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特別レポート 【経済環境と金および金鉱株の見方】

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特別レポート 【経済環境と金および金鉱株の見方】
ご参考資料
特別レポート
【経済環境と金および金鉱株の見方】
本資料は、最近の金価格・金鉱株の市況動向についてご説明する目的で作
成したものであり、当社が設定・運用するファンドにおける投資判断が本資料
の見解と必ずしも一致するものではありません。
ブラックロック・ジャパン株式会社
2011年10月11日
また、金融政策への期待が後退したことも「リスクオフ」へ
移行するきっかけになったと思われます。9月21日の米
連邦公開市場委員会(FOMC)において、短期国債を
売って長期国債を買い、長期金利を低めに誘導すること
を目的とした金融政策と不動産担保証券の償還金再投
資が決定されました。米国30年債利回りが大幅に低下す
るなど一定の効果は見られたものの、バーナンキ米連邦
準備制度理事会(FRB)議長が量的緩和第3弾 (QE3)に
言及しなかったことで失望感が広がりリスク資産から逃避
する動きが加速しました。今後、軟調なマーケットが続き、
景気低迷が続いた場合、経済政策に手詰まり感があるな
かQE3の実施の可能性は高まる可能性があります。
「リスクオフ」へ 金価格大幅調整
不安定な世界情勢を背景に、リスク回避先として注目され
た金の価格は、8月まで上昇基調にありました。しかし、欧
州の債務問題の更なる悪化、米国内における政治不信、
新興国のインフレおよび世界経済の減速懸念が拡大する
につれ、投資家の一部はリスク回避から「リスクオフ」に、つ
まりリスクを取らないように保有資産を現金化する動きに移
行した可能性があり、それまで騰勢を強めていた金価格も
利益確定目的などの取引により大幅調整しました(図1)。
先行きの見通しは依然不透明です。そうしたなか、相場
環境のみならず金の需給や金鉱企業の業績などファンダ
メンタルズについても考え、中長期的な金や金鉱株の動
向について現状を整理してみたいと思います。
「リスクオフ」の要因は、主に欧州の財政問題と欧州の金融
システムへの懸念拡大が考えられます。ドイツがギリシャ
への第2次救済策を議会承認したにもかかわらず、ギリ
シャは国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)の支援の前
提条件となる財政赤字の削減目標(対GDP比)を達成でき
ないとの見通しを発表し、今後の支援策についていくつか
観測記事が報道されているものの、引き続き先行の見通し
が不透明となっています。また、イタリア国債の格下げも発
表されるなど欧州国債市場には依然厳しい状況が続いて
います。さらに、フランス・ベルギー系大手銀行のデクシア
に対し、ベルギー政府が同国内銀行部門の国有化に踏み
切るなど、欧州の金融機関に対する信用リスクへの懸念は
未だ緩和されておらず、金融システム全体に与える影響が
懸念されています。最終的には救済策の拡大が示されると
の楽観的な見方もありますが、依然予断を許さない状況で
あると考えます。
更なる支援 資金供給とインフレ
足元の危機的な状況を悪化させないためにも、QE3や欧
米の金融機関救済基金の拡充など、各国政府や中央銀
行は市場や金融機関への資金供給をさらに強化する可
能性が考えられます。そうした通貨供給は危機回避を支
援する一方、通貨自体の資産保全機能の低下を招き、価
値毀損に繋がる可能性も視野に入ってきます。図2の
ワールドダラー*は、世界のマーケットに米ドルがどれだ
け出回っているか測るもので、米ドルの供給量が増加基
調にあることがうかがえます。
(兆米ドル)
図1. 金価格の推移
(米ドル/トロイオンス)
図2. ワールドダラーの推移
7.0
2,000
6.0
5.0
1,800
4.0
3.0
1,600
2.0
1,400
1.0
0.0
1,200
04/6
10/9
10/12
11/3
11/6
11/9
(年/月)
06/6
08/6
10/6
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータをもとにブラックロック・ジャパン作成
(データの期間(週次):2004年6月25日~2011年10月7日)
*ワールドダラーは、FRBが米国内に供給するマネタリーベース(現金
+中央銀行への預け金)+米国を除く外国中央銀行等が外貨準備とし
て保有する米ドルを合わせたもの。
出所:ブルームバーグのデータをもとにブラックロック・ジャパン作成
金価格はロンドン市場の1トロイオンス(1トロイオンス=31.1035g)
あたりの価格(米ドル)。
(データの期間(日次):2010年9月4日~2011年10月6日)
当資料は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は当社が信頼できると
判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、当資料中の各種情報は過去の
ものであり、今後の運用成果を保証するものではなく、当資料を利用したことによって生じた損失等について、弊社はその責任を負うものではありませ
ん。さらに、本資料に記載された市況や見通しは作成日現在の当社の見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の
多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。
1/3
ご参考資料
インフレヘッジとしての機能が見込める金に対して、限り
ある供給を背景とした需給関係を考えると、直近大幅に
調整した金価格は、中長期的な投資の機会として捉える
見方が出てくる可能性があると考えます。
図3. 各国消費者物価指数(前年同月比)
(%)
8.0
ブラジル
6.0
中国
4.0
英国
米国
また、先日実施された金先物市場の証拠金引き上げが、
直近の金価格下落のきっかけになったとの見方もありま
すが、変動幅拡大の主因と目されている投機的ポジショ
ンの減少は、中長期的に金に注目する投資家にとっては
歓迎される材料かもしれません。
欧州
2.0
0.0
-2.0
09/9
10/3
10/9
11/3
11/9 (年/月)
堅調な業績が期待される金鉱企業
出所:ブルームバーグのデータをもとにブラックロック・ジャパン作成
(データの期間(月次):2009年9月~2011年9月)
先月大幅調整した金価格ですが、年初来のパフォーマン
スは約18%のプラスを維持しています。足元の価格は、
1-3月期(約1,386ドル)、4-6月期(約1,506ドル)の平均
価格よりも高い水準を維持しています(図4)。こうしたな
か、金価格の推移が売上に影響しやすい金鉱企業の7-9
月期決算発表シーズンが始まります。昨今、高騰する金
価格の恩恵を受け、7-9月期も多くの企業が増収増益を
発表する可能性があります。金鉱企業は、好業績が予想
されるだけでなく潤沢なキャッシュフローを見込まれる企
業も多く見られます。一方、コスト増もみられ、財務的に
厳しい金鉱企業の魅力が低下する可能性があります。そ
のためキャッシュフローが堅調に推移し、利益成長が見
込まれる銘柄の選別が一段と重要になってきたと考えま
す。この「リスクオフ」で金価格同様に大幅調整の煽りを
受けた銘柄の中には、長期的な観点からリスク・リターン
を勘案し、業績やキャッシュフローの成長を見据えた選別
投資の機会があると考えています(図5)。
また、図3の通り、金融緩和策を続ける先進国では副作用
と考えられるインフレが台頭してきており、欧米諸国のイン
フレ率はじわじわと上昇を続けています。一方、インフレ抑
制のため利上げを続けてきた新興国・資源国では、直近、
ブラジルが利下げを実施し、オーストラリアが金利据え置き、
中国の消費者物価もやや落ち着きつつあります。しかしな
がら、依然新興国のインフレ率は高位に留まり、実質金利
上昇の可能性は今のところ見込みづらい状況と考えていま
す。従って、このような実質金利水準から見ると、引き続き
金に対しては良好な環境が続くと思われます。
代替通貨としての金
世界経済の減速懸念が強まるなか、金に対する需要は今
のところ堅調です。物価水準を懸念したインフレヘッジによ
る投資需要が一部で拡大しています。また、昨今の通貨不
安から各国中央銀行などの公的部門も従来の「売り手」か
図5. 金鉱企業の利益・コストおよび金価格
ら「買い手」に回っているなど、金に対する需要は続くと見
(米ドル/トロイオンス)
込んでおります。こうした背景には、インフレや信用不安に 1,800
キャッシュマージン
よる将来の通貨価値を悲観する見方が強まっていることも
キャッシュコスト
1,500
一因と思われます。
金価格
900
7-9月期平均
約1,702ドル
300
1-3月期平均
約1,386ドル
20
11
*
20
10
20
09
20
08
20
07
20
06
20
05
20
04
0
20
03
1,600
1,400
600
4-6月期平均
約1,506ドル
20
02
1,800
20
01
2,000
1,200
図4. 金価格の推移
20
00
(米ドル/トロイオンス)
(年)
出所:CIBC(2011年*は予想)、ブルームバーグのデータをもとに
ブラックロック・ジャパン作成
1,200
(年/月)
10/9
10/12
11/3
11/6
11/9
出所:ブルームバーグのデータをもとにブラックロック・ジャパン作成
金価格はロンドン市場の1トロイオンスあたりの価格(米ドル)。
(データの期間(日次):2010年9月4日~2011年10月6日)
金価格はロンドン市場の1トロイオンスあたりの価格(米ドル)。
(データの期間(年次)各月末金価格の平均):2000年~2011年*)
*2011年は1月~9月までの月末平均
当資料は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は当社が信頼できると
判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、当資料中の各種情報は過去の
ものであり、今後の運用成果を保証するものではなく、当資料を利用したことによって生じた損失等について、弊社はその責任を負うものではありませ
ん。さらに、本資料に記載された市況や見通しは作成日現在の当社の見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の
多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。
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ご参考資料
投資リスク・手数料について
投資信託に関するリスクについて
投資信託を取得される場合には、投資信託説明書(交付目論見書)をお渡しいたしますので、リスクの内容をご確認のうえ、
ご自身でご判断下さい。金鉱株、鉱山株を投資対象とする投資信託に関するリスクの例として次のものが挙げられます。
■有価証券等の価格変動リスク
投資信託の基準価額は、投資信託が投資する有価証券やデリバティブ取引等の値動きの他、為替変動による影響を受けますが、
これらの運用による損益はすべて投資家の皆様に帰属いたします。投資信託は元本が保証されているものではなく、有価証券等の
価格変動により損失を生じるおそれがあります。また、投資信託は預貯金や保険契約とは異なり、預金保険機構および保険契約者保
護機構の保護の対象ではありません。
■為替リスク
外国株式など外貨建資産の円換算価値は、資産自体の価格変動のほか、当該外貨の円に対する為替レートの変動の影響を受けま
す。為替レートは、各国の金利動向、政治・経済情勢、為替市場の需給その他の要因により大幅に変動することがあります。投資信託
に組入れた外貨建資産について、当該外貨の為替レートが円高方向に進んだ場合には、基準価額が下落する要因となり、損失を生じ
るおそれがあります。
■鉱山株・金鉱株投資のリスク
金鉱株とは鉱山株のなかでも金の採掘・精練等を行う企業の株式であり、金価格を反映して金価格よりもダイナミックに変動する特徴
があります。金鉱株の価値の決定要因は所有する金鉱山の埋蔵量、産金コスト、金価格等ですが、産金コストを一定とすると、金価格
の値動きが株価に与える影響が大きくなります。また、世界の経済および市場動向または株式の発行会社の経営・財務状況等に応じ
て組入株式の株価および配当金が変動し、当ファンドの運用成果に影響を与えます。
■特定業種への投資のリスク
特定業種への集中投資を行うため、より広い業種に分散して投資する場合と比較して特定業種の動向の影響を大きく受け、結果とし
て基準価額の値動きが大きくなることがあります。
■カントリー・リスク
世界各国の株式に投資し、また、エマージング諸国の発行体が発行する株式にも投資します。主として先進国市場に投資する場合と
比べてエマージング諸国への投資は、投資先の国の政治・経済事情、通貨・資本規制等の要因により、より大幅に株価が変動するこ
とが考えられ、それに伴い当ファンドの基準価額が大幅に変動することがあります。
手数料について
弊社が運用する公募投資信託については、ご投資いただくお客さまに以下の費用をご負担いただきます。
■直接ご負担いただく費用
お申込み手数料
: 上限4.20%(税抜 4.0%)
解約手数料
: ありません。
信託財産留保額
: ありません。
■投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用
信託報酬
: 上限2.4994%(税抜 2.428%程度)
■その他の費用
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。
(その他の費用については、運用状況等により変動するものであり、事前に料率、上限額等を示すことができません。)
※リスク及び手数料の詳細につきましては、投資信託説明書(交付目論見書)等でご確認ください。
ブラックロック・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第375号
加入協会:社団法人 日本証券投資顧問業協会/社団法人 投資信託協会/日本証券業協会
ウェブサイト:www.blackrock.co.jp
当資料は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は当社が信頼できると
判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、当資料中の各種情報は過去の
ものであり、今後の運用成果を保証するものではなく、当資料を利用したことによって生じた損失等について、弊社はその責任を負うものではありませ
ん。さらに、本資料に記載された市況や見通しは作成日現在の当社の見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の
多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。
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