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1.妊娠するための性交渉の持ち方 ~(1)禁欲期間はどのくらいがいいのか? 【禁欲期間は短い方がいい】 「溜めれば溜めるほど精子は濃くなる。」 「濃ければ濃いほど妊娠しやすい。」 こんなイメージありませんか? でもこれ、大間違いです。 現在、科学的には 「禁欲期間は短ければ短いほど妊娠率が高い」 ということが常識となっています。 【禁欲期間と妊娠率】 次項に医学論文に示された「禁欲期間と妊娠率の関係」のデーターを示しました。 何れも「Fertility and Sterility」という、アメリカ生殖医学会の学会誌に掲載さ れた論文です。 上のMarshbum先生の論文では、禁欲期間が2日未満の場合の人工授精の妊娠率 は11.27%だったのに対し、3-5日では6.07%、5日以上では7.25%と低下し てしまっています。 下のJurema先生の論文では、禁欲期間が1日のカップルの妊娠率は19%(!!)、 2日で13%、3日で14%、4日で9%、5日で10%、6日で12%、7日で11%、 8~10日で10%、そして、禁欲期間が10~30日では3%でした。そして、何と 14日以上禁欲していたカップルでの妊娠は0%だったとのことです。 【禁欲期間が長いとなぜ妊娠率が低下するのか?】 精子の頭の中には赤ちゃんを作るためのDNAが入っているわけですが、この DNAがちぎれてしまう現象を「DNA断片化(DNA fragmentation)」と呼ん でいます。 後ほど解説しますが、DNAが断片化してしまっている精子の割合が高いと、不妊 の原因になったり、流産の原因になったりすることが知られています。 この「DNA断片化」に対し、2009年のESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)で面 白い発表がなされています。 発表者David Greening先生は、射出精子のDNA断片化率の高い男性118人に、 7日間毎日射精をしてもらって、その前後で DNA断片化率の変化を観察したそう です。 すると、実施前のDNA断片化率の平均は34%だったのに、実施後のDNA断片化 率は26%まで改善したそうです。 ちなみに、この発表の演題名は Daily sex helps to reduce sperm DNA damage and improve fertility でした。 A short period of ejaculatory abstinence before intrauterine insemination is associated with higher pregnancy rates. Marshbum PB et al. Fertil Steril 93(1): 286-288; 2010 禁欲期間 人工授精の妊娠率 2日未満 3-5日 5日以上 11.27% 6.07% 7.25% ●禁欲期間が短い場合、得られる運動精子は少ない。それでも、妊娠率は良い ●禁欲期間が0日(つまり24時間未満)でも、十分量の運動精子が得られ、しかも、 最も妊娠率が高い Effect of ejaculatory abstinence period on the pregnancy rate after intrauterine insemination. Jurema MW et al. Fertil Steril 84(3): 678-681; 2005 禁欲期間 人工授精の妊娠率 1日 2日 3日 4日 5日 6日 7日 8-10日 10-30日 19% 13% 14% 9% 10% 12% 11% 10% 3% *14日以上禁欲していたカップルでの妊娠は0% 禁欲期間:0-3日 禁欲期間:4-10日 禁欲期間:10以上 →14% →10% →3%