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外国製品
資料 2008 年前期 全学共通教育科目「世界は今:グローバル化の時代を生きる」 「グローバリゼーションのプラスの効果とマイナスの効果:パラオ共和国の事例から」 [4月 21 日] 担当:三田貴(GLOCOL) [email protected] 基礎データ ¾ 国名 ¾ 現地語地名 ¾ 首都 ¾ 場所: ¾ 気候: ¾ パラオ諸島: ¾ 面積: ¾ 総人口 パラオ共和国(Republic of Palau) ベラウ(Belau) マルキョク(Melekeok) 西太平洋 ミクロネシア地域 熱帯性海洋気候 300 以上の島 10 の有人島 458 平方 km (主要島は淡路島くらい) 19,907 人 (2005 年国勢調査) パラオ人(市民): 14,438 外国人(非市民): 5,469 ¾ 政治的地位 独立国(米国自由連合国=1994~2043) ¾ 政治体制 大統領制 ¾ 議会 二院制 上院(9 名) 下院(16 名) ¾ 年間国家予算 約 5,500 万米ドル(約 55 億円) ¾ 地方自治 16 の州 ¾ 伝統首長 各村に伝統首長(酋長) ¾ GDP(国内総生産): $1 億 4,470 万ドル ¾ 一人当たり GDP: $6,874 ¾ 世帯収入: US$15,107 ¾ 労働人口: 9,777 人 ¾ 失業率: 4.2% [出典:指標は 2005 年パラオ国勢調査] [出典:経済指標は、パラオ政府財務省提供データ] 各種製品の家庭普及率 • • 冷蔵庫: 98.6% • 電話: 86.2% • 携帯電話: 45.4% • TV: 86.6% • パソコン: 18.5% • トイレ: 99.4% • 自動車: 76.5% • ボート: 18.7% [出典:2005 年パラオ国勢調査より] 1 時代区分 1. -1885: 伝統社会 2. 1885-1945: 植民地化 スペイン (1885-1899) ドイツ (1899-1914) 日本 (1914-1945) 3. 1945-1994: 脱植民地化 米国 (国連信託統治領 UN Trusteeship) (1945-1994) 自治政府(1981-1994) 4. 1994-現在: 「独立」 自由連合協定 Compact of Free Association with the United States of America (1994-2043) 植民地時代(1885-1945)のパラオ キリスト教(スペイン、ドイツ) 学校教育(ドイツ、日本) パラオ人が、近代的経済活動に参加(ドイツ、日本) 近代資本主義が入ってきた モノやサービスの対価としての貨幣 賃金労働が導入された 植民者たちは、外国製品を持ち込んだ しかしパラオ人の使うほとんどのものは自分達で生産した 大規模な開発は日本人移民が行った 大きな変化があったにも関わらず、伝統的な生活様式や伝統首長の制度はほぼ維持された 脱植民地化の時代に何が見られたか 民主主義・政府という概念とシステムが入ってきた 公的部門が肥大化してきた 自分達の憲法を作った 米国統治下で、経済開発はほとんどされなかった パラオ人が使う製品を輸入に頼るようになった しかし、パラオの伝統的な生活様式や伝統首長の制度はほぼ維持された パラオの「独立」 1994 年、米国との盟約を締結し、米国の「自由連合国」としてパラオは「独立」した 米国との盟約は 50 年間続く 内政・外交が、独自に行えるようになった 防衛権は米国が持ったまま 米国から、多額の財政支援(15 年間) 「独立」後、何が変わったか 米国からの多額の財政支援金が入るようになった (米国以外の)外国政府から援助が入ってくるようになった 外国の投資家が多くパラオに来るようになった 観光客が大勢訪問するようになった 政府の財政が豊かになったので、公務員は潤った 外国人労働者が大勢来るようになった 2 グローバル化のあらわれ方 人の移動 観光客(日本、台湾、韓国) 外国人労働者(フィリピン、バングラデシュ、中国) モノの移動 輸入製品 【食料品、燃料、車】(米、日本、台湾、中国、東南アジア) カネの移動 投資・開発(日本、台湾、中国) 観光 援助(日本、台湾) 外国投資委員会に許可された外国からの投資額および件数(2006 年) 1) 日本: $5,830 万ドル、30 社 2) 米国: $2,200 万ドル、53 社 3) 台湾: $1,760 万ドル、21 社 4) 韓国: $1,340 万ドル、13 社 5) フィリピン: $100 万ドル、10 社 [出典:パラオ外国投資委員会提供資料より抽出] グローバリゼーションの利点と問題点:プラスの効果 経済的豊かさの向上 雇用機会の増加 海外の情報へのアクセス 多様な製品へのアクセス(豊かな消費生活) 民主主義・グッド・ガバナンスの定着 英語の普及と活用 グローバリゼーションの利点と問題点:マイナスの効果(影響) 伝統文化の衰退 伝統政治の衰退 輸入製品への依存 廃棄物問題の現出 労働力の外部依存 富の流出 外部状況(観光客を送り出す国の状況)への依存 言語の衰退・不継承 3 三田の視点 1. パラオに変化を引き起こす要因:多くは外部から、外部の人の意志に基づいてやってきたもの 2. グローバリゼーションの諸勢力を意識し、自分たちで国をコントロールしないと、外部の人々 の思うままになってしまう 3. 強い意志と未来へのビジョンを持ち、自立的に国家建設をしなければならない 島嶼国パラオの強み 貧困がない(伝統社会が支えあっている) 地域社会と家族関係がいまだに強固 「小さい」こと=実現可能性が高い まとまりやすい 独立国として、自分達が決定権を持つ 重要なこと ■ パラオ人が自分達の将来をどうデザインし、作り上げていくか? ① 問題を特定する ② 問題の原因を特定する ③ 望ましい社会(preferred futures)を描く ④ 望ましい社会を構築するための対策・政策・技術等を検討する もっと知りたい人におススメの本 印東道子編著 2005. 『ミクロネシアを知るための 58 章』 明石書店. 小林泉 1994. 『太平洋島嶼国論』 東信堂. 小林泉 2006. 『ミクロネシア独立国家への軌跡:見つづけた島々の 30 年』 太平洋諸島地 域研究所. 田中義晧 2007. 『世界の小国 -ミニ国家の生き残り戦略-』 講談社. デヴィッド・ヘルド編 2002. 『グローバル化とは何か 文化・経済・政治』 中谷義和監訳 法律文化社. 松島泰勝 2007. 『ミクロネシア:小さな島々の自立への挑戦』 早稲田大学出版部. 吉田靖 2005. 『アホウドリの糞でできた国 ナウル共和国物語』 アスペクト. 4