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第5学年 C 組 家庭科学習指導案
第5学年 C 組 1 題材名 考えよう 家庭科学習指導案 授 業 者 研究協力者 加藤 長沼 緑 誠子,佐々木信子 わたしと家族の生活 2 子どもと題材 (1) 子どもについて 子どもたちは,5年生になって初めて出会う家庭科という教科をとても楽しみにしている。 しかし,子どもたちの日頃の家庭生活に対する意識はあまり高くなく,家族の誰かが仕事を し,ただなんとなく営まれているという程度の認識しかない。家庭には,どんな仕事があっ て,いつ,誰が,どのようにして行っているのかなど,改めて家庭の仕事を見つめることが 少ないのが実態である。 近年は大人が子どもに手伝いを任せたり,見守ったりという機会は少なくなっているよう である。したがって子どもたちは家事の経験が少なく,関心も高まらず,技能を身に付ける 機会が少なくなっていると考える。 授業前アンケートからは,決められた仕事を分担している子どもは多いが,一つだけを受 け持っている場合が多いことが分かった。また,仕事を分担している子どもの中には,複数 の仕事を担当している子どもがいる一方で,決まった仕事を担当していない子どもは,ほと んど家事を手伝ったことがないなど,家事に対する経験の差が大きい。家の人から「手伝っ てほしい」という言葉をかけられない子どもも多くいた。 また,自分のことは自分でしているという子どもが多い一方,自分の衣類の片付けや自分 の部屋の掃除などは,自分のするべき仕事ではなく,家族がする仕事ととらえている子ども も多くいる。家庭の仕事についても,子どもたちは,仕事をしてあげているという意識が強 く,家族の一員として仕事をしているという意識はあまり見られない。 (2) 題材について 本題材は,家庭の仕事や生活時間の使い方などに関する実践的・体験的な活動を通して, 自分や家族が家庭でどのように生活しているか関心をもって見つめることにより,家庭生活 についての理解が深まるようにする。その上で,家族の一員として家庭の仕事や生活時間を 工夫し仕事を分担してできるようにするとともに,家庭生活をよりよくするために自ら考え 実践することの楽しさを実感し,主体的に家族に協力しようとする意欲や態度を育てること をねらいとしている。 自分の分担する仕事ができるということは,家庭において自分の分担する仕事を工夫して 実行することができるようにするとともに,家庭の仕事に積極的にかかわっていくことがで きるようにすることである。分担して実行する仕事と手伝いでは意識に違いがあることにも 気付くようにし,一時の思いつきや興味で終わることなく,分担した仕事に責任をもって継 続的に実行できるようにする。 子どもたちは,自分が家族から支えられているとともに,自分の存在があって家族を構成 しているという関係に気付くことで,家族の一員としての自覚をもつことができると考える。 そのためにはまず,自分や家族が家庭でどのように生活してるか関心をもって見つめさせる。 子どもたちは,自分が家族の一員であることを実感することで,それぞれの家庭の願いを実 現するために,家庭の仕事があることや,性別・年齢には関係なく,男女や家族が協力して 互いに家庭生活を支え合うことが大切であることに気付くと考える。その上で家族の一員と して家庭の仕事に積極的に関わっていくことの大切さや,家庭生活をよりよくするために自 らの考えで実践することの楽しさを実感させ,主体的に家族に協力しようとする態度を育て る。 (3) 指導について 単元導入では子どもたちが自ら家庭生活に参加したり,実践したりしようとする態度を身 に付けることができるように,家庭生活を営むためにどんな仕事がどれくらいあり,誰がす るのかを考える機会を設ける。 子どもたちは日頃,家庭生活を意識して生活はしていない。そこで,家庭には自分のこと と家族のためにする仕事がたくさんあることに気付くことができるように,自己評価カード を用い,家庭の仕事にどの程度参加しているのか,家族とどのようにかかわっているのか, 自分自身を見つめ,自分の家庭生活をふり返る時間を設定する。家の中の自分と家族を支え るたくさんの仕事に目を向けることができるように,家庭の中でどのような仕事があり,誰 がその仕事をしているのかを調べ,発表して交流する場を設ける。多くの場合,家族の誰か が偏って仕事をしていることが多く,家族のみんなが手分けをして仕事をしている場合は少 ない。そのことから,家庭での仕事についての自分の問題点や課題に気付くことができるよ うにする。 さらに,「家族と家庭の仕事」の学習を深めるために,ロールプレイングを取り入れる。 劇を演じて家族の立場を疑似体験ができるようにする。演技の中で発する言葉は言ってみた いけれど言えない言葉であり,言ってほしい言葉でもあると考える。意識して言う場合でも, 言ってから気付く場合でも,家族の中の自分を見つめるきっかけとなり,いろいろな考えや 感じ方が出され,一人一人の思考が深まるであろうと考える。劇の最中や劇をふり返ったと き,子どもたちが今までの自分を見つめ,考え,新たな行動のきっかけにする場にしたい。 考えを深めることができない子どもには,自分だったら家庭ではどのようにしているのかや, 前時までの学習を想起するように言葉かけをする。 他のグループの劇を見る場を設けることで,友達の台詞を聞いて,自分を見つめ,考え, 実践につなげる意欲をもつことができるようにしたい。 3 題材の目標〈記号は本校の資質・能力表による〉 (1) 自分の成長と家族に関心をもって学習活動に取り組み,家庭生活と家族の大切さに気付い たり,家族の一員として家庭の仕事に取り組もうとしたりする。 〈A-1・2・3〉 (2) 家族の生活について課題を見付け,その解決を目指して考えたり,自分なりに工夫したり する。 〈A-1〉 (3) 家族とのコミュニケーションをとったり,手順を考えて家庭の仕事を実践したりできる。 〈A-3〉 (4) 家庭には自分や家族の生活を支える仕事があることが分かり,協力して生活する大切さを 理解する。 〈A-2〉 4 題材の構想(総時数5時間) 時 間 1 学習活動 (1) 自分の家庭生活を 見つめる。 ・ 自分がどの程度 家庭生活に参加し ているか家族にか かわっているか見 つめる。 ・ 家庭の中にはど のような仕事があ るかを考える。 教師の主な支援 ・ 家庭には自分のことと家族 のためにする仕事がたくさん あることに気付くことができ るように,自己評価カードを 用い,家庭の仕事にどの程度 参加しているのか,家族とど のように関わっているのか, 自分自身を見つめ,自分の家 庭生活をふり返る時間を設定 する。 評価〈本校の資質・能力との関連〉 ・ 自分と家庭の仕事との かかわり,家族の大切さ に気付いている。 〈A-1・2〉 ・ 自分や家族の生活を支 える仕事について理解し ている。 〈A-2〉 ・ 家庭生活と家族の大切 さに気付き,家族の一員 として家庭の仕事をしよ うとしている。 〈A-1・2・3〉 学習課題 自分と家族の生活を考えよう。 2 3 本時 4 5 (2) 家族の役割を考え たロールプレイング をする。 ・ グループで,ス トーリーの続きを 考え,発表する。 ・ 家族の一員とし ての家庭の仕事を することについて 考える。 (3) 家庭の仕事にチャ レンジする。 ・ 仕事を考え,実 践計画を立てる。 ・ 実践発表会をす る。 ・ 家族の中の自分を見つめる ことができるように,「ある 家族の会話」の場面を設定し, グループで家族構成や話の続 きを考え,劇を演じて家族の 立場を疑似体験する。 ・ 家族についての一人一人の 思考を深めることができるよ うに,演技の中で言ってみた い言葉だけれど言えないこと や言ってほしい言葉を考え, いろいろな考えや感じ方を出 し合う場を設定する。 ・ 相手を意識した活動ができ るように,家族の気持ちを考 えるように助言する。 ・ 家族の立場になって考える ことができるように,仕事を してみての感想,家族の感想 や意見,仕事のやり方のポイ ントや工夫などを発表し合う 場を設定する。 ・ 自分や家族の生活を支 えるための仕事を分担し 家族に協力することがで きる。 〈A-3〉 ・ 自分の分担する仕事や 家族への協力について考 えたり,自分なりに工夫 したりしている。 〈A-2・3〉 5 本時の実際 本時(3/5) (1) ねらい 家族の立場を疑似体験する活動を通して,家庭生活と家族の大切さに気付くとともに,家 族の一員として自分の分担する仕事について考えることができる。 (2) 展開 ○:「対話」の機能を活かすための手立て 時間 学習活動 5分 ① 15分 ② 15分 ③ 10分 ④ 教師の支援 評 価 前時に,ロールプレイングを演じて ・ 家族の中での自分を見つめ考えたこと みての感想を発表する。 を明確にできるように,劇を演じてみて, 【自分との対話】 家族のやりとりやかかわりについて考え (予想される子どもの反応) たことを交流する場を設ける。 ・ 家庭の仕事はとてもたくさんあるか ら,手伝いをしなければいけない。 学習問題 家庭の仕事について考えよう。 前時にビデオに撮っておいた一つの ・ 相手の立場を理解し家族へのよりよい グループの劇を観て,家族の会話のや 働きかけを考えたり,家庭での仕事の実 りとりの感想や考えたことなどを話し 践につなげたりできるように,家庭生活 合う。 【自分との対話】 の一部をロールプレイングで演じた他の 【仲間との対話】 グループの発表を観る機会を設ける。 (予想される子どもの反応) ・ 演技の中で発する,言ってみたい言葉 ・ 父は会社で仕事をしているから家の だけれど普段の生活では言えない言葉や 仕事はあまりしなくてもいいと思う。 言って欲しい言葉に注目して観るように ・ お母さんばっかりが家の仕事をしな 助言する。 いで,私たちもできる手伝いをした方 がいい。 家庭の仕事をする大切さ,家族の協 ・ 家庭の仕事をした後,家族からもらっ 力の大切さについてグループで話し合 た言葉がないか,あったらどんな言葉を い,発表する。 【自分との対話】 もらい,そのときどんな気持ちになった 【仲間との対話】 かを考えるよう助言する。 (予想される子どもの反応) ○ さまざまな考え方があることに気付く ・ 家族みんながいろいろな仕事を分担 ことができるように,自分たちと他のグ すれば,みんなが気持ちがいいと思う。 ループの考え方の共通点や差異点に気を ・ 今まで自分中心に考えていた。でも 付けて聴くように助言する。 家族がいるのだからみんなでいろいろ なことをしていくことが大事だと思っ 家庭生活と家族の大切さに気付き, た。 家族の一員として家庭の仕事をしよう としている。 〈A-2〉 (発言,ワークシート) 分かったことや今後の生活に生かし ・ 自分を見つめ,これまでの生活を反省 ていきたいことをワークシートにまと したり,これからの生活を考えたりでき め,発表する。 【自分との対話】 るように,自分とは違う友達の考えを参 考にするよう助言する。 (3) 「仲間との対話」を通して新たな価値を創造する子どもの姿 《学習活動③において》 【協働して追究する「問い」】 「家庭の仕事は誰がするものだろうか」 子どもの姿 ・ 家庭の仕事は,とてもたくさんあるから,手伝いをするよう にしたい。 【教師の手立て】 ・ 他のグループの劇を観る場を設けることで,友達の台詞を聞 いて,自分を見つめることができるようにする。 ・ 発問:「友達の劇(嫌々ながら家庭の仕事をしている)を観 て,どう思いましたか。」 C:「私がいつもしていることと同じだった。」 T:「お家の人はそのときどんな気持ちになると思います か。」 C:「嫌な気持ちだと思う。」 C:「不愉快だと思う。家族にいけないことをしていたの だと分かった。」 ・ 自分の家庭しか知らない子どもたちが自分とは異なる家族形 態や家庭生活があることに気付き,課題を見付けることができ るような資料を提示する。 ・ 発問:「家庭の仕事はお母さんがするものですか。」 仲間との対話 ・ 家族みんながいろいろな仕事を分担すれば,みんなが気持 ちがいいと思う。 ・ 家族全員で生活をしているのだから,自分のことだけでな く,家族のために何かしないといけない。 ・ 今まで家の中で自分中心に考えて行動していた。でも家族 一人一人が大切だからみんなでいろいろなことをしないとい けないと思った。 ・ 家族の願いを実現するために,家庭の仕事があることや, 性別・年齢には関係なく,男女や家族が協力して互いに家庭 生活を支え合うことが大切だと思った。 ・ これからは家族の一員として,家庭の仕事に積極的にかか わっていきたい。 目指す 子どもの姿 ・ 家族の一員としての自分を意識し,仕事を分担し協力して 行うことの意義を理解している。 ・ 家庭生活をよりよくするために自ら考え,家庭の仕事に積 極的にかかわっていくことができる。