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ALK Detection Kit
研究用試薬
anaplastic lymphoma kinase
ALK Detection Kit
ATLAS
ALK Detection Kit
はじめに
日本における新規肺癌患者数は年間8万人を超え、肺癌死亡者数は年間6万人以上であり、がん死亡要因の第
1位になっています。
近年、特定の遺伝子異常やタンパク質の探索が行われており、それら分子を標的とする治療法が確立されてき
ています。肺癌の治療においても、がんの組織型や患者の特性に合わせて治療方針を決定する「個別化医療」が
求められるようになり、組織検体等による分子診断の重要性が高まっています。手術切除不能の進行期非小細胞
肺癌においては、プラチナ製剤などの抗がん剤による化学療法や放射線療法に加えて分子標的治療薬による治療
が大きな役割を担うようになってきています。
上 皮 増 殖 因 子 受 容 体 EGFR(epidermal growth factor receptor)遺 伝 子 変 異(exon 19 欠 失 変 異、exon21
L858R 点突然変異等)を有する非小細胞肺癌では、分子標的治療薬で EGFR を選択的に阻害するチロシンキナー
ゼ活性阻害剤である gefitinib(イレッサ)や erlotinib(タルセバ)の高い奏効率が報告されています。一方、野
生型では殆ど奏効しないことから EGFR 遺伝子検査を実施し、遺伝子変異が陽性と確認された非小細胞肺癌では、
これらチロシンキナーゼ阻害剤が一般的に治療に使用されるようになっています。これは未治療進行非小細胞肺癌
の EGFR 遺伝子変異陽性例に対する PhaseIII 試験において、gefitinib は IPASS 試験および日本で行われた
WJTOG3405 試験、NEJ002 試験等により、erlotinib は OPTIMAL 試験、EURTAC 試験等により、標準化学療法(プ
ラチナ製剤を含む2剤併用療法)と比較して無増悪生存期間(PFS)の延長が証明されていることによります。日
本人では肺腺癌の約 40% に EGFR 遺伝子変異が認められるという報告があり、これらの阻害剤は有効な治療薬と
なっています。
EGFR 遺伝子変異陰性例では扁平上皮癌と腺癌を区別して治療が行われます。これは非扁平上皮癌の治療に有
効な殺細胞性抗がん剤や分子標的治療薬の存在によります。非扁平上皮癌においては、E4599 試験、AVAiL 試験
等により有効性が認められた血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体である bevacizumab(ア
バスチン)や酸代謝拮抗薬であるペメトレキセド(アリムタ)による治療が有効になります。扁平上皮癌ではプラ
チナ製剤を含んだ2剤併用療法による治療が行われます。
2007 年に自治医科大学の間野博行教授らの研究グループにより、非小細胞肺癌において微小管会合タンパク
echinoderm microtubule-associated protein-like 4(EML4)と受容体型チロシンキナーゼ anaplastic lymphoma
kinase(ALK)の細胞質内領域が融合した新しい癌化キナーゼである EML4-ALK 融合遺伝子が同定されました。
EML4-ALK 融合遺伝子陽性肺癌は、非小細胞肺癌の約 5% の症例に認められ、EGFR 遺伝子や KRAS 遺伝子の変
異と相互排他的であることが報告されました。そして、EML4-ALK 融合遺伝子陽性肺癌における臨床試験により
ALK チロシンキナーゼ阻害剤である crizotinib が 2011 年 8 月 26 日に米国で承認され、日本においても、2012 年
3 月 30 日付で承認されました。肺癌の治療方針を決定する際に、新たに ALK 融合遺伝子陽性肺癌の診断が求め
られるようになってきています。
Contents
1. ALK ( anaplastic lymphoma kinase ) とは …………… 2
2. ALK 融合遺伝子 …………………………………………… 2
3. EML4-ALK 融合遺伝子 …………………………………… 3
4. ALK 陽性肺癌の特徴 ……………………………………… 5
5. ALK 阻害剤 ………………………………………………… 7
6. ALK 阻害剤耐性 …………………………………………… 7
7. ALK 肺癌検査方法 ………………………………………… 8
8. ヒストファイン ALK 検出キット …………………………… 9
9. 操作手順 …………………………………………………… 10
10. 染色判定 …………………………………………………… 12
11. 発色があっても陽性判定とはできない例 ……………… 17
12. 最後に ……………………………………………………… 17
1
ALK Detection Kit
1. ALK(anaplastic lymphoma kinase) とは
ALK は 1994 年に t(2;5)(p23;q35) 転座を有する未分化大細胞型リンパ腫 (ALCL:anaplastic large cell lymphoma)
において、nucleophosmin (NPM) との融合分子として同定されました (1),(2)。ALK はインスリン受容体ファミリー
に属する受容体型チロシンキナーゼです。ALK 遺伝子は全長約 988kb で 2p23 に位置しています。遺伝子産物は
全長 1,620 残基で約 176kDa の膜貫通型蛋白です。ALK にリガンドが結合することにより二量体を形成し、細胞
質内にある ATP キナーゼドメインが活性化するとされています。
2. ALK 融合遺伝子
ALCL において、NPM、CLTC、TPM3、TPM4、ATIC、TFG、MSN、MYH9、ALO17 との融合、inflammatory
myofibroblastic tumor (IMT) において、CLTC、TPM3、TPM4、ATIC、CARS、RANBP2、SEC31L1、PPFIBP1 との
融合、ALK-positive large B-cell lymphoma において、NPM、CLTC、SEC31A、SQSTM1 との融合、肺癌における
EML4、TFG、KIF5B、KLC1 との融合、腎臓癌における viculin(VCL)、TPM3、EML4 との融合等、多くの ALK 融
合遺伝子が報告されています。
表 1:これまでに報告されている ALK 融合遺伝子におけるパートナー遺伝子
Reported year
1994
1999
1999
2000
2000
2001
2001
2002
2003
2003
2003
2006
2007
2009
2011
2011
2011
2012
Partner
NPM
TPM3
TFG
ATIC
TPM4
CLTC
MSN
ALO17
MYH9
RANBP2
CARS
SEC31A
EML4
KIF5B
SQSTM1
PPFIBP1
VCL
KLC1
Locus
ALK+ALCL
ALK+LBCL
5q35.1
1p23
3q12.2
2q35
19p13
17q23
Xp11.1
17q25.3
22q13.1
2q13
11p15
4q41
2p21
10p11.22
5q35.3
12p11
10q22.2
14q32.1
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
IMT
RCC
NSCLC
+**
+
+*
+
+
+
+
+
+
+
+
+**
+
+
+
+
+
+
*Histopathological evidence is lacking. Abbreviations: ALCL, anaplastic large cell lymphoma; LBCL, large B-cell lymphoma; IMT,
inflammatory myofibroblastic tumor;
NSCLC, non-small cell lung carcinoma; RCC, renal cell carcinoma.
**:参考文献(12)より
参考文献 (3) より
2
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3.EML4-ALK 融合遺伝子
チロシンキナーゼは私たちの体内に存在し、タンパク質のチロシン残基を特異的にリン酸化する酵素であり、
細胞の分化、増殖、アポトーシスの調節に重要な分子です。チロシンキナーゼは点突然変異や遺伝子融合などの
変異によって恒常的に活性化してがん化を誘導します。
2007 年に自治医科大学の間野博行教授らの研究グループにより、非小細胞肺癌において微小管会合タンパク
echinoderm microtubule-associated protein-like 4(EML4)と受容体型チロシンキナーゼ anaplastic lymphoma
kinase(ALK)の細胞質内領域が融合した新しい癌化キナーゼである EML4-ALK 融合遺伝子が同定されました。
EML4 遺伝子発現細胞や ALK 遺伝子発現細胞を移植したヌードマウスでは腫瘍が形成されないのに対し、
EML4-ALK 融合遺伝子発現細胞を移植したヌードマウスでは腫瘍が形成されることが報告されています (4),(5)。そ
の後、EML4-ALK を肺胞上皮に発現するトランスジェニックマウスを作成し、生後数週間後には肺に数百個の肺
癌を発症すること、ALK 低分子阻害剤の経口投与により、形成された肺癌が速やかに縮小あるいは消失すること
が報告されています (6)。
EML4 遺伝子と ALK 遺伝子はいずれも 2 番染色体短腕上で、12MB の間隔で近接する位置に存在し、この両遺
伝子を挟む領域の逆位によって融合します。その結果、EML4 のアミノ末端側と ALK の細胞内チロシンキナーゼ
活性を持つ領域とが結合したキメラ遺伝子が形成されます (4)。EML4-ALK 融合では、ALK 側の融合点は exon 20
の先頭でほぼ一定しているのに対し、EML4 側の融合点は多様であり、exon 2、6、13、14、15、17、18、20
が報告されています (7)。
ALK は受容体型チロシンキナーゼであるので、通常、リガンドが結合することにより二量体を形成して活性化
します。EML4 の exon 2 には二量体化に係わる coiled-coil domain が存在しており、EML4-ALK 融合蛋白は、リ
ガンドが結合していない状態でも二量体を形成して活性化すると考えられています (8)。その後、肺癌において
EML4 と同様に coiled-coil domain を有する KIF5B、KLC1 と ALK の融合が報告されています (3),(9),(10)。
EML4 遺伝子、ALK 遺伝子はいずれも正常細胞内に存在していますが、両遺伝子が融合した EML4-ALK 遺伝子
は癌細胞内にしか存在しません。肺癌のほか、乳癌、大腸癌、腎癌で認められることが報告されています (11),(12)。
図 1:EML4-ALK 転座(variant 1)の略図
2 番染色体
長腕
短腕
2p23-p21
EML4
Exon
・ ・ ・ ・ ・ ・ 20 ・ 18 ・ ・ ・ 1413 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 ・ ・ 3 2 1
WD
V2 V9
HELP
V4 V1
V3
CC ∼12Mb
TK
V5
CC
TK: Tyrosine kinase domain
CC: Coild-coil domain
HELP: Hydrophobic EMAP-like protein domain
WD: WD-repeat domain
ALK
Exon
1 2 3 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1920 ・ ・ ・ ・ ・ ・
TK
1 2 3 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1320 21 ・ ・ ・ ・ ・
Exon
EML4-ALK
2番染色体短腕上で 12Mb を隔てた距離に位置する EML4 遺伝子と ALK 遺伝子が、それぞれの切断点で切断されます。切断された両遺伝
子が逆方向になるように回転し、切断された EML4 遺伝子が残っている ALK 遺伝子と結合して EML4-ALK 融合遺伝子を、切断された ALK
遺伝子が残っている EML4 遺伝子と結合して ALK-EML4 遺伝子を形成します。二量体を形成して活性化するのは、二量体化に必要な EML4
の coiled-coil domain と ALK の tyrosine kinase domain を有している EML4-ALK 融合遺伝子になります(図は EML4-ALK 融合遺伝子を示す)。
3
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図 2:非小細胞肺癌における ALK 遺伝子融合の種類
Exon EML4 ALK
EML4-ALK
Exon
TFG-ALK
13
20
6
20
20
20
14
20
18
20
15
20
2
20
17
20
TFG
ALK
3
20
CC
CC
CC
CC
CC
EML4
TK
ALK
EML4 CC
TK
ALK
EML4
TK
ALK
EML4
TK
ALK
EML4
TK
ALK
EML4
TK
ALK
TK
ALK
TK
ALK
TTK K
ALK
TTK K
ALK
TTK K
ALK
TTK K
ALK
TTK K
ALK
EML4 CC
CC
EML4
TFG
CC
Exon KIF5B ALK
KIF5B-ALK 24
20
15
20
17
20
Stalk(cc)
KIF5B
KIF5B
KIF5B
Stalk(cc)
Stalk(cc)
Exon KLC1 ALK
KLC1-ALK
9
KLC1 CC
20
CC:coiled-coil domain
TK :tyrosine kinase domain
参考文献 (3),(7),(9),(10),(43) より
図 3:非小細胞肺癌における EML4-ALK 転座の variant 割合
E17;A20
1%
E2;A20
2%
unknown
19%
E15;A20
2%
E18;A20
2%
E14;A20
3%
E20;A20
9%
E13;A20
33%
E6a/b;A20
29%
E13;A20(variant 1)と E6a/b;A20(variant 3)の頻度が高い。
参考文献 (7) より
4
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4. ALK 陽性肺癌の特徴
ALK 陽性肺癌は非小細胞癌のうち腺癌で多く認められ (11),(13),(14),(15),(16),(17),(18)、EGFR 遺伝子変異や KRAS 遺伝子
変異とは相互排他的であることが報告されています (4),(14),(15),(19),(20),(21),(22),(23)。一方で、腺扁平上皮癌や扁平上皮
癌など腺癌以外で僅かに認められるという報告や (19),(20),(22),(23),(24),(25),(26)、最近では、EGFR 遺伝子変異を伴う症例
が数例で認められたことが報告されています (18),(25),(27)。ALK 陽性肺癌は ALK 陰性肺癌よりも発症年齢が若年者
に多いこと (14),(16),(17),(19),(24),(28)、非喫煙者・軽度喫煙者は重度喫煙者に比べて陽性率が高いことが報告されていま
す (14),(15),(16),(17),(18),(19),(22),(25),(28)。陽性率は 10% を超える報告もありますが、腺癌の概ね 2 ∼ 7% 程度であること
が報告されています。【表2参照】
病理学的特徴として、粘液性篩状構造 mucinous cribriform pattern が高頻度に認められ (12),(14),(16),(21)、印環細
胞の出現率も高いことが報告されています (14),(21)。また、ほとんどの症例で TTF1 免疫染色陽性であることが報
告されています (12),(14),(29)。
予後に関する報告では、ALK 陽性肺癌は ALK 陰性肺癌よりも比較的に予後が良いことが報告されています (22),
(30),(31)。
図 4:ALK 陽性肺癌の H&E 染色例
A
B
C
D
種々の粘液性篩状パターン(mucinous cribriform pattern)
。A, C では印環細胞もみられる。
5
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表 2:ALK 文献統合情報
報告者(文献番号)年 検体起源
症例数(NSCLC) ALK陽性率(NSCLC)
腺癌 非腺癌 腺癌
Soda, et al (4)
07 日本
75
Perner, et al (29)
08 アメリカ
スイス
603
97
Takeuchi, et al (13) 08 日本
253
90
Inamura, et al (14)
09 日本
253
99
Martelli, et al (26)
09 イタリア
スペイン 63
57
Wong, et al (19)
09 中国
209
57
Rodig, et al (28)
358
09 アメリカ
ベルギー
0
Boland, et al (20)
09 アメリカ 185
150
Lin, et al (11)
09 ATCC
57
46
Shaw, et al (22)
09 アメリカ 130
11
Takahashi, et al (15) 10 日本
211
102
Zhang, et al (25)
10 中国
62
40
Sakairi, et al(16) 10 日本
82
27
Shinmura, et al (24) 10 日本
184
118
Camidge, et al (18) 10 アメリカ
61
5
254
0
McLeer-Florin, et al (27) 11 フランス 441
0
Jokoji, et al (21)
Paik, et al (23)
10 日本
11 韓国
Takeuchi, et al (43) 12 日本
450
非腺癌
5
(6.7%)
16
(2.7%)
208
Koivunen, et al (17) 08 韓国
アメリカ
190
1,121 320
検査方法
RT-PCR
FISH/RT-PCR
0
8
IHC/FISH/RT-PCR
(0%)
(3.8%)
0
11
RT-PCR/FISH/IHC
(4.35%) (0%)
0
11
RT-PCR/FISH
(0%)
(4.3%)
6
3
RT-PCR/FISH
(4.8%) (10.5%)
2
11
RT-PCR
(5.3%) (3.5%)
20
N/A FISH
(5.6%)
1
5
IHC/FISH
(2.7%) (0.7%)
0
12
RT-PCR
(21.1%) (0%)
1
18
FISH/IHC
(13.8%) (9.1%)
0
5
RT-PCR
(0%)
(2.4%)
2
10
RT-PCR
(16.1%) (5.0%)
0
7
IHC/FISH/RT-PCR
(0%)
(8.5%)
2
9
IHC/RT-PCR
(4.9%) (1.7%)
0
13
FISH
(21.3%) (0%)
8
N/A IHC/FISH
(3.1%)
29
N/A IHC/FISH
(6.6%)
27
1
FISH/IHC
(6.0%) (0.5%)
44
0
RT-PCR/FISH/IHC
(3.9%)
(0%)
ALK陽性肺癌における情報
年齢
ALK(+) ALK(−)
遺伝子変異
喫煙
EGFR KRAS 非・軽度 重度
0/33
(0%)
0/33
(0%)
N/A
1/69 0/49
(1.4%) (0%)
N/A
0/11
(0%)
N/A
N/A
N/A
N/A
N/A
N/A
4/69
(5.8%)
2/184
(1.1%)
55.9
N/A
61.9
N/A
0/11
(0%)
10/142 1/110
56±11
64±9
(7.0%) (0.9%)
8/101
1/16
N/A
N/A
(6.3%) (7.9%)*1
0/13 0/13 12/141 1/125
64
59
[55-71]
(0%) (0%) (8.5%) (0.8%) [51.5-64.5]
66
51
0/20
14/85 6/243
N/A
[29-90]
(0%)
(16.5%) (2.5%)*1 [29-76]
0/6
0/6
N/A
69.8
69.6
(0%) (0%)
N/A
0/19
(0%)
0/5
(0%)
1/12
(8.3%)
0/7
(0%)
N/A
N/A
5/124 3/187
(4.0%) (1.6%)
N/A
6/119
(5.0%)
1/24
(4.2%)
8/134
(6.0%)
9/220
(4.1%)
N/A
57.3±15.7
N/A
8/93
(8.6%)
4/100
(4.0%)
5/29
(17.2%)
4/27
(14.8)
6/134
64.2±10.4 (4.5%)
53
0/13 13/33
0/22
N/A
[34-75]
(0%) (39.4%) (0%)
2/51
5/84
0/8
61.75±11.41 66.55±9.246
(0%) (3.9%) (6.0%)*1
57
0/29
N/A
N/A
[32-79]
(0%)
0/28 16/275 12/365
N/A
(0%) (5.8%) (3.3%)
59
65
0/44 35/687 9/791
[26-84]
[25-86]
(0%) (5.1%) (1.1%)
5/134
(3.7%)
8/96
(8.3%)
5/132
(3.8%)
11/138
(8.0%)
N/A
52
0/19 19/85
0/56
N/A
[29-76]
(0%) (22.4%) (0%)
0/5
5/93
0/118
70.0±9.7 65.2±10.1
(0%) (5.4%) (0%)
0/12 10/52
2/49
N/A
(0%) (19.2%) (4.1%)*1
1/45
N/A 6/37
65
55.4
(16.2%) (2.2%)
N/A
1/13
(7.7%)
0/8
(0%)
1/29
(3.4%)
0/28
(0%)
0/44
(0%)
性別
女性 男性
11/48
(22.9%)
1/111
(0.9%)
7/74
(9.5%)
3/55
(5.5%)
6/168
(3.6%)
N/A
4/124 4/130
(3.2%) (3.1%)
N/A
14/226
(6.2%)
25/631
(4.0%)
14/414
(3.4%)
19/854
(2.2%)
*1:軽度と重度の区別は不明なので、両方が含まれるものと思われる。
図 5:TTF-1免疫染色
(クローン:SPT24:ニチレイバイオサイエンス)
EML4-ALK 陽性肺腺癌の核に陽性所見を認める。
6
ALK Detection Kit
5. ALK 阻害剤
EML4-ALK を肺胞上皮に発現するトランスジェニックマウスで発症した数百個の肺癌が、ALK 低分子阻害剤の
経口投与により、速やかに縮小あるいは消失することが確認されています (6)。その他、EML4-ALK 融合遺伝子を
発現した培養細胞を用いて作製された xenograft マウスモデルでも ALK 阻害剤 (PF-02341066、TAE684) の有効
性が報告されています (32)。
PF-02341066 (crizotinib) は MET/ALK の経口阻害剤で選択的に ATP を競合阻害します。2009 年の ASCO( 米国
臨床腫瘍学会 ) で、その後、2010 年に論文として報告された臨床試験によれば、FISH (split assay) 法で ALK 融
合遺伝子陽性と判定された ALK 陽性進行非小細胞肺癌患者 82 例において、crizotinib を投与した結果、部分奏
効は 46 例、完全奏効は 1 例と奏効率は 57.3% でした (33)。Crizotinib は非小細胞肺癌治療薬として米食品医薬品
局(FDA)により、2011 年 8 月 26 日に承認され、日本においても、2012 年 3月 30日付で承認されました。
図 6:crizotinib 投与患者における腫瘍サイズの変化率
: Progression disease (PD)
腫瘍サイズの最大変化率
60
: Stable disease (SD)
: Partial response (PR)
40
: Complete response (CR)
20
0
-20
-30%
-40
-60
(%)-80
-100
10
20
30
40
50
60
70
79
患者番号
参考文献 (33) より
6. ALK 阻害剤耐性
Crizotinib 耐性となった症例の EML4-ALK cDNA を解析することにより、1,156 番目のシステイン (C) がチロシ
ン (Y) へ【C1156Y】、1,196 番目のロイシン (L) がメチオニン (M) に【L1196M】置換されている 2 種類の変異が
認められました (34)。これらの二次変異により、crizotinib が ATP-binding pocket に結合できなくなると考えら
れています。C1156 部位の変異は他の癌種におけるチロシンキナーゼで認められたとの報告はありませんが、
L1196 部位は ABL が imatinib 耐性になる変異部位 T315I や、EGFR が gefitinib 耐性になる変異部位 T790M と同
じであり (34)、この ATP-binding pocket の底に位置する gatekeeper 部位は多くのチロシンキナーゼの耐性に関
与する変異部位であると考えられます (35)。その後、F1174L 変異 (36) や L1152R 変異 (37) が報告されています。
当初 crizotinib が奏効した癌でも、通常 1 年以内に耐性を獲得します (38)。L1196M の二次変異を獲得した
crizotinib 耐性癌に対して、低分子 ALK 阻害剤の AP26113、CH5424802、X-396 や Hsp90 阻害剤が有効である
ことが培養細胞や xenograft マウスモデルでの検討で報告されており (36),(37),(39),(40),(41)、現在、臨床試験が行われ
ています (38)。
7
ALK Detection Kit
7. ALK 肺癌検査方法
①RT-PCR
(reverse transcription-polymerase chain reaction)
法
RT-PCR 法は、組織試料は勿論、喀痰、胸水、肺胞洗浄液などの少量の検体から検査が可能であるという利点
がありますが、ホルマリン固定により核酸の変性が進むので、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体で
は検査が困難である場合が多いようです。新鮮あるいは凍結保存検体を使用することが望まれます。
ALK の exon20 と融合する EML4 内の exon は多岐にわたるので、プライマー設定に工夫が必要であり
EML4-ALK の正確な分子診断のためには、どの exon で ALK に融合しても検出することができる multiplex
RT-PCR 法を使用しなければなりません。また、いうまでもなく EML4-ALK に対する multiplex RT-PCR では他
の ALK 融合遺伝子は検出できず、たとえば KIF5B-ALK も同時に検出するためには KIF5B 用のプライマーを加え
た系を用いる必要があります (9)。
②FISH 法
FFPE 標本で検査が可能です。FISH 法は融合遺伝子の検索方法として有効であり、大きく fusion assay と
split assay に分けられます。Fusion assay は、融合する 2 つの遺伝子をそれぞれ別の色で光らせて、その蛍光
が重なった場合に融合遺伝子の存在が示唆されます。Split assay では、主体となる遺伝子 (ALK 融合遺伝子の場
合は ALK) の 5 側と 3 側をそれぞれ別の色で光らせます。正常の遺伝子では 2 つの蛍光がほぼ重なって認め
られますが、転座によりその遺伝子が切断され離れると、それらの色が分かれて認められます。ALK のように
融合する遺伝子が複数ある場合には、スクリーニング法としては split assay が適当と考えられ、パートナー遺
伝子に関わらず陽性となります。
EML4-ALK 融合遺伝子のように、それぞれの遺伝子が元々近傍に座位している融合遺伝子の検索では、判定
が困難になるケースが考えられます。EML4 遺伝子と ALK 遺伝子はいずれも 2 番染色体短腕上で 12MB しか離
れていません。Fusion assay では、EML4 遺伝子と ALK 遺伝子が融合していなくてもシグナルが重なって見え
ることが多いようです。Split assay でも、5 側と 3 側のシグナルがとても近傍にあることにより、本当に離
れているかどうかを判断することが困難であるケースが多いようです。それらの結果、偽陽性や偽陰性を招く
可能性が懸念されます (42)。
③免疫染色法
ヒトの正常組織において、免疫染色で検出可能な量の ALK 蛋白を発現している組織は殆どないので ( 神経系
組織のごく一部に発現 )、抗 ALK 抗体による免疫染色で神経系以外の細胞で陽性所見が認められれば、その時
点で異常細胞であることが示唆されます。
抗 ALK 抗体による免疫染色はリンパ腫の組織型を区別する際に、
ALCL のマーカーとして用いられてきました。
SAB 法やポリマー法など、これまでのルーチン検査で使用されている染色方法で染色することが可能です。し
かしながら、同様の染色方法では肺癌の EML4-ALK 融合遺伝子陽性例の ALK 蛋白は検出ができないことが報告
されています (26)。
そこで、非特異的な反応が起こらずに適度な感度の上昇を実現できる増感法として、intercalated
antibody-enhanced polymer(iAEP) 法が考案されました。iAEP 法のポイントは、第一抗体とポリマー試薬の間
に介在抗体を入れることにより、染色感度を上げることが可能になることです (9),(42)。一般的に使用されてい
る抗 ALK 抗体 3 種(Clone:ALK1、5A4、SP8)を iAEP 法による染色で比較検討したところ、ALK1 は低度で
はあるがバックグラウンド染色が認められ、SP8 は検討した EML4-ALK 陰性例の殆どで染色所見が認められた
ことが報告されています (9)。本検討では 5A4 が、もっとも iAEP 法に適していると報告されています。
【iAEP 法による免疫組織染色】
肺腺癌における iAEP 法による免疫染色は、RT-PCR 法と FISH 法の結果と完全一致することが報告されていま
す (43)。2010 年に報告された crizotinib の臨床試験では、FISH(split assay) 法で ALK 融合遺伝子陽性と判定され
た肺非小細胞癌 82 例において、奏効率は 57.3% でしたが、FISH 法に加えて免疫染色法あるいは RT-PCR 法が
実施されて陽性と判定された 27 例に限定すると、奏効したのは 22 例で奏効率は 81.5% でした (44)。
最近の報告では、FISH 法による遺伝子検査に先行して免疫染色法によるスクリーニングを行う方が、汎用性、
検査時間の短縮やコストの削減等の面から ALK 陽性肺癌の検査方法として推奨されることが述べられています
(21),(23),(27),(45)。
一方、感度を上げたことにより、大細胞神経内分泌癌、小細胞癌などの神経内分泌系への分化傾向を示す癌
で、ごく稀に微量発現する全長 ALK を検出する可能性が指摘されています (43)。
8
ALK Detection Kit
8. ヒストファイン ALK 検出キット
ヒストファイン ALK 検出キットには、用手法用と専用の
自動免疫組織化学染色機器を用いるヒストステイナー用が
あります。用手法用は 20 テスト、ヒストステイナー用は
40 テスト包装のみ供給されており、双方とも、キットの有
効期間は製造後 1 年 6 ヶ月です。また、別途コントロール
スライドも入手可能です。
具体的な染色手順を次ページより「9. 操作手順」に示しま
す。染色手順においては、推奨プロトコルを忠実に遵守す
ることが重要です。指定以外の試薬を用いたり、定められ
た条件から逸脱して染色を行った場合には、結果の保証が
困難になります。染色に際しては、常に陽性および陰性の
コントロールを置くことが望まれます。施設において融合
用手法用キット(20 テスト)Code: 417071
遺伝子産物である ALK タンパクの発現の基準となる検体対
照スライドが確定するまでは、別売のコントロールスライドを利用することを推奨します。
○ALK 検出キット
Code
構成試薬
417071
成 分
717071
包 装
①
ブロッキング試薬
3V/V%過酸化水素水
②
第一抗体
抗ALKモノクローナル抗体(5A4)
(動物種:マウス)
③
陰性コントロール
マウスIgG
④
ブリッジ試薬
⑤
ペルオキシダーゼ標識エンパワー試薬
⑥-1 発色基質
用手法
ヒストステイナー用
(20テスト) (40テスト)
3,3 -ジアミノベンジジン・4HCl
⑥-2 基質緩衝液
⑥-3 発色試薬
0.6V/V%過酸化水素水
⑦-1 ALK抗原賦活化液 A液
⑦-2 ALK抗原賦活化液 B液
○ALK コントロールスライド
成 分
ホルマリン固定パラフィン包埋細胞株 2種類を貼付したスライド
・陽性コントロール細胞株 / NCI-H2228 (ALKタンパク発現:陽性)
・陰性コントロール細胞株 / SK-BR-3 (ALKタンパク発現:陰性) スライド
包 装
Code
5スライド
417081
○ヒストステイナーのラインナップ
ヒストステイナー 36A
ヒストステイナー 48A
注:上記写真は本体のみであり、パソコン、プリンタ等は省略しています。
9
ALK Detection Kit
9. 操作手順
* 各ステップでの反応温度、反応時間は厳密に行うこと。
* 特に温度指定のない場合は、常温 (15 ∼ 25℃) で操作すること。
* 染色結果に影響を及ぼす為、必ず下記の操作手順に従って操作を行うこと。
50℃で十分に湯伸ばしした
切片(4Ǵm厚)
をシランなど
のコーティングスライド参考1
上に貼り付ける。
切片を恒温器で十分乾燥させる。
(37℃、24時間)
研究用試薬「PBS Code:415223」
を使用することを推奨する。
PBS 28.65gを精製水で3L
精製水 (9.55g/L)にメスアップする。
3L
PBS
28.65g
1回洗浄で140mL使用した場合、全工程で約2.5L必要。
PBS(洗浄用)
ū᳀᳋᳊৸Ӂណ෋҇෭ƸᛪᙐȸๅͶ
⑦-1
ALK抗原賦活化液 A液
注:高温に気をつけ、軍手等用いる。
⑦-2
ALK抗原賦活化液 B液
注:
・95-99℃に温める為にはドーゼ及び
温浴槽にふたをすることが効果的で
ある参考2。
・ふたは過剰な水分蒸発防止にも役
立つが、完全に密閉するとドーゼ及
び温浴槽を破損することがあるので
ゆるくふたをすること。
温度計
精製水
A液:B液:精製水=1:1:8 になるように
必要量をそれぞれはかり、希釈する。
調製したALK抗原賦活化液を抗原賦活
化用染色ドーゼに入れ、ふたをする。
さらにふたをした温浴槽中にて抗原
賦活化液を95-99℃に温める。
ūᏲȒȪȖǤȴ
キシレン
3分間
キシレン
3分間
キシレン
3分間
100%エタノール
3分間
100%エタノール
3分間
95%エタノール
3分間
95%エタノール
3分間
PBS
(3分間、3回)
*各ステップごとによく液を切る。
*脱パラフィンを完全にするために、各溶液はスライド40枚ごとに取り換えることが好ましい。
注:高温に気をつけ、軍手等用いる。
染色結果に大きな影響を及ぼす為、温度確認、時間等を正確に行う。
温度計
95-99℃に温めたALK抗原賦活化液に
スライドを浸漬させ、ゆるくふたをする。
さらに抗原賦活化液の温度を高温に
保つ為に温浴槽にゆるくふたをする。
注:
・95-99℃を保つ為にはドーゼ及び温浴槽に
ふたをすることが効果的である。
・ふたは過剰な水分蒸発防止にも役立つが、
完全に密閉するとドーゼ及び温浴槽を破損
することがあるのでゆるくふたをすること。
抗原賦活化液の温度が95-99℃
まで上昇したことを温度計等で
確認してからインキュベートする。
(95-99℃、40分間)
抗原賦活化用染色ドーゼを温浴槽から
取り出し、ふたをはずす。 スライドを
浸したまま放置しゆっくり熱を冷ます。
(常温、20分間)
PBSで洗浄する。
(常温、3分間、3回)
10
ALK Detection Kit
操 作 手 順( 用 手 法 )
ūȗȮȄǮȴDZᛂᕨƵǒǕϿྼ3V/V%ᢉᣤ҇൪ኩ൪ƵǒǕώ‫ࣴ׉‬țȬǫǮǸȁȹǽϿྼ
①ブロッキング試薬
ティッシュ
切片の周囲の余分
な水分を拭き取る。
切片が完全に覆われるように、①ブロッキング試薬を
滴下し、湿潤箱中で反応させる。
(常温、5分間)
PBSで洗浄する。
(常温、3分間、3回)
ūᇽɡ৸˵>৸ALKȣȏǰȮȹȋȬ৸˵5A4ѦཏᆘᲹȟǧǺ@LjƩƹᨓࣴǴȴȉȮȹȬ᳚ȟǧǺIgG᳜Ƹฎяȸӕࣙ
②第一抗体
または
③陰性コントロール
ティッシュ
切片が完全に覆われるように、②第一抗体または
③陰性コントロールを滴下し、湿潤箱中で反応
させる。
(常温、30分間)
切片の周囲の余分
な水分を拭き取る。
PBSで洗浄する。
(常温、3分間、3回)
ūȗȫȄǹᛂᕨƸฎяȸӕࣙ
④ブリッジ試薬
ティッシュ
切片の周囲の余分
な水分を拭き取る。
切片が完全に覆われるように、④ブリッジ試薬を
滴下し、湿潤箱中で反応させる。
(常温、15分間)
PBSで洗浄する。
(常温、3分間、3回)
ūțȬǫǮǸȁȹǽ೉ᜨǩȴȒȰȹᛂᕨƸฎяȸӕࣙ
⑤ペルオキシダーゼ標識
エンパワー試薬
ティッシュ
切片の周囲の余分
な水分を拭き取る。
⑥-1発色基質
切片が完全に覆われるように、⑤ペルオキシダーゼ
標識エンパワー試薬を滴下し、湿潤箱中で反応させる。
(常温、30分間)
⑥-2基質緩衝液
⑥-3発色試薬
PBSで洗浄する。
(常温、3分間、3回)
基質溶液
ティッシュ
調製
基質溶液
精製水1mLに⑥-1発色基質1滴と、⑥-2基質
緩衝液1滴を加えよく混合する。
⑥-3発色試薬
1滴を加え再び混合する。
(調製後30分以内に
使用することを推奨する。)
切片の周囲の余分
な水分を拭き取る。
切片が完全に覆われるように、調製
した基質溶液を滴下し、湿潤箱中で
反応させる。
(常温、10分間)
精製水で洗浄する。
対比染色試薬(ヘマトキシリン)にスライドを浸した後、流水洗する。
脱水、キシレンによる透徹後、非水溶性封入剤で封入する。
<参考2>
11
参考1:シランコートスライドグラス
参考2:温浴槽(右イラスト)
・メ ー カ ー:マツナミ ・メーカー:Fisher Scientific社
・品 名:MASコートスライドグラス
・品 名:FISHER ISOTEMP WATER BATH
・商品コード:SO94410∼SO94480
・型 番:15-462-5(内容量 5L)
ALK Detection Kit
10. 染色判定
○陽性例
● 染色強度が強い例
[症例 1]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 2]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 3]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 4]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
12
ALK Detection Kit
○陽性例
● 染色強度が強い例
[症例 5]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 6]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 7]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 8]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(KIF5B-ALK)
×100
13
×400
ALK Detection Kit
○陽性例
● 染色強度が弱い例
[症例 9]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 10]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 11]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 12]腺癌 FISH 法(+),RT-PCR 法
(EML4-ALK)
×100
×400
14
ALK Detection Kit
○陽性例
● 染色強度が弱い例
[症例 13]腺癌 FISH 法
(+)
, RT-PCR 法(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 14]腺癌 FISH 法
(+)
, RT-PCR 法(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 15]腺癌 FISH 法
(+)
, RT-PCR 法(EML4-ALK)
×100
×400
[症例 16]腺癌 FISH 法
(+)
, RT-PCR 法(KIF5B-ALK)
×100
15
×400
ALK Detection Kit
○陰性例
[症例 17]腺癌 FISH 法(−),RT-PCR 法(−) [症例 18]扁平上皮癌 FISH 法
(−)
×100
×100
○ 全長 ALK 陽性例
[症例 19]大細胞神経内分泌癌 FISH 法(−),RT-PCR 法
(−)
×100
×400
[症例 20]扁平上皮癌 神経内分泌系への分化が認められる。 FISH 法(−)
×100
×400
全長 ALK
ヒトの正常組織では ALK の発現レベルは低いので免疫染色法で検出されることはあり
ませんが、ごく稀に全長 ALK を発現する肺癌例が認められています。これら症例では
ALK 融合遺伝子が陰性ですが、抗 ALK 免疫染色で陽性所見が認められます。全長 ALK 蛋
白を発現する腫瘍としては、肺癌領域では大細胞神経内分泌癌、小細胞癌等神経内分泌
系への分化傾向のある癌が挙がります。その他の領域では、横紋筋肉腫(特に胞巣型)
等が挙げられます。また、肺大細胞神経内分泌癌では ALK 融合遺伝子陽性例も確認され
ていますので、これらの症例では RT-PCR 法や FISH 法等による ALK 融合遺伝子の確認を
実施することが望まれます。
16
ALK Detection Kit
11. 発色があっても陽性判定とはできない例
[症例 21]肺胞マクロファージ 検出系による非特異反応
×100
×400
[症例 22]形質細胞 検出系による非特異反応
×100
×400
12. 最後に
近年、肺癌、特に腺癌における分子標的の発見が相次いでいます。その多くはキナーゼの異常であり、阻害剤
を用いた治療が有効である可能性が高く注目を集めています。これにともない、患者それぞれに適した個別化医
療が更に推進されていくでしょう。肺癌における分子標的治療の本格化を迎えるにあたり、その標的を正しく同
定する方法として、病理組織を用いた検索法は今後ますますその重要性を増していくものと思われます。
17
ALK Detection Kit
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2013.03
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