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7主入同期された半導体レーザー光の BaTi。gによるビーム結合

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7主入同期された半導体レーザー光の BaTi。gによるビーム結合
334
研
45巻 5号
(1993.5)
生 産 研
究
特 集
究
││IIIIllllllllllllllllll
4
注入同期 された半導体 レーザ ー光 の BaTi03に よるビーム結合
Beam Coupling of Two lnJection Locked Laser Diodes in BaTi03
志
村
努
*・
田 村
雅
之
*。
田 和
黒
*
男
TsutOmu SHIMURA,Masayuki TA1/1URA and Kazuo KURODA
1.は
じ め
に
二光波混合 はフォトリフラクティブ結晶中に作 られた
干渉縞 とそれによ り書 き込 まれたホログラフイックな屈
折率格子 を介 して 2本 の ビームが結合する現象である.
一般 にフォ トリフラクテ ィブ
結晶では干渉縞 と屈折率格
の
に
子 間 位相ずれが生 じ,一 方 のビーム (ポンプ光)の
パ ワーが回折 によりもう一方 (シグナル光)に 乗 り移 り
ビームの増幅が起 こる1).増 幅率 は位相ずれが 〃 2の と
き最大 となる。 これ を用 い て画像 の増幅2),ビ _ム 整
3)などの応用が
形
報告 されてい る。
二光波混合ではその原理か ら結合 させ る二光波 は互い
にコヒー レン トでなければならない。通常 の増幅実験 で
は単一 の レーザ ーの出力光 を 2つ の分 けてシグナル光 と
ポ ンプ光 としてい るが,こ の場合増幅 された光の最終パ
ワーは光源 のパ ワーを越 えられず,実 質的な光増幅 とは
言 えない。そこで注入同期 によ リコヒー レン トに発振 じ
た複数の半導体 レーザ ーによる二光波混合が提案 されて
い る4).本 方式 によ り多数 の注入同期 された レーザ ーを
用 いてカスケー ドに増幅 を繰 り返せば,最 終出力 の限界
は一個 の光源パ ワーには制限されず,結 晶の破壊強度 ま
で表 され る5).こ こで,gOは レーザ ーの小信号利得 ,
τ′は レーザ ー共振器 の光子寿命, I Lι 12は飽和強度
である.島 屁′はそれぞれ共振器内の光 と,外 部か ら
注入 される光の電場で,
―② ′
十% } ] ,
(ω
鳥= 屁 e x p [(′
′
グ= ″ ″
(2)
と表 され る。Ω は共振器 の 共振 周 波 数 で あ る.こ こで
注入光 と共振 器 内 の光 の位相差
―
Ψ =(ω ′一 ω′
2)′+(ψ ′ ψ′
″)
13)
で定義す る と,式 (1)の
虚部 か ら
+―
光
が
n Ψt t Ω % 2 0
が得 られ, Ψ は
一
%│
ち 判Ω
の とき定常解 を持ち,
で上 げる ことがで きる.わ れわれは縦および横 ともに単
一モ ー ドの半導体 レーザ ーを 2台 用 い
,ポ ンプ波 とシグ
ナル波 の配置 を最適化することにより,高 効率 のビーム
の結合 を行 なった。 また単 一 の光源による二光波混合 の
となる.式 (6)はレーザ ーカツ主入光 と同一周波数で一定 の
結果 と本実験 の結果 について比較 を行 ったので これにつ
いて報告す る.
位相 関係 を保ちなが ら注入光に対 して可干渉 に発振する
ことを示 してい る.こ れが注入同期発振である.式 (5)か
(6)
ら発振光に対 して注入光の電場が大 きいほど許容 される
2.半 導体 レーザ ーの注入同期
注入光 と共振器 の共振周波数 の差が大 きくなることがわ
半導体 レーザ ーの注入同期動作 は外部か らの注入光の
1の方程式,
項 を含 む Van der P。
―
=←―
IJ卜
寺 ザ寡 )÷+Jli
*東
京大学生産技術研究所 第 1部
=ψ ヵ十Ψ′
υ′
(1)
かる。
3.実
験
配 置
実験配置を図 1 に示す。親 レーザー ( m a s t e r l a s e →
からの光を5 0 % ビームスプリッターで取 り出し, さ らに
もう一つの5 0 % ビームスプリッターにより子 レーザー
│││││││││││││││││││││││lllllIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
26
45巻 5号
生
(1993.5)
産
研
究
│ │ │ │ I I I I I I I I I I I I I I I究 I l l速
l l l 報l l l 研
ー
スペ ク トラムアナライザ
(アン リツ,MS9001Bl)で
発振波長 を測定 し,読 み取 りの 限界 で ある±0.002 nm
以下の精度で波長 を一致 させ,さ らに駆動電流 の微調 に
より注入同期 を行 った.注 入同期動作 は結晶の位置 に半
透鏡 を置 き,干 渉縞 を観察することによ り確認 した。一
度注入同期がかかると, 2時 間以上その状態を維持で き
ることを確認 した.
結晶中での ビームの配置 を図 2に 示す.使 用 した結晶
の大 きさは 5×5×7mmで ある.こ こに示す 5通 りの配
置 で BaTi03に よる二光波混合 を試みた.こ の うち(a)ぉ
図 1 実 験配置
注入 した。子 レーザ ーか らの出力光が
(slave laser)に
親 レーザ ー に入 らない よ うアイ ソ レー ター (30dB)を
用 いた.二 光波混合 に関 しては,親 。子 レーザ ーか らの
光 をそれぞれポ ンプ光,プ ローブ光 とした。干渉縞の可
視度 を最大にするために,親 レーザ ーか ら直接結晶に至
よOC),(e)の配置 で は beam funningが
大 きく,そ ち ら
にポンプ波のパ ワー を奪われて しまい,効 率の よいビー
ム結合 は実現 しなか った.そ こでわれわれは図 2(b)と
(d)
の配置について測定 を行 った。 さらにポ ンプ光 の直径 を
シグナル光 の約 1/2と し,結 晶内でポンプ光がシグナル
光 の幅の中に収 まるような配置 をとり,パ ワーが移行す
る領域 を長 くし,結 合効率 の向上 をはかった。
4.結
果
る光路 と,親 レーザ ーか ら2つ の ビームスプリッターを
経由 し子 レ‐ザ ーに入 って再び出射 し結晶 に至 る光路の
ー
光路長 を一致 させた。結晶を通過後 の ビームのパ ワ は
ー
ー
ー
パ
光 ワ メ タ により測定 した.
半導体 レーザ ーには Sharp tt LT024MF,発 振波長約
785nm,最 大出力30mW,を 使用 した。 2つ の レーザ ー
の発振波長 の差 を注入同期 の起 こる範囲 まで近づ けるた
ポ ンプ光,シ グナル光の結晶へ の入カパ ワー をそれぞ
一
れ,鳥 ″
,島 η
,初 期状態 として 方 の ビームのみ を入射
させた ときの出力 をそれぞれ 鳥″
ι(0),現″(0)とす る。
ー
ム
2本 のビ
を同時に入射 させ ると回析格子の書 き込み
が始 まり,二 光波混合 によるポ ンプ波か らシグナル波ヘ
のパ ワーの移動がお こる.510分 程度 で定常状態 に達 し,
め,温 度 と駆動電流 を定安化 した。定安度 は温度が 士
0.003°
C ,電 流が ±0.01 mAで あ り,そ れぞれ発振光 の
その時の出力 を 鳥″(∞),&“ ′(∞)とす る.こ の ときポ
ンプ光か らシグナル光へ のパ ワー移行率 εを,
周波数 に換算 して±100 MHz, ±35 MHzで あ った。光
鳥″(∞)一鳥″(0)
ε= 鳥
“
′(0)
で定義す る.各 配置での結果 を表 1に 示す.い ずれの場
合 もシグナル光,ポ ンプ光の入射角 はそれぞれ 20°と
一
42°
,入 カ パ ワー は ,2=6.2mW,鳥
η=6.5mWで
比べ(b)と
定 とした。明 らかに(a)に
い)の配置で よい結果が
ー
パ
の
ワ 移行率 ε=0.72カン早られ
得 られ,特 に(d)で
最高
た。最高の出カパ ワー は10.3mWで あ り入カパ ワー を
上回ってお り,実 質的な増幅が実現 してい る。本実験で
は結晶の表裏面 でのフレネル反射 の防止 を行 ってい ない
ため,反 射防止 コーテ ィングを施すことによりさらに出
カパ ワーが向上することが期待 で きる。
表 1 2光 波混合の配置とシグナル光出力およびパワー移行率
出
力 ぃ動
467
2
7
838
ヮー移行率 :c(%)
″
751
パ
6
る
0
シグナル光, ポ ンプ光 の結晶内での配置. 結 晶軸 の正の
一
方向 により近 い角度 の ビームが もう 方 により増幅 され
0
図 2
0
配置
45巻 5号 0993.5)
。
饉一
3きこ
究 ω■S︶1 む5一
一
鼈 bちc
研
速
生 産 研
究
報
が72%に 下がって しまう原因は,干 渉縞 の不安定性 にあ
る と考 え られ る.式 (4)からわか るよ うに Ψり ま子 レー
ザ ーの共振周波数 と親 レーザ ーか らの注入光の周波数差
の関数であるか ら,こ の周波数差 の揺 らぎが結晶内に作
られた干渉縞の揺 らぎを引 き起 こし,書 き込 まれる回析
格子 のモジュレーシ ョンを低下 させ ることにな り,そ の
結果二光波混合 の結合定数力刊ヽさくな り,パ ワー移行率
が低下する結果 になった と考 えられる.
10
20
30
40
5。ま
50
beam crossing angle(degree)
と
め
注入同期 によ り互 いにコヒー レン トに発振 させ た 2台
の半導体 レーザ ーの ビームの フォ トリフラクテイブニ光
(b)12
,コ
︵
oco場一
5
0
〓E︶一
波混合 による結合 を行 った.二 光波混合 の配置 を最適化
することによ り高効率で のパ ワーの移行が実現 された。
さらにパ ワー移行率 を向上 させ るためには, 2台 の レー
10
ザ ー間の位相関係 を一定 に保 ち,結 晶内の干渉縞 を安定
化 させ るようなフィー ドバ ック制御 を施す必要があると
考 えられる。今後 は大パ ワーの レーザ ーの使用 と,増 幅
段数 を増やす ことによ り,最 終パ ワーの増加 をめざす予
定である。
(1993年2月 25日受理)
0
10
20
30
40
50
参 考
beam crossing angle(degree)
図 3 エ ネルギー移行率 と増幅後のシグナル光のパ ワーの
ビーム交差角依存性.
文
献
1 ) P Gllnter and J P Huignard eds, ``Photoreflactive
Verlag,
Materials and their applications I'',(Springer―
Berlin,1988)
増幅されたシグナル光 の出力 とパ ワー移行率 の ビーム
交差角依存性 を図 3に 示す。シグナル光 の入射角 を20°
Coherent cw image
F Laeri,T Tschudi and J Albers,“
に固定 しポ ンプ光 とシグナル光 の結 晶外 での交差角 を
A E T Chiouand P Yeh,``Beam cleanup using photO‐
20°か ら40°まで変化 させ て測定 を行 った。交差角の変
化 に対 してパ ワー移行率 はなだ らかに変化 し,20°付近
に ピークを持つ ことがわか った。
refractive two_wave mixing",Opt Lett",vo1 10〈
比較 のために単 一の レーザ ーか らの ビームを 2本 に分
けてポ ンプ光,シ グナル光 とした場合 のパ ワー移行率 を
測定 した結果,パ ワー移行率 は95%以 上の結果が得 られ
た。注入同期 された 2台 の レーザ ー を用 いた場合にこれ
ampliner and oscillatOr using two_wave interaction in a
BaTi03 Crystal",Opics Comm vo1 47(1983)387
1985)
621
P Huignard,
J M Verdiell,H Rajbenbach,and」
“
limited beam coupling of semicon‐
Eflcient difflaction―
ductor
iaser
diode
arrays
using
photorefractive
BaTi03'',IEEE Photon Tech Lett,vo1 2(1990)568
ー ー"(培 風館 ,
伊藤 良 一 ,中 村 道治 編 ,“半導体 レ ザ
1989)196.
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