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排卵誘発・卵巣刺激の 過去・現在・未来
がんと生殖に関するシンポジウム2013 ー妊孕性温存の診療を考えるー 2013年4月21日@大手町ファーストスクエアカンファレンス 3. 妊孕性温存療法の提言その1 ー卵子凍結、胚凍結 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科 髙井 泰 緒言 生殖補助医療(ART)の本来の目的は、卵子の凍結 保存や単なる妊娠ではなく、母児にとって安全な出産 が達成できることであろう。 これまで「臨床研究」の位置付けだったがん・生殖 医療におけるARTが通常の医療へとステップアップす るために、卵子凍結および胚凍結に関するガイドライ ン案を作成した。 総じてエビデンスが乏しく、意見の分かれる問題点 も少なくないが、敢えて俎上に載せて「新たなエビデン スを作っていく」ことを意図して4つのClinical Question を設定した。 日本がん・生殖医療研究会 がん・生殖医療における至適な卵巣刺激法・卵子凍結法 に関する小委員会 加藤レディスクリニック 青野文仁先生 亀田総合病院 己斐秀樹先生 聖マリアンナ医科大学 杉下陽堂先生 慶愛クリニック 竹原祐志先生 大阪大学 筒井建紀先生 岐阜大学 古井辰郎先生 (50音順) 埼玉医大総合医療センター 髙井 泰 推奨グレード(案) A B C1 C2 D I 強い科学的根拠があり、奨められる 科学的根拠があり、奨められる 科学的根拠は十分ではないが、選択肢と考えて良い 科学的根拠がなく、選択肢としては奨められない 行うように奨められない 行うよう、または行わないよう奨めるだけの根拠が 明確でない (日本産科婦人科内視鏡学会ガイドライン2013に準じて) 卵子・胚凍結ガイドライン(案) • CQ1. エストロゲン非依存性悪性腫瘍患者に 対する卵子凍結・胚凍結は安全か? • Answer. 適応を慎重に判断し、安全性に配 慮した排卵誘発・採卵を行えば、短期的には 安全と考えられる(推奨グレードC1)が、長期 的安全性に関しては今後の検討が必要であ る(推奨グレードI) CQ1. エストロゲン非依存性悪性腫瘍患者に 対する卵子凍結・胚凍結は安全か? CQ1-1. (急性)白血病に対する排卵誘発・採卵 は短期的に安全か? →適応を慎重に判断し、安全性に配慮した排 卵誘発・採卵を行えば、短期的には安全と考え られる Fertiprotektによるがん・生殖医療ガイドライン (1) ー卵子・胚・卵巣凍結&GnRHaの組合せー • 卵巣凍結に引き続いて排卵誘発・卵子凍結を行い、GnRHa徐放剤を投与する • GnRHアンタゴニスト法による排卵誘発を基本とし、GnRHaによるサージを起こ す • 黄体期からでも排卵誘発が可能(GnRHアンタゴニスト+FSHを同時に開始) von Wolff M et al.: Arch Gynecol Obstet 2011; 284:427-35 Fertiprotektによるがん・生殖医療ガイドライン (2) 採卵のためには2週間程度の猶予が必要 白血病は対象となにりにくい? von Wolff M et al.: Arch Gynecol Obstet 2011; 284:427-35 Fertiprotektによる実績 (1) ーカウンセリング症例の疾患 n 2007 2008 2009 2010 2011 400 350 300 250 カウンセリングは受けているが・・・ 200 150 100 50 0 Breast cancer Lymphoma Leukaemia Other malgnancies Benign dieseases http://www.fertiprotekt.de/admin/upload/office/register_2011_website.ppt Fertiprotektによる実績 (2) -症例の内訳n 白血病に対する治療は ほとんど行われていない? Arch Gynecol Obstet 2011;283:651-656. Fertiprotektによる実績 (3) ー合併症ー 少数例ながら白血病に対する採卵も行われているらしい。 採卵に伴う出血・感染などの合併症はない。 Arch Gynecol Obstet 2011;283:651-656. A-PART日本支部における卵子凍結の現状 (1) 2007年から実施し、全国21施設が参加している。 (加藤レディスクリニック・青野文仁先生より借用改変) A-PART日本支部における卵子凍結の現状 (2) 「白血病、及びこれに準ずる血液疾患」を対象としている (加藤レディスクリニック・青野文仁先生より借用改変) A-PART日本支部における卵子凍結の現状 (3) 低卵巣刺激法による排卵誘発を施行している 2例の継続妊娠が報告された(青野, 2012) (加藤レディスクリニック・青野文仁先生より借用改変) 化学療法と卵巣刺激の組合せ 化学療法① 化学療法② 採卵① 経口 避妊薬 卵巣刺激 経口 避妊薬 化学療法③ 採卵② 卵巣刺激 経口 避妊薬 採卵③ 卵巣刺激 化学療法の合間を縫って採卵を施行する 経口避妊薬によりFSHを抑制し、卵巣を保護する 採卵手技の工夫 穿刺針 通常より細い採卵針(21-23G)を用いる 感染に気をつけ、培養液による卵胞洗浄は施行しない 経膣超音波ガイド下に卵胞を穿刺・吸引し、採卵する CQ1. エストロゲン非依存性悪性腫瘍患者に 対する卵子凍結・胚凍結は安全か? CQ1-2. (急性)白血病に対する卵子凍結・胚凍 結は、がん治療成績を悪化させないか? →現時点ではエビデンスが乏しいため、症例を 集積し、がん治療成績を対照群と比較すること が必要である 日本産科婦人科学会ARTオンライン登録システム 胚移植を企図した症例が登録対象とされるため、 妊孕能温存目的の採卵や卵子/胚凍結は登録されない 既存のシステムの修正により卵子・胚凍結症例を捕捉・追跡 できる? 緊急告知 日本がん・生殖医療研究会 A-PART日本支部 血液疾患に対するがん・生殖医療に関する シンポジウム2014(仮題) 実行責任者 自治医大さいたま医療センター 神田善伸先生 埼玉医大総合医療センター 髙井 泰 2014年2月2日(日) 開催決定! CQ1. エストロゲン非依存性悪性腫瘍患者に 対する卵子凍結・胚凍結は安全か? CQ1-3. 白血病以外のエストロゲン非依存性悪 性腫瘍に対する排卵誘発・採卵は短期的に安 全か? →適応を慎重に判断し、安全性に配慮した排卵 誘発・採卵を行えば、短期的には安全と考えら れる 卵子凍結に関する米国生殖医学会のstatement Evidence indicates that oocyte vitrification and warming should no longer be considered experimental Fertil Steril 99: 37-43, 2013 凍結卵子ARTvs新鮮卵子(通常)ART 現時点でのRCTは、全てCryotop法(胚凍結と同様)による 受精率・妊娠率は同等 卵子1個あたりの妊娠率は、4.5-12% Fertil Steril 99: 37-43, 2013 通常ARTの成績で凍結卵子ARTの成績を推測できる? Fertiprotektによる実績 (3) ー合併症ー 採卵に伴う出血・感染などの合併症は報告されていない。 Arch Gynecol Obstet 2011;283:651-656. CQ1. エストロゲン非依存性悪性腫瘍患者に 対する卵子凍結・胚凍結は安全か? CQ1-4. 白血病以外のエストロゲン非依存性悪 性腫瘍に対する卵子凍結・胚凍結は、がん治 療成績を悪化させないか? →現時点ではエビデンスが乏しいため、症例を 集積し、がん治療成績を対照群と比較すること が必要である 卵子・胚凍結ガイドライン(案) • CQ2. エストロゲン依存性悪性腫瘍患者に対 する卵子凍結・胚凍結は安全か? • Answer. 適応を慎重に判断し、安全性に配 慮した排卵誘発・採卵を行えば、短期的には 安全と考えられる(推奨グレードC1)が、長期 的安全性に関しては今後の検討が必要であ る(推奨グレードI) CQ2. エストロゲン依存性悪性腫瘍患者に 対する卵子凍結・胚凍結は安全か? CQ2-1. エストロゲン依存性悪性腫瘍患者に対 する排卵誘発は短期的に安全か? →血中エストロゲン値に配慮した排卵誘発を行 えば、短期的には安全と考えられる Fertiprotektによるがん・生殖医療ガイドライン (2) von Wolff M et al.: Arch Gynecol Obstet 2011; 284:427-35 Fertiprotektによるがん・生殖医療ガイドライン (4) ー乳癌症例における治療対象の限定ー 低リスク群は卵子凍結・卵巣凍結の対象外 30歳未満で、通常量のcyclophosphamide6コース 40歳未満で、doxorubicin+cyclophosphamide(AC)4コース von Wolff M et al.: Arch Gynecol Obstet 2011; 284:427-35 Fertiprotektによるがん・生殖医療ガイドライン (5) ー乳癌(中〜高 無月経リスク)ー 手術後・化学療法前 ホルモン受容体 陰性 陽性 手術&化学療法前(担癌状態) 陰性 陽性 卵子・胚凍結 卵巣凍結 卵子&卵巣凍結 GnRHアナログ • 術後のER陽性症例では、letrozoleを用いた排卵誘発を行う • 術前のER陰性症例でも、letrozoleを用いた排卵誘発を行う • 術前のER陽性症例では、卵子・胚凍結を行わない von Wolff M et al.: Arch Gynecol Obstet 2011; 284:427-35 エストロゲンが乳癌を増悪させる?(1) 閉経後EPTによる 乳癌発生率の増加 閉経後ETによる 乳癌発生率の減少 結合型エストロゲンなし 結合型エストロゲン +MPAあり 結合型エストロゲン +MPAなし 結合型エストロゲンあり 5 Heiss et al: JAMA, 2008 10 Anderson et al: Lancet Oncol, 2012 エストロゲンが乳癌を増悪させる?(2) ーアロマターゼ阻害剤抵抗性ER陽性乳癌に対する エストラジオール治療の有効性ー エストラジオール6mg/日(血中E2=302pg/ml)または30mg (E2=2403pg/ml)により、約30%の症例で糖取込み能が増加し、腫 瘍が縮小した。 Ellis et al: JAMA, 2009 CQ2. エストロゲン依存性悪性腫瘍患者に 対する卵子凍結・胚凍結は安全か? CQ2-2. エストロゲン依存性悪性腫瘍に対する 卵子凍結・胚凍結は、がん治療成績を悪化させ ないか? →現時点ではエビデンスが乏しいため、症例を 集積し、がん治療成績を対照群と比較すること が必要である 母児に対する安全性の検証 乳癌化学療法前の排卵誘発が 癌予後に及ぼす影響の検討 (1) • 215人の乳癌患者を対象 • 18-45歳、FSH<13、StageIIIまででCOS希望の79人に施行、 残りの136人を対照群とした • Letrozole-rFSH(±hMG)-GnRHantagonist周期 • 胚あるいは卵子凍結で妊娠予後は不明 • 予後調査は電話インタビュー 150-300IU Azim AA et al: J Clin Oncol 26:2630-5, 2008 (埼玉医大・石原先生より借用改変) 乳癌化学療法前のCOSが 癌予後に及ぼす影響の検討 (2) Letrozole Control 両群の無再発生存率に有意差なし 全生存率など更なる追跡が必要 本報告以外に癌予後の報告なし • Letrozole群は対照群より術後化学療法開始が約12日遅れた • Letrozole群の平均peak E2: 406 pg/ml、平均採卵数10.3個 Azim AA et al: J Clin Oncol 26:2630-5, 2008 卵子・胚凍結ガイドライン(案) • CQ3. 胚凍結(・卵子凍結)において、 mild stimulation(低卵巣刺激法)の妊娠率は 他法と同等か?(患者の年齢や予備能を考 慮して) • Answer. 他法と同等または、やや低い妊娠 率であると考えられる(推奨グレードC1) 排卵誘発法(1)ーGnRHアゴニスト法(ロングプロトコル) GnRHアゴニスト(GnRHアナログ)ブセレキュアRを、前周期の黄体 期中期より使用開始し、hCG投与日まで使用する。 内因性LHホルモンの分泌を抑制して自然排卵を防ぎ、多数の良質 な卵を採取する。 730-900 採卵 胚移植 妊娠判定 GnRHアゴニスト 2030-2100 HCG 注射 FSH/hMG注射 -8 -6 -4 -2 1 3 5 7 黄体ホルモン腟坐薬/注射 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 月経周期(日) 排卵誘発法(2)ーGnRHアンタゴニスト法 GnRHアンタゴニストを、卵胞が14mm程度に発育してから使用開始 し、hCG投与日まで使用する。 内因性LHホルモンの分泌を抑制して自然排卵を防ぎ、多数の良質 な卵を採取する。 730-900 採卵 胚移植 妊娠判定 2030-2100 HCG 注射 GnRHアンタゴニスト注射 FSH/hMG注射 -8 -6 -4 -2 1 3 5 7 黄体ホルモン腟坐薬/注射 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 月経周期(日) 排卵誘発法(3)ークロミフェンを用いた低卵巣刺激法 uFSH or recFSH GnRHa 75-150IU隔日投与 2回噴霧 クロミッド 50mg/d マーベロン? *子宮内膜厚≧6mmの 時は新鮮胚移植も検討 胚 移 植 採 卵 32-34h d3 d8 • 卵胞径18-20mm、1卵胞あたりのE2 300 pg/mlをめどに成熟と判断 • GnRHaブセレキュアを噴霧し、32-34 時間後に膣粘膜局所浸潤麻酔下に採 卵 胚 盤 胞 凍 結 融 解 妊 娠 判 定 採卵数と妊娠率に関する検討 ー英国での40万周期に基づく知見ー 予想生産率(%) 採卵数 15 15 15 15個程度の採卵数がもっとも生産率が高かった Sunkara et al: Hum Reprod, 2011 排卵誘発剤の投与量と臨床成績 150IU/日が至適投与量 がん生殖医療では、必要最小限の排卵誘発が特に重要 Sterrenburg Hum Reprod Update, 2011 Fertiprotektによる実績 (4) ー卵子凍結2007-2009ーA-PART ① 採卵件数 205例 (受精なし:80例) 患者平均年齢 82例151件 27.4±6.8 歳 (min.-max.;15-40) 27.2±5.1 11.6 ±7.7 (0-41) 3.8±4.7 773個 平均卵子回収個数 総凍結卵子数 ② 患者一人当たり卵子凍結数 9.7個 5.8個 ③ 採卵後の出血、卵巣過剰刺激症候群、 ならびに感染症発症 0件 Lawrenz B et al: Arch Gynecol Obstet 2011; 283:651-6 調節卵巣刺激(COH)とMild stimulationの比較(1) COH (30.0±2.3歳) Mild (29.4±2.4歳) 妊娠率はほぼ同等だった 凍結胚が得られた周期は、COHが有意に多かった Karimzadeh et al: Arch Gynecol Obstet, 2010 調節卵巣刺激(COH)とMild stimulationの比較(2) ー採卵あたり累積妊娠率(JISART共同研究@日本生殖医学会 2012) 35歳未満 35-39歳 60 50 40 30 20 10 0 60 50 40 30 20 10 0 系列 1 N.S. COH 系列 1 Mild P<0.001 COH Mild 卵子・胚凍結ガイドライン(案) • CQ4. 胚凍結(・卵子凍結)において、 aromatase阻害剤併用排卵誘発法は有用か? • Answer. 適応を慎重に判断すれば、有用と考 えられる(推奨グレードC1) CQ4. 胚凍結(・卵子凍結)において、 aromatase阻害剤併用排卵誘発法は有用か? CQ4-1. 胚凍結(・卵子凍結)において、 aromatase阻害剤併用排卵誘発法の妊娠率は 他法と同等か?(患者の年齢や予備能を考慮 して) →他法と同等と考えられるが、更なる検討を要 する Aromatase阻害剤併用法と他法の比較 Reddy et al: Fertil Steril, 2012 Letrozole法と標準法の比較 (1) 272人が「癌患者のためのFertility Preservation Program」に登録(2007-11) 223人(18-40歳、平均32.0歳)にCOH→oocytes vitrificationを施行 乳がん(68.7%)、Hodgkinリンパ腫(13%)、non-Hodgkinリンパ腫(5%)など rFSH+Cetrotide+GnRHagonist flairでCOH Domingo J et al: Fertil Steril, 2012 Letrozole法と標準法の比較 (2) GnRHアンタゴニスト法 Letrozole法 Letrozole周期は(ほぼ等量のゴナドトロピン製剤投与量で) ゴナドトロピン製剤投与期間が約1日長い 血中エストラジオールが約1/4 獲得卵子数は約20%少ないが、成熟卵子の比率は同じ(約75%) Domingo J et al: Fertil Steril, 2012 Letrozoleと併用する至適なゴナドトロピン投与量は? 150-300IU 多数の卵子を採取すればよい訳では無い Lee S, Oktay K: Fertil Steril, 2012 CQ4. 胚凍結(・卵子凍結)において、 aromatase阻害剤併用排卵誘発法は有用か? CQ4-2. 胚凍結(・卵子凍結)において、 aromatase阻害剤併用排卵誘発法による妊娠 の奇形発生率等は他法と同等か? →現時点では他法と同等と考えられるが、更な る検討を要する Letrozole(フェマーラR)の添付文書 Letrozoleの催奇形性に関するこれまでの報告 報告者 出生児数 結果 奇形 Biljan 学会 2005 報告 150 奇形総数には差がないが、心奇形と 運動器の奇形が多い(p=0.0005) 骨格筋異常(2) 心奇形(3) Tulandi 2006 514 大奇形には差がない。心奇形に限ると クロミッドより少ない(p=0.02) Forman 2007 94 森若 学会 2007 報告 168 大奇形の発生率は、クロミッド投与・無 投薬と差がなかった。クロミッドには胎 児発育遅延がみられたが、フェマーラ にはみられなかった 対照はないが、奇形率が高いとはい えない 食 道 閉 鎖 、 口 蓋 裂 、 18 ト リ ソ ミー、21トリソミー、Potter症候 群、副耳、先天性眼瞼下垂、斜 頚、陰嚢水腫、尿道下裂、多指 症、合指症、臍ヘルニア、鼡径 ヘルニア 胎児発育遅延 Badawy 2009 41 フ ェ マ ー ラ で は 2/41 、 ク ロ ミ ッ ド で は 2/65に奇形があった 口蓋裂、心奇形(1)(母体糖尿 病合併あり) 瀬川 学会 2009 報告 296 大奇形、小奇形、心奇形ともにクロミッ ドと有意差なし 無頭蓋症、右手中指短指、筋 性斜頚、外耳瘻孔、僧帽弁閉 鎖不全(1) 合計 1263 骨格筋異常=7/1263(0.6%) 心奇形=6/1263(0.5%) 心室中隔欠損(1) 先天性膀胱尿管逆流症 Letrozoleの体内薬物動態 血漿中半減期は2日程度で、投与終了後10-14日間で消失する。 →排卵直前まで使用し、そのまま妊娠しても器官形成期までに 消失する。 Mild stimulationによる6623単胎児の成績 クロミフェン(88%)、自然周期(9%)、letrozole(1.4%)、 ゴナドトロピン単独(1.6%)→サブグループ解析による検証? Kato et al: Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol, 2012 胚の凍結が出生体重に及ぼす影響 ー日産婦ART登録システムによる単胎児25,777人の解析ー 出生児 3400 体重(g) 3300 凍結胚移植 全出生児 新鮮胚移植 3200 3100 3000 2900 2800 2700 37 38 39 40 41 分娩週数 胚の凍結によって出生児体重が有意に重くなる 卵子凍結の影響は不明 (Nakashima et al: Fertil Steril, 2013) 検討すべき技術(1)ーin vitro maturation IVMしてからの凍結保存が望ましい? Lee et al: Fertil Steril, 2012 検討すべき技術(1)ーin vitro maturation E2の過剰な上昇がなく、黄体期でも採卵・凍結できる Maman et al: Fertil Steril, 2011 検討すべき技術(2) ーヒト卵子幹細胞を用いた生殖医療の新戦略 ヒト卵巣組織 凍結保存 ヒト卵子幹細胞由来 ミトコンドリアによる 卵子活性化 ヒト卵子幹細胞由来 活性化因子による 卵子活性化 ヒト卵子幹細胞 ヒト卵子幹細胞 活性化因子の同定 ヒト卵子幹細胞 由来卵子の in vitro maturation 増殖させた ヒト卵子幹細胞の 卵巣への注入/移植 生殖補助医療 卵巣予備能回復による 妊孕能の回復・賦活化 Woods DC, Tilly JL. Fertil Steril, 2012 結語ー卵子凍結・胚凍結による妊孕性温存療法 1. 適応を慎重に判断し、適切な排卵誘発や採卵を行うことにより、 急性白血病でも卵子・胚凍結が安全に施行できる。 2. 卵子凍結・胚凍結の長期的安全性に関して検証が必要である。 3. 適応となる疾患や病態、化学療法の内容等に関して更なる検 討が必要である。 4. がん生殖医療においてmild stimulationは有用と考えられるが、 その適応と臨床成績に関して検討・検証が必要である。 5. エストロゲン依存性悪性腫瘍に対するがん生殖医療において アロマターゼ阻害剤を用いた生殖補助医療は有用と考えられる が、実施方法の細部や臨床成績(特に次世代への安全性)に 関して検証が必要である。 6. In vitro maturation (IVM)や卵子幹細胞などの新技術も反映さ せ、改訂を重ねていくべきと思われる。 御静聴ありがとうございました 日本がん・生殖医療研究会 A-PART日本支部 血液疾患に対するがん・生殖医療に関する シンポジウム2014(仮題) 実行責任者 自治医大さいたま医療センター 神田善伸先生 埼玉医大総合医療センター 髙井 泰 2014年2月2日(日) 開催決定!