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最近の米国経済について

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最近の米国経済について
情報報告
●最近の米国経済について
FRB、金融緩和の追加措置実施へ
8 月 10 日、連邦準備制度理事会連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、景気の現状認識と見
通しを下方修正するとともに、
政策金利の FF 金利誘導目標を 0~0.25%で据え置くと決めた。
同時に、FRB が保有する政府機関債などの償還金を長期国債に再投資すると発表した。事実
上の金融緩和措置とみられている。
同日に発表された FOMC の声明は、
「この数ヵ月間、生産と雇用の回復ペースが鈍化してい
る」と指摘し、6 月の声明の「景気は回復を続けており、労働市場も徐々に改善している」
との景況判断から後退した。また、今後の景気見通しについて、当面、従来の予想よりも弱
い景気回復となる見込みだとし、6 月時点の見通しよりも後退した表現にした。
政策金利の FF 金利は 0~0.25%を維持した。また、6 月の FOMC 会合時と同様に、
「十分利
用されていない経済資源、抑制されたインフレ傾向、安定したインフレ期待という経済の状
況から、FF 金利が異例の低水準にあることについて、今後も長い期間、正当化されるだろう」
と述べている。
金融規制改革法が成立
7 月 21 日、金融規制改革法(ドッド・フランク・ウォールストリート改革・消費者保護法:
P.L.111-203、H.R.4173)が、オバマ大統領の署名を経て成立した。同法(PDF)の内容は金
融監督体制、金融業務規制の改革など広範にわたり、848 ページに及ぶ。大恐慌の反省を踏
まえて 1933 年に成立したグラス・スティガール法は、預金保険公社(FDIC)の創設や商業銀
行と投資銀行の業務規制導入など米国の金融規制を大幅に変えたが、それ以来の抜本的改革
といえる内容。
ただ、法律の規定の多くは内容があいまいで、実際の効果は不透明。邦銀関係者は同法の
「米国でのファンド投資を禁止する」との規定に関して、ファンドの登記場所を指すのか、
運用者の居住地を指すのか、規定からは全く判断できない」と例を挙げる。当面は幅広い分
野で最悪の事態に備えて準備を進めざるを得ないという。
「ウォールストリート・ジャーナル」
紙がまとめた有識者のコメントでも、
「実際の規制について不確実性が高すぎる」
(ポールソ
ン前財務長官)
、
「法律の抜け穴があまりに大きすぎて、トラックでも通過できる」
「弁護士と
コンサルタントの仕事の爆発的な増加につながる」
(ピット元 SEC 委員長)などの感想が代表
的だ。
規制当局は今後約 250 に及ぶ規則を作成する必要がある。金融規制改革法の規定の多くは
法律成立後 180 日以内に有効となる建前になっている。ただ、規則の多くは事前調査、規則
案の策定、パブリックコメント受け付け、最終規則確定との手順を踏む必要がある。このた
め、実際の施行には「2~3 年はかかる」
(邦銀関係者)とみられている。
10 年第 2 四半期、ベンチャーキャピタル投資が復調
全米ベンチャーキャピタル協会によると、10 年第 2 四半期の VC 投資は、前期比 22%増の
906 件、投資額は前期比 34%増の 65 億 1,700 万ドルとなった。投資額・件数とも、09 年第 1
四半期を底に回復基調にあり、08 年 9 月のリーマン・ブラザースの破綻以降で最も高い水準
となった。投資額の前期比伸び率は、99 年第 4 四半期以来の高さで、VC による投資が急回復
している。また、1 件当たりの平均投資額は前期比 9%増の 719 万ドル(同 658 万ドル)と、
投資の大型化も進んでいる。
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シカゴ
情報報告
シカゴ
分野別内訳をみると、17 分野のうち 16 分野で投資額が増加した。牽引したのは、クリーン
エネルギー、電気自動車などの工業・エネルギー分野(7 億 2,000 万ドル増)
、バイオテクノロ
ジー分野(3 億 9,000 万ドル増)
、ソフトウエア分野(3 億 3,000 万ドル増)で、全体では 52.6%
増加した。また、伸び率が高かったのは、金融サービス分野が約 11.3 倍の 1 億 7,000 万ドル、
消費財・サービス分野が約 2.5 倍の 1 億 5,000 万ドル、メディア・娯楽分野も約 2.5 倍の 3 億
2,000 万ドルだった。特に、工業・エネルギー分野、金融サービス、消費財・サービス分野へ
の投資額は、全体投資額の直近のピークである 08 年第 1 四半期の水準を超えている。
工業・エネルギー分野への投資額は、95 年の調査開始以来最大の 12 億 8,000 万ドルとな
った。前年同期比で約 2.3 倍と、09 年第 1 四半期を底に完全な V 字回復をみせた。同分野へ
の投資は、09 年 2 月に成立した米国再生・再投資法に基づくクリーンエネルギーへの政府投
資の拡大、世界的なクリーンエネルギー導入・活用に向けた意識の高まり、電気自動車への
投資拡大の影響を受けて、VC から大量の資金が流入している。また、同分野の 1 件当たりの
平均投資額は 2,100 万ドルと、全分野平均の 719 万ドルを大きく上回っている。巨大投資案
件が同分野の平均投資額を押し上げている。
バイオ産業株価下落傾向も資金調達は増加
バイオ上場 120 社銘柄によるナスダックバイオ指標(NBI)は 10 年上半期、年初に比べ 6.7%
低下した。米国株式市場の主要指標のダウ平均、ナスダック総合指数、S&P500 も同期間、それ
ぞれ 7.7%、8.6%、9.0%低下している。
第 1 四半期には、NBI は年初より 15%高となり、ほかの主要指標を上回る上昇を示した。
これは、医療保険改革法の成立、大手製薬企業による M&A の活発化、有力製品候補の臨床試
験の成功などの影響を受けたためとみられる。しかし、第 2 四半期になると、欧州のソブリ
ン危機問題に伴うマクロ経済環境の悪化などにより、第 1 四半期末から 15%安となり、ほか
の主要指標の水準にまで下落した。
他方、米国バイオ企業による 10 年上半期の資金調達額は、前年同期比 10.6%増の 83 億
8,323 万ドルと状況は改善している。このうち、新規株式公開(IPO)による資金調達が大幅
に増えている。
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