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等に係る不開示決定に対する審査請求(PDF:23KB)
答 申 第 47号 答 第1 申 審査会の結論 沖 縄 県 警 察 本 部 長 (以 下 「 実 施 機 関 」 と い う 。 )が 、 本 件 審 査 請 求 の 対 象となった「北谷町美浜における家族少年等による窃盗(万引き)被疑 事 件 に 伴 う 現 場 臨 場 憲 兵 隊 の 対 応 の 是 正 方 に つ い て 」( 以 下 「 本 件 公 文 書 1 」 と い う 。) 及 び 「 2 0 0 8 年 4 月 1 8 日 付 け 憲 兵 司 令 官 か ら 沖 縄 警 察 署 長 あ て 文 書 ( 英 文 ) 」( 以 下 「 本 件 公 文 書 2 」 と い う 。) に つ き 、 そ の 全 部を不開示とした決定については、本件公文書1の店舗名を除き、開示 すべきである。 第2 1 諮問の概要 公文書の開示請求 審 査 請 求 人 ( 以 下 「 請 求 人 」 と い う 。) は 、 平 成 2 0 年 4 月 2 1 日 、 沖 縄 県 情 報 公 開 条 例 (平 成 13年 沖 縄 県 条 例 第 37号 。以 下 「条 例 」と い う 。 )第 6 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づ き 、実 施 機 関 に 対 し 、 「 4 月 13 日 午 後 3 時 半 ご ろ 、 北谷町美浜の衣料品店で窃盗の疑いで、米軍関係者を米憲兵隊が基地 内 へ つ れ て 帰 っ た 事 件 で 、 沖 縄 署 が 15日 に 米 軍 側 へ 経 緯 等 の 説 明 を 求 め た 文 書 と 18日 に 沖 縄 署 に 手 わ た さ れ た 米 軍 の 回 答 文 書 」 に つ い て 開 示を求めた。 2 実施機関の決定 実 施 機 関 は 、 平 成 2 0 年 5 月 2 日 付 け 沖 捜 一 第 1 3 60 号 に よ り 、 対 象 文 書 を本件公文書1及び本件公文書2と特定した上、条例第7条第3号、第 5 号 及 び 第 7 号 に 該 当 す る と し て 、公 文 書 不 開 示 決 定( 以 下「 本 件 処 分 」 と い う 。) を 行 い 、 請 求 人 に 通 知 し た 。 3 審査請求 請 求 人 は 、 平 成 20年 6 月 24日 、 本 件 処 分 を 不 服 と し て 、 行 政 不 服 審 査 法 (昭 和 37年 法 律 第 160号 )第 5 条 の 規 定 に よ り 、 公 安 委 員 会 に 対 し 審 査請求をした。 4 諮問 公 安 委 員 会 ( 以 下 「 諮 問 実 施 機 関 」 と い う 。) は 、 平 成 2 0 年 9 月 5 日 に 、 条 例 第 20条 の 規 定 に よ り 、 沖 縄 県 情 報 公 開 審 査 会 (以 下 「 審 査 会 」 と い う 。 )に 本 件 公 文 書 の 開 示 可 否 の 決 定 に つ い て 諮 問 し た 。 第3 1 請求の趣旨及び理由 請求の趣旨 本件処分の取り消しを求める。 2 請求の理由 事 案 に 関 わ っ た 少 年 二 人 が 、 5 月 15日 に 書 類 送 検 さ れ て お り 、 捜 査 に 支障をきたす恐れはなくなったと考えられるため。また、当該店舗につ いては直接の目的でなく、店舗名の部分を隠してもらっても影響はない と考えている。 第4 1 諮問実施機関の理由説明の要旨 条例第7条第3号該当性について 窃盗事件の発生現場である衣料品店の名称は、これを公にすることに より、当該店舗に対する一般客及び取引先の信用や社会的評価を低下さ せるおそれがあると認められるから、同号本文に該当する。また窃盗事 件 の 発 生 現 場 で あ る 衣 料 品 店 の 名 称 は 、開 示 す る こ と に よ り 、人 の 生 命 、 健康等の利益を保護するために公にすることが必要であると認めること はできず、また将来侵害される蓋然性もないため、ただし書に該当しな いのは明らかである。 2 条例第7条第5号該当性について 本件公文書1及び本件公文書2には、窃盗被疑事件に関する捜査の端 緒、現場の状況、捜査状況等が記録されている。これらのうち、関係者 の供述等を基にして把握された事実等が記録されている部分は、これを 公にすることにより、同種事案の捜査に関して、関係者の供述や協力等 が得られなくなるおそれがあるほか、捜査の着眼点や捜査手法が明らか となり、犯罪を企図する者が対抗手段を講じるなど、今後、これらの活 動が阻害され、若しくは適正に行われなくなるおそれがある。また、本 件関係者の取り調べや捜査情報の提供等若しくは一般的な犯罪の予防、 捜査に関し、協力関係にある在沖米海兵隊との信頼関係が大きく損なわ れ、今後の犯罪の予防、捜査等に支障を及ぼすおそれがある。 以上の理由により、条例第7条第5号に該当する。 3 条例第7条第7号該当性について 本件公文書1及び本件公文書2には、窃盗事件捜査を適切に推進する た め 、在 沖 米 海 兵 隊 憲 兵 司 令 官 と や り と り し た 連 絡 に 関 す る 記 録 で あ り 、 実施機関の事務に関する情報である。その内容は窃盗事件に関する捜査 の端緒、現場の状況、捜査状況等である。これらの記録は、あらかじめ 公にすることを予定しているものではないため、公にすることにより、 在沖米海兵隊憲兵司令官との信頼関係が著しく損なわれ、今後反復継続 して行われる被疑者の取り調べや犯罪捜査に関する情報交換などの事務 に支障を及ぼすおそれがある。 また、在沖米軍の家族等が犯した犯罪の捜査に関しては、日本国とア メリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及 び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下「日 米 地 位 協 定 」 と い う 。) に 基 づ き 行 う こ と と な る 。 本 件 対 象 文 書 に は 、 現に捜査中の窃盗事件を捜査するに当たり、在沖海兵隊憲兵隊及び実施 機関の日米地位協定に関する運用及び解釈に係る情報が記録されてい る 。こ れ ら 情 報 を 公 に す る こ と に よ り 、他 国 と の 交 渉 と い う 事 務 に 関 し 、 国の地位を不当に害するおそれがある。 以上の理由により、条例第7条第7号に該当する。 第5 審査会の判断理由 本件公文書1は、北谷町美浜で発生した窃盗被疑事件に関し、沖縄警 察署長から在沖米海兵隊憲兵司令官へ経緯等の説明を求めた文書であ り、本件公文書2は在沖米海兵隊憲兵司令官から沖縄警察署長への回答 文書である。 諮問実施機関は、本件公文書1については、条例第7条第3号、第5 号及び第7号に該当し、本件公文書2については、条例第7条第5号及 び第7号に該当すると主張している。したがって、審査会はそれらの条 項の該当性について検討し、開示・不開示の適否を判断する。 1 条例第7条第3号該当性について 条 例 第 7 条 第 3 号 に お い て 、「 法 人 そ の 他 の 団 体 に 関 す る 情 報 又 は 事 業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、 当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害す るおそれがあるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護す る た め 、 公 に す る こ と が 必 要 で あ る と 認 め ら れ る 情 報 を 除 く 。」 と 規 定 している。 本件公文書1に記載されている窃盗被疑事件の発生現場である衣料品 店の名称については、それを公にすることにより社会的評価や風評等に おいて、不利益を被るおそれがあると認められることから、第7条第3 号本文に該当する。また人の生命、健康、生活又は財産を保護するため に公開することが必要な情報であるとまでは認められず、同号だたし書 に該当しないと判断する。 なお、店舗名の非開示については申立人も争わない旨の主張がある。 2 条例第7条第5号該当性について 条 例 第 7 条 第 5 号 は 、「 公 に す る こ と に よ り 、 犯 罪 の 予 防 、 鎮 圧 又 は 捜査、公訴の維持、刑の執行その他公共の安全と秩序の維持に支障を及 ぼすおそれがあると公安委員会又は警察本部長が認めることにつき相当 の理由がある情報」と規定している。 諮問実施機関は、本件公文書1及び本件公文書2には、捜査の端緒、 現場の状況、捜査状況等が記載されており、このうち、関係者の供述等 を基にして把握された事実等が記載されている部分は、これを公にする ことにより、同種事案の捜査に関して、関係者の供述や協力等が得られ なくなるおそれがあるほか、捜査の着眼点や捜査手法が明かとなり、犯 罪を企図する者が対抗手段を講じるなど、今後、これらの活動が阻害さ れ、若しくは適正に行われなくなるおそれがある。また、本件関係者の 取 り 調 べ や 捜 査 情 報 の 提 供 等 若 し く は 一 般 的 な 犯 罪 の 予 防 、捜 査 に 関 し 、 協力関係にある在沖米海兵隊との信頼関係が大きく損なわれ、今後の犯 罪の予防、捜査等に支障を及ぼすおそれがあると主張する。 審査会が確認するところ、まず関係者の供述や協力等が得られなくな る旨の主張については、特に個人を識別する情報ではないこと、記載の ほとんどは新聞報道等を通じて公知されている内容であること、諮問実 施機関の説明でも具体的支障が明らかにならなかったことから、認め難 い。次に捜査の着眼点や捜査手法が明らかとなる旨の主張については、 そのような内容の記載は特に見当たらず、諮問実施機関の説明でも明ら かにならなかったことから、認め難い。また在沖米海兵隊との信頼関係 を大きく損なう旨の主張については、前述のとおり、ほとんどが公知さ れている内容であること、非開示にすべき特段の配慮が必要な内容も見 当たらず、かつ、諮問実施機関の説明でも具体的支障が明らかにならな かったことから認めることは困難である。 以上のことから、公安委員会又は警察本部長が認めることに相当の理 由がある情報とは言えず、条例第7条第5号に該当しないと判断する。 3 条例第7条第7号該当性について 条 例 第 7 条 第 7 号 は 、「 県 、 国 、 独 立 行 政 法 人 等 、 他 の 地 方 公 共 団 体 又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公に することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、 当 該 事 務 又 は 事 業 の 適 正 な 遂 行 に 支 障 を 及 ぼ す お そ れ が あ る も の 。ア( 省 略)イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、県、国、独立行政法人 等又は他の地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当 に 害 す る お そ れ ( ウ ∼ オ 省 略 )」 と 規 定 し て い る 。 諮問実施機関は、本件公文書1及び本件公文書2は在沖海兵隊憲兵司 令官とやりとりした連絡に関する記録であり、これら記録は、あらかじ め 公 に す る こ と を 予 定 し て い る も の で は な い た め 、公 に す る こ と に よ り 、 在沖米海兵隊憲兵司令官との信頼関係が著しく損なわれ、今後反復継続 して行われる被疑者の取り調べや犯罪捜査に関する情報交換などの事務 に支障を及ぼすおそれがあると主張している。また、本件公文書1及び 本件公文書2には在沖海兵隊憲兵隊及び実施機関の日米地位協定に関す る運用及び解釈に係る情報が記録されており、これら情報を公にするこ とにより、他国との交渉という事務に関し、国の地位を不当に害するお それがあると主張している。 審査会が確認するところ、前段の主張については、上記2で示した理 由により、在沖米海兵隊司令官との信頼関係が著しく損なわれ、今後の 事 務 に 支 障 を 及 ぼ す と 言 う こ と は で き な い 。ま た 後 段 の 主 張 に つ い て は 、 運用及び解釈に係る情報も一部認められるものの、国の地位を不当に害 するおそれがある日米地位協定の運用及び解釈に係る情報とまでは言う ことができない。 日米地位協定の運用及び解釈に関しては、日本国とアメリカ合衆国と の国家間の問題解決において重要な事項であり、慎重な対応をせざるを 得ないことは十分に理解できるところであるが、本件においては諮問実 施機関の主張を認めることは困難である。 以上のことから、条例第7条第7号に該当しないと判断する。 よ っ て 、「 第 1 審査会の結論」のとおり判断した。 審査会の処理経過 年 月 日 内 容 平 成 20年 9 月 5 日 諮問書の受理 平 成 2 1 年 4 月 23 日 実施機関から理由説明書を受理する。 平 成 2 1 年 6 月 16 日 審 議 ( 第 180 回 ) 平 成 2 1 年 7 月 14 日 諮 問 実 施 機 関 か ら の 意 見 聴 取 、 審 議 (第 181 回 ) 平 成 2 1 年 8 月 11 日 審 議 ( 第 182 回 ) 平 成 2 1 年 9 月 15 日 審 議 ( 第 183 回 ) 平 成 2 1 年 10 月 27 日 審 議 ( 第 184 回 ) 平 成 2 1 年 10 月 29 日 答申 本案件を審議した沖縄県情報公開審査会委 員 五十音順 氏 安次富 ( 会 名 備 考 哲雄 琉球大学名誉教授 長 ) 金城 智誉 弁護士 幸地 啓子 税理士 中村 照美 弁護士 (会長職務代理) 前津 榮健 沖縄国際大学教授