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I = P/A - 広島大学 産学官連携推進研究協力会
「レーザ高度応用研究会」説明会 レーザ技術の動向と 応用例について H26年8月7日 広島大学 産学・地域連携センター 真鍋 幸男 1.本研究会の狙い • 自動車の軽量化のため用途が拡大しつつある樹脂製品の加工プロ セス革新や,橋梁・大型構造物などの社会インフラ設備の環境に優し いメンテナンス技術革新を目指して,レーザ加工技術の高度応用を 図る研究会です。 • これまでの金属のレーザ溶接やレーザクリーニング研究会技術を シーズとし,種々の加工・メンテナンス用途に適した選択的吸収機能 を有する最新の各種レーザ光源(Tmフアイバーレーザ,YAGレーザ, パルスCO2レーザ等)を活用します。 • 具体的には,樹脂射出成型金型・プレス金型の非接触クリーニングや 従来困難な透明樹脂間の溶接,また金属・コンクリート表面の塗膜・ 錆・汚れ等の非接触除去などの多様な表面加工分野への実用化を 目指します。 1.レーザクリーニングの特徴 ・水,薬品,ブラスト材を使用しない → 低公害,環境保全性に優れる,消耗品レス ・インライン(オン-マシン)クリーニングが可能 ・パラメータ適正化により金属母材へダメージを与えない ・飛散物,2次廃棄物がない 2.想定される用途例 ・射出成型・ゴム・鋳造品などの金型,センサ等の 非接触クリーニング ・塗膜の精密剥離 (航空機,自動車部品,大型タンク,橋梁,建築物) ・溶接前後処理(酸化膜,油分・錆除去,着色部除去) ・精密検査,メンテナンス前の酸化膜除去(発電設備) ・医療分野(レーザメス,手術器具) クリーニング,樹脂溶接用レーザの種類と特徴 種類 固体 レーザ 半導体 レーザ 波長 (μm) 発振 形式 出力 特徴と応用分野 Nd-YAG 1.06 P CW P:500W(100kW) CW:10kw ・フアイバ伝送 ・金属溶接,切断,クリーニング Yb フアイ バーレーザ 0.975 P CW P : 500W(80kW) CW: ~50kW ・フアイバ伝送,高密度 ・金属溶接,切断,微細加工 Tmフアイ バーレーザ 1.9~2.05 P CW P:10W(10kW) CW: 120W ・フアイバ伝送,開発途上 ・水、樹脂に吸収率大 ・通信,樹脂溶接,医療 GaAs InGaAsP 0.66~0.94 P CW CW:~6kW ・低密度,透明樹脂と着色樹 脂間の溶接等 10.6 P 250~1500W (4000kW,100Hz) パルス幅2μs程度 ・高ピーク,短パルス ・樹脂に吸収率大 ・フアイバ伝送不可,大型設備 10.6 P CW P:平均出力の3倍 ・フアイバ伝送不可だが,最近 CW:~50kW TEA-CO2 気体 レーザ CO2 ・樹脂に吸収率大 はロボット搭載可能な小型化 レーザ光の波長と吸収特性(全般) 金属および非金属の吸収率の波長に対する傾向を以下に示す。 これは一般的傾向であり,個々の物質により値は大幅に異なる。 引用:http://www.fintech.co.jp/hikaributuri.htm#1 水の近赤外線吸収特性 http://www.enseki.or.jp/tokusei.php 波長(μm)または波数(cm-1)〔波数=10,000/波 長 で単位長さ(1cm)当たりの振動数として表す〕 別文献では8~14μm 波長で概略吸収率= 0.95(0.1㎜以上にて) http://www.fintech.co.jp/etcdata/housharitsu.htm http://www.heattech.biz/technology/far-infraredscience/1181.html 引用: http://www.beatsensing.com/page5.html PMMA(アクリル樹脂)の波長透過率 (住友化学スミペックスデータシートより) 光の波長と金属の吸収率 金属基材をできるだけ損傷せず,汚れのみを効率よく加熱・除去するには長波長 が有利。 同一波長でも,金属により吸収率は変化 http://www-it.jwes.or.jp/qa/details.jsp?pg_no=0070060060 レーザクリーニングの考え方 エ ネ ル ギ ー 密 度 cm ( W / Δf=0 Δf=a 基材が損傷を受けるレベル パルス照射,ガウシンアン分布 (焦点はずしΔf=a) 従来加工機を転用 パルス照射 フラット分布 クリーニング用レーザ ) 2 通常加工用レーザ ガウシアン分布 (焦点位置) 汚れが蒸発・分解する レベル r=0 ビーム径方向位置 r(㎜) 既存レーザ溶接装置を活用したクリーニング実験・実用化 (H24 技術指導例) 予備実験状況 サニタリー仕様の食品加工装置 へ実用化 バリ取り時や組立途中の擦り傷 防止のためフイルム貼り付け 100μm厚 フイルム付き SUS板 1kW パルスYAG溶接装置 レーザクリーニング部 (除去幅:8㎜) (加工条件) 平均出力=1kW,パルス値=20kW,パルス時間1m s,42Hz,焦点はずし量Δf=20㎜,加工速度=4.8m/分 取っ手等の部品 接合に支障 <従来> フイルム除去 →部分切取り →再貼付け →溶接 <改善法> 30φ範囲を レーザで部分 除去 →溶接 70 10 kHz 30 kHz 60 power [kW] 50 40 30 20 High intensity and low depth of sharpness 10 0 0 100 200 300 400 time [µs] High depth of sharpness and reduced intensity スポット径D=4λf/πw0 (m) λ:波長,w0:レンズに入射するビーム径 I = P/A パワー密度Pd=P/πD2=AP/f 2 (W/m2) P:レーザパワー(W) 焦点位置ずれ量とビーム分布形態の関係 -2mm +2mm -4mm +4mm 12 海外での実用例 SAMAC社資料より クリーニング 現象動画 ②複雑金型の半自動清掃 ダメージレス,高速化 ①航空機の塗膜精密除去 (浸透探傷検査前処理) ③ タイヤ金型のレーザクリーニング (狭隘箇所の清掃…半自動,ロボット施工) 海外での実用例 ④ SAMAC社資料より AUDI社: 車体の溶接前クリーニング 油分,酸化膜除去による溶接品質の向上,安定化 ⑥CFRPの接着・塗装前処理 (表面樹脂除去,活性化) ⑦ クリーニング有 クリーニング無 ●溶接結果例 SPH母材の赤錆を局所的に除去 (0.84m2/Hrの処理能力) 海外での実用例 SAMAC社資料より ⑨金型のインラインクリーニング ⑧ガラスコーテイングの除去 ⑩塗膜の局部除去 ⑪ビル,美術 品の清掃 4.これまでの取組 (平成24年度レーザ表面処理・ 清浄化技術研究会での実験成果例) (1)参加機関:県内企業8社,広島大学,広島県総合研究所,ATACひろしま (2)使用設備:clean Laser社のバックパック型コンパクトレーザ(平均出力20W) (a) 全体外観 (b)実験状況 (c) レーザヘッド外観 (3) ゴム金型のクリーニング結果 付着カスをコーナまで良好に除去 レーザ光 (3)樹脂製品の射出成型金型の残渣と浮錆除去例 (自動車部品メーカ殿) 金型合せ面の 錆も除去 5.本事業で使用予定機器の特徴 (1)基礎研究用の新規購入予定装置:2μm波長Tm添加フアイバーレーザ ・波長が1.9~2.0μmのため,樹脂,水への吸収率がYAG等の20倍以上向上 (YAG等よりアイセーフ型レーザである。) ・これにより超高精度金型(微細シボ,鏡面等)のクリーニング性能向上が期待される。 ・従来困難な透明樹脂間の溶接,医療分野への応用なども期待されている。 (2)高能率クリーニング実験用のレンタル予定装置: パルスYAGレーザ H24年度研究会の参加企業意見では,先端技術の応用性把握のため大出力機での モデルテスト希望が多かったため,最も多用されている大出力機をレンタル予定。 ・平均出力300W (ピーク出力50kW以上) ・波長:1.064μm (a)パルスYAG発振器外観(現地用) (b) クリーニングヘッド外観例(変更の可能性あり) (3)特殊実験のため,ロボット搭載可能なコンパクトパルスCO2レーザも使用予定 (波長10.6μm)