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平成20年度 事業計画

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平成20年度 事業計画
平成20年度
事業計画
1.一般方針
我が国酪農は、今未曾宇の危機に直面している。一昨年来の輸入飼料の高騰は上げ止ま
るどころかさらに上昇する動きにあり、その背景を見ると国際的な資源の奪い合いの実態
が浮かび上がっている。我が国畜産を支えてきた、輸入飼料に依存した加工型畜産の経済
合理性が崩壊しつつあり、自給飼料基盤を確保した資源循環型畜産へのパラダイムの変更
が余儀なくされている。
こうした現状を見るとき、標高千メートルをこえる中山間地帯で、独特の牛乳を産出す
るジャージー種牛を放牧飼養し、自給飼料を主体にした山地酪農を実践してきた神津牧場
の120年余にわたる歴史は、我が国畜産の将来方向を示唆するモデルケースとして位置
づけられるものであり、さらに発展させるべく経営の足場を固めていくことが肝要である。
牧場内においては、一貫経営の基盤である放牧飼養の科学的実践の充実を図るとともに、
牧場の立地条件を活かして、緑資源の活用による山地の多面的機能の発揮も積極的に図っ
ていく。来場者に緑あふれる良好な環境の中で、新鮮で美味しい乳製品を提供することに
より満足感を与え、畜産理解の醸成に繋げていく。特に、
「山の実園」はサルナシの植栽か
ら3年目になり、サルナシが結果する予定で、その果実を来場者に提供するとともに、乳
製品の加工にも活用していく。さらに、山地酪農、草地畜産の普及・宣伝のため、各地で
行われるイベント・物産展にも引き続き積極的に参加する。
以上の取組みに見られるように、安全・安心な畜産物の生産にとどまらず、ふれあいや
環境保全など多面的な機能を有する経営体として、今後の我が国畜産のあるべき姿を総合
的に実証していくことを目指す。併せて、公益事業の柱である畜産関係の調査・実証事業
の実施とともに、実習生・研修生の受け入れ事業も積極的に行う。
各事業については、下記のとおりである。
2.事業に関する事項
(1)乳牛改良事業
牛群検定などの結果を有効に活用し、繁殖管理の徹底、選抜淘汰の実施により、産乳能
力の向上を図る。特に、授精技術の向上に努め、確実な繁殖結果が得られるよう努力する。
本年度、成牛は 90 頭から始まり、淘汰 14 頭、育成からの繰り上がり 23 頭で、年度末には
99 頭を予定している。
(2)副産物の売却事業
安全・安心・高品質なジャージーの牛乳を原料に、各種の乳製品を製造・販売していく。
卸販売ではセット物の進物販売など新規の開拓に積極的に取り組む。直接販売は、各地で
開催されるイベント等に参加してすすめる。通信販売では開店した Yahoo ショッピングで
の展開を積極的に行う。また、牛乳は製菓・パンの原料として、新分野の開拓をしていく。
なお、飼料の高騰、油類の高騰、種々の生産資材の高騰など生産費が著しく上昇している
ため、本年は乳製品の価格を 10~20%値上げすることとする。
(3)肉用牛肥育試験事業及び放牧養豚事業
雄子牛を活用する肥育事業は、放牧肥育の有効性を示すために本年も継続して行う。素
牛は二歳までは放牧を主体に飼養することで、健康な牛作りとコストの低減化を図ってい
るが、その後の仕上げ肥育についても一部12か月から4か月程度に期間短縮を図る。本
年の仕上げ出荷は、鉄板焼き及び食堂用として7頭、卸業者を通じてレストラン等に12
頭を予定している。生産された牛肉の一部部位は、美味であると評価の高い串焼きにして
イベント等で対面販売によって普及していく。
また、経産牛の廃用についてもレトルトのカレー、ハヤシ、シチューに加工して販売す
るとともに、新しく挽き材としてハンバーグやハム、ソーセージ等への加工も試みる。
副産物の脱脂乳を餌として活用する放牧養豚は、本年も継続実施する。体重20㎏程度
の子豚で導入し、110㎏位で出荷する。需要が高いことから本年は倍増の20頭を予定
する。精肉は、ベーコン・ハム・ソーセージに加工依頼し、付加価値を高める。
(4)飼料生産事業
放牧地・採草地とも、周囲の雑木の伐採を行い、草地面積の維持・拡大を図る。特に、
峠地区の未利用草地の再草地化を図り、有効に活用する。加えて放牧草地の一部について
は簡易更新法により追播を行い、草生の改善を図っていく。堆肥生産については、畜産草
地研究所のバックアップを受けてインパクトエアレーション法の確立を図るとともに、
春・秋の堆肥散布を確実に行う。施肥管理については、土壌検定結果に基づき土壌改良を
中心にすすめていく。
なお、畜産草地研究所とタイアップして、乳酸菌製剤の添加効果を見るなどロールベー
ルの品質向上に引き続き取り組む。
(5)中小家畜の飼養展示
酪農教育ファーム及びふれあい事業の活動に資するため、ウサギ・山羊・羊等の飼養展
示を行うとともに、家畜改良センター長野牧場と連携して園地の雑草管理を行う場面でも
活用していく。ウサギについては、繁殖売却も行う。
(6)実習生・研修生の受入れ事業
年間を通しての学生の実習、各種技術研修等のほか、各種団体からの様々の要望につい
て、草地管理、家畜の飼育から乳製品の加工及び販売まで一貫した態勢で行っている立場
から、対応していく。
(7)放牧受託事業
夏期放牧受託事業は、本年度も桶萱地区で継続して行う。受入は県内外を問わず、人工
授精も実施する。繁殖管理を確実に行い、受胎成績の向上に努める。受託牛の健康管理に
ついては、家畜保健衛生所の協力を仰ぐ。
(8)広報普及事業
酪農教育ファームとしては、これまで整備された施設を活用し、各種牧場体験の受入れ
を行う。また、宿泊型の牧場体験も各関係機関と連携して実施していく。
インターネット環境が整ったことから、ホームページの充実を基軸に自前の情報発信を
積極的に図っていく。また、一般の来場者・見学者には、従来と同様パンフレット・チラ
シ・ビデオ等も準備して対応する。
(9)収益事業
牧場の散策や山登りなどで訪れる来場者のため、売店・食堂・宿泊施設などの営業を行
う。特に、ソフトクリームについてはサルナシとのコラボレーションを図った新製品の開
発・販売を行う。バター作りや手搾り等の体験は、随時できるように体制を維持するとと
もに、ふれあい用の牧草の販売などにも取り組む。体験館・バーベキューコーナーを活用
して団体の受入も積極的に行う。
(11)調査研究事業
各種団体からの委託事業、独立行政法人や自治体の試験研究機関等との共同調査研究を
積極的に進める。特に、畜産草地研究所とのタイアップを積極的に行う。
(12)施設及び機械設備事業
施設については、加工場等の整備について具体的な計画立案に取り組む。機械整備につ
いては、当面老朽化が進んだものからリース事業等を利用して更新を図っていく。
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