあるものの、通常の調査や踏査中に確認することのできなか
ったシギ科のアオアシシギの鳴き声がルート3(大串)で記録された。渡り途中の個体と考えられ、
短期間の滞在で飛び去ったものと示唆された。
- 78 -
表2-21 鳥類音声録音調査で確認された鳥種一覧
ルート番号
1
2
3
4
5
6
7
8
ルート名
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
合計種数(37)
16
11
20
16
15
18
16
15
●
●
○●
○
カイツブリ
○●
ゴイサギ
アオサギ
○●
○●
カルガモ
キジ
●
○●
○●
ヒクイナ
○
○
○
●
○●
バン
○●
タマシギ
コチドリ
○●
○●
○
○
アオアシシギ
キジバト
●
○
○
○
ツツドリ
○
ホトトギス
○
フクロウ
ヨタカ
コゲラ
ヒバリ
○
○
○
セグロセキレイ
○
○
○●
モズ
イソヒヨドリ
○
○●
○●
○●
○●
○●
○●
○●
○●
○
○●
○●
○
○
○
○
○
○●
○
○●
○
○
○
○
トラツグミ
○
ヤブサメ
○
ウグイス
○●
○●
オオヨシキリ
セッカ
○●
○●
○
○●
○●
○
キビタキ
エナガ
○
○
○
ツバメ
ヒヨドリ
○
○●
○●
○●
○
○●
○
○
○●
○●
●
○●
○
○●
○
ヤマガラ
○
シジュウカラ
○
○
○
○
メジロ
ホオジロ
○
○
○
○
○
○●
カワラヒワ
○
○
スズメ
○
○●
ハシボソガラス
○
○●
○●
○
ハシブトガラス
○
○●
○●
○●
○
○
○●
○
○:早朝における確認 ●夜間における確認
- 79 -
○●
○
○●
○
○
○
○●
○
○●
○●
○●
○
○●
○●
○●
○●
2)保全上重要な種
ⅰ)既存文献調査
既存文献に記載されていた鳥類種の中には、12種の環境省RL記載種と18種の広島RDB記載種が含ま
れていた。環境省RL及び広島RDB記載種の内訳は以下の通りである。
環境省RL
絶滅危惧IA類(CR):0種
絶滅危惧IB類(EN)
:1種
チュウヒ
絶滅危惧II類(VU)
:6種
サシバ、ハヤブサ、ヒクイナ、コアジサシ、ヨタカ、サンショウクイ
準絶滅危惧(NT)
:5種
チュウサギ、ミサゴ、ハチクマ、オオタカ、ハイタカ
情報不足(DD)
:0種
広島RDB
絶滅危惧I類(CR+EN)
:2種
シロエリオオハム、コアジサシ
絶滅危惧II類(VU)
:4種
オオタカ、チュウヒ、ハヤブサ、タマシギ
準絶滅危惧(NT)
:9種
チュウサギ、ミサゴ、ハチクマ、ハイタカ、ヤマドリ、ヒクイナ、ハマシギ、ヨタカ、サンコウ
チョウ
情報不足(DD)
:3種
サシバ、オオコノハズク、サンショウクイ
ⅱ)現地調査
現地調査で確認できた種の中には、10種の環境省RL記載種と13種の広島RDB記載種が含まれていた。
環境省RL及び広島RDB記載種の内訳は以下の通りである。希尐種の確認日や観察された行動を表2-
22にまとめ、確認位置を図2-4に示した。
環境省RL
絶滅危惧IA類(CR):0種
絶滅危惧IB類(EN)
:1種
チュウヒ
絶滅危惧II類(VU)
:3種
ハヤブサ、ヒクイナ、ヨタカ
- 80 -
準絶滅危惧(NT)
:5種
チュウサギ、ミサゴ、オオタカ、ハイタカ、ノジコ
情報不足(DD)
:1種
オシドリ
広島RDB
絶滅危惧I類(CR+EN)
:0種
絶滅危惧II類(VU)
:4種
オオタカ、チュウヒ、ハヤブサ、タマシギ
準絶滅危惧(NT)
:7種
チュウサギ、オシドリ、ミサゴ、ハイタカ、クイナ、ヒクイナ、ヨタカ
情報不足(DD)
:2種
オオコノハズク、コマドリ
- 81 -
表2-22 調査範囲内で確認した保全上重要な種(1)
環境省
RL
広島
RDB
No.
NT
NT
NT
和名
確認範囲
確認日
行動
1
チュウサギ
調査地域
2010.04.19 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、水田内にて
採食を行う1個体を確認した。
NT
2
チュウサギ
調査地域
2010.04.20 島内を踏査中、中野地区にある水田内にて採食を行う4個体を確認
した。
NT
NT
3
チュウサギ
調査地域
2010.05.19 島内を踏査中、中野地区にある水田内にて採食を行う2個体を確認
した。
NT
NT
4
チュウサギ
調査地域
2010.05.19 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、水田内にて
採食を行う3個体を確認した。
NT
NT
5
チュウサギ
調査地域
2010.05.20 島内を踏査中、中野地区にある水田内にて採食を行う2個体を確認
した。
NT
NT
6
チュウサギ
調査地域
2010.05.20 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、水田内にて
採食を行う2個体を確認した。
NT
NT
7
チュウサギ
調査地域
2010.05.20 島内を踏査中、原田地区にある水田内にて採食を行う3個体の姿を
確認した。
NT
NT
8
チュウサギ
調査地域
2010.05.25 島内を踏査中、大西港上空を西方向に飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
9
チュウサギ
調査地域
2010.05.25 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、水田内にて
採食を行う1個体を確認した。
NT
NT
10
チュウサギ
調査地域
2010.05.26 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、水田内にて
採食を行う1個体を確認した。
NT
NT
11
チュウサギ
調査地域
2010.05.27 島内を踏査中、瀬井地区にある水田内にて採食を行う1個体を確認
した。
NT
NT
12
チュウサギ
調査地域
2010.05.27 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、水田内にて
採食を行う1個体を確認した。
DD
NT
13
オシドリ
調査地域
2010.12.15 島内を踏査中、木江地区のため池において飛翔する1個体を確認し
た。
DD
NT
14
オシドリ
調査地域
2010.12.16 島内を踏査中、木江地区のため池において飛翔する1個体を確認し
た。
NT
NT
15
ミサゴ
調査地域
2010.04.19 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、海岸近くの
湿地上空を北へ向かって飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
16
ミサゴ
調査地域
2010.04.20 立地予定地域である長島の東の海上にて、海藻のようなものをぶら
下げて東に向かって飛翔する1個体の姿を確認した。
NT
NT
17
ミサゴ
調査地域
2010.05.17 島内を踏査中、白水港沖を飛翔する1個体を確認した。観察中に魚
を捕獲し、つかんだまま北方向へ飛去した。
NT
NT
18
ミサゴ
調査地域
2010.05.19 捕獲調査地点選定のために島内を踏査中、島内南部の上条地区にあ
る山中にて魚を持って北東方向に飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
19
ミサゴ
調査地域
2010.10.26 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に、上空を旋回し北東方向に飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
20
ミサゴ
調査地域
2010.12.01 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を飛翔する1個体を確認
した。
- 82 -
表2-22 調査範囲内で確認した保全上重要な種(2)
環境省
RL
広島
RDB
No.
NT
NT
21
ミサゴ
調査地域
2010.12.14 島内を踏査中、垂水地区上空を飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
22
ミサゴ
調査地域
2010.12.14 島内を踏査中、垂水地区左組島の東岸にとまる1個体を確認した。
NT
NT
23
ミサゴ
調査地域
2010.12.14 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を探餌飛翔する1個体を
確認した。
NT
NT
24
ミサゴ
調査地域
2010.12.15 島内を踏査中、長島東岸、生け簀上空を探餌飛翔する1個体を確認
した
NT
NT
25
ミサゴ
調査地域
2010.12.15 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を飛翔する1個体を確認
した。
NT
NT
26
ミサゴ
調査地域
2010.12.15 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を探餌飛翔する2個体を
確認した。
NT
NT
27
ミサゴ
調査地域
2010.12.16 島内を踏査中、外表地区森ケ迫山地斜面を旋回帄翔する1個体を確
認した。
NT
NT
28
ミサゴ
立地地域
2010.12.16 島内を踏査中、長島地区発電所上空を飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
29
ミサゴ
調査地域
2010.12.16 島内を踏査中、長島地区裸島にとまる1個体を確認した。
NT
VU
30
オオタカ
調査地域
2010.10.26 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に、上空北東方向に飛翔する1個体を確認した。
NT
VU
31
オオタカ
調査地域
2010.12.01 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を飛翔する1個体を確認
した。
NT
NT
32
ハイタカ
調査地域
2010.10.26 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に、上空北東方向に飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
33
ハイタカ
立地地域
2010.12.14 センサスルートを設定した発電所周辺を踏査中、落葉広葉樹にとま
る成鳥1個体を確認した。
NT
NT
34
ハイタカ
調査地域
2010.12.14 島内を踏査中、総九郎川上空を飛翔する1個体を確認した。
NT
NT
35
ハイタカ
調査地域
2010.12.15 センサスルートを設定した総九郎川を踏査中、落葉広葉樹にとまる
成鳥1個体を確認した。
NT
NT
36
ハイタカ
調査地域
2010.12.16 島内を踏査中、木江地区沖浦の山地斜面を飛翔する1個体を確認し
た。
NT
NT
37
ハイタカ
調査地域
2010.12.16 島内を踏査中、木江地区沖浦の山地斜面を飛翔し、マヒワの群れに
襲いかかる1個体を確認した。
NT
NT
38
ハイタカ
調査地域
2010.12.16 島内を踏査中、木江地区沖浦の山地斜面においてカラス類にモビン
グされる1個体を確認した。
EN
VU
39
チュウヒ
調査地域
2010.12.01 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を飛翔する1個体を確認
した。
EN
VU
40
チュウヒ
調査地域
2010.12.14 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を探餌飛翔する1個体を
確認した。
和名
確認範囲
確認日
行動
- 83 -
表2-22 調査範囲内で確認した保全上重要な種(3)
環境省
RL
広島
RDB
No.
VU
VU
41
ハヤブサ
調査地域
2010.04.21 センサスルートを設定した生野島(照葉樹)のフェリー乗り場に
て、高空を南西の方向に滑空する1個体を確認した。
VU
VU
42
ハヤブサ
調査地域
2010.12.01 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を飛翔する1個体を確認
した。
VU
VU
43
ハヤブサ
調査地域
NT
44
クイナ
調査地域
2010.12.14 島内を踏査中、大串地区にある西野池上空を飛翔する雄成鳥と雌幼
鳥の2個体を確認した。雄成鳥は雌幼鳥に対して排他的行動をとっ
た。
2010.10.26 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)でコール
バック調査を実施した際、反応して鳴き返した1個体の鳴き声(地
鳴き)を確認した。
NT
45
クイナ
調査地域
2010.12.14 島内を踏査中、総九郎川周辺の休耕田において鳴き声を確認した。
NT
46
クイナ
調査地域
2010.12.15 島内を踏査中、総九郎川周辺の休耕田において鳴き声を確認した。
VU
NT
47
ヒクイナ
調査地域
2010.05.20 捕獲調査地点選定のために島内を踏査中、中野地区にある水田域に
てコールバック調査を実施した際、反応して鳴き返した1個体の鳴
き声(地鳴き)を確認した。
VU
NT
48
ヒクイナ
調査地域
2010.05.20 日中に生息を確認した中野地区にある水田域にて、夜間の踏査を実
施した際、オス2個体分の鳴き声(囀り)を確認した。
VU
NT
49
ヒクイナ
調査地域
2010.05.20 捕獲調査地点選定のために島内を踏査中、センサスルートを設定し
た総九郎川(谷戸)の水田域にてコールバック調査を実施した際、
反応してヨシ原から出てきた1個体を確認した。
VU
NT
50
ヒクイナ
調査地域
2010.05.20 センサスルートを設定した大串(水田)の水田域にて、夜間の踏査
を実施した際、オス4個体分の鳴き声(囀り)を確認した。
VU
NT
51
ヒクイナ
調査地域
2010.05.21 センサスルートを設定した大串(水田)にてセンサス中、水田に隣
接する湿地内を歩行する1個体を確認した。
VU
NT
52
ヒクイナ
調査地域
2010.05.21 センサスルートを設定した大串(水田)に設置した自動録音装置に
記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
NT
53
ヒクイナ
調査地域
2010.05.21 R6夜センサスルートを設定した総九郎川(谷戸)に設置した自動録
音装置に記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
NT
54
ヒクイナ
調査地域
2010.10.26 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)でコール
バック調査を実施した際、反応して鳴き返した1個体の鳴き声(地
鳴き)を確認した。
VU
NT
55
ヒクイナ
調査地域
2010.10.27 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に、1個体分の鳴き声を確認した。
VU
NT
56
ヒクイナ
調査地域
2010.10.29 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に、ヨシ原内を歩行する1個体を確認した。
VU
57
タマシギ
調査地域
2010.05.19 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、水田内にて
採食を行うメス1個体を確認した。
VU
58
タマシギ
調査地域
2010.05.20 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、5月20日に
メス1個体を確認した水田に隣接する未植水田内にて休息するメス
2個体、オス1個体を確認した。
和名
確認範囲
確認日
行動
- 84 -
表2-22 調査範囲内で確認した保全上重要な種(4)
環境省
RL
広島
RDB
No.
VU
59
タマシギ
調査地域
2010.05.21 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、5月21日に
メス2個体、オス1個体を確認した未植水田内にてメス2個体、オ
ス1個体の姿を確認した。メス1個体とオス1個体は採食を、メス
1個体は稲株等で盛り上がった部分にうずくまる姿を確認した。
VU
60
タマシギ
調査地域
2010.05.22 センサスルートを設定した大串(水田)に設置した自動録音装置に
記録された鳴き声(早朝)を確認した。
VU
61
タマシギ
調査地域
2010.05.23 センサスルートを設定した大串(水田)に設置した自動録音装置に
記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
62
タマシギ
調査地域
2010.05.24 センサスルートを設定した大串(水田)に設置した自動録音装置に
記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
63
タマシギ
調査地域
2010.05.24 R6夜センサスルートを設定した総九郎川(谷戸)に設置した自動録
音装置に記録された鳴き声(早朝)を確認した。
VU
64
タマシギ
調査地域
2010.05.25 センサスルートを設定した大串(水田)周辺を踏査中、未植水田内
にて休息する1個体を確認した。
VU
65
タマシギ
調査地域
2010.05.25 センサスルートを設定した大串(水田)に設置した自動録音装置に
記録された鳴き声(早朝)を確認した。
VU
66
タマシギ
調査地域
2010.05.25 センサスルートを設定した大串(水田)に設置した自動録音装置に
記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
67
タマシギ
調査地域
2010.05.26 センサスルートを設定した大串(水田)に設置した自動録音装置に
記録された鳴き声(夜間)を確認した。
DD
68
オオコノハズク
調査地域
2010.12.17 センサスルートを設定した神峰山を踏査中、林道脇の樹木にとまる
個体を1個体確認した。
VU
NT
69
ヨタカ
調査地域
2010.05.20 センサスルートを設定した神峰山(広葉樹)に設置した自動録音装
置に記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
NT
70
ヨタカ
調査地域
2010.05.20 センサスルートを設定した神峰山沢(広葉樹)に設置した自動録音
装置に記録された鳴き声(早朝)を確認した。
VU
NT
71
ヨタカ
調査地域
2010.05.21 センサスルートを設定した神峰山(広葉樹)に設置した自動録音装
置に記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
NT
72
ヨタカ
調査地域
2010.05.21 センサスルートを設定した神峰山沢(広葉樹)に設置した自動録音
装置に記録された鳴き声(早朝)を確認した。
VU
NT
73
ヨタカ
調査地域
2010.05.21 センサスルートを設定した神峰山沢(広葉樹)に設置した自動録音
装置に記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
NT
74
ヨタカ
調査地域
2010.05.24 センサスルートを設定した神峰山(広葉樹)に設置した自動録音装
置に記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
NT
75
ヨタカ
調査地域
2010.05.24 センサスルートを設定した神峰山沢(広葉樹)に設置した自動録音
装置に記録された鳴き声(早朝)を確認した。
VU
NT
76
ヨタカ
調査地域
2010.05.24 センサスルートを設定した神峰山沢(広葉樹)に設置した自動録音
装置に記録された鳴き声(夜間)を確認した。
VU
NT
77
ヨタカ
調査地域
2010.05.25 センサスルートを設定した神峰山(広葉樹)に設置した自動録音装
置に記録された鳴き声(夜間)を確認した。
和名
確認範囲
確認日
行動
- 85 -
表2-22 調査範囲内で確認した保全上重要な種(5)
環境省
RL
広島
RDB
No.
VU
NT
78
ヨタカ
調査地域
2010.05.26 センサスルートを設定した神峰山(広葉樹)に設置した自動録音装
置に記録された鳴き声(早朝)を確認した。
DD
79
コマドリ
調査地域
2010.04.20 センサスルートを設定した神峰山沢(広葉樹)の南側起点部付近を
踏査中、林内で囀る1個体の鳴き声を確認した。
NT
80
ノジコ
調査地域
2010.10.26 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に、近くの電線に止まる2個体を確認した。
NT
81
ノジコ
調査地域
2010.10.26 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に1個体を捕獲、確認した。
NT
82
ノジコ
調査地域
2010.10.27 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に1個体を捕獲、確認した。
NT
83
ノジコ
調査地域
2010.10.28 捕獲調査地点(非繁殖期)を設定した総九郎川(谷戸)で捕獲調査
中に1個体を捕獲、確認した。
和名
確認範囲
確認日
行動
- 86 -
図2-4 保全上重要な種の確認地点
- 87 -
3.鳥類群集調査
(1)調査地域における鳥類群集調査
1)調査方法
調査地域の陸域における鳥類群集を把握するために、ルートセンサスによる調査を実施した。
調査結果の集計に際しては、各ルートで確認した合計種数を示した。4回繰り返したセンサスの合
計個体数と全確認個体数からルートごとの優占率を求めた。また、調査面積と確認個体数より密度(羽
/ha)を求めた。
2)調査結果
繁殖期調査及び非繁殖期調査の調査ルート別出現密度(以下、密度とする)をそれぞれ表2-23、
表2-24に示した。
繁殖期の調査で、全てのルートで出現した種はヒヨドリ、メジロ、ホオジロ、ハシブトガラスの4
種であった。以下、ルート1(大崎)以外の7ルートでコゲラ、ルート5(神峰山沢)以外の7ルー
トでカワラヒワがそれぞれ確認されている。全てのルートで確認された種は、森林から疎林、開放草
地、農耕地、市街地まで様々の環境に適応している種であった。確認種数について見ると、ルート3
(大串)が21種と最も多く、最も確認種数の尐なかったのはルート4(神峰山)の11種で、各ルート
それぞれの出現種数はルート3以外、全て20種未満であった。ルート3(大串)は水田域に設置した
ルートであり、水辺に生息する種が複数確認されたことから確認種数が多くなったと考えられる。全
ルートで見ると36種と確認種数は比較的多く、これは複数のルートで重複して出現する種が尐なく、
それぞれのルート毎の好適な生息環境に依存している種が多いことが示唆された。密度について見る
と谷戸環境のルート6(総九郎川)とルート2(長島北)が、それぞれ51.6羽/ha、46.6羽/haと高い
値を示した。立地地域内に設定したルート1(大崎)では19.8羽/haと最も低密度の記録となっていた。
それ以外のルートは25.6~41.0羽/haと比較的密度は高くなっていた。これらの結果を見ると、山間地
や耕作地を含む2次林に設置した4ルート(ルート4、5、7、8)では、種数は尐ないものの、確
認個体数が多いという結果であった。また、ルート1は、確認種数が比較的多かったが、確認個体数
は尐ない結果となった。立地地域内には生息に適した環境が尐ないためと考えられた。ルート3(大
串)では、確認種数が最も多かったが、確認個体数は最も尐なく、単独もしくは尐数で行動する種が
多かったものと示唆された。
非繁殖期調査で、全てのルートで出現した種はヒヨドリ、ジョウビタキ、ハシブトガラスの3種で
あった。以下、ルート3(大串)以外の7ルートでメジロ、シロハラ、ルート4(神峰山)以外の7
ルートでツグミ、ホオジロ、ルート1(大崎)以外の7ルートでウグイスが確認されている。確認種
数について見ると、繁殖期とは異なり、ルート6(総九郎川)が30種と最も多く、次いでルート1(大
崎)とルート3(大串)の22種であった。最も確認種数が尐なかったのはルート8(生野島)の15種
であった。生息密度を見ると、最も生息密度が高いルートは、ルート3(大串)で166.0羽/haで、次
いでルート7(森ヶ迫)の75.6羽/ha、ルート6(総九郎川)の68.4羽/haであった。最も生息密度が
尐ないルートは、ルート1(大崎)の28.0羽/haであった。ルート3(大串)は、水田において集団で
採餌するカワラヒワやスズメの群れが確認されており、生息密度が高くなった要因と考えられた。ま
た、ルート7(森ヶ迫)は周辺に果樹園や放棄果樹園があり、柑橘類を吸蜜するヒヨドリ、メジロが
- 88 -
表2-23 調査ルート別出現密度(5月)
ルート番号
ルート名
種数(合計種数36)
合計密度 カワウ
1
2
3
4
5
6
7
8
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
17
19
21
11
12
19
14
12
19.8
46.6
25.6
26.0
37.2
51.6
41.0
35.0
0.4
ゴイサギ
ダイサギ
0.2
0.4
カルガモ
0.8
0.2
2
0.1
0.2
1
0.0
1
0.0
3
0.1
4
トビ
0.4
0.2
0.3
2
0.1
4
0.1
0.2
1.4
キジ
0.2
0.2
35.4
0.2
0.2
アオサギ
(羽/ha)
出現
平均
ルート
密度
数
0.2
0.2
0.4
ヒクイナ
0.2
1
0.0
タマシギ
0.4
1
0.1
コチドリ
0.6
1.6
2
0.3
0.8
0.2
2.0
5
0.6
0.2
1.2
0.8
7
0.9
2
0.4
5
0.9
1
0.0
1
0.1
3
0.5
8
6.6
2
0.1
2
0.2
1
0.1
6
2.8
0.2
1
0.0
1.0
2
0.2
3
0.3
2
0.1
1
0.2
4
1.3
5
1.0
キジバト
1.4
0.6
コゲラ
0.6
0.2
ヒバリ
2.6
ツバメ
1.0
コシアカツバメ
2.2
0.6
0.8
2.6
0.4
2.6
0.2
ハクセキレイ
1.0
セグロセキレイ
2.2
ヒヨドリ
3.2
モズ
イソヒヨドリ
1.8
0.8
9.6
1.0
1.0
7.6
12.0
0.4
7.0
5.0
7.4
0.2
0.6
0.6
ヤブサメ
0.6
ウグイス
4.8
オオヨシキリ
セッカ
0.2
キビタキ
0.2
0.6
3.8
0.6
オオルリ
4.4
4.8
4.2
1.4
0.6
エナガ
0.2
1.4
ヤマガラ
3.4
3.0
2.4
1.8
シジュウカラ
0.2
0.6
4.0
0.4
2.8
メジロ
0.4
11.6
0.2
5.6
5.6
0.6
6.2
14.8
8
5.6
ホオジロ
2.2
4.0
1.6
1.6
2.0
10.8
12.6
3.4
8
4.8
カワラヒワ
0.6
3.8
0.2
0.8
0.8
1.6
3.2
7
1.4
スズメ
3.0
2.2
11.4
9.0
2.2
0.2
6
3.5
ハシボソガラス
ハシブトガラス
0.2
0.4
0.8
2.0
1.2
0.2
0.2
13.0
0.8
0.8
0.2
8
5
0.6
2.1
カワラバト
0.6
1
0.1
0.6
- 89 -
0.8
表2-24 調査ルート別出現密度(12月)
ルート番号
ルート名
種数(合計種数51)
合計密度 1
2
3
4
5
6
7
8
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
22
18
28.0
56.2
22
166.0
18
16
30
17
15
30.8
61.8
68.4
75.6
46.0
(羽/ha)
出現
平均
ルート
密度
数
66.6
カイツブリ
0.4
1
0.1
カワウ
0.2
1
0.0
ダイサギ
0.2
1
0.0
アオサギ
1.0
0.2
2
0.2
0.4
1
0.1
1
0.4
0.2
1
0.0
0.6
4
0.3
0.4
4
0.1
0.2
1
0.0
1
0.0
0.6
3
0.2
0.4
1
0.1
1
0.0
5
0.5
1
0.0
2
0.1
4
0.3
2
1.0
2
0.1
4
0.6
4
0.6
1
0.1
マガモ
カルガモ
3.0
ミサゴ
トビ
0.4
ハイタカ
0.2
0.2
1.0
0.2
0.2
ノスリ
チョウゲンボウ
0.2
キジ
0.4
0.2
クイナ
イソシギ
0.2
キジバト
0.4
1.0
0.2
オオコノハズク
カワセミ
0.2
0.4
1.2
0.8
ハクセキレイ
3.2
セグロセキレイ
2.0
ビンズイ
0.8
0.2
0.6
0.2
6.8
キセキレイ
0.4
タヒバリ
ヒヨドリ
0.4
0.2
コゲラ
ヒバリ
2.0
0.2
0.2
0.8
0.2
1.0
1.0
0.2
9.2
5.4
モズ
17.4
2.6
0.2
0.8
2.8
12.2
9.6
26.0
1.8
0.4
ルリビタキ
ジョウビタキ
1.4
2.0
1.0
イソヒヨドリ
0.2
シロハラ
0.4
2.0
ツグミ
2.8
5.2
1.6
4.0
0.6
1.0
1.2
1.0
2.4
20.2
1.2
8
12.0
4
0.4
1.0
1
0.1
1.0
8
1.4
2
0.1
0.4
4.2
3.6
5.2
4.6
7
2.8
0.2
0.8
0.6
0.4
7
1.5
0.6
2.6
4.2
2.0
0.6
7
1.8
エナガ
2.8
0.2
2
0.4
ヒガラ
0.8
1
0.1
4
0.5
4
0.4
ウグイス
2.2
1
ヤマガラ
0.2
2.0
シジュウカラ
0.6
1.8
6.0
メジロ
3.0
12.0
ホオジロ
2.6
2.6
カシラダカ
9.0
0.8
0.4
5.2
8.8
30.6
8.8
7
9.3
0.8
5.8
2.4
1.6
7
3.1
2
1.5
6
1.4
1
0.1
0.2
6
9.3
0.6
3
4.8
1
0.0
1
0.0
0.2
1
0.0
10.8
2
5.1
2
0.1
6
8
3.6
1.2
11.4
0.4
クロジ
0.8
0.2
0.8
アオジ
カワラヒワ
1.2
0.2
3.6
1.4
4.8
0.8
0.4
0.2
72.0
マヒワ
1.2
5.8
0.2
31.8
ベニマシコ
0.2
ウソ
0.2
シメ
スズメ
29.8
カケス
0.4
ハシボソガラス
ハシブトガラス
1.2
1.4
カワラバト
0.4
1.6
5.6
23.8
0.2
0.6
- 90 -
0.2
1.2
0.4
0.4
1.0
0.2
0.8
0.2
多数確認されており、他のルートと比較して生息密度が高い結果となった。ルート6(総九郎川)は
耕作地や休耕湿地、疎林などの多くの環境が存在しており、様々な鳥種が生息できる環境を提供して
いたため確認種数が多くなった。さらに農耕地や疎林部ではカシラダカとスズメが群れで確認された
ことにより生息密度が高くなったものと考えられる。非繁殖期調査では、繁殖期の総確認種数が36種
であるのに対し、生息種数が51種と多くなっている。これは通年生息している鳥類に加え、越冬のた
めカモ類、ホオジロ類、アトリ類等の冬鳥が渡来したことに起因しているものと考えられる。
ルート間の鳥類群集類似度を分析するため、繁殖期、非繁殖期にそれぞれ実施したセンサス結果を
もとに各ルートに出現した種とその出現鳥類密度を変量としてクラスター分析を行った。結合方法を
最近隣法、距離測定法をユークリッド距離とした凝集法により、繁殖期の類似度を図2-5、非繁殖
期の類似度を図2-6、図2-7に示した。
繁殖期では、立地地域内のルート1(大崎)とルート3(大串)
、山間地となるルート4(神峰山)
とルート5(神峰山沢)、ルート2(長島北)とルート8(生野島)でそれぞれ類似度が高く、実際に
似ている環境同士の鳥類群集類似度が高いという結果となった。
非繁殖期では、まず、繁殖と同様に全ルートを含めて類似度を比較した結果を図2-6に示した。
これを見るとルート3(大串)は、それ以外のどのルートとも結合距離が大きく離れており、ルート
5(神峰山沢)も類似度が低かった。この理由としては、ルート3(大串)ではカワラヒワ、ルート
5(神峰山沢)ではマヒワの確認個体数数が非常に多かったことによるものと考えられる。そこで、
この2ルートを外し、5ルートで類似度を比較するために作図したものが図2-7である。これらを
見ると、繁殖期には同じ山間地の環境として類似度が高かったルート4(神峰山)とルート5(神峰
山沢)、ルート1(大崎)とルート3(大串)の類似度が低くなった以外、非繁殖期も立地地域内のル
ート2(長島北)とルート8(生野島)で類似度が高いという結果が得られた。
以上、繁殖期、非繁殖期ともルート毎の出現種や確認個体数に若干の違いが見られるものの、クラ
スター分析では概ね似ている環境同士のルートで鳥類群集の類似度が高いことが示唆された。また、
ルート6(総九郎川)とルート7(森ヶ迫)では繁殖期及び非繁殖期を通じて他の環境とは結合距離
が離れており、周辺地域とは異なった独特の鳥類群集を形成していると考えられた。
- 91 -
(最近隣法)
ルート 1(大崎)
ルート 3(大串)
ルート 2(長島北)
ルート 8(生野島)
ルート 4(神峰山)
ルート 5(神峰山沢)
ルート 7(森ヶ迫)
ルート 6(総九郎川)
0
10
20
30
結合距離(ユークリッド距離)
図2-5 各ルートにおける鳥類群集類似度(繁殖期:5月)
(最近隣法)
ルート 1(大崎)
ルート 4(神峰山)
ルート 2(長島北)
ルート 8(生野島)
ルート 6(総九郎川)
ルート 7(森ヶ迫)
ルート 5(神峰山沢)
ルート 3(大串)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
結合距離(ユークリッド距離)
図2-6 各ルートにおける鳥類群集類似度(非繁殖期:12 月)
- 92 -
(最近隣法)
ルート 1(大崎)
ルート 4(神峰山)
ルート 2(長島北)
ルート 8(生野島)
ルート 6(総九郎川)
ルート 7(森ヶ迫)
0
10
20
30
結合距離(ユークリッド距離)
図2-7 各ルートにおける鳥類群集類似度(非繁殖期:12 月)
(ルート3、5を除く)
- 93 -
4.保全上重要な種の調査
(1)調査目的
ミサゴは、環境省RLにおいて準絶滅危惧(NT)に、広島RDBでは準絶滅危惧(NT)に記載されて
いる。本調査は、希尐な猛禽類であるミサゴの立地地域周辺における季節別の出現状況や採餌行動な
どを明らかにすることを目的とした。
(2)ミサゴ
ミサゴはタカ目タカ科に属し、全長約60cm、翼開長約160cmで、翼の細長いタカの仲間である。世
界的に分布域の広い種であり、極地を除くほぼ全世界に分布する。5亜種に分類され、日本で見られ
る亜種ミサゴ(Pandion haliaetus haliaetus)は、ユーラシア大陸、イギリス、北アフリカ、西アフリカ
沖の諸島、日本、台湾で繁殖し、アフリカ、中近東、インド、スリランカ、日本、台湾、中国、東南
アジアで越冬する。魚食に特化し、海や湖沼、河川などに生息している(森岡ほか,1995)。広島県
では留鳥で、河川の河口部や島嶼部で多く記録されている。繁殖は佐伯郡などで確認されているもの
の観察例は尐ない(日本野鳥の会広島県支部,2002)
。
(3)調査方法
立地地域周辺に飛来するミサゴの生息状況や採餌行動を把握するため、定点観察調査を実施した。
立地地域の周辺に定点観察地点を4地点設定し(図2-8)、繁殖期(5月)及び非繁殖期(12月)に
連続観察を3日間実施した。長島東(St.1)からは立地地域の東側の海域を、中野港(St.3)からは
立地地域の南西側の海域を、鷲崎(St.4)からは立地地域北方の海域を一望することができた。また、
展望台(St.2)からは立地地域の上空が観察できたほか、長島東(St.1)と中野港(St.3)間を移動
する個体を確認するのに好条件な地点であった。観察は主に8~10倍の双眼鏡と20~45倍程度の望遠
鏡を用いて行い、定点間の移動方向や飛翔個体の位置確認についてはトランシーバーを用いて複数の
調査者間で連絡を取り合いながら、同一個体を長時間追跡できる体制とした。
ミサゴを確認した時は、飛来と飛去の方向や飛翔軌跡、採餌行動を行った場所などを可能な限り正
確に地図上に記録した。また、個体識別や行動記録のため、風切羽の欠損や体の色彩、模様などの特
徴を、餌を捕獲した場合には、捕獲した餌の種類や大きさも併せて記録した。各調査時期の調査時間
及び天気概況を表2-25、表2-26に示した。
- 94 -
図2-8 保全上重要な種の調査 調査地点位置図
- 95 -
表2-25 保全上重要な種の調査 調査概況(繁殖期:5月)
調査日
地点名
開始時間
終了時間
天気
風力
2010.5.26
長島東
中野港
展望台
8:11
8:20
8:30
16:30
16:30
16:30
曇り
曇り
曇り
4
3~4
3
2010.5.27
長島東
中野港
展望台
8:08
8:15
8:38
16:30
16:30
16:30
晴
晴
晴
2
2~3
2~3
2010.5.28
長島東
中野港
展望台
7:57
7:57
7:57
9:30
9:30
9:30
晴
晴
晴
3
3
3
表2-26 保全上重要な種の調査 調査概況(非繁殖期:12月)
調査日
地点名
開始時間
終了時間
天気
風力
2010.12.1
中野港
海釣り公園
鷲崎
長島東
8:30
8:30
8:20
8:18
16:10
16:00
16:00
16:07
晴
晴
晴
快晴
1~2
1~2
0
2
2010.12.2
中野港
海釣り公園
鷲崎
長島東
8:20
8:30
8:20
8:12
15:06
15:06
15:06
15:06
晴のち雤
晴のち曇り
晴
晴のち雤
0~2
2
0
2~3
2010.12.3
中野港
海釣り公園
鷲崎
長島東
8:20
8:10
8:05
8:12
8:50
8:50
8:58
8:50
晴のち雤
晴のち雤
晴のち雤
晴のち雤
3
3
0
4
(4)調査結果
繁殖期調査は5月26日~5月28日の3日間実施した。のべ観察時間は約52時間である。確認したミ
サゴの地点毎の調査日別時間帯別のべ個体数を表2-27に示した。3調査地点のうち、長島東(St.1)
における確認個体数が最も多く、35個体と出現個体数の約半数を占め、立地地域の東側の海域により
多くの個体が出現していた。時間帯別による出現の傾向としては、一日中調査した5月26日・27日の
2日間の午前と午後の出現状況を比較すると、午前の確認が23個体、午後の確認が48個体で、午後の
確認が午前のほぼ2倍と多かった(表2-28)。
確認された行動内容から止まり行動について抽出すると、止まる場所は大きく分けて、尾辺ヶ鼻周
辺と本山の西斜面、立地地域東側の海域の3地域であった(図2-9)
。尾辺ヶ鼻にはミサゴの巣を確
認しており、巣の中での抱雛行動や、巣の近くに止まる行動が頻繁に確認された。巣には尐なくとも
2個体の雛が確認され、成鳥より尐し小さい体サイズまで成長し、羽はかなり生えそろっている状況
- 96 -
であった。また、本山の西斜面では、直接的に巣や雛を確認することはできなかったが、特定の場所
で頻繁にうずくまるような姿勢をする個体が観察され、巣の存在が示唆された。また、その周辺に止
まる姿が頻繁に確認された。立地地域東側の湾内では、生け簀や潮が引いたときに現れる岩礁などに
止まる個体が多く確認された。
確認された行動内容から狩り行動を抽出した結果、繁殖期におけるミサゴの餌場は、主に立地地域
東側の湾内であった(図2-10)。湾内にはヒラメの養殖生け簀があり、そこからヒラメを捕獲してい
く個体が多く確認された。そのほかに長島大橋周辺海域や大相賀島と小相賀島の周辺海域で狩りをし
ている姿を確認したものの、それ以外の海域では狩りをする個体を確認することはできなかった。
非繁殖期調査は、12月1日~12月3日の3日間実施した。のべ観察時間は60時間である。確認した
ミサゴの地点別調査時間帯別のべ個体数を表2-29に示した。4調査地点のうち、長島東(St.1)に
おける確認個体数が最も多く、34個体と出現個体数の約4割を占め、立地地域の東側の海域により多
くの個体が出現していた。時間帯別による出現の傾向としては、一日中調査した12月1日・2日の2
日間の午前と午後の出現状況を比較すると、午前の確認が32個体、午後の確認が45個体で、午後の確
認数が午前の確認数を上回った。これらの傾向は繁殖期とほぼ同様であった(表2-30)
。
確認された行動内容から止まり行動を抽出すると、繁殖期には営巣地周辺に集中的に止まっていた
ものの、非繁殖期は、鷲崎、美加子島、裸島、上島等の長島から突き出した岬や海上に浮かぶ小島に
止まっている個体が多く確認された(図2-11)
。
確認された行動内容から狩り行動を抽出した結果、非繁殖期におけるミサゴの餌場は、繁殖期同様、
立地地域東側の湾内であり、生け簀やその周辺海域で狩りを行っていた(図2-12)
。
表2-27 調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(繁殖期)
調査日
2010/5/26
2010/5/27
2010/5/28
確認時間帯
St.1
St.2
St.3
(長島東) (展望台) (中野港)
St.1
St.2
St.3
(長島東) (展望台) (中野港)
St.1
St.2
St.3
(長島東) (展望台) (中野港)
8:00~8:59
2
1
2
9:00~9:59
2
2
2
10:00~10:59
1
1
11:00~11:59
2
12:00~12:59
1
13:00~13:59
14:00~14:59
15:00~15:59
5
16:00~17:00
3
1
合計
19
13
合計
9
1
3
3
1
1
1
2
1
4
3
3
1
4
1
1
2
1
10
4
2
1
3
1
2
13
1
1
1
2
16
10
9
※発見時刻をカウント
- 97 -
1
8
6
11
7
7
4
1
2
0
74
表2-28 調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(繁殖期)
調査日
2010/5/26~28(3日間)
確認時間帯
St.1
St.2
St.3
(長島東) (展望台) (中野港)
時間帯別
確認数
合計
8:00~8:59
4
3
0
7
9:00~9:59
2
0
0
2
10:00~10:59
2
2
4
8
11:00~11:59
4
1
1
6
12:00~12:59
4
4
3
11
13:00~13:59
2
6
2
10
14:00~14:59
7
3
3
13
15:00~15:59
6
1
0
7
16:00~17:00
合計
4
35
3
23
0
13
7
71
- 98 -
23
48
71
図2-9 ミサゴの止まり行動確認地点(繁殖期:5月)
- 99 -
図2-10 ミサゴの狩り行動確認地点(繁殖期:5月)
- 100 -
表2-29 調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(非繁殖期)
2010/12/1
調査日
確認時間帯
2010/12/2
St.1
St.2
St.3
(長島東) (展望台) (中野港)
8:00~8:59
2
9:00~9:59
1
10:00~10:59
2
11:00~11:59
3
3
12:00~12:59
3
1
1
13:00~13:59
3
2
14:00~14:59
3
15:00~15:59
合計
St.4
(鷲崎)
St.1
St.2
(長島東) (展望台)
1
2010/12/3
St.3
(中野
港)
St.4
(鷲崎)
St.1
(長島東)
4
1
1
1
St.2
(展望
台)
3
St.3
(中野
港)
1
2
1
1
3
2
3
3
2
0
2
2
1
2
2
1
1
4
1
1
1
21
7
8
13
10
3
4
4
10
11
1
14
3
12
12
7
1
3
1
※発見時刻をカウント
表2-30 調査地点毎の調査日別時間帯別のべ観察個体数(非繁殖期)
確認時間帯
合計
12
2
1
2010/12/1~3(3日間)
調査日
St.4
(鷲崎)
St.1
St.2
St.3
(長島東) (展望台) (中野港)
St.4
(鷲崎)
時間帯別
確認数
合計
8:00~8:59
6
0
0
1
7
9:00~9:59
1
1
0
2
4
10:00~10:59
3
3
4
0
10
11:00~11:59
4
3
3
1
11
12:00~12:59
6
4
2
2
14
13:00~13:59
5
2
5
0
12
14:00~14:59
5
3
1
3
12
15:00~15:59
合計
4
34
1
17
1
16
1
10
7
77
- 101 -
32
45
77
0
82
図2-11 ミサゴの止まり行動確認地点(非繁殖期:12月)
- 102 -
図2-12 ミサゴの狩り行動確認地点(非繁殖期:12月)
- 103 -
(5)まとめ
本調査により、ミサゴは一年を通して立地地域周辺に生息し、立地地域東側の湾内を主要な餌場と
して利用し、繁殖していることが確認された。
繁殖期と非繁殖期の確認回数を比較すると、繁殖期が74回確認されたのに対し、非繁殖期は82回と
ほぼ同様であった。通常西日本においては非繁殖期に越冬個体が増加するため、確認回数は増加する
が、立地地域周辺にはミサゴの営巣地が存在し、繁殖期に雛に頻繁に餌を運ぶ個体が確認されたこと
から、確認回数に差が見られなかったものと考えられた。
狩り行動が確認された地点は、一年を通じて立地地域の東側の湾内であり、その海域にある生け簀
に依存している傾向が見られた。事業実施の際に影響が考えられる西側の海域では狩り行動がほとん
ど確認されなかった。
止まり行動が確認された地点は、繁殖期と非繁殖期で違いが見られ、繁殖期は営巣地と生け簀に集
中していたのに対し、非繁殖期は広範囲に広がり、岬の突端や海域に点々と存在する小島に止まる行
動が見られた。非繁殖期は採餌効率を上げるため、より餌場に近い場所に止まっているものと考えら
れた。
なお、非繁殖期における調査において、長島北の送電線鉄塔に頻繁に止まり、その北側海上で採餌
するハヤブサの雌雄が確認された(図2-13)
。この2個体は同一の送電線鉄塔に止まり、排他的な行
動が見られないことや狩りで捕獲した餌を共有していることから、番いである可能性が高いと考えら
れた。また、非繁殖期調査時(12月)に、大串地区の西野池上空において雌の幼鳥に排他行動を示す雄成
鳥が確認され、縄張りを誇示するような行動が周辺で確認されていることから、大崎上島で繁殖して
いる可能性がある。立地地域周辺において繁殖活動を行っている可能性も否定できないため、今後の
生息動向を注意する必要がある。
- 104 -
図2-13 ハヤブサの行動確認地点(非繁殖期:12月)
- 105 -
5.まとめ
本調査では、鳥類相調査、定点観察調査、捕獲調査、録音調査及び保全上重要な種の調査を実施し
た。鳥類相調査では、既存文献調査と現地調査に基づき鳥類リストを作成した。大崎上島町内での確
認種リストとしては合計で17目41科150種(外来種含)となり、今回の現地調査では16目37科109種(外
来種含)が確認され、全確認種数の72.6%であった。また、今回の調査では、カモ科のオシドリ、タカ
科のハイイロチュウヒ、ハヤブサ科のチョウゲンボウ、クイナ科のクイナ、シギ科のアオアシシギ、
タカブシギ、ツグミ科のコマドリ、ノゴマ、トラツグミ、シジュウカラ科のヒガラ、ホオジロ科のノ
ジコ、アトリ科のアトリの11種が新たに確認された。
繁殖期には、サギ科、ツグミ科、ウグイス科に属する種が比較的多く見られたものの、著しく多く
の種が確認された科は見られなかった。サギ科はシラサギ類が大串地区など水田域で、アオサギは海
浜部で多く確認された。これらの場所は、サギ科以外に属する種に対しても良好な採餌場所や休息場
所を提供していると考えられる。また、水田域やその周辺に点在する休耕田は、ウグイス科のオオヨ
シキリやクイナ科のヒクイナ、タマシギ科のタマシギの重要な生息地となっていた。谷戸や山間の二
次林ではヒヨドリやウグイス、メジロ、ホオジロの生息密度が非常に高く、多くの個体が観察された。
山間部ではツツドリやホトトギス、ヨタカ、オオルリ、キビタキなど森林性の夏鳥や留鳥のフクロウ
が数多く確認された
非繁殖期には、冬鳥の渡来に伴い、カモ科、タカ科、ツグミ科、アトリ科に属する種が多く確認さ
れた。海浜部では、セグロカモメやウミネコ、アオサギが多く見られ、既存文献で確認されているア
ビ類、海ガモ類は確認されなかった。大串地区に存在する西野池には、カモ類が多数飛来しており、
コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ等が見られた。また、それらを餌とするオオタカ、チュウヒ、
ハヤブサ等が周囲を飛翔し、探餌している姿が確認されている。西野池に連なる水田地帯や総九郎川
流域の休耕田、放棄水田では、スズメ、カワラヒワ、タヒバリ、ヒバリ等の開放草地に生息する鳥類
が群れで確認され、それを餌とするハイイロチュウヒやハイタカ等が見られた。また、総九郎川流域
では、繁殖期にも確認されたヒクイナや越冬で渡ってきたクイナ等のクイナ類が確認され、クイナ類
の重要な越冬地であることが示唆された。これらの休耕田にはスズメやニュウナイスズメの塒が見ら
れ、オオジュリンやベニマシコ等の湿地性鳥類の生息環境として重要と考えられた。
このほか、4月に実施した予備調査では、渡り途中と考えられるアマツバメやコマドリ、クロツグ
ミ、アカハラ、センダイムシクイ、コサメビタキなどの夏鳥の他、ヒレンジャクやシロハラ、アオジ、
クロジ、アトリといった冬鳥、11月の捕獲調査では、アリスイやノゴマ、ノジコ、ニュウナイスズメ
等、繁殖期や非繁殖期では見られない渡り鳥が多数確認されており、位置的に四国と山陰地方の間に
位置し、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島は、多くの渡り鳥の中継地、休息場所として重要な場所となって
いることが示唆された。
既存文献に記載されていた鳥類種の中には、12種の環境省RL記載種と14種の広島RDB記載種が含ま
れていた。環境省RL記載種の12種のうち、絶滅危惧IB類(EN)が1種、絶滅危惧II類(VU)が6種、
準絶滅危惧(NT)が5種であった。広島RDB記載種の14種のうち、絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)が2種、
絶滅危惧Ⅱ類(VU)が4種、準絶滅危惧(NT)が9種、情報不足(DD)が3種であった。
現地調査では、10 種の環境省 RL 記載種と 13 種の広島 RDB 記載種が確認された。このうち、環境
省 RL 記載種は、チュウヒ(EN)
、ハヤブサ(VU)、ヒクイナ(VU)
、ヨタカ(VU)、オオタカ(
- 106 -
NT)、ハイタカ(NT)
、チュウサギ(NT)
、ミサゴ(NT)、ノジコ(NT)
、オシドリ(DD)であった。
これらの種はノジコを除き広島 RDB 記載種でもある。愛媛 RDB 記載種のうち現地で確認されたのは
前述の9種にクイナ(NT)、タマシギ(VU)、オオコノハズク(DD)、コマドリ(DD)の4種を加え
た計 13 種である。
鳥類群集調査では、各センサスルートにおける鳥類群集を把握するため、繁殖期、非繁殖期にそれ
ぞれ実施したルートセンサス調査の結果をもとに各ルートに出現した種類数とその出現鳥類密度を変
量としたクラスター分析を行った。結合方法を最近隣法、距離測定法をユークリッド距離とした凝集
法により、繁殖期及び非繁殖期の類似度を解析した。
繁殖期では、立地地域内のルート1(大崎)とルート3(大串)
、山間地となるルート4(神峰山)
とルート5(神峰山沢)、ルート2(長島北)とルート8(生野島)でそれぞれ類似度が高く、実際に
似ている環境同士の鳥類群集類似度が高いという結果となった。
非繁殖期では、繁殖期に同じ山間地の環境として類似度が高かったルート4(神峰山)とルート5
(神峰山沢)、ルート1(大崎)とルート3(大串)の類似度が低くなった以外、非繁殖期も立地地域
内のルート2(長島北)とルート8(生野島)で類似度が高いという結果が得られた。
繁殖期、非繁殖期ともルート毎の出現種や確認個体数に若干の違いが見られるものの、クラスター
分析では概ね似ている環境同士のルートで鳥類群集の類似度が高いことが示唆された。また、ルート
6(総九郎川)とルート7(森ヶ迫)では繁殖期及び非繁殖期を通じて他の環境とは結合距離が離れ
ており、周辺地域とは異なった独特の鳥類群集を形成していると考えられた。
保全上重要な種の調査では、ミサゴが一年を通して立地地域周辺に生息し、立地地域東側の湾内を
主要な餌場として利用し、繁殖していることが確認された。
狩り行動が確認された地点は、一年を通じて立地地域の東側の湾内であり、その海域にある生け簀
に依存している傾向が見られた。事業実施の際に影響が考えられる西側の海域では狩り行動が確認さ
れなかった。
止まり行動が確認された地点は、繁殖期と非繁殖期で違いが見られ、繁殖期は営巣地と生け簀に集
中していたのに対し、非繁殖期は広範囲に広がり、岬の突端や海域に点々と存在する小島に止まる行
動が見られた。非繁殖期は採餌効率を上げるため、より餌場に近い場所に止まっているものと考えら
れた。
また、本調査では長島北の送電線鉄塔に頻繁に止まり、その北側海上で採餌するハヤブサの雌雄が
確認された。この2個体は同一の送電線鉄塔に止まり、排他的な行動が見られないことや狩りで捕獲
した餌を共有していることから、番いである可能性が高いと考えられた。立地地域周辺において繁殖
活動を行っている可能性も否定できないため、今後の生息動向を注意する必要がある。
- 107 -
第3章 哺乳類調査
1.調査内容
(1)哺乳類相調査
調査地域内に生息する哺乳類の種構成を把握するために、哺乳類相調査をおこなった。小型哺乳類
調査、中・大型哺乳類調査、保全状重要な種の調査の結果、および現地調査中に発見した哺乳類の生
息情報などを取りまとめ、当調査地域における哺乳類の生息確認種リストを作成した。リストには文
献によって得られた生息情報についても記入した。
(2)小型哺乳類調査
調査地域内の小型哺乳類の生息状況を把握するため、主に齧歯目(ネズミ類)
、食虫目(モグラ類)
を対象とした地上性小型哺乳類捕獲調査と、翼手目(コウモリ類)を対象としたコウモリ類捕獲調査
を実施した。地上性小型哺乳類調査では生け捕り式のネズミ用ワナ(シャーマントラップ)と墜落缶
(ピットフォールトラップ)を使用し、捕獲によって生息状況を調査した。また、地上性小型哺乳類
各種の生息環境選択性を把握するために、各調査地点において植生構造を中心とした環境特性に関す
る調査を実施した。コウモリ類捕獲調査ではカスミ網とハープトラップを使用し、捕獲によって生息
種を把握した。
(3)中・大型哺乳類調査
中・大型哺乳類の生息状況を把握するため、踏査による痕跡調査と、感熱センサーを付属したカメ
ラによる自動撮影調査をおこなった。
(4)保全上重要な種の調査
イタチは広島県内に広く分布しているが、外来生物であるチョウセンイタチの導入により、本来の
生息環境から駆逐され減尐傾向にあると考えられており、
「改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生
物 レッドデータブックひろしま2004」(広島県版レッドデータブック見直し検討会,2004:以下、広
島RDBと略する)では準絶滅危惧(NT)に指定されている。本調査ではイタチを保全上重要な種の調
査対象に選定し、調査地域内における生息状況を明らかにするため、痕跡調査での糞のサンプリング
やヘアトラップ法等により遺伝子分析試料を収集し、遺伝子分析により種の同定をおこなった。
2.哺乳類相調査
(1)調査項目と方法
後述する小型哺乳類調査および中・大型哺乳類調査によって生息が確認された種、および現地調査
中に目撃された種について、哺乳類の生息確認種としてリストにまとめた。また、リストには既存文
献から生息情報が得られた種も付記した。既存文献からの生息情報の収集にあたっては、調査対象地
- 108 -
域内での情報を中心として取りまとめた。
(2)調査結果
予備調査、哺乳類、鳥類等の各現地調査中に、痕跡や生体、路上死体を目撃することで生息が確認
された事例について、表3-1に取りまとめた。事例ではチョウセンイタチ、イノシシ、カヤネズミ
の生息が確認された。
哺乳類の生息確認種リストを、表3-2に示した。現地調査によって生息が確認された種は、食虫
目ではニホンジネズミ1種、翼手目ではキクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、ユビナガコウモリ
の3種、食肉目ではタヌキ、イヌ、イタチ、チョウセンイタチ、イエネコの5種、偶蹄目ではイノシ
シ1種、齧歯目ではカヤネズミ、アカネズミ、ハツカネズミの3種、合計5目8科 13 種であった。こ
れらの種のうち、立地地域内から出現した種はモモジロコウモリ、タヌキ、イヌ、チョウセンイタチ、
イエネコ、イノシシの6種であった。既存文献の情報から、上記の各種以外に兎目のカイウサギが生
息するほか、ニホンジカが昭和 40 年代後半まで生息していたという情報が得られた。現地調査の結果
と文献情報を併せると、6目9科 14 種が調査地域内に生息していることが明らかになった。なお、ニ
ホンジカは絶滅していることから、種数から除いた。
生息が確認された種のうち、環境省のレッドリストにおいてランクが付けられている種はなかった。
また、広島県 RDB でランクが付けられている種は、準絶滅危惧(NT)のモモジロコウモリ、ユビナ
ガコウモリ、イタチの2目3種であった。
過去に確認事例が無く、今回の調査が大崎上島での生息が確認されたのはニホンジネズミ、キクガ
シラコウモリ、モモジロコウモリ、ユビナガコウモリ、チョウセンイタチ、ハツカネズミの4目6種
であった。
表3-1 目撃による哺乳類の生息確認種
月日
種名
場所
状況
4月21日 チョウセンイタチ 大崎上島町原田県道
轢死体を収得
8月17日 イノシシ
大崎上島トンネル南側県道
車両で移動中、県道脇で1個体目撃
10月18日 イノシシ
権現山林道
車両で移動中、林道で2個体目撃
10月26日 カヤネズミ
総九郎川
鳥類調査中に放棄水田で球巣1個を確認
中野地区水田
休耕田で球巣2個を確認
12月2日 カヤネズミ
- 109 -
表3-2 調査地域で確認された哺乳類種一覧
目
科
現地調査
和名
立地
地域内
食虫目
翼手目
食肉目
トガリネズミ科
キクガシラコウモリ科
ヒナコウモリ科
イヌ科
イタチ科
偶蹄目
齧歯目
兎目
ネコ科
イノシシ科
シカ科
ネズミ科
ウサギ科
ニホンジネズミ
キクガシラコウモリ
モモジロコウモリ
ユビナガコウモリ
タヌキ
イヌ
イタチ
チョウセンイタチ
イエネコ
イノシシ
ニホンジカ
カヤネズミ
アカネズミ
ハツカネズミ
カイウサギ
調査
地域内
既存
文献
●
●
●
NT
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
カテゴリー区分
改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブックひろしま2004
(広島県版レッドデータブック見直し検討会.2004.広島県)
NT 準絶滅危惧
- 110 -
●
●
●
●
●
●
●
●
全確認種数:6目9科14種(外来種含)
文献確認種:4目5科6種(外来種含)
現地確認種数:5目8科13種(外来種含) 3目5科6種(立地地域内) 5目8科12種(調査地域内)
既存文献
平成6年度環境審査調査(陸生生物調査)(財団法人自然環境研究センター.1995)
NT
※Ex
※Ex:昭和40年代後半までに絶滅しているため、種数から除く
確認種に無いカテゴリ説明は省略した
広島県
RDB
●
NT
3.小型哺乳類調査
(1) 調査項目と方法
1)地上性小型哺乳類捕獲調査
地上性の小型哺乳類である、齧歯目ネズミ科および食虫目トガリネズミ科、モグラ科などの生息状
況を把握するために、シャーマントラップ(ネズミ用生け捕りワナ)とピットフォールトラップ(墜
落缶)を用いて捕獲調査をおこなった。調査地点として立地地域内に4地点、立地地域外に 16 地点、
合計 20 地点を設定した(図3-1)
。調査地点の植生は、草地、低木林、広葉樹林、針葉樹林の4タ
イプに区分した。各環境タイプの調査地点数は、草地9地点、低木林2地点、広葉樹林7地点、針葉
樹林2地点であった。立地地域内には4地点が設置されており、内訳は草地、針葉樹林が各1地点、
広葉樹林が2地点であった。各調査地点には 20×20mの方形区を設定し、その中にシャーマントラッ
プを5m間隔で5行5列に 25 個、ピットフォールトラップを 10m 間隔で3行3列に9個、それぞれ設
置した。調査は連続した2晩実施した。トラップの見回りは1日1回、午前中におこなった。シャー
マントラップには、餌としてピーナッツバターを塗した生ピーナッツを入れた。調査は平成 22 年 10
月 17 日から 10 月 21 日に実施した。なお、捕獲した個体は、一部を除き耐水性インクによって記号し
た後に放逐しており、再捕獲された記号個体は捕獲個体数に含まなかった。シャーマントラップの捕
獲結果から 100 トラップナイト(のべワナ数、TN と略記)あたりの捕獲個体数を算出し、生息密度の
指標として示した。のべワナ数の算出にあたっては、見回り時に空撃ち(トラップの入り口が閉じて
いるが、捕獲されていない状態)していたトラップの数を除いた。調査結果から立地地域内と立地地
域外の比較、植生タイプ毎の比較をおこなった。調査地点の生息環境特性を把握するために、高木層
の高さと被度、低木層の高さと被度、草本層の高さと被度、リター層の厚さ、および腐植土層の厚さ
を、方形区の中央で測定した。
2)コウモリ類捕獲調査
コウモリ類捕獲調査では、調査地点を6地点設定し、各地点においてカスミ網およびハープトラッ
プによる捕獲をおこなった(図3-2)。
カスミ網は目合い 36mm、棚数9、高さ 5.4m、幅は6mのものを用いた。網の設置形状は調査地点
の地形に合わせ、直線、L字型などとし、河川の水面や林道の地面まで網がかかるように設置した。
かすみ網は日没前に設置し、日没後の 19:00 頃から翌朝0:00 頃まで調査をおこなった。
ハープトラップは幅 1.55cm、高さ 3.5~4m まで調整可能なものを用いた。ハープトラップは日没前
に設置し、翌朝日の出後に回収した。
調査は各調査地点で1晩づつ実施した。調査中は調査員が常にバットディテクターを持って網の周
囲に待機し、コウモリ類の目撃または音声が確認された周波数を記録した。種の同定は原則として前
田(1994)に従い、齢については指骨の骨化状態により、成獣(Ad)と幼獣(J)の識別をした。調査
は 2010 年8月 18 日から8月 20 日におこなった。
- 111 -
図3-1 地上性小型哺乳類捕獲調査地点
- 112 -
図3-2 コウモリ類捕獲調査地点
- 113 -
(2)調査結果
1)地上性小型哺乳類捕獲調査
調査地点の植生等の概要を表3-3に示した。植生タイプは4タイプに区分した。草地はススキや
ヨシなどのイネ科草本が優占する場所が多く、放棄水田なども含まれる。低木林は集落跡地に見られ
る植栽跡や放棄された果樹園によって占められた。
捕獲調査の結果を表3-4に示した。なお、ピットフォールトラップでの捕獲は無かったため、表
にはシャーマントラップによる捕獲個体数のみ示している。合計 921TN におよぶ捕獲の結果、ニホン
ジネズミ1個体、ハツカネズミ2個体、アカネズミ2個体、合計5個体が捕獲された。ニホンジネズ
ミは大崎上島で最も広い沖積地である大串地区の草地(調査地 11)でのみ捕獲された。ハツカネズミ
も同じく大串の草地(調査地 10)で捕獲された。アカネズミは、立地地域の対岸にあたる本山地区の
広葉樹林(調査地5)と、大串地区の埋め立て地にある草地(調査地 12)で捕獲された。表3-5お
よび図3-3に、植生タイプ毎の捕獲個体数を取りまとめた。草地ではニホンジネズミ、ハツカネズ
ミ、アカネズミの3種すべてが捕獲された。広葉樹林ではアカネズミのみが捕獲された。針葉樹林と
低木林では捕獲個体は無かった。また、立地地域内の4調査地点では、捕獲個体は無かった。
捕獲調査によって、3種の地上性小型哺乳類の生息が確認された。このうち、アカネズミは過去の
調査でも記録されており、やはり草地と広葉樹林のいずれにおいても生息が確認されている(自然環
境研究センター、1995)
。ニホンジネズミとハツカネズミは過去に確認事例が無く、今回の調査が大崎
上島での初記録となる。
ハツカネズミは国外外来種であり、農村を中心に都市の家屋内にも定着している、いわゆる「家ネ
ズミ」であり、船舶や輸送物資に紛れて移動し、分布を広げることがある。よって、大崎上島にも同
様な経緯で侵入定着した可能性が高い。ハツカネズミは小型で人目に付きにくい上、ワナでも捕まえ
にくい種であるため、その生息実態が把握しにくい。そのため今日まで大崎上島での生息情報が得ら
れなかったと考えられるが、おそらくかなり古くから定着していたと考えて良いだろう。今回の調査
では大串地区の草地のみで生息を確認したが、立地地域である長島にも同様な環境は存在するため、
立地地域内にも生息する可能性がある。
ニホンジネズミは本州、四国、九州に生息する日本固有種であり、瀬戸内海の島嶼では淡路島のみ
で生息が確認されている。ニホンジネズミは小型であり、ワナによって捕獲されにくいため、島嶼で
の分布状況には不明な点が多い。ニホンジネズミの生息が確認されている島嶼で、最も面積が小さい
のは福岡県沖ノ島の 0.97km2 であり、生息が未確認の瀬戸内海島嶼においても、多くの島で生息してい
る可能性がある。ニホンジネズミは乾燥した草地を主な生息環境としており、河川敷や耕作放棄地な
どにも良く出現する。今回の調査では大串地区の草地のみで生息を確認したが、立地地域である長島
にも耕作放棄地は存在しており、そうした場所に本種が生息している可能性がある。
過去の調査ではカヤネズミが、大串地区の草地で捕獲されていた(自然環境研究センター、1995)。
今回の調査でも同地域において捕獲を行ったが、カヤネズミは捕獲されなかった。しかし、周辺の地
域ではカヤネズミの生活痕跡である球巣が確認されており、大崎上島に現在も生息していることは明
らかである。
- 114 -
表3-3 地上性小型哺乳類調査地点の概要
立地地域外
立地地域内
番
号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
調査地名
構内
長島1
長島2
長島3
本山
総九郎川1
総九郎川2
生野島1
生野島2
大串1
大串2
大串埋立地1
大串埋立地2
大串埋立地3
中野
権現山1
権現山2
才ノ峠1
才ノ峠2
大崎隧道
植生タイプ
低木林
低木林
草地
針葉樹林
広葉樹林
草地
草地
広葉樹林
広葉樹林
草地
草地
草地
草地
草地
草地
針葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
主要群落構成種
セイタカアワダチソウ
ヤナギ類
ススキ
スギ
シイ・カシ類
-
-
スギ
アラカシ
ヨシ
ヨシ
ヨシ
ススキ・イネ科草本
セイタカアワダチソウ
イネ科草本
スギ
クリ・クヌギ
ヒサカキ
ヒサカキ
クヌギ
高木層
低木層
草本層
リター層 腐植土層
厚さ
階層高 被度 階層高 被度 階層高 被度
厚さ
(cm)
(m)
(%)
(m)
(%)
(m)
(%)
(cm)
-
-
-
-
0.8
100
3.0
0.5
5.0
20
-
-
1.5
70
1.0
0.0
-
-
-
-
1.5
100
1.0
1.0
9.0
90.0
3.5
50
0.5
50
1.0
4.0
7.0
90.0
4.0
60
0.4
30
10.0
5.0
-
-
-
-
2.0
95
0.0
0.0
-
-
-
-
2.0
100
0.0
0.0
7.5
70.0
0.8
30
0.1
30
5.0
1.0
17.5
70
4.0
10
0.2
5
10.0
5.0
-
-
-
-
2.0
100
1.0
2.0
-
-
-
-
2.0
100
2.0
2.0
-
-
-
-
2.0
100
5.0
5.0
-
-
-
-
0.6
60
0.0
0.0
-
-
-
-
1.8
50
0.0
0.0
-
-
-
-
0.5
90
0.0
0.0
11.0
80
3.0
5
0.3
60
3.0
0.5
9.0
70
5.0
10
0.4
10
3.0
1.0
2.0
1.0
9.0
50
1.3
10
-
9.0
70.0
1.0
10.0
-
5.0
1.0
15.0
50.0
4.0
30.0
0.3
40.0
10.0
5.0
表3-4 地上性小型哺乳類調査結果概要
立地地域外
立地地域内
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
調査地点名
構内
長島1
長島2
長島3
本山
総九郎川1
総九郎川2
生野島1
生野島2
大串1
大串2
大串埋立地1
大串埋立地2
大串埋立地3
中野
権現山1
権現山2
才ノ峠1
才ノ峠2
大崎隧道
合計
植生タイプ
低木林
低木林
草地
針葉樹林
広葉樹林
草地
草地
広葉樹林
広葉樹林
草地
草地
草地
草地
草地
草地
針葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
広葉樹林
捕獲個体数
有効ワナ
ニホン
ハツカ
アカ
数
ジネズミ
ネズミ
ネズミ
0
0
0
43
0
0
0
48
0
0
0
47
0
0
0
39
0
0
1
44
0
0
0
49
0
0
0
49
0
0
0
46
0
0
0
46
0
2
0
49
1
0
0
46
0
0
1
30
0
0
0
48
0
0
0
49
0
0
0
50
0
0
0
50
0
0
0
50
0
0
0
43
0
0
0
46
0
0
0
49
1
2
2
921
- 115 -
捕獲個体数/100TN
ニホン
ハツカ
アカ
ジネズミ
ネズミ
ネズミ
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
2.27
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
4.08
0.00
2.17
0.00
0.00
0.00
0.00
3.33
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.11
0.22
0.22
表3-5 植生タイプ毎の捕獲個体数
植生タイプ
広葉樹林
針葉樹林
草地
低木林
合計
ニホン
ジネズミ
0
0
1
0
1
捕獲数
ハツカ
ネズミ
0
0
2
0
2
アカ
ネズミ
1
0
1
0
2
有効
ワナ数
324
89
417
91
921
捕獲個体数/100TN
ニホン
ハツカ
アカ
ジネズミ
ネズミ
ネズミ
0.00
0.00
0.31
0.00
0.00
0.00
0.24
0.48
0.24
0.00
0.00
0.00
0.11
0.22
0.22
捕獲個体数
/100TN
ニホンジネズミ
0.60
ハツカネズミ
アカネズミ
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
広葉樹林
針葉樹林
草地
植生タイプ
図3-3 植生タイプ毎の捕獲個体数
- 116 -
低木林
2)コウモリ類捕獲調査
捕獲調査を行った6地点のうち3地点においてコウモリ類が捕獲された。捕獲されたコウモリ類は
立地地域内ではモモジロコウモリ1種、立地地域外の2地点ではキクガシラコウモリ、ユビナガコウ
モリの2種であり、捕獲個体数は合計 10 個体であった(表3-6)
。捕獲個体の計測記録を表3-7
に示した。もっとも多く捕獲されたのはキクガシラコウモリであり、8個体(雄4個体、雌4個体)
が捕獲された。捕獲された調査地点は大崎隧道の溜め池(St.4)の1地点であるが、この調査地点の
み2晩の調査を実施しており、捕獲数はその合計である。
本調査で確認されたコウモリ類は、全て洞穴性のコウモリである。洞穴性コウモリ類は冬眠期、活
動期、交尾期および出産期のねぐらを季節的に使い分けながら移動するが、広島県内ではモモジロコ
ウモリとユビナガコウモリの越冬時や繁殖に利用される洞穴は確認されていない(広島県,2004)
。こ
のことから、夏季の活動期に採餌場として大崎上島や周辺属島を利用しているものと考えられた。
表3-6 コウモリ類捕獲調査結果
捕獲状況
調査地番号
調査地点名
設置地点詳細
調査日
St.1
長島1
立地地域内
8月16日
カスミ網
キクガシラ
コウモリ
0
St.2
長島2
立地地域内
8月16日
ハープトラップ
0
1Ad♀(21:34)
0
St.3
St.4
原田
大崎隧道
林道
溜め池脇
8月17日
8月17日
ハープトラップ
カスミ網
0
0
0
0
8月19日
ハープトラップ
0
0
0
0
0
1Ad♀(翌3:40)
St.5
生野島1
林道
8月18日
ハープトラップ
0
3Ad♂
(19:45)
(19:48)
(翌0:40)
1Ad♀
(19:50)
1Ad♂
(翌5:45)
3Ad♀
(翌5:45)
0
St.6
生野島2
県道
8月18日
カスミ網
0
モモジロ
コウモリ
0
ユビナガ
コウモリ
0
数字は捕獲数を、カッコ内は捕獲時刻を示す.
表3-7 コウモリ類捕獲個体の外部計測値
種名
モモジロコウモリ
キクガシラコウモリ
キクガシラコウモリ
キクガシラコウモリ
キクガシラコウモリ
ユビナガコウモリ
キクガシラコウモリ
キクガシラコウモリ
キクガシラコウモリ
キクガシラコウモリ
調査地
番号
St.2
St.4
St.4
St.4
St.4
St.6
St.4
St.4
St.4
St.4
調査日
性別
8月16日
8月17日
8月17日
8月17日
8月17日
8月18日
8月19日
8月19日
8月19日
8月19日
♀
♂
♂
♀
♂
♀
♂
♀
♀
♀
- 117 -
体重
(g)
7.8
17.8
17.4
24.4
20.6
11.8
18.4
17.3
20.0
21.8
前腕長
(mm)
38.3
57.0
59.0
59.4
59.8
47.5
56.6
59.0
60.0
60.6
下腿長
(mm)
16.6
25.4
26.9
26.6
26.3
20.5
24.8
25.3
25.7
24.3
4.中・大型哺乳類調査
(1) 調査項目と方法
1)痕跡調査
鳥類群集調査を実施したルートと同じ8ルートに加え、4ルートを設定し、合計 12 ルートを対象と
して痕跡調査をおこなった(図3-4、表3-8)。なお、立地地域内には2ルートが設定されている。
調査ルートは調査地域内の代表的な植生を網羅できるように設定した。各調査ルートの全長は約1km
であり、調査対象ルートを調査員が 40~70 分程かけて踏査した。踏査は必ず往復で実施した。踏査の
間に発見した生体および死体と、足跡、糞、食痕、掘り起こし跡などの痕跡について、可能な限り種
を同定し、地図上に記録した。調査は 2010 年6月、10 月、11-12 月に実施し、各回の調査で全ての
ルートを1回ずつ調査した。
表3-8 痕跡調査ルートの概要
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
a
b
c
d
ルート名
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
6月調査 10月調査 12月調査
実施日
実施日
実施日
22日
23日
23日
23日
23日
23日
23日
22日
23日
24日
24日
24日
19日
19日
18日
18日
18日
19日
18日
18日
18日
19日
19日
19日
- 118 -
1日
1日
1日
1日
1日
1日
1日
11月30日
1日
2日
1日
2日
周辺環境
発電所・草地
広葉樹林・草地
水田
広葉樹林
広葉樹林・針葉樹林
水田・草地
果樹園・広葉樹林
広葉樹林
草地・荒れ地
水田・草地
広葉樹林・果樹園
針葉樹林
図3-4 痕跡調査ルート
- 119 -
2)自動撮影調査
自動撮影調査では、立地地域内に4地点、立地地域外に 16 地点、合計 20 地点を対象として調査を
実施した(図3-5、表3-9)。各調査地点には感熱式センサーを付属したカメラ(銀塩カメラない
しデジタルカメラ)を1台設置し、動物を誘引するために、カメラの前には魚の缶詰などの餌を置い
た。カメラは3~4日間にわたって設置した。調査は 2010 年6月、10 月、11-12 月に実施した。撮
影された写真の内、何らかの動物が写っていたものを有効撮影とし、その枚数を有効撮影枚数とした。
写真から、被写動物を同定し、撮影枚数を種毎に集計した。
表3-9 自動撮影調査地点の概要
調査地
調査地点名
番号
立地
地域
内/外
6月調査
設置日 回収日
10月調査
12月調査
設置日 回収日
設置日 回収日
(11月) (12月)
周辺環境
1
大崎1
内
22日
25日
17日
20日
30日
3日
緑地帯(発電所構内)
2
大崎2
内
22日
25日
17日
20日
30日
3日
草地(発電所構内)
3
長島1
内
22日
25日
17日
20日
30日
3日
落葉広葉樹林、果樹園
4
長島2
内
22日
25日
17日
20日
30日
3日
竹林、落葉広葉樹林
5
神峰山1
外
22日
25日
17日
20日
30日
3日
落葉広葉樹林
6
神峰山2
外
22日
25日
17日
20日
30日
3日
落葉広葉樹林
7
神峰山沢1
外
22日
25日
17日
20日
30日
3日
落葉広葉樹林、河川、耕作地
8
神峰山沢2
外
22日
25日
17日
20日
30日
3日
落葉広葉樹林、河川、耕作地
9
総九郎川1
外
22日
25日
17日
20日
30日
3日
水田、針葉樹林
10
総九郎川2
外
22日
25日
17日
20日
30日
3日
水田、針葉樹林、竹林
11
森ヶ迫1
外
22日
25日
17日
20日
29日
2日
落葉広葉樹林、果樹園
12
13
14
15
16
17
18
19
20
森ヶ迫2
生野島1
生野島2
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
明石
大崎隧道
外
外
外
外
外
外
外
外
外
22日
22日
23日
22日
23日
22日
23日
22日
23日
25日
25日
25日
25日
25日
25日
25日
25日
25日
17日
17日
17日
17日
17日
17日
17日
17日
20日
20日
20日
20日
20日
20日
20日
20日
20日
22日
29日
30日
30日
30日
30日
30日
30日
30日
29日
2日
3日
3日
3日
3日
3日
3日
3日
2日
落葉広葉樹林、果樹園
落葉広葉樹林、果樹園
落葉広葉樹林、果樹園
草地
水田
落葉広葉樹林
落葉広葉樹林
落葉広葉樹林
針葉樹林、ため池
- 120 -
図3-5 自動撮影調査地点
- 121 -
(2)調査結果
1)痕跡調査
痕跡調査の結果を表3-10 に示した。生息が確認できたのは、タヌキ、イヌ、ニホンイタチ、チョ
ウセンイタチ、イエネコ、イノシシの2目6種であった。なお、イタチ類は後述する糞をサンプルと
した遺伝子分析により種を同定した。
これらのうち、立地地域内(ルート1、2)で生息が確認された種は、イヌ、チョウセンイタチ、
イノシシであった。立地地域外では上記の種すべての生息が確認された。もっとも多くの地点で生息
が確認されたのはチョウセンイタチであり、権現山(ルート番号:C)を除く全ての調査ルートで確認
された。次いで多くの地点で確認されたのはイノシシであり、立地地域を含む9地点で確認された。
チョウセンイタチとイノシシは、立地地域内や属島の生野島でも確認され、調査地域全域に広く分布
していると考えられる。
表3-10(その1) 痕跡調査の結果(6月)
食肉目
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
a
b
c
d
ルート名
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
偶蹄目
タヌキ
イヌ
○
○
○
イヌ科
種不明
イタチ
チョウセン
イタチ
イエネコ
イノシシ
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
表3-10(その2) 痕跡調査の結果(10 月)
食肉目
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
a
b
c
d
ルート名
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
タヌキ
偶蹄目
イヌ
イヌ科
種不明
イタチ
チョウセン
イタチ
○
○
○
○
○
○
○
○
イエネコ
イノシシ
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
- 122 -
○
○
○
○
○
○
○
表3-10(その3) 痕跡調査の結果(12 月)
食肉目
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
a
b
c
d
ルート名
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
立地
地域
内/外
タヌキ
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
偶蹄目
イヌ
イヌ科
種不明
イタチ
イエネコ
○
○
○
○
○
チョウセン
イタチ
○
○
○
○
○
○
○
○
○
イノシシ
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
表3-10(その4) 痕跡調査の結果(まとめ)
食肉目
ルート
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
a
b
c
d
ルート名
大崎
長島北
大串
神峰山
神峰山沢
総九郎川
森ヶ迫
生野島
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
立地
地域
内/外
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
偶蹄目
タヌキ
イヌ
●
●
●
イヌ科
種不明
イタチ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
チョウセン
イタチ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
イエネコ
●
●
●
●
●
イノシシ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
2)自動撮影調査
自動撮影調査の結果を表3-11 に示した。3回の調査で、18 地点から 292 枚の有効撮影を得た。撮
影された哺乳類は、タヌキ、イヌ、イエネコ、イノシシ、アカネズミの3目5種およびイタチ類であ
った。立地地域内ではタヌキ、イタチ類、イエネコ、イノシシの生息が確認された。
最も多くの有効撮影を得た種はタヌキであり、7地点で合計107枚が撮影された。また、確認地点数
が多かったのはイノシシであり、9地点で合計31枚が撮影された。イタチ類は立地地域内の3地点の
他に、森ヶ迫(調査地11、12)
、明石(調査地19)で撮影された。アカネズミは神峰山1(調査地点7)
や才ノ峠(調査地点18)のほか、属島の生野島1(調査地13)でも撮影された。
- 123 -
表3-11(その1) 自動撮影調査結果(6月)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
調査地点名
大崎1
大崎2
長島1
長島2
神峰山1
神峰山2
神峰山沢1
神峰山沢2
総九郎川1
総九郎川2
森ヶ迫1
森ヶ迫2
生野島1
生野島2
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
明石
大崎隧道
合計
立地
地域
内/外
内
内
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
タヌキ
イヌ
イエネコ
イタチ類
2
イノシシ
アカ
ネズミ
有効
撮影
鳥類
5
1
1
1
2
8
3
1
6
1
1
1
1
1
3
11
12
0
6
2
1
1
5
12
2
0
7
4
2
0
0
5
10
0
1
0
0
7
1
0
1
1
4
14
0
43
表3-11(その2) 自動撮影調査結果(10月)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
調査地点名
大崎1
大崎2
長島1
長島2
神峰山1
神峰山2
神峰山沢1
神峰山沢2
総九郎川1
総九郎川2
森ヶ迫1
森ヶ迫2
生野島1
生野島2
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
明石
大崎隧道
合計
立地
地域
内/外
内
内
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
タヌキ
イヌ
イエネコ
イタチ類
1
イノシシ
アカ
ネズミ
有効
撮影
鳥類
2
30
1
5
1
4
2
5
2
4
1
43
3
5
18
1
1
2
5
3
8
26
1
2
- 124 -
77
6
3
17
2
14
0
3
0
0
35
0
12
1
0
2
0
48
3
23
1
8
0
3
6
11
139
表3-11(その3) 自動撮影調査結果(11-12月)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
調査地点名
大崎1
大崎2
長島1
長島2
神峰山1
神峰山2
神峰山沢1
神峰山沢2
総九郎川1
総九郎川2
森ヶ迫1
森ヶ迫2
生野島1
生野島2
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
明石
大崎隧道
合計
立地
地域
内/外
内
内
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
タヌキ
イヌ
イエネコ
イタチ類
イノシシ
アカ
ネズミ
有効
撮影
鳥類
1
26
1
1
1
2
4
1
4
3
2
62
3
3
1
3
69
3
27
2
12
0
5
0
1
28
0
0
0
4
2
4
0
7
0
3
2
168
0
3
4
3
0
226
表3-11(その4) 自動撮影調査結果(まとめ)
調査地
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
調査地点名
大崎1
大崎2
長島1
長島2
神峰山1
神峰山2
神峰山沢1
神峰山沢2
総九郎川1
総九郎川2
森ヶ迫1
森ヶ迫2
生野島1
生野島2
大串埋立地
中野
権現山
才ノ峠
明石
大崎隧道
合計
立地
地域
内/外
内
内
内
内
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
外
タヌキ
イヌ
イエネコ
イタチ類
2
6
26
1
イノシシ
1
1
30
1
4
7
3
4
3
1
1
5
6
4
43
3
5
1
有効
撮影
鳥類
3
1
10
4
3
21
63
アカ
ネズミ
6
2
1
5
4
4
3
1
3
18
107
4
35
- 125 -
80
31
14
1
21
0
11
29
1
35
0
18
13
4
3
5
48
13
26
63
8
4
11
18
1
292
5.保全上重要な種の調査
(1)調査目的
イタチは広島県RDBにおいて、準絶滅危惧種(NT)に選定されている。イタチは本州、九州、四国
を中心として分布する日本固有種であり、広島県内にもかつては広く分布していた。しかし、1930年
頃に毛皮を採ることを目的とした養殖業者が、朝鮮半島産のチョウセンイタチ輸入し、それが野生化
した(Ohdachi et al、2009)
。チョウセンイタチは現在までに愛知県以西の本州、九州、四国に広く定着
している。現在広島県本土地域で発見されるイタチ類の交通事故死体は、ほとんどがチョウセンイタ
チであり、特に都市近郊ではその傾向が強い。西日本でのチョウセンイタチとイタチの分布について
詳細に調べられた事例はないが、断片的な観察情報から都市部や農村部ではチョウセンイタチが優占
しており、在来種のイタチは山間部のみに生息し、分布を縮小していると考えられる(佐々木、1996)
。
イタチは淡路島、小豆島などの瀬戸内海島嶼にも分布することが知られている(阿部ら、2005)
。しか
し、チョウセンイタチについては、島嶼における分布状況がほとんど把握されていない。大崎上島に
おける過去の調査では、アンケート調査によって「イタチ類」が生息することが示されているが、種
レベルでの同定は為されていない(自然環境研究センター、1995)
。そこで、本調査ではイタチを保全
上重要な種の調査対象に選定し、調査地域内における生息状況を明らかにするため、痕跡調査での糞
のサンプリングやヘアトラップ法等により遺伝子分析試料を収集し、遺伝子分析により種の同定をお
こなった。
(2)調査項目と方法
1)遺伝子分析による種同定
以下①~③の方法により得られたイタチ類のものと思われる体毛、糞、および死体から、ミトコン
ドリアDNAを抽出した。ミトコンドリDNAに存在する、D-ループ領域と呼ばれる、種毎に異なった変
異が見られる領域について塩基配列を読み取り、それに基づいて種同定を行った。遺伝的分析に関す
る手法の詳細は、次頁に別途示した。
- 126 -
遺伝的分析による種判定法
①
原理
遺伝子(DNA)には、種内では同じだか種間で異なる場所がある。ひとつの細胞に数十個から数百個あるミト
コンドリア DNA は母から子にのみ伝わり、解析が容易なため種間比較に多く用いられている。今回のイタチ
類の種判定は、このミトコンドリアの遺伝子を用いた。イタチ類の組織、体毛、糞から DNA を抽出し PCR 法
で増幅した後、シークエンサーで塩基配列を調べる精密法を用いて分析を行った。
細胞
細胞
細胞
(イタチの体は数十兆個の
(イタチの体は数十兆個の
(イタチの体は数十兆個の
細胞からできている)
細胞からできている)
細胞からできている)
ミトコンドリア
細胞当たり数十から数百個ある。
呼吸に関する遺伝子が中心。
母親から子供に伝わる。
遺伝子の種類は数十
個。
ゲノム
細胞当たり一個しかない。
体の設計図。
遺伝子の種類は約3万
個。
(
ミトコンドリア DNA とゲノム(核ゲノム)の相違に関する概要
②
方法
分析に用いたミトコンドリアの DNA は、D ループ領域である。その領域の塩基配列を決定し、種判定する
方法である。
D ループ領域:特定の遺伝子として機能していないため、塩基配列が変化しやすく、同じ動物種でも異なる配
列を持っている場合が多い。ハプロタイプ(塩基配列が尐し異なる多型)が多くみつかる。ハ
プロタイプがわかると、家族関係(母系の親類)もある程度知ることが出来る。イタチ科など
哺乳類の DNA を優先的に増幅する方法を用いた。
③
分析手順
D-ループの塩基配列を決定する方法を用いたアッセイ系
DNA 抽出と精製:糞からの DNA の抽出には、 QIAamp DNA stool キット(キアゲン社)および GFXPCR
DNAand Gel Band purification キット(GE ヘルスケアジャパン社)を用いた。方法はそれぞれのマニュアルに
従った。組織(死体)の DNA は、Dneasy Blood&tissue キット(キアゲン社)を用いて抽出した。体毛の DNA
は、DNA Extractor FM キット(和光純薬工業社)を用いて抽出した。
PCR による微量 DNA の増幅:解析しようとする DNA は微量であるため、大量に増幅する必要があり、PCR
機器(バイオメトラ社)を用いて、KODFX
DNA ポリメラーゼで増幅した。1度増やしたものを用いてもう
一度増幅し、非常に微量な DNA でも検出できる実験操作を行った。
- 127 -
具体的な条件は以下の通りである。
1. 1st PCR
2XKODFX buffer
NTP
蒸留水
プライマー(tanaD-F、tanaD-R)
DNA
KODFX ポリメラーゼ(toyobo)
計
10 マイクロリットル
0.8 マイクロリットル
7 マイクロリットル
各 10 ピコモル
1 マイクロリットル
0.5 ユニット
20 マイクロリットル
《反応条件の例 》
PCR サイク
ル
#1
#2
#3
#4
温度
98 度
98 度
57 度
72 度
時間
2分
15 秒
5秒
30 秒
#2 に返って#2 から#4 を 30 回くり返す。
DNA が増幅するまで、条件を変更しながら行なうためいくつかの反応条件を用いた。
2.アガロースゲル電気泳動で目的の大きさの DNA が増幅されていることを確認し、反応産物を GFX カラム
(GEヘルスケア社)を用いて精製した。
3.2nd PCR
2XKODFX buffer
NTP
蒸留水
プライマー(Dts-d、D195re)
2 で精製した DNA
KODFX ポリメラーゼ(toyobo)
計
10 マイクロリットル
0.8 マイクロリットル
7 マイクロリットル
各 10 ピコモル
1 マイクロリットル
0.5 ユニット
20 マイクロリットル
《反応条件の例》
PCR
サイクル
#1
#2
#3
#4
温度
98 度
98 度
57 度
72 度
時間
2分
15 秒
5秒
30 秒
#2 に返って#2 から#4 を 25 回くり返す。
DNA が増幅するまで、条件を変更しながら行なうためいくつかの反応条件を用いた。
塩基配列の決定方法:上記の1ないし3で増幅された DNA を、GFX カラム(GE ヘルスケア社)を用いて精
製した。そして、塩基配列を決定するためのビッグダイターミネーター反応液(ABI 社)で処理した。
反応後 ABI 社 のシークエンサー、3130xl 型(九州大学医学研究院教育研究支援センター)を用いて塩
基配列を決定した。
- 128 -
《 塩基配列決定の PCR に用いた反応液 》
5X シーケンス buffer
ビッグダイターミネーター
蒸留水
プライマー(tanaD-F もしくは Dtsd)
DNA
3.4 マイクロリットル
1.2 マイクロリットル
13.4 マイクロリットル
3 ピコモル
1 マイクロリットル
計
20 マイクロリットル
《 以下の反応条件で増幅 》
PCR
サイクル
#1
#2
#3
#4
温度
96 度
96 度
50 度
60 度
時間
20 秒
10 秒
5秒
1分
#2 に返って#2 から#4 を 30 回くり返す。
利用した合成オリゴ(プライマー)の塩基配列
D-loop 領域の増幅用
tanaD-F :ACCATCAGCACCCAAAGCTG
tanaD-R :GGGCTGATTAGTCATTAGTCCATC
Dts-d
: CTAACTAAACTATTCCCTGA
D195re : TACATGCTTATATGCATGGGGC
サブクローニング法による混入遺伝子の同定:糞の DNA を同定した所、2 つ以上の動物由来の遺伝子が混
入している物があり、PCR 産物の塩基配列を決定するのみでは種判定が難しかった。そこで、それを明らかに
するために、ZeroBlunt PCR クローニングキット(インビトロジェン社)をもちいて、糞の DNA を用いて増幅し
た PCR 産物の DNA を pCRBlunt ベクターにサブクローニングした。そして、1つの糞より2種類以上のクロ
ーンの DNA の塩基配列を決定し、混入遺伝子がどの動物由来のものかを決定した。
種判定の方法:上記方法で決定された塩基配列を、生物の遺伝子配列のデータベース(Genbank)と比較し
て 、 DNA の 種 を 判 定 し た 。 具 体 的 に は 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 米 国 NCBI の Blast サ イ ト
(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を利用した。さらに、これまでに決定していたニホンイタチ、シベリア
イタチ、ニホンテンの配列を DNASIS ソフトウエア(日立ソフトウエアエンジニアリング社)を用いて比較し
た。
- 129 -
① 痕跡調査
痕跡調査では、イタチ類を対象とした糞のサンプリングを目的とした。糞のサンプリングは中・大
型哺乳類調査の痕跡調査を実施した 12 ルートに、新たに1ルートを加え、合計 13 ルートで実施した。
(図3-6)。糞サンプリングは中・大型哺乳類調査の痕跡調査と同時におこない、イタチ類のものと
判別した糞を採集した。糞を発見した際には、位置を地図上に記録し、糞をチャック付きビニール袋
に入れて冷凍保存した。なお、糞同士の接触により DNA のコンタミネーションが生じることを避ける
ため、サンプル毎に個別のビニール袋を用いた。調査は 2010 年6月、10 月、12 月に実施した。
②ヘアトラップ法、足跡トラップ法
ヘアトラップ法と足跡トラップ法は、立地地域内に4地点、立地地域外に 16 地点、合計 20 地点を
対象として調査を実施した(図3-7)。
ヘアトラップには塩化ビニール製のパイプ(長さ 33cm・直径7cm)の端から5cm の位置にロール
状の粘着テープを装着したものを用いた(図3-8)
。ヘアトラップは各調査地点に1個設置し、動物
を誘引するために、ヘアトラップの中央に魚の缶詰などの餌を置いた。トラップは3~4日間にわた
って設置し、回収時に粘着テープに付着した体毛を採取した。
足跡トラップには中央部に黒インクを塗布したスタンプ板(49cm×10cm)と、雤除けのための筒状
のカバー(50cm×10cm×10cm)を用いた(図3-9)。足跡トラップは各調査地点に1個設置し、動
物を誘引するために、足跡トラップの中央に魚の缶詰などの餌を置いた。トラップは3~4日間にわ
たって設置し、スタンプ板に残った足跡から種の同定を試みた。なお、足跡トラップでは遺伝子分析
試料は得られないが、ヘアトラップと近接して設置することにより、ヘアトラップ法で試料収集や遺
伝子分析が困難であった場合の補助手法と位置づけた。
調査は 2010 年 10 月、11-12 月に実施した。
③路上死体からの組織採集
イタチ類の路上死体を発見した際は、位置を地図上に記録し、死体を丸ごと冷凍保存した。遺伝的
分析には筋肉組織を用いた。冷凍保存個体から切り出した筋肉組織はサンプル毎に15mlのプラスチッ
クサンプルチューブに入れて直ちに冷凍した。分析に供した路上死体の発見地点を図3-10に示す。
なお、路上死体の回収には大崎上島町建設課にご協力いただいた。
- 130 -
図3-6 イタチ類を対象とした痕跡調査ルート
- 131 -
図3-7 ヘアトラップ法、足跡トラップ法調査地点
- 132 -
図3-8 ヘアトラップ
図3-9 足跡トラップ
- 133 -
図3-10 路上死体確認地点
- 134 -
(3)調査結果
1)痕跡調査
痕跡調査による糞のサンプリングと遺伝子分析の結果を表3-12 に示した。調査を実施した 13 ルー
トのうち、12 ルートから糞が採取され、合計 63 個を収集した。遺伝子分析の結果、イタチと同定され
たものが5個、チョウセンイタチと同定されたものが 57 個、イヌと同定されたものが1個であった。
イタチと同定されたものは、大串で2個(M-4、M-18)
、神峰山で1個(M-58)
、森ヶ迫で1個(M-61)
、
生野島で1個(M-6)であり、調査地域内での生息が確認された。
2)ヘアトラップ法・足跡トラップ法
ヘアトラップ法の結果と採集された体毛の遺伝子分析の結果を表3-13に示した。ヘアトラップ法
により11地点で14個の試料を得た。これに地元住民が飼育している個体から採集した体毛を加え、15
個の試料とした。体毛の遺伝子分析の結果、アカネズミと同定されたものが3個、チョウセンイタチ
と同定されたものが3個、ネコと同定されたものが7個、イヌと同定されたものが2個であり、イタ
チは確認されなかった。足跡トラップでは明確な足跡が撮れたものはなく、確認された種はなかった。
3)路上死体からの組織採集
路上死体の遺伝子分析の結果と計測記録を表3-14に示した。その結果、路上死体の2個体はいず
れもチョウセンイタチであった。
- 135 -
表3-12 遺伝子分析結果(糞)
ルート№
ルート名
1
大崎
2
長島
3
大串
4
神峰山
5
6
神峰山沢
総九郎川
7
森ヶ迫
8
生野島
a
大串埋立地
b
中野
d
才ノ峠
e
前條
採集日
2010.12.1
2010.12.1
2010.6.22
2010.12.1
2010.6.23
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.19
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.12.1
2010.12.1
2010.6.23
2010.6.23
2010.6.23
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.12.1
2010.6.23
2010.10.18
2010.10.18
2010.12.1
2010.12.1
2010.12.1
2010.6.23
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.10.18
2010.11.30
2010.11.30
2010.11.30
2010.11.30
2010.10.18
2010.12.1
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.6.23
2010.6.24
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.10.19
2010.12.2
2010.12.2
2010.12.2
2010.12.2
2010.12.2
サンプルID
M-53
M-54
M-55
M-36
M-56
M-1
M-2
M-3
M- 4
M-15
M-16
M-17
M- 1 8
M-19
M-42
M-43
M-57
M- 5 8
M-59
M-29
M-30
M-31
M-32
M-33
M-34
M-35
M-37
M-60
M-13
M-14
M-38
M-39
M-40
M- 6 1
M-5
M- 6
M-7
M-8
M-9
M-10
M-11
M-46
M-47
M-48
M-49
M-12
M-41
M-24
M-25
M-26
M-27
M-28
M-62
M-63
M-20
M-21
M-22
M-23
M-44
M-45
M-50
M-51
M-52
種判定
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
イヌ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
イタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
イタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
イタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
イタチ
チョウセンイタチ
イタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
- 136 -
表3-13 遺伝子解析結果(体毛)
調査地点
ルート名
番号
1
大崎1
3
長島1
4
6
8
11
12
14
長島2
神峰山2
神峰山沢2
森ヶ迫1
森ヶ迫2
生野島2
15
16
17
大串埋立地
中野
権現山
その他
飼育個体
採集日
2010.12.3
2010.10.20
2010.12.3
2010.12.3
2010.10.21
2010.10.21
2010.12.2
2010.10.21
2010.12.3
2010.10.20
2010.10.21
2010.10.21
2010.12.3
2010.10.21
2010.10.16
サンプルID
H-7
H-9
H-16
H-5
H-8
H-10
H-3
H-14
H-4
H-12
H-11
H-1
H-6
H-15
H-17
種判定
ネコ
ネコ
チョウセンイタチ
ネコ
ネコ
ネコ
アカネズミ
チョウセンイタチ
アカネズミ
アカネズミ
イヌ
イヌ
ネコ
ネコ
チョウセンイタチ
表3-14 遺伝子解析結果(組織)と計測記録
採集地
大崎上島町原田
大崎上島町大串
採集日
2010.4.21
2010.10.25
サンプルID
DOR-1
DOR-2
種名
チョウセンイタチ
チョウセンイタチ
性別
♀
♂
体重
(g)
446
952
全長 頭胴長
(mm)
(mm)
475
302
571
358
尾長 後足長
(mm)
(mm)
173
52
213
70
(4)まとめ
分析を実施したサンプル80個(糞63個、体毛15個、組織2個)のうち、イタチと同定されたものは
5個(すべて糞)
、チョウセンイタチと同定されたものは62個(糞57個、体毛3個、組織2個)であっ
た。遺伝的解析により同定された結果から、イタチとチョウセンイタチの分布が確認された地点を図
3-11および図3-12にそれぞれ示した。
イタチはルート3(大串)で2個、ルート4(神峰山)で1個、ルート7(森ヶ迫)で1個、ルー
ト8(生野島)で1個が、それぞれ確認された。ルート3の位置する大串は、大崎上島西部に位置す
る平野であり、水田や湿性の草地が広がる地域である。ルート4の位置する神峰山は、大崎上島中部
に位置し、島で最も標高の高い地域で落葉広葉樹林を中心とした森林になっている。ルート7の位置
する森ヶ迫は、島北部の丘陵に位置する傾斜地であり、果樹園や広葉樹林が周囲に広がっている。ル
ート8の位置する生野島は、大崎上島の北部に隣接する小島で、平野はほとんど無い丘陵状の地形で
あり、果樹園や広葉樹林が広がっている。このように、今回イタチの生息が確認された地点は、地理
的位置、地形、周辺環境のいずれについてもそれぞれ異なった場所となっている。こうした結果から、
イタチは調査地域内に広く分布しており、そのハビタット選択も幅広いであることが示唆された。今
回、立地地域である長島からは、イタチの生息が確認されなかった。しかし、今回の調査によってイ
タチが多様な環境で生息しうることが示され、かつ生野島のような小島にも生息している事から、立
地地域内でもイタチが生息する可能性はあると考えられる。
- 137 -
チョウセンイタチは糞の採集を行った13ルート中、ルートc(権現山)以外の12ルート、ヘアトラッ
プを設置した20地点中2地点、そして路上死体として発見された2地点、合計16地点で生息が確認さ
れた。確認されたサンプル数は、糞で57個、体毛で3個、路上死体で2個、合計62個であった。チョ
ウセンイタチが確認された地点は山間部の神峰山(ルート4)から立地地域である大崎(ルート1)、
さらに生野島(ルート8)と広範囲にわたっていた。この結果から、チョウセンイタチは立地地域内
を含む調査地域全域に生息していると考えられた。また、イタチの生息確認が5件のみであったのに
対し、チョウセンイタチの生息確認数は62件と非常に多かった。また、イタチの生息が確認された4
地点では、チョウセンイタチも生息することが明らかになった。
今回の調査結果から、調査地域内には在来種のイタチと外来種であるチョウセンイタチの2種が生
息していることが明らかになった。過去の調査において、
「イタチ類」が大崎上島に生息については述
べられていたが、明確に2種が生息することが示されたのは本調査が初めてである(自然環境研究セ
ンター、1995)
。また、チョウセンイタチの島嶼での分布状況については情報が不足しており、今回大
崎上島および生野島で生息が確認されたことは、瀬戸内海の他島嶼における生息状況を推測する上で
も重要な情報となる。
今回の調査では、両種は常に同所的に生息が確認されており、どちらか1種のみが生息する地域と
いうのは確認されなかった。よって、従来論じられてきた、山間部にイタチが生息し、平野部にはチ
ョウセンイタチが生息するといった、ハビタット選択の種間相違は当調査地域では見られていない事
が示唆された。また、チョウセンイタチが合計62件、16地点で生息が確認されたのに対し、イタチは
合計5件、4地点で生息を確認したのみであった。こうした確認状況から、調査地域内のほとんどの
地域で、チョウセンイタチはイタチよりも高密度に生息し、優占している事が示唆された。両種の生
息密度や個体数は明らかではないが、イタチはチョウセンイタチとの競争によって個体数が減尐して
いると考えられ、個体群の保全のために注意が必要であると考えられる。
立地地域内ではチョウセンイタチの生息が確認され、イタチは確認されなかった。しかし、生野島
でイタチが生息していることから、立地地域である長島でもイタチが生息する、ないし過去に生息し
ていた可能性があると考えられる。
なお、今回の遺伝的分析によって、ルート4(神峰山)で得られたイタチの糞(サンプルID M-58)
の中から、テンのDNAが微量ながら検出された。テンは痕跡調査、自動撮影調査などで生息が確認さ
れておらず、今回の検出は分析上のエラーである可能性もあるため、本調査の生息確認種には加えな
かったが、神峰山周辺にテンが生息している可能性があることを追記しておく。
- 138 -
図3-11 遺伝子分析により確認されたイタチの分布
- 139 -
図3-12 遺伝子分析により確認されたチョウセンイタチの分布
- 140 -
6.まとめ
哺乳類調査では哺乳類相調査と保全上重要な種の調査を実施した。
哺乳類相調査では、現地調査として地上性小型哺乳類調査を1回、コウモリ類捕獲調査を1回、痕
跡調査および自動撮影調査を3回実施した。これら現地調査の結果に既存文献情報を加え、哺乳類相
調査における哺乳類生息確認種リストを作成した。その結果、現地調査から5目 13 種、既存文献資料
を加え6目 14 種の生息が確認された。生息が確認された種のうち、広島県 RDB に記載されている種
はモモジロコウモリ、ユビナガコウモリ、イタチの2目3種であった。また、既存文献にはなく今回
の調査で初めて生息が確認されたのはニホンジネズミ、キクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、ユ
ビナガコウモリ、チョウセンイタチ、ハツカネズミの4目6種であった。
地上性小型哺乳類調査では、20 地点で捕獲調査をおこなった。その結果ニホンジネズミ、アカネズ
ミ、ハツカネズミの3種の生息が確認された。過去の調査ではカヤネズミとアカネズミの生息が確認
されている(自然環境研究センター、1995)
。今調査でカヤネズミの捕獲個体はなかったが、球巣によ
り生息を確認している。このことから当調査地域には4種の地上性小型哺乳類が生息することが確認
された。立地地域である長島での生息情報は得られなかったが、ニホンジネズミやハツカネズミは生
息する可能性がある。
コウモリ類捕獲調査では、立地地域内でモモジロコウモリ1種、立地地域外の2地点ではキクガシ
ラコウモリ、ユビナガコウモリの2種の生息を確認し、調査地域全体では3種の生息を確認した。既
存文献から、大崎上島を含む芸予諸島におけるコウモリ類の生息情報はほとんど得られなかった。赤
穂根島(愛媛県)で生息を確認しているが、バットディテクターによるエコロケーションの確認だけ
であり、種の同定はされていない(山本ほか,2007)。このように芸予諸島のコウモリ相は不明な部分
が多く、現時点での生息情報は重要なものと考えられる。
中・大型哺乳類調査では、自動撮影調査および痕跡調査の結果から、タヌキ、イヌ、イタチ、チョ
ウセンイタチ、イエネコ、イノシシの2目6種が生息するとことが明らかになった。立地地域内では
タヌキ、イヌ、チョウセンイタチ、イエネコ、イノシシが確認された。本調査地は島嶼という孤立し
た狭い空間であるため、生息する哺乳類相は限られると考えられる。
保全上重要な種の調査では、広島県 RDB で準絶滅危惧(NT)に記載されているイタチを選定した。
本種は広島県内に広く分布していたが、外来生物であるチョウセンイタチの導入により、本来の生息
環境から駆逐され減尐傾向にあると考えられている。また、イタチとチョウセンイタチは形態が類似
しており、目撃や写真、痕跡からの識別が困難である。そのため、これまでの痕跡調査や自動撮影調
査では正確な生息情報を把握することは難しかった。これらのことから、本調査では糞サンプリング
やヘアトラップ法等により遺伝子分析試料を収集し、遺伝子分析により種の同定をおこない、イタチ
とチョウセンイタチの生息状況を調査した。その結果、調査地域内にはイタチとチョウセンイタチの
2種が生息していることが明らかになった。両種は常に同所的に生息が確認されており、ハビタット
選択の種間相違は当調査地域では見られていない事が示唆された。また、確認状況から、調査地域内
のほとんどの地域で、チョウセンイタチはイタチよりも高密度に生息し、優占している事が示唆され
た。このことから、イタチはチョウセンイタチとの競争によって個体数が減尐していると考えられ、
個体群の保全のために注意が必要であると考えられる。なお、立地地域内ではチョウセンイタチが生
息し、イタチは確認されなかった。しかし、生野島でイタチが生息していることから、立地地域であ
- 141 -
る長島でもイタチが生息する、ないし過去に生息していた可能性があると考えられた。
- 142 -
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・
総
括
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・
- 143 -
- 144 -
1.本調査の成果
(1)生息環境調査
調査地域の自然環境の概要を把握するため、地形、気象、植生に関する既存資料を収集し、解析を
行った。調査地域である大崎上島町は、瀬戸内海のやや西寄りに位置しており、大小様々な島嶼から
成っている。大崎上島は、島全体が北西にむかって緩やかに傾いており、北側の中央部を南北に流れ
る川の下流には、沖積地がわずかにみられる。その他の河川は小規模で、大きな湖沼もない。大崎上
島の東部と南部は、山頂から急斜面で海岸にのぞんでいる場所が多く、平地は少ない。調査地域の中
で最も標高が高いのは、大崎上島の南東部にある神峰山(453m)である。
気象条件としては、年平均気温は 15.2℃であり、最暖月と最寒月の平均気温はそれぞれ8月(26.7℃)
と1月と2月(5.4℃)である。年間降水量は 1272.4mm と少なく、そのうちの約3割が6月から7月
にかけての梅雨期、約1割が台風の多い9月で占められる。調査地域である大崎上島町は典型的な瀬
戸内気候であり、気温は温暖で、年降水量は少なく、降雨が夏に集中するのが特徴である。調査地域
内の降水量の分布をみると、西側の方が降水量がより少ない傾向がある。吉良の温かさの指数と寒さ
の指数は、最低標高である0mではそれぞれ 122.9 と 0.0、最高標高である 452.3mではそれぞれ 94.5
であり-4.6 であった。暖かさの指数が 85 以上で寒さの指数が-15 以上の地域は、常緑広葉樹林が分
布する範囲とされ、本調査地域は全て常緑樹林が分布する範囲に含まれる。現存植生図をみると、立
地地域である長島には、発電所立地地点を中心に造成地が広がっている。その他にみられる植生とし
ては、常緑果樹園、水田雑草群落、畑地雑草群落がほとんどを占め、森林としてはわずかにコバノミ
ツバツツジ-アカマツ群集がみられる。調査地域である大崎上島や生野島では、南側の標高の高い場
所を中心にコバノミツバツツジ-アカマツ群集が分布しており、そのまわりを取り囲むようにして常
緑果樹園がみられる。北西部側にある標高の低い場所には、ヨシクラスや塩沼地植生もみられるが、
その他は市街地、水田雑草群落、畑地雑草群落で占められている。
立地地域である長島の地形の変化を過去の地形図からみると、現在は大崎発電所として利用されて
いる範囲の大部分は昭和 40(1965)年には塩田であった。昭和 53(1973)年になると、塩田だった場
所は開放水域に変化し、おもに島の南側でみられた果樹園が、北側でも多くみられるようになった。
昭和 62(1987)年になると、塩田だった場所は全て埋め立てられ、平成 11(1999)年には、大崎発電
所が建設された。このように立地地域の埋め立てが終了し、現在のような陸地になってからは 20 年以
上が経過し、大崎発電所が建設されて現在のような土地利用になってからは約 10 年が経過している。
調査地域の代表的な植生を把握するため、8ヶ所の調査ルートで植生調査を行い、種組成や階層構
造に関する情報を収集した。8つの調査ルートは、環境の違いと調査地内における位置を考慮して設
定したもので、立地地域内の発電所(ルート1)と広葉樹林(ルート2)、調査地内の水田(ルート3)、
広葉樹林(ルート4、5、8)、河川(ルート6)、果樹園(ルート7)を調査対象とした。それぞれ
のルート内には、このほかに針葉樹林、竹林、草地などが含まれており、多様な植生環境から成って
いる。
植生環境ごとの特徴を、構成種、出現種数、帰化率から比較すると、草地や水田は出現種が少ない
が帰化植物が多いのが特徴で、人為的な影響を大きく受けている環境である。果樹園は、草地や水田
に次いで人為的影響が大きい環境である。竹林は、果樹園に比べれば出現種は多いが、森林の中では
人為的な影響が大きい環境といえる。植林地である針葉樹林は、出現種の種数が多いことや帰化植物
- 145 -
が少ないという点で、落葉広葉樹と同程度に人為的な影響が少ない環境といえる。
それぞれのルートの特徴は、ルート1とルート3は、草地などの人為的な影響が大きい環境が大部
分を占め、ルート2、ルート6、ルート7、ルート8は、草地、果樹園、竹林、広葉樹林といった多
様な環境がみられ、ルート4とルート5は広葉樹林や針葉樹林からなる人為的な影響が少ない環境で
ある。
環境省のレッドリストや広島県のレッドデータブックに掲載されている種類は、今回の現地調査で
は確認されなかった。
(2)鳥類調査
本調査では、鳥類相調査、定点観察調査、捕獲調査、録音調査及び保全上重要な種の調査を実施し
た。鳥類相調査では、既存文献調査と現地調査に基づき鳥類リストを作成し、大崎上島町内での確認
種リストは合計で17目41科150種(外来種含)となり、現地調査では16目37科109種(外来種含)が確
認された。今回の調査で、オシドリ、ハイイロチュウヒ、チョウゲンボウ、クイナ、アオアシシギ、
タカブシギ、コマドリ、ノゴマ、トラツグミ、ヒガラ、ノジコ、アトリの11種が新たに確認された。
今回の調査では通常行われるルートセンサス調査と定点観察調査に加え、最近開発され、鳥類の新
たな調査方法として注目されている録音調査と、かすみ網を用いた捕獲による生息種の確認調査を実
施した。録音調査では、ルートセンサス調査(繁殖期調査)において確認されなかったカイツブリ、
バン、アオアシシギ、ツツドリ、ホトトギス、フクロウ、ヨタカ、トラツグミの 8 種が確認された。
一方で、ルートセンサス調査のみで確認されている種も多く、カワウ、ダイサギ、トビ、コシアカツ
バメ、ハクセキレイ、オオルリの 6 種は録音調査で確認されていない。そのため、各調査の確認種数
の比較では、違いはほとんど見られなかった。ルートセンサス調査のみで確認された鳥類の共通点と
しては、頻繁には鳴かないという点、飛翔高度が高いという点、縄張り性が強いという点が挙げられ
る。IC レコーダーは常に同じ場所に設置されているため、頻繁に鳴かずに高空を飛翔する種や、縄張
り性の強い種は確認することは困難と考えられた。しかし、ルートセンサス調査で確認されない種類
がこれほど多く確認されたことは、鳥類相を把握する上で非常に有効な調査手法であると考えられた。
捕獲調査では、その他の調査で確認されなかったアリスイ、ノゴマ、ノジコ、ニュウナイスズメの 4
種が確認された。アリスイやノゴマは潜行性が強く、ルートセンサス等の目視調査では確認すること
が困難な種である。捕獲調査を行わなければ確認できなかったものと考えられ、捕獲調査も録音調査
と同様、鳥類相を把握する上で重要な調査であると考えられた。かすみ網による捕獲調査は法的規制
も多く一般的な調査手法ではないが、ルートセンサス調査などの目視による調査よりも新たな種を確
認できる有効な手法であると考えられた。
発電所に係る環境影響評価の手引き(経済産業省 原子力安全・保安院
平成 19 年 1 月)では、
動物(陸域)の調査すべき情報として鳥類では鳥類相と渡り区分とされている。調査手法は、ライン
センサス法による調査(一定の調査ルートの観察幅内に出現する種類等を直接観察あるいは鳴き声な
どで確認し、記録する)、ポイントセンサス法による調査(見通しのきく場所に定点を設定し、出現す
る種類等を直接観察により記録する)、任意観察調査を実施することになっている。本業務の目的は、
環境影響評価を審査するための基礎資料を得ることであるため、通常行われる調査よりもある程度高
い精度を保ち、チェック機能を持たせなければならない。今後は、新たな調査手法を試行しつつ、簡
便で効率的な調査手法の組み合わせを検討することが必要になるだろう。
- 146 -
(3)哺乳類調査
今回の調査対象とした大崎上島、長島、および生野島は、これまでに哺乳類の生息状況に関する調
査が十分に行われておらず、哺乳類の生息状況には不明の点が多かった。例えば、翼手目(コウモリ
類)については全く調査事例が無く、食肉目イタチ類についても生息している種がチョウセンイタチ
なのか、イタチなのかについては不明の状態であった。今回の調査では、調査対象とした3島嶼につ
いて、哺乳類の各分類群を網羅するよう、総合的な調査を実施し、その結果これまでに生息が確認さ
れていなかった8種を含む、6目9科 14 種の生息が確認された。哺乳類の生息状況に不明な点が多い
瀬戸内海島嶼において、今回の調査結果は貴重な情報となり得、他島嶼での哺乳類相を考察する上で
重要な成果となり得るだろう。
今回の調査で初めて生息が確認されたニホンジネズミは、小型であり、ワナによって捕獲されにく
いため、島嶼での分布状況には不明な点が多い。川口(1999、2003)は大三島や大崎下島などの芸予
諸島で、小型哺乳類の生息状況を調査しているが、調査対象のすべての島でニホンジネズミは確認さ
れていない。ニホンジネズミはこれまで、淡路島以外の瀬戸内海島嶼での生息は確認されておらず、
本調査での確認により生息が未確認の瀬戸内海島嶼においても、多くの島で生息している可能性が示
唆された。なお、調査地域内にモグラ類による坑道は確認されず、コウベモグラなどの地中性のモグ
ラ科動物は生息していないと考えられた。
今回の調査において、遺伝的分析による種同定を試み、生息状況の詳細を確認したイタチとチョウ
センイタチについては、これまで両種とも瀬戸内海島嶼での分布状況が明確でなかった状況であり、
今回の調査の成果は画期的なものであると考えられる。今回の調査では、大崎上島のみならず生野島
のような小島嶼でも両種が共に生息する事、同所的に両種が生息するが生息密度はチョウセンイタチ
の方が高い事、従来想定されていたイタチとチョウセンイタチのハビタット選択の相違が特に見られ
ない事、立地地域にはチョウセンイタチが生息している事、などが明らかになった。イタチとチョウ
センイタチの識別は、痕跡調査や自動撮影調査では難しく、それらの種の生息状況を正確に把握する
ことは困難である。今回の調査で試みた、遺伝的分析を用いた体毛や糞からの種同定は、イタチ類を
はじめ中大型哺乳類の生息状況を把握する上で有効な手法になり得ると考えられる。
2.今後の課題
今回の調査では、鳥類調査において鳥類音声録音調査やかすみ網を用いた捕獲調査を、哺乳類調査
において遺伝子分析試料収集による種同定など、新たな調査手法を試行した。これらは、発電所に係
る環境影響評価の手引き(経済産業省 原子力安全・保安院
平成 19 年 1 月)に挙げられる基本的
な現地調査の手法では、確認が困難な種の生息情報を得ることを目的としている。今回の調査で試行
した新たな調査手法は、専門的な技術が必要となる手法や研究段階のものもあることから、その効果
や注意点などを表4にまとめた。
今後は、調査の目的に応じた新たな調査手法を試行しつつ、簡便で効率的な調査手法の組み合わせ
を検討することが必要になるだろう。また、調査手法の検討結果は、今後の環境影響評価の手引きに
おける調査手法の基礎資料として活用できるものと考えられる。
- 147 -
表4 本調査で試行した新たな調査手法
調査方法
目的・手法詳細
調査適応対象(例)
糞サンプリング
踏査による糞(遺伝子分
中・大型哺乳類
析試料)の採集
哺
乳
類 ヘアトラップ法
調
査
ヘアトラップによる体毛
(遺伝子分析試料等)の 中・大型哺乳類
採集
鳥
類
調
査
使用機材
利点
注意点
保存用のプラスチック
チューブやチャック式
ビニール袋等
99%エタノール
・痕跡では同定が困難な種の
判別が可能
・遺伝子分析技術が必要
・非捕獲であるため個体への
影響がない
有刺鉄線
粘着テープ
・非捕獲であるため個体への
影響がない
・調査労力の軽減
・遺伝子分析技術が必要
・小、中型哺乳類を対象とした
手法が確立していない
足跡トラップ
足跡トラップ(トラックプ
レート)に残る足跡から出 小・中型哺乳類
現種を確認する
トラックプレート
・機材が安価
・盗難のリスクが低い
・地形による影響がない
・1台あたりの検出力が低い
・雨天に弱い
網による捕獲
(かすみ網)
山地樹林部、休耕田、ヨ
シ原等にかすみ網を設 鳥類全般
置し、鳥類を捕獲する
かすみ網
ポール、ロープ等
・性、年齢、繁殖の有無など詳
細なデータが得られる
・潜行性の強い鳥類を確認で
きる
・法的な規制がある
・専門的な技術が必要(鳥類
のハンドリング)
・調査場所が限られる
鳥類音声録音
ICレコーダーに録音され
た鳥類の音声から種を同 鳥類全般
定する
・長期間の調査が可能
・取得したデータの解析に時
ICレコーダー
・夜行性鳥類の記録率が高い 間を要する
ハウジング、マイク等 ・人手をかけずに大量のデー ・設置場所が限定される
タを取得できる
・記録率の低い鳥類がある
(1)鳥類調査
今回新たな調査手法として、録音調査と捕獲調査を行った結果、これらの調査手法は一般的な調査
手法(ルートセンサス法、定点観察法)と比較して、夜行性鳥類や潜行性鳥類の確認率(検出率)が
高く、鳥類相を把握する上で非常に有効な調査手法であると考えられた。しかし、かすみ網による捕
獲調査では、設置場所が限られるため確認することが困難な種類があること、法的規制があり実施す
るためには環境省から鳥獣捕獲許可を得なければならないこと、鳥類のハンドリング技術を習得した
調査員が必要であること等の課題も残った。また、録音調査では、鳴かない鳥等の確認が困難である
こと、録音が長時間に及ぶため、全ての録音データを再生して出現鳥類を同定するためには、録音時
間以上の時間が必要であること等が問題点として挙げられた。
これらの問題点は、調査手法の特性上やむを得ない部分も多い。特に捕獲調査は古来より行われて
きた調査であるため、網の張り方、調査場所の選定等の技術的な部分は改善する余地はほとんどない。
しかし、録音調査は最近開発され、歴史の浅い調査手法であるため、検討する余地は多い。例えば、
録音日数の期間延長(蓄電容量の多い電池を用いた長期録音)、録音時間の設定方法(録音する時間帯
により確認される鳥類は違うのか)、録音機材の設置方法(飛翔する鳥類の音声を録音)、音声解析ソ
フトの活用等は、今後の検討課題であると考えられる。
近年、これらの調査手法の他に安価な調査手法としてスポットセンサス法を用いている調査がある。
河川水辺の国勢調査(国土交通省)では、ルートセンサス法とスポットセンサス法の調査結果を比較
検討し、スポットセンサス法は河川のような長大区間には適合性・効率性がよいと考えられ、また植
生図のような連続データとの関係分析にも有用性が高いとし、平成 18 年度に河川水辺の国勢調査 基
本調査マニュアルを改訂して、スポットセンサスを採用している。
今後は、本調査で実施した調査手法の組合せを検討し、それぞれの調査手法の特徴を活かし、効率
的で安価な調査体制(調査方法の組合せ)を検討することが必要であろう。また、スポットセンサス
法は開放的な環境での調査精度の検証は行われているが、森林地帯等の閉鎖的な環境における適応性
- 148 -
を検証していない。今後の環境影響評価における鳥類相調査において適合可能か検討する必要がある。
(2)哺乳類調査
保全上重要な種の調査では、これまで判別が困難であったイタチとチョウセンイタチの種判定を遺
伝子分析によりおこなった。また、遺伝子分析試料の収集のため糞のサンプリング、ヘアトラップ法
などの新たな手法を用いた。これらの手法は、捕獲しない生体からの非侵襲的サンプリングであるこ
とから、調査にかかる労力を軽減し、かつ捕獲に伴う個体への影響も排除できる。これは野外で採集
した糞が、例えば乾燥して白化したような状態でも種の同定が可能になるなど、遺伝子分析技術の向
上によるところが大きい。本調査におけるイタチ類のように、より詳細な情報を得る必要がある場合
には非常に有効な手段であるといえる。
一方、効率的なサンプリング手法にはまだ検討の余地がある。ヘアトラップ法は国内ではツキノワ
グマやヒグマを対象とした有刺鉄線におるサンプリングが知られているが、小型・中型食肉目のヘア
トラップ法は研究が進んでいない。本調査で用いたヘアトラップは自作したものであり、調査手法も
確立したものではない。今回の結果を踏まえ材質や形状、設置期間など検討する必要がある。また、
足跡トラップ法では明確な足跡をとることが出来なかった。標的種を対象とした形状や設置方法など
を検討する必要がある。
- 149 -
引 用 文 献
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- 150 -
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
資
料
編
・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・
- 151 -
- 152 -
本資料は、調査地域において生息が確認されている鳥類および哺乳類の環境選好性、その他の生態
的特性を、既存資料と本調査の結果に基づき、表形式でまとめたものである。
野生動物が生息するために必要な環境要素や、生息状況を規定する条件は生物種により異なり、競
合する種の存在や地域の環境特性などによっても異なっている。したがって、生態系の調査における
注目種選定、動物の調査における調査計画の立案、事業により影響を受ける生物種の環境保全措置の
検討などの際には、調査地域の環境特性をふまえた、種毎の生息環境や生態的特性に関する基礎的な
情報が必要となる。しかし、調査地域におけるそれぞれの種の生態的特性に関する既存調査例はきわ
めて乏しく、さらに種によっては生態的な知見がほとんどない場合もある。したがって、本資料の記
述内容は、他地域における事例あるいは推測による部分が多く、今後修正すべき内容も多いと考えら
れる。本資料の内容は、以下で述べるように、環境選好性に関する部分と生態的特性に関する部分と
に大きく分けられる。
1.野生動物の環境選好性
生息環境区分にあたっては、環境タイプの内容や分布の違いから、植生、水域、特殊な環境構成要
素の3項目を設定した(資料1,2)。
(1)植生
1)草地
a.乾性:ススキ草地など
b.湿性:河川敷などに見られるヨシ群落など
2)樹林地
a.常緑広葉樹林:クスノキ・ヒサカキなどを主とした常緑広葉樹林
b.落葉広葉樹林:コナラなどを主とした落葉広葉樹林
c.針葉樹林:アカマツを主とした針葉樹林
d.針葉樹植林:スギ・ヒノキの人工林
3)その他
a.水田
b.竹林
c.果樹園・畑地
d.市街地
e.人工裸地:造成地など人為的に作られた裸地
(2)水域
水域には水面、水中および岸辺を含む。
1)流水域
a.上中流:瀬と淵が明瞭に区分できる山間渓流から中流域まで
b.下流:早瀬を持たない下流域
- 153 -
2)止水域
a.湖沼:広い開放水面
b.池:比較的狭く浅い止水、全面に水生植物が繁茂する場合が多い
3)海域
a.砂州海岸
b.岩礁海岸
c.洋上
(3)特殊な環境構成要素
1)林冠ギャップ
2)枯損木・倒木
3)樹洞
4)土崖
5)岩崖
6)洞穴
7)木造建造物
8)コンクリート建造物
環境選好性については、野生動物の生息環境区分の項で述べた内容に準拠した植生区分、水域区分、
特殊な環境構成要素にしたがって整理した。ある環境区分の好適性を考えるにあたり、動物にとって
の利用目的として繁殖場所(B)、採食場所(F)、休息場所・隠れ場所(R)に分けた(ただし、鳥
類はRとBの区分が困難であるためFとBのみとした)。各環境の好適性を好適(a)、二次的(b)、
生息可能(c)、不適(空欄)の4段階とし、a~cを表示した。
本資料により、環境改変を行う地域(環境)にどのような種が生息し、どのような環境利用をして
いるのか、また、改変後にそれらの種が影響を受けるかどうかなど、おおまかに推測することが可能
になる。
2.野生動物の生態的特性
生態的特性としては、出現期・繁殖期、繁殖場所、食性、社会構成、繁殖習性をとりあげた(資料
3,4)。出現期・繁殖期は、工事期など環境改変をする時期(季節)を検討する際に重要視されるべ
き特性である。繁殖場所、採食場所および食性は、ある環境区分の重要性を考える上で必要な知見で
ある。
一方、社会構造には、群れなどの社会構成単位の種類と大きさ(群れの構成個体数)、行動圏の大き
さが含まれる。繁殖習性には1年当りの繁殖回数、産仔数(1腹卵数)、繁殖密度等が含まれる。これ
らの特性に関する数値は、ある広さにわたる環境改変がどのくらいの個体に影響を及ぼすのかを考え
る上での基礎的な情報を提供する(資料5,6)。
- 154 -
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
オオハム
シロエリオオハム
カイツブリ
カンムリカイツブリ
カワウ
ウミウ
ゴイサギ
ッ
c
F
a
a
a
B
a
a
a
F
a
a
c
a
b
a
a
b
a
b
b
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b
c
c
b
F
b
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F a
コサギ
a
a
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a
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b
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b
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b
b
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b
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b
b
b
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b
b
b
c
b
a
a
a
b
c
a
a
b
F
c
B
アオサギ
F c
a
a
B
オシドリ
F
c
a
a
a
a
a
a
a
カルガモ
b
a
a
a
a
b
a
a
a
a
a
b
b
B
マガモ
a
F c
a
B
a
F c
a
B a
a
b
b
b
b
造
b
F b
b
倒
b
a
b
建
a
a
b
B
クロサギ
a
a
c
a
a
a
a
b
a
a
a
a
a
a
a
b
- 155 -
リ
造
a
a
B
チュウサギ
a
F
B
ダイサギ
a
a
a
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
c
F
F
ク
海 海
F
B
アマサギ
ャ
畑
F
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
アビ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
b
b
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
ヨシガモ
ヒドリガモ
オナガガモ
ハシビロガモ
ホシハジロ
キンクロハジロ
ビロ-ドキンクロ
ウミアイサ
ミサゴ
a
a
F
a
F c
ッ
a
b
a
a
a
a
a
a
b
a
a
b
a
F c
a
b
a
a
a
b
F
b
b
a
a
a
a
b
a
a
a
a
b
F
b
a
a
a
a
b
b
b
F
b
F
b
c
c
a
a
a
a
b
a
a
b
b
F a
a
B
オオタカ
F b
b
b
b
a
b
a
a
a
a
a
a
a
b
b
b
b
c
a
a
a
b
b
a
a
b
b
a
b
B
ツミ
サシバ
c
b
a
b
a
b
a
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a
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c
b
c
b
a
B
a
a
b
a
a
a
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a
a
c
F a a b a a b a c c
a
a
b
c c c
c a a b
b
造
a
c
F b b b a a b b
F b
倒
b
b a a b
B
ノスリ
b
F b b b a a b b c b c
B
ハイタカ
a
建
a
a
b
b
a
- 156 -
リ
造
b
F
F
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
B
トビ
b
F
ク
海 海
a
B
ハチクマ
ャ
畑
F c
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
コガモ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
b b b b
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
チュウヒ
ハヤブサ
ャ
ッ
畑
ヤマドリ
キジ
a
a
b
b
b
F b
a
a
a
a
a
b
b
b
F b
b
b
b
a
a
a
a
a
c
a
ヒクイナ
バン
オオバン
タマシギ
コチドリ
シロチドリ
メダイチドリ
ケリ
タゲリ
ハマシギ
a
b
a
a
a
b
B
b
a
a
a
b
b
a
b
b
a
b
a
c
b
b
b
b
b
b
a
B a
クイナ
a
b
b
b
a
a
b
c
b
a
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F c
a
a
a
a
a
F c
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a
a
a
a
B
a
a
a
a
F
a
b
a
b
a
B
a
b
a
b
a
F
a
a
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a
B
a
b
a
a
a
F
a
a
b
b
b
B
a
F b
a
a
b
a
b
b
a
B b
c
c
a
a
F b
c
c
a
a
c
c
a
B b
c
a
a
F
b
b
F b
a
a
a
B a
a
a
a
F b
a
a
F
c
b
b
b
b
a
b
a
b
b
a
b
b
a
c
c
b
a
c
c
- 157 -
リ
建
造
倒
造
a
F b
F a
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
F a
F a
ク
海 海
B
チョウゲンボウ
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
ハイイロチュウヒ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
a
b
c
b
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
樹 樹
葉
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
クサシギ
タカブシギ
キアシシギ
イソシギ
ソリハシシギ
チュウシャクシギ
タシギ
アカエリヒレアシシギ
ユリカモメ
セグロカモメ
オオセグロカモメ
シロカモメ
カモメ
ウミネコ
ミツユビカモメ
ャ
ッ
b
a
b
F
b
a
F
b
a
F b
a
c
b
F
a
b
b
B b
a
b
a
b
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b
b
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b
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b
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b
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b
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b
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b
b
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c
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b
c
a
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a
b
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F
F b
b
F
b
b
c
b
F
F
F c
b
b
F
c
c
F
ハジロクロハラアジサ F
シ
b
b
- 158 -
倒
リ
建
造
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
a
ク
・
海 海
畑
F
ン
造
建
池
中
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
アオアシシギ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
a
a
c
a
b
b
c
b
a
a
b
c
b
a
a
a
a
a
a
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
裸
コアジサシ
ッ
B
キジバト
F a
b
c
B
アオバト
ツツドリ
ホトトギス
オオコノハズク
アオバズク
フクロウ
ヨタカ
アマツバメ
カワセミ
a
a
a
c
a
a
a
b
b
c
a
a
b
a
a
F
a a b
B
a? a? a?
F
b a a b
B
b a a b
F
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b
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B
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b
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b
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B
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B
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b
b
B
a
a
a
a
F a
a
a
b
B a
a
a
b
F b
b
コゲラ
ヒバリ
ツバメ
c
a
b
a
b
c
a
b
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b
b
b
a
a
B
a
a
a
b
b
b
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b
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a
b
a
b
b
b
a
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c
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b
a
a
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a
b
b
a
b
a
a
a
a
b
a
a
a
- 159 -
b
a
b
b
a
c
b
a
a
b
a
b
a
B
b
a
a
F a
a
a
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b
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a
c
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a
F a
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a
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b
a
F
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造
b
b
a
a
倒
a
B
a
建
造
b
a
a
リ
b b
B
コシアカツバメ
b
F
F
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
b
c
B
アリスイ
ャ
畑
b
ク
海 海
F
F
造
建
池
中
ン
冠 損
ギ 木
州 礁
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
アジサシ
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
b
a
b
b
a
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
イワツバメ
a
a
a
a
a
b
b
B
キセキレイ
F c
セグロセキレイ
ビンズイ
タヒバリ
c
a
サンショウクイ
ヒヨドリ
a
a
B a
a
F b
a
a
B b
a
a
F a
キレンジャク
ヒレンジャク
コマドリ
ノゴマ
ルリビタキ
ジョウビタキ
ノビタキ
イソヒヨドリ
b
a
b
b
a
b
a
b
b
b
a
b
b
B
a
b
a
b
b
b
建
a
造
倒
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
b
b
b
a
a
b
a
a
a
b
a
a
b
b
a
a
b
a
a
b
b
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b
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a
a
a
b
a
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b
F
a
a
b
b
b
F
a
a
b
b
b
F
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a
B
b b a a
a
b
a
a
b
c
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a
a
a
a
a
a
a
a
a
a
a
a
b
a
a
a
b
a
c
a
a
a
b
b
b
a
b
b
b
b
a
b
b
b
b
a
a
b
b
a
a
a
- 160 -
a
a
b b
b
b
a
b
a
b
a a a b
F a
b
a
a
c
b
a
B a
c
a
a
b
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b
b
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b
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B
b
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b
リ
a
a
a a b
F a
建
・
a
b
F
F b
a
a a c c c
B
モズ
b
F a
F b
ク
b
B
ハクセキレイ
b
造
ギ 木
ッ
b
ン
冠 損
ャ
畑
b
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F a
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
マミチャジナイ
ツグミ
ヤブサメ
ウグイス
コヨシキリ
オオヨシキリ
メボソムシクイ
エゾムシクイ
センダイムシクイ
キクイタダキ
セッカ
キビタキ
オオルリ
a
a
a
b
a
a
b
F
a
a
b
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B
a
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b
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B b
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a
a
b
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a
F b
a
B c
a
F
コサメビタキ
サンコウチョウ
a
b
b
b
a
F
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a
B
b
a
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F
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B
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F
a
b
b
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b
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a
a
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a
a
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b
a
a
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a
a
a
b
F
b
a
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F
a
a
a
a
a
a
a
B
a
a
b
b
造
b
a
a
倒
a
a
a
建
a
b
b
- 161 -
リ
造
b
F a
F
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
b
b a a b
F
建
a
a
B
エナガ
a
ク
a
F b
B
エゾビタキ
c
b
造
ギ 木
ッ
b
ン
冠 損
ャ
畑
a
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
b
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
砂 岩 洋
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
ツリスガラ
ヒガラ
a
F
B
ヤマガラ
シジュウカラ
メジロ
ホオジロ
カシラダカ
ミヤマホオジロ
アオジ
クロジ
オオジュリン
アトリ
カワラヒワ
ベニマシコ
ウソ
a
a
a
b
B
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a
a
b
b
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a
a
a
a
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a
a
a
c
c
建
倒
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
b
a
F a
c
b
a
a
b
a
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b
b
a
b
a
a
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a
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b
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b
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- 162 -
a
b
リ
造
a
a
F
・
a
a
b
a
b
a
F b
建
ッ
B
F
ク
ギ 木
a
a
F b
造
a
a
B
マヒワ
a
F
B
ノジコ
a
ン
冠 損
ャ
畑
b
b
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
F
海 域
樹
葉
樹
樹
特殊な環境構成要素
b
a
b
b
b
資料1 鳥類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
樹 樹
葉
工
園
・
植
街
州 礁
池
中
裸
畑
シメ
ニュウナイスズメ
スズメ
F
b
a
a
b
B
b
a
a
b
F
a
a
a
a
a
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b
b
b
F
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ムクドリ
b
a
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b
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b
b
b
b
c
B
ハシボソガラス
F a
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B
ハシブトガラス
F b
b
B
カワラバト
F a
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b
b
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a
b
b
b
a
b
c
b
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a
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a
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b
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a
造
建
造
a
a
b
a
a
b
a
a
b
b
b
b
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a
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c
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B
b
a
b
a
a
b
a
a
a
a
a
a
b
a
a
a
a
a
a
a
a
現地調査と既存文献に記録のある種類についてまとめた。
なお、Bは広島県内で繁殖している種についてのみ記載した。
F:採餌環境 B:繁殖環境 a:好適地 b:二次的に利用 c:稀に利用
- 163 -
b
b
a
b
a
b
a
a
a
a
a
a
F
ッ
倒
リ
b
B
カケス
・
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
F a
建
ャ
ク
c
B
コムクドリ
ン
造
ギ 木
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
イカル
海 域
砂 岩 洋 冠 損
樹
樹
樹
特殊な環境構成要素
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
資料2 哺乳類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広 葉
葉 葉
樹
樹 樹
ニホン
ジネズミ
キクガシラ
コウモリ
モモジロ
コウモリ
ユビナガ
コウモリ
コテング
コウモリ
タヌキ
イヌ
イタチ
チョウセン
イタチ
イエネコ
イノシシ
カヤネズミ
アカネズミ
ハツカネズミ
海域
砂 岩 洋 冠 損
樹
葉
園
樹
・
植
工
街
州 礁
中
特殊な環境構成要素
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
池
裸
畑
ギ 木
a c
c
b
b
c
c
c
a
a c
c
b
b
c
c
c
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b
b
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a
ク
建
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
a
R
B
c
造
ッ 倒
F
F
R
ン
建 リ
ャ ・
海 海
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
B a c c b b c
c c
造
a
b
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b
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B
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F
R
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B
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b
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b
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b
c
a
c
c
c
c
a
c
a
b
b
a
c
c
a
c
a
b
b
a
c
c
a
c
a
b
c
a
a
a
- 164 -
資料2 哺乳類の環境選好性
植 生
草地
樹 林 地
水 域
そ の 他
流水
止水
乾 湿 常 落 針 針 水 竹 果 市 人 上 下 湖
緑 葉
種 名
広 広
葉 葉
葉
B
カイウサギ
葉
園
樹
・
植
工
街
州 礁
中
裸
池
F
a
b
b
a
b
c
c
c
R
b
b
b
a
b
a
c
c
海 海
- 165 -
ッ 倒
造
ン
ク
建 リ
造
建
造
岸 岸 上 プ 木 洞 崖 崖 穴 物 物
各種の上段(B)は営巣環境、中段(F)は採食環境、下段(R)は休息環境の選好性を示す。
選好性のランク a:好適 b:二次的 c:生息可能
ギ 木
ャ ・
畑
性 性 林 林 林 林 田 林 地 地 地 流 流 沼
b b b a b a
特殊な環境構成要素
林 枯 樹 土 岩 洞 木 コ
砂 岩 洋 冠 損
樹
樹
樹 樹
海域
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
採食場所
(日本では繁殖しない)
沿岸部の水中
(日本では繁殖しない)
沿岸部の水中
(日本では繁殖しない)
沿岸部の水中
水生植物のある湖沼・池の
湖沼・池・河川の水中,水面
アビ
オオハム
シロエリオオハム
カイツブリ
水面・杭
(広島県では繁殖しない)
河口・内湾・湖沼の水中
(広島県では繁殖しない)
河川・湖沼・河口・内湾の
カンムリカイツブリ
カワウ
水中
(広島県では繁殖しない)
浅海の水中
スギ・マツ林や竹林の樹上
河川・湖沼・池・養魚場・海
ウミウ
ゴイサギ
岸のいけすの浅水中
マツ林,雑木林,竹林の樹上 水田・湿地・放牧地・耕作地
アマサギ
・草原の地上
マツ林・雑木林・竹林の樹上 干潟・河口・湿地・池沼・水
ダイサギ
田の浅水中
(広島県での繁殖は確認され 河川・水田・池沼の浅水中・
チュウサギ
ていない)
地上
マツ林,雑木林,竹林の樹上 河川・水田・干潟・池沼・湖
コサギ
沼の浅水中
岩の上,樹上
クロサギ
岩礁上,干潟・入り江・水田
の浅水中
マツ林,雑木林の樹上,岩棚 水田・湿地・河川・河口・干
アオサギ
潟の浅水中
大木の樹洞,巣箱
オシドリ
林縁・森林内の地上,山間の
湖・渓流の水面
水系近くの草むらの地上 水田・耕地の地上,湖沼・河
マガモ
川・内湾・沿岸・池の水面
- 166 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
水系近くの草むらの地上
カルガモ
採食場所
水田・耕地の地上,湖沼・河
川・池・入り江・内湾の水面
(広島県では繁殖しない)
コガモ
水田・耕地の地上,湖沼・池
の水面
(広島県では繁殖しない)
ヨシガモ
水田・湖沼・河川・池の地上
・水面
(日本では繁殖しない)
ヒドリガモ
水田・草地の地上,湖沼・河
川・池・内湾の水面
(日本では繁殖しない)
オナガガモ
水田・草地の地上,湖沼・河
川・池・内湾の水面・水中
(広島県では繁殖しない)
ハシビロガモ
湖沼・池・河川・内湾の水面
・水中
(広島県では繁殖しない)
内湾・湖沼・池の水面・水中
(広島県では繁殖しない)
湖沼・河川・池・入り江の水
ホシハジロ
キンクロハジロ
面・水中
(日本では繁殖しない)
内湾・外洋の水中
ビロードキンクロ
(日本での確実な繁殖記録は 港湾・沿岸・湖沼の水中
ウミアイサ
ない)
岩礁海岸の岩崖,水系近くの 浅海・河川・湖沼の水面
ミサゴ
樹上,人工の塔上
低山帯の森林の高木上
森林の地上・地中
平地から山地の高木上
湖沼・河川・干潟の水面・岸
ハチクマ
トビ
辺,草原・疎林・林縁・田園
・道路の地上
平地から低山帯の森林内の高 林縁・農耕地・市街地の地上
オオタカ
木上
・上空
平地から亜高山帯の森林内の 農耕地・草原・市街地の地上
ツミ
・上空
平地から亜高山帯の森林内の高木上
農耕地・市街地の地上・上空
ハイタカ
- 167 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
採食場所
(広島県での繁殖は確認され 草原・農耕地・埋立地の地上
ノスリ
ていない)
森林の高木上
林縁・水田・農耕地の地上
(日本では繁殖しない)
河川敷・湿性の荒原・ヨシ原
サシバ
ハイイロチュウヒ
の地上
(広島県では繁殖しない)
チュウヒ
河川敷・湿性の荒原・ヨシ原
の地上
海岸・島の岩壁の岩棚
ハヤブサ
海岸・河口・耕地・原野の上
空
(広島県では繁殖しない)
チョウゲンボウ
近くに林のある農耕地・原野
・川原・海岸・沼沢地の地上
林内の樹木の根元,石影・草 よく茂った樹林の林床
ヤマドリ
むらの地上
キジ
高茎草原・低木林・疎林・林
荒原,草原・疎林・林縁
縁の地上
の地上
(広島県では繁殖しない)
川原・ヨシ原・水域週辺の草
クイナ
原の地上・浅水中
水域周辺のイネ科草本の株内 湖沼・河川・池・水田の草原
ヒクイナ
,低木の茂み内の地上
・ヨシ原の地上・浅水中
水域周辺の草むら・浅水中
湖沼・河川・池の岸の湿地・
バン
ヨシ原の地上・浅水中
湖沼・池周辺のヨシ・マコモ
湖沼・河川・河口・水田の水
オオバン
タマシギ
内の浅水中
面・浅水中
イネの株内,湿ったあぜ道・
水田・休耕田・湿地の浅水中
湿性草地の地上
コチドリ
河川の中州・川原・干拓地・
川原・干拓地・水田・休耕田
砂浜の砂上・地上
・入り江・干潟の浅水中・地
中
海岸・川原の砂上・地上
シロチドリ
砂浜・干潟・埋立地・河川の
中州・川原の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
メダイチドリ
河口・干潟・入り江・砂浜の
浅水中・地中
- 168 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
営巣場所
採食場所
草原・川原・耕作前の水田の地上
水田・川原・草地の地上
ケリ
(広島県では繁殖しない)
広い水田・干潟・川原の地上
(日本では繁殖しない)
干潟・河口・水田・入り江・
タゲリ
ハマシギ
埋立地の水たまり・河川・中
洲の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
アオアシシギ
干潟・水田・入り江・川原の
潜水中・地中
(日本では繁殖しない)
クサシギ
内陸の湖沼・川原・中州・水
田の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
タカブシギ
水田・内陸の水たまり・川原
・湖沼の浅水中・地中
(日本では繁殖しない)
キアシシギ
干潟・河口・入り江・砂浜・
岩礁・川原・中州の浅水中・
地中
荒原・草原の地上
イソシギ
河川・湖沼・水田・河口・干
潟・海岸の浅水中・地中,岩
礁・堤防の上
(日本では繁殖しない)
ソリハシシギ
干潟・河口・入り江・水田の
浅水中や地中
(日本では繁殖しない)
チュウシャクシギ
干潟・河口・入り江・海岸・
・水田の浅水中・地中,埋立
地の草地の地上
(日本では繁殖しない)
タシギ
水田・河川・休耕田の浅水中
・地中
(日本では繁殖しない)
アカエリヒレアシシ
ギ
外洋・河口・干潟・入り江・
河川・水田・湖沼の水面
(日本では繁殖しない)
ユリカモメ
港湾・河口・河川・湖沼・池
の水面・水中
(広島県では繁殖しない)
セグロカモメ
海岸・河口・港湾の水面・浅
水中・地上
(広島県では繁殖しない)
オオセグロカモメ
砂浜・河口・干潟・入り江・
漁港の水面・浅水中・地上
(日本では繁殖しない)
シロカモメ
砂浜・河口・干潟・入り江・
漁港の水面・浅水中・地上
- 169 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
(日本では繁殖しない)
カモメ
採食場所
海岸・港湾・河口の水面・浅
水中
(広島県では繁殖しない)
ウミネコ
海岸・海上・水田の水面・浅
水中・地上,他の海鳥(ウト
ウ)を襲い餌を奪う
ミツユビカモメ
ハジロクロハラアジ
サシ
(日本での確実な繁殖例
外洋・沿岸・港湾の水面・水
はない)
中
(日本では繁殖しない)
河川・湖沼・池・水田・干潟
・入り江の水面直下
(日本では繁殖しない)
沿岸の水面直下
河原,海岸,埋立地等
沿岸・外洋の水面直下
低木林の地上,疎林・森林
農耕地・水田跡・草地・市街
の樹上,建造物
地の地上
森林の樹木の枝上
森林・市街地の樹上,森林内
アジサシ
コアジサシ
キジバト
アオバト
の地上
?
?
メボソムシクイ・センダイム
ツツドリ
森林・草原の樹上
シクイなどに托卵
ウグイス・ミソサザイなどに
ホトトギス
森林の樹上
托卵
森林の樹洞,巣箱
森林・疎林の地上
樹洞,建造物の隙間
森林・疎林・市街地の空中・
オオコノハズク
アオバズク
地上
大木の樹洞,巣箱,タカ類の 森林・林縁・草原の地上
フクロウ
古巣,建造物の隙間
明るい林・林縁の地上
草地・森林の上空
断崖・岩壁の割れ目
森林・草原・荒原の上空
土崖の地中
池・河川の水面直下
ヨタカ
アマツバメ
カワセミ
- 170 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
(広島県では繁殖しない)
アリスイ
採食場所
明るい林・林縁・疎林の草地
の地上・樹上
枯死木・衰弱木の樹幹に樹洞 森林・林縁の樹上
コゲラ
を掘る
荒原,草原の地上
草地・耕作地・川原の地上
建造物の軒下・屋内
水田・草原・河川・湖沼・農
ヒバリ
ツバメ
耕地・市街地の上空
建造物の軒下
コシアカツバメ
水田・草原・河川・湖沼・農
耕地・市街地の上空
建造物の軒下,高山の絶壁, 水面・森林などの上空
イワツバメ
海岸の洞窟内
地上のへこみ,建築物の隙間 河川・湖沼・池・渓流の地上
キセキレイ
,川原の石の下
・空中
石垣・崖の窪み,建築物の隙
海岸・河口・河川・中州・水
ハクセキレイ
間
田・耕作地の地上・空中
土手の窪み,川原の石・建築 河川・湖沼の地上・浅水中・
セグロセキレイ
物の隙間,草の茂み内
空中
(広島県での繁殖は確認され 灌木のある高原・草原・明る
ビンズイ
ていない)
い林・林縁の地上
(日本では繁殖しない)
耕作地・川原・中州・草地・
タヒバリ
海岸・河口・干潟の地上
森林・林縁の樹上
森林・林縁の樹上・空中
疎林・森林の樹上
林縁・森林の樹上,耕作地の
サンショウクイ
ヒヨドリ
地上
低木・笹やぶの茂みの中
モズ
川原・耕作地・果樹園・公園
の樹上・地上
(日本では繁殖しない)
液果の実る木の樹上
(日本では繁殖しない)
液果の実る木の樹上
キレンジャク
ヒレンジャク
- 171 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
営巣場所
採食場所
森林内の巨木の根・株の下, 森林内の地上・空中
コマドリ
倒木の根元,地上の窪み
(広島県では繁殖しない)
ノゴマ
低木のある草原・低木林内・
林縁の地上
(広島県での繁殖は確認され 下生えの多い森林内・林縁の
ルリビタキ
ていない)
地表
(日本では繁殖しない)
川原・明るい林・低木林内・
ジョウビタキ
林縁の樹上・地上
草原の地上の窪み
ノビタキ
草原・林縁・疎林・耕作地・
川原・牧草地の地上・空中
建築物・岩の隙間,土手の穴 海岸の岩場・岩壁・礫地・河
イソヒヨドリ
川・山間のダムの地上
森林の樹上
森林内の地上・地中・樹上
トラツグミ
森林の低木・ツル性植物上明るい森林内の地上・地中・
クロツグミ
樹上
(広島県での確実な繁殖は
アカハラ
森林・林縁の地上・樹上
確認されない)
森林の樹上
シロハラ
森林・林縁の地上・地中・樹
上
(日本では繁殖しない)
マミチャジナイ
森林・林縁の地上・地中・樹
上
(日本では繁殖しない)
ツグミ
森林・林縁・耕作地・川原・
公園の地上・地中・樹上
森林傾斜地の木の根元・倒木 下生え多い森林の樹上・地上
ヤブサメ
・土手陰のへこみ
低木林・草本・ササの薮内
ウグイス
下生え多い森林・林縁・ササ
薮・草地・ヨシ原の樹上
(広島県での繁殖は確認され 草原・湿原・川原の草本上・
コヨシキリ
オオヨシキリ
ていない)
樹上
ヨシ原の草本(ヨシ)上
ヨシ原・周辺の灌木林の草本
上・樹上
- 172 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
(広島県での確実な繁殖は
メボソムシクイ
採食場所
森林内の樹上
確認されない)
(広島県での繁殖は確認され 針広混合林の樹上
エゾムシクイ
ていない)
森林内・林縁の草の根元・崖 森林内の樹上
センダイムシクイ
のへこみ
(広島県での繁殖は確認され 針葉樹の枝上
キクイタダキ
ていない)
イネ科草本の株
セッカ
海岸・川原・水田の草地の草
本上
キビタキ
森林の樹洞・樹幹のへこみ・
広葉樹林・針広混合林・林縁
ツル植物上,建築物の隙間
の樹上・空中
森林の土崖の窪み,林道沿い 森林内・林縁の樹上・空中
オオルリ
の岩上,木のへこみ,人家の
ひさし下
(日本では繁殖しない)
エゾビタキ
森林内・林縁・公園の樹上・
空中
広葉樹の横枝上
森林内・林縁の樹上・空中
暗い森林内の樹上
森林内・林縁の樹上・空中
森林内の樹上
疎林・森林内・林縁の高茎草
コサメビタキ
サンコウチョウ
エナガ
本上・樹上
(日本では繁殖しない)
川原・湖沼のヨシ原の草本上
ツリスガラ
樹洞,石垣の隙間,人家の隙 針葉樹林・針広混合林の樹上
ヒガラ
間,巣箱
樹洞,巣箱,キツツキの古巣
ヤマガラ
広葉樹林・照葉樹林の樹上
人家の隙間
シジュウカラ
メジロ
樹洞,巣箱,石垣・人家・建
森林内・公園・市街地の樹上
造物の隙間
・地上
森林内・林縁の樹上
森林内・公園・市街地の樹上
・地上
- 173 -
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
採食場所
草本の根元・株の中,低木の 草原・林縁・耕作地・川原の
ホオジロ
茂みの中
草本上・地上
(日本では繁殖しない)
雑木林・林縁・耕作地・疎林
カシラダカ
の樹上・地上
森林内の低木上や藪の中
ミヤマホオジロ
低木林・林縁・開墾地・耕作
地の地上
(広島県での確実な繁殖は
ノジコ
広葉樹林内・林縁の地上
確認されない)
アオジ
(広島県での確実な繁殖は
明るい林・低木林・林縁の地
確認されない)
上
(広島県では繁殖しない)
ササの多い広葉樹林内の地上
(広島県では繁殖しない)
海岸近くの河川敷・湿地のヨ
クロジ
オオジュリン
シ原・高茎草地の草本上・地
上
(日本では繁殖しない)
アトリ
森林・耕作地・草原・水田の
樹上・地上
明るい林の樹上
カワラヒワ
森林・農耕地・川原・草原・
市街地・公園の樹上・地上
(広島県では繁殖しない)
マヒワ
森林・草原・川原の樹上・草
本上・地上
(広島県では繁殖しない)
ベニマシコ
草原・林縁・低木林・疎林
の草本上・低木上
(広島県では繁殖しない)
森林・林縁・公園の樹上
広葉樹の枝上
森林・林縁の樹上
(広島県では繁殖しない)
森林内・林縁・公園の樹上・
ウソ
イカル
シメ
地上
(広島県では繁殖しない)
ニュウナイスズメ
森林内・耕作地・草原の樹上
・地上
人家の隙間,疎林の樹洞,巣 人家周辺・農耕地・川原の地
スズメ
箱
- 174 -
上・草本上・樹上
資料3 鳥類の生態的特性1
種
名
出現期・繁殖期(月)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
営巣場所
10 11 12
(広島県での確実な繁殖は
コムクドリ
採食場所
森林・林縁・公園の樹上
確認されない)
樹洞,人家・建造物の隙間, 耕作地・草原・水田・川原・
ムクドリ
巣箱
疎林・市街地の樹上・地上
森林(特に針葉樹)の枝上
森林内の樹上・地上
森林・林縁の樹上
耕作地・川原・水田・海岸・
カケス
ハシボソガラス
市街地の地上
森林の樹上
ハシブトガラス
海岸・市街地・川原・耕作地
・森林の樹上・地上
建造物の隙間,岩崖の洞窟
カワラバト
川原・耕作地・市街地の地上
・樹上
現地調査と既存文献に記録のある種類についてまとめた。
各種の上段(=)は広島県におけるおおよその出現期を,下段(━)は繁殖期を示す。広島県で繁殖しない種
については下段を示さない。繁殖期のよくわかっていない種は記述を行わなかった。
また調査地域における記録が偶発的である種(迷鳥等)については,上段・下段とも示さない。
出現期については、主に「広島県の野鳥」「広島県の生物」「ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版」
「山渓ハンディ図鑑 日本の野鳥」を参考にした。
繁殖期については、主に「日本野鳥生態図鑑」を参考にした。
参考文献
「広島県の野鳥(1980.広島県林務部自然保護課)」
「広島県の生物(1982.日本生物教育会広島大会「広島の生物」編集委員会)」
「ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版(2002.日本野鳥の会広島県支部.中国新聞社)」
「平成6年度 環境審査調査(陸生生物調査)((財)自然環境研究センター.1995)」
「日本産鳥類図鑑(高野伸二.1981.東海大出版)」
「原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「原色日本野鳥生態図鑑<水鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「野鳥の事典(清棲幸保.1966.東京堂出版)」
「フィールドガイド日本の野鳥(高野伸二.1991.日本野鳥の会)」
「山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥(叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄.1998.(株)山と渓谷社)」
- 175 -
資料4 哺乳類の生態的特性1
種
名
繁 殖 期 (月)
1
2
3
4
5
6
7
8
繁殖場所
9 10 11 12
ニホンジネズミ
キクガシラコウモリ
モモジロコウモリ
ユビナガコウモリ
タヌキ
イヌ
イタチ
チョウセンイタチ
イエネコ
イノシシ
カヤネズミ
アカネズミ
ハツカネズミ
カイウサギ
地中(巣) 地表(落葉層、腐植層) 洞穴、家屋内
空中(森林、草地、河川)
洞穴
空中(森林、河川)
洞穴
空中(森林)
地表(巣穴)
地表,水辺,樹上
不明
地表
地表(川辺の岩の間)
水辺,地表
地表
市街地、耕作地、水辺、
地表
地中(巣穴)
地表,樹上
地表
森林、耕作地、地表
草本に作られた球巣
地表、草本の上
地中(巣)
地表(落葉層)、樹上
家屋内、草地の地中
市街地、草地、
耕作地の地表
地表
地表
上段は交尾期、下段は出産期、中段は交尾期から出産期までの繁殖期全体を示す。
- 176 -
採食場所
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
アビ
魚類,昆虫類(水生昆虫),甲殻類(カニ,エ
ビ),頭足類(イカ)
大群
(異種混群)
オオハム
魚類,昆虫類(水生昆虫),甲殻類(カニ,エ
ビ),頭足類(イカ)
大群
(異種混群)
シロエリオオハム
魚類,昆虫類(水生昆虫),甲殻類(カニ,エ
ビ),頭足類(イカ)
大群
(異種混群)
カイツブリ
魚類( フ ナ,ド ジ ョ ウ) ,昆虫類( 水生昆
虫) ,甲殻類,腹足類( タニ シ) ,植物(ヒシの
実)
カンムリカイツブリ
両生類(イモリ,カエル幼生),魚類,昆虫類(水
生昆虫),植物(ヨシの芽)
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
2
小群
A
小群
A
カワウ
魚類(フナ,ウグイ,ウナギ,ナマズ,ドジョウ,イワシ,ハ 大群
ゼ,キス,ボラ)
C
ウミウ
魚類(ゴンズイ,キビナゴ,カサゴ,シマハゼ)
小群
ゴイサギ
4-6
2-3
3-4
1-2
巣と周辺の狭
い範囲
3-4
2-3
C
巣と周辺の狭
い範囲
4-5
1
哺乳類(ハタネズミ),爬虫類,両生類,魚類,昆 小群
虫類,甲殻類(ザリガニ),腹足類(タニシ)
C
巣と周辺の狭
い範囲
3-6
1
アマサギ
魚類,爬虫類,両生類( カエル) ,昆虫類( トン 大群
ホ ゙ ,バ ッ タ,コウチュウ,ア フ ゙ )
(異種混群)
C
巣と周辺の狭
い範囲
2-7
1
ダイサギ
哺乳類(ネズミ),両生類(カエル),魚類(フナ,ド
ジョウ,モツゴ),甲殻類(ザリガニ)
小群
C
巣と周辺の狭
い範囲
3-5
1
両生類,魚類( フ ナ,ド ジ ョ ウ,モツゴ ) ,昆虫
類,甲殻類( モエヒ ゙ ,ザ リガ ニ ) ,蜘蛛類
小群
C
巣と周辺の狭
い範囲
3-5
1
C
巣と周辺の狭
い範囲
4-7
1
2-5
1
チュウサギ
コサギ
(異種混群)
(異種混群)
爬虫類,両生類,魚類(フナ,ドジョウ),昆虫類
(トンボ,バッタ,コウチュウ),甲殻類(ザリガニ,エビ)
小群
(異種混群)
0.7
クロサギ
魚類,甲殻類(イソガニ),軟体動物(斧足類・腹 単独
足類)
B
アオサギ
哺乳類(ネズミ),鳥類,両生類(イモリ,カエル),
魚類(フナ,ドジョウ,ハゼ),昆虫類,甲殻類
小群
C
巣と周辺の狭
い範囲
2-5
1
大群
A
巣と周辺の狭
い範囲
7-12
1?
大群
(異種混群)
A
6-12
1-2
大群
(異種混群)
A,B
10-12
1
大群
(異種混群)
A
8-10
1
6-9
1?
6-12
1-2
オシドリ
マガモ
カルガモ
コガモ
ヨシガモ
ヒドリガモ
魚類,昆虫類(トンボ,コウチュウ),腹足類(カタツム
リ),植物(イネ科・キク科・クヌ キ ゙ ・ ミス ゙ ナラ・ シイ・ カ
シの種子)
魚類,昆虫類,甲殻類,斧足類(シジミ),腹足
類(カワニナ,タニシ),植物( イネ科・ タデ 科・ フ ゙ ナ
科の種子)
昆虫類,斧足類(シジミ),腹足類(タニシ),蛭
類,植物( イネ科・ ヌ ルデ ・ サザ ン カ・ クヌ キ ゙ ・ クマ
ヤナキ ゙ の種子)
昆虫類,腹足類,植物( イネ科・ ヒ エ科・ タデ
科・ キ ク科・ フ ゙ ナ科の種子・ 葉・ 茎)
昆虫類,斧足類(シジミ),腹足類(カワニナ),植
物( イネ科・ タデ 科の種子,マコモ・ 水草の葉・
茎・ 根)
昆虫類,蜘蛛類,斧足類,腹足類,植物(海
藻,イネ科・タデ科の種子,ア マモ・ エヒ ゙ モの葉・
茎・ 根)
大群
(異種混群)
大群
(異種混群)
- 177 -
A,B
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
オナガガモ
ハシビロガモ
ホシハジロ
キンクロハジロ
ビロードキンクロ
ウミアイサ
採食集団
両生類(カエル),昆虫類,斧足類,腹足類,植
物( イネ科・ ヒ エ科・ タデ 科・ ア マモ・ エヒ ゙ モの葉・
茎・ 根・ 種子)
昆虫類,甲殻類( フ ゚ ラン クトン ) ,腹足類(モノアラ
ガイ)植物(イネ科・の種子,アマモ,ヒルムシロ,アオウ
キクサ)
爬虫類(トカゲ),両生類(カエル),魚類,昆虫
類,軟体動物,植物(イネ科・タデ科の種子,ア マ
モ,エヒ ゙ モ)
両生類,魚類,昆虫類,斧足類( マシジ ミ) ,
腹足類( タニ シ,カワ ニ ナ) ,植物(イネ科の種子,
アマモ)
昆虫類,甲殻類,斧足類( イガ イ・ シオフ キ ・ マテ
ガ イ) ,腹足類(エッチュウバイ),植物(水生植物
の芽・根)
魚類(タナゴ ,イカナゴ ,カレイ,ウグ イ,モロコ,カマ
ス ,サケ ,ア ユ) ,昆虫類,甲殻類(エビ,カニ),腹
足類
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
大群
(異種混群)
B
巣と周辺の狭
い範囲
7-9
1
大群
(異種混群)
A
6-36
8-12
1
大群
(異種混群)
6-11
1
大群
(異種混群)
6-12
1
大群
(異種混群)
7-9
1
8-10
1
B?
2-3
1
A?
2
1
2-3
1
2-4
1
3-5
1
小群
C
ミサゴ
魚類(コイ,アジ,ボラ,サケ,マス,スズキ,トビウオ,イ 単独
ワシ)
ハチクマ
哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,昆虫類(クロス
単独
ス ゙ メ バ チ・ ア シナガ バ チの幼虫・ 蛹 ,バッタ,コウ
チュウ)
トビ
哺乳類(ネズミ),鳥類,爬虫類(ヘビ),両生
類,昆虫類,動物の死肉
小群
B
オオタカ
哺乳類(ネズミ,ウサギ),鳥類( ハト,カモ,シキ ゙ , 単独
ム クド リ,カラス ,カケ ス ,キ ジ ,ヤマド リ)
A
ツミ
哺乳類(ネズミ),鳥類( ウグ イス ,ホ オジ ロ,エナ
単独
ガ ,ス ス ゙ メ ,ム クド リ) ,昆虫類(トンボ,バッタ,ガ
の幼虫)
ハイタカ
哺乳類(ネズミ,ヒミズ),鳥類( ツバ メ ,ウグ イス , 単独
シジ ュウカラ,ホ オジ ロ,ス ス ゙ メ ,ム クド リ,カケ ス )
ノスリ
サシバ
哺乳類(モグラ,ネズミ),鳥類(カモ,キジ,アオジ,
単独
スズメ),爬虫類,両生類,昆虫類(バッタ,コウチュ
ウ)
哺乳類(ネズミ,モグラ),鳥類(スズメ),爬虫類
単独
(ヘヒ ゙ ,カナヘビ),両生類(カエル),昆虫類(トン
ボ,バッタ)
100-1000
A
A
300-600
4-5
1
A
1260-1930
2-3
1
A
2-4
1
4-6
1
5-7
1?
3-4
1
4-6
1
7-13
1
6-12
1
ハイイロチュウヒ
哺乳類(ネズミ),鳥類(ムナグロ,ツグミ,ヒバリ),両 単独
生類(カエル)
A
チュウヒ
哺乳類(ネズミ),鳥類(カモ,バン,スズメ),両生
類(カエル),昆虫類(カマキリ)
単独
B
ハヤブサ
哺乳類(ネズミ,ウサギ),鳥類( カモ,キ ジ ,シ
キ ゙ ,チド リ,ハト,ツグ ミ)
単独
A?
チョウゲンボウ
哺乳類(モグラ,ネス ゙ ミ ),鳥類(ツバメ,ヒバリ,ツグ
単独
ミ,ホオジロ,ムクドリ),昆虫類(カマキリ,バッタ,コウ
チュウ)
ヤマドリ
節足動物(昆虫類,ムカデ類,ヤスデ類,蜘蛛 小群
類),腹足類,植物( 葉,茎,根,実,種子)
A
キジ
節足動物(昆虫類,ムカデ類,ヤスデ類,蜘蛛 小群
類),腹足類,植物( 葉,茎,根,実,種子)
A
- 178 -
巣と周辺の狭
い範囲
B?
1.8-3.1
0.008-0.1
16
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
クイナ
両生類,魚類,昆虫類,甲殻類(ヌマエビ),斧
足類,腹足類,植物(イネ科・タデ科・キク科の種
子)
ヒクイナ
両生類,昆虫類,斧足類,腹足類,植物(イネ
科・タデ科の種子)
バン
オオバン
両生類(カエル幼生),昆虫類,甲殻類,貧毛
類,植物(イネ科・タデ科・エビモの葉・茎・実・種
子)
魚類,昆虫類,斧足類,腹足類,甲殻類,植
物( ヨシ・ エヒ ゙ モ・ クロモ・ ヒ ルム シロの葉・ 茎・ 根
茎)
採食集団
繁殖回数
6-7
1-2
単独
A
5-9
1-2
小群
A
5-9
1-2
小群
A
6-10
1-2
小群
B
3-6
1-2
小群
(異種混群)
B
3-5
1-2
3
2-4
コチドリ
昆虫類(バッタ・コウチュウ,ガガンボ・ガの幼虫)
シロチドリ
昆虫類(コウチュウ,カメムシ),甲殻類,蜘蛛類,貧 大群
毛類,多毛類,斧足類,腹足類
(異種混群)
メダイチドリ
昆虫類(コウチュウ,トビケラ),甲殻類,貧毛類,多 大群
毛類,斧足類,腹足類,植物(イネ科の種子)
(異種混群)
ケリ
両生類,昆虫類(コウチュウ,ガ・ハエの幼虫),環形 小群
動物,腹足類,植物(イネ科・タデ科の種子)
ハマシギ
一腹卵数
A
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),甲殻類,
腹足類,貧毛類,植物(イネ科・タデ科の種子)
昆虫類(コウチュウ,カワゲラ・ガガンボの幼虫),貧
毛類,腹足類(カタツムリ),植物(ニワヤナギの種
子)
昆虫類(コウチュウ,ハエの幼虫),甲殻類,蜘蛛
類,環形動物(ミミズ,ゴカイ),軟体動物(カタツム
リ)
なわばり面積
単独
タマシギ
タゲリ
なわばり制
0.008
B?
3
A
0.5
3-4
大群
A,B
0.4-0.6
3-5
1
大群
(異種混群)
A,B
5-7
3-4
1-2
アオアシシギ
魚類(キビナゴ),両生類(カエル),昆虫類(水生 小群
昆虫),甲殻類(シャコ,モエビ),貧毛類,腹足類 (異種混群)
クサシギ
昆虫類(コウチュウ,ガガンボの幼虫),甲殻類,蜘 小群
蛛類,貧毛類(ミミズ),腹足類,植物(種子)
タカブシギ
昆虫類(コウチュウ,アブの幼虫),甲殻類,蜘蛛
類,斧足類,腹足類
キアシシギ
昆虫類(コウチュウ,ハエ),甲殻類(トビムシ,エビ), 大群
腹足類(タマキビ)
(異種混群)
イソシギ
魚類,昆虫類(トンボ・ユスリカ・トビケラ・ブユの幼
虫)
ソリハシシギ
昆虫(ハエ,カ),甲殻類( カニ )
チュウシャクシギ
魚類,両生類,昆虫類,甲殻類(カニ,エビ),環 大群
形動物(ミミズ),軟体動物,植物(実)
(異種混群)
A
タシギ
魚類,昆虫類(コウチュウ),甲殻類,蜘蛛類,貧
毛類(ミミズ),軟体動物
小群
B?
アカエリヒレアシシギ
両生類,昆虫類(トビケラ・ハエの幼虫),蜘蛛類, 大群
甲殻類
C
小群
(異種混群)
小群
A
A
3-4
100
1
3-4
1
4
A
0.8
小群
- 179 -
3-4
3-5
1
4?
10-150
なし
2-4
1
3-4
1
3-4
1
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
0.001
2-3
1
1
ユリカモメ
哺乳類,鳥類(卵),魚類,昆虫(コウチュウ,ガの 大群
幼虫),甲殻類,蜘蛛類,植物(実)
(異種混群)
C
セグロカモメ
哺乳類(死体),鳥類(死体,卵),魚類,節足 大群
動物,環形動物,軟体動物,植物
(異種混群)
A
2-3
オオセグロカモメ
哺乳類(生体・死体),鳥類(死体・卵・雛),魚 大群
類,節足動物,環形動物,軟体動物
(異種混群)
C
2-3
シロカモメ
哺乳類(生体,死体),鳥類(死体,卵,雛),
魚類,節足動物,環形動物,軟体動物,植物
(ガンコウランの実)
カモメ
哺乳類(死体),鳥類(死体,卵),魚類,節足 大群
動物,環形動物,軟体動物,植物
(異種混群)
C
ウミネコ
哺乳類(死体),両生類,魚類,昆虫類(水生
昆虫),甲殻類,頭足類
大群
(異種混群)
C
ミツユビカモメ
魚類(生体,死体),昆虫類,貧毛類(ミミズ)
小群
C
小群
アジサシ
コアジサシ
魚類(イカナゴ,イワシ,コイ,フナ)
3.1-12.6 (㎡)
小群
(異種混群)
巣と周辺の狭
い範囲
2-5
1
1-4
1
巣と周辺の狭
い範囲
1-3
1
C
7 (㎡)
2-3
魚類(ニシン,タラ,イカナゴ),昆虫類(トンボ,ガガン 大群
ボ),甲殻類
C
2-3 (㎡)
1-3
1
小群
C
巣と周辺の狭
い範囲
1-4
1
キジバト
昆虫類,貧毛類,腹足類,植物( ツバ キ ・ クス ノ 小群
キ ・ ダ イス ゙ ・ イネ・ ツケ ゙ の実)
B
2.3
2
数回
アオバト
植物(シイ・カシ・コナラ・エノキ・ノブドウ・マユミ・ダイズ・ソ 小群
ヨゴ・ミズキの実,モミ・ツガの芽)
ツツドリ
昆虫類(バッタ,カメムシ,アリ,チョ ウ・ ガ の幼虫 )
ホトトギス
ハジロクロハラアジサ 両生類,魚類,昆虫類(トンボ,バッタ,ガガンボ
シ
の幼虫)
0.5-0.8 (㎡)
2
単独
A?
昆虫類(コウチュウ,アリ,ガガンボ,チョ ウ・ ガ の幼
虫)
単独
オオコノハズク
哺乳類( モグ ラ,ネス ゙ ミ) ,鳥類( メ ジ ロ,ス ス ゙
メ ,ホ オジ ロ) ,両生類,昆虫類,甲殻類
1
託卵
A?
1
託卵
単独
A?
4-5
1
アオバズク
哺乳類(コウモリ),鳥類(セキレイ),両生類,昆虫 単独
類(バッタ,セミ,コウチュウ,ガ)
A?
2-5
1
フクロウ
哺乳類(モグラ,ネズミ),鳥類(キジ,ハト,カケス), 単独
昆虫類(バッタ,コウチュウ)
A
3-4
1
ヨタカ
昆虫類(バッタ,カマキリ,カメムシ,コウチュウ,ハエ,ガガ 単独
ンボ,ハチ,ガ)
B?
2
1
アマツバメ
昆虫類(ヨコバイ,コウチュウ,ガガンボ,アブ,ハチ)
小群
C?
カワセミ
両生類,魚類(ウグイ,オイカワ),昆虫類,甲殻類 単独
(ザリガニ,エビ)
B?
- 180 -
14-1000
1.7-3.1
巣のみ
2-3
4-7
2
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
アリスイ
昆虫類(コウチュウ,ア リ),蜘蛛類
単独
A
25-100
5-12
コゲラ
昆虫類(コウチュウ,アリ),ムカデ類,ヤスデ類,蜘 単独
蛛類,植物(ハゼ・アケビの実)
A
8
5-7
1
ヒバリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,アリ),ムカデ類,蜘蛛
類,植物(イネ科・タデ科の種子)
小群
A,B
0.25-12
2-4
2-3
ツバメ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,ハチ,ハエ)
小群
B
巣と周辺の狭
い範囲
3-7
1-2
コシアカツバメ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,カ,ハエ)
小群
B
4-6
1-2
イワツバメ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,ハチ,ハエ)
大群
C
1-4
1-2
巣のみ
単独
A
0.3-0.5
4-6
1-2
単独
A
0.35-0.45
4-5
1-2
単独
A
1-16
4-6
1-2
ビンズイ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),ムカデ類, 小群
植物(タデ科・マツの種子)
A
3-5
2
タヒバリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,アブ),植物(イネ科・タデ 小群
科・マメ科・キク科・マツの種子)
A?
サンショウクイ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,ハエ,ガの 小群
幼虫)
A?
ヒヨドリ
昆虫類,植物(ツバキ・サクラの蜜,クスノキ・キイチゴ・ 小群
ハゼ・ミズキ・サワラ・エゴノキの実)
A
モズ
哺乳類(ネズミ,コウモリ),鳥類,爬虫類,両生
類,節足動物,貧毛類,植物(実)
キレンジャク
植物(ヤドリギ・ナナカマド・ブドウ・ユリ・キヅタ・イチイ・ヤ 大群
ツデの実)
(異種混群)
ヒレンジャク
植物(ヤドリギ・ネズミモチ・イボタ・ニシキギの実)
コマドリ
昆虫類(トンボ,コウチュウ,アリ,ガの幼虫),蜘蛛
類,貧毛類,植物(ミヤマシグレの実)
単独
ノゴマ
昆虫類(コウチュウ,アリ,ガの幼虫),貧毛類,植
物(アサ・ナツハゼの実)
単独
ルリビタキ
昆虫類(コウチュウ,ハチ,アリ,アブ,ガの幼虫),ム
単独
カデ類,蜘蛛類,植物(ノバラ・ウルシ・ヒサカキの
実)
ジョウビタキ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,アリ,ガの幼虫,植物
(マサキ・ウルシ・ソヨゴ・ムラサキシキブの実)
キセキレイ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カワゲラ・ハエ・ガの幼虫)
ハクセキレイ
昆虫類(トンボ,カマキリ,コウチュウ,トビケラ,ハエ)
セグロセキレイ
昆虫類(トンボ,コウチュウ,カワゲラ,トビケラ,ガガン
ボ,ガ)
単独
0.2-1.2
4-5
1?
1.4
3-4
1-2
A
1.8
3-6
1-2
C
巣と周辺の狭
い範囲
5-6
1
5-6
1
4-5
1-2
大群
(異種混群)
単独
- 181 -
3-8
A
0.5-8
3-5
0.4-13
3-6
5-7
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
単独
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
A
10-26
3-7
2-3
4-6
2
3-5
1-2?
3-5
1-2
3-5
1
ノビタキ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,ハチ,ガの幼虫)
イソヒヨドリ
鳥類,爬虫類(トカゲ,ヤモリ),昆虫類(バッタ,コウ 単独
チュウ,アリ),ムカデ類,甲殻類,斧足類
A?
トラツグミ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガ),ムカデ類,蜘蛛 単独
類,貧毛類,腹足類,植物(ブドウ・ヒサカキの実)
A?
クロツグミ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,アリ,ガの幼虫),ムカデ 単独
類,貧毛類,植物(ブドウ・ヒサカキの実)
A,B
アカハラ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,アブ),貧毛類,植物
(ヤマザクラ・ナナカマドの実)
シロハラ
昆虫類(コウチュウ,ガの幼虫),ムカデ類,ヤスデ
小群
類,蜘蛛類,植物(エノキ・ブドウの実,マツの種
子)
マミチャジナイ
昆虫類,貧毛類,植物(ミズキの実)
ツグミ
両生類,昆虫類(バッタ,コウチュウ),ムカデ類,
小群
蜘蛛類,腹足類,植物(マサキ・エノキ・ハゼ・ブドウ
の実)
ヤブサメ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カメムシ,ハエ,ハチ)
ウグイス
小群
A
200?
7>
4-5
小群
4-5
単独
A
1.3-20
4-7
1-2
昆虫類(コウチュウ,カメムシ,ハエ,アリ,カワゲラ,ガの
幼虫)
小群
A
1-2
4-6
1-2
コヨシキリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カワゲラ,ガの幼虫),蜘
蛛類
単独
A
4-6
1
オオヨシキリ
両生類,昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ, 単独
カワゲラ,ガの幼虫),蜘蛛類,腹足類(カタツムリ)
A
4-6
1-2
メボソムシクイ
昆虫類(バッタ,カメムシ,コウチュウ,ガの幼虫),蜘
蛛類
単独
A
4-5
1
エゾムシクイ
昆虫類(ガの幼虫)
単独
A
3.1
4-6
1-2?
センダイムシクイ
昆虫類(コウチュウ,ハエ,ハチ,アリ,ガの幼虫)
小群
(異種混群)
A?
1.5-3.0
4-6
1-2
キクイタダキ
昆虫類(コウチュウ,ハエ,ハチ,アリ,ガの幼虫),蜘
蛛類,植物(マツ・スギ・ヒノキの種子)
小群
(異種混群)
A
0.7
5-8
2
セッカ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カメムシ,ガの幼虫),蜘
蛛類
単独
B
4-8
2-3
キビタキ
昆虫類(カマキリ,コウチュウ,カメムシ,ハエ,ハチ,アリ,ガ 小群
の幼虫),植物(ツルマサキ・ヤブマメの実)
A
0.8-1.8
4-5
1-2
オオルリ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,カメムシ,ハエ,ハチ,ガの幼
単独
虫),ムカデ類,植物(ノイバラ・ヤマザクラ・ミズキの
種子)
A
2.3
3-5
1
エゾビタキ
昆虫類(バッタ,カメムシ,コウチュウ,アリ,ハチ),植物 単独
(ミズキ・アズキナシの実)
(異種混群)
- 182 -
0.09
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
コサメビタキ
昆虫類(トンボ,コウチュウ,アブ,アリ,チョウ・ガの成・ 単独
幼虫)
A
0.8
4-5
1-2
サンコウチョウ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,アブ,ハ
エ,チョウ)
A
2
3-5
1-2
エナガ
昆虫類(カメムシ,アブラムシ,カイガラムシ,コウチュウ,ハ 小群
エ,アリ,ガ),蜘蛛類,植物(実・樹液,菌類)
(異種混群)
B
7-12
1-2
ツリスガラ
昆虫類(カイガラムシ,ワタムシ),蜘蛛類,植物(ガ
マの種子)
B
5-10
1-2
ヒガラ
昆虫類(コウチュウ,アブラムシ,ハチ,ガの幼虫),植 小群
物(マツ・クルミの種子,ナラ・カシの実)
(異種混群)
A
4-8
5-8
2
ヤマガラ
昆虫類(カメムシ,コウチュウ,ア リ,ガの幼虫),蜘蛛 小群
類,植物(ハゼ・ナナカマド・シイ・ カシ・ ナラの種子 ) (異種混群)
A
2-4
6-7
1-2
シジュウカラ
昆虫類(バッタ,アブラムシ,コウチュウ,ハエ,ガの幼
虫),蜘蛛類,植物(マツの種子,ツルマサキ・ミヤマ
ガマズミの実)
小群
(異種混群)
A
0.7-1.5
8-10
1-2
メジロ
昆虫類(トンボ,バッタ,カメムシ,コウチュウ,ハエ,ハチ, 小群
ガの幼虫),蜘蛛類,植物(花蜜・果実)
(異種混群)
B
4-5
1-3
ホオジロ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ハエ,ガの幼虫),植物
(イネ科・タデ科・キク科・マメ科の種子)
小群
A
3-5
1-3
カシラダカ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),植物(イネ
科・タデ科・マツの種子)
大群
4-6
1-2
ミヤマホオジロ
植物(イネ科・タデ科・マメ科・ツユクサ・マツの種子)
小群
(異種混群)
4-5
ノジコ
昆虫類(コウチュウ,ガの幼虫)
アオジ
昆虫類(トンボ,バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),植
物(イネ科・タデ科の種子,ズミ・イボタノキの実)
クロジ
昆虫類(バッタ,アブラムシ,コウチュウ,アリ,ガの幼
小群
虫),蜘蛛類,植物(イネ科・タデ科・キク科・マツの
種子)
オオジュリン
昆虫類(マツモムシ,コウチュウ,ガの幼虫),植物(イ 小群
ネ科・カヤツリグサ科の種子)
(異種混群)
B?
アトリ
植物(イネ科・タデ科・アカバナ科・カヤツリグサ科の種 大群
子,ミズキ・ヒサカキの実)
A?
カワラヒワ
昆虫類,植物(マツ・モミ・イネ科・タデ科・オオバコ・カ 大群
タバミの種子)
B
マヒワ
植物(マツ・モミ・ハンノキ・カンバ・イネ科・タデ科の種
子)
大群
ベニマシコ
ウソ
単独
大群
小群
0.4-1.9
B?
0.4
2-5
B?
0.5
3-6
B,C
3-5
4-5
2-3
6-7
1
2-5
1-2
C
6-7
1
昆虫類,植物(イネ科・タデ科の種子,タラノキ・ムラ 小群
サキシキブの実)
A?
3-6
昆虫類,植物(ウメ・モモ・サクラ・ナナカマド・ダケカンバ 小群
の花芽・若芽・種子・実)
B
- 183 -
0.1-0.3
0.09
80 (㎡)
4-6
1-2
資料5 鳥類の生態的特性2
採 食 生 態
繁 殖 生 態
種 名
食 性
採食集団
なわばり制
なわばり面積
一腹卵数
繁殖回数
B
20(㎡)
3-4
1-2?
3-6
2
イカル
昆虫類,植物(ヌルデ・ハゼ・サクラの実,カエデ・マ
ツ・マメの種子)
小群
(異種混群)
シメ
昆虫類(コウチュウ),植物(ムクノキ・エノキ・ハゼの
実,マツ・カエデの種子)
単独
A,B
ニュウナイスズメ
昆虫類,植物(イネ科の種子)
小群
B
スズメ
昆虫類(バッタ,コウチュウ,ガの幼虫),蜘蛛類,
植物(イネ科・タデ科・キク科の種子)
大群
B
0.6-1
4-8
1-3
コムクドリ
昆虫類,蜘蛛類,植物(サクラ・カキ・ブドウ・エノキ・ミ 大群
ズキの実)
A
0.015-0.02
3-7
1-2
ムクドリ
両生類,昆虫類(バッタ,ガの幼虫),貧毛類,
植物(イネ科・マメ科の種子,カキ・イヌツゲ・エンジュ
の実)
カケス
鳥類(卵,雛),爬虫類,両生類,昆虫類,蜘
蛛類,植物(ナラの実・種子・芽)
ハシボソガラス
ハシブトガラス
カワラバト
哺乳類(ネズミ,死体),鳥類(卵,雛),両生
類,節足動物,腹足類,植物(種子,実),生
ゴミ
哺乳類(ネズミ,死体),鳥類(卵,雛),両生
類,節足動物,腹足類,植物(種子,実),生
ゴミ
節足動物,植物(種子,葉,茎)
巣を中心に狭
い範囲
5-7
大群
B,C
4-7
1-2
小群
B?
4-8
1
大群
A
20-50
3-5
1
大群
B
10-40
3-6
1
大群
C
2
~6
現地調査と既存文献に記録のある種類についてまとめた。
各項の区分と定義
① 採食生態
1:食性:主な食物の種類を列挙し、特に好む物をゴ シック体で示した。
2:採食集団:日本で見られる採食集団の最大の規模を示す。
単独:単独で採食するもの。
小群:同種採食集団を作るが、その最大個体数がおよそ100羽を越えないもの。
大群:およそ100羽を越える同種採食集団を作るもの。
異種混群:多種に混じった採食集団を作るもの。
② 繁殖生態
1:なわばり制:繁殖期における行動圏となわばりの関係に基づき次の区分をする(伊藤(1978)による)。
A:全行動圏(全ての繁殖、採食活動を行う地域)をなわばりとして防衛するもの。
B:行動圏うち、全ての繁殖活動と一部の採食活動を行う地域をなわばりとして防衛するのも。
C:巣が密集しており、巣とその周辺のみをなわばりとして防衛するもの。
2:なわばり面積:繁殖なわばりの面積をha数で示す。
3:一腹卵数:1回の繁殖で1巣に産む卵数。
4:繁殖回数:1年間に繁殖する回数。
なお、情報が不確かなものは空欄とした。
参考文献
「広島県の野鳥(1980.広島県林務部自然保護課)」
「広島県の生物(1982.日本生物教育会広島大会「広島の生物」編集委員会)」
「ひろしま野鳥図鑑 増補改訂版(2002.日本野鳥の会広島県支部.中国新聞社)」
「平成6年度 環境審査調査(陸生生物調査)((財)自然環境研究センター.1995)」
「日本産鳥類図鑑(高野伸二.1981.東海大出版)」
「原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「原色日本野鳥生態図鑑<水鳥編>(中村登流・中村雅彦.1999.保育社)」
「野鳥の事典(清棲幸保.1966.東京堂出版)」
「フィールドガイド日本の野鳥(高野伸二.1991.日本野鳥の会)」
「山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥(叶内拓哉・安部直哉・上田秀雄.1998.(株)山と渓谷社)」
「図鑑日本のワシタカ類(森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995.文一総合出版)」
「The Breeding Birds of Europe1(Manfred Pforr・Alfred Limbrummer.1981)」
「The Breeding Birds of Europe2(Manfred Pforr・Alfred Limbrummer.1982)」
- 184 -
資料6 哺乳類の生態的特性2
種
名
食
性
昆虫類、クモ類、ムカデ類
社 会 構 造
行 動 圏
昆虫類
小型昆虫類
モモジロコウモリ
小型昆虫類
ユビナガコウモリ
1-2回
3-4
ねぐら集団
50〜数百個体
1
1
ねぐら集団
数百個体
1
1
ねぐら集団
数百個体
1
1
1
2
ペア、小群
イヌ
ネズミ類、両生類、爬虫類、
昆虫類、
果実
哺乳類、両生類、爬虫類
残飯
ネズミ類、魚類、甲殻類、
両生類
単独性
イタチ
ネズミ類、魚類、甲殻類、
両生類、果実、農作物
単独性
チョウセンイタチ
ネズミ類、昆虫類、残飯
単独性
時に集団性
タヌキ
イエネコ
イノシシ
根茎、果実、種子、農作物
昆虫、ミミズ類、タニシ
カエル、ヘビ
種子、果実、昆虫、葉
3-7ha
単独性
時に数頭の群
1・15
1-4ha
0.1・1.5ha
雄単独性
雌家族群
カヤネズミ
種子、果肉、昆虫類
アカネズミ
一 腹 仔数 繁殖 密度
単独性
ニホンジネズミ
キクガシラコウモリ
繁 殖 回 数
単独性
雌間なわばり
500-1400㎡
1-2
1-8
1
2-12
1
4・5
1
3-12
2
2-8
2
1-8
数回
3-10
数回
4-6
10-20
農作物、種子、昆虫類
ハツカネズミ
カイウサギ
草木の葉・芽、茎、枝、
樹皮(冬季)
群れ
社会構造については、上段に雌雄関係、社会単位を、下段に空間構造を記述した。繁殖回数は1年当たりの回数、繁殖密度は、
小型哺乳類(食虫類、ネズミ類)では1ha当たりの個体(成体)数、その他の哺乳類では1k㎡当たりの個体数を示した。また、1腹
仔数、繁殖密度については、数値を範囲で示した場合、括弧内に通常みられる数値を示した。
- 185 -
平成 22 年度
火力関係環境審査調査(陸域調査・大崎上島町)
平成 23 年2月
調査受託者
財団法人自然環境研究センター
〒110-8676
東京都台東区下谷3丁目 10 番 10 号
電話
03-5824-0960
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