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公開特許公報 特開2015

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公開特許公報 特開2015
〔実 45 頁〕
公開特許公報(A)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許出願公開番号
特開2015-187182
(P2015−187182A)
(43)公開日 平成27年10月29日(2015.10.29)
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 31/202
(2006.01)
A61K
31/202
4B018
A61K 38/17
(2006.01)
A61K
37/16
4C084
A61K 38/00
(2006.01)
A61K
37/02
4C086
A61K 31/718
(2006.01)
A61K
31/718
4C206
A61K 31/7004
(2006.01)
A61K
31/7004
審査請求
有 請求項の数1 OL 外国語出願
(全222頁) 最終頁に続く
(21)出願番号
特願2015-146014(P2015-146014)
(22)出願日
平成27年7月23日(2015.7.23)
ネステク
(62)分割の表示
特願2013-28114(P2013-28114)の
スイス国,ブベイ,アブニュー
分割
原出願日
平成18年4月4日(2006.4.4)
(31)優先権主張番号
60/668,633
(32)優先日
平成17年4月6日(2005.4.6)
(33)優先権主張国
米国(US)
(71)出願人 599132904
ソシエテ
アノニム
ネスレ
55
(74)代理人 100101454
弁理士
山田 卓二
(74)代理人 100062144
弁理士
青山 葆
(74)代理人 100106518
弁理士
松谷 道子
(74)代理人 100067035
弁理士
岩崎 光隆
(74)代理人 100156144
弁理士
落合 康
最終頁に続く
(54)【発明の名称】グルコース制御およびインスリン作用を栄養的に改善するための方法および組成物
(57)【 要 約 】
【課題】
本発明は、個体におけるグルコースおよびインスリンバランスを栄養的に改善する方法
および組成物を提供する。本発明はさらに、糖尿病の併存症の処置法を提供する。
【解決手段】
一態様として、本発明は、タンパク質源;脂肪源;および炭水化物源を含む栄養製剤(
ここで、該タンパク質源、該脂肪源、および該炭水化物源が約1:1:1の比率であり、
各 々 本 組 成 物 の 総 カ ロ リ ー の 約 1 / 3 を 構 成 す る )を 提 供 す る 。
【選択図】なし
( 2 )
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2015-187182
A
2015.10.29
2
【特許請求の範囲】
ロリーの約4%を構成する、請求項1記載の栄養製剤。
【請求項1】
【請求項13】
a. タンパク質源;
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
b. 脂肪源;および
ロリーの約5%を構成する、請求項1記載の栄養製剤。
c. 炭水化物源
【請求項14】
を含む栄養製剤(ここで、該タンパク質源および該脂肪
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
源が約1:1の比率であり、各々該組成物の総カロリー
ロリーの約6%を構成する、請求項1記載の栄養製剤。
の約15%から約45%を構成する。ただし、該タンパ
【請求項15】
ク質源、脂肪源、および炭水化物源が30:30:40
の比率ではない)。
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
10
ロリーの約7%を構成する、請求項1記載の栄養製剤。
【請求項2】
【請求項16】
該タンパク質源および該脂肪源が、各々該組成物の総カ
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
ロリーの約25%を構成する、請求項1記載の栄養製剤
ロリーの約8%を構成する、請求項1記載の栄養製剤。
。
【請求項17】
【請求項3】
以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項1記載の栄
該タンパク質源および該脂肪源が各々該組成物の総カロ
養製剤:トウチ抽出物、一部加水分解されたグアーガム
リーの約30%を構成する、請求項1記載の栄養製剤。
、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イ
【請求項4】
ソマルトース、スクロマルト(sucromalt)、トレハロー
該タンパク質源および該脂肪源が各々該組成物の総カロ
ス、リポ酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、
リーの約35%を構成する、請求項1記載の栄養製剤。 20
シナモン、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、
【請求項5】
分枝鎖アミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、ク
該タンパク質源および該脂肪源が各々該組成物の総カロ
ロロゲン酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウ
リーの約20%から約40%を構成する、請求項1記載
ム、バナジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ
の栄養製剤。
、ナツメグ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの
【請求項6】
組み合わせ。
該タンパク質源および該脂肪源が各々該組成物の総カロ
【請求項18】
リーの約25%から約35%を構成する、請求項1記載
a.
タンパク質源;
の栄養製剤。
b.
脂肪源;および
【請求項7】
c.
炭水化物源
該タンパク質源および該脂肪源が各々該組成物の総カロ 30
を含む栄養製剤(ここで、該タンパク質源、該脂肪源、
リーの約30%から約35%を構成する、請求項1記載
および該炭水化物源が約1:1:1の比であり、各々が
の栄養製剤。
該組成物の総カロリーのほぼ1/3を構成する)。
【請求項8】
【請求項19】
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項18記載の
ロリーの約2%以上を構成する、請求項1記載の栄養製
栄養製剤:トウチ抽出物、一部加水分解されたグアーガ
剤。
ム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、
【請求項9】
イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、リポ酸
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナモン、
ロリーの約2%から約10%を構成する、請求項1記載
の栄養製剤。
バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝鎖アミ
40
ノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロゲン酸
【請求項10】
、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、バナジ
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
ウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナツメグ
ロリーの約4%から約7%を構成する、請求項1記載の
、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み合わせ
栄養製剤。
。
【請求項11】
【請求項20】
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ
該脂肪源がリノール酸(18:2)を含む、請求項18記
ロリーの約5%から約6%を構成する、請求項1記載の
載の栄養製剤。
栄養製剤。
【請求項21】
【請求項12】
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該組成物の総カ 50
以上を構成する、請求項20記載の栄養製剤。
( 3 )
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【請求項22】
5記載の食事レジメ。
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
【請求項34】
から約10%を構成する、請求項20記載の栄養製剤。
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
【請求項23】
総カロリーの約4%から約7%を構成する、請求項25
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約4%
記載の食事レジメ。
から約7%を構成する、請求項20記載の栄養製剤。
【請求項35】
【請求項24】
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約5%
総カロリーの約5%から約6%を構成する、請求項25
から約6%を構成する、請求項20記載の栄養製剤。
【請求項25】
記載の食事レジメ。
10
【請求項36】
a. タンパク質源;
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
b. 脂肪源;および
総カロリーの約4%を構成する、請求項25記載の食事
c. 炭水化物源
レジメ。
を含むインスリン感受性を増加させるための食事レジメ
【請求項37】
(dietary regime)(ここで、該タンパク質源および該脂
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
肪源が約1:1の比率であり、各々該食事レジメの総カ
総カロリーの約5%を構成する、請求項25記載の食事
ロリーの約15%から約45%を構成する。ただし、該
レジメ。
タンパク質源、脂肪源、および炭水化物源が30:30
【請求項38】
:40の比率ではない)。
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
【請求項26】
20
総カロリーの約6%を構成する、請求項25記載の食事
該タンパク質源および該脂肪源が、各々該食事レジメの
レジメ。
総カロリーの約25%を構成する、請求項25記載の食
【請求項39】
事レジメ。
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
【請求項27】
総カロリーの約7%を構成する、請求項25記載の食事
該タンパク質源および該脂肪源が、各々該食事レジメの
レジメ。
総カロリーの約30%を構成する、請求項25記載の食
【請求項40】
事レジメ。
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
【請求項28】
総カロリーの約8%を構成する、請求項25記載の食事
該タンパク質源および該脂肪源が、各々該食事レジメの
レジメ。
総カロリーの約35%を構成する、請求項25記載の食 30
【請求項41】
事レジメ。
以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項25記載の
【請求項29】
食事レジメ:トウチ抽出物、一部加水分解されたグアー
該タンパク質源および該脂肪源が、各々該食事レジメの
ガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖
総カロリーの約20%から約40%を構成する、請求項
、イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、リポ
25記載の食事レジメ。
酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナモン
【請求項30】
、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝鎖ア
該タンパク質源および該脂肪源が、各々該食事レジメの
ミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロゲン
総カロリーの約25%から約35%を構成する、請求項
酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、バナ
25記載の食事レジメ。
【請求項31】
ジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナツメ
40
グ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み合わ
該タンパク質源および該脂肪源が、各々該食事レジメの
せ。
総カロリーの約30%から約35%を構成する、請求項
【請求項42】
25記載の食事レジメ。
a.
タンパク質源;
【請求項32】
b.
脂肪源;および
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
c.
炭水化物源
総カロリーの約2%以上を構成する、請求項25記載の
を含むインスリン感受性を増加させるための食事レジメ
食事レジメ。
(ここで、該タンパク質源、該脂肪源、および該炭水化
【請求項33】
物源が約1:1:1の比率であり、各々該食事レジメの
該脂肪源がリノール酸(18:2)の形で該食事レジメの
総カロリーのほぼ1/3を構成する)。
総カロリーの約2%から約10%を構成する、請求項2 50
【請求項43】
( 4 )
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以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項42記載の
アーガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリ
食事レジメ:トウチ抽出物、一部加水分解されたグアー
ゴ糖、イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、
ガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖
リポ酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナ
、イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、リポ
モン、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝
酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナモン
鎖アミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロ
、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝鎖ア
ゲン酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、
ミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロゲン
バナジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナ
酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、バナ
ツメグ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み
ジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナツメ
合わせ。
グ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み合わ 10
【請求項54】
せ。
該脂肪源がリノール酸(18:2)を含む、請求項49記
【請求項44】
載の方法。
該脂肪源がリノール酸(18:2)を含む、請求項42記
【請求項55】
載の食事レジメ。
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
【請求項45】
以上を構成する、請求項54記載の方法。
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
【請求項56】
以上を構成する、請求項44記載の食事レジメ。
個体の血中へのグルコースの出現を遅延させる方法であ
【請求項46】
って:
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
a.個体に以下を含む組成物を投与することを含む、方
から約10%を構成する、請求項44記載の食事レジメ 20
法:
。
i.
タンパク質源;
【請求項47】
ii.
脂肪源;および
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約4%
iii. 炭水化物源
から約7%を構成する、請求項44記載の食事レジメ。
(ここで、該タンパク質源および該脂肪源が約1:1の
【請求項48】
比率であり、各々該組成物の総カロリーの約15%から
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約5%
約45%を構成する。ただし、該タンパク質源、脂肪源
から約6%を構成する、請求項44記載の食事レジメ。
、および炭水化物源が30:30:40の比率ではない
【請求項49】
)。
インスリン抵抗性を減少させる方法であって:
【請求項57】
a.個体に以下を含む組成物を投与することを含む、方
30
個体が哺乳動物である、請求項56記載の方法。
法:
【請求項58】
i. タンパク質源;
個体がヒトである、請求項56記載の方法。
ii.
【請求項59】
脂肪源;および
iii. 炭水化物源
該タンパク質源、該脂肪源、および該炭水化物源が約1
(ここで、該タンパク質源および該脂肪源が約1:1の
:1:1の比であり、各々が該組成物の総カロリーのほ
比率であり、各々該組成物の総カロリーの約15%から
ぼ1/3を構成する、請求項56記載の方法。
約45%を構成する。ただし、該タンパク質源、脂肪源
【請求項60】
、および炭水化物源が30:30:40の比率ではない
該組成物が以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項
)。
【請求項50】
56記載の方法:トウチ抽出物、一部加水分解されたグ
40
アーガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリ
個体が哺乳動物である、請求項49記載の方法。
ゴ糖、イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、
【請求項51】
リポ酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナ
個体がヒトである、請求項49記載の方法。
モン、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝
【請求項52】
鎖アミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロ
該タンパク質源、該脂肪源、および該炭水化物源が約1
ゲン酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、
:1:1の比であり、各々が該組成物の総カロリーのほ
バナジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナ
ぼ1/3を構成する、請求項49記載の方法。
ツメグ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み
【請求項53】
合わせ。
該組成物が以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項
【請求項61】
49記載の方法:トウチ抽出物、一部加水分解されたグ 50
該脂肪源がリノール酸(18:2)を含む、請求項56記
( 5 )
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載の方法。
比率であり、各々該組成物の総カロリーの約15%から
【請求項62】
約45%を構成する。ただし、該タンパク質源、脂肪源
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
、および炭水化物源が30:30:40の比率ではない
以上を構成する、請求項61記載の方法。
)。
【請求項63】
【請求項71】
食後血漿インスリン濃度を減少させる方法であって:
個体が哺乳動物である、請求項70記載の方法。
a.個体に以下を含む組成物を投与することを含む、方
【請求項72】
法:
個体がヒトである、請求項70記載の方法。
i. タンパク質源;
ii.
脂肪源;および
【請求項73】
10
該タンパク質源、該脂肪源、および該炭水化物源が約1
iii. 炭水化物源
:1:1の比であり、各々が該組成物の総カロリーのほ
(ここで、該タンパク質源および該脂肪源が約1:1の
ぼ1/3を構成する、請求項70記載の方法。
比率であり、各々該組成物の総カロリーの約15%から
【請求項74】
約45%を構成する。ただし、該タンパク質源、脂肪源
該組成物が以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項
、および炭水化物源が30:30:40の比率ではない
70記載の方法:トウチ抽出物、一部加水分解されたグ
)。
アーガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリ
【請求項64】
ゴ糖、イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、
個体が哺乳動物である、請求項63記載の方法。
リポ酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナ
【請求項65】
モン、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝
個体がヒトである、請求項63記載の方法。
20
鎖アミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロ
【請求項66】
ゲン酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、
該タンパク質源、該脂肪源、および該炭水化物源が約1
バナジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナ
:1:1の比であり、各々が該組成物の総カロリーのほ
ツメグ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み
ぼ1/3を構成する、請求項63記載の方法。
合わせ。
【請求項67】
【請求項75】
該組成物が以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項
該脂肪源がリノール酸(18:2)を含む、請求項70記
63記載の方法:トウチ抽出物、一部加水分解されたグ
載の方法。
アーガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリ
【請求項76】
ゴ糖、イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
リポ酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナ 30
以上を構成する、請求項75記載の方法。
モン、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝
【請求項77】
鎖アミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロ
心血管疾患または事故(incident)を処置または予防する
ゲン酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、
方法であって:
バナジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナ
a.個体に以下を含む組成物を投与することを含む、方
ツメグ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み
法:
合わせ。
i.
タンパク質源;
【請求項68】
ii.
脂肪源;および
該脂肪源がリノール酸(18:2)を含む、請求項63記
iii. 炭水化物源
載の方法。
【請求項69】
(ここで、該タンパク質源および該脂肪源が約1:1の
40
比率であり、各々該組成物の総カロリーの約15%から
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
約45%を構成する。ただし、該タンパク質源、脂肪源
以上を構成する、請求項68記載の方法。
、および炭水化物源が30:30:40の比率ではない
【請求項70】
)。
食後脂肪クリアランスを増加させる方法であって:
【請求項78】
a.個体に以下を含む組成物を投与することを含む、方
個体が哺乳動物である、請求項77記載の方法。
法:
【請求項79】
i. タンパク質源;
個体がヒトである、請求項77記載の方法。
ii.
【請求項80】
脂肪源;および
iii. 炭水化物源
(ここで、該タンパク質源および該脂肪源が約1:1の
該タンパク質源、該脂肪源、および該炭水化物源が約1
50
:1:1の比であり、各々が該組成物の総カロリーのほ
( 6 )
JP
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10
ぼ1/3を構成する、請求項77記載の方法。
、虚血性心疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、脳血管疾患
【請求項81】
、卒中、メタボリック症候群、網膜症、失明、高血圧、
該組成物が以下の少なくとも1個をさらに含む、請求項
血栓症、および炎症からなる群から選択される、請求項
77記載の方法:トウチ抽出物、一部加水分解されたグ
86記載の方法。
アーガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリ
【請求項91】
ゴ糖、イソマルトース、スクロマルト、トレハロース、
心血管疾患または事故を予防または処置する方法であっ
リポ酸、4−ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナ
て:
モン、バナバ抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝
個体に以下の少なくとも2個を投与することを含む、方
鎖アミノ酸、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロ
法:トウチ抽出物、一部加水分解されたグアーガム、イ
ゲン酸、マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、 10
ヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマ
バナジウム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナ
ルトース、スクロマルト、トレハロース、リポ酸、4−
ツメグ、丁子、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み
ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナモン、バナバ
合わせ。
抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝鎖アミノ酸、
【請求項82】
グルタミン、グルタメート、魚油、クロロゲン酸、マン
該脂肪源がリノール酸(18:2)を含む、請求項77記
ゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、バナジウム、
載の方法。
マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナツメグ、丁子
【請求項83】
、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み合わせ
リノール酸(18:2)が該組成物の総カロリーの約2%
(ここで、投与工程は以下の少なくとも1つを可能にす
以上を構成する、請求項82記載の方法。
る:血中へのグルコースの出現の遅延、食後血漿インス
【請求項84】
20
リン濃度の減少、グルコース抵抗性の減少、およびグル
該心血管疾患または事故が糖尿病の併存症である、請求
コース感受性の増加)。
項77記載の方法。
【請求項92】
【請求項85】
個体が哺乳動物である、請求項91記載の方法。
該心血管疾患または事故が:心血管疾患、冠動脈心疾患
【請求項93】
、虚血性心疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、脳血管疾患
個体がヒトである、請求項92記載の方法。
、卒中、メタボリック症候群、網膜症、失明、高血圧、
【請求項94】
血栓症、および炎症からなる群から選択される、請求項
該心血管疾患または事故が糖尿病の併存症である、請求
77記載の方法。
項91記載の方法。
【請求項86】
【請求項95】
心血管疾患または事故を予防または処置する方法であっ 30
該心血管疾患または事故が:心血管疾患、冠動脈心疾患
て:
、虚血性心疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、脳血管疾患
個体に以下の少なくとも2個を投与することを含む、方
、卒中、メタボリック症候群、網膜症、失明、高血圧、
法:トウチ抽出物、一部加水分解されたグアーガム、イ
血栓症、および炎症から成る群から選択される、請求項
ヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマ
91記載の方法。
ルトース、スクロマルト、トレハロース、リポ酸、4−
【発明の詳細な説明】
ヒドロキシイソロイシン、カテキン、シナモン、バナバ
【技術分野】
抽出物、マデグルシル、アルギニン、分枝鎖アミノ酸、
【0001】
グルタミン、グルタメート、魚油、クロロゲン酸、マン
背景技術
ゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、バナジウム、
1.技術分野
マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナツメグ、丁子 40
本発明は一般に栄養およびより特に個体におけるグルコ
、キノコ、出芽酵母、およびそれらの組み合わせ。
ースおよびインスリンバランスを改善するための方法お
【請求項87】
よび栄養組成物に関する。一つの態様において、本発明
個体が哺乳動物である、請求項86記載の方法。
は、心血管疾患またはメタボリック症候群のような糖尿
【請求項88】
病と関係する疾患または状態の処置に有用な約1:1:
個体がヒトである、請求項87記載の方法。
1の炭水化物:脂肪:タンパク質比率を有する栄養組成
【請求項89】
物を提供する。
該心血管疾患または事故が糖尿病の併存症である、請求
【背景技術】
項86記載の方法。
【0002】
【請求項90】
2.関連技術
該心血管疾患または事故が:心血管疾患、冠動脈心疾患 50
米国における肥満および2型糖尿病発病率は過去30年
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で、とりわけ過去10年で劇的に増加している。2型糖
しで達成される。文献中では、インスリンが炭水化物の
尿病、および心血管疾患のような併存症の発病率は肥満
増加に連れてより効率的になると解釈されている。
との直接の関係が増加している。これらの慢性疾患の疫
【0007】
学は肥満およびインスリン抵抗性の食事管理を強調して
さらに、Yangは高脂肪+高タンパク質摂取がより高いエ
いる。計画的体重減少は2型糖尿病の危険性および心血
ネルギー摂取、より大きなBMI、およびより大きなイ
管危険性を著しく減少させる。“Atkins”または“Orni
ンスリン分泌をもたらし、主要なシフトがおおよそ>3
sh”のような代用食が最近20年で非常に一般的になっ
0%脂肪(負の影響)および>15%タンパク質(正の影
てきている。これらの食事は極端な脂肪または炭水化物
響)で起こることを示している。
に焦点を絞る(高脂肪または高炭水化物食)。
【0003】
【0008】
10
Dansinger, M. et al(JAMA 2005;293:45-53)はAtkins食
Atkinsのような非常に低い炭水化物食は体重減少食とし
(低炭水化物)、Zone食(タンパク質、脂肪および炭水化
て現在一般的である。しかしながら、体重管理およびイ
物から30:30:40比率のカロリー)、Weight Watc
ンスリン感受性に最適な食事中の炭水化物、タンパク質
hers(低カロリー、低脂肪食)およびOrnish(高炭水化物
および脂肪の量の同意はない。最近のいくつかの研究は
、低脂肪)を比較した。結果は、12週目で、Ornish、Z
高脂肪/高タンパク質ケト原性食が顕著な体重減少に好
oneおよびWeight Watchersが全て、Atkinsよりも大きな
都合であることを示唆する。しかし、これらの食事中の
体重減少をもたらすことを示した(図3)。
高タンパク質または高脂肪または低炭水化物、またはこ
【0009】
れらの因子の組み合わせのいずれが、観察される代謝効
サンプルのAtkinsおよびOrnish比を図4に記載する。図
果を担うかは明らかではない。故に、脂肪症およびイン
5−6はこれらの食事の食事誘発肥満(DIO)マウスに
スリン抵抗性に対する食事の主要栄養素組成の効果はま 20
おける体重増加および雄ApoEマウスにおけるインス
だ不明瞭である。
リン耐性に対する効果を説明する。
【0004】
【発明の概要】
主要栄養素バランスは重要な因子であり得る。高脂肪食
【0010】
は、一般に、現在の文献に従うと、男性および女性にお
発明の概要
ける肥満および脂肪症を誘発する。女性における高脂肪
本発明は、タンパク質;脂肪;および炭水化物を含む、
食および高炭水化物自由食はインスリン感受性を障害す
インスリン感受性の増加、インスリン抵抗性の減少、食
ることが示されている。また、高炭水化物食は肝臓重量
後脂肪クリアランスの増加、血中へのグルコースの出現
、肝臓トリグリセリドおよび肝臓エステル化コレステロ
の遅延、および/または食後血漿インスリン濃度の減少
ール(EC)を著しく増加させる。
のための組成物または食事レジメンに関する。本発明は
【0005】
30
、さらに、その正常血糖ならびに正常インスリン産生お
ヒトでの試験は、低脂肪食と比べて低炭水化物食でより
よび機能からインスリン依存性および膵臓疲労までの範
大きな体重減少が報告されている。低炭水化物食は、高
囲に有用な2型糖尿病およびその併存症の処置、予防お
脂肪/高タンパク質含量をもたらす脂肪およびタンパク
よび/または発症遅延のための組成物または食事レジメ
質が高い食事を含む。これは食事の脂肪対タンパク質比
ンに関する。本発明はさらに肥満の処置および/または
率がエネルギーバランス、脂肪量および体重増加の制御
予防に用い得る。
に重要な因子であり得ることを示唆する。高炭水化物食
【0011】
は、カロリー摂取が高脂肪/高タンパク質食のカロリー
以下に詳細に記載する実験中、タンパク質および脂肪が
に限定されているときに、最も少ない体重増加をもたら
1:1の比率であり、各々組成物の総カロリーの約15
す。グルコース代謝および酸化が、食事の炭水化物摂取
%から約45%を構成するとき、対象動物のインスリン
に従いより効率的に上方制御されることが判明している 40
抵抗性が相当減少することが、驚くべきことに判明した
。しかしながら、高炭水化物食は、恐らく炭水化物とし
。本組成物または食事レジメンは哺乳動物、および好ま
ての過剰なカロリー摂取のために、肝臓脂質生合成を増
しくはヒトに投与できる。
加させ、そして脂肪酸酸化および脂肪分解を減少させ、
【0012】
体重増加に至る。
本組成物または食事レジメンにおいて、本タンパク質お
【0006】
よび脂肪各々は:本組成物の総カロリーの約20%から
国民健康栄養調査(NHANES;1988−94)およ
約45%;本組成物の総カロリー約20%から約40%
び肥満における炭水化物摂取(Yang et al. 2003, AJCN
;本組成物の総カロリーの約25%から約40%;本組
77:1426)の図1−2は、高炭水化物摂取が低いインスリ
成物の総カロリーの約25%から約35%;または本組
ン分泌に至ることを示す。これはHbA1c、空腹時血
成物の総カロリーの約30%から約35%である。
清グルコースおよびインスリンのレベルに著しい変化な 50
【0013】
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本組成物または食事レジメンにおいて、本タンパク質お
詳細な記載
よび脂肪は好ましくは:本組成物の総カロリーの約15
本明細書を通して使用する範囲は、その範囲内にある各
%;本組成物の総カロリーの約20%;本組成物の総カ
々および各値を記載するための略語として使用する。該
ロリーの約25%;本組成物の総カロリーの約30%;
範囲内の全ての値を該範囲内の終末として選択できる。
本組成物の総カロリーの約35%;本組成物の総カロリ
使用するとき、語句“少なくとも1個”は、何れか1つ
ーの約40%;または本組成物の総カロリーの約45%
のメンバー個々のまたはメンバーのいずれかの組み合わ
である。
せの選択を意味する。接続語“および”または“または
【0014】
”をメンバーのリストに使用してよいが、“少なくとも
本組成物または食事レジメンは、本組成物の総カロリー
1個”の語句が支配的語句である。例えば、A、B、お
の約2%以上のリノール酸(18:2)を含む。好ましく 10
よびCの少なくとも1個は、A単独、B単独、C単独、
は、本組成物または食事レジメンは、総カロリーの約2
AとB、BとC、AとCまたはAとBとCの略語である
%から約10%;総カロリーの約3%から約9%;総カ
。
ロリーの約4%から約8%;総カロリーの約4%から約
【0020】
7%;または総カロリーの約5%から約6%のリノール
特許請求の範囲を含む本明細書を通して含まれる全ての
酸(18:2)レベルを有する。
値は、特に正確であると記載していない限り“約”を使
【0015】
用していても使用していなくても、おおよそであると考
好ましくは、本組成物または食事レジメンは、総カロリ
える。
ーの約2%;総カロリーの約3%;総カロリーの約4%
【0021】
;総カロリーの約5%;総カロリーの約6%;総カロリ
食事レジメンは、一定のパラメータ内に入る食事および
ーの約7%;総カロリーの約8%;総カロリーの約9% 20
/または飲料の組み合わせを含むが、これに限定されな
;または総カロリーの約10%のリノール酸(18:2)
い(すなわち、一緒に摂取したとき、1:1の脂肪対タ
レベルを有する。
ンパク質比率を含む食事および/または飲料)。
【0016】
【0022】
特に好ましい態様において、本組成物または食事レジメ
用語“哺乳動物”は、齧歯類、水生哺乳動物、イヌおよ
ンは、脂肪およびタンパク質の各々の比率と実質的に等
びネコのような家庭用動物、ヒツジ、ブタ、ウシおよび
しい炭水化物の比率を有する。すなわち、脂肪、炭水化
ウマのような家畜、およびヒトを含むが、これらに限定
物およびタンパク質が実質的に1:1:1比率で提供さ
されない。用語哺乳動物を使用するとき、哺乳動物によ
れる。
り効果を示すことができるまたは示すことが意図される
【0017】
他の動物にも適用することを意図する。
本発明の組成物または食事レジメンは、血糖制御および 30
【0023】
/または心血管疾患、異脂肪血症、網膜症、コラーゲン
ここで使用する糖尿病は、1型および2型糖尿病を含み
組織の変化、炎症、およびインスリン抵抗性のような糖
、耐糖能障害、インスリン抵抗性、減少したインスリン
尿病に関連する併存症の改善が可能な1種以上の栄養製
感受性、インスリン依存を含むがこれらに限定されない
品を含み得る。適当な製品は、例えば、トウチ抽出物、
、正常血糖ならびに正常インスリン産生および機能から
一部加水分解されたグアーガム、イヌリン、フルクトオ
インスリン依存性および膵臓疲労の範囲に入る生理学的
リゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトース、スクロマ
機能の状態を意味する。
ルト(sucromalt)、トレハロース、リポ酸、4−ヒドロ
【0024】
キシイソロイシン、カテキン、シナモン、バナバ抽出物
糖尿病の併存症は:心血管疾患、異脂肪血症、網膜症、
、マデグルシル、アルギニン、分枝鎖アミノ酸(BCA
コラーゲン組織の変更、炎症、およびインスリン抵抗性
A)(すなわち、ロイシン、イソロイシン、およびバリン 40
を含む。
)、グルタミン、グルタメート、魚油、クロロゲン酸、
【0025】
マンゴスチン、ヤシ油工場廃液、クロミウム、バナジウ
本発明は、タンパク質;脂肪;および炭水化物を含む、
ム、マンサク、オールスパイス、ローリエ、ナツメグ、
インスリン感受性の増加、インスリン抵抗性の減少、食
丁子、キノコ、可溶性粘性繊維(ベータ−グルカンを含
後脂肪クリアランスの増加、血中へのグルコースの出現
むが、これに限定されない)および出芽酵母を含む。
の遅延、および/または食後血漿インスリン濃度の減少
【0018】
のための組成物または食事レジメンに関する。本発明は
本発明の説明的局面は、ここに記載の問題および当業者
、さらにその正常血糖ならびに正常インスリン産生およ
には発見可能なここに記載していない他の問題を解決す
び機能からインスリン依存性および膵臓疲労までの範囲
るために設計する。
に有用な、2型糖尿病およびその併存症の処置、予防お
【0019】
50
よび/または発症遅延のための組成物または食事レジメ
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ンに関する。
【0033】
【0026】
食事のタンパク質含量を増やすと、中程度の脂肪摂取で
以下に詳細に記載する実験中、タンパク質および脂肪が
肥満の危険性を減少させる。1.0の脂肪−対−タンパ
1:1の比率であり、各々組成物の総カロリーの約15
ク質比率で、かつ総カロリーの40%(%en)が炭水化
%から約45%を構成するとき、対象動物のインスリン
物に由来すると、少ない体重増加と少ない脂肪蓄積をも
抵抗性が相当減少することが、驚くべきことに判明した
たらした。高炭水化物食においてタンパク質を炭水化物
。本組成物または食事レジメンは動物、好ましくは哺乳
の代わりにすることは、肥満および心血管危険因子を著
動物、および最も好ましくはヒトに投与できる。
しく改善した。しかしながら、>30%enでのタンパ
【0027】
ク質摂取は、DIOマウスにおいてインスリン感受性を
本組成物または食事レジメンにおいて、本タンパク質お 10
障害し、そして腎臓重量を増加する傾向にあった。炭水
よび脂肪各々は:本組成物の総カロリーの約20%から
化物の脂肪置換は体重増加およびインスリン抵抗性の増
約45%;本組成物の総カロリー約20%から約40%
加に至った。
;本組成物の総カロリーの約25%から約40%;本組
【0034】
成物の総カロリーの約25%から約35%;または本組
これらの試験は、食事における主要栄養素バランスが肥
成物の総カロリーの約30%から約35%である。
満、インスリン抵抗性および心血管疾患の危険性の減少
【0028】
に重要であり得ることを示唆する。脂肪およびタンパク
本組成物または食事レジメンにおいて、本タンパク質お
質の全体量に加えて、脂肪−対−タンパク質比率が減量
よび脂肪は好ましくは:本組成物の総カロリーの約15
食において重要な問題であるように見える。
%;本組成物の総カロリーの約20%;本組成物の総カ
【図面の簡単な説明】
ロリーの約25%;本組成物の総カロリーの約30%; 20
【0035】
本組成物の総カロリーの約35%;本組成物の総カロリ
【図1】図1は、先行文献の記載を示す。
ーの約40%;または本組成物の総カロリーの約45%
【図2】図2は、先行文献の記載を示す。
である。
【図3】図3は、先行文献の記載を示す。
【0029】
【図4】図4は、先行文献の記載を示す。
本組成物または食事レジメンは、本組成物の総カロリー
【図5】図5は、先行文献の記載を示す。
の約2%以上のリノール酸(18:2)を含む。好ましく
【図6】図6は、先行文献の記載を示す。
は、本組成物または食事レジメンは、総カロリーの約2
【図7】図7は、雄および雌マウスのITTデータを示
%から約10%;総カロリーの約3%から約9%;総カ
す。
ロリーの約4%から約8%;総カロリーの約4%から約
【図8】図8は、雄および雌マウスのITTデータを示
7%;または総カロリーの約5%から約6%のリノール 30
す。
酸(18:2)レベルを有する。
【図9】図9は、試験を通して使用した種々の食事中の
【0030】
炭水化物、脂肪、およびタンパク質の比率を示す。
好ましくは、本組成物または食事レジメンは、総カロリ
【図10】図10は、試験を通して使用した種々の食事
ーの約2%;総カロリーの約3%;総カロリーの約4%
中の炭水化物、脂肪、およびタンパク質の比率を示す。
;総カロリーの約5%;総カロリーの約6%;総カロリ
【図11】図11は、C57BL/6J雄および雌マウ
ーの約7%;総カロリーの約8%;総カロリーの約9%
スにおける、体重増加の結果を示す。
;または総カロリーの約10%のリノール酸(18:2)
【図12】図12は、C57BL/6J雄および雌マウ
レベルを有する。
スにおける、腎周囲脂肪重量増加の結果を示す。
【0031】
【図13】図13は、C57BL/6J雄および雌マウ
ヒト試験に基づいて、我々は、2種のマウスモデル、す 40
スにおける、肝臓重量増加の結果を示す。
なわち食事誘発肥満(DIO)C57BL/6およびAp
【図14】図14は、C57BL/6J雄および雌マウ
oE(−/−)マウスにおける異なる主要栄養素バランス
スにおける、血漿総コレステロールの増加の結果を示す
の代謝効果を試験した。
。
【0032】
【図15】図15は、C57BL/6J雄および雌マウ
ApoE(−/−)マウスは、DIOマウスと比較して、
スにおける、血漿総グリセリド濃度の結果を示す。
より少ない体重増加であり、より少ない脂肪量を有した
【図16】図16は、試験12の結果を示す。
。制限されたおよび自由に摂取できる高炭水化物カロリ
【図17】図17は、試験13の結果を示す。
ーの差異は、ApoE(−/−)マウスで観察されなかっ
【図18】図18は、試験13の結果を示す。
た。これは恐らくApoE(−/−)マウスにおける障害
【図19】図19は、試験13の結果を示す。
されたトリグリセリド輸送/取り込みによる。
50
【図20】図20は、試験13の結果を示す。
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【図21】図21は、試験13の結果を示す。
インスリン感受性は、グルコース負荷後経時的にグルコ
【図22】図22は、試験13の結果を示す。
ースの出現をモニターするグルコース抵抗性試験の慣用
【図23】図23は、試験13の結果を示す。
の方法よりむしろインスリン注射後の血中グルコース濃
【図24】図24は、試験13の結果を示す。
度測定の技術を使用して測定した。本インスリン耐性試
【図25】図25は、試験13の結果を示す。
験は、現在の食事環境下でのインスリン機能/インスリ
【図26】図26は、試験13の結果を示す。
ン抵抗性の最良の指標であると考えられている。
【図27】図27は、試験13の結果を示す。
【0041】
【図28】図28は、試験13の結果を示す。
試験7のデータは、食事の脂肪対タンパク質の比率がイ
【図29】図29は、試験13の結果を示す。
【図30】図30は、試験13の結果を示す。
ンスリン感受性を調節することを初めて示した。脂肪摂
10
取(30%)が一定で、タンパク質レベルをエネルギーの
【図31】図31は、試験13の結果を示す。
45%まで増加させると、インスリン感受性が減少した
【図32】図32は、試験15の結果を示す。
。フォローアップ試験(#17)からの発見は1:1の脂
【図33】図33は、試験15の結果を示す。
肪:タンパク質比率が、脂肪の増加により予測される通
【図34】図34は、試験15の結果を示す。
り、インスリン抵抗性に変化をもたらさないことを示し
【実施例】
た。インスリン抵抗性は、動物にタンパク質および脂肪
【0036】
の量が40%であるか33%であるかに係わらず、タン
試験
パク質および脂肪からのエネルギー1:1比率で食事を
本発明を以下の実施例においてさらに記載する。これら
与えたとき、同じであった。インスリン抵抗性は、動物
の実施例は単に説明するものであり、記載のおよび請求
に1:1比率のタンパク質および脂肪(各40%)の食事
された本発明の範囲をいかなる方法でも限定しない。
20
を与えたとき、動物にタンパク質の量は同じ(45%)で
【0037】
あるが、脂肪の量が少ない(30%)食事を与えたときよ
合計17の試験を行っている。最初の5つの試験は、血
りも減少した。これらの発見は、タンパク質:脂肪の比
中脂質プロファイルおよびインスリン耐性における、食
率が、食事のタンパク質量単独よりもインスリン抵抗性
事の脂肪タイプおよび量の効果を測定した。残りの12
の調節に重要であることを指示する。
の試験の目的は、インスリン感受性および血中脂質プロ
【0042】
ファイルにおける食事の主要栄養素分布の操作の効果の
試験12の証拠は、脂肪蓄積、インスリン抵抗性、およ
測定であった。
び血中グルコース濃度は、動物に1:1比率のタンパク
【0038】
質対脂肪を与えたとき、比率が1:2、1:3.5、お
マウス2種を使用した:負荷食で高コレステロール血症
よび1:4であるときと比較して低いことを示した。再
、アテローム性動脈硬化症、およびインスリン抵抗性を 30
び、これらの発見は、インスリン感受性が、1:1比率
発症するApoE(−/−)、および、食事に応答して血
のタンパク質対脂肪を消費したときに最適化され、そし
漿および肝脂質の支持変化(supporting change)を伴う
て1:1比率からのいずれかの方向への逸脱はインスリ
インスリン抵抗性および肥満になる野生型マウスである
ン抵抗性を増加させるとの証拠を提供する。
食事誘発肥満C57BL/6J。重要な発見は、総脂肪
【0043】
摂取と、定義によりまた脂肪/炭水化物比率にも影響す
これらの一連の実験の全体的な結論は、糖尿病の動物モ
る食事脂肪/タンパク質比率(エネルギー%として)の関
デルにおいて:1)リノール酸(18:2)の高い摂取が
係が肥満の発症の理解に重要であるように見えるとの観
インスリン抵抗性の減少に必要である;2)超長鎖n−
察である。
3脂肪酸がインスリン抵抗性を減少させるが、リノール
【0039】
酸の必要性を増加させる;3)タンパク質要求は増加し
総エネルギーの2%以上の量でのリノール酸(18:2) 40
、不適切なタンパク質栄養状態はインスリン抵抗性を増
の包含が、インスリン感受性および食後脂肪クリアラン
加させる;および4)タンパク質および脂肪からの1:
スを改善することが驚くべきことに判明した。これらの
1比率のエネルギー、好ましくはタンパク質、脂肪、お
発見は:1)魚油の添加がインスリン抵抗性を減少させ
よび炭水化物からの1:1:1比率のエネルギーがイン
るが、リノール酸要求を高めるように見える;2)トラ
スリン感受性の改善に最適であるということである。
ンス脂肪酸がインスリン抵抗性を増加させるが、またリ
【0044】
ノール酸の必要性も増加させ得る;3)トランス脂肪酸
試験1
消費と共に観察される増加したインスリン抵抗性は、一
スリン耐性に対する影響
部、リノール酸の誘発された欠損に二次的であり得るこ
最初はC57BLK/SJと戻し交配した我々がタイプ
とを示す。
Aと呼んでいるものおよびその後C57BL/6Jと戻
【0040】
50
− 脂肪タイプならびに脂質レベルおよびイン
し交配したタイプBでの、Leptr(−/−)マウスを
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使用した食事の脂肪酸を試験するための試験。タイプA
スは、タイプAよりも安定しており、より良い実験マウ
は極度に肥満であり、非常に高い血中グルコース濃度で
スであるが、維持が難しかった。それらはタイプAより
あった。それらは弱すぎて、食事の負荷の圧力下に代謝
も低いグルコース、良好なインスリン試験結果(testing
が破壊された。脂肪を全ての食事の脂肪酸を制御するた
)を有するが、まだ肥満およびインスリン抵抗性、グル
めに注意深く混ぜることにより、我々は、インスリン抵
コース不耐性などになった。加えて、タイプBを通常食
抗性結果に対するn−3脂肪酸に関する基本情報を集め
摂取に制限したとき、それらはWT正常マウスに近づく
るために、管理した。主に飽和脂肪として40%enを
ITTを有し、それらのインスリン/肥満問題が直接過
含み、18:2からは2%enのみである食事を、n−
食と関連していることを示した(2型ヒトと同様)。18
3脂肪酸の何らかの効果を増強するために設計した。魚
:2のWTマウスへの添加は、数匹のマウスが、我々が
油はインスリン感受性および血漿トリグリセリドの観点 10
グルコースが投与可能になる前にi.p.インスリンによ
からそれらの環境を改善し、n−3長鎖脂肪酸はグルコ
りインスリン昏睡で死亡したため、インスリンへの感受
ースクリアランスを増加することを示唆した。しかしな
性を増加させるように見えた。これは、脂肪酸摂取のタ
がら、これらのn−3補給タイプマウスはより体重(脂
イプおよび質量がマウスインスリン動力学に大きな影響
肪)が増加する傾向にあり、それらの経口脂肪負荷(OF
を有し得るとの第二の手掛かり(試験1におけるn−3
TT)に対する応答は、恐らく中性油(オリーブ)が負荷
FA後)であった。また、Brandeis
casu
強制飼養脂肪として働くとき、障害された。これは他の
al
WTにおける18:2はそれらのOFTTを改善
脂肪/油がより代表的な負荷を提示するかどうかの問題
し、これらのWTはタイプBまたはDIO
を提起した(WTマウスでの試験4参照)。
、すなわち、2つの肥満モデルのいずれかよりも良いO
【0045】
FTTを有した。
n−3エイコサペンタエン酸(EPA)+ドコサヘキサエ 20
【0047】
ン酸(DHA)は糖尿病性グルコース代謝およびインスリ
レプチン受容体がなく、通常可食であるために食事制限
ン耐性試験(ITT)を助け、食後脂肪クリアランスおよ
をしたマウスに、漸増量(エネルギーの2、4および6
び付加された体重増加に関するいくつかの問題が提起さ
%)の多不飽和脂肪酸(18:2)を含む食事を与えると
れた。また、18:3
WTマウス
n−3は、n−3長鎖脂肪酸よ
、制限しなかったマウスと比較して、減少したグルコー
りも僅かな18:2摂取を悪化させ得るように見える。
スレベルおよび改善したインスリン感受性を有した。こ
要約すると、証拠は必須脂肪酸状態が糖尿病に重要であ
れは、本動物モデルでのインスリン/肥満問題が、2型
ることを示唆する;すなわち高い18:2要求を有する
糖尿病を有するヒトに非常に類似して過食と直接関係す
可能性があり、それは利益を得るために何らかの食事介
ることを示した。
入に入れ込まなければならない。したがって、魚油の食
【0048】
事への添加はインスリン感受性および血漿トリグリセリ 30
試験3
ドを改善し、n−3−多不飽和脂肪酸(PUFA)がグル
トランス脂肪酸(FA)が摂取とヒトの糖尿病リスクの間
コースクリアランスを改善することを示唆する。しかし
の強い相関関係を有するため、我々は3レベルのトラン
ながら、n−3補給を受けた全てのマウスがより脂肪重
スFA(0、8、16%en)を、社内で利用可能なマウ
量を増加させる傾向にあり、オリーブ油を使用した経口
スの集団に与えた。9匹は遺伝的に変えられたIR/I
脂肪負荷に対するマウスの応答は障害されていた。故に
RS−1+/−糖尿病マウスであり、1版は我々のコロ
、グルコース制御は改善されるが、体重は増加した。証
ニーからの一般的野生型であり、合計18匹のマウスで
拠は、必須脂肪酸状態が糖尿病のために重要であり、そ
、1食事あたり6匹であった。トランスFA摂取は、コ
して多不飽和脂肪酸(18:2)要求を有し得て、それは
ントロール食(トランス無し)と比較してITTを障害し
何らかの食事介入に入れ込まなければならない。
【0046】
、そして障害はトランス摂取と直接関係したが、LEP
40
試験2
タイプB
− 糖尿病重症度のトランス脂肪試験
Tr(−/−)マウスで見られる程度まではなかった。ト
ランスについて血中脂質を下げる傾向があったが、トラ
Leptr(−/−)(試験2)と、Leptr
ンスはまた食事摂取の減少ももたらした。
(−/−)、すなわち、C57BL/6Jのために戻し交
【0049】
配に使用した野生型マウス(試験5)を比較するとき、我
トランス脂肪酸は18:2要求および糖尿病感受性を上
々は試験2および5を組み合わせた(n=18)。ここで
げる一方、食欲を抑制し得る(インスリン感受性は食事
、我々はまたタイプB(これはタイプAと同様過食であ
摂取の減少に関係なく減少した)。トランス脂肪摂取は
り、いずれもレプチン受容体を有しないためである)に
、エネルギーの8および16%をトランス脂肪として摂
おける食事制限およびの項も試験し、インスリン感受性
取したマウスにおけるインスリン耐性を、コントロール
応答の評価中に漸増させる18:2
食(0%トランス脂肪)のマウスと比較して障害した。減
PUFA(2%、
4%、6%enで増加)の設計を加えた。タイプBマウ
50
少したインスリン感受性はトランス脂肪摂取と直接関係
( 12 )
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した。しかしながら、トランス脂肪について血中脂質を
脈硬化症に対する影響
下げる傾向にあったが、トランス脂肪を含む食事はまた
apoE欠損マウスを3群に分けた:1)制御食(AHA
食事摂取の減少ももたらした。
;60%CHO、19%タンパク質、21%脂肪);2)
【0050】
高脂肪/高タンパク質食(Atkins;11%CHO、30
トランス脂肪は多不飽和脂肪酸(18:2)要求および糖
%タンパク質、59%脂肪);および3)高炭水化物/低
尿病感受性を上げる一方、食欲を抑制し得、同様にイン
脂肪食(Ornish;71%CHO、18%タンパク質、1
スリン感受性が食事摂取の減少に関係なく減少し、これ
1%脂肪)。空腹時血漿脂質、コレステロール、経口グ
は直感と逆であるように見える。
ルコース耐性試験およびインスリン抵抗性試験を食事介
【0051】
試験4
−
入10および12週間後に行った。本試験は、現在ヒト
脂肪耐性試験
ここで、我々はBrandeis
10
casual
で流行しており、我々の脂肪/インスリン仮説に概念的
WT
に直接働く、主要栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)
マウスにおける脂肪タイプ、すなわち、飽和脂肪に富む
の食事シフトを適用した、アテローム性動脈硬化症感受
コントロール(2%en
性、apoE(−/−)マウスでの我々の初めての大きな
18:2)または+2%en
EPA+DPAを魚油として補われた脂肪の長期摂取が
実験を示す。設計は、5群で8匹マウス/群であり、コ
、負荷脂肪(経口強制飼養)を変えたときに食後応答の差
ントロール群とAtkins食(高脂肪、高タンパク質)の2つ
異を起こすがどうか調べた。我々は、飽和、多不飽和、
の変形(2.4対6.5%en
および単不飽和に富む脂肪を代表するためにヘビー・ク
炭水化物、低脂肪)の二つの変形(0.5対1.3%en
リーム、オリーブ油、およびコーン油で負荷した。
18:2)の食事を比較した。故に、Atkins/Ornish食
【0052】
群内で、18:2によるインスリン感受性に対する効果
応答は、驚くべきことに、長期脂肪の根底を成す影響お 20
をさらに調べる(tease out)ために、変形は18:2と
よび負荷脂肪特性の両方に関してであった。コントロー
してのPUFAの高および低レベルであった。
ルマウスは、FO補給マウスと同様にはOFTTに応答
【0055】
せず(n−3
PUFAが脂肪−インスリン代謝を改善
Atkinsマウス(高カロリー密度)はOrnishよりも少ない食
するとのさらなる証拠)、およびOOがコントロールの
事およびカロリー摂取であったが、驚くべきことに体重
ためには最悪の負荷であり、一方全脂肪がFOマウスに
または脂肪は差がなかった。その結果、Ornishマウスは
おいてほとんど同様であった。これらのWTマウスにお
Atkinsマウスよりも多い食事を取り、多いコレステロー
いて、長期FOはOFTTを増加するように見え、試験
ルを摂取した。Ornish(雄および雌)マウスはAtkinsマウ
1におけるタイプAマウスと対照的であることに注意す
スと比較して顕著に高い血漿TC、肝臓ECおよびアテ
べきである。コーン油は、両方の長期食事群で独特の“
ローム性動脈硬化症を有した。Ornishマウスにおける高
遅延二重反発(late double-bounce)”をもたらした。マ 30
PUFA摂取は雄でアテローム性動脈硬化症を減少させ
ウス試験における脂肪負荷(OFTT)の結果の選択およ
る傾向にあったが、雌ではなかった。Ornish雄は雌より
び解釈のときに注意深く選択しなければならないことが
高い血漿総コレステロールであったが、肝臓ECは雌で
大切である(恐らくヒトおよび他の種にも同様に当ては
高く、アテローム性動脈硬化症は雄および雌で等しかっ
まる)。これは、一部、我々が、我々の食事環境下でイ
た。雄アテローム性動脈硬化症は食事介入に感受性であ
ンスリン機能/インスリン抵抗性の単独の最良の指標と
り(Ornishが高く、Atkinsが低い)、一方雌はインスリン
してITTに焦点を当てているためである。故に、脂肪
感受性(ITT)により応答性であり、Atkinsマウスがよ
負荷の結果の解釈は、使用したマウスモデルも考慮すべ
り抵抗性であった。
きである。野生型マウスにおいて、長期魚油補給は、レ
故に、恐らく肝臓が炭水化物を直接代謝し、その後それ
プチン受容体欠損マウスと比較して脂肪耐性を促進する
ように見える。
をリポタンパク質中、コレステロールと共に脂肪として
40
【0053】
試験5
−
18:2)、Ornish食(高
排泄することを強いられるため、炭水化物は一般に肝臓
および血漿コレステロールを上げることにより不利な効
試験2参照(野生型)
果を発現する。これは、増加した肝臓および血中脂質、
多不飽和脂肪酸(18:2)の野生型マウスの食事への添
ならびにアテローム性動脈硬化症をもたらした。
加は、インスリンへの感受性を高めた。加えて、18:
【0056】
2の野生型マウスの食事への添加は、肥満の他の2種の
肝臓コレステロールはアテローム性動脈硬化症のよい予
マウスモデルと比較して、経口脂肪負荷耐性を改善した
測であり、驚くべきことに血漿総コレステロールレベル
。
よりも遙かに優れていた。Atkins雄はわずかに多い脂肪
【0054】
試験6
−
を有し、少ない食事量の傾向にもかかわらず大きい腎臓
apoE(−/−)マウスにおける高脂肪/
高タンパク質と高炭水化物/低脂肪食のアテローム性動 50
を有する傾向にあり、一方全てのOrnishは大きな肝臓を
有した。加えて、全てのAtkinsマウスは悪いITTを有
( 13 )
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し、すなわち、よりインスリン抵抗性となった。
【0061】
【0057】
試験8
このapoE(−/−)アテローム性動脈硬化症感受性モ
この実験の目的は、我々のマウスモデルにおける食事の
デルは、主要栄養素操作に良好な応答を示した(インス
コレステロールの相対的重要性の決定であり、この場合
リン感受性、血液、大動脈および肝臓脂質、脂肪貯蔵)
、コレステロール感受性雄apoE(−/−)マウスで行
。高炭水化物/低脂肪食は、高脂肪/高タンパク質食と
った。すなわち、全体として他の食事の主要成分(macro
比較してより多い食事摂取および増加した総血漿コレス
ingredient)と比較して、どの程度までそのマウスの高
テロール、ならびに動脈および肝臓コレステロール蓄積
コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症が、
をもたらした。対照的に、高脂肪/高タンパク質食は、
食事コレステロールに依存するのか?3食は飽和脂肪に
高炭水化物/低脂肪食と比較してインスリン抵抗性およ 10
富むおよび0、0.04%または0.08%コレステロー
び障害されたグルコースクリアランスをもたらした。こ
ルいずれかを含むもの、12週であった。これらのap
れらの結果は、高脂肪/高タンパク質食および高炭水化
oE(−/−)マウスはコレステロール摂取量に非常に感
物/低脂肪食の特異的局面を、体重減少ならびに冠動脈
受性であることが確認されており、本質的にコントロー
心疾患および2型糖尿病の危険性の減少のために一般集
ルと最高摂取の間で総コレステロールは2倍であった。
団に処方する前に評価する必要があることを示す。
【0062】
【0058】
試験10
試験7
−
apoE(−/−)マウスにおける食事タン
−
C57BL/6Jマウスにおける食事の
主要栄養素組成物および血漿脂質およびインスリン感受
パク質(15、30および45%en)の血漿脂質および
性
インスリン感受性(ITT)に対する影響
これは試験6および試験7のフォローアップであった。
本試験は、ATKINS食の内容物中のタンパク質のレベルを 20
食事誘発肥満のマウスを4種の食事のいずれかに無作為
、その食事に感受性のApoEマウスを使用して試験し
に分けた:1)制御食(AHA;60%CHO、19%タ
た。3つの食事群は炭水化物の代わりに3レベルのタン
ンパク質、21%脂肪);2)高脂肪/高タンパク質食(
パク質(15、30、45%en)を有し、一方脂肪は、
11%CHO、31%タンパク質、58%脂肪);3)高
最初は30%en(通常)で12週試験期間一定に維持し
脂肪/通常タンパク質(11%CHO、19%タンパク
た。その後16週間、脂肪を50%en(高脂肪、真Atk
質、70%脂肪);および4)高炭水化物食を対給餌(pai
ins)に増加させた。低タンパク質(通常)食が雌における
r fed)および自由に食事(70%CHO、19%タンパ
インスリン感受性に最良であり、高タンパク質が両方の
ク質、11%脂肪)。空腹時血漿脂質、コレステロール
性別で最悪であった。非常に高タンパク質は脂肪組織を
、経口グルコース耐性試験およびインスリン耐性試験を
大きく減少させ、腎臓を大きくしたが、総コレステロー
食事介入12週後に行った。
ルには影響しなかった。この減少した脂肪(高脂肪およ
30
【0063】
び最高タンパク質でのみ)は、幾分インスリン抵抗性を
apoE(−/−)マウスにおける試験6および試験7の
説明し、Atkins食がなぜヒトにおける体重減少のために
フォローアップとして、これはATKINS食が、試験6から
作用するかの手掛かりも提供する。
考えられるようにORNISHよりも本当に良いか否かを決定
【0059】
するために、DIOモデルとして50匹の雄および雌W
炭水化物のタンパク質への置換は脂肪および体重を減少
Tマウス(C57BL/6J)で行った大きな仕事を代表
させた。しかしながら、腎臓重量は増加する傾向にあり
する相補的実験であった。Atkins/Ornish群(試験6の
、機能低下を示す。加えて、最高タンパク質食(45%
例ではない)の間のカロリーおよびコレステロール摂取
タンパク質)は血漿コレステロールレベルを増加させた
の差異をコントロールするために、1つのOrnish群(高
。最低タンパク質食(15%タンパク質)は雄におけるイ
ンスリン感受性を改善し、最高タンパク質食(45%タ
CHO、低脂肪)をAtkins(高脂肪/高タンパク質)群と
40
対給餌(kcals)させた。これらのC57BL/6Jマウ
ンパク質)は雄および雌マウス両方におけるインスリン
スに、最初に典型的西洋食に類似した安定化食を2週間
感受性を減少させた。
与え、その後、以下に示す通り炭水化物、脂肪、および
【0060】
タンパク質組成が異なる5種の食事の一つ(n=9−1
ApoE欠損マウスを3群に分けた:1)通常タンパク
0/群)を与えた:
質食(55%CHO、15%タンパク質、30%脂肪);
群1。米国心臓協会(AHA)コントロール、修飾脂肪食
2)高タンパク質食(40%CHO、30%タンパク質、
:60%en
30%脂肪);および3)最高タンパク質食(25%CH
9%en
O、45%タンパク質、30%脂肪)。空腹時血漿脂質
群2。高脂肪/高タンパク質食:11%en
、コレステロール、経口グルコース耐性試験およびイン
、58%en
スリン耐性試験を食事介入12週後に行った。
50
提供。
炭水化物、21%en
脂肪、および1
タンパク質を提供。
脂肪、および31%en
炭水化物
タンパク質を
( 14 )
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群3。高脂肪/通常タンパク質食:11%en
物、70%en
A
脂肪、および19%en
炭水化
タンパク質
を提供。
そして高炭水化物食−対給餌は70%en
炭水化物、
19%en
脂肪(この
タンパク質および11%en
群のマウスは高脂肪/高タンパク質群と適合するように
群4。高炭水化物食−対給餌:70%en
11%en
脂肪、および19%en
炭水化物、
カロリー的に対給餌した)を提供した。高炭水化物食−
タンパク質を提
自由は、高炭水化物−対給餌群と同じであるが、この群
供。この群のマウスは高脂肪/高タンパク質群2と適合
のマウスは自由に食事を食べた。
するようにカロリー的に対給餌した。
【0068】
群5。高炭水化物食−自由:食事組成は高炭水化物−対
マウスに実験食を17週与えた。体重を本介入中毎週測
給餌群4と同一であるが、この群のマウスは自由に食事
を食べた。
定した。インスリン耐性試験を食事の介入12週後に行
10
った。マウスをこの食事の17週後に殺した。殺したと
【0064】
きに血液を採取し、血漿脂質を分析した。肝臓、腎臓お
本試験の目的は、肥満の傾向がある野生型マウスモデル
よび腎周囲脂肪組織を回収し、重量を決定した。
であるC57BL/6Jマウスにおける体重増加、血漿
【0069】
脂質、およびインスリン感受性に対する種々の食事の炭
種々の主要栄養素組成の食事を与えたマウスにおける毎
水化物、タンパク質、および脂肪組成の効果を調べるた
日の概算されるカロリーおよびコレステロール摂取を表
めであった。また、雄および雌C57BL/6Jマウス
2に示す。AHA、高脂肪/高タンパク質、高脂肪/通
が食事の種々の主要栄養素組成物に異なって応答するか
常タンパク質与えたマウスおよび高炭水化物−対給餌マ
否かも試験した。
ウスは、約13kcal/日/マウスの同等なカロリー摂取
【0065】
であったが、高炭水化物−自由給餌マウスは約18kcal
動物および食事:雄および雌C57BL/6Jマウス(
20
/日/マウスを消費した。
n=44)に、最初に典型的西洋食に類似した安定化食
【0070】
を2週間与えた。その後、マウスに表1に示す通り種々
【表2】
のCHO、タンパク質および脂肪組成の5種の食事の一
つ(n=4−5雄および4−5雌/群)を与えた。
【0066】
【表1】
30
【0071】
雄および雌C57BL/6Jマウスの体重および臓器重
量を表3に示す。雄において、高脂肪食と対給餌の高炭
水化物食を与えたマウス(すなわち、AHAおよび高脂
肪給餌マウスと同様のカロリー摂取)は最も少ない体重
増加であった。高脂肪食であるが、通常のタンパク質を
与えたマウスは高炭水化物−対給餌マウスよりも2倍多
い体重増加であり、高脂肪/通常タンパク質群よりも約
5Kcal/日多く消費する高炭水化物自由給餌マウスは著
しく体重が増加した。脂肪のタンパク質への交換(高脂
40
肪/高タンパク質群)は少ない体重増加をもたらした。
同様に雌でも類似の傾向が見られ、高炭水化物−対給餌
マウスが最も少ない体重増加であり、高脂肪/通常タン
パク質を与えたマウスが最も体重が増えた。
【0067】
雌において、脂肪のタンパク質への交換(高脂肪/高タ
要約すると、AHA制御食は60%en
炭水化物、1
ンパク質群)は、雄ほど多い体重増加の減少がなかった
9%en
タンパク質および21%en
脂肪を提供し
。
;高脂肪/高タンパク質食は11%en
炭水化物、3
【0072】
1%enタンパク質および58%en
脂肪を提供し;
高脂肪/通常タンパク質食は11%en炭水化物、19
%en
タンパク質および70%en
脂肪を提供し; 50
【表3】
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28
【0073】
【0076】
肝臓重量(体重%として)は高炭水化物対給餌ならびに自
雄マウスにおける肝臓脂質データを表5に示す。
由給餌雄および雌マウスで最高であった。雄において、
【表5】
腎臓重量は、高脂肪/通常タンパク質群と比較して高脂 20
肪/高タンパク質群および高CHO−対給餌群で高かっ
た。腎周囲脂肪症は高脂肪/通常タンパク質食を与えた
雄および雌マウスで最高であった。
【0074】
空腹時血漿総コレステロールおよびトリグリセリドを表
4に示す。雄において、血漿総コレステロールは群間で
有意な差は無かった。しかしながら、高脂肪/高タンパ
【0077】
ク質食を与えたマウスは、AHA、高脂肪、および高炭
雄および雌のITTデータを各々図7−8に示す。雄に
水化物食を与えたマウスと比較して、血漿総コレステロ
おいて、高脂肪/通常タンパク質給餌マウスは、他の食
ールのベースラインからの上昇が最低であった。雌にお 30
事、とりわけ高脂肪−高タンパク質食と比較して、イン
いて、高脂肪/高タンパク質食は、血漿総コレステロー
スリン投与30および60分後の血中グルコースが高い
ルのベースラインからの最大の減少をもたらした。高炭
傾向にあった。雌において、高炭水化物−自由給餌マウ
水化物食(対給餌および自由給餌両方)を与えたマウスは
スおよび高脂肪/通常タンパク質マウスは、インスリン
、高脂肪/高タンパク質および高脂肪/通常タンパク質
投与30および60分後に高い血中グルコースであった
食と比較して、17週の介入後血漿総コレステロールが
。故に、本データは、高脂肪摂取またはより高いカロリ
有意に高かった。ベースラインからの血漿トリグリセリ
ー摂取がインスリン抵抗性を誘発し得ることを示唆する
ドの変化は全群で類似であった。雌において、驚くべき
。
ことに、高炭水化物−対給餌マウスは、高炭水化物自由
【0078】
給餌マウスよりも有意に高い血漿トリグリセリドを有し
た。
比較を容易にするために、これらの試験を通して使用し
40
た種々の食事中の炭水化物、脂肪、およびタンパク質の
【0075】
比率を図9−10に示す。
【表4】
【0079】
体重増加および脂肪症:食事の炭水化物、脂肪およびタ
ンパク質組成物の体重増加およびインスリン感受性にお
ける効果をC57BL/6J雄および雌マウスで試験し
た。結果は図11−12に示す。
【0080】
高炭水化物食のマウスは、高脂肪食のマウスと比較して
1日あたり顕著に高いカロリーを摂取した。カロリー摂
50
取の差に由来し得る体重増加の差をコントロールするた
( 16 )
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めに、高炭水化物食のマウスの1群を、本試験で高脂肪
った。故に、タンパク質の脂肪が高い食事への添加はイ
食/高タンパク質と対給餌した。主要栄養素組成物の変
ンスリン感受性を改善するように見える。
化は、この野生型マウスモデル、とりわけ雄において体
【0084】
重増加および脂肪症に顕著な影響を有した。70%en
結論として、高脂肪食は野生型C57BL/6Jマウス
脂肪および19%en
タンパク質を提供する高脂肪
において体重増加、脂肪症、およびインスリン抵抗性を
食は、AHA制御、高脂肪/高タンパク質および高炭水
誘発した。故に、高脂肪食は、個体をメタボリック症候
化物食と比較して、カロリー摂取が高炭水化物自由給餌
群に罹患しやすくする。高炭水化物食は体重増加を高め
マウスと比較して低いときでさえ、より大きな体重増加
ないが、高炭水化物食を与えたマウスはより高いカロリ
および脂肪症を誘発した。高脂肪摂取により高められた
ーを消費し、とりわけ雌において、血漿TCが高かった
脂質生成は、増加した脂肪症および体重増加をもたらし 10
。脂肪がタンパク質に変わっている高脂肪/高タンパク
得る。
質食は、高脂肪食と比較して少ない体重増加、少ない脂
【0081】
肪症、および改善されたインスリン感受性をもたらした
高脂肪摂取は、全て脂質合成および脂肪の貯蔵に関与す
。故に、本試験は、脂肪対タンパク質比率がエネルギー
るレプチン、ASP、およびアディポネクチンのような
バランス、脂肪症、および肥満の制御に重要であり得る
肝臓脂質生成酵素および/または脂肪ホルモンを変え得
ことを示唆する。
る。図13参照。低炭水化物摂取での高脂肪摂取は脂肪
【0085】
分解および脂肪酸酸化を増加することが報告されている
これらの野生型C57BL/6Jマウス、いわゆる食事
。しかしながら、食事中の脂肪の脂肪酸酸化の上方制御
誘発肥満(DIO)モデルデータから、いくつかの点が得
は限度があることが報告されている。故に、増加した脂
られた:
質合成/貯蔵および制限された脂肪分解および脂肪酸酸 20
1.
化に由来するエネルギーアンバランスが体重増加をもた
)における高脂肪/通常タンパク質食は、AHAまたは
らし得る。高脂肪/高タンパク質食給餌マウス(58%
高炭水化物、対給餌食のいずれかと比較して最高の体重
en
増加および脂肪症をもたらした。食事の脂肪に変えてタ
脂肪および31%en
ながら高脂肪(70%en
タンパク質)は、しかし
群3(70%en
脂肪、19%en
タンパク質
脂肪)給餌マウスよりも体重
ンパク質の高脂肪食への添加(高脂肪/高タンパク質、
増加が顕著に少なかった。故に、食事中の脂肪に変えた
群2)は、AHAおよび高炭水化物食と比較して、とり
タンパク質含量の増加は、体重増加および脂肪症を予防
わけ雄において少ない体重増加および脂肪症をもたらし
する。しかし、カロリー摂取を制限したとき、高炭水化
た。これは、余分のタンパク質または減少した脂肪のい
物食は、本試験の野生型マウスモデルにおいて体重増加
ずれかが、脂肪が過多である環境で肥満に好ましい影響
が最も少なかった。
を有することを示唆する。恐らく全3種の主要栄養素が
【0082】
30
重要であり、繊細にバランスを取っている。恐らく各々
血漿脂質:高炭水化物食は、とりわけ雌において血漿T
の質も役割を有する。この脂肪/タンパク質比率は体重
Cを増加させた。高炭水化物摂取は肝臓VLDL分泌を
制御食のための重要な観察を示し得る。
増加し得、それは増加した血漿TCに至り得る。血漿コ
【0086】
レステロールクリアランスもまた高炭水化物食により障
2.
害され得た。高脂肪/高タンパク質食は、血漿総コレス
よび高脂肪/通常タンパク質(Grp2+3)と比較して
テロールのベースラインからの変化が最も好ましい傾向
高炭水化物(Ornish)食で10倍高かった。故に、カロリ
にあった。最近のヒト試験はまた、脂肪およびタンパク
ーおよび食事のコレステロール摂取が同等でさえ(kcal
質のいずれかが高い非常に低い炭水化物食は、血漿TC
およびコレステロール摂取がほとんど制御されていない
を減らすか、または変化させないかのいずれかであるこ
試験6と異なる)、高炭水化物食は、高脂肪/高タンパ
とを報告している。故に、心血管疾患(CVD)危険性の 40
ク質食と比較して肝臓ECを劇的に増加させた。
観点から、脂肪およびタンパク質が高い食事は有害であ
【0087】
るようには見えなかった。図14−15参照。
3.
【0083】
較して血漿総コレステロールを減少させた。雌において
インスリン感受性:高脂肪(70%en
脂肪)食給餌マ
肝臓ECは、雄において高脂肪/高タンパク質お
高脂肪/高タンパク質Atkins食は、他の食事と比
、高炭水化物食は他の食事と比較して血漿総コレステロ
ウスおよび高炭水化物自由給餌マウスは、外因性インス
ールを増加させた。
リン投与に応答したグルコースクリアランスが障害され
【0088】
ている傾向にあった。高脂肪給餌マウスのインスリン抵
4.
抗性は脂肪症および体重増加に二次的である可能性があ
スおよび高CHO−自由給餌雌マウス(群5)は、他の3
る。高脂肪/高タンパク質マウスは、インスリンに対す
種の食事(コントロール、高脂肪/高タンパク質、対給
る血中グルコース応答はAHAコントロールと同等であ 50
餌炭水化物)と比較して、インスリン感受性が障害され
高脂肪/通常タンパク質食(群3雄および雌)マウ
( 17 )
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た。故に、高脂肪摂取および/または高カロリー摂取は
肪摂取は、インスリン感受性を障害し、インスリン抵抗
、一般に、インスリン作用を障害し、インスリン抵抗性
性を誘発し得る。高脂肪および高炭水化物両方の食事は
を誘発し得る。これは、文献からヒトを含む全ての種で
欠点を有し、重要な変数は同時のタンパク質摂取であり
期待される。
得る。肝臓コレステロールは、高脂肪/高タンパク質お
【0089】
よび高脂肪/通常タンパク質食と比較して高炭水化物食
故に、70%enを脂肪として提供する高脂肪食(およ
で高かった。血漿総コレステロールは、血漿総コレステ
び通常タンパク質)は、雄および雌C57BL/6Jマ
ロールを上昇させる高炭水化物食と比較して、高脂肪/
ウス両方で、肥満を誘発し、同時に脂肪症およびインス
高タンパク質食で減少した。
リン抵抗性を高める。これはアメリカの食事で一般的で
【0091】
あり、このモデルが、メタボリック症候群の食事の局面 10
試験11
を探索するための将来の試験に使用できることを示唆す
本試験は、WT
る。加えて、試験6と試験10の組み合わせたデータは
質およびインスリン感受性応答に対する2つの脂肪摂取
、食事のコレステロール摂取の変動よりむしろ主要栄養
での可溶性繊維の影響を試験した。食事1は“半Ornish
素組成物の差異が、肝臓および血漿脂質の大きな変化の
”、低脂肪制御でスクロース無し、そしてペクチンを広
原因であることを示す(ヒトでの経験上からの現在の考
く6%で添加した。食事2は、40%enでのAM脂肪
えと非常に類似)。試験6のapoE(−/−)マウスに
負荷であるが、そのS:M:P比率はバランスが取れた
おいて、肝臓ECおよび動脈EC(アテローム性動脈硬
脂肪であり、同様にペクチンを6%添加したが、炭水化
化症)は、高炭水化物(Ornish)マウスが高脂肪/高タン
物としてコーンデンプンを添加し、スクロース無しであ
パク質(Atkins)マウスと比較して高かったが、前者はま
った。最後に、食事3はペクチンを除き炭水化物の半分
た食事およびコレステロール摂取も同様に高かった。し 20
をスクロースに変えた。ここでの結果は、食事3が中程
かし、カロリーおよびコレステロール摂取が同等である
度の“肥満”、中程度のコレステロール増加、および最
WT
C57BL(DIO)マウスにおける脂
C57BL/6Jマウスでの試験10において、
低の魅力的(attractive)OGTTおよびITTであった
高炭水化物食(Ornish対給餌、群4)は高脂肪/高タンパ
。これはまた、(雄)DIOマウスが、炭水化物タイプ、
ク質食(真のAtkins、群2)と比較してまだより多い肝臓
脂肪負荷および脂肪:タンパク質比率、コレステロール
ECを蓄積した。さらに、野生型C57BL/6Jマウ
負荷、および、本試験では、可溶性ペクチンの量のよう
スにおける高炭水化物食により誘発された肝臓ECの増
な食事のいくつかの微妙な差異への感受性を含む、食事
加は、apoE(−/−)マウス(試験6)で見られるより
誘発肥満の良いモデルを代表する。
も劇的であった(試験10)。さらに、試験10において
【0092】
、高CHO、対給餌および自由給餌マウスは、自由給餌
試験12
マウスのコレステロール摂取が高くてさえ(2.4対3.
30
C57BL(肥満マウスモデル)マウスを、図9における
4mg/日/マウス)肝臓EC重量が非常に類似しており
5種の食事の一つに無作為化した:1)高脂肪/通常タ
、コレステロール摂取ではなく食事中の高炭水化物含量
ンパク質食(比率4:1;25%CHO、15%タンパ
が肝臓EC蓄積を誘発する主要因子であることを示した
ク質、60%脂肪);2)高脂肪/高タンパク質食(比率
。炭水化物が肝臓における脂肪酸およびコレステロール
2:1;10%CHO、30%タンパク質、60%脂肪
合成を誘発するため、余分の炭水化物が、肝臓コレステ
);3)非常に高脂肪/通常タンパク質(比率3.5:1;
ロールのACAT依存性18:1エステル化の基質およ
10%CHO、20%タンパク質、70%脂肪);4)通
びより多い肝臓コレステロール分泌を提供することが最
常脂肪/高タンパク質(比率1:1;40%CHO、3
も可能性がある。高タンパク質、高脂肪摂取は、脂肪が
0%タンパク質、30%脂肪);および5)中程度の高脂
直接血液に輸送され、肝臓を迂回するため、この炭水化
物効果を排除する。
肪/通常タンパク質(比率2:1;40%CHO、20
40
%タンパク質、40%脂肪)。各食事の組成の詳細は以
【0090】
下の表6に示す。
高脂肪/通常タンパク質食は、高炭水化物食と比較して
【0093】
体重増加および脂肪症を増加させる。しかしながら、タ
【表6】
ンパク質のレベルを食事の脂肪の代わりに増加させると
、体重増加および脂肪症が食高炭水化物に比べて減少す
る。故に、増加したタンパク質および減少した脂肪は肥
満の減少に好ましい影響を有した。タンパク質対脂肪の
比率は、体重制御食に重要であり得る。インスリン感受
性は高脂肪/通常タンパク質および高炭水化物食と比較
して高脂肪/高タンパク質食で改善された。故に、高脂 50
( 18 )
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脂肪対タンパク質比率の1:1を含む食事は、2:1、
3.5:1および4:1の比率よりも良好に脂肪蓄積を
減少させ、インスリン耐性を改善し、そして血中グルコ
ース濃度を減少させた。タンパク質レベルをエネルギー
の15%を超えて増加させると、インスリン感受性を改
善し、良好なグルコース制御を可能にするようである。
【0097】
3.5:1比率は最高のインスリン抵抗性を有した。し
かしながら、最低の総コレステロールレベルも有した。
10
高タンパク質(30%タンパク質)の食事は腎臓重量を増
加させ、安全性および腎臓損傷に関する問題を提起し得
た。
【0098】
1:1比率(食事4、脂肪およびタンパク質両方とも3
0%en)が最良の結果、すなわち、少ない脂肪沈着、
最良のITTグルコース代謝曲線、最低の空腹時血中グ
ルコース、および最大の盲腸をもたらすようである。ま
た、3.5:1比率がITTについては最悪であるが、
タンパク質レベルが少なくとも20%enであるとき、
【0094】
20
最低TCをもたらすことが証明された。15%enから
空腹時血漿脂質、コレステロール、経口グルコース耐性
のタンパク質の増加はこのパラメータを改善するようで
試験、およびインスリン耐性試験を食事介入16週間後
あり、将来いつの日か利点が研究されるであろう。
に行った。データは表7および図16に示す。
【0099】
【0095】
高タンパク質は腎臓重量を増加させるようであり、これ
【表7】
は我々の試験で一貫した発見である。この観察は、長期
間での安全性および腎臓損傷に関する多くの問題を提起
し得、従って30%enを遙かに超えるタンパク質レベ
ルは問題となる。最低タンパク質は最小腎臓サイズを提
供し、タンパク質/腎臓関係を再確認した。
30
【0100】
脂肪:タンパク質比率が1.0を超えて増加すると、代
謝応答は破壊する傾向にある。
これは、恐らく、幾分タンパク質の絶対量により影響さ
れ、最良の性能は、恐らくタンパク質として各々最低か
ら最高い側で20−35%enの範囲である。
【0101】
試験13
−
食事のタンパク質対炭水化物の比率の増
加は、食事の脂肪対炭水化物の増加した比率と比較して
、肥満、心血管疾患および糖尿病に関する危険因子を改
40
善する
米国および他の先進国における肥満およびその関連健康
結果(糖尿病およびアテローム性動脈硬化症を含む)の流
行の増加が、体重減少およびその関連危険因子を軽減す
るために、食事中の主要栄養素組成物をどのように修飾
し得るかの著しい関心に拍車をかけている。本質的に、
どれが最適な炭水化物−対−脂肪−対−タンパク質比率
であるべきかについて多くの議論がある。この議論の具
体化はAtkins(高脂肪、高タンパク質)対Ornish(低脂肪
、高炭水化物)食の討論である。
【0096】
50
【0102】
( 19 )
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36
C57BL/6J(肥満マウスモデル)マウスを6種の食
てはまるであろうとの仮説に至った。
事の一つに無作為化した:1)通常タンパク質/高炭水
【0105】
化物食(75%CHO、15%タンパク質、10%脂肪)
従って、試験13は、肥満、アテローム性動脈硬化症お
;2)中程度タンパク質/高炭水化物食(68%CHO、
よび糖尿病に関係して、炭水化物:タンパク質比率の重
22%タンパク質、10%脂肪);3)高タンパク質/高
要性を解明するための高炭水化物食のないようでのこの
炭水化物(60%CHO、30%タンパク質、10%脂
比率に焦点を絞った。同じ試験で2つの概念を直接比較
肪);4)非常に高タンパク質/中程度炭水化物(45%
するために、タンパク質が一定で脂肪を炭水化物に変え
CHO、45%タンパク質、10%脂肪);5)AHA食
るのを、低脂肪および一定脂肪でタンパク質を炭水化物
(55%CHO、15%タンパク質、30%脂肪);およ
に変えるのと同時に行った(食1−4)。雄C57BL/
び6)中程度高脂肪/中程度炭水化物(40%CHO、1 10
6Jマウス(食事誘発肥満に感受性であることが知られ
5%タンパク質、45%脂肪)。これらの食事の各々の
ている種)を6種の異なる食事群に分けた。6種の異な
詳細を表8に示す。
る食事群のうち、1−4は、タンパク質の15%en
【0103】
to
【表8】
水化物をタンパク質に変え(脂肪からのエネルギーは1
45%enの3倍の範囲をカバーするために、炭
0%で一定)、そして3種の食事を炭水化物を脂肪に1
0−45%enの4.5倍の範囲にわたり置換するため
に設計した(タンパク質からのエネルギーは15%で一
定)。後者の比較はタンパク質−炭水化物マトリックス
からの群を共有する。表8参照。
20
【0106】
本試験の結果を表9−26および図17−31に示す。
これらの結果は、炭水化物のタンパク質での置換(タン
パク質:炭水化物比率の増加)が、減少した血漿総コレ
ステロールおよび肝臓エステル化コレステロール(EC)
、幾分増加した血漿および筋肉トリグリセリド含量をも
たらし、一方インスリン感受性を減少させ、すなわち、
炭水化物のタンパク質での置換は、この低脂肪摂取でグ
ルコース代謝を助けるようには見えなかった。よって、
タンパク質は脂肪摂取が低ければ、良くはない。炭水化
30
物の脂肪での置換(すなわち、最高炭水化物から最高脂
肪食への置換)は肝臓エステル化コレステロールを減少
させ、そしてインスリン感受性を減少させ、また炭水化
物の代わりの脂肪の添加は、グルコース代謝に良くない
ようである。
【0104】
【0107】
空腹時血漿脂質、コレステロール、経口グルコース耐性
さらに、炭水化物のタンパク質置換と異なり、脂肪:炭
試験およびインスリン耐性試験を食事介入16週後に行
水化物比率の増加は脂肪症および体重増加ならびに血漿
った。文献に記載され、そしてHayes labで集められた
、筋肉、および肝臓トリグリセリドを著しく増加させた
証拠は、減少した体重増加、脂肪貯蔵、および心血管疾
。故に、高脂肪は良くない。この試験の焦点はタンパク
患の危険性の観点から、一般に許容されている低脂肪、 40
質:炭水化物および脂肪:炭水化物比率であるが、これ
高炭水化物食よりもはるかに脂肪およびタンパク質が高
らの結果はまたタンパク質:脂肪比率に対する我々の知
い食事が好ましいとの証拠を提供している。我々の最初
識に貢献する。後者の比率が増加すると、インスリン感
の焦点は脂肪−対−炭水化物比率であったが、高脂肪食
受性が増加し、脂肪症が顕著に減少し、一方血漿および
の内容での脂肪−対−タンパク質比率の重要性に対する
肝臓コレステロールならびに血漿、肝臓、および筋肉ト
認識が増えていった。最近のマウス試験において、高脂
リグリセリドが減少する。故に、Atkins食の減少したイ
肪高タンパク質食の内容での減少した脂肪:タンパク質
ンスリン感受性は脂肪に由来するものとは別である。こ
比率(最高タンパク質摂取)は、高脂肪で通常タンパク質
れは、高すぎる脂肪は悪いが、低すぎるタンパク質は幾
摂取よりも少ない体重増加および低い血漿コレステロー
分よく、従って炭水化物プールに変え、この全ては三角
ルをもたらした。これらの発見は、同じパターンが高炭
形の中央のどこかの集積を示唆する。
水化物食における低い炭水化物:タンパク質比率にも当 50
【0108】
( 20 )
JP
37
38
要約すると、炭水化物をタンパク質で置き換えることは
、タンパク質として30%enまでで肥満、糖尿病、お
よび心血管疾患の危険性に有益な効果を有する。タンパ
ク質:炭水化物比率の増加は、脂肪を炭水化物に変えた
同等な食事を与えたマウスよりも高いインスリン感受性
、顕著に低い脂肪貯蔵、および低い血漿、筋肉、および
肝臓トリグリセリド含量をもたらした。従って、高炭水
化物食の炭水化物含量を減らしたとき、タンパク質での
置換は、このマウスモデルで脂肪での置換よりも肥満、
糖尿病、およびアテローム性動脈硬化症の危険性を減ら 10
【0113】
した。
【表10】
【0109】
グルコース制御におけるより高いタンパク質の利点は、
脂肪摂取が低すぎるときには起こらない。炭水化物のタ
ンパク質での置換は血漿総コレステロールおよび肝臓エ
ステル化コレステロールレベルを減少した。それはまた
血漿および筋肉トリグリセリド含量レベルを増加させ、
一方インスリン感受性を減少させた(図17参照)。従っ
て、炭水化物のタンパク質での置換は、エネルギーの1
0%の脂肪摂取でグルコース代謝を助けるようには見え 20
なかった。
【0110】
炭水化物の脂肪での置換は肝臓エステル化コレステロー
ルを減少させ、インスリン感受性を減少させ(図18参
照)、また炭水化物の代わりの脂肪の添加はグルコース
代謝に好ましくないことを示唆した。さらに、炭水化物
のタンパク質置換と異なり、脂肪:炭水化物比率の増加
は、脂肪症および体重増加ならびに血漿、筋肉、および
【0114】
肝臓トリグリセリドを著しく増加させた。故に、高脂肪
【表11】
は良くない。
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30
【0111】
炭水化物のタンパク質での置換はタンパク質としてエネ
ルギーの30%までで肥満、糖尿病、および心血管疾患
の危険性に有益な効果を有する。タンパク質対炭水化物
比率の増加は、脂肪を炭水化物に変えた同等な食事を与
えたマウスよりも高いインスリン感受性、顕著に低い脂
肪貯蔵、および低い血漿、筋肉、および肝臓トリグリセ
リド含量をもたらした。従って、高炭水化物食の炭水化
物含量をはらしたとき、タンパク質での置換はこのマウ
スモデルで脂肪での置換よりも肥満、糖尿病およびアテ 40
ローム性動脈硬化症の危険性を減らした。
【0112】
【0115】
【表9】
【表12】
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( 21 )
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39
40
【0119】
【表16】
【0116】
【表13】
【表17】
【0117】
【表14】
【表18】
【表19】
【0118】
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40
【表15】
【0120】
【表20】
A
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( 22 )
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41
42
【0124】
【表24】
【0125】
【0121】
【表21】
【表25】
10
【0122】
【表22】
【0126】
【表26】
【0123】
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30
【表23】
【0127】
【表27】
【0128】
【表28】
50
【0129】
A
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【表29】
食事投与14週後の肝臓、大動脈、および血漿コレステ
ロールレベルを表29に示す。
最高コレステロール成分を有する食事を与えられたがス
タチンを投与されたマウスは、同じ食事を与えられたが
、スタチンがないマウスと比較して肝臓、大動脈、およ
び血漿コレステロールレベルが著しく低かった。精巣上
体および合わせた腎周囲および精巣上体脂肪重量および
トコフェロールレベルの顕著な減少もまた観察された。
【0134】
【0130】
10
【表32】
【表30】
【0131】
試験14
本試験の目的は、コレステロールレベルに対するスタチ 20
ン(Mevacor)の効果を試験することであった。ApoE(
−/−)マウスの3群各々に、3種の食事のいずれかを
与え、各食事は異なるコレステロールレベル(すなわち
、0、0.4、および0.8g/kg)を含んだ。第四の群
は、0.8g/kgのコレステロールと共に0.5g/kgの
スタチン(すなわち、Mevacor)をさらに含む食事を与え
た。食事組成の詳細は表28に示す。
【0132】
【表31】
【0135】
試験15
本試験の目的は、先の試験、特に試験1の、C57BL
jマウスにおける肥満/インスリンデータを利用するた
めの、ApoEマウスにおけるアテローム性動脈硬化症
のより明確なデータを得ることであった。その目的のた
40
めに、我々は、類似のAtkins/Ornish比較を、これらの
apoE(−/−)マウスで18週間にわたり与え、十分
なアテローム性動脈硬化症を発症させた。効果について
、我々は脂肪:タンパク質比率を、それがどの程度アテ
ローム発生に影響するかを見るために試験した。我々は
また雄および雌両方を使用し、試験した結果値に大きな
差異があるかどうかを見た。
【0136】
ApoE欠損マウスを4群に分けた:1)高脂肪/通常
タンパク質食(25%CHO、15%タンパク質、60
【0133】
50
%脂肪);2)高脂肪/高タンパク質食(10%CHO、
( 24 )
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30%タンパク質、60%脂肪);3)非常に高脂肪/通
【0139】
常タンパク質(70%CHO、20%タンパク質、10
【表35】
%脂肪);および4)高炭水化物/通常タンパク質(70
%CHO、20%タンパク質、10%脂肪)。各食事の
組成の詳細は表31に示す。
【0137】
【表33】
【0140】
空腹時血漿脂質、コレステロール、経口グルコース耐性
試験およびインスリン耐性試験を食事介入16週後に行
った。脂質、コレステロール、および血中グルコースデ
【0138】
ータを雄および雌マウスについて各々図30A−Bに示
【表34】
す。インスリン耐性試験データを図32−34に示す。
30
【0141】
高脂肪は、高炭水化物摂取に関連してC57BLマウス
(とりわけ雌において)における通り、明確に体重増加を
高めた。高タンパク質は雄において体重増加を補正しな
かったが、雌においては補正した。また体重増加の観点
で雌は雄よりも高脂肪の影響を受けない。
【0142】
非常に高脂肪は、ヒト大腸機能で行われていると思われ
ているように、盲腸に悪影響を与え、そのサイズを減少
させた。
40
【0143】
血中グルコースは雌においてより影響し、一方低タンパ
ク質または非常に高脂肪(増加した脂肪:タンパク質比
率)はグルコースを高めた。高脂肪食は、グルコースに
関して高炭水化物食より悪く、すなわち、食物炭水化物
負荷は、C57BLマウスにおいて行われたようにグル
コース代謝系を助けた。
【0144】
血漿総コレステロールは、とりわけ雌において高炭水化
物食で高いが、トリグリセリドは高炭水化物は両方の性
50
別で低かった。雌総コレステロールは同じ食事の雄より
( 25 )
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約100mg/dl低かった。
【0145】
ITTは、とりわけ雌において高炭水化物で最良であり
、一方高脂肪、高タンパク質および高脂肪、通常タンパ
ク質はとりわけ雄において悪く、これは、最悪の脂肪に
対する脂肪応答を有した。本質において、高脂肪:タン
パク質比率はITTに有害な効果を有する。
【0146】
高脂肪食は、C57BL(試験12)を摸倣する傾向にあ
るapoE(−/−)マウスに置いてさえ、明確に問題で 10
ある。肥満は脂肪を添加すると大きく、一方グルコース
代謝は高い炭水化物で良好である。肥満は雌apoEマ
ウスで良好に証明された。血中総コレステロールはこれ
らの試験で高炭水化物で一貫して高いが(血液プールへ
の前駆体として肝臓中でECにより誘発)、幾分与えた
脂肪のタイプに依存し、まだ明らかになっていない点で
ある(しかしこれはapoEマウスで進行中である)。
【0147】
高脂肪食は、高炭水化物食と比較して体重増加を増した
。低タンパク質食および高脂肪食は血中グルコース濃度 20
を増加させ、高脂肪食は高炭水化物食よりも高いグルコ
ースレベルであった。インスリン耐性は高炭水化物食で
最良であったが、高脂肪/高タンパク質および高脂肪/
【0151】
通常タンパク質は脂肪重量を増加させた。本質において
【表37】
、高脂肪:タンパク質比率はインスリン耐性に有害な効
果を有する。
【0148】
血漿総コレステロールは、とりわけ雌において高炭水化
物食で高い傾向にあるが、トリグリセリドは両方の性別
で高炭水化物食で低かった。肥満は脂肪を添加すると大 30
きく、一方グルコース代謝は高い炭水化物食で良好であ
る。血中総コレステロールはこれらの試験で高炭水化物
【0152】
食で一貫して最高であった。
空腹時血漿脂質、コレステロール、経口グルコース耐性
【0149】
試験およびインスリン耐性試験を食事介入16週後に行
試験17
った。体重および臓器重量データを表34に示す。コレ
C57BL/6J(肥満マウスモデル)マウスを3種の食
ステロール、トリグリセリド、およびグルコースデータ
事に無作為化した:1)低炭水化物(20%CHO、40
を表35−39に示す。
%タンパク質、40%脂肪);2)バランスを取った食事
【0153】
(33%CHO、33%タンパク質、33%脂肪);およ
インスリン耐性は1:1のタンパク質:脂肪比率で改善
び3)高炭水化物(60%CHO、20%タンパク質、2 40
した。炭水化物含量が減少すると、血中グルコース制御
0%脂肪)。各食事の詳細を表32−33に示す。
は増加した。しかしながら、低炭水化物食(タンパク質
【0150】
40%)は腎臓重量を増加させ、腎臓機能の低下を示唆
【表36】
した。従って、炭水化物含量と共にタンパク質および脂
肪の1:1:1比率でバランスを取ったタンパク質:脂
肪比率の1:1が最良であった。
【0154】
高炭水化物食は低炭水化物およびバランスを取った食事
と比較して肝臓トリグリセリドおよび総コレステロール
レベルを増加させた。筋肉トリグリセリドレベルで差は
50
見られなかった(表36参照)。
( 26 )
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50
【0155】
【表38】
10
【0159】
【表42】
【0156】
【表39】
20
【0160】
【表43】
【0161】
【0157】
心血管疾患についての糖尿病と危険因子の関係
【表40】
糖尿病および心血管疾患(CVD)および/または冠動脈
心疾患(CHD)は多くの危険因子を共有する。例えば、
既知CVD危険因子である高血圧(すなわち、>140
/90mmHg)の個体は、正常血圧の個体よりも2型糖尿
40
病を発症する危険性が高い。同様に、35mg/dL以下の
高密度リポタンパク質コレステロール(HDLC)レベル
または250mg/dL以上のトリグリセリド(TG)レベル
の個体(両方ともCVDの既知危険因子である)もまた2
【0158】
型糖尿病の発症の危険性が増加している。
【表41】
【0162】
加えて、糖尿病それ自体が、2型糖尿病を有するヒトが
急性心筋梗塞時の高い死亡率を有し、心筋梗塞後の相対
的に悪い予後を有することが示されているため、CVD
の危険因子であると見なされ得る。上記のデータは、従
50
って、糖尿病を有する個体は、他のCVD危険因子を有
( 27 )
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していなくてさえ、CVDの増加した危険性を有すると
栄養組成物は、このような患者のタンパク質合成の増加
して処置することが推奨されることが示唆される。
を介した回復を改善させる可能性を有する。
【0163】
【0167】
補足された集中的インスリン治療
1:1:1炭水化物:タンパク質:脂肪比率での栄養製
厳しい血糖制御および特異的栄養素の補足の使用は、い
剤の補足
ずれか単独の使用に由来し得るものを超えて利点を有す
上記の通り、1:1:1炭水化物:タンパク質:脂肪比
る。上記試験の結果は、糖尿病およびその併存症の予防
率を有する栄養製剤は糖尿病および/またはその併存症
および/または処置だけでなく、血糖制御が有益であり
(例えば、心血管疾患、腎臓疾患など)の処置または管理
得る他の適応症についての価値ある上方を提供する。例
に有利である。より高いタンパク質含量はより速いイン
えば、肉体的外傷(例えば、手術、熱傷など)、癌、肥満 10
スリン放出を助ける。加えて、より高いタンパク質含量
、および慢性疾患(例えば、慢性呼吸器疾患、潰瘍など)
およびより低い炭水化物含量の両方が、血中グルコース
からの回復は“厳しい”血糖制御により改善することが
濃度の管理を助ける。
示されている。典型的に、このような血糖制御は低血糖
【0168】
炭水化物源の投与を含む。しばしば、血糖制御は集中的
しかしながら、1:1タンパク質:脂肪比率を有する栄
インスリン治療を含む。
養製剤も、血糖制御の改善、糖尿病その併存症、または
【0164】
それらの症状の処置に有用な1種以上の成分をさらに補
驚くべきことに、集中的インスリン治療の補足はグルタ
足し得る。そのような成分は、トウチ抽出物、一部加水
ミン合成を促進するが、1種以上の分枝鎖アミノ酸(B
分解されたグアーガム、イヌリン、フルクトオリゴ糖、
CAA)および/またはグルタミン/グルタメートと組
ガラクトオリゴ糖、イソマルトース、ゆっくり消化可能
み合わせて使用したとき、それはタンパク質合成を促進 20
な炭水化物、リポ酸、コロハ、4−ヒドロキシイソロイ
することが判明し、恐らく、肉体的外傷、癌、肥満、お
シン、緑茶葉および抽出物、シナモン、バナバ抽出物、
よび慢性疾患を含む多くの状態からの回復を助ける。好
ムラサキフトモモ種子、アルギニン、魚油、クロロゲン
ましくは、栄養補給は、ゆっくり消化されるおよび/ま
酸、マンゴスチン、ヤシ果汁、クロミウム、およびバナ
たは代謝される糖をさらに含む。適当な糖は、例えば、
ジウムを含む。2種以上のこのような成分を、1:1タ
イソマルト(isomalt)、イソマルトース、トレハロース
ンパク質:脂肪比率を有する栄養製剤と共に、または無
、D−タガトース、タピオカ・デキストリン、およびス
しで使用することは、血中へのグルコースの出現の遅延
クロマルトを含む。
、食後血漿インスリン濃度の減少、グルコース抵抗性の
【0165】
減少、および/またはグルコース感受性の増加に相加的
上記のような補給はインスリン感受性を改善し、血中お
または相乗的結果をもたらすと考えられる。このような
よび/または血漿グルコース濃度を減少させ、改善され 30
成分の生理学的および他の特性は以下に記載する。さら
た窒素バランスおよび内因性タンパク質合成を含む良好
に2種以上のこのような成分を、1:1タンパク質:脂
な代謝応答を可能にする。実験的に、アミノ酸補足を含
肪比率を有する栄養製剤と共に、または無しで使用する
む集中的インスリン治療が:ロイシン(129対112
ことは心血管疾患または事故(incident)の処置または予
μmol/L)およびグルタミン(381対248μmol/L
防に相加的または相乗的結果をもたらすと考えられる。
)の血漿濃度の増加;グルコース(109対173mg/dL
このような成分の生理学的および他の特性は以下に記載
)の循環濃度の減少;タンパク質正味バランス(−3対−
する。
11nmol
【0169】
Phe/分/100mL leg容量)および
タンパク質合成(42対21nmol Phe/分/100m
L
トウチ抽出物
leg容量)の改善;ロイシン酸化(15対32nmol
/分/100mL leg容量)の減少;およびデノボグ
ルタミン合成(94対41nmol/分/100mL
トウチ抽出物(TE)は、醗酵大豆の水−抽出粉末である
40
leg
。TEは、コウジカビで醗酵させた大豆に由来する。T
Eはα−グルコシダーゼ活性を阻害することが示されて
容量)の増加を示した。
おり、アカルボースおよびボグリボースと同様、2型糖
【0166】
尿病を有する個体の血中グルコース濃度およびHbA1
筋肉グルタミンは手術後患者および慢性疾患を有する患
c値の減少をもたらす。TEはα−グルコシダーゼを排
者で抑制されることが報告されている。それ自体、患者
他的に阻害し、アミラーゼ、ペプシン、トリプシン、キ
でのグルタミン含量の増加は、彼らの状態を改善するこ
モトリプシンまたはリパーゼのような他の消化酵素は阻
とが期待される。より広くは、血糖制御が肉体的外傷ま
害しない。炭水化物吸収を阻害するその能力のため、T
たは受けた手術からの回復に有益な目的であるため、低
Eはグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)およびグル
血糖炭水化物源、BCAA、およびグルタミンおよび/
カゴン様ペプチド−2(GLP−2)の血漿濃度を増加さ
またはグルタメートを含む経腸またはすする(sip-fed)
50
せるように作用することが可能である。
( 28 )
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54
【0170】
さらに、この効果は、GLP−1およびGLP−2を分
GLP−1は、遠位小腸および結腸に位置する内分泌L
解するプロテイナーゼであるジペプチジルペプチダーゼ
細胞から分泌されるホルモンである。GLP−1はグル
−IVを阻害する薬剤の潜在的作用を増加する。ジペプチ
コース依存性インスリン分泌、およびベータ細胞増殖お
ジルペプチダーゼ−IVの阻害と共にGLP−1およびG
よび新生を刺激するように働く。GLP−1は栄養、ホ
LP−2の血漿濃度を増加させるためのTEおよびベネ
ルモンおよび神経刺激に応答して分泌され、一次刺激は
ファイバーの付加的効果は、血糖制御および腸構造およ
経腸栄養である。TEは炭水化物の破壊を阻害し、炭水
び機能をさらに改善する。
化物が腸に存在する時間を延長させる、天然α−グルコ
【0174】
シダーゼ阻害剤である。従って、より多い量の炭水化物
加えて、多くの試験が、とりわけ経腸栄養を受けている
が遠位小腸に届き、L細胞と相互作用してGLP−1分 10
患者および腸不耐性に感受性の他の集団において、ベネ
泌を刺激し得る。GLP−1の増加した血漿濃度は、血
ファイバーが腸機能の維持に有益であり、下痢および便
中へのグルコースの出現の遅延におけるTEの効果に加
秘の両方の管理を助けることを示している。
えて、血糖制御を改善する。
【0175】
【0171】
ベネファイバーの使用は、それが完全に醗酵され、相当
GLP−2は、遠位小腸および結腸に位置する内分泌L
量のブチレートを産生できるため、さらに有利な効果を
細胞から分泌されるホルモンである。GLP−2は、腸
有する。ベネファイバーは製剤内に1から10g/サー
構造および機能を、陰窩−絨毛構造を改善し、酵素およ
ビング(240ml/サービングに基づく)の範囲で入れる
びトランスポーター活性を増加させることにより増進す
べきである。
るように働く。GLP−2栄養、ホルモンおよび神経刺
【0176】
激に応答して分泌され、一次刺激は経腸栄養である。T 20
提供/サービング(240ml/サービングに基づく)する
Eは炭水化物の破壊を阻害し、炭水化物が腸に存在する
TEの総量は0.1から10gである。これは、最小有
時間を延長させる、天然α−グルコシダーゼ阻害剤であ
効量から、有益な効果がプラトーに到達するまでの量を
る。従って、より多い量の炭水化物が遠位小腸に届き、
含む範囲を可能にする。
L細胞と相互作用してGLP−2分泌を刺激し得る。G
【0177】
LP−2の増加した血漿濃度は腸構造および機能を改善
血糖指数が低い食事は、インシュリン様増殖因子−1(
し、そして腸炎症を減少させる。
IGF−1)の減少をもたらし得て、それは癌の発病率
【0172】
および進行の減少をもたらし得る。TEは利用可能な炭
ベネファイバー
水化物を減少させ、したがって、インスリン応答を減少
ベネファイバー(一部加水分解されたグアーガム)は、グ
させ、そして血糖応答を減少させる。従って、TEは、
アーガムから抽出された独特な機能性繊維である。グア 30
炭水化物含有食事の消費後の血糖応答を減少させるため
ーガムの元々の高粘性は加水分解後にほとんどなくなり
、癌の発病率および進行を減少させる。
、液体食事および栄養製剤への添加に理想的となる。ベ
【0178】
ネファイバーの鎖長は、高いに結合した600ガラクト
可溶性繊維混合物
マンナン(galactomannon)単位ほど大きくてよいが、大
イヌリンは、β−2−1結合により結合したβ−Dフル
半のベネファイバーは80から200の平均鎖長を有す
クタンの中鎖から成る。それは、チコリー、アーティチ
る。ベネファイバーの利点の多くは、結腸で完全に醗酵
ョーク、アスパラガスおよびタマネギを含む食事ならび
され、他の可溶性繊維よりも顕著に多いブチレートを産
にチコリー根からの抽出物に一般的に見られる天然食事
生するその能力にほとんど依存する。ブチレートはL細
成分である。イヌリンは容易に水に溶け、甘みを示し、
胞上で作用して、GLP−1およびGLP−2をコード
これは鎖長が長くなるに連れて減少する。イヌリンは、
する遺伝子であるプログルカゴンの発現を増加させ、故 40
チコリー根の熱水抽出により製造でき、60までの重合
に、経腸栄養素により刺激されたときに、分泌されるた
度を有し、平均鎖長12から25である。イヌリンは非
めのより多いGLP−1およびGLP−2を提供し得る
常に醗酵性の繊維であり、強いプレバイオティク活性を
。TEとベネファイバーの組み合わせは、GLP−1お
有する。多くのインビトロおよびヒト試験が、イヌリン
よびGLP−2の血漿濃度の増加に相加的効果を有する
が特異的ビフィズス菌(bifidogenic)効果を有すること
。
を示している。ベネファイバーと同様、いくつかの試験
【0173】
がイヌリンが下痢の危険性を減少できることを示してい
TEとベネファイバー一緒の栄養製剤への取り込みはG
る。
LP−1およびGLP−2血漿濃度を増加させ、そして
【0179】
血糖制御および腸構造および機能を改善し、腸炎症を減
イヌリンとベネファイバーの組み合わせは、いずれか単
少する。
50
−
イヌリンおよびベネファイバー
独よりも腸の健康に大きな効果を有し得る。各繊維は異
( 29 )
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なる腸分解速度、および特異的腸活性領域を有する。イ
CFA産生および基質同化作用がまた混合により増加さ
ヌリンのプレバイオティク能はベネファイバーより高い
れる。
。しかしながら、ベネファイバーはより多くのブチレー
【0184】
トを産生する。イヌリンとベネファイバーの混合物が消
多くの試験が、腸内細菌の増加および幼児における排便
費されたとき、腸管での醗酵時間は長くなり、より多種
特性の改善に対する、FOSおよびGOS混合物の効果
の短鎖脂肪酸(SCFA;アセテート、プロピオネート
を試験している。結果は、混合物が、種々の種、とりわ
およびブチレート)を産生し、2種の繊維の混合物は、
けビフィズス菌および乳酸菌の最大数が増加するような
有益な細菌種、ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を、い
相乗的な方法で有益な腸内細菌の増加を促進することを
ずれかの繊維単独よりも良好にまたは同等に促進し得る
。
示す。加えて、FOSとGOSの混合物はまたSCFA
10
【0180】
可溶性繊維混合物
の産生および排便頻度を増加し、そして便秘の便を顕著
に柔らかくすることが報告されている。
−
FOSおよびGOS
【0185】
フルクトオリゴ糖は、β−2−1結合により結合してい
加えて、ブチレートがL細胞に働き、GLP−1および
る短および中鎖β−Dフルクタンである。イヌリンおよ
GLP−2をコードする遺伝子であるプログルカゴンの
びオリゴフルクトースはフルクトオリゴ糖として分類さ
発現を増加させ、故に、経腸栄養素により刺激されたと
れる。それらは、チコリー、アーティチョーク、アスパ
きに、分泌されるためのより多いGLP−1およびGL
ラガスおよびタマネギを含む食事に一般的に見られる天
P−2を提供し得る。
然食事成分であり、そしてスクロースから合成され、ま
【0186】
たはチコリー根から抽出される。
食後血糖症(血糖)の減少
【0181】
20
粘性の食物繊維および単離された粘性の繊維の炭水化物
イヌリンおよびオリゴフルクトースは容易に水に溶け、
含有食への添加は、多くの管理された臨床試験で、血中
甘みを示し、これは鎖長が長くなるに連れて減少する。
グルコースおよびインスリン応答に顕著な改善をもたら
イヌリンは、チコリー根の熱水抽出により製造でき、そ
すことが判明している。血中グルコース濃度の大きな、
してオリゴフルクトースはイヌリンの部分的酵素加水分
急速な増加が、膵臓のベータ細胞がインスリン分泌を増
解により得られる。故に、イヌリンおよびオリゴフルク
加させるためのシグナルである。長期の、血中グルコー
トースは互いに鎖長または重合度により区別される。F
スの再発する増加および過剰なインスリン分泌が2型糖
OSと一般に呼ばれるオリゴフルクトースは、9より低
尿病(DM)ならびに心血管疾患の危険性を増加させると
い重合度と3から5の平均鎖長を有し、そしてイヌリン
考えられる(下記疾患予防参照)。
は60を超える重合度と12から25の平均鎖長を有す
【0187】
る。FOSはプレバイオティク活性を有する非常に醗酵 30
2つの食事の炭水化物含量が等しいとき、繊維、特に粘
性の繊維であり、それはビフィズス菌および乳酸菌の増
性の繊維の存在が、一般に、より低い、しかしより持続
殖を刺激する。ベネファイバーと同様、試験は、FOS
した血中グルコースの増加および顕著に低いインスリン
が便秘および下痢を予防または軽減できることを示して
濃度をもたらす。
いる。
【0188】
【0182】
2型糖尿病
ガラクトオリゴ糖(GOS)は、ラクトースから酵素反応
米国における精製した炭水化物摂取の増加および繊維摂
により製造される消化されない炭水化物である。それら
取の減少が、疫学的比率近くまでの、2型糖尿病(DM)
は結腸内細菌の基質として作用し、結腸で非常に醗酵性
の罹病率の増加と並行している。多くの前向きコホート
である。
試験は、繊維、特に全粒穀物からの穀物繊維に富む食事
GOSは腸ビフィズス菌および乳酸菌の増殖を刺激し、 40
が、2型DMの減少と顕著に関係することを発見してい
SCFA濃度を増加させ、結腸pHを減少させ;従って
る。食物繊維摂取の増加単独による2型DM予防におけ
、それらは強いプレバイオティクスであり、消化器環境
る効果を評価する介入試験はないが、2つの重要な介入
に有益であると考えられる。
試験が、繊維摂取の増加を含むライフスタイルの変更の
【0183】
組み合わせが、耐糖能障害の成人の2型DMの発症の危
FOSとGOSの組み合わせが、いずれか一つを単独で
険性に有効であることを発見している。肥満、不活動性
使用したときよりも、有益な細菌の増殖の促進における
および遺伝因子を含む多くの因子が2型DM発症の危険
それらの相乗作用のために、腸の健康により大きなプレ
性を高めるが、観察試験および介入試験の結果は、繊維
バイオティク効果を有することが報告されている。FO
に富む食事が、特に高危険性個体においてグルコース耐
SとGOSの混合物は、いずれか単独よりもビフィズス
性を改善し、2型DMの危険性を減少させることを示す
菌および乳酸菌の増殖を顕著に増加させる。加えて、S 50
。
( 30 )
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【0189】
向にあると結論付けている。最小有効量は5g以上であ
イソマルトース
ると概算された。さらなる試験がイソマルトース効果の
イソマルトースは、スクロースと類似した物理特性を有
機構を調べるために行われている。
し、故にスクロースの代替物の可能性がある、天然に存
【0192】
在するジサッカライドである。イソマルトースとスクロ
イソマルトースは小腸でゆっくりそして完全に消化され
ースの最も重要な差異は、イソマルトースが腸酵素によ
、ゆっくりした血中グルコースおよびインスリン応答を
りスクロースよりも遅い速度で加水分解されることであ
提供する。イソマルトースのこの特性は有益な可能性が
る。これは健康なおよび糖尿病の対象の両方で血中グル
あり、糖尿病用製品におけるその使用を支持し得る。
コース、フルクトース、およびインスリンレベルのゆっ
【0193】
くりした上昇を導く。一つの試験は健康対象において、 10
ゆっくり消化可能な炭水化物源
血中グルコースは、50gのイソマルトース投与後60
ゆっくり消化可能な炭水化物を含む栄養製剤は、血中グ
分の110.9±4.9mg/dlのピークまで徐々に増加し
ルコースを管理するために糖尿病の個体を助けるために
、一方50gのスクロースは、60分で143.3±8.
重要であるが、また小腸の遠位部分に到達する炭水化物
8mg/dlのピークをもたらし、空腹時レベルまで急速に
の量を増やし、L細胞と炭水化物の接触を増加し、そし
減少すると報告している。同様の応答が糖尿病対象でも
て恐らくGLP−1およびGLP−2の産生を増加する
示された。血漿グルコースレベルは、イソマルトース摂
。スクロマルトおよびトレハロースはイソマルトースと
取120分後のそのピーク(195±14mg/dl)まで徐
類似の特性を有し、糖尿病患者におけるグルコース管理
々に増加した。対照的に、スクロース摂取後、237±
改善のために同じ可能性を有する。スクロマルトはスク
12mg/dlのピークレベルに60分以内に到達した。加
ロースおよびマルトース由来である。トレハロースは2
えて、インスリン濃度の変化は、スクロース摂取(59. 20
個のグルコース単位から成り、1個のグルコース分子は
3±12.0μU/ml)と比較してイソマルトース(41.
他方に対して上下逆である。加えて、ゆっくり吸収され
1±7.4μU/ml)で顕著に小さかった。
る他の炭水化物を栄養製剤内に包含し得る。
【0190】
【0194】
他の試験は、ラットにおける炭水化物および脂質代謝に
加えて、ブチレートはL細胞上で作用し、GLP−1お
対するイソマルトース含有製剤の短期および長期効果を
よびGLP−2をコードする遺伝子であるプログルカゴ
試験した。短期効果は、投与15分および30分後、血
ンの発現を増加させ、故に、経腸栄養素により刺激され
漿グルコースレベルが、デキストリン含有標準製剤と比
たときに、分泌されるためのより多いGLP−1および
較して、イソマルトース含有製剤を投与したラットで低
GLP−2を提供し得る。
いことを確認した。加えて、曲線下面積は、デキストリ
【0195】
ン含有標準製剤(279.5±28.5mmol×分/L)と比 30
リポ酸
較して、イソマルトース含有製剤(162.0±14.2m
リポ酸(LA)は、糖尿病の血液からのグルコースの除去
mol×分/L)で小さかった。インスリン分泌指数は群間
を改善し、そしてまた抗酸化作用を介して組織損傷を予
で差はなく、イソマルトース含有製剤が初期相インスリ
防することが報告されている。LAの使用が、糖尿病が
ン応答に影響し得ないことを示す。イソマルトース含有
末梢神経損傷の最も一般的な原因であるやっかいな状態
製剤投与2ヶ月後、体重は変わらなかったが、血清トリ
であるポリニューロパチーに関連する疼痛を減少できる
グリセリド(0.54±0.04対1.31±0.12mmol
ことも主張されている。
/L)およびインスリン(50.2±3.7対74.2±2.
【0196】
0pmol/L)レベルは、末梢組織における改善されたイ
LAはR−およびS−立体異性体のラセミ混合物であり
ンスリン感受性(0.94±0.03対0.76±0.03m
得る。(R)−LAのバイオアベイラビリティは(S)−L
mol/kg/分)と共に減少した。精巣上体、腸間膜および 40
Aより大きいことが報告されている。加えて、動物実験
後腹膜脂肪組織重量は、イソマルトース含有製剤を投与
は、LAのR−立体異性体がS−またはラセミ混合物よ
された群で低かったが、肝臓および膵臓の重量は増加し
りもインスリン感受性の改善についてより有効あること
ていた。著者らは、これらの結果はイソマルトースによ
を示している。600mg LAの全多岐的アベイラビリ
る低血糖指数および改善された血糖制御に主によるもの
ティは食事摂取により減少することが示されており、低
であると結論付けている。
用量LAの最大効果のために、胃が空であるときに投与
【0191】
すべきであることが示唆される
興味深いことに、近年の報告は、イソマルトースが成体
【0197】
における精神集中を高め得ることを示す。著者らは、イ
本態性高血圧ラットの食事へのLA(500mg LA/k
ソマルトースがスクロースと同じ方法で成体における精
g食)の補足は、血中グルコースおよびインスリンレベル
神集中を高めるが、イソマルトースの効果は長く続く傾 50
、収縮期血圧、および細胞質[Ca
2
+
]iを減少させる
( 31 )
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60
。ストレプトゾトシン誘発(STZ)糖尿病ラットの食事
コロハ種子は、20から30%タンパク質および約50
に、LA(400mg
%の炭水化物を、食物繊維の形で含むことが報告されて
LA/kg)を補い、4から7ヶ月後
、血中グルコースは非処置コントロールに対してLAラ
いる。コロハ種子(ID-1101)から抽出されたアミノ酸は
ットで顕著に減少したが、LAまたはインスリンで処置
、それが唯一コロハ種子によって産生され、そして非タ
したラットの間では差異はなかった。結果として、ST
ンパク質新生分子鎖アミノ酸であるため、特に興味深い
Z−糖尿病ラットへのLAの長期間の補給は高血糖の減
。
少に必要であった。さらに、LAのSTZ誘発糖尿病ラ
【0203】
ットへの補給は、静脈内インスリン耐性試験後のグルコ
ID-1101は、2型糖尿病の2つの別々のそして必須の機
ースの曲線下面積の13%減少により証明される通り、
能不全を介して働くと考えられ得。これらの機構は(1)
末梢インスリン感作効果をもたらした。STZ誘発糖尿 10
膵臓ベータ細胞におけるグルコースに対するインスリン
病ラットの食事へのLA(30mg
LA/体重kg)補給は
応答の改善および(2)膵外性組織におけるインスリン受
、腎臓皮質グルタチオン含量を他の抗酸化剤よりも増加
容体基質(IRS)およびホスホイノシトール(PI)3−
させた。LAは糸球体糖尿病性傷害の予防において有効
キナーゼのインスリン活性化の増強を含む。
なツールであると報告された。
【0204】
【0198】
いくつかの動物実験は、コロハおよびその抽出物の血糖
20名の2型糖尿病での非対照試験で、4週間1200
制御効果を調査している。最近の試験では、100mg/
mg
kg
LA(経口)がグルコース代謝の指標を改善すること
ID-110を3週間投与された肥満、インスリン抵抗性
が示された。LA処置後、ラクテートおよびピルベート
Zucker fa/faラットが、コントロール肥満ラットでの漸
は、経口グルコース負荷後45%減少した。経口で、L
進的な進行と比較して、高インスリン血症が減少した(
A酸は、600mg
P<0.05)。著者らは、ID-1101が、そのインスリン
LA3回で1800mg/日の用量ま 20
で安全であることが報告されている。20名の2型糖尿
分泌性効果と無関係にインスリン感作効果を発揮すると
病での他のパイロット試験で、600、1200および
結論付けている。
1800mg/日 LA経口投与が、プラセボ対照と比較
【0205】
して、インスリンが刺激するグルコース処分を改善した
コロハ全種子粉末(食事中5%)を、アロキサン誘発糖尿
。インスリン感受性はLA処置で17%改善されること
病Wistarラットに3週間投与し、空腹時血中グルコース
が報告されている。LAの3つの濃度間で差異は観察さ
がコントロール濃度まで回復した。1型糖尿病における
れなかった。これは、600mg LA/日を超えてさら
コロハの治療的役割は、グルコースおよび脂質代謝酵素
なる利点はないことを示し得る。
活性のより正常な値への変更に起因するものであり得て
【0199】
、故に肝臓および腎臓グルコースホメオスタシスを安定
LA(600mg/日)の錠剤を3ヶ月与えた糖尿病患者は 30
化する。
、血漿脂質ペルオキサイド/(ビタミンE/コレステロ
【0206】
ール)の比率により測定して酸化的ストレスが少ないこ
イヌモデルにおける糖尿病に対するコロハの効果を、以
とが報告された。血糖制御と脂質ペルオキサイドまたは
下の2つのサブフラクションを使用して検討した:サブ
脂質ペルオキサイド対(ビタミンE/コレステロール)の
フラクション−A:種皮および内乳フラクション;繊維
間に相関は観察されなかった。
に富む(79.6%)およびサブフラクション−B:子葉
【0200】
および軸;サポニン(7.2%)およびタンパク質(52.
ここに示す証拠は、リポ酸補足が、グルコース代謝の指
8%)に富む。各サブフラクションをイヌに1日2回の
標の改善を介してさらなる利点を提供し得、そしてまた
餌に混ぜて与えた。
血中グルコース制御を改善することを示唆する。
【0201】
サブフラクション−aおよびインスリン処置は高血糖、
40
糖尿、高血漿グルカゴンおよびソマトスタチンレベルを
4−ヒドロキシイソロイシン(コロハ種子)
減少させた。サブフラクション−Aはまた経口グルコー
以前のコロハ(Trigonella foenum-graecum)種子での研
ス耐性試験に対する高血糖性応答を減少させた。対照的
究は、その可溶性繊維フラクション(本質的にガラクト
に、サブフラクション−Bは糖尿病イヌの高血糖または
マンナン)の、糖尿病に関連する血中グルコース上昇の
膵臓ホルモンに効果を有しなかった。コロハ種子の抗糖
制御における効果を試験した。しかしながら、アミノ−
尿病特性は、種皮および内乳に存在すると考えられるが
酸(4−ヒドロキシイソロイシン;aka ID-1101)は、イ
、このサブフラクションはまた繊維(高粘性;115cP)
ンスリン非依存性糖尿病のグルコース制御における有益
に冨み、種子のこのサブフラクション中の1種以上の未
な効果を有する可能性があるコロハ種子の他の生物活性
知の薬理学的化合物の存在を除くことは不可能であった
成分である。
(Ribes et al. 1986)。
【0202】
50
【0207】
( 32 )
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経口で2および8g/kg用量で正常およびアロキサン誘
する。コロハは、要約すると、動物実験データのレビュ
発糖尿病ラットに投与したコロハは、正常および糖尿病
ーにより決定されるとおり、血糖制御に中程度であるが
ラットの両方で血中グルコースの顕著な減少(P<0.0
、顕著な効果を発揮するように見える。故に、コロハお
5)をもたらし、血糖減少効果は用量相関であった(Khos
よびその成分は、糖尿病関連機能不全を扱うために設計
la et al. 1995)。
した栄養レジメンに包含させたとき、利益を提供し得る
【0208】
。
正常およびアロキサン糖尿病マウスの血清グルコースレ
【0211】
ベルに対するTrigenolla foenum graceum種子の煎出お
糖尿病に対するカテキン(EGCG)/緑茶
よびエタノール抽出物の効果を試験した。正常およびア
ロキサン処理マウスへの40−80%煎出物の1回0.
5ml
緑茶はポリフェノール化合物に冨、それは乾燥茶重量の
10
経口投与は、その後6時間にわたり低血糖を発症
30%を構成し得て、フラボノールまたは“カテキン”
を含む。赤血球からのグルコース輸送について試験した
させた。血中グルコース濃度の減少は非常に顕著であり
種々のカテキンの効果の比較は、エピガロカテキン(E
、6時間で最大であり、用量依存的であった。アロキサ
GC)からエピガロカテキンガレート(EGCG)へのガ
ン処理マウスにおけるエタノール抽出物(200−40
レート化(gallation)が、グルコース輸送体に対するそ
0mg/kg)によりもたらされる低血糖も用量依存的であ
の親和性を2から4倍の強度で増加させることを示す。
り、200mg/kgが200mg/kg トルブタミドと同等
故に、EGCGは、カテキンの最大生物活性能を有する
の効果であった。
と考えられる。ほとんどの実験データが特異的カテキン
【0209】
(EGCG)に焦点を絞っているが、インビボで見られる
コロハ種子抽出物を糖尿病予備軍(sub-diabatic)および
主要な効果は、茶中に見られる数種の化合物の複合作用
軽度糖尿病ウサギ(n=5)に、50mg/体重kgで15日 20
を必要とし、一つのみではないことを示唆する。
投与した。処置はグルコース耐性曲線を顕著に減弱し、
【0212】
グルコース誘発インスリン応答を改善し、血糖減少効果
茶カテキンがどのように糖尿病に作用するかについて数
がインスリン合成および/またはベータ細胞からの分泌
種の機構が提案されている。腸からのグルコース取り込
の刺激を介することを示唆する。重症糖尿病ウサギ(n
みの阻害が血中グルコースを減少させる提案される一つ
=5)への50mg/体重kgで30日の長期投与は空腹時
の機構である。グルコース輸送に対するカテキンの阻害
血中グルコースを顕著に減少させたが、空腹時血清イン
活性を支持する証拠は、緑茶抽出物による粘膜グルコー
スリンレベルをかなり低い程度でしか上昇させず、これ
ス取り込みおよび門脈血漿グルコース濃度の減少を含む
は活性原理の膵臓該モードの作用機序を示唆する。この
。加えて、茶抽出物はまたNa
効果はまた利用可能なインスリンへの組織感受性の増加
性を減少させる。従って、グルコース輸送が阻害され、
によるものでもあり得る。血糖減少効果は、重篤な低血 30
Na
糖症発症の危険性は何もなくゆっくりであるが持続した
により腸細胞からのNa
。
。‘ガレート化’ポリフェノール(EGCG対EGC)は
【0210】
、両方の没食子酸およびEGC単独が、グルコース輸送
4−ヒドロキシイソロイシンおよびイソロイシンが同じ
にわずかな阻害活性を有するため、活性形であると考え
作用機序を有し得るため、グルコース取り込みに対する
られる。従って、本化合物のカテキン成分が、ガロイル
イソロイシン経口投与の非常に簡単な外観を提示する。
残基のグルコース輸送体の結合部位への接近を増加し、
経口イソロイシン(0.3g/体重kg)は、ロイシンおよ
阻害を促進し得ると考えられる。
びバリン処置と比較して7週齢ラットの血漿グルコース
【0213】
を減少させることが報告されている。分枝鎖アミノ酸は
他の提案される機構は、EGCGがインスリン受容体チ
インスリン分泌を刺激することが示されている。生理学 40
ロシンリン酸化および受容体基質−1(IRS−1)を増
的濃度(各0.25mmol/l)で一緒に使用したロイシン
加させ、PI
およびイソロイシンは、膵臓からのインスリン分泌を倍
伝子発現を減少させることが示されているため、EGC
増することが報告されている。
Gのインスリン様作用である。EGCGはまたPI
分枝鎖アミノ酸(BCAA)によるインスリン放出の刺激
−キナーゼを増加させることによりインスリンを摸倣す
は、O2 消費の増加と比例し、島NADPH/NADP
る。
+比率の増加、
4
5
Caの正味の取り込み、およびサイ
+
+
−K
+
ATPase活
補助グルコース輸送に必要な勾配を排除すること
+
放出が減少すると考えられる
3−キナーゼ依存的方法でPEPCK遺
3
【0214】
クリックAMP濃度の増加と一致した。従って、BCA
血漿EGCGを1mMまで増加させるのに十分である高用
Aを介するインスリン放出は、原因としての、燃料(グ
量の緑茶カテキンは、2g
ルタミン)または酵素アクティベーターとして島細胞で
喫食により負荷した正常ラットにおける血清グルコース
作用する異化流束および分泌促進物質作用の増加と関連 50
濃度を減少させた。加えて、カテキン(20−50μM)
グルコース/体重kgの強制
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はまたアロキサン処置ラットの血漿グルコースを減少さ
ゼ)の阻害により高血糖を予防することである。しかし
せた。
ながら、これらの前臨床試験で使用されたカテキン濃度
【0215】
はヒトで達成可能であるより恐らく高く、経口補給のみ
ラットにTeavigo
T M
(>90%結晶EGCG)添加食(1%
で得ることは困難であることに注意することは重要であ
)を5週間与えると、満腹時および空腹時両方の血中グ
る。
ルコース濃度を各々−57および−50%減少させた。
【0221】
Teavigo(30および100mg/kg/日)の強制飼養を使
10名の健常ボランティアが1.5mmole
用した11日試験は、空腹時血中グルコースを各々−1
取した。EGCGは、3.9時間の排出T1/2を有し
6%から−32%減少させた。経口グルコース耐性は7
た。24時間で、EGCGは基本レベルに戻った。EG
%および19%改善した。血漿インスリンは増加し、ま 10
CGの最大ピークは1.3μmol.l
た糖新生酵素(PEPCKおよびG6Pase)について
に限定された相互変換(EGCGからEGC)が起こり、
の肝臓mRNAも減少した。
脱ガレート化が取り込みに必要でないことを示した。E
【0216】
GCGは尿で検出されなかった。血漿抗酸化活性の統計
緑茶抽出物は、空腹時STZ誘発糖尿病マウスに300
学的に有意な増加はEGCGで見られなかった。
mg/kgで抗高血糖効果を有するが、30または150mg
【0222】
/kgではないことが観察された。血中グルコース濃度減
シナモン
少中に血中インスリン濃度の変化はなかった。著者らは
シナモンは熱帯常緑樹の内皮に由来する。2つの主要な
、緑茶化合物の血中グルコース濃度に対する効果は、末
種類はCinnamomum cassiaおよびCinnamomum zeylanicum
梢組織におけるインスリン作用の促進によると推測して
である。C. cassiaは芳香族性樹皮であり、C. zeylanic
いる。
20
−
1
EGCGを摂
であった。非常
uに類似するが、強度および質が異なる。C. cassia樹皮
【0217】
は暗く、厚く、そして脆い。コルク状外皮がしばしばこ
インスリン抵抗性を示すフルクトース給餌ラットへの水
の種類にはある。C. zeylanicumはまたセイロンシナモ
と緑茶(0.5g 凍結乾燥茶/100ml)の補給は、イ
ンまたは‘真シナモン’として既知であり、それはC. c
ンスリン刺激グルコース取り込みを改善し、また脂肪細
assiaより明るい色であり、甘く、より繊細な香りを有
胞のGLUT4の存在を増加させた。著者らは、緑茶が
する。
、恐らくGLUT4発現増加を介してインスリン抵抗性
【0223】
を改善すると要約している。
シナモンはメチルヒドロキシカルコンポリマー(MHC
【0218】
P)を含むことが示されている。
“エピカテキン”(30mg/kg i.p.−
2×/日)を
このポリマーはタンパク質チロシンホスファターゼ−1
4−5日間投与されたアロキサン誘発糖尿病ラットは、 30
Bを阻害し、それはTyr−1150またはTyr−1
血糖濃度が正常まで下がり、アロキサンにより壊死した
151上のインスリン受容体βサブユニットの自己リン
β細胞の再生が組織学的に示された。免疫反応性インス
酸化ドメインを包含するホスホペプチドを脱ホスホリル
リン試験は、該細胞が機能的であることを示した。
化する。従って、MHCPは、インスリン受容体のリン
【0219】
酸化を可能にすることによりインスリンの作用を摸倣し
Sheehan et al. (1983)はまたアロキサン処置ラットに
、血中グルコース濃度を下げる。シナモンは、シナモン
30mg/kg
エピカテキンを投与し、エピカテキンがβ
がグルコース取り込みを増加させるために必要なカスケ
細胞に対するアロキサン毒性の保護に有用であり得るが
ードを刺激し得るため、インスリン抵抗性の個体に有益
、既存の糖尿病の回復には有用ではないことを報告して
であり得る。
いる。Sheehan et al., Bone et al. (1985)と一致して
【0224】
、また、エピカテキンがラットのアロキサン誘発糖尿病 40
バナバ抽出物
を改善し、発症を中止するまたは確立された糖尿病の回
バナバとしても知られているLagerstremia speciosa L.
復ができるとの徴候は見つからなかったと主張した調査
は、フィリピン、インド、マレーシア、中国およびオー
があった。結果の差異は、エピカテキンの乏しい安定性
ストラリアを含む熱帯国で育つ植物である。この熱帯植
に関連すると考えら得たが、分析はそれが溶液中で少な
物の葉は、糖尿病および腎臓疾患の処置のための民間薬
くとも5日間安定であることを示した。
として使用されている。この葉は大量のコロソリン酸を
【0220】
含み、それは抗糖尿病性特性を有し、タンニンの相当量
前臨床発見は、EGCGおよび茶カテキンの抗糖尿病性
効果が腸グルコース輸送(Na
+
−グルコース輸送体)の
である。
【0225】
阻害の結果であることを示唆する。さらなる視点は、高
バナバ葉の煎出による血中グルコースレベルに対する効
EGCG(>10μM)が、糖新生(例えばPEP−キナー 50
果は、Garciaにより早くも1940年には調査されてい
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た。後に、Lagerstremia speciosa L.抽出物の血糖低下
インスリンは、前脂肪細胞から脂肪細胞への分化を誘発
効果が1996年に糖尿病性マウスモデル(2型)におい
する適性を有する。この効果は、BEの存在下で確認さ
て、Kakudaらにより評価された。動物に5週間Lagerstr
れた。結果は、インスリンとは対照的に、1−100mg
emia speciosa L.抽出物を含む食事を与えた。結果は、
のBEがIBMX−またはDEX−(前脂肪細胞から脂
糖尿病マウスにおける血漿グルコースレベルの増加が、
肪細胞への分化を誘発するインスリンを含むカクテル)
コントロール食へのHWE(熱水抽出物)またはHPME
前脂肪細胞の時間および用量依存性阻害を誘発すること
(メタノール溶離剤フラクション)の添加により抑制され
を示した。さらに、Liuらは分化経路の阻害を試験し、
、水摂取の減少を伴った。さらに、給餌期間の5週目に
BEがPPARγ2のmRNA発現を用量依存的方法で
測定した血清インスリンレベルはHWE食群で減少して
いた。
大きく阻害し、そしてGLUT4の産生を減少すること
10
を観察した(PPARγ2およびGLUT4は分化のマ
【0226】
ーカーである)。
他の試験において、バナバ抽出物(BE)はその抗肥満効
【0230】
果の試験のために使用されている。5週齢雌KK−Ay
この研究グループは、3T3−L1細胞におけるグルコ
マウスに、セルロースの代わりにバナバ葉からの5%の
ース輸送刺激脂肪細胞阻害を担うBEの成分の同定につ
熱水抽出物を含む試験食を12週間与えたとき、それら
いて研究を続けた。彼らは、BEの目的の2つの活性は
の血中グルコース濃度は抑制されないが、総肝臓脂質含
BEのタンニンフラクションに存在すると報告した。
量の顕著な、コントロールレベルの65%までの減少を
【0231】
示した。この減少は、トリグリセリドの蓄積の減少によ
彼らはSigmaから購入した数種の構造的に関連したガロ
るものであった。
タンニン化合物の混合物であるタンニン酸(TA)でさら
【0227】
20
に実験を行い、TAが、インスリンと類似のプロファイ
2003年に、Judyらは、2型糖尿病患者(インスリン
ルでグルコース輸送を阻害することを観察し、類似経路
非依存性糖尿病、NIDDM)が関与する無作為臨床試
の可能性を示唆した。インスリン経路の阻害剤を使用し
験を行った。対象は、毎日軟ゲルまたは硬ゼラチンカプ
て、彼らはTA誘発グルコース輸送が、インスリン受容
セル中のGlucosol
T M
(1%コロソリン酸に標準化したL
体が阻害されたときに遮断されることを示した。最後に
agerstroemia speciosaの葉からの抽出物)を2週間経口
、彼らはTAが、PPARγのような脂肪生成過程、お
で摂取した。血中グルコースレベルの統計学的に有意な
よびc−fos、c−junおよびc−mycのような
減少が、軟または硬ゲル形で提供されたGlucosolを1日
分化過程に関与する遺伝子に影響することにより脂肪細
48mg投与した2型糖尿病性患者で観察された。それに
胞分化を阻害することを証明した。
も係わらず、軟ゲル形は血中グルコースの抑制により有
【0232】
効であり、それは血中グルコースの30%減少を示し、 30
タンニンは、植物、果実および飲料のような食事に見ら
対して硬ゲル形は20%であった。
れるポリフェノール化合物である。それらは、抗癌、抗
【0228】
酸化、および抗微生物活性を含む多数の生物学的活性を
最近のインビトロ試験において、BEの3T3−L1細
有することが報告されている。一般に、タンニンは消費
胞におけるグルコース輸送および脂肪細胞分化に対する
されたときに負の応答を誘発する。これらの効果は、渋
効果が試験された。彼らは蒸留水で抽出したものではな
み(astrigency)または苦みもしくは不快な味のような即
く、熱水およびメタノール抽出物の両方が3T3−L1
時のもので有り得て、または、抗栄養/毒性効果に関連
細胞におけるグルコース取り込みを促進することを示し
する遅延応答を有し得る。
、BE中の有効成分(複数もある)が水溶性であり、熱安
【0233】
定性であることを示唆する(沸騰および熱蒸発させるこ
とが必要な抽出物調製中に試験)。最大グルコース取り
TAはタンニン化合物の混合物であり、グルコース輸送
40
刺激および脂肪細胞分化の阻害に関与する最も有効な化
込みは、0.1から0.25g/LのBEで観察された(
合物(複数もある)はまだ同定されていない。
240nmol/Lのインスリンがグルコースの最大取り込
【0234】
みを誘発し、それはBEで観察された最大取り込みより
マデグルシル
T M
2.7倍大きい)。インスリンと同様、BEは最大グルコ
マデグルシル
T M
は、Syzygium cumini synonyms Eugenia
ース取り込みを誘発するまで、最大15分必要とする。
jambolanaおよびSyzygium jambolanumであって、一般
本試験で彼らはBEおよびインスリンの間に相加または
にジャウム、ムラサキフトモモ、ブラック・プラムおよ
相乗作用が存在するか否かを確認したが、グルコース取
びインディアン・ブラックベリーと呼ばれる種子からの
り込みはインスリン単独のときと変わらず、相加または
抽出物である。ジャウム樹はインド原産であり、熱帯環
相乗効果が存在しないことを示唆する。
境で成長する大きな常緑樹である。Syzygium cumini植
【0229】
50
物の種子、葉および果実は。その血糖低下特性のために
( 35 )
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伝統的薬剤として使用されている。
性抽出物(5g/kg)脂質の後に、アロキサン糖尿病ラッ
【0235】
トの脳においてチオバルビツール酸反応物質(TBAR
Syzygium cuminiに関連して行われている研究の大半が
S)が減少し、カタラーゼおよびスーパーオキシドディ
、その葉、果実、種子、および仁における血糖低下、脂
スムターゼが増加することが報告されている。しかしな
質低下、および抗酸化効果を評価している。Syzygium c
がら、アルコール抽出物の投与は、これらのパラメータ
uminiの種子および仁において行われた試験のみが正の
全てを正常レベル近くまで持っていった。ムラサキフト
効果を報告している。興味深いことに、これらの試験の
モモ種子のアルコール抽出物は水性抽出物より良いと結
全てがインドで成長した植物を使用して行われているが
論付けられた。これらのデータに基づき、ムラサキフト
、効果がないことを報告した試験は、植物の果実または
モモ種子のアルコール抽出物は抗糖尿病、抗高脂血症お
葉を使用しており、そしてブラジルで成長した植物を使 10
よび抗酸化効果を有するように見える。
用して行われた。
【0238】
【0236】
研究の大半は、Syzygium cumini仁の効果の試験を、抗
Sridharおよび同僚らは、Syzygium cumini種子粉末(2
糖尿病、抗酸化および抗高脂血症剤としてレビューした
50、500および1000mg/kg)の、ストレプトゾ
。Groverおよび同僚らは、Syzygium cumini仁の水性抽
トシン糖尿病ラットにおける血糖制御の改善に対する効
出物(200mg/kg)が、ストレプトゾトシン糖尿病ラッ
果を15日間試験した。彼らは、糖尿病コントロールと
トで40日後に、グルコース濃度(−94.7mg/dl)を
比較して、空腹時血中グルコース(−13、−30およ
低下させ、多尿症を予防し、正常尿アルブミンレベルに
び−46mg/dl)の減少およびグルコース耐性試験(−2
維持することを報告した。Syzygium cumini仁の水性、
0、−36および−46mg/dl)におけるピークレベル
水性凍結乾燥およびアルコール抽出物はGroverおよび同
の減少を報告した。ムラサキフトモモ種子抽出物はまた 20
僚らによって試験された。彼らは、各抽出物の200mg
血糖制御および脂質プロファイルに有益な結果を示して
/kg用量が、アロキサン糖尿病ラットで3週間後にグル
いる。Syzygium cumini種子水性抽出物(2.5および5.
コースレベルを低下させる類似の結果となることを発見
0g/kg)をアロキサン糖尿病ラットに6週間与え、結
した。さらに、ラットの中程度および重度糖尿病におけ
果は、血中グルコース(−108および118mg/dl)の
る水性凍結乾燥抽出物(4ヶ月)の効果の実験は、血漿グ
顕著な減少およびフリーラジカル形成の減少であった。
ルコースレベルが中程度糖尿病(−194mg/dl)で部分
しかしながら、7.5g/kg用量は顕著な効果はなかっ
的に正常化され、重度糖尿病(−78mg/dl)ではわずか
た。
にしか減少しないことを確認した。故に、Syzygium cum
【0237】
ini仁の効果は、本疾患の重症度に依存する。Vikrantお
Princeおよび同僚らは、アロキサン糖尿病ラットで6週
よび同僚らは、Syzygium cumini仁の水性およびアルコ
間後に、アルコール抽出物(100mg/kg)がインスリン 30
ール抽出物(100、200および400mg/日)両方の
(−183.1mg/dl)と同じ効果で空腹時血中グルコー
、フルクトース給餌ラットに対する効果を試験し、40
ス(−180mg/dl)レベルを低下させることを報告した
0mg/日での水性抽出物のみが食事中の高フルクトース
。コレステロールおよび遊離脂肪酸レベルも、糖尿病ラ
(66.46対75.46mg/dl)により誘発された高血糖
ットと比較して、正常ラットおよびインスリン処置糖尿
および高インスリン血症を予防したと報告した。対照的
病ラットに類似であった。糖尿病予備軍、軽度糖尿病お
に、Raviおよび同僚らによる4つの別々の試験は、Syzy
よび重度アロキサン糖尿病ウサギの血中グルコースにお
gium cumini仁アルコール抽出物の抗酸化、抗高脂血症
けるSyzygium cumini種子のアルコール抽出物での急性
および高糖尿病剤としての利益を報告しており、そして
結果も報告されている。Syzygium cumini種子のアルコ
またその効果が経口糖尿病剤であるグリベンクラミドを
ール抽出物(50、100および200mg/kg)消費90
分以内に、グルコースレベルが軽度糖尿病ウサギ(−2
摸倣することを報告した。2004年に、彼らは、Syzy
40
gium cumini仁アルコール抽出物(100mg/kg)が、ス
0、−29および−28mg/dl)および重度糖尿病ウサ
トレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおいて30日後に
ギ(−50.4、−74.2および−77.9mg/dl)で低
、血中グルコースを減少させ、インスリン濃度を増加さ
下した。Syzygium cumini種子アルコール抽出物(100
せ、体重を正常化し、酸化的ストレスのマーカーを改善
mg/kg)消費15日後、軽度糖尿病(−64mg/dl)およ
し、そして肝臓、腎臓および膵臓生理学を改善するとの
び重度糖尿病(−84mg/dl)ウサギのグルコースレベル
2つの別々の試験を公開した。
は顕著に減少した。同様の結果が総コレステロール、H
彼らはまたSyzygium cumini仁抽出物(100mg/kg)が
DL、LDL、VLDLおよびトリグリセリドでも報告
、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおいて30日
されている。
後に総コレステロール、リン脂質、トリグリセリドおよ
Syzygium cumini種子抽出物の効果は、糖尿病ラット脳
び遊離脂肪酸をコントロールレベルまで正常化すること
における組織損傷の減少でも示されている。6週間の水 50
も報告している。
( 36 )
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70
【0239】
る。インスリン抵抗性のマウスモデルを使用した先の試
Syzygium cumini種子の異なる部分の効果を決定するた
験は、この仮説を支持する。アルギニン(1.75g)、
めに、Raviおよび同僚らは、ストレプトゾトシン誘発糖
フェニルアラニン(0.40g)およびロイシン(1.20
尿病ラットにおけるSyzygium cuminiの全種子、仁およ
g)を含むアミノ酸混合物は、慢性アミノ酸給餌後に食
び種皮のアルコール抽出物の血糖低下活性を評価した。
後グルコース応答を改善した。これらの観察は、アルギ
彼らは、各調製物100mg/kgの30日後に、全種子は
ニン単独(2g)またはアルギニン(4.7g)およびロイ
グルコースレベルに対して中程度の効果を有し、仁はグ
シン(3.3g)のいずれかでヒトにおいて急性に確認さ
ルコースレベルをグリベンクラミドのレベルまで正常化
れている。両方の調製物が、標準製剤と比較して血糖応
し、そして種皮はグルコースレベルに効果がないことを
答を改善した。
報告した。彼らは仁およびグリベンクラミド処置のみが 10
【0243】
コレステロールおよび肝臓グリコーゲンレベルをコント
加えて、van Loonおよび同僚らは、8名の健康な男性に
ロールレベルまで正常化することも発見した。これらの
おける、小麦タンパク質加水分解物/アミノ酸(アルギ
データに基づき、Syzygium cumini仁はグルコースおよ
ニン、フェニルアラニンおよびロイシン)混合物のイン
び脂質レベル、および酸化的ストレスに対する正の効果
スリン応答に対して報告している。一晩絶食後、対象は
を有するようである。しかしながら、水性またはアルコ
炭水化物単独または炭水化物とタンパク質加水分解物/
ール抽出物のいずれがより有益であるのかの決定的証拠
アミノ酸混合物を消費した。両方の処置は血漿グルコー
はない。
スおよびインスリンの増加をもたらした。しかしながら
【0240】
、インスリン応答は、炭水化物を単独で消費したのと比
Syzygium cuminiの水性抽出物がエラグ酸およびアルカ
べて、アミノ酸混合物を炭水化物と共に消費したときに
ロイドジャンボシン(jambosine)を含み、アルコール抽
20
大きかった。これは、特異的アミノ酸がインスリン血漿
出物が没食子酸、エラグ酸、コリラジンおよびケルセチ
濃度の上昇により血糖制御に関係するとの仮説を支持す
ンを含むことが報告されている。Syzygium cuminiの活
るさらなる証拠を提供する。
性成分は、それが両方の抽出物に含まれ、多くの試験で
【0244】
水性およびアルコール性抽出物両方の利益が報告されて
研究は、アルギニンのインスリン感受性の増加に対する
いるため、エラグ酸であり得る。しかしながら、Syzygi
効果および血糖制御を改善するその能力について本質的
um cumini中の実際の活性成分を決定する試験は行われ
に試験した。これは、アルギニン補足(9g/日)を1ヶ
ていない。
月消費した糖尿病の6名のヒトで本質的に試験した。プ
【0241】
ラセボと比較して、アルギニンは前腕血流およびグルコ
Syzygium cuminiの作用機構を調査する試験はない。し
ース処分を顕著に増加させ、そして収縮期血圧および内
かしながら、Ravi、PrinceおよびGroverは、血糖低下作 30
因性グルコース産生を減少させた。加えて、アルギニン
用は、生存しているβ細胞によりインスリンを放出する
はインスリン感受性を改善させた。Sianiおよび同僚ら
よう刺激するためであり得ることを示唆している。この
は、経口サプリメント(10g/日)およびアルギニンに
仮説は、血糖低下効果が重度糖尿病性モデルと比較して
富む食事(10g/日)からとしてアルギニンの効果を試
軽度から中程度糖尿病性モデルにおいてより顕著であり
験した。彼らは、アルギニンサプリメントおよび食事か
、インスリンレベルが増加することが報告されていると
らのアルギニンの両方が、コントロール食(∼4g ア
の事実により支持される。これらのモデルにおいて、糖
ルギニン/日)と比較して6名の健康対象で収縮期およ
尿病は、本質的にβ細胞の破壊を標的とするアロキサン
び拡張期血圧を減少させると報告した。血中グルコース
およびストレプトゾトシンにより誘発された。加えて、
はアルギニンサプリメントにより顕著に減少し、アルギ
Raviおよび同僚らにより行われた実験はグリベンクラミ
ニンに富む食事でわずかに減少した。
ドを投与された動物の群を含み、そして一貫して、Syzy 40
【0245】
gium cumini群の動物はグリベンクラミドを投与された
対照的に、Gannonおよび同僚らにより9名の健康男性で
動物と類似の結果であった。グリベンクラミドはスルホ
の試験は、25gのグルコース摂取2時間後のインスリ
ニルウレアであり、その作用機序はβ細胞からのインス
ン濃度における経口アルギニン(1mmol/kg 除脂肪体
リン分泌を刺激することである。故に、Syzygium cumin
重、∼10g平均)に顕著な効果がないことを示した。
iの作用機序はインスリン分泌の刺激であり得る。具体
しかしながら、研究者らは、血漿グルコース増加の減弱
的機構的試験がこの仮説の確認のために必要である。
を記していた。故に、アルギニンがインスリン感受性お
【0242】
よび血糖制御を改善する能力は、糖尿病の人々で障害さ
アルギニン
れていることが既知のインスリン分泌の増加を刺激する
特異的アミノ酸が、インスリン分泌の刺激によりグルコ
ため、糖尿病のヒト達でより有効であり得る。
ース制御を改善できるであろうことが仮説立てられてい 50
【0246】
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インスリン感受性および血糖制御を改善するその能力に
合併症の危険性を減少する。それはプロリンの前駆体で
加えて、アルギニンは酸化的ストレスおよび組織損傷を
あり、それはヒドロキシプロリン、次にコラーゲンに変
減少し、そして血管機能を改善することが報告されてい
換し、それは創傷治癒に重要である。加えて、アルギニ
る。Lubecおよび同僚らによるクロスオーバー試験で、
ンは、創傷治癒に必要な細胞増殖に重要であるポリアミ
脂質過酸化が、糖尿病の30名の患者におけるマロンジ
ンの合成に重要な要素である。
アルデヒドの尿レベルで評価して、アルギニン(1g/
最後に、アルギニンは傷への増加した血液供給を促進し
日)の毎日の補給により顕著に減少した。本患者は、3
、それにより循環系を改善することが報告されている。
ヶ月間アルギニン、その後プラセボまたはその逆に無作
【0250】
為に割り振られた。興味深いことに、マロンジアルデヒ
2つの試験が、創傷治癒における有益な効果を示してい
ドは、患者がアルギニン処置を受けているときに顕著に 10
る。Barbulおよび同僚らは、36名の健康な、非喫煙ボ
増加し、そしてマロンジアルデヒドの尿排泄は、アルギ
ランティアを、30gのアルギニンヒドロクロライド(
ニン処置を受けた群がプラセボに変わったときに顕著に
24.8gの遊離アルギニン)、30gのアルギニンアス
増加し、アルギニンの、それが酸化的ストレスを減少で
パルテート(17gの遊離アルギニン)、またはプラセボ
きる保護効果を示す。
の毎日の補給に無作為化した。人工的に傷を付け、治癒
【0247】
をヒドロキシプロリン、新規コラーゲン合成および沈着
加えて、アルギニンは腎臓の酸化的損傷を減少すること
の指数の測定により2週間の期間モニターした。アルギ
ができ得る。アルギニンが酸化的ストレスおよび腎臓組
ニンサプリメントは、存在するヒドロキシプロリンの量
織損傷を減少できる能力は、糖尿病マウスモデルで試験
により評価して、標準的な傷におけるコラーゲン沈着の
された。
量を顕著に増加した。加えて、アルギニンを受けたボラ
アルギニン投与に続き、酸化的ストレスの指標である脂 20
ンティアの免疫応答は増加していた。
質過酸化および糖酸化は顕著に減少した。加えて、腎臓
【0251】
コラーゲン蓄積、腎臓重量およびアルブミン尿も、アル
類似の試験で、Kirkおよび同僚らは、65歳より上の3
ギニンにより顕著に増加した。これらの発見は、腎臓組
0名の人々を30gのアルギニンアスパルテート(17
織損傷が増加した糸球体コラーゲン蓄積に一部関与する
gの遊離アルギニン)および65歳より上の15名の人
と考えられているため、糖尿病に関連する腎症への重要
々をプラセボに無作為に割り当てた。彼らはアルギニン
な暗示である。
補足が、存在するヒドロキシプロリンの量により評価し
【0248】
て、標準的な傷におけるコラーゲンの量を顕著に増加さ
長期アルギニン補足はまた、糖尿病の併存症の一つであ
せることを報告した。
る内皮機能不全も軽減し得る。
加えて、免疫応答はアルギニン補足群で大きかった。
健康ボランティアの群で、6ヶ月のアルギニン補足(9
30
【0252】
g/日)は、プラセボ群と比較して、アセチルコリンに
アルギニンの創傷治癒における利益はまた動物モデルで
応答した小血管冠動脈血流を顕著に増加させた。同様に
も試験されている。アルギニン補足ラットは、切開の破
、4ヶ月のアルギニン補足(21g/日)は、内皮機能不
壊の強度により判断して、ならびにスポンジ肉芽腫にお
全を伴う高コレステロール血症対象における内皮依存性
ける増加したヒドロキシプロリンレベルにより判断して
拡張を増加させた。しかしながら、アルギニンはリポタ
、アルギニン欠損ラットよりも改善された創傷治癒を示
ンパク質レベルに影響を有しなかった。アルギニンの食
した。加えて、アルギニンは糖尿病および正常ラットの
事での補足(3週間12g/日)は、高コレステロール血
両方で創傷治癒を加速した。Witteおよび同僚らは、コ
症の男性における拡張期血圧の少ない低下および血漿ホ
ントロールおよび糖尿病ラットでアルギニン補足ありま
モシステインの中程度減少に関係すると報告されている
。疫学的試験は、多すぎるホモシステイン(血中アミノ
たは無しで創傷治癒速度を比較する試験を36匹のラッ
40
トで行った。彼らは、10日後の破壊の強度が、アルギ
酸である)が、冠動脈心疾患、卒中および末梢血管疾患
ニン補足を受けたラットで、受けていないものより改善
の高い危険性に関連することを示している。故に、アル
されていることを発見した。この差異は、コントロール
ギニンは、糖尿病に関連する長期合併症の管理を助ける
と比較したとき、糖尿病ラットで顕著であった。同様に
ために顕著な役割を有し得る。
、Shiおよび同僚らは、コントロールおよび糖尿病ラッ
【0249】
トでアルギニン補足ありまたは無しで創傷治癒速度を比
アルギニンは、効率的な創傷治癒に重要な多くの代謝的
較する試験を56匹のラットで行った。彼らは、10日
および生理学的身体機能を制御する。それは条件的に必
後の破壊の強度が、アルギニン補足を受けたコントロー
須であり、それが、身体がストレス下にあるかまたは損
ルおよび糖尿病ラットの両方で顕著に改善することを発
傷状態にあるときに必要であることを意味する。アルギ
見した。
ニンは、リンパ球免疫応答の刺激により、創傷の感染性 50
【0253】
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米国で糖尿病と診断された人の約12%が、糖尿病性足
れは、血清トリグリセリドの∼0.60mmol/Lの平均
潰瘍の病歴を有し、それはさらなる足潰瘍ならびに下肢
減少、LDLコレステロールの∼0.18mmol/L増加
切断の危険因子を増加させる。加えて、欧州では、糖尿
、およびヘモグロビンA1cへの有害な効果がないこと
病を有する約660,000名が足潰瘍を有し、これら
を報告した。このアナリシスは、血漿トリグリセリド濃
の個体の10%が最終的に下肢切断を受けると概算され
度における魚油補給の効果が、糖尿病を有する個体でも
る。故に、糖尿病用製剤へのアルギニンの添加は、糖尿
っと顕著であることを発見した。
病関連創傷の予防および処置のために重要である。
【0257】
【0254】
魚油補給は、糖尿病または高トリグリセリド血症の個体
多不飽和脂肪酸比率
で行ったほとんどの試験において血漿トリグリセリドの
さらなる成分を構成しないが、数名の研究者らが、低比 10
減少が一貫して観察されている。魚油は、肝臓トリグリ
率のオメガ−6:オメガ−3脂肪酸が、異脂肪血症、炎
セリド産生の減少により、トリグリセリド濃度を減少さ
症、およびインスリン抵抗性を含む糖尿病に関連する状
せるようである。これらのデータは、魚油補給が、イン
態を改善し得ると仮説立てている。オメガ−3脂肪酸は
スリン抵抗性の増加した肝臓トリグリセリド合成特性を
、抗血栓症効果に関連する代謝物の前駆体であるが、オ
補正する手段であり得ることを示す。さらに、動物試験
メガ−6脂肪酸は血栓症、凝集、血液粘性、および炎症
は、魚油が肝臓および骨格筋トリグリセリドを減少させ
を増加するエイコサノイド産生のための基質である。従
得ることを示している。
って、オメガ−3脂肪酸に比して大量のオメガ−6脂肪
【0258】
酸の食事消費は、炎症促進、アテローム生成促進生理学
いくつかの試験が、魚油補給でLDLコレステロールの
的環境に適するように代謝をシフトし得る。これらの生
増加を報告しているが、その他は、濃度の顕著な変化を
理学的観察は、適切なエイコサノイドバランスに維持す 20
報告していないか、または効果は用量により変わった。
ることがが、多不飽和脂肪酸の負の効果を最小にし、そ
LDLコレステロール濃度の魚油誘発増加は、恐らく、
して可能性のある健康利点を最大にするために必須であ
肝臓由来VLDLからLDLコレステロール粒子への変
ることを示唆する。
換の増加による。観察される増加したLDLコレステロ
【0255】
ールの臨床的意義は不確かであり、LDLコレステロー
魚油:エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸
ル濃度に対する魚油の効果に関連する文献には多くの変
異常リポタンパク質代謝に大きく関係する心血管疾患は
動が存在し、これは、一部、投与した量の広範さ、補給
、糖尿病の主要な合併症の一つである。魚油は、血清ト
期間、試験設計および対象数によるものであろう。
リグリセリドのようなあるリポタンパク質フラクション
【0259】
に有益な効果を有することが示されている。加えて、疫
糖尿病を有する患者における魚油の心臓保護効果は、一
学的試験は、海魚からのオメガ−3脂肪酸の中程度の消 30
部、増加した動脈コンプライアンスおよび血小板機能、
費が、高齢個体における心血管疾患死亡率を減少させ得
および減少した酸化的ストレス(Mori TA 2000)および炎
、そしてグルコース不耐性発症の危険性を減少させるこ
症により仲介され得る。大規模、無作為プラセボ対照試
とを示唆する。従って、米国糖尿病協会は、オメガ−3
験の結果は、魚油消費(∼1.08g
を含む魚を週に2皿以上食べることが、糖尿病の個体に
リポタンパク質を変化させることなく心血管疾患事象を
推奨されるはずであると述べる。同様に、米国心臓協会
減少させることを示した。この観察は、魚油群における
は、冠動脈心疾患を有する個体は、毎日約1gエイコサ
コンジュゲートしたジエン形成の減少と組み合わさって
ペンタエン酸+ドコサヘキサエン酸(EPA+DHA)を
、心臓保護は酸化的ストレスの減少によるものであると
、好ましくは脂肪に富む魚からそして医師の監視下なら
の仮説を研究者らにもたらした。
ばサプリメントとして消費することを推奨している。高
【0260】
トリグリセリド血症の個体については、米国医師会は医 40
血糖制御における魚油の効果を報告した介入試験は多様
師の監視下の1日2から4gのEPA+DHAの毎日の
な結論に達しており、いくつかは空腹時グルコース、ヘ
補給を示唆している。
モグロビンA1c、および/またはグルコース消失速度
【0256】
により測定して、改善された、影響を受けないまたは減
メタアナリシスは、糖尿病を有する患者のトリグリセリ
少した血糖制御を示した。Hendraおよび同僚らの結果は
ド濃度における魚油(用量範囲:3から18g/日)の著
、補給期間が結果に影響し得ることを示唆する。10g
しい強化を証明した(∼0.56mmol/Lの減少)。しか
/日の魚油補給で3週間後、研究者らは、糖尿病の40
しながら、LDLコレステロールにおける正味の効果は
名の患者において空腹時血中グルコースの有意な増加を
∼0.21mmol/Lの増加であり、試験で最も顕著な効
観察したが、6週間介入後、ベースラインからの差異は
果は高トリグリセリド血症の対象を含んだ。同様の結果
もはや統計学的に有意ではなかった。補給のレベルは、
が、以前のメタアナリシスにおいても示されており、そ 50
Schectmanおよび同僚らの試験に影響し、彼らは空腹時
EPA/日)が、
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血中グルコースおよび糖化ヘモグロビンが、1ヶ月7.
上記のような1:1:1炭水化物:脂肪:タンパク質比
5g/日
魚油補給で顕著に増加するが、4g/日補給
率を有する栄養製剤に包含するのに適する他の成分は、
ではしないことを報告した。全体として、3つのかなり
クロロゲン酸(ナトリウム依存性グルコース輸送を阻害)
大規模なメタアナリシスがこのデータをよく分析し、血
、マンゴスチン(IKK阻害に関連する抗酸化および抗
糖制御に魚油が顕著な効果がないことを発見した。
炎症)、ヤシ油工場廃液(抗酸化活性を増加し、アテロー
【0261】
ム性動脈硬化症病巣を減少させるフェノール成分(pheno
魚油の血糖制御に対する効果と同様、インスリン感受性
lics))、クロミウム(インスリン感受性増加および血糖
に対する影響も雑多であった。
制御改善)、バナジウム(インスリン様活性を示し、グル
動物試験は、インスリン感受性が魚油含有食により増大
コース取り込みを刺激し、そしてタンパク質チロシンホ
され得ることを示唆した。糖尿病の個体で、インスリン 10
スファターゼおよび糖新生を阻害)、および脂肪細胞に
が刺激するグルコース消失により評価して、エクスビボ
おけるインスリン依存性グルコース代謝を増加できる化
インスリン感受性は3g
魚油/日で一つの試験で改
合物(例えば、マンサク、オールスパイス、ローリエ、
善されたが、他の試験では(10g/日)感受性は障害を
ナツメグ、丁子、キノコ、および出芽酵母)を含む。
受けた。他の試験は、糖尿病の個体のインスリン感受性
【0263】
に良い効果も悪い効果もないことを発見している。
本発明は、上記の具体的な態様に限定されず、添付の特
【0262】
許請求の範囲により定義される変化した、修飾されたお
他の成分
よび同等な対象を含むことは認識されるべきである。
【図1】
【図3】
【図2】
【図4】
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【図5】
【図9】
【図6】
【図10】
【図7】
【図11】
【図8】
【図12】
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【図13】
【図17】
【図14】
【図18】
【図15】
【図19】
【図16】
【図20】
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【図21】
【図24】
【図22】
【図25】
【図26】
【図23】
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【図27】
【図30】
【図28】
【図31】
【図29】
【図32】
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【図33】
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【図34】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
a.
タンパク質源;
【提出日】平成27年7月23日(2015.7.23)
b.
脂肪源;および
【手続補正1】
c.
炭水化物源
【補正対象書類名】特許請求の範囲
を含む栄養製剤(ここで、該タンパク質源および該脂肪
【補正対象項目名】全文
源が約1:1の比率であり、各々該組成物の総カロリー
【補正方法】変更
の約15%から約45%を構成する。ただし、該タンパ
【補正の内容】
ク質源、脂肪源、および炭水化物源が30:30:40
【特許請求の範囲】
の比率ではない)。
【請求項1】
────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K
31/201
(2006.01)
A61K
31/201
A61K
31/20
(2006.01)
A61K
31/20
A61P
3/10
(2006.01)
A61P
3/10
A61P
3/04
(2006.01)
A61P
3/04
A23L
1/30
(2006.01)
A23L
1/30
A23L
1/305
(2006.01)
A23L
1/305
(72)発明者
Z
ケネス・シー・ヘイズ
アメリカ合衆国02481マサチューセッツ州ウェルズリー、ウォッシュバーン・アベニュー68
番
(72)発明者
ノーマン・アラン・グリーンバーグ
アメリカ合衆国55427ミネソタ州ニュー・ホープ、フラッグ・アベニュー・ノース3516番
(72)発明者
ジョン・ピー・トループ
アメリカ合衆国55446ミネソタ州プリマス、フォーティース・アベニュー・ノース16905
番
(72)発明者
アン・エル・フォーク
アメリカ合衆国55410ミネソタ州ミネアポリス、アップトン・アベニュー・サウス4100番
(72)発明者
ジャンニ・ビオーロ
イタリア、イ−34100トリエステ、ヴィア・ディ・スコルコーラ・ヌメロ4番
Fターム(参考) 4B018 MD14
MD20
MD27
ME03
ME14
( 45 )
JP
4C084 AA02
BA44
DA36
DC50
MA02
MA52
NA14
ZA701 ZC351
4C086 AA01
AA02
EA01
EA20
MA03
MA04
MA52
NA14
ZA70
ZC35
4C206 AA01
AA02
DB06
DB07
DB09
MA03
MA04
MA72
NA14
ZA70
ZC35
2015-187182
A
2015.10.29
Fly UP