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[成果情報名]雄性不稔スギと精英樹の人工交配結果 [要 約]雄性不稔
【注意】発行当時の原稿をそのまま掲載しています。農薬についての記載のある場合は、最新の農薬登録内容を確認し、それに基づ いて農薬を使用してください。また、成果情報によっては、その後変更・廃止されたものがありますのでご注意願います。 [成果情報名]雄性不稔スギと精英樹の人工交配結果 [要 約]雄性不稔スギと精英樹の人工交配 53 組合せを行い、雄性不稔遺伝子をヘテロで持っ ている精英樹を探索したが、この中からは見つからなかった。また養苗した F2 の中から 291 本の雄 性不稔スギを選抜した。 [部 署]山形県森林研究研修センター森林環境部 [連 絡 先]TEL 0237-84-4301 [成 果 区 分]研 [キーワード]スギ、雄性不稔、無花粉、人工交配、精英樹、ヘテロ -----------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい] スギ花粉症は大きな社会問題になっており、持続的な林業を行っていく上で花粉症対策は重要な 課題である。そこで富山、新潟で発見された雄性不稔スギを母材料として、地域に適応した無花粉 スギを開発する。最終的にはこれらの個体を採種園に導入し、次世代のスギ花粉量を大幅に削減す る。 雄性不稔スギは劣勢の雄性不稔遺伝子をホモ型で保有していることが解明されているが、もし同 じ雄性不稔遺伝子をヘテロ型で保有した精英樹が見つかれば、雄性不稔スギとの三元交配が可能と なり、近交弱勢のない種苗生産を行うことができる。そこで、雄性不稔遺伝子をヘテロ型で保有し た精英樹を選抜する。 [成果の内容・特徴] ・山形県の精英樹等から花粉を採取し、富山不稔及び新大不稔系統の雄性不稔スギの接ぎ木苗に人 工交配した。そして得られた F1 種子を直ちに発芽させ、人工気象器を用いて春までに苗高 20cm 程度に成長させた。1 年間養苗した後、F1 同士を交配させて F2苗木を 45 本ずつ養成した。 ・これらの苗木に 7 月にジベレリン処理を行って雄花を着花させ、12 月に採取した。全 2,140 本の 雄花をすりつぶして正常な花粉の有無を実体顕微鏡(100 倍)で判別した。 ・花粉親がヘテロ型の雄性不稔遺伝子を保有している精英樹の場合、正しく交配が行われると F1 は 無花粉スギの苗木が 50%の分離比で発現する。また、F2からは無花粉スギが 25%の割合で発現す る。 ヘテロ型精英樹の探索 1.平成 20 年度までに人工交配を行った富山不稔家系の 36 組み合わせ、新大不稔系統の 17 組み合わ せについて判別調査を行った結果、雄性不稔遺伝子をヘテロで持っている精英樹は無かった。 雄性不稔スギの作出 2.同じ雄性不稔遺伝子を持つ雄性不稔スギ:富山不稔(aa 型)、新大 3 号(aaBb 型)を母樹とした F1 同士を四元交配させ、31 組合せの F2 を養苗した。この中から 291 本の雄性不稔スギを選抜した。 [成果の活用面・留意点] 1.育成した F2 の不稔スギは、試験植栽を行って成長特性等を把握し、優良木を選抜していく。 2.ヘテロ型精英樹の探索のために育苗した F1 苗木は、新たな雄性不稔スギを開発するための育種材 料として利用していく。 3.ヘテロ型精英樹は、採種園の花粉樹として必要であり、今後も探索を続ける必要がある。 【注意】発行当時の原稿をそのまま掲載しています。農薬についての記載のある場合は、最新の農薬登録内容を確認し、それに基づ いて農薬を使用してください。また、成果情報によっては、その後変更・廃止されたものがありますのでご注意願います。 [具体的なデータ] 表1 ヘテロ型精英樹の探索結果 富山不稔 (aa) 新大1号 (bb) 新大3号 (aaBb) 新大5号 (cc) 新大8号 (dd) 計 調査数 (花粉親に用いた 精英樹数) 36 8 7 2 --- 53 ヘテロ型 精英樹数 0 0 0 0 --- 0 表2 F2 からの雄性不稔スギの作出結果 花粉親(♂) 富山不稔F1 (Aa) 母樹(♀) 20組合せ 富山不稔F1 23.5% (Aa) 213本 新大1号F1 (Bb) 新大3号F1 (AaBb) --4組合せ 24.0% 32本 新大1号F1 (Bb) --- --- --- 新大3号F1 (AaBb) 6組合せ 25.6% 42本 --1組合せ 20.7% 4本 新大5号F1 (Cc) 新大8号F1 (Dd) --- --- --- --- --- --- 新大5号F1 (Cc) --- --- --- --- --- 新大8号F1 (Dd) --- --- --- --- --- 上段:交配組合せ数 中段:無花粉スギの分離比 下段:無花粉スギの本数 [その他] 研究課題名:次世代スギ品種の開発と実用化に関する研究 予算区分:県単 研究期間:平成 21 年度(平成 21~23 年度) 研究担当者:渡部公一 発表論文等: