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グループのガバナンスおよびマネジメント体制 ( 809KB)
Daiwa Securities Group グループのガバナンスおよびマネジメント体制 コーポレート・ ガバナンス トップマネジメント 人材マネジメント 財務戦略 リスクマネジメント コンプライアンス CSRへの取組み 知的財産活動 IT戦略・ 情報セキュリティ ディスクロージャー 戦略 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group コーポレート・ガバナンス 大和証券グループは、 国際的な水準に適う透明性・客観性の高いコーポレート・ガバナンス体制を目指して います。 経営の監督と業務執行の分離を明確にすると同時に、 グループ各社の高い効率性・専門性を活か しつつ、 グループ各社間のシナジーを最大限に発揮できるグループ経営体制を構築していきます。 ガバナンス体制の特徴 監査委員会は、2006 年度には 12 回開催し、内部統制シ 大和証券グループは、1999年に国内上場企業で初めて 持株会社体制に移行し、グループ各社の独自性・専門性と ステムの整備状況を中心に取締役および執行役の職務の 執行について監査を行いました。 報酬委員会は、2006 年度には 5 回開催しました。役員 グループ各社間のシナジー発揮、そして透明性・客観性の 高いガバナンス体制の実現を追求してきました。 報酬に関する方針および個別報酬内容の決定に関する 2004 年6 月には「委員会設置会社」へと移行し、取締役 会から執行役への大幅な権限委譲による意思決定の機動 事項や、連結業績の向上に資するグループ全体のインセ ンティブプラン等について検討しました。 性向上と、社外取締役の増員および指名・監査・報酬各委 なお、2006年度において12回開催された取締役会にお 員会の設置による経営の監督機能の強化を図りました。 ける、 4名の社外取締役の出席率は約96%となっています。 また、主要グループ会社の代表取締役がグループ本社の執 行役を兼務することによって、 グループ戦略にもとづいた 業績連動性を重視した役員報酬制度 事業戦略をより効率的に実践する体制を整えています。 取締役、執行役の報酬は、基本報酬、業績連動型報酬、 指名委員会は、2006 年度には 3 回開催しました。指名 株価連動型報酬で構成され、報酬委員会において決定さ 委員会においては、コーポレート・ガバナンスに配慮し れます。業績連動型報酬の算定基準は、連結経常利益や た取締役会の構成、取締役候補の指名に関する基本的 連結 ROE などの財務的な基準に加え、営業資産やお客 な考え方、取締役候補の選定等について引き続き検討し 様満足度、生産性などが評価に反映されます。また、役員 ました。取締役候補の選定については、指名委員会にお 報酬の業績連動性や透明性を高めるために、大和証券グ いて取締役選任基準に照らして審議・決定されますが、 ループ本社、大和証券、大和証券SMBCの3社においては、 当基準には社外取締役の独立性を担保するための基準 役員退職慰労金を廃止しました。 も盛り込んでいます。 2006 年度役員報酬の内容 区分 報酬委員会決議にもとづく報酬等の額 取締役 支給人員 5名 執行役 支給額 105 百万円 支給人員 14 名 計 支給額 支給人員 1,042 百万円 19 名 支給額 1,147 百万円 注 1:上記支給額には、2006 年度業績に対応する業績連動型報酬として支給された額を含む。 注 2:上記支給額には、取締役および執行役に対し、ストック・オプションとして割り当てられた新株予約権の価額合計 100 百万円を含む。 注 3:上記のほか、2006 年度中に退任した取締役 1 名に対し、第 67 回定時株主総会決議( 2004 年 6 月 23 日)にもとづく退職慰労金 19 百万円を支給。 注 4:上記支給総額 1,147 百万円のうち、社外取締役 4 名に対する報酬等の総額は 67 百万円。 注 5:2006 年度末現在の人員は、取締役 13 名、執行役 14 名で、うち取締役 8 名は執行役を兼務。取締役と執行役の兼任者の報酬は、執行役に対する報酬等の支給額の欄に総額を記載。 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group 内部統制について 内部監査計画や内部監査の結果は、大和証券グループ本 当社グループでは、 「業務の有効性及び効率性」 「財務報 社では執行役会の分科会である経営監理委員会において、 告の信頼性」 「事業活動に関わる法令等の遵守」 「資産の保 主要グループ会社では法務監査会議等の会議体において、 全」 等を確保するためのさまざまなプロセスを内部統制と それぞれ承認・報告されます。同時に、経営監査部は内部監 定義し、それらがより効果的・効率的に機能するための網 査の結果について監査委員会に報告を行います。 羅的な内部監査体制を構築しています。 主要グループ会社には内部監査部門を設置して各社で 内部監査を実施しているほか、 内部監査部門を持たない会 社に対しては大和証券グループ本社に設置したCEO直轄 の経営監査部が内部監査を実施しています。 経営監査部を含めた当社グループの内部監査部門は、 監査委員会は、経営監査部と連携しつつ監査を行なって おり、必要に応じて監査に要する調査を経営監査部に委嘱 することができます。 また、当社グループでは、金融商品取引法制定に伴い 2008 年度より適用される内部統制報告制度に対応すべ く、財務報告に係る内部統制の整備に取り組んでいます。 よび深度を決定のうえ、 監査計画にもとづき定期的に内部 2008年度の同制度の適用開始に向け、全社統制・IT全般統 制・業務プロセス・検証業務の 4 つのワーキンググループ 監査を実施し、 内部統制の状況を検証しています。 また、 経 を設置し、文書化を全社的に推進すると同時に、内部統制 営監査部は主要グループ会社の内部監査部門等と定期的 の評価・検証を試行しており、必要に応じ、 さらなる組織体 にコミュニケーションをとり、 当社グループの内部統制お 制や社内規程の整備を図っていきます。 各々リスク評価等にもとづき監査対象ごとの実施頻度お よび内部監査体制の充実のためさまざまな連携を行なっ ています。 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group トップマネジメント 取締役 執行役 取締役会長 原 良也 取締役副会長 代表執行役社長 最高経営責任者( CEO ) 兼 リテール部門担当 大和証券 代表取締役社長 代表執行役副社長 最高執行責任者( COO ) 兼 ホールセール部門担当 大和証券 SMBC 代表取締役社長 鈴木 茂晴 吉留 真 清田 瞭 取締役 鈴木 茂晴 吉留 真 前 哲夫 1971年 1997年 1998年 1999年 2001年 2002年 2003年 2004年 日比野 隆司 大和證券入社 同 取締役事業法人本部担当 同 常務取締役 大和証券グループ本社常務取締役 同 専務取締役 大和証券SMBC専務取締役 同 代表取締役専務取締役 大和証券グループ本社取締役 兼 代表執行役社長 最高経営責任者 (CEO) 兼 リテール部門担当 兼 大和証券代表取締役社長 1974年 1997年 2001年 2004年 大和證券入社 同 大阪支店事業法人第一部長 大和証券SMBC執行役員 同 常務執行役員 同 常務取締役 2006年 大和証券グループ本社取締役 兼 専務執行役 兼 大和証券SMBC代表取締役専務取締役 2007年 大和証券グループ本社取締役 兼 代表執行役副社長 最高執行責任者(COO) 兼 ホールセール部門担当 兼 大和証券SMBC代表取締役社長 森 郁夫 岩本 信之 林部 健治 川上 哲郎 安田 隆二 執行役副社長 リテール部門副担当 大和証券 代表取締役副社長 執行役副社長 ホールセール部門副担当 大和証券 SMBC 代表取締役副社長 前 哲夫 東 俊太郎 北島 敬介 宇野 紘一 1969年 1996年 1998年 1999年 2000年 2003年 2004年 1969年 1995年 1998年 1999年 2000年 2002年 2004年 大和證券入社 同 取締役事業法人営業本部長 同 常務取締役 大和証券常務取締役 同 専務取締役 同 代表取締役副社長 兼 大和証券グループ本社取締役 兼 執行役副社長 リテール部門副担当 Annual Report 2007 住友銀行入行 同 香港支店長 同 執行役員 三井住友銀行執行役員 同 常務執行役員 同 代表取締役 兼 専務執行役員 大和証券グループ本社執行役副社長 ホールセール部門副担当 兼 大和証券SMBC代表取締役副社長 執行役副社長 アセットマネジメント 部門担当 大和証券投資信託委託 代表取締役社長 執行役副社長 リサーチ部門担当 大和総研 代表取締役社長 樋口 三千人 武本 嘉之 大和證券入社 同 取締役 同 常務取締役 大和SBCM (現 大和証券SMBC)常務取締役 同 専務取締役 代表取締役専務取締役 大和証券グループ本社取締役 兼 執行役副社長 兼 大和証券SMBC代表取締役副社長 2005年 大和証券グループ本社執行役副社長 アセットマネジメント部門担当 兼 大和証券投資信託委託代表取締役社長 1972年 1997年 1999年 2001年 2003年 2006年 2007年 1968年 1993年 1997年 1999年 2001年 2002年 2003年 2004年 大和證券入社 同 取締役 同 常務取締役 大和SBCM(現 大和証券SMBC)専務取締役 同 代表取締役副社長 大和証券グループ本社代表取締役副社長 大和総研代表取締役副社長 兼 理事長 大和証券グループ本社執行役副社長 リサーチ部門担当 兼 大和総研代表取締役社長 Daiwa Securities Group 専務執行役 企画・人事担当 専務執行役 ホールセール部門副担当 大和証券 SMBC 代表取締役専務取締役 常務執行役 情報技術担当( CIO ) 大和総研 取締役(非常勤) 日比野 隆司 森 郁夫 中村 明 1979年 大和證券入社 2002年 大和証券グループ本社経営企画部長 大和証券SMBC執行役員 2004年 大和証券グループ本社常務執行役員 企画・人事担当 同 取締役 兼 常務執行役 2007年 同 取締役 兼 専務執行役 1973年 1996年 2001年 2004年 2005年 2006年 2007年 大和證券入社 大和セキュリティーズアメリカ社長 大和証券グループ本社執行役員 同 執行役 同 常務執行役 大和証券SMBC常務取締役 大和証券グループ本社取締役 兼 専務執行役 ホールセール部門副担当 兼 大和証券SMBC代表取締役専務取締役 1983年 1996年 1999年 2003年 2005年 2006年 大和證券入社 大和総研システムソリューション第一部長 同 執行役員 同 常務執行役員 同 常務取締役 大和証券グループ本社常務執行役 情報技術担当 (CIO) 兼 大和総研取締役(非常勤) 執行役 最高財務責任者( CFO ) 大和証券投資信託委託 取締役(非常勤) 執行役 米州部門担当 大和アメリカ コーポレーション会長 執行役 企画副担当 兼 人事副担当 兼 経営企画部長 岩本 信之 横井 正道 中田 誠司 1980年 大和證券入社 2001年 大和証券SMBC国際金融部長 2005年 大和証券グループ本社執行役 最高財務責任者(CFO) 1975年 大和證券入社 2001年 大和証券SMBCヨーロッパリミテッド社長 2006年 大和証券グループ本社執行役 米州部門担当 兼 大和証券投資信託委託取締役(非常勤) 兼 大和アメリカコーポレーション会長 2006年 兼 大和証券グループ本社取締役 1983年 2005年 2006年 2007年 大和證券入社 大和証券SMBC商品戦略部長 同 執行役員 大和証券グループ本社執行役 企画副担当 兼 人事副担当 兼 経営企画部長 執行役 法務担当 兼 広報部長 執行役 執行役 大和総研 取締役理事長 後藤 正明 原 良也 清田 瞭 1982年 大和證券入社 2005年 大和証券SMBCストラクチャード・ファイナンス部長 2007年 大和証券グループ本社執行役 法務担当 兼 広報部長 1967年 1991年 1995年 1997年 大和證券入社 同 取締役事業法人営業副本部長 同 常務取締役 同 代表取締役常務取締役 同 代表取締役社長 1999年 大和証券グループ本社代表取締役社長(CEO) 兼 大和証券代表取締役社長 2004年 大和証券グループ本社取締役会長 兼 執行役 1969年 大和證券入社 1994年 同 取締役営業副本部長[東部本部長] 1997年 同 常務取締役 同 代表取締役常務取締役 同 代表取締役副社長 1999年 大和SBCM(現 大和証券SMBC)代表取締役社長 2004年 大和証券グループ本社取締役副会長 兼 執行役 兼 大和総研理事長 2005年 兼 大和総研取締役 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group 人材マネジメント 人材は、競争力の大きな源泉です。その競争力を最大限に発揮するためには、社員一人ひとりの能力と 大和証券グループでは、 モチベーションを高め、 そのポテンシャルを100%引き出させることが重要です。 社員のスキルアップを支援し、実績を適正に評価する人材マネジメント体制の確立に努めています。 グループ人事政策 います。また、2008年度に昇級・昇格への資格要件の本格 当社グループの企業理念のひとつは「人材の重視」であ 導入を予定しており、 証券アナリストなど証券業務に有用 り、その内容は「大和証券グループの競争力の源泉は人材 な資格を中心に、資格の難易度に応じて定めた「資格ポイ である。社員一人ひとりの創造性を重視し、チャレンジ精 ント」の取得を職制・等級別の昇級・昇格の必要条件とし、 神溢れる自由闊達な社風を育み、社員の能力、貢献を正し 能力の向上に対する従業員の挑戦意欲を高めています。 く評価する。」 というものです。 株主価値を向上させるべく 配属に関しては、 グループ内の希望部署へチャレンジで 最も労を尽くしているのは社員であり、この社員のモチ きるグループ内公募制度を採用しており、2000年の制度 ベーションを最大限に高めることは、 お客様や株主の満足 導入以来648名がこの制度に応募し、123名が希望部署へ 度を高めることにつながると考えています。 配属されています。 評価制度の充実と成果主義の徹底 中期経営計画における人材マネジメント 当社グループでは、成果主義を徹底しており、公正かつ 中期経営計画における人事の基本戦略として、 「業界最 納得性の高い人事制度を目指しています。そのため、上司 高水準の人材が集い、 高いモチベーションを持って仕事に と部下が相互に評価を行う 「双方向評価」 や、業務上関係が チャレンジできる環境・体制を整備する」 ことを目指し、 具 深いグループ内の他社や他部署からの客観的評価も含めた 体的に以下の5 つの戦略を掲げています。 ( 1 )業界のリー 「360度評価」を取り入れるとともに、評価する側のスキル ディングカンパニーに相応しい処遇水準・処遇体系を確立 を向上させるための 「評価者研修」 を行なっています。 また、 し、 人材の維持・獲得およびさらなる業績向上に寄与する。 「社長賞」 を 公正な評価の一環として、 大和証券では年2回の (2)優秀でロイヤリティの高い人材を継続的に獲得する。 実施しており、 社員のさらなるモチベーション向上を図っ そのため学生とのコミュニケーション機会を増やし、 従来 ています。同様の表彰制度は、大和証券グループ本社、 大和 以上に大和証券グループの存在感を高める。 (3) 業界No.1 証券SMBCにも設けられています。 の専門性を誇る金融プロフェッショナル集団を育成する。 また、職種別処遇体系の導入や人事考課の細分化などを (4)女性社員の士気を向上させ、潜在能力を最大限発揮で 行なっており、 次長職では最大で賞与で20倍、 年収で5倍以 きる態勢を確立する。 女性が働きやすい環境を継続的に整 上の格差が生じています(2006年度実績)。また、大和総研 備する。 (5)経験豊富なベテラン社員が活躍しやすい環境 のアナリストや大和投資信託のファンドマネージャーに、 を整える。年齢にかかわらず成果を出す社員に報いる。 アナリスト・ランキングや運用パフォーマンスなどの実績 また、人員(国内)については、グループ全体で 3 年間に を反映させた年俸制も導入しています。 2,000人程度の人員増を計画しています。 社員の能力向上と選択肢の提供 社内活性化策の推進 証券アナリスト、FP(ファイナンシャル・プランナー)等 「働きがいと情熱に満ち 2006年7月と2007年3月には、 の金融業務に関連する資格を中心に、 資格取得の全面的な た日本最高の証券グループへ」を掲げ、 「社内活性化策」を バックアップや、業務や事業リーダー育成に関する研修の 発表。中期経営計画における人事戦略に沿って、社員が高 充実など、社員のスキルアップへのサポートを充実させて いモチベーションを維持できるよう、 より働きがいのある Annual Report 2007 Daiwa Securities Group 会社にすることを目指し、 グループで働く社員一人ひとり を対象に、キャリアアップの機会を広げるため、正社員登 が、 (1)会社に対して「信頼感」を持っている、 (2)会社の役 用試験を実施。 今後も定期的に実施することを予定してい 割・意義を理解し、 「誇り」を持って働いている、 (3)会社お ます。 よびそこで働く仲間と 「連帯感」 を共有している、 といった 意識を持てるよう、さまざまな施策を実行しています。 上席課長代理制度および専任部長制度の導入 2005年に次長の上級職として上席次長を、2006年には メンタルヘルスケアの充実 2006 年8 月に大和証券グループ本社に「メンタルヘル 課長代理の上級職として上席課長代理を設置し、 管理職ク ラスおよび若手社員の昇進機会を増やしました。また、 スサポート室」 を新設。社員の心の悩み・不調・不安・ストレ 2007年6月には55歳以上の部長職に対応する制度として ス等に対しての相談に親身に応じるとともに、心の健康づ 専任部長制度を導入。 当社グループへの貢献が期待できる くりをサポートしています。 人には年齢にかかわらず能力にふさわしい評価を行うこ とでモチベーションの向上を図っています。 女性活躍支援への取組み 当社グループでは従前より積極的に女性の活躍を支援 してきており、 大和証券グループ本社人事部内に設置され その他2006年度以降の取組み ベテラン層の活躍に対する支援 た 「女性活躍推進チーム」 が中心となって「女性活躍支援プ 以前より 「大和エルダー制度」として、 定年退職者の再雇 ラン」を導入するなど、仕事と家庭の両立(ワークライフバ 用を行なってきましたが、 2006年4月より施行された「改正 ランス)ができるようさまざまな施策を導入しています。 高年齢者雇用安定法」への対応も含め、年齢にかかわらず また、女性の活躍に期待して積極的に採用を行なってお 意欲と能力の高い人材を積極的に活用するため、 定年退職 り、その人数は毎年増加、入社後も女性社員を積極的に管 者の再雇用制度として「大和マスター制度」を2006年4月 理職へ登用しています。 より新たに導入しました。 今後もベテラン層の積極的な活用 2006年6月には、これらの施策等が評価され、厚生労働省 「均等推進企業表彰」 において、 大 が実施している2006年度 和証券グループ本社・大和証券・大和証券SMBCの3社が、 東京労働局長優良賞を受賞しました。2006年度も引き続 を進めていきます。 き、 当社グループの育児等に関する制度を解説した 「育児支 当社グループにおけるセクシャルハラスメント対策をさら 援ガイドブック」の作成や、仕事と家庭の両立を応援する に充実させました。セクシャルハラスメントに関しては、 「ダイワファミリーネット」 の開設、 結婚や配偶者の転勤等 従来から就業規則で禁止したり、 「企業倫理ホットライン」 により現在の職場では勤務継続が困難な場合に勤務地を変 をはじめ複数の相談窓口を設置するなど対応を行なって 更して継続して働くことができる 「勤務地変更制度」 を導入 きましたが、行為そのものが制裁の対象となること、 また、 するなど、 女性が働きやすい職場環境の整備をさらに推進。 相談者・被害者のプライバシーが適切に保護されるよう配 今後もポジティブアクションに継続して取り組みつつ、 「男 慮するとともに相談した者が決して不利益を被ることが 女ともに働きやすい環境」づくりを目指していきます。 ないことを新たに就業規則に明記するなど、さらなる職場 改正男女雇用機会均等法への対応 2007年4月からの改正男女雇用機会均等法の施行に伴い、 環境の整備に努めています。 初任給の引上げ 優秀な人材を獲得するため、2007年春の大卒新入社員 の初任給を、 1994年以来13年ぶりに17万8,000円から20 万円に引き上げました。 クールビズの実施 地球温暖化防止などの趣旨に賛同し、 従来より実施中の グループ会社とあわせ、 大和証券グループ本社・大和証券・ 大和証券SMBCにおいても、2007年夏よりクールビズを 派遣社員の正社員登用 実施しています。 一定期間以上勤務し、 当社グループへの貢献度およびロ イヤリティが高く、 今後も高い実績が期待できる派遣社員 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group 財務戦略 企業価値の持続的向上のために、 大和証券グループでは、 リスク・リターン・資本の統合的管理を行なって います。 収益変動に強い損益分岐構造の構築やリスク管理によって高い財務安定性を確保するとともに、 経営資源の効果的な配分により、 リスク勘案後のリターンを高めていきます。 財務安定性の確保 リスク・リターン・資本の統合的管理 財務安定性の確保の観点からは、市場リスク、信用リス 中期経営計画における大幅な成長プランによって企業 クや流動性リスクなど連結バランスシートに関連するリ 価値を高めるため、リスク・リターン・資本の統合的管理を スクのコントロールにより、 環境の大きな変動による損失 行い、良好な収益性と安定性の維持を図っています。 の可能性に対応できる財務基盤を確保し、 安定的に事業が 継続できることを重視しています。 資本 市場リスクについては、 ポジションやバリュー・アット・ 中期経営計画を達成した場合、 配当支払い後の連結自己 リスク(信頼水準99%超の最大損失予測額)に対する限度 資本は内部留保のみで 1 兆円を超える規模になると見込 額管理を行い、 ストレスシナリオにより環境の大きな変動 まれます。各事業部門の特性に応じて効率的な配分を行う に対して発生する潜在的損失額も把握しています。信用リ とともに、新規事業・戦略的投資・M&Aに備え一定の待機 スクについては、与信額の限度額管理のほか、積極的に事 資本を確保します。 業拡大しているプリンシパル・インベストメントなどの流 動性の低い大口の投資において、 集中リスクにも十分留意 しながら厳密な審査を行い、 投資後は入念なモニタリング リターン 各事業部門で資本コストを十分上回る利益率を実現す を行なっています。また、 それらのリスク全体を包括し、 法 ることで、連結利益を拡大し、高いROEを維持します。ま 令上の必要資本の維持だけでなく、 資本に見合ったリスク た、 収益の水準・安定性を高める取組みと、 成長のための投 量に収まるよう管理しています。 資とのバランスを維持し、 さらなる収支構造の改善を図り 流動性については、1年程度は無担保資金調達に頼らず ます。 とも安定的に事業を継続できるだけの長期資金を維持し、 資金調達先や借換え時期の集中を避けるようコントロー ルしています。 リスク ホールセールおよび投資事業を中心にリスクテイクを 積極化しますが、それに伴うリスクの増大と複雑化に対応 するため、リスク量の把握を精緻化して適切にリスクを把 握すると同時に、リスクテイクの方法および管理手法の高 度化を進めます。 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group リスクマネジメント 大和証券グループでは、 収益性や成長性を追求する一方で、 事業に伴う各種のリスクを適切に認識・評価 し効果的に管理することも重要と考えています。 リスクとリターンのバランスがとれた健全な財務構造 や収益構造を維持し、 あらゆる事態を想定したリスク管理を行うことにより企業価値の持続的な向上を 図ります。 リスク管理体制 流動性リスクについては、 新規の無担保資金調達に依存 当社グループでは、 経営陣がリスク管理に積極的に関与 することなく1年程度は事業活動を継続できるよう、資産 し、 事業に内在するリスクの特性に応じた適切かつ総合的 の流動性や負債の満期構成を管理しています。なお、証券 なリスク管理体制をとれるよう、 執行役会の分科会である 子会社および JASDAQ に上場しているエヌ・アイ・エフ 経営監理委員会においてリスクの種類ごとに管理状況が SMBC ベンチャーズ以外のグループ各社の流動性は、グ 定期的に報告されています。 ループ・キャッシュ・マネジメント・システムによって大和 主要なリスクとしては、 市場リスク、 信用リスク、 流動性 リスク、 システムリスク、 オペレーショナルリスク、レピュ * 証券グループ本社が一元管理しています。 なお、大和証券グループ本社の経営陣に対する報告は、 テーショナルリスク、法令遵守に関するリスク などがあ 市場リスクは日次ベース、信用リスクは月次ベース(ただ ります。 し取引先の与信枠超過・信用状況の変動については随時)、 各事業に伴うリスクについては、 それぞれの事業を担う 流動性リスクは日次ベースで行なっています。 各子会社において、その事業に対する専門性を活かし、リ スクの特性に即した管理を実施しています。そして、各子 会社のリスク管理体制、プロセス、実施状況のモニタリン オペレーショナルリスク、システムリスクへの対応 当社グループにとって、 内部プロセス・人・システムが不 グは、グループ全体のリスク管理として大和証券グループ 適切であること、 もしくは機能しないこと、 または外生的事 本社が行なっています。また、グループ全体のリスク量を 象が生起することから発生するリスクへの取組みも重要 統合的に把握し、資本に見合った水準に収まるよう管理し な課題です。当社グループでは、 多様な業務に応じて、 権限 ています。 の厳正化、人為的ミス削減のための事務処理の機械化、業 * P.66「コンプライアンス」参照。 務マニュアルの整備等、 必要な対策を講じています。 また、 オペレーショナルリスクの計量化にも努めています。 財務リスク(市場・信用・流動性リスク)への対応 重要なシステムについては、 常時システムの稼動状況を 市場リスクについては、 トレーディング業務の取引につ 監視し、 障害の発生を極小化するとともに、 万一、 障害が発 など いて各種の枠を定め、 バリュー・アット・リスク (VaR) 生した場合にも迅速な対応ができるよう体制を整備して を使用してリスク量の計測およびモニタリングを行なっ います。 ています。また、 それ以外にも、 ストレステストやシナリオ 分析等を併用し、総合的なリスク管理を実施しています。 さらに、BCP(事業継続計画)の構築も進めています。 2006 年度はシステム停止時のマニュアルを作成しまし 信用リスクについては、 その中心を占めるホールセール た。 現在、 さらなる緊急時対応のマニュアル整備に加え、 シ 事業において、 厳密な審査により取引の可否や担保の要否 ステムバックアップを災害耐久度の高い新データセン を判断します。 また、 取引先ごとに社内格付と取引期間等に ターへ移管することを予定しており、 システム安全性の大 応じた与信枠を定め、モニタリングを行なっています。 幅向上が見込まれます。 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group コンプライアンス 大和証券グループでは、 その 「企業理念」 のなかで、 「信頼の構築」 を第一に掲げています。 当社グループは、 「コンプライアンス」 をこの 「信頼の構築」 のための重要な条件と考えており、 単なる 「法令の遵守」 を超え て、 お客様、 市場および社会からの信用を獲得することと捉えています。 そのため、 当社グループが広く信 頼を得るためにはいかに行動すべきかを常に考えるべく、 教育および研修を実施し、 役職員の意識向上に 努めています。 大和証券グループとしての取組み 主要グループ各社における2006年度の取組み 大和証券グループ本社総務部では、グループ各社のコン 大和証券では、2006年度の目標として 「お客様の信頼度 プライアンスを担当する部署等の責任者をメンバーとす の最大化」を掲げました。 その目標のもと、 営業姿勢の質的 る「グループ総務・企業倫理連絡会」を毎月開催し、グルー 向上、不適切投資家の排除等を行うことで、業務品質の向 プとして共通して持つべきコンプライアンスにかかわる 上を図るとともに、内部管理体制の強化のため、より効果 情報等を共有し、各社における周知徹底を図っています。 的な牽制機能の確立を図りました。 当会議を通じて随時、反社会的勢力との断絶等、各社のコ ンプライアンス体制もモニタリングしています。 大和証券 SMBC では、法令遵守および内部管理体制の 確立を経営の最重要課題のひとつとして位置付けており、 2006 年度には、グループ本社企業倫理担当によるグ コンプライアンスに関する具体的な施策は、アクションプ ループ各社における研修を積極的に進めました。 特に大和 ランとしてコンプライアンス・プログラムに組み入れ、実 証券に対しては、全営業店を対象に実施された「コンプラ 践しています。2006年度においては、 金融庁より公表され イアンス合同研修」において、企業倫理担当が企業倫理お た「証券会社向けの総合的な監督指針」にもとづく社内点 よび当社グループの内部通報制度である「企業倫理ホット 検、オペレーショナルリスク管理体制の構築、幅広い社員 ライン」 に関する研修を行いました。 そのほか、同様の研修 層へのきめ細かい研修等を実施してきました。2007年度 を大和証券SMBCにおける内部管理責任者向けの研修お においては、金融商品取引法の全面施行、金融商品販売法 よび大和投資信託におけるライン部室長向け研修におい の改正等、証券会社を取り巻く環境変化に対応したコンプ ても実施しました。 ライアンス体制を構築していきます。 「企業倫理ホットライン」 の周知徹底については、上記研 なお大和証券は、2006 年 12 月、同社の姫路支店におい 修のほか、社内広報誌での紹介、ホットラインのウェブサ て不公正取引の未然防止等に関し法令違反が認められた イトのリニューアル、 グループ各社のイントラネットにお ため、金融庁より同支店の一部業務停止命令を含む行政 けるリンクの設定等を行いました。その結果、ホットライ 処分を受け、2007 年 1 月に業務改善報告書を提出しまし ンの認知度および信頼度は高まり、 通報件数は確実に増加 た。当社グループとしては、このような事態を厳粛に受け しています。これは、当社グループの自浄機能が着実に向 止め、法令遵守および内部管理体制の一層の強化を図っ 上している証左であるといえます。 ています。 さらに、2006年度には、 「eラーニング」によりグループ 各社においてインサイダー取引についての研修を行い、 証 券グループの役職員として適切な有価証券等の売買を行 うよう法令および社内ルール等の周知徹底を行いました。 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group IT 戦略・情報セキュリティ 大和証券グループでは、 多様化する証券ビジネスへ迅速に対応するため、 積極的にIT投資を行なっていま す。 また、 個人情報を含む企業内部の情報を重要な経営資源と考え、 社内外のさまざまなセキュリティ上 の脅威からこれらを保護し社会的責任を果たすとともに、 企業価値向上のため高度な情報セキュリティ 管理体制を維持していくことに努めています。 IT戦略 大和証券グループでは、多様化・高度化する証券ビジネ スへ対応するため、ITを積極的に活用しています。 情報セキュリティに関する体制と対策 大和証券グループでは、 情報セキュリティに対する取組 みの基本方針である情報セキュリティポリシーを制定し、 ビジネス戦略に即した IT 戦略の柱として、大和証券に お客様からお預かりした個人情報を含む情報資産を安全 おけるオンライントレードシステムの強化、大和証券 かつ正確に保護し、適正に取り扱うことを可能とするた SMBC におけるエクイティ・債券等のトレーディングシ ステム強化を行なっています。また、証券ビジネスをIT面 から十分にサポートするため、IT 関連業務に携わる人材 を確保・増強するとともに、専門的なITスキルの修得を始 め、さまざまな情報セキュリティ対策を講じています。組 めとした人材育成にも尽力しています。 織的対策として、情報セキュリティの所管部署の設置、情 報セキュリティ責任者の配置を行い、 情報セキュリティ対 策を推進するとともに、緊急時の連絡・報告体制も整備し ています。また、物理的・技術的対策としては、シンクライ アントの導入、 コンピュータシステムへのアクセス制御の IT統制 ほか、コンピュータウィルスへの対策を講じています。さ 大和証券グループでは、ビジネス戦略にもとづく IT 投 らに、大和証券では、ダイワオンライントレードのシステ 資を積極的に行う一方、 グループ最適化の観点からシステ ムをお客様に安全・安心に利用していただくために通信の ムコストの抑制にも取り組んでいます。 暗号化や本人認証の厳格化などの対策も実施しています。 実際にシステムを開発するにあたっては、 グループ内で 役職員については、情報セキュリティの重要性やその 可能な限りシステム(あるいはその一部)を共通化して利 ルールについて理解と認識を高めるための社内教育など 用するなど、 グループ全体として無駄のないIT投資の実現 の人的対策面でも対応を推進しています。 に注力しています。また、 既に構築・運用されているシステ ムについても、 適宜、 システムの構成や運用体制を見直し、 システムの保守・運用に係る費用の削減に努めています。 情報セキュリティレベルの高度化のための取組み 大和証券グループでは、 グループ全体の取組みとして情 報セキュリティマネジメントシステム (ISMS) の運用を推 進することにより、 情報セキュリティレベルの向上を図っ ています。また、 一部のグループ会社では、 既に評価認定制 度にもとづくISMSやプライバシーマークの認証を取得し ています。 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group CSR への取組み 大和証券グループにとってCSR(企業の社会的責任)とは、本業を通じた「社会」 への貢献であり、 役職員 一人ひとりが日常業務のなかで常に 「社会」 を意識して活動することがもっとも大切であると考えていま す。当社グループでは、役職員のCSRに対する理解の浸透と、積極的なステークホルダーとのコミュニ ケーション活動を通じた社会的評価の向上に取り組みます。 CSR推進体制 ⑤CSRマネジメント活動 大和証券グループは、持続可能な社会の実現にむけて5 自らの事業活動における社会的側面および環境面での つのアプローチを進めています。 配慮を進めています。 ガバナンスの強化、 コンプライアンス ①社会に必要とされる事業活動の遂行 マネジメントシステムの構築と従業員の環境意識向上に努 の徹底、 お客様満足、 職場環境の向上を図るとともに、 環境 証券会社の事業は、企業など資金の調達を必要とする め、 当社グループの最大の直接的負荷である紙の削減を進 側と、資金を運用したいという投資家側の橋渡しをする めています。 ことにより、 「貯蓄から投資へ」の流れを後押しする、公共 *1 国連環境計画・金融イニシアティブ(United Nations Environment Programme 性の高い事業です。法令遵守はもとより、社会通念と調和 Finance Initiative ) UNEP FI は、国連環境計画( UNEP)と、世界各国金融機関のパートナーシップのもと した業務を日々遂行し、証券市場の健全な機能発展に尽 で、環境と持続可能性(サステナビリティ)に配慮したもっとも望ましい事業のあり 方を追求し、これを普及・促進することを目的として1992 年より活動をしています。 くしています。 *2 責任投資原則(Principles for Responsible Investment) 2006年4月、UNEP FIと国連グローバル・コンパクトが発表した、機関投資家が投資の 意思決定プロセスにおいて環境・社会・企業統治( ESG )の側面を組み込むための投資 ②社会・環境配慮型事業 「金融に社会的視点を組み込む」 という、 金融機関に求め られる CSR の姿を具現化する事業を推進しています。具 体的にはSRI ファンドや排出権価格参照クーポン付債券 など、一般投資家が資金の投資を通じて環境・社会的問題 の改善に寄与・参画できる投資機会を提供しています。 対外コミュニケーション 社外に向けた CSR の情報発信ツールのひとつである 「持続可能性報告書」の作成や、NPO/ NGOなど外部機 関からの各種 CSR に関連した調査への対応などに加え、 国際会議への参加や政策提言など、 外部ステークホルダー ③社外へのCSR推進活動 金融業界を含め、あらゆるステークホルダーに向けて、 「国連環境計画・金融イニシアティブ」 ( 以下UNEP 原則。 FI)*1 や「責任投資原則( PRI )」* 2 などの考え方を中心とした CSR推進の働きかけや提言を行なっています。 とのコミュニケーションを積極的に推進しています。 2007年1月にスイスで開催された世界経済フォーラム 年次総会 (ダボス会議)には、 大和証券グループ本社取締役 副会長の清田瞭がパネリストとして出席し、当社グループ の取組みについて発表したほか、 多くの企業トップと意見 交換を行いました。 大和証券グループは同会議で発表され ④企業市民活動 経済・金融のプロフェッショナルとして、次世代の育成 に取り組み、中期経営計画でも経済金融教育の推進を目標 に掲げました。また、財団やNPOなどを通じた地域社会・ 国際社会への助成活動により、 本業である金融の仕組みを 活かした長期的支援を今後も継続していきます。 Annual Report 2007 た「世界で持続可能な企業トップ100」に選ばれています。 大和証券グループ本社取締役会長の原良也は、2004年 経済同友会・社会的責任経営推 度から2006年度にわたり、 進委員会の委員長として、日本国内におけるCSRの普及・ 浸透に努めました。その3年間の活動の総括レポートとも いえる、 「CSRイノベーション―事業活動を通じたCSRに Daiwa Securities Group 大和証券の販売する SRI ファンド ( 2007 年3 月末現在) ファンド名 純資産残高(億円) 583 ダイワ・エコ・ファンド ダイワ SRI ファンド 96 グローバル・エコ・グロース・ファンド( Mrs. グリーン) 37 UBS グローバル株式 40 37 753 計 よる新たな価値創造―」 と題した報告書が経済同友会から の講義を行なっています。 学生が作成したビジネスプラン 「顧客」 「従業 2007年5月に公表されました。同報告書では、 「 提供する商品・ 員」 「 地域社会」 「 環境」の 4 つの分野で、 に対してプロの目で、実践に即した指導を行うことなど、 大和証券グループの専門性を活かしたユニークな経済教 サービスが社会環境配慮型であるか」 または 「商品・サービ 育の試みが好評を博し、2006 年度まで早稲田大学で行 スの提供にあたってステークホルダーへの配慮は十分で なっていた講座を、2007年度からは明治大学、中央大学、 あるか」 という視点から、日本企業92社のCSR事例を紹介 日本大学でも開講しました。 しています。 小・中・高校生向けの経済基礎教育の一環としては、米 国最大の青少年経済教育 NPO「ジュニア・アチーブメン 本業を通じたCSRへの取組み 1. SRI(社会的責任投資) SRIは、市場のメカニズムを活用して社会性に配慮した ト」の日本本部と協力し、中学・高校生向け実技体験型経 済教育「スチューデント・カンパニー・プログラム」、およ び生活設計体験学習「ファイナンス・パーク」などの支援 資金の流れを生み出す仕組みであり、 その市場規模は年々 を行なっています。当社グループでは、これらの活動を通 拡大しています。 じて、経済・金融に関する知識の底上げを図り、日本経済 大和証券グループでは、 「ダイワSRIファンド」 「ダイワ・ の持続的な発展に寄与します。 エコ・ファンド」などのSRI関連の投資信託を販売・運用し ています。なかでも、 2006年3月に設定した「ダイワ・エコ・ 国際的なイニシアティブへの賛同 ファンド」は、環境に配慮した技術開発やエネルギー効率 大和証券グループは、 持続可能な社会の実現に向けた国 化など環境への取組み姿勢や株主資本の活用状況を評 際的な活動を積極的に支援しています。大和証券グループ 価して銘柄を選択する投資信託であり、 2007年3月末時点 本社は、 2004年3月にカーボン・ディスクロージャー・プロ で583億円とSRIファンドのなかで最大規模の純資産残高 ジェクト*1に署名、2004年11月に前述のUNEP FIに加盟 を有しています。 しました。2007年5月にはUNEP FIの「金融サービスセク ターによる気候変動についての宣言」*2に署名しました。 2. 経済・金融分野での教育・研究活動 大和証券グループの専門知識やノウハウを活かして社 会に貢献できるもうひとつの分野として、経済・金融分野 での教育・研究があります。 産学連携への取組みとしては、寄附講座の提供や、各地 の大学への講師派遣、大学発ベンチャーの支援などを行 なっています。 「ベンチャー起業家養成基礎講座」 では新規 また、大和投資信託が「責任投資原則(PRI)」に署名し、こ の原則に沿った活動を展開しています。 *1 カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP) 気候変動に関心を持つ機関投資家が連携し、グローバル企業に対して環境問題への姿 勢や取組みに関する情報開示を要求するプロジェクト。 *2 金融サービスセクターによる気候変動についての宣言 2007年6月、ドイツで行われた先進国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)にあわせ てUNEP FI が発表した世界の金融機関のリーダーによる気候変動問題への取組みの 宣言書。 公開の指導やベンチャー投資の経験を持つ大和証券グ ループ従業員が非常勤講師として、 起業に必要な基礎知識 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group トを通じて、役職員の企業市民活動に対する意識向上を SRIインデックスへの採用 大和証券グループ本社は、 2006年9月より、FTSEの提供 の構成銘柄として する責任投資指数 「FTSE4Good Index」 採用されました。FTSEはフィナンシャル・タイムズ紙(英 図っています。 国)とロンドン証券取引所の子会社で、世界的な投資イン 企業市民としての活動 大和証券グループ本社のCSR 室が中心となって、地域 社会活動や環境保護活動、 ボランティア活動などのサポー デックスの開発およびデータの提供を行なっています。 財団を通じた助成活動 また、当社グループでは、財団などを通じて地域社会・ また大和証券グループ本社は、ダウ・ジョーンズ社(米 国) と企業の持続可能性評価を行うSAMリサーチ社(スイ ス財団」は、生活習慣病の予防や治療に関する調査・研究、 Jones Sustainability (DJSI World)の構成銘柄に8年連続で採 World Index」 健康保持・増進に関する啓発活動を、 「大和証券福祉財団」 用されています。 国際社会への助成活動を行なっています。 「大和証券ヘル ス)による SRI 株価指数「 Dow は、福祉・医療分野におけるボランティア活動への助成を 行なっています。 「大和日英基金」は、英国と日本の相互理 解を促進する活動を対象に助成を行うとともに、毎年英 国から奨学生(大和スコラー)を日本に招聘しています。 2007 年 5 月には、これまでの大和スコラーが100 名を超 えたことを記念し、在日英国大使館でレセプションを行 いました。 新中期経営計画におけるCSR推進事項 当社グループはステークホルダーとのコミュニケーショ 環境への取組み 当社グループでは、 電灯の部分消灯や事務用機器の不要 ン活動をこれまで以上に積極的に行い、社会的評価の向上 を図るとともに、経済社会の健全な発展に貢献します。 時の電源オフによる日常的なエネルギーの節約や、設備更 具体的には、 [1]経済・金融教育:教育機関・NPOなどと 新の際に省エネルギー対応設備の導入などを行い、環境負 の協力を通じ、 産学連携による教育・研究分野への支援、 経 荷の低減に努めています。 2006年度には、大和証券におい 済教育の普及活動を推進、 [2]社会的責任投資:SRIの普及 て顧客向け帳票および社内用帳票の電子化を進め、帳票用 を促進、 [ 3 ]環境関連:環境方針の策定などの環境マネジ 紙の使用量を大幅に削減しました。 メント体制の構築を 「国内主要会社→国内連結会社→海外 子会社」の順に段階的に実施、の 3 分野への取組み強化を 中心に、グループ内外との協働によって CSR 活動の一層 の充実を図ります。 Annual Report 2007 Daiwa Securities Group 知的財産活動 大和証券グループは、 特許推進活動を通じ、 IT技術を利用した新サービス・新商品等の企画開発を促進し、 また、 特許権による保護・活用を図ることにより、 将来の事業の自由度・優位性を確保することを目指して います。 大和証券グループ本社の法務部知的財産課とグループ各社の連携により、 SMA、証券受発注、電子書面交 付、決済システム等、さまざまな分野で、 特許取得・活用を目指しています。 また、 商標・著作権管理に関しても対応を強化し、 当社グループの知的財産権に対する他社からの侵害の 防止のほか、 コンプライアンスの観点から他社の保有する知的財産権への当社グループによる侵害の防 止にも努めています。 知的財産活動におけるこれまでの実績 特許登録件数の推移 当社グループの国内特許登録件数は、2007 年 3 月末現 (海外を含めると34件) 、特許出願件数 (公開 在で合計33件 (件) 18 16 件数)は2007年3月末現在で312件となっています。 2006年度に登録した特許16件の内訳は、ビジネスモデ ル特許(電子商取引分野)が8件、非ビジネスモデル特許が 8件となっています。 12 8 8 主な取組み 6 特許を始めとする知的財産権に対する役職員の知識と 意識の向上のため、以下の施策等を実施しています。 0 0 2000 1 2001 0 2002 1 2003 2004 2005 2006 (年度) ● ● 特許報奨金制度の拡充 知的財産活動について貢献の大きい役職員を対象 とする表彰制度の運営 ● 重点ビジネス、戦略的ビジネス部門と連携した特 許の発掘活動(特許研修、ミーティング等の実施) ● イントラネット等を通しての特許情報の提供 (自社・他社の出願・登録状況、マニュアル等) Annual Report 2007 Daiwa Securities Group ディスクロージャー戦略 大和証券グループは、 株主・投資家、 地域社会を始めとするあらゆるステークホルダーによる、 当社グルー プに対する理解と適切な評価を促進するため、 積極的なコミュニケーション活動と公正かつ適時・適正な 情報開示により、日本最高水準のディスクロージャー体制の確立を目指しています。 ディスクロージャー体制 大和証券グループ本社は、 「 ディスクロージャー・ポリ シー」および「ディスクロージャー規程」をもとに、公正か 向け電話会議も実施しています。 また2006年度は、 急増す るアナリスト・機関投資家からの個別ミーティングの要請 に応えるべく、面談体制を強化しました。 つ適時・適切な情報開示に取り組んでいます。 「 ディスク 経営者による直接的なコミュニケーションとしては、 半 ロージャー規程」にもとづき設置された「ディスクロー 期に一度CEOによる投資家・アナリスト向け説明会を開 ジャー委員会」が執行役会の分科会として、情報開示に関 催しています。また、経営陣による海外の投資家訪問も行 する最終的な意思決定を行なっています。また、各グルー なっており、2006 年度は従来の欧州・米国・香港・シンガ プ会社ではそれぞれ「経営関連情報管理規程」 を制定し、 情 ポールに加え、 オーストラリアおよび中近東への訪問も実 報収集と大和証券グループ本社への報告が的確に行われ 施しました。 る体制を整えています。 ディスクロージャーにあたっては、その対象ごとに役割 さらに、個人の株主・投資家とのコミュニケーション強 化にも力を入れています。CEOによる個人投資家向け説 の分担が明確化されています。株主や投資家・アナリスト 明会の開催のほか、2006 年 7 月にはIR サイト内に個人投 に対してはIR 室、マス・メディアに対しては広報部、地域 資家専用サイトを開設しました。また、株主からのアン 社会に対しては CSR 室が中心となり、インターネットや ケートをもとに、株主優待の内容充実を図りました。 出版物など多様なツールを活用した情報開示を行なって います。 株主との直接対話の場である株主総会に関しては、 より 多くの株主にご参加いただけるよう、2006年からは土曜 日にホテルの広い会場で開催しています。 本会場に来られ インベスター・リレーションズ(IR)活動の拡充 ない株主向けには、従来から大阪・名古屋において衛星同 当社グループでは、業績、事業戦略およびその進捗状況 時中継を実施していましたが、 2007年6月の株主総会では などについて、株主・投資家への情報開示や説明を積極的 札幌・福岡にも会場を設置しました。議決権行使について に行なっています。さらに、その過程で得られる当社グ は、手段の多様化による行使促進を図るため、インター ループに対する市場からの反応やさまざまな意見を経営 ネットに加えて携帯電話による議決権行使を導入してい にフィードバックすることにより、経営の透明性・効率性 ます。また2006年より、インターネット上で早期に、かつ を一層高め、企業価値向上につなげることを目指してい 直接議決権行使が可能となる「機関投資家向け議決権電 ます。 情報開示にあたっては、公正かつ適時・適切な開示と国 子行使プラットフォーム」に参加しており、国内外の機関 投資家の議決権行使促進を図っています。 内外のステークホルダー間の情報格差解消に努めていま 今後も、投資家主体別のIR体制の確立に努め、幅広いス す。四半期ごとに開示する決算情報は、発表後速やかに当 テークホルダーに対して誠実かつ積極的なコミュニケー 社ホームページ内の IR サイトに掲載します。発表日夕刻 ションを図ることにより、他の上場企業に範を示し、証券 には国内の機関投資家・アナリスト向けに電話会議を実施 市場活性化の一助となれるよう「日本最高のIR体制」の構 し、同サイトを通じてライブ中継を行うほか、同夜に海外 築を目指します。 Annual Report 2007