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病変診断 (理論医学)
両眼前庭動眼反射の数学モデル を用いた 病変診断 ( 理論医学)の試み 東京医科歯科大学 医学部 医用理工学 若松研究室 眼球運動神経経路のどこかに 異常があると 眼球運動が変わる これを利用した診断 1 正常時の両眼動眼運動神経経路 前庭核(VN) Left side 外転神経核(AN) 前庭器(VO) 動眼運動核(OMN) 三半規管(SC) 外直筋(LR) R 卵形嚢・球形嚢 (U & S) MLF U&S OMN SC VO AN El 内直筋(MR) MR R Er LR VN Right side 例えば 片側前庭核の損傷を青色で示す SC VO Left side VN AN LR OMN U&S U&S OMN VO El MR MLF SC R VN MR R Er LR AN Right side 2 暗闇の中でも,視標が存在するはず それを 仮想視標 と呼ぶ 並進運動にも前庭動眼反射が存在するから これを診断に利用しよう SC VO Left side VN LR AN OMN R U&S El MR MLF U&S OMN MR R Er LR SC VO 暗室での VN Right side 正常時の両眼前庭動眼反射 頭部回転運動 正常時の両眼前庭動眼反射 に対する 前庭動眼反射 暗室での 暗室 並進運動 に対する 緩徐相の速度 前庭動眼反射 速度 AN 暗室 時間 3 SC VO Left side VN LR AN OMN R U&S MR MLF MR U&S R OMN SC VO 回転運動に対する 前庭動眼反射の 緩徐相の速度が 大幅に減少する AN VN Er LR Right side 両側三半規管の損傷直後 並進運動に対する 前庭動眼反射は 変わらないはず. 暗室 速度 El 正常時 損傷後 暗室 時間 SC VO Left side VN AN LR OMN U&S U&S OMN 回転運動に対する 前庭動眼反射が 回復する VN MR R Er LR AN VO El MR MLF SC R Right side 両側三半規管の損傷後十分な時間経過 速度 暗室 正常時 回復後 回復前 暗室 時間 4 両側の三半規管が損傷すると 回転前庭動眼反射が一時大幅に減少する しかし やがて回復する というのは SC VO Left side VN AN LR OMN U&S El MR MLF U&S R MR R OMN 回転運動に対する LR AN SC VO 前庭眼振が Right side VN 長時間停止しない! 片側前庭器の損傷直後 Er すなわち 速度 緩徐相の速度は 並進運動に対する 前庭眼振の 緩徐相速度が 半減する 暗室 正常時 損傷直後 時間 5 片側前庭器の損傷直後 遠心力の影響で 回転運動に対する前庭眼振が 長時間持続する 卵形嚢・球形嚢が検出した遠心力の信号を 相殺できないから SC VO Left side VN AN LR OMN U&S U&S OMN VN MR R Er LR AN VO El MR MLF SC R Right side 片側前庭器の損傷後十分な時間経過 速度 回転運動に対する 前庭動眼反射が 回復する 暗室 正常時 回復後 損傷直後 並進運動に対する 前庭動眼反射は 大幅に減少 または消失する 暗室 時間 6 片側前庭器の損傷から十分に時間が経つと 学習によって 遠心力の影響が 減少または消失するはず また 並進運動に対する前庭動眼反射も 大幅に減少または消失するはず. SC VO Left side VN AN LR OMN U&S U&S 速度 正常時 損傷直後 MR OMN SC VO El MR MLF 片側前庭器の損傷 と同様 回転運動に対する 前庭眼振が 長時間に渡って 停止しない! R VN R Er LR AN Right side 片側前庭核の損傷直後 並進運動に対する 前庭眼振の 緩徐相速度が 半減する 暗室 時間 7 SC VO Left side VN AN LR OMN U&S U&S OMN VO El MR MLF SC R VN MR R Er LR AN Right side 片側前庭核の損傷後十分な時間経過 速度 回転運動に対する 前庭動眼反射が 回復する 暗室 正常時 回復後 損傷直後 並進運動に対する 前庭動眼反射は 大幅に減少 または消失する 暗室 時間 片側前庭核の損傷後の 眼球運動特性は 片側前庭器の損傷とほぼ同じ ただし 学習が遅い 8 SC VO VN Left side AN LR OMN R U&S El MR MLF U&S OMN MR R Er LR 両眼の対称性 SC VO Right side VN 片側外転神経核の損傷直後 が崩れ, 正常な共役運動 ができなくなる 暗室 AN 暗室 片側外転神経核が傷を受けた後 学習による 完全なる回復はない 外直筋への制御信号が完全に遮断されたから 動眼運動核損傷の場合も 同じである 9