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グループのガバナンスおよびマネジメント体制
グループのガバナンスおよびマネジメント体制 6 6 委員会 設 置 会 社として 6 8 コーポレート・ガバナンス 7 0 コンプライアンス 7 1 リスク管 理 7 6 IT 戦 略・情 報セキュリティ 7 7 知 的財産活動 7 8 ディスクロージャー 8 0 人 材マネジメント Daiwa Securities Group Annual Report 2008 65 委員会設置会社として 取締役会長 取締役 清田 地福 三郎 瞭 大和証券グループは、経済の発展を支える金融機関として、社会に対して果たすべき重要 な使命を持ち、経営における透明性・客観性の確保に努めています 。 1999 年には国内上場企業としては初めて持株会社体制に移行し 、各事業部門間のシ ナジー効果を高め 、グループ企業価値の向上を図っています 。さらに 2004 年には委員会 等設置会社 * に移行し 、社外取締役の増員に加えて「 指名委員会」 「 監査委員会」 「 報酬 委員会」を設置することで、監督と業務執行の機能を明確に分離しました。 経済のグローバル化が進むなかで、海外でのガバナンスに関する動きにも留意しながら、 今後も実効性を持つガバナンス体制の強化に積極的に取り組んでいきます 。 * 2006 年 4 月からは委員会設置会社 2007年9月、金融商品取引法が施行され、2008年4月からは内部統制報告制度が開始されました。社会か らの要請と、それに応える法令順守体制やリスク管理体制の整った透明性の高い会社として、全役職員の 高い倫理観や内部統制の効いた信頼性の高い証券グループとなることが求められています。 大和証券グループは「信頼の構築」を企業理念に掲げています。 しかし、信頼の構築は一朝一夕にできる ものではありません。一方で、信頼を失うのは一瞬です。大和証券グループの役職員は、常にその重さと怖 さを肝に銘じて、一丸となってコーポレート・ガバナンスの徹底と企業価値向上に向けた取組みを進めてい ます。 取締役会長 清田 瞭 66 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 社外取締役 社外取締役 社外取締役 社外取締役 川上 哲郎 安田 隆二 宇野 紘一 松原 亘子 住友電気工業名誉顧問 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 公認会計士 財団法人 21 世紀 職業財団会長 三委員会 指名委員会 監査委員会 報酬委員会 清田 瞭(委員長) 地福 三郎(委員長) 清田 瞭(委員長) 鈴木 茂晴 宇野 紘一 鈴木 茂晴 川上 哲郎 松原 亘子 川上 哲郎 安田 隆二 安田 隆二 松原 亘子 宇野 紘一 わが国の金融・資本市場のパイオニアとして、日本経済において中心的な役割を担ってきた当社グループ では、組織の精神がトップから生まれることを自覚し、情熱をもって真摯な実践の範を示すことが、 リーダー シップの要であるとしている。 経営トップの使命は、会社の進路を定め、未来にかかわる意思決定を適切に行うことによって経営戦略を 樹立し、もって社会的富の創出能力を最大化させることにある。 神と悪魔は細部に宿る。一方において、組織の末端に至るまでの業務とリスク管理のあり方を究めるこ とが、われわれの生存の根柢を確かめ、過去の光栄ある伝統を未来の希望に架橋する道である。 社外取締役 川上 哲郎 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 67 コーポレート・ガバナンス 大和証券グループは 、国際的な水準に適う透明性・客観性の高いコーポレート・ガバナンス体制を目指していま す 。経営の監督と業務執行の分離を明確にし、グループ各社の高い独自性・専門性を活かしつつ、各社間のシナ ジーを最大限に発揮できる経営体制を構築していきます 。 ガバナンス体制の特徴 監査委員会は、2007 年度には12 回開催し、内部 当社グループは、1999 年に国内上場企業では初 統制システムの整備状況を中心に取締役および執行 めて持株会社体制に移行し、グループ各社の独自 役の職務の執行について監査を行いました。 性・専門性と各社間のシナジーの発揮、そして透明 報酬委員会は、2007 年度には4 回開催しました。 性・客観性の高いガバナンス体制の実現を追求して 役員報酬に関する方針および個別報酬内容の決定に きました。 関する事項や、連結業績の向上に資するグループ全 2004 年6 月には「委員会等設置会社」へと移行し、 体のインセンティブプラン等について検討しました。 取締役会から執行役への大幅な権限委譲による意思 なお、2007 年度において14 回開催された取締役 決定の機動性向上と、社外取締役の増員および指 会における社外取締役の出席率は、約87%となって 名・監査・報酬各委員会の設置による経営の監督機 います。 能の強化を図りました。また、大和証券グループ本 社の執行役の一部がグループ各社の主要役員を兼務 業績連動性を重視した役員報酬制度 することによって、グループ戦略にもとづいた事業戦 取締役、執行役の報酬は、原則として、基本報酬、 略をより効率的に実践する体制を整えています。 業績連動型報酬、株価連動型報酬で構成され、報酬 指名委員会は、2007 年度には3 回開催しました。 委員会において決定されます。業績連動型報酬の算 指名委員会においては、コーポレート・ガバナンスに 定基準は、連結経常利益や連結ROEなどの財務的な 配慮した取締役会の構成、取締役候補者の指名に関 基準に加え、営業資産やお客様満足度、生産性など する基本的な考え方、取締役候補者の選定等につい が評価に反映されます。また、役員報酬の業績連動 て引き続き検討しました。取締役候補者の選定につ 性や透明性を高めるために、大和証券グループ本社、 いては、指名委員会において取締役選任基準に照ら 大和証券、大和証券 SMBC の 3 社においては、役員 して審議・決定されますが、当基準には社外取締役の 退職慰労金を廃止しています。 独立性を担保するための基準も盛り込んでいます。 2007 年度役員報酬の内容 区分 報酬委員会決議にもとづく報酬等の額 取締役 支給人員 5名 執行役 支給額 105 百万円 支給人員 15 名 計 支給額 846 百万円 支給人員 20 名 注 1:上記支給額には、2007 年度業績に対応する業績連動型報酬として支給された額を含む。 注 2:上記支給額には、取締役および執行役に対し、ストック・オプションとして割り当てられた新株予約権の価額合計 101 百万円を含む。 注 3:上記のほか、2007 年度中に退任した取締役 1 名に対し、第 67 回定時株主総会決議(2004 年 6 月23 日) にもとづく退職慰労金 10 百万円を支給。 注 4:上記支給総額 951 百万円のうち、社外取締役 4 名に対する報酬等の総額は67 百万円。 注 5:2007 年度末現在の人員は、取締役 12 名、執行役 15 名で、うち取締役 8 名は執行役を兼務。取締役と執行役の兼任者の報酬は、執行役に対する報酬等の支給額の欄に総額を記載。 68 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 支給額 951 百万円 内部統制について 財務報告に係る「内部統制報告制度」対応 当社グループでは、 「業務の有効性及び効率性」 上記に加え、新たに2008 年度から金融商品取引 「財務報告の信頼性」 「事業活動に関わる法令等の遵 法に定める 「財務報告に係る内部統制報告制度」がス 守」 「資産の保全」等を確保するためのさまざまなプ タートしています。この「内部統制報告制度」の目的 ロセスを内部統制と定義し、それらがより効果的・効 は、上記の内部統制の4 つの目的のうちの「財務報告 率的に機能するための網羅的な内部監査体制を構築 の信頼性」を確保するため、企業の財務報告が適正 しています。 に行われる体制が敷かれているかについて、経営者 主要グループ会社には内部監査部門を設置して各 が評価し表明することです。 社で内部監査を実施しているほか、内部監査部門を 当社グループでは、内部統制報告制度に対応する 持たない会社に対しては大和証券グループ本社に設 ため、主要グループ会社を横断するプロジェクトを 置したCEO 直轄の経営監査部が内部監査を実施して 2006 年度から推進しており、外部アドバイザーの意 います。 見も参考にしながら準備・対応を行なっています。プ 経営監査部を含めた当社グループの内部監査部門 ロジェクトは、全社統制、IT 全般統制、業務プロセス は、各々リスク評価等にもとづき監査対象ごとの実施 統制、検証の 4 つのワーキンググループから構成さ 頻度および深度を決定のうえ、監査計画にもとづき れ、各統制分野における財務報告上のリスクとそれ 定期的に内部監査を実施し、内部統制の状況を検証 に対する統制活動を文書化する作業が 2008 年 3 月 しています。また、経営監査部は主要グループ会社 時点でひととおり完了しています。また、内部統制報 の内部監査部門等と定期的にコミュニケーションをと 告制度の基礎となる社内規程を、主要グループ会社 り、当社グループの内部統制および内部監査体制の において制定しました。2008 年度は、文書化等によ 充実のため、さまざまな連携を行なっています。 り明確化された内部統制を対象として検証・評価を 内部監査計画や内部監査の結果は、大和証券グ 実施し、その結果をとりまとめて 2009 年 6 月に内部 ループ本社では執行役会の分科会である経営監理委 統制報告書を作成、開示します。 員会において、主要グループ会社では法務監査会議 等の会議体において、それぞれ承認・報告されます。 同時に、経営監査部は内部監査の結果について監査 委員会に報告を行います。 監査委員会は、経営監査部と連携しつつ監査を行 なっており、必要に応じて監査に要する調査を経営監 査部に委嘱することができます。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 69 コンプライアンス 大和証券グループでは、 「企業理念」のなかで「信頼の構築」を第一に掲げています 。当社グループは、 「コンプ ライアンス」をこの「信頼の構築」のための重要な条件と考えており、単なる「法令の遵守」を超えて 、お客様、 市場および社会からの信用を獲得することと捉えています 。そのため、当社グループが広く信頼を得るためには いかに行動すべきかを常に考えるべく、教育および研修を実施し、役職員の意識向上に努めています 。 大和証券グループとしての取組み 主要グループ各社における2007 年度の取組み 当社グループでは、コンプライアンス研修を積極 大和証券では、金融商品取引法施行に伴う実務面 的に進め、入社時やそれ以降の定期的な研修を通 の整備と社員教育に重点を置いた活動を行い、適合 じ、社員のコンプライアンス意識の向上と知識の徹 性を重視した営業活動の質的向上と実効性の高い内 底を図っています。これにより、法令諸規則が必ずし 部管理体制を構築するための取組みを行いました。 も整備されていない新しいビジネスにチャレンジする たとえば適合性の原則の観点から、お客様の投資の 際も、常に法令諸規則の原点に立ち返り、社会通念 方針と取引できる商品等を関連付け、お客様のリス や良識に照らして誠実に行動し、リーガル・マインド ク許容度に応じて取引をする仕組みを新たに導入す にもとづく強い自己規律ができるよう、社員を養成し る一方、社内ルールをできるだけ簡素化することで、 ています。 法令が意図する投資家保護の考えをより明確にして 2007 年度は、前年度に引き続き、グループ本社 います。 の企業倫理担当によるグループ各社における企業倫 2008 年度は前年度の取組みをさらに進化させ 、 理研修を積極的に進めました。これまでは大和証券 「貯蓄から投資へ」 という環境のなかで当社に求めら を中心に当該研修を行なってきましたが、研修の対 れている役割を十分に果たすために、社員一人ひと 象会社を大和住銀投信投資顧問、大和証券ビジネス りが金融商品取引法および社会通念上のプリンシプ センター、大和ペンション・コンサルティングおよび ル (原理原則) を踏まえたうえで、お客様第一の営業 大和総研などに拡大しました。また、当該企業倫理 活動を引き続き展開できるよう、内部管理体制のさ 研修を通じて、2003 年に導入した内部通報制度「企 らなる強化を図ります。 業倫理ホットライン」について周知徹底を行なってい 大和証券SMBCでは、法令遵守および内部管理体 ます。その結果、通報件数は着実に増加し、当社グ 制の確立を経営の最重要課題のひとつとして位置付 ループの自浄作用が確実に向上しています。 けており、コンプライアンスに関する具体的な施策を さらに当社グループは、反社会的勢力との関係遮 コンプライアンス・プログラムに取り入れ、実践して 断のための取組みを推進しています。グループ各社 います。2007 年度においては、金融商品取引法の の総務・コンプライアンスを担当する部署等の責任 全面施行、金融商品販売法の改正等、金融商品取引 者をメンバーとする 「グループ総務・企業倫理連絡 業者を取り巻く環境変化に対応したコンプライアンス 会」を毎月開催し、反社会的勢力への対応について 遵守体制を構築し、当該法令遵守の知識習得を目的 指導を行なっています。また、2007 年 6 月に犯罪対 に全役職員を対象とした研修を実施してきました。 策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力によ 2008 年度においては、上記法令等を踏まえて改訂 る被害を防止するための指針について」が公表され された金融庁の「金融商品取引業者等向けの総合的 たことを踏まえ、反社会的勢力に係る基本方針を策 な監督指針」への対応、反社会的勢力との取引の未 定し、内外に宣言しています。 然防止態勢強化を始めとしたコンプライアンス遵守 体制を構築していきます。 70 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 リスク管理 大和証券グループでは、収益性や成長性を追求する一方で、事業に伴う各種のリスクを適切に認識・評価し効果 的に管理することが重要だと考えています 。 リスクとリターンのバランスがとれた健全な財務構造や収益構造を維持し、あらゆる事態を想定したリスク管 理を行うことにより企業価値の持続的な向上を図ります 。 リスク管理の基本方針 のなかで検討され、取締役会におけるグループ事業 当社は、グループ全体のリスク管理を行うに際し、 計画の策定や執行役会における資本配分の決定に際 「リスク管理規程」を定め、次のとおり基本方針を明ら し、重要な経営情報として活用されます。 かにしています。 有価証券関連業務をコア事業とする当社グループ 1.リスク管理への経営の積極的な関与 においては、トレーディング業務から生じる市場リス 2.当社グループに内在するリスクの特性に応じた適 クと信用リスクは特に重要です。したがって、市場リ 切かつ総合的なリスク管理体制の整備 3.リスク管理プロセスの明確化 スクと信用リスクを効果的に管理することが、当社グ ループの財務健全性維持のためには不可欠です。 当社グループにおいては、大和証券 SMBCと大和 リスクの分類 証券SMBCヨーロッパ、および大和アメリカがトレー グループで展開するビジネスには、多種多様なリ ディング業務の中心になります。 スクが存在します。したがって、健全な財務構造や収 大和証券では、市場リスクの発生するトレーディン 益構造を維持するためには、これらのリスクを的確に グ・ポジションが相対的に小規模であり、 トレーディン 認識し、かつ適切な評価のもとに管理していくことが グ業務から発生する市場リスクと信用リスクは限定さ 重要だと考えます。 れます。 市場リスク、信用リスク、流動性リスク、オペレー なお、大和証券における信用取引や大和証券担保 ショナル・リスク、システム・リスク、情報セキュリ ローンにおける有価証券担保貸付においては、取引 ティ・リスク、リーガル・リスク、およびレピュテーショ の相手方に対する信用リスクが生じますが、通常十 ナル・リスクに関し、特に事業特性やリスク・プロファ 分な担保を受け入れていることから、それらの信用リ イルを踏まえた管理体制をグループ各社に導入する スクは限定的です。 事情は、こうした理解にもとづくものです。 大和証券SMBCでは、同社およびその子会社のリ スク管理を統括しており、リスク管理に係る主要な権 リスク管理体制について 限はリスクマネジメント会議に付与されています。リ 当社グループでは、グループ全体のリスク管理に スクマネジメント会議では、リスク管理方針、手続 関する規程および体制の改廃等については、その重 き、同社およびその子会社のトレーディング・ポジ 要性に鑑みて、取締役会において決議します。また、 ション等のリスク枠が決められます。そして、トレー モニタリングを通して掌握されたグループ全体のエ ディング部門に割り当てられたリスク枠の遵守状況を クスポージャーのほか、グループ各社における管理 確認し、経営陣に報告する体制が整えられています。 体制上の課題などについて、執行役会の分科会とし トレーディング・ポジションの市場リスクと信用リスク て位置付けられ、四半期ごとの開催を原則とする経 の状況は、日次レポートと月次レポートによって経営 営監理委員会に報告し、審議します。 陣に報告され、その他のリスク情報を含む包括的な 他方、報告されたエクスポージャーの状況は、リス 四半期レポートがリスクマネジメント会議に提出され ク管理のみならず、グループ事業戦略とのかかわり ています。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 71 持株会社(大和証券グループ本社) 取締役会 監査委員会(監査機関) 執行役会(方針と重要事項の決定・報告) 経営監理委員会 ディスクロージャー委員会 内部統制・リスク管理・内部監査 情報の適時・適切な開示 リスク管理体制 規定上のリスク 所管部署 担当執行役 市場・信用・流動性リスク 財務部 CFO リーガル・リスク 法務部 財務部 総務部 法務担当執行役 システムおよび情報セキュリティ・リスク システム企画部 CIO レピュテーショナル・リスク 広報部 IR 室 総務部 各担当執行役 オペレーショナル・リスク 各部室 各担当執行役 基本方針策定・ モニタリング・勧告 定期報告 グループ会社 大和証券 SMBC 海外現地法人 大和アメリカ 大和証券 その他 大和証券 SMBC PI また、大和証券 SMBCヨーロッパおよび大和アメ また、リスク量の増加や複雑化に対応すべく、計量 リカにおいては、現地の法令にもとづき独立したリス 化手法の高度化をなお一層進めるとともに、市場環 ク管理体制が構築されており、トレーディング・ポジ 境やリスクの変容を踏まえた効果的管理の導入、見 ションの市場リスクと信用リスクの状況が現地経営陣 直しを適時図り、経営体力に応じた適切なリスク量の のほか、前者では大和証券 SMBC の、後者では当社 維持に努めています。さらに、部門ごとのリスク・リ のリスク管理部署に報告されています。 ターンの関係を資本との関係において統合的に管理 上記子会社のトレーディング・ポジションのリスク し、資本コストを踏まえた適正収益の獲得を目指すこ 状況は大和証券グループ本社リスク管理部署を通じ とで、持続的成長を追求します。 て、経営陣に毎日報告されており、これによって当社 経営陣はリスク状況を適切に把握しています。 主要リスクごとの管理体制 このほか、トレーディング・ポジション以外の金融 市場リスクS 市場リスクとは、株式・金利・為替・ 資産の市場リスク、信用リスクの状況についても、四 コモディティなどの価格の変動に起因して生じる損失 半期ごとに包括的かつ網羅的に経営監理委員会に報 の可能性を指します。 告されています。 当社グループのトレーディング・ポジションは、そ これらの報告にもとづいて、当社は投下資本であ の多くが本リスクに晒されていることから、マーケッ る各子会社の自己資本が過大なリスクに晒されてい トにおける変動が保有資産および負債の価値に及ぶ ないかをモニタリングしています。 影響を数値化し、より客観的な形式において捉えて いくことが何よりも重要だと考えられます。 72 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 バリュー・アット・リスク VaR の範囲と前提 s 信頼水準:片側 99% 、保有期間:1 日 s 商品間の価格変動の相関を考慮 大和証券グループ (連結) (単位:億円) VaR(月末) 四半期 最大値 最小値 平均値 06 / 6 06 / 9 06 / 12 07 / 3 07 / 6 07 / 9 07 / 12 08 / 3 20.6 36.9 14.9 24.2 21.7 24.2 14.2 19.9 17.9 28.6 13.3 20.2 21.8 35.5 11.4 21.3 19.5 41.0 12.8 19.1 26.0 57.9 15.0 27.5 27.8 38.9 20.2 29.0 27.2 30.1 17.1 23.2 10.5 17.1 1.8 – 14.8 10.9 7.8 – 14.8 8.8 6.2 0.3 9.8 8.0 16.3 1.2 12.4 15.1 5.4 1.7 17.8 12.3 12.8 0.0 16.5 19.3 14.8 0.0 15.7 17.8 16.1 0.4 リスクファクター別(月末) 株式 金利 為替 コモディティ このような認識のもと、当社ではグループ全体の トレーディング・ポジション以外の市場リスクおよ 影響をバリュー・アット・リスク (保有期間:1 日、信頼 び信用リスクS 当社グループはトレーディング・ポ 水準:片側 99% ) により計測し、過去のマーケット変 ジションのほか、取引関係上の目的等で長期保有す 動を統計的に踏まえた想定インパクトを把握してい る投資有価証券や、ベンチャー・キャピタルあるいは ます。また、当該手法によった場合の限界を補うべ プリンシパル・インベストメント業務の展開上生じる く、感応度など複数指標のモニタリングと多面的な極 営業投資有価証券等の資産を保有しています。これ 度設定を通して、リスク総量をコントロールしていま らの投資資産については、市場リスク、信用その他の す。このほか、統計上の仮定を超えたマーケットの急 リスクの内包事情がそれぞれ異なるため、リスク特性 激な変動に対しては、ストレステストあるいはシナリ に応じた指標の設定(保有残状況のほか、格付け別 オ分析などを行い、健全性についても定期的に検証 残高やバリュー・アット・リスクなど) と定期的モニタリ しています。 ングを実施して、極度管理を行なっています。 信用リスクS 信用リスクとは、与信供与先の信用 水準の低下や債務不履行などに起因して生じる損失 可能性を指します。 ホールセール証券業務などにおいては、格付け評 価モデルにもとづく定量評価に定性判断をさらに加 えて得られた信用評価水準をもとに、個々の取引先 に対する与信枠を設定しています。与信回収の確実 性については、期間、担保徴求の有無、諸契約の有 効性などの取引諸条件を勘案のうえ、実績の定期的 モニタリングを実施しています。また、リスクポート フォリオ全体の見地から、財務体力に見合った総量規 制についてもあわせて導入しています。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 73 流動性リスクS 流動性リスクとは、市場環境の激 当社グループでは、多様な業務に応じて、権限の 変、想定外のクレジット・クランチなどにより、資金繰 厳正化、人為的ミス削減のための事務処理の機械 りが厳しい状況に追い込まれたり、通常よりも著しく 化、業務マニュアルの整備などの必要な対策を講じ 高い調達コストを要求されるなどのリスクです。 ており、グループ各社の業態特性に応じたオペレー 当社グループは、多くの資産および負債を用いて ショナル・リスクの削減に努めています。 証券業務を中心としたビジネス活動を行なっていま すが、財務の効率性と安定性の双方に配慮しながら、 システムおよび情報セキュリティ・リスクS シス 適切な流動性を確保するよう努めています。グルー テム・リスクおよび情報セキュリティ・リスクとは、オ プ全体で、現金・預金、国債等の極めて換金性の高 ペレーショナル・リスクのひとつであり、コンピュータ い有価証券等により構成される合計 1 兆 4,126 億円 システムのダウンおよび誤作動など、システムの不備 (2008 年3 月31 日現在) の流動性ポートフォリオを保 などにより損失を被るリスク、さらに情報漏洩等、コ 有し、クレジット・クランチが生じるような場合におい ンピュータが不正に使用されることにより損失を被る ても、事業の継続に支障をきたすことのないよう、常 リスクです。 に流動性を確保しています。 当社グループでは、この種のリスクを軽減するた め、システム・リスク管理と情報セキュリティ・リスク オペレーショナル・リスクS オペレーショナル・リ 管理の基本となる情報セキュリティポリシーを定める スクとは、内部プロセス・人・システムが不適切であ とともに、それを具現化するための情報セキュリティ ること、もしくは機能しないこと、または外生的事象が 関連規程(セキュリティスタンダード) を整備し、役職 生起することから生じる損失に係るリスクです。 員に対し、周知徹底・遵守を図っています。 業務の高度化・多様化、システム化の進展などに また、重要なシステムについては、常時システムの 伴いさまざまなリスクが生じており、オペレーショナ 稼動状況を監視し、障害の発生を極小化するととも ル・リスク管理の重要性は年々高まっています。 に、万一、障害が発生した場合でも、迅速な対応がで オペレーショナル・リスクに関しては、グループ各 きるよう体制を整備しています。 社において担当セクションを定め、会議体において 必要な検討を行なっています。 74 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 リーガル・リスクS リーガル・リスクとは、規制等 レピュテーショナル・リスクS レピュテーショナ に関するリスク、法令遵守に関するリスクおよび訴訟 ル・リスクとは、当社グループに関する風評の発生、 リスクに関連し、法令、諸規程にしたがわないこと、 誤った経済情報などにより当社グループの評判、評 または第三者と締結した契約が不適切であること、も 価が低下し、不測の損失を被るリスクです。いろいろ しくは企業倫理に反することなどにより、業者としての な事象に起因するため、その管理手法は必ずしも一 信頼(レピュテーション) の喪失や業務上の損失を含 律のものではありません。 むさまざまな損失を被るリスクです。 当社グループでは、特に情報管理と情報提供の観 当社グループは、有価証券関連業務をコア事業と 点からディスクロージャー・ポリシーにもとづく各種 してグループ経営を行なっていますが、同業務の執 規程を整備し、グループ本社にディスクロージャー委 行にあたっては、金融商品取引業者等として関連法 員会を設置しています。 令諸規則等により遵守すべき事項が定められている 当社グループ各社においては、ディスクロージャー ほか、有価証券関連業務以外の業務執行一般につい 委員会にレピュテーショナル・リスクの発生が想定さ ても、さまざまな規制を遵守することが要請されてい れる情報を報告することが義務付けられており、グ ます。また、業務執行外においても、インサイダー取 ループ本社での情報の把握、一元管理と、同委員会 引規制を始めとする市場に関する規制等について 決議によるタイムリーで正確な情報発信を行なってい は、金融商品取引業者およびその役職員には、高水 ます。 準の規律が求められています。 また、当該リスクが発生した場合には、当社グルー 当社グループにおいては、これら遵守事項に抵触 プへの影響を最小限にとどめるため、レピュテーショ することのないよう各社においてコンプライアンスを ナル・リスクに係る問題・事象の状況把握に努め、誤 担当するセクションを定め、法令等の遵守、企業倫理 りや不正確な情報については的確に是正し、誹謗中 の確立に係る事項に関して審議・決定を行う会議体を 傷などに対しては適切な対処を講じるなど、リスクの 設置しています。 未然防止および極小化を図る広報・IR 体制をとって また有価証券関連取引、その他第三者との契約の います。 締結等において、その適法性、手続きの妥当性の判 断について高度な専門性が要請されるケースに対応 するため、海外を含む法律事務所から適宜リーガル・ アドバイスを受けられるように顧問契約を締結するな ど、体制整備に取り組んでいます。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 75 IT 戦略・情報セキュリティ 大和証券グループでは 、多様化する証券ビジネスへ迅速に対応するため 、積極的かつ機動的に IT 投資を行なっ ています 。また、個人情報を含む企業内部の情報を重要な経営資源と考え、社内外のさまざまなセキュリティ上 の脅威からこれらを保護し社会的責任を果たすとともに、企業価値向上のため高度な情報セキュリティ管理体制 を維持していくことに努めています 。 IT 戦略 組織的対応として、グループ各社に情報セキュリ 当社グループでは、多様化・高度化する証券ビジ ティ統括責任者を配置し、大和証券グループ本社に ネスへ対応するため、ITを積極的に活用しています。 設置されたグループITマネジメント会議において、グ 大和証券におけるオンライントレードの機能拡充 ループの情報セキュリティ対策について協議を行 や、大和証券 SMBCにおけるエクイティ受発注基盤 なっています。また、情報セキュリティリスクについ の大幅な機能・性能の向上など、ビジネス戦略に即し ては、経営監理委員会に報告されています。 た IT 戦略を実施しています。 情報セキュリティ対策は、当社グループ全体として また、証券ビジネスをIT 面から十分にサポートする 最低限講じるべき具体的な対策を「ミニマム・スタン ため、IT 関連業務に携わる人材を確保・増強するとと ダード」 として制定し、グループ各社において実行し もに、ITに関する専門性の向上やグループ全体の IT ています。 リテラシーの向上に向けた取組みも実施しています。 大和証券では、ダイワオンライントレードのシステ ムをお客様に安全・安心して利用していただくために IT 統制 通信の暗号化や本人認証の厳格化などの対策も実 当社グループでは、ビジネス戦略にもとづくIT 投資 施しています。また、シンクライアントの導入、ビル を積極的に行う一方、ITコストの効率性も追求してい 入退館へのフラッパーゲートの設置なども実施して ます。 います。 実際にシステムを開発するにあたっては、グループ 内で可能な限りシステム (あるいはその一部) を共通 情報セキュリティレベルを高度化する取組み 化して利用するなど、グループ全体として無駄のな 当社グループでは、グループ全体の取組みとして い IT 投資の実現に注力しています。また、すでに構 情報セキュリティマネジメントシステム ( ISMS ) の運 築・運用されているシステムについても、システムの 用を推進することにより、情報セキュリティレベルの 構成や運用体制を適宜見直し、システムの保守・運用 向上を図っています。また、一部のグループ会社で に係る費用の削減に努めています。 は、すでに評価認定制度にもとづくISMSやプライバ シーマークの認証を取得しています。 情報セキュリティに関する体制と対策 76 当社グループでは、情報セキュリティに対する取組 情報セキュリティに関する教育 みの基本方針である 「情報セキュリティポリシー 」を 当社グループでは、情報セキュリティに関する人的 制定し、お客様からお預かりした個人情報を含む情 対策として、役職員に対する情報セキュリティ教育を 報資産を安全かつ正確に保護し、適正に取り扱うこと 実施しています。役職員、部門管理者、セキュリティ を可能とするため、さまざまな情報セキュリティ対策 業務従事者のそれぞれに応じた内容の研修を、集合 を講じています。 研修や eラーニングで実施しています。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 知的財産活動 大和証券グループでは 、特許取得推進活動を通じて 、IT 技術を利用した新サービス・新商品などの企画開発を 促進しています 。また 、事業の自由度・優位性を確保することを目指して特許を取得することで 、さらなる事業 基盤の強化を図っています 。 知的財産活動の概要 主な取組み 当社グループでは、大和証券グループ本社シス 当社グループでは、特許を中心とする知的財産権 テム企画部内に知的財産課を設置し、同課を中軸に に対する役職員の知識と意識の向上のため、以下の グループ各社が連携し、知的財産活動を展開してい 施策等を実施しています。 ます。 当社グループでは、ネット取引、SMA 運用管理、 電子書面交付など、証券関連のさまざまな分野で、 特許を取得・活用しています。また、商標・著作権管 理に関しても、当社グループの知的財産権に対する 他社からの侵害防止を図るとともに、コンプライアン スの観点から、他社の保有する知的財産権に対する s 特許報奨金制度 出願・取得・実施の各段階で報奨金を設定 s 特許表彰制度 特許推進活動において貢献の大きい役職員、部室店 を表彰 s 特許発掘活動 システム部門や戦略的ビジネス部門と連携した特許の 侵害の防止にも努めています。 発掘 s 他社特許調査 知的財産活動における実績 2008 年 3 月末現在で、当社グループの国内特許 登録件数は合計 47 件(海外を含めると48 件) 、特許 出願件数(公開済み分) は328 件となっています。 他社特許を侵害しないための調査の実施 s 社員教育、啓蒙 社内研修の実施、イントラネットなどを通じた各種情 報の提供等 2007 年度に取得した特許は14 件で、内訳は、ビ ジネスモデル特許(電子商取引・業務システム) が10 さらに今後は、知的財産関連ビジネスや、特許情 件、非ビジネスモデル特許が 4 件となっています。 報を中心とした技術関連情報に関するリサーチ機能 を強化し、さまざまな視点から、知的財産の当社グ ループ事業への貢献を図っていきます。 また、当社グループのグローバル展開を踏まえ、海 特許登録件数の推移 外における知的財産への対応強化を図っていきます。 (件) 1614- 8 12- 4 1086- 6 420- — 0 2000 1 2001 — ビジネスモデル特許 * 外国特許 1 件含む 0 2002 1 2003 2* 2004 4 8 10 4 2005 2006 2007 (年度) 非ビジネスモデル特許 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 77 ディスクロージャー 大和証券グループは、株主・投資家、地域社会を始めとするあらゆるステークホルダーの当社グループに対する 理解と適切な評価を促進するため 、積極的なコミュニケーション活動と公正かつ適時・適正な情報開示により、 日本最高水準のディスクロージャー体制の確立を目指しています 。 ディスクロージャー体制 インベスター・リレーションズ ( IR )活動の拡充 大和証券グループ本社は、 「ディスクロージャー・ポ 当社グループでは、業績、事業戦略およびその進 リシー」および「ディスクロージャー規程」をもとに、 捗状況などについて、株主・投資家への情報開示や 公正かつ適時・適切な情報開示に取り組んでいます。 説明を積極的に行なっています。さらに、その過程で 「ディスクロージャー規程」にもとづき、執行役会 得られる当社グループに対する市場からの反応やさ の分科会として「ディスクロージャー委員会」が設置 まざまな意見を経営にフィードバックすることにより、 され、情報開示に関する最終的な意思決定を行なっ 経営の透明性・効率性を一層高め、企業価値向上に ています。また、各グループ会社ではそれぞれ「経営 つなげることを目指しています。 関連情報管理規程」を制定し、情報収集と大和証券 情報開示にあたっては、公正かつ適時・適切な開 グループ本社への報告が的確に実施される体制を整 示と国内外のステークホルダー間の情報格差解消に えています。 努めています。四半期ごとに開示する決算情報は、 ディスクロージャーにあたっては、その対象ごとに 発表後速やかに当社ホームページ内の IR サイトに掲 役割の分担が明確化されています。株主や投資家・ 載します。発表日夕刻には国内の機関投資家・アナリ アナリストに対してはIR 室、マス・メディアに対しては スト向けに電話会議を実施し、IR サイトを通じてライ 広報部、地域社会に対してはCSR 室が中心となり、イ ブ中継を行うほか、同夜に海外向け電話会議も実施 ンターネットや出版物など多様なツールを活用した しています。また 2007 年度は、アナリスト・機関投 情報開示を行なっています。 大和証券グループ情報開示のフロー 情報開示 大和証券グループ本社 報告 *1 ディスクロージャー委員会 情報開示の内容、方法等を決定 執行役会 ディスクロージャー委員会事務局 経営企画部 財務部 子会社 *2 情報集約部署(経営企画部等) 経営関連情報(財務情報を除く)の流れ 財務情報の流れ 情報の所管部署または担当役員 *1 委員長が重要と判断した決定事項を報告。 *2 当該子会社の子会社を含む。 78 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 資家を対象に、特定の事業分野について担当役員が 株主との直接対話の場である株主総会に関して 説明を行う 「 IRテーマミーティング」を実施しました。 は、より多くの株主にご参加いただけるよう、2006 経営者による直接的なコミュニケーションとして 年からは土曜日にホテルで開催しています。本会場 は、半期に一度CEOによる機関投資家・アナリスト向 に来場できない株主向けには、大阪・名古屋において け説明会を開催しています。また、経営陣による海 衛星同時中継を実施しています。議決権行使の促進 外の投資家訪問も行なっており、2007 年度にも従来 を図るため、インターネットに加えて携帯電話による どおり、欧州・米国・香港・シンガポール・中近東への 議決権行使を導入し、手段の多様化に努めています。 訪問を実施しました。 また 2006 年より、インターネット上で早期に、かつ さらに、個人の株主・投資家とのコミュニケーショ 直接議決権行使が可能となる 「機関投資家向け議決 ン強化にも力を入れています。CEOによる個人投資 権電子行使プラットフォーム」に参加しており、国内 家向け説明会開催のほか、日本経済新聞社や東京証 外の機関投資家の議決権行使促進を図っています。 券取引所が主催する大規模 IR セミナーへの参加や、 今後も、投資家主体別の IR 体制の確立に努め、幅 大和証券の地方の支店において、株主を中心とした 広いステークホルダーに対して誠実かつ積極的なコ IRセミナーを実施するなど、個人投資家と接触する ミュニケーションを図ることにより、他の上場企業に 機会を増やしました。また、IR サイトの使いやすさの 範を示し、証券市場活性化の一助となれるよう 「日本 向上や、当社グループの事業内容を簡単に説明した 最高の IR 体制」の構築を目指します。 「 Fact Sheet 」の作成など、投資家へのメッセージ・ ツールの拡充に努めています。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 79 人材マネジメント 人材は、競争力の大きな源泉です 。その競争力を最大限に発揮するためには、社員一人ひとりが能力とモチベー ションを高め、そのポテンシャルを 100% 引き出すことが重要です 。大和証券グループでは、社員のスキルアッ プを支援し、実績を適正に評価する人材マネジメント体制の確立に努めています 。 グループ人事政策 ナー) などの金融業務に関連する資格を中心に、資 当社グループの企業理念のひとつは「人材の重 格取得の全面的なバックアップや、業務や事業リー 視」であり、その内容は「大和証券グループの競争力 ダー育成に関する研修の充実など、社員のスキル の源泉は人材である。社員一人ひとりの創造性を重 アップへのサポートを充実させています。また、 視し、チャレンジ精神溢れる自由闊達な社風を育み、 2008 年度から昇級・昇格への資格要件の本格導入 社員の能力、貢献を正しく評価する。」 というもので を行い、証券アナリストなど証券業務に有用な資格を す。株主価値を向上させるべく最も労を尽くしてい 中心に、資格の難易度に応じて定めた「資格ポイン るのは社員であり、この社員のモチベーションを最大 ト」の取得を職制・等級別の昇級・昇格の必要条件と 限に高めることは、お客様や株主の満足度を高める し、能力の向上に対する役職員の挑戦意欲を高めて ことにつながると考えています。 います。 配属に関しては、グループ内の希望部署へチャレ 評価制度の充実と成果主義の徹底S 当社グルー ンジできる 「グループ内公募制度」を採用しており、 プでは、成果主義を徹底しており、公正かつ納得性 2000 年の制度導入以来702 名がこの制度に応募し、 の高い人事制度を目指しています。そのため、上司 132 名が希望部署へ配属されています。 と部下が相互に評価を行う 「双方向評価」や、業務上 関係が深いグループ内の他社や他部署からの客観的 中期経営計画における人材マネジメント 評価を含めた「 360 度評価」を取り入れるとともに、 中期経営計画における人事の基本戦略として、 「業 評価する側のスキルを向上させるための「評価者研 界最高水準の人材が集い、高いモチベーションを 修」を行なっています。また、公正な評価の一環とし 持って仕事にチャレンジできる環境・体制を整備す て、大和証券では年2 回の「社長賞」を実施しており、 る」 ことを目指し、具体的に以下の 5 つの戦略を掲げ 社員のさらなるモチベーション向上を図っています。 ています。 同様の表彰制度は、大和証券グループ本社、大和証 1. 業界のリーディングカンパニーにふさわしい処遇 券 SMBCにも設けられています。 水準・処遇体系を確立し、人材の維持・獲得およ 職種別処遇体系の導入や人事考課の細分化なども びさらなる業績向上に寄与する。 行なっており、次長職では最大で賞与で約 20 倍、年 2. 優秀でロイヤリティの高い人材を継続的に獲得す 収で 5 倍以上の格差が生じています (2007 年度実 る。そのため学生とのコミュニケーション機会を 績) 。また、大和総研のアナリストや大和投資信託の 増やし、従来以上に大和証券グループの存在感 ファンドマネージャーに、アナリストランキングや運 を高める。 用パフォーマンスなどの実績を反映させた年俸制も 導入しています。 3. 業界 No.1 の専門性を誇る金融プロフェッショナ ル集団を育成する。 4. 女性社員の士気を向上させ、潜在能力を最大限 80 社員の能力向上と選択肢の提供S 当社グループ 発揮できる態勢を確立する。女性が働きやすい では、証券アナリスト、FP(ファイナンシャル・プラン 環境を継続的に整備する。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 5. 経験豊富なベテラン社員が活躍しやすい環境を 派遣社員・パート社員の正社員登用S 一定期間 整える。年齢にかかわらず成果を出す社員に報 以上勤務し、当社グループへの貢献度およびロイヤ いる。 リティが高く、今後も高い実績が期待できる派遣社 また、人員(国内) については、グループ全体で 3 員・パート社員を対象に、キャリアアップの機会を広 年間に2,000 人程度の人員増を計画しています。 げるため、正社員登用試験を実施しています。今後 も定期的に実施する予定です。 働きがいのある会社へ 当社グループは、 「働きがいと情熱に満ちた日本 連帯感醸成のための取組みS 当社グループで 最高の証券グループ」を目指し、中期経営計画におけ は、役職員が余暇活動を通して親睦を深め、連帯感 る人事戦略に沿って、社員が高いモチベーションを維 を醸成する機会を増やし、ワーク・ライフ・バランス 持できるよう、グループで働く社員一人ひとりが、 (仕事と生活の調和) を実現して充実した社会生活を (1)会社に対して「信頼感」を持っている、 (2)会社の 役割・意義を理解し、 「誇り」を持って働いている、 (3)会社およびそこで働く仲間と 「連帯感」を共有し ている、といった意識を持てるよう、さまざまな施策 送ることを支援しています。そのため、2007 年度よ り 「クラブ活動支援制度」および「社内イベント支援 制度」を導入しました。 「クラブ活動支援制度」によ り、現在 12 のクラブが活動しています。 を実行しています。 ベテラン層の活躍に対する支援S 当社グループ ダイワフェスティバルの開催S 当社グループは、 では、年齢にかかわらず意欲と能力の高い人材を積 2007 年秋、分散しているグループ各社を集結させ、 極的に活用するため、定年退職者の再雇用制度とし グループの連携強化、生産性の向上を目指し、新た て従来より導入している 「大和エルダー制度」 と、改 な時代に大きく飛躍できるよう、本社を東京駅前のグ 正高年齢者雇用対策法に対応した「大和マスター制 ラントウキョウ ノースタワーに移転しました。これを 度」を導入しています。今後もベテラン層の積極的 機に、当社グループに所属する役職員としての結束 な活用を進めていきます。 力を一段と高めるとともに、社員を常日頃からサポー トする家族への感謝の意を表すため、2007 年11 月に 女性活躍支援および仕事と育児の両立支援S 『家族・絆・健康』 をテーマにした「ダイワフェスティバ 当社グループでは、従前より積極的に女性の活躍を ル」を開催しました。 支援してきており、大和証券グループ本社人事部内 に設置された「女性活躍推進チーム」が中心となって メンタルヘルスケアの充実S 大和証券グループ 「女性活躍支援プラン」を導入するなど、ワーク・ライ 本社には「メンタルヘルスサポート室」が設置され フ・バランスができるようさまざまな施策を導入して ており、臨床心理士も駐在し、社員の心の悩み・不 います。また、女性の活躍に期待して積極的に採用を 調・不安・ストレスなどに対しての相談に親身に応じ 行い、その人数は毎年増加しています。さらに、入社 るとともに、心の健康づくりをサポートしています。 後も女性社員を積極的に管理職へ登用しています。 Daiwa Securities Group Annual Report 2008 81 これらの施策等が評価され、厚生労働省が実施し 〈ワーク・ライフ・バランス推進委員会および推進 ている2006 年度「均等推進企業表彰」において、大 室の設置〉 当社グループで働く社員の「ワーク・ラ 和証券グループ本社・大和証券・大和証券SMBC の イフ・バランス」を実現する体制を構築するため、大 3 社が、東京労働局長優良賞を受賞しました。 和証券グループ本社に、CEO 自らが兼務するCWO 2007 年度も、保育施設費用補助期間の延長、所 ( Chief Work-life-balance Officer /ワーク・ライ 定時間外労働免除および制限の期間の延長など、引 フ・バランス担当) を委員長とした「ワーク・ライフ・ き続き仕事と育児の両立支援をさらに拡充しまし バランス推進委員会」を設置しました。また、大和証 た。また、2007 年 11 月には、3 人目以降の子ども 券グループ本社人事部内には、 「ワーク・ライフ・バ を持つことによる経済的負担の軽減を目的として 、 ランス推進室」を設置し、専任スタッフを配置してい 3 人目以降の子どもが生まれた場合、子ども 1 人に ます。 つき 200 万円を支給する制度を導入しています。 〈19 時前退社の励行〉 当社グループでは、以前よ り、本店ビルにおける 「 21 時 30 分完全消灯」の実施 など、労働時間の短縮に取り組んできましたが、 「ワーク・ライフ・バランス」のさらなる推進のため、 厚生労働省認定の「くるみんマーク」 大和証券グループ本社と大和証券では、2007 年か ら19 時前退社を励行しています。 ワーク・ライフ・バランスの推進S 仕事と生活の 調和を図り、健康で豊かな生活を実現することは、社 その他の取組みS 厚生労働省が 2008 年度に実 員のモチベーションやロイヤリティを向上させ、ひい 施する 「仕事と生活の調和推進モデル事業」におい ては優秀な人材の維持・確保につながり、当社グ て、当社グループは、社会的影響力のあるわが国を ループの持続的な発展のためにも不可欠であるとの 代表するモデル企業10 社中の1 社として選定されま 考えから、当社グループでは、 「ワーク・ライフ・バラ した。 ンス」を推進しています。 また、日本経済団体連合会が 2005 年に設置した 「少子化対策委員会」では、当社 CEO が共同委員長 を務めており、少子化問題に対する国全体としての 共通認識や、人口減少下における新たな社会づくり の方向性に沿って、会員企業・団体にワーク・ライフ・ バランスについてより理解を深めてもらう活動を行 なっています。 82 Daiwa Securities Group Annual Report 2008