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および第5章「実現に向けた展開」を踏まえ、今後の公共施設の
補章 公共資産管理の考え方 第4章「基本方針」および第5章「実現に向けた展開」を踏まえ、今後の公共施設の管理の考 え方を次のとおり定めます。 公共施設は築 30 年以上経過した施設が全体の 60%を超えるなど老朽化が進行しています。 一方で人口減少および少子高齢化の進展、自然災害対策等の安全性の確保、環境負荷の低減、 ユニバーサルデザイン1*の要請などによるニーズの変化も生じています。 しかし、公共資産の更新等費用や財政の見通し等を踏まえると、現在保有する施設をすべて 更新維持しつづけながら、そうした変化に対応することは困難です。 そこで、公共施設の老朽化とニーズの変化に対応するために、施設の状況等を総合的に考慮 し、再配置(維持、減床更新、廃止、除却、統合・複合化、共同利用等)を検討します。 なお、都市計画等、他の計画に基づき位置を定める公共施設については、原則として、本計 画の趣旨を尊重しながらそれぞれの計画のなかで配置を検討します。 ○配置の検討はまず公共施設を中身(サービス)と入れ物(建物)とに分け、それぞれについ て現状を検証します。 ○施設所管部門はサービスのあり方について、総合計画や行財政改革大綱にもとづき、それぞ れの分野に関して不断の見直しを実施しています。公共施設の配置はこの見直しの状況を踏 まえて決定します。 ○建物についてはメンテナンスサイクルの取組として実施する点検等によって得たデータに基 づき施設の状況を確認した後、その結果を踏まえて、施設の維持、改修使用、統合・複合化、 民間活力の活用、廃止等の様々な方向性を検討します。 ○データは点検結果や施設データベースから、資産としての施設の品質や性能、供給量、立地、 サービスの水準と要する費用、利活用の状況、利用者負担、施設の老朽度、安全性等を評価 します。[図表 45・46] ○施設の位置は総合計画や都市計画マスタープラン、立地適正化計画など、まちづくりの考え 方を踏まえ、検討の地理的な単位を定め、そのエリア内での施設の地域的機能、主に利用し ている利用者の範囲等を考慮し検討します。 ○再配置基本方針は各種データの更新・分析や分野別計画の改訂等の状況の変化を捉え、必要 に応じて適宜見直しを行います。 1 【ユニバーサルデザイン】障害のある人に対するバリア(障壁)を取り除くというバリアフリーに対して、障害のある人や高 齢者のために特別にデザインするのではなく、最初からすべての人に使いやすい建物とする考え方。 補章 公共資産管理の考え方 [図表 45:評価データ案] [図表 46:配置検討のイメージ] 公共施設 建物 サービス 見直し 老朽度等 費用対効果 利用度 サービス必要性 低い 必要乏しい 必要 立地必然性 サービス廃止 施設は廃止・統合等検討 公共資産マネジメントへ 乏しい 施設必要性 必要乏しい 量多い(余剰有) サービスはソフト化 施設は廃止・統合等検討 政策的優先性 統合等検討 あり 改修・ アウトソーシング・ 統合元・更新等 統合・用途変更等の コストに対する便益 必要(適量) 低い 高い 高い 廃止・除却 統合・用途変更 維持 公共資産マネジメントへ 財政・政策・サービス水準 から見た総合的な決定 補章 公共資産管理の考え方 ※ 施設評価の区分の考え方 施設評価(詳細は再配置基本方針のおいて決定)結果および政策的な重要度に応じて、 施設を3区分します。[図表 47] 評価を序列化し、相対的に下位の評価となる施設は、廃止も含めた重点的に見直すべき 施設と考えるC区分に位置づけるとともに、予算調整等の検討の参考とします。 (区分は一 定期間ごと評価にあわせて見直します。 ) [図表 47:評価区分のイメージ] 補章 公共資産管理の考え方 施設の点検・診断を実施し、その結果に基づき、必要な対策を適切な時期に、着実かつ効率 的・効果的に実施するとともに、これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情 報を記録し、次期の点検・診断等に活用していく、施設の維持管理等にかかるメンテナンスサ イクルを構築します。 ○法令等に基づき、台帳として整備・保管することが定められている事項を徹底します。 ○点検・診断結果や図面を蓄積します ○あわせて施設情報を横断的に集約、管理する情報プラットフォームを構築します。 ○システムの構築にはGISを活用し位置情報と施設情報の連携を図ります。 ○将来にわたって使用する施設は、点検・診断の結果や劣化予測を踏まえて、施設の長期的か つ計画的な維持管理・更新等についての実施計画(維持管理計画、予防保全計画、長寿命化 計画等名称は問わない。以下、 「維持管理保全計画等」といいます。)を策定します。 ○ただし、施設が小規模であったり、将来的に使用を継続しないことが明らかである場合など、 策定効果が限定的である施設は、経済性・効率性を考慮して維持管理保全計画等を策定しな いことができるものとします。 ○維持管理保全計画等は中長期間の計画的な維持保全方針および保全記録を必須事項とするほ か、必要により、この管理の考え方を踏まえた、機能転換・用途変更、複合化・集約化、廃 止・除却、耐震化等の具体的な対策を定めます。 ○維持管理保全計画等は施設特性を踏まえ、予防保全と事後保全を適切に組み合わせます。 ○維持管理保全計画等の策定状況は、公共資産マネジメント推進会議体、カルテ等で情報の共 有化を図ります。 ○維持管理保全計画等はメンテナンスサイクルを回し、必要があるときに適宜見直します。 ○維持管理保全計画等の長期の見通しを予算に活用します。 ○施設特性を踏まえた技術者の配置や維持管理業務の効率化などに取り組みます。 ○基準やマニュアルの整備の支援、職員、指定管理者や委託者等を対象とした研修・講習会の 開催、技術相談窓口の設置、ノウハウ共有等により施設管理者を支援します。 ○建築基準法他、各種法令点検を確実に遂行します。 ○市民、利用者、民間企業等と行政との官民連携により、維持管理の向上や効率化を図ります。 補章 公共資産管理の考え方 公共施設は施設の経年劣化等へ的確に対応するとともに、切迫する首都直下地震や南海トラ フ地震、近年被害が甚大化している風水害等の大規模災害の発生に考慮し、災害時に利用者や 施設管理者の安全を確保するための取り組みを確実に推進することが求められます。 ①危険の予測と回避 ア)点検・診断の実施 ・日常的、定期的な点検・診断により、施設に潜む危険を未然に防止します。 イ)危険予測 ・施設の修繕等の検証を基に、施設の危険箇所の予防的把握と対応を図ります。 ・日常的なヒヤリ・ハット情報の収集、共有により事故の予防に努めます。 ・国土交通省「特定行政庁より報告を受けた建築物における事故の概要」や文部科学省「学 校施設における事故防止の留意点」等の公開情報を活用して、施設の安全管理に関する 手順の標準化を図ります。 ウ)日常的に使用していない施設の安全対策 ・日常的に使用していない施設は、巡回または機械警備の導入、定期的な安全点検、施設 封鎖、標識の掲示等、適切な方法で安全確保に努めます。 ②安全対策 ア)メンテナンスサイクルによる安全対策 ・点検・診断の結果に基づき、必要な対策を、適切な時期に、着実かつ効率的・効果的に、 実施するとともに、これらの取組を通じて得られた施設の状態や、対策履歴等の情報を 記録し、次の点検・診断等に活用します。 ・点検・診断により判明した危険度を踏まえ、優先度を設定し対応します。 イ)メンテナンスマニュアルの作成 ・建築基準法第 12 条、または官庁施設の建設等に関する法律第 12 条による点検、並びに 国土交通省告示「国家機関の建築物の敷地及び構造の定期点検における点検の項目、方 法及び結果の判定基準を定める件」等を参考に、点検・診断の標準マニュアルを作成し ます。 ウ)担い手の確保 ・補修に詳しい技術職員の育成、確保に取り組みます。 ・運営する職員に対する技術的支援を実施します。 ・外部の専門家、民間企業等への協力を適切に求めます。 補章 公共資産管理の考え方 ①耐震化の状況 ・本市は平成 20 年度(2008)に「市原市市有建築物耐震改修計画」を策定し、一定規模以 上の市有施設について計画的に耐震対策を進め、大半の施設の改修が終了しました。 ②今後の課題と取り組み ・東日本大震災の際の建物天井部の被害状況を踏まえ、平成 26 年(2014)4月より、新築 等の非構造部材(一定規模以上の天井)の脱落対策の義務化についての改正建築基準法施 行令が施行されました。 東日本大震災においては、天井部に加え外壁材やガラス部についても、多くの建物で剥落 等の被害が認められたことから、今後は非構造部材の耐震対応が課題となります。 ・また、見直しに伴う施設用途の変更によって、要求される耐震性能が、現状よりも高くな ることが起こりえます。その場合には、新たな用途にあわせた適切な耐震化を図る必要が あります。 ・これらの新たな課題に対して、保有する全ての施設に対して一斉に対応していくことは困 難であることから、定期的な点検・診断に基づく施設状況や利用状況等(日常的な利用者 は誰か、防災拠点かどうか)の把握、および、国土交通省「官庁施設の総合耐震診断・改 修基準」 、文部科学省「学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック」等の公開情報を参考 に、今後策定する実施計画において計画的な対策を検討します。 避難所に指定する施設について、震災等の被災の際に施設の安全性に懸念がある場合は、応急 危険度判定士や被災宅地危険度判定士を派遣し安全性を確認します。 しかしながら、被災直後は災害対応で混乱することも考えられることから、図面や写真でチェ ックポイントを示し、現場にいる非技術系職員が簡易的な評価で最低限の建物の安全性やライフ ラインの状況が判断できるような建物被災度チェックマニュアルの作成について研究します。 補章 公共資産管理の考え方 ①総合的な防災性能の向上 ・近年の集中豪雨やそれに伴う土砂災害等の大規模風水害の発生を考慮すると、耐震化のみ ならず、災害危険予測に基づく総合的な防災性能の向上が課題となります。 ・著しく防災性能が劣る等、必要最低限の安全確保が困難な施設については、改修、機能移 転、建替え、廃止、除却等の方策を検討します。 ②バリアフリー、ユニバーサルデザインの取り組み ・本市は「市原市バリアフリー基本構想」に基づき、これまでも高齢者や障がい者などが社 会参加していく上での障壁を公共施設から取り除く、 「バリアフリー」への取り組みを進め てきました。 ・今後の施設整備においては、障壁を取り除くだけでなく、子どもや外国人を含め、障がい の有無に関わらず誰もが自由に行動し快適に利用できる施設を目指し、整備や運営に「ユ ニバーサルデザイン」の考え方を取り入れ、施設の安全性能の向上に努めていきます。 ③その他環境への配慮 ・施設をできるだけ長く大切に使用し、長期的な CO2 排出量や廃棄物発生の抑制に努めます。 ・断熱性能や省エネ性能に配慮し、建築物の省エネルギー性能の向上に努めます。 ・アスベスト、PCB2*等、建築物に使用される有害物質の把握、処置を適切に行います。 2 PCB。Poly Chlorinated Biphenyl の略。ポリ塩化ビフェニル化合物の総称。慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々 な症状を引き起こす毒性が報告されている。 補章 公共資産管理の考え方 これまで公共施設は建替えの時期(寿命)について予め劣化等を見込んだ目処を設定するこ とはなく、その目安は法定耐用年数を参考にすることが一般的でした。 法定耐用年数とは固定資産の減価償却費を求めるための年数であり、必ずしも施設の寿命と はいえません。例えば、建築物の物理的耐用年数について、適切な工法で建築された鉄筋コン クリート造の建築物は、計画的にメンテナンスを施すことで 100 年以上使用可能とも言われて います。 しかし、実際には、このような物理的な耐用年数を迎える前に、社会情勢の変化に伴う機能 的または社会的な劣化により、建替えることが多いのが現状です。 本市が高度経済成長期に整備した公共施設は、まもなく法定耐用年数 50 年3*を迎えようとし ていますが、厳しい財政見通しのもとそれらを全て建替え更新していくことは困難です。 法定耐用年数を超え、劣化に対応しつつ、できるだけ長く大事に公共施設を使用することは、 ライフサイクルコストの縮減や、社会に対する環境負荷の軽減につながると考えます。 そこで、目標使用年数を設定し、機能や経済性を総合的に考慮しつつ、できるだけ長く良い 状態での利用を目指します。 ①長寿命化 ・予防保全や修繕等を適切に行い、できるだけ長く良好に使用できる状態を保ちます。 ・70 年以上を目標に、施設の特性や状態に応じた適切な目標年数を設定します。 3 減価償却資産の耐用年数等に関する財務省令。建物で鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造の事務所他。 補章 公共資産管理の考え方 ②長寿命化の検討 ・現在の利用状況に加え、将来の需要動向や機能転換の可能性等を勘案しつつ、何年程度の 使用期間を想定するか検討します。 ・長寿命化に伴う全ての費用(ランニングコスト含む)は、どの程度かを考慮します。 ・長寿命化とその他の可能性(例えば機能移転、建替、廃止等)との経済性・効率性・有効 性(これらをまとめて、以下「VFM: (Value for Money)」とします。)を比較検討した上 で決定します。 ・このとき、すでに、法定耐用年数を超過し老朽化が進んだ施設、または使用環境や使用方 法の条件により法定耐用年数を迎える前に寿命を迎えつつある施設の長寿命化の検討は、 必要な費用が相対的に高額となる可能性が高いことから、より慎重に VFM を検討するこ ととします。 ③長寿命化の取り組み ア)日常点検の実施 ・今後作成する点検マニュアルを活用し、不具合箇所の早期発見や早期対処により、良好 な状態の維持に努めます。 イ)予防保全による長寿命化 ・予防保全は公共施設の機能を良好に維持し、施設環境を保持するだけに留まらず、それ らを構成する構造部や設備の耐用年数の延伸化や、社会的に要求される水準の向上(機 能的劣化)に伴う施設機能の陳腐化抑制に効果的とされます。[図表 48] ・構造・規模や、利用状況、費用対効果等を考慮し、適切な予防保全の導入を検討します。 ウ)策定済みの長寿命化計画の活用 ・既に長寿命化計画を策定済みの施設については、計画に基づいて最適化を推進します。 エ)機能的、社会的劣化に対する長寿命化の取組 ・施設調査や需要調査等により、設備等の物理的、機能的、社会的劣化状況を把握します。 ・長寿命化手法の検討に際して、設備等の最新技術の調査、民間事業者との意見交換、意 見聴取を行います。 ・改修や模様替えによる要求機能の実現可能性、そのために必要な費用を算定します。 ・手法に対して期待される便益を比較検討します。 [図表 48:予防保全における保守、修繕、改修の関係] 省エネルギー 防災 要求性能のレベル向上 ※社会的要求は徐々に上昇 耐震 初期性能のレベル 保守 保守 保守 許容できる性能限界レベル 修繕 (大規模修繕) 改修 ※社会的要求は徐々に上昇 補章 公共資産管理の考え方 ①目標使用年数の設定 ・新たに建設する公共施設は、現在の需要に加え、将来の需要や機能転換の可能性も勘案し、 何年程度の利用期間を想定するかに基づき、適切な目標使用年数と建設手法を設定します。 ・スケルトン(構造)とインフィル(設備・内装)を分けて、それぞれ適切な目標使用年数 を設定します。 ②ライフサイクルコストが最小となる設計 ・目標使用年数において、ライフサイクルコストが最小となるように、構造の耐久性だけで なく、設備の耐久性や汎用性、更新の容易性、省エネルギー性能、環境負荷性能等の維持 管理費用、定期的な修繕・改修費用及び除却費用を含めた総合的な費用を考慮します。 ③可変性に配慮した設計 ・将来、用途の変更や供給量の増減が見込まれる際は、できるだけ低コストで柔軟に対応で きるよう配慮します。 ④維持管理カルテの作成 ・目標使用年数の達成に向け、建設時に施設の維持管理カルテを作成します。 補章 公共資産管理の考え方 インフラ施設は施設・設備ごとに特性が異なるため、その維持管理、安全確保、耐震化、長寿 命化等にあたって留意すべき点も施設ごとに違いがあります。 そこで、ここではインフラ施設の管理の基本的な方向性を示すに留め、それぞれのインフラ施 設の維持管理、安全確保、耐震化、長寿命化等の管理の考え方は、原則として、施設分類ごとに その所管部門において策定し、適宜見直すこととします。 その際、各種法律、政令、省令、告示、技術指針等のほか、インフラ長寿命化計画に基づく個 別施設計画、管理マニュアル、各種基準類等に示される管理の考え方に十分留意することとしま す。 インフラ施設にはネットワークの構築、立地的制約、エリアの安全を確保する必要性といった インフラ施設特有の制約が存在するため、施設の統合や廃止等による量の縮減が困難な施設が多 くあります。 今後の厳しい財政見通しのもとでインフラ施設を維持していくためには、トータルコストの縮 減に加え、これまで以上に効果的な予算配分が求められます。 そこで、施設の特性や国等の動向を踏まえた施設の重要度の設定を検討します。[図表 49] [図表 49:評価区分のイメージ] 補章 公共資産管理の考え方 ○点検・診断を実施し、その結果に基づき、必要な対策を適切な時期に、着実かつ効率的・効 果的に実施するとともに、これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情報を 記録し、次期の点検・診断等に活用していく、施設の維持管理にかかるメンテナンスサイク ルを構築します。 ○メンテナンスサイクルの推進のため、施設特性を踏まえた技術職員の配置や人材育成の推進、 維持管理業務の効率化などに取り組みます。 ○点検マニュアル等がない施設は、必要な管理水準を確保するために点検マニュアルを作成し ます。 ○管理は施設特性を踏まえ、予防保全と事後保全を適切に組み合わせます。 ○点検・診断の結果や劣化予測をもとに、必要な修繕等の対策の規模や時期を、施設の長期的 かつ計画的な維持管理・更新等のための実施計画(維持管理保全計画等)に反映します。 ○維持管理保全計画等の策定状況は全庁横断的な会議体等で情報の共有化を図ります。 ○維持管理保全計画等はメンテナンスサイクルを回し、必要があるときに適宜見直します。 ○点検・診断により判明した危険度を踏まえ、優先度を設定し対応します。 また、緊急に措置を講ずべき状態であると判定された場合は、速やかに措置を講じます。 ○危険性が高い箇所を把握し、職員の作業環境の安全を確保します。 ○機能を確保すべき施設(例えば、緊急輸送道路や緊急輸送道路を補完する道路等)を優先し、 計画的に耐震化を実施していきます。また、長寿命化計画等に基づく工事と併せて実施する ことで、費用の抑制に努めます。 補章 公共資産管理の考え方 ○施設の特性、重要度、老朽度、リスク、負荷の状況、ライフサイクルコストの縮減効果、更 新等費用の見通し等(以下単に「特性等」といいます。)を総合的に勘案し、適切に長寿命化 に取り組みます。 ○施設の特性等を踏まえた目標使用年数、管理手法(予防保全、事後保全など)を設定するも のとし、標準耐用年数の 1.0 倍から 2.0 倍程度の間で目標使用年数を設定し、達成に向け適 切な管理を行います。[図表 50] [図表 50:目標使用年数の例] グループ 1 管理区分 管理水準 4 対象橋りょう 目標とする寿命 高度予防保 健全度 *Cで補修。 ・橋長 100m以上 100 年以上 全型 修繕の優先度をグル ・跨線橋、跨道橋 (2.0 倍5*以上) ・緊急輸送道路を補完する道路上の 100 年(2.0 倍) ープ2より高く設 定。 2 予防保全型 健全度Cで補修。 橋りょう ・孤立集落を繋ぐ道路上の橋りょう ・景観が重視される橋りょう ・橋長 15m以上 3 観察保全型 健全度Eで架替え。 (事後保全) ・上記に該当しない橋長 15m未満の 60 年(1.2 倍) 橋りょう 出典:市原市橋梁長寿命化修繕計画 4 5 ここでの健全度とは部材の傷み具合、程度のことです。 減価償却資産の耐用年数等に関する財務省令における鉄筋コンクリート造の橋りょうの耐用年数 50 年を基準とした。なお国 土交通省が定期的に実施している架替えに関する実態調査では、おおむね 50 年から 100 年と幅がある。 補章 公共資産管理の考え方 土地は他の資産と異なり、そのものの更新の必要はありません。 しかし、土地にも価格変動リスク、土壌汚染リスク、安全管理上のリスク、維持管理運営リス クなどがあり、持っているだけならば費用がかからないというものではありません。 例えば、利活用が可能でありながら未利用のまま土地を保有することは、機会損失6*費用を負担 していることとなります。 将来、公共施設等の老朽化等によって利用を廃止する施設跡地や、公共事業の見直し等によっ て利用が見込まれなくなった土地が増加することも予想されます。 今後、公共資産における遊休、未利用地は、普通財産、行政財産を問わず、売却処分も含めた 有効活用に取り組む必要があります。 ○土地は山林・原野から農地まで幅広く存在し、全ての土地について資産状態の把握ができて いるとはいえない状況です。 そこで、市では平成 27 年度から土地情報の洗い出しを進め、利用財産、未利用財産の把握 に努めています。 現在運用している公有財産台帳の情報を基に、所在、用途、数量、経緯、汚染の有無等、個 別の物件について調査を行い、全庁的に行政財産、普通財産、遊休・未利用、低利用財産の 現況情報を把握し台帳の整備を行います。 ○固定資産台帳に基づく情報の一元化や、関係する施設管理台帳との連携を図ります。 ○民間事業者等の活用を促進するため、不動産の会計情報の公開を検討します。 6 機会損失【きかいそんしつ】最善の意思決定をしないことにより、より多くの利益を得る機会を逃すことで生じる損失。 補章 公共資産管理の考え方 市有財産における更なる有効活用と遊休・未利用財産の売却促進および活用を具体化するた め、基本方針を策定します。 ○施設所管部門または財産管理部門は、保有する土地のあり方について、総合計画や行財政改 革大綱に基づき不断の見直しを実施します。 ○施設の閉鎖は、原則として閉鎖後の利活用または管理方針とあわせて検討するものとします。 ○遊休・未利用・低利用、集約可能な土地を洗い出し、再配置等の有効活用策を検討します。 ○遊休未利用財産と判断する土地は、用途を廃止し、速やかに普通財産として財産管理部門へ 引継ぐものとします。 ○それらの財産のうち、事業用地、既貸付地、山林、農地、畦畔等、または市街化調整区域内 の物件等の換価が困難な土地を除いた処分可能と考えられる土地について、積極的に売却を 検討するものとし、保持する土地は遊休化を防ぐために貸付等を検討し、経済的価値を発揮 させるよう努めます。 土地活用には財務、会計、金融、民法等法務、建築・設備、廃棄物処理、資産評価、測量、 登記などの専門知識やノウハウが必要とされ、このような知識等を有する人材の育成が急務と なります。 土地活用にかかる取組を推進するため、内部人材の育成および知識(宅地建物取引士、簿記、 認定ファシリティマネージャー、経営学修士号)取得の推奨とともに、外部専門家の任用や不 動産活用業務のアウトソーシング導入の必要について検討します。 参考資料 1)推計人口 ・人口の見通しは平成 52 年以降、平成 67 年までの 15 年間は平成 52 年と同じと仮定する。 全体 内 年少人口 平成 22 年 280,416 35,751 平成 52 年 222,805 20,299 減少数 57,611 15,452 平成 67 年 減少率 20% 43% 左欄で固定 2)施設総量縮減の設定条件 人口減少の影響で施設面積に余裕が生じるものと仮定する。 全体の減少率は 20%だが次の点に留意する。 ・年少人口は大きく減少する。年少人口は出生率が回復しても増加に転じるまでに時間が必要。 ・公共施設のうち学校教育系施設の占める割合が特に大きい。 (全体の 6 割) ・学校教育系施設と子育て支援施設の主たる利用者は年少者に限定される。 ⇒年少人口減少により学校教育系と子育て支援施設に対して 40%余裕が生じると仮定する。 現在の延床面積・・a 人口比例減少率・・b a×b面積 学校教育系施設 41 万㎡ 40% 16.4 万㎡ 子育て支援施設 2 万㎡ 40% 0.8 万㎡ [算定式] (16.4 万㎡+0.8 万㎡) ÷ 71 万㎡ ≒ 25%を目安とする。 ※25%は公共施設全体に対する縮減の目安として定めたものであり、縮減の対象や手法を決定するもの ではない。なお他のサービスの需要も減少する場合、さらに余裕面積は増える。 (公共施設再配置基本 方針で検証。 ) 費用推計 合計 内 訳 公共施設 処理施設 他インフラ施設 241 億円 縮減効果・・① ▲11% ▲26 億円 平準化効果・・② ▲23% ▲56 億円 76 億円 ▲25% ▲19 億円 ▲14% 26 億円 ▲25% ▲7 億円 ▲14% ▲2 億円 ▲33% ▲46 億円 139 億円 ▲8 億円 1)縮減効果の仮定 ・人口減少に伴い公共施設やプラント施設およびPFI等大規模事業の建設費用縮減により 建替費用を 25%縮減と仮定する。※処理施設はインフラに分類する施設だが、ここでは人口減少に 伴う廃棄物の減少および民間活力の活用が図られたと仮定する。 2)平準化効果の仮定 ・施設全体を一つの施設とし使用年数を平均的に延伸したモデルを仮定する。 ・使用期間の延伸による更新等費用発生の延伸を対象期間中の平準化効果と見なす。 ①公共施設の平準化効果は次のように仮定。 ・公共施設全体の目標使用年数を 60 年から 70 年と仮定する。 [算定式] 1-(60 年÷70 年)≒ 14% ※総務省ソフトで再計算したシミュレーションもほぼ同じ(17%)結果となった。 ②インフラ施設の平準化効果は次のように仮定。 ・インフラ施設全体の目標使用年数を 1.5 倍したと仮定する。 [算定式] 1-(1 倍÷1.5 倍)≒ 33% ※施設分類を考慮し使用年数を延伸したシミュレーションも同じ結果(33%)となった。 参考資料 用語 説明 ―あ行- 【Out・Sourcing】外部資源化 「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という考え方から、 アウトソーシング 行政サービスの一部または全部を外部に「委託化」あるいは「民営化」す ることを。施設の場合、委託化は「公設民営」、民営化は「民設民営」と なる。 【Asset・Management】財産・資産管理(略:AM) アセットマネジメント (A・M) ビジネス用語としては、土地や建物などの資産を効果的に運用・運営・ 管理を行うことであるが、国では道路や橋梁などの社会資本(インフラ) の長寿命化などの管理手法をアセットマネジメントと呼称している。 【Initial・cost】初期費用 建物等を新設するときに必要な諸費用(企画調査費、設計費、土地取得 費、建設費など)の総計のこと。 イニシャルコスト 建設した後の維持管理費用や設備の運転・修理費用は含まれない。建物 のライフサイクルコストの2~3割がイニシャルコストで、その他多くは ランニングコストといわれており、ライフサイクルコストとしての把握が 重要となる。→ライフサイクルコスト、ランニングコスト インフィル(内装・設 備等) 【Infill】直訳は「すき間を埋めるもの」 建物の寿命に間接的に影響する屋根や外壁、内装、設備等の装備部分の こと。→スケルトン(構造体)、スケルトン・インフィル方式 ―か行- 建物の可変性とは間取りや設備など、ニーズの変化や劣化度に応じて変 可変性 えることができる部分がどの程度あるのかということを表す。可変性が高 ければさまざまな再生手法を選択することができる。→スケルトン・イン フィル方式、リフォーム 行政が独占していた行政サービスについて、官と民が互いの強みを活か 官民連携 し、コスト削減のためだけではなく課題の解決や質の向上のために取組む 動きを総称した言葉。→PPP 義務的経費 法令の規定で義務付けられる経費である、人件費、扶助費、公債費をま とめていう。→扶助費 地方自治体が所有する動産、不動産などは「公有財産」と呼ばれ、「行 政財産」と「普通財産」に区分される。 行政財産は地方自治体が行政目的で用いる公有財産のことで、市役所や 行政財産 消防署など自治体が事務事業を行うために直接利用する「公用財産」と、 学校、公民館、市営住宅、道路など住民が一般的に共同利用する「公共用 財産(公の施設)」の2つに区分され、原則として、貸付、売却、譲与、 出資目的の信託、私権の設定などが禁止されている。→普通財産、公有財 産、PRE 戦略 経常的経費に充当された一般財源の額が、経常一般財源、減収補てん債 経常収支比率 特例分及び臨時財政対策債の合計額に占める割合。比率が高いほど財政構 造の硬直化が進んでいることを表す。 参考資料 用語 説明 建築基準法に基づく現行の耐震基準で、昭和 56 年6月1日に導入され た基準。昭和 53 年に発生した宮城県沖地震をきっかけに、新基準に改正 建築基準法施行令(新 耐震基準)改正 された。 旧耐震基準の建物は主に中程度の地震を想定した基準だったが、新耐震 基準では、中程度の地震に対して損傷せず、大地震に対して倒壊しないこ となどが要求されている。→耐震補強工事、耐震性、Is値(構造耐震指 標) 公共施設一斉更新問題などに伴う財政負担が集中しないように建築物の 更新等費用の平準化 長寿命化や統廃合(総量縮減)によって財政負担を平準化(均一化)する こと。 公有財産 地方自治法第 238 条第 1 項。地方自治体が所有する動産、不動産など財 産のこと。 【Conversion】(建物の)用途変更 施設を別の用途に変更するために修繕・改修・増築を行うこと。 コンバージョン コンバージョンが別の用途に変更することが目的であるのに対して、リ ノベーションは性能・機能の向上が目的となる。また、コンバージョンと 同時にリノベーションが行われることもある。建物の利用上の長寿命化の 手法。→リノベーション ―さ行- 残存不具合率(FCI)を算定する基礎数値で、現在の老朽化度合に必 残存不具合額 要な建築物等の保全改修費、つまり、これまで施工しようとした保全改修 費で予算の都合で延期されている分と今後5年程度の間に施工が必要な保 全改修費を合算した金額のこと。→残存不具合率(FCI)、復成価格 【Facility Condition Index】の略。 ライフサイクルコストを評価する見方の一つ。 現在の老朽化度合に必要な建物の保全改修費(これまで施工しようとし た保全改修費で予算の都合で延期されている分と今後5年程度の間に施工 が必要な保全改修費を合算した金額=残存不具合額)を、現時点で同じ建 残存不具合率(FCI) 物を建てると仮定した場合の価格(=復成価格)で割った率のこと。 残存不具合率:FCI(%)=残存不具合額÷復成価格×100 FCIはファシリティマネジメントが生まれたアメリカで開発された評 価法で、FCIが5%以下の場合は良好な状態、5%から10%までの場 合は注意を要する状況、10%以上の場合は悪い状態と言われている。→ ライフサイクルコスト 建築物等の保全管理の方法で、建築物や設備の劣化や損傷が確認された 事後保全 時点で改修する保全方法で、公共施設の多くはこの方法で管理されている。 →予防保全 道路や公共施設などの建設または財源の調達に必要な資金を国や金融機 関などから借入れるもので、「地方債」、「起債」とも言う。道路や公共 市債 施設などは長期間利用するため、その受益が将来に及ぶことから、世代間 公平の観点も踏まえ、複数年にわたって償還(返済)し、次世代の市民に も応分の負担を求めるものである。 参考資料 用語 説明 公共資産マネジメントの取組の一つとして公共施設の利用者負担の見直 しを示している。 受益者負担の見直し 例えば、公共施設によって利用者負担額の設定が異なり、同一敷地内に おいて有料と無料の施設が立地するような格差が生じている場合に、受益 者負担の適正化を目的に、統一的な積算方法を検討した上で、公共施設の 利用者負担額の公平性が図られるように料金体系を見直すなど。 小中一貫施設 小学校と中学校と敷地と施設が一体的に利用できる環境で立地している こと。必ずしも小中一貫教育を行っている小中一貫校の意味ではない。 【Scrap and Build】 一つの施設を廃止(スクラップ)して、一つの施設を建設(ビルド)す スクラップ&ビルド ること。 新たな公共施設の建設計画を実行しなければならないとき、保有総量を 増やさないため、既存の公共施設の廃止等より保有総量の抑制を図ってい く考え方。 【Skeleton】直訳すると「骨組み、骨格」 スケルトン(構造体) 施設の長寿命化に直接影響する柱やはりなど建物自体の荷重や地震や風 などの外力を支える各部材のこと。→スケルトン・インフィル方式、イン フィル 【Skeleton・Infill】 建物の骨組みで容易に変更ができない部分をスケルトン(構造体)、定 スケルトン・インフィ ル方式 期的に更新する装備部分をインフィル(内装・設備等)と言う。 外部のスケルトン部分は長持ちするものに、内部のインフィル部分は将 来的な変更が簡単にできるようにつくるスケルトン・インフィル方式は建 物の長寿命化には欠かせない設計思想であり公共施設の設計仕様として、 SI方式の導入可能性の検討を標準とすることも検討が必要。 市(発注者)が求める性能(サービス水準)を明らかにし、事業者が性 能を満たしていれば細かな手法は問わない発注方式。 性能発注 PFI事業については、仕様発注方式(発注者が施設の構造、資材、施 工方法等について、詳細な仕様を決め、設計書等によって民間事業者に発 注する方式)よりも性能発注方式の方がPFI法の主旨である「民間の創 意工夫の発揮」が実現しやすくなる。→PFI 所有する施設等の不動産を第三者に譲渡し、購入者が施設の建設または セール&リースバック 改修したうえで、所有し、その施設を元の所有者が借り受ける手法。 参考資料 用語 説明 ―た行- 昭和 56 年 5 月 31 日以前に建築された建物で、現行の耐震基準(新耐 耐震補強工事 震基準)に適合しない建物について、すじかいを入れる、屋根を軽くする など、現行基準に適合するように補強や改修工事を行うこと。→建築基準 法施行令(新耐震基準)改正、耐震性、Is値(構造耐震指標) 建物が地震に耐えるための性能のこと。 耐震性 一例として、新耐震基準の適合性あるいはIs値(構造耐震指標)を基 準に耐震性の有無を示す。→建築基準法施行令(新耐震基準)改正、Is 値(構造耐震指標) 公共施設の多機能化とは、一つの建物の中に複数の異なる機能などを持 多機能化 たせることで複合化とも言う。多機能化の長所には、施設間の相乗効果を 生み出すこと、施設のランニングコストの軽減を図ること、公共施設の総 量を圧縮できることがある。→多目的化、複合化、複合施設 多目的化 重複施設 建物の多機能化とほぼ同じ意味。→多機能化 同一の機能または類似した機能を有する施設が複数存在する施設のこ と。 施設や設備などのそれぞれの機能や性能が、経年により機能・性能の古 陳腐化(ちんぷか) さ、部品の調達不能、保全費用の高騰などによって使用に耐えられなくな る状態のこと。 建物の適応性はどんな用途にでも適応可能な、変わらない部分の融通性 適応性 の意味で使用している。建物の可変性とともに適応性が高ければリフォー ムをはじめとするさまざまな再生手法を駆使することができ、ニーズの変 化に対応がしやすい。→可変性 投資的経費 歳出から義務的経費、その他の経費(物件費、維持補修費等)を除いた 経費。 都市計画マスタープランは、住民参加のもとに市町村自らが都市づくり 都市計画マスタープラ の将来ビジョンを確立し、都市像や都市目標を実現するために土地利用や ン 都市施設の方針などを明らかにする計画で、都市づくりの長期的・総合的 な指針としての役割を果たすもの。 参考資料 用語 説明 ―は行- 【Barrier・free】 施設の環境が原因となって施設を使うことができない障がいを取り除いて バリアフリー 環境を整備すること。段差のない出入口や通路、手すりの取付、車いす利 用者のための通路幅やトイレの設置、エスカレーター、エレベータの設置 などがある。→ユニバーサルデザイン 【Facilitator】直訳は促進者。 人々の活動が容易にできるように支援し、うまくことが運ぶように舵取 ファシリテーター りする人。集団による課題解決、アイデア創造、教育、学習など、あらゆ る知識創造活動を支援し促進していく働きを意味する。(引用:特定非営 利活動法人日本ファシリテーション協会Webページ) 【Facility・management】(略:FM) 企業、団体などが持つ業務用施設・不動産及びその環境(=ファシリテ ィ)を組織活動にとって最適な状態で保有、運営、維持、活用するための ファシリティマネジメ ント(F・M) 総合的な管理手法(=マネジメント)で、アメリカで生まれた経営手法。 自治体などの公的機関で取組むFMは「公共FM」とも言う。アセット マネジメントやストックマネジメントなど、似た語感の異なる概念が多数 存在しており、かつ、厳密に使い分けられている例はあまりない。→アセ ットマネジメント 複合化 複合施設 扶助費 建物の多機能化とほぼ同じ意味。複数の異なる機能などを持たせること。 →多機能化 一つの施設の中に複数の異なる機能などを持つ施設のこと。→多機能化 社会保障制度の一環として、障害者自立、児童手当、生活保護などのた めに、国や地方公共団体が行う支援に要する経費。 地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、すべての団体が一定の水準を 普通交付税 維持しうるよう、財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収 し、一定の合理的な基準によって再配分する。 地方自治体が所有する動産、不動産などは、「公有財産」と呼ばれ、「行 普通財産 政財産」と「普通財産」に区分される。 行政目的で用いていない一般の財産を、「普通財産」という。→行政財 産、公有財産 物理的(構造的)耐用 年数 建物の骨組みで容易に変更ができない構造体が物理的あるいは化学的要 因により劣化し、要求される限界性能を迎えるまでの残りの年数のこと。 建物の物理的な寿命。→法定耐用年数、目標耐用年数 1つの市町村が、住民の福祉増進のため、学校教育施設、生涯学習施設、 福祉施設などの一揃えの公共施設を全て設置すること、という意味で用い フルセット主義 ている。市町村は、横並びで全ての施設等の設置を志向してきたが、対し て例えば、近隣の市町村と施設を分担して、A 市は総合体育館、B 市は文 化会館とする連携も検討の余地がある。 参考資料 用語 説明 【Project・finance】 プロジェクトファイナンスとは、事業者が借り入れを行う際に、事業か ら発生する収益と、事業の持つ資産が担保となる資金調達の仕組み。 プロジェクトファイナ ンス 資金調達の際の担保はコーポレートファイナンスとは異なり、事業者の 持つ資産を担保としたり、債務全額の返済責任を負わないため、事業参入 の障壁が比較的低い。この事を「ノンリコース(不遡及)ファイナンス」 という。一方、コーポレートファイナンスでは、事業のリスクを、親会社 が全面に負っているため「フルリコース(全面遡及)」と呼ばれる。→P FI 【Benchmarking】 ベンチマーキングは 1970 年代後半、アメリカ企業が導入した手法で、 「自己革新を目的とし、高い革新成果を達成している他者のやり方を学び、 自己の革新を最高水準に高める方法を考え出すこと」。 ベンチマーキング ①外部の組織が実践している最良のマネジメントに学んで自己改革をす ることと、②同一条件下にある同種・同規模の施設同士の単位コスト(1 ㎡当たりの光熱水費、1人当たりの光熱水費等)や利用状況を比較するこ とで、最良の指標(=ベンチマーク:水準点)を目標値とすることなどを 意味している。 官民連携(PPP)手法の一つとして、性能発注方式に基づく複数年契約 の民間委託を行うこと。 包括的民間委託 発注者が求める一定の性能(パフォーマンス)を発揮することができる のであれば、業務の詳細等については民間事業者の自由裁量に任せるとい うもので、包括的民間委託により、民間事業者の創意工夫によるコスト削 減とサービスの質の向上が期待される。→官民連携(PPP)、性能発注 一般に、施設全部またはその一部が使用に耐えられなくなるまでの年数 のことを「耐用年数」と言う。 法定耐用年数 特に固定資産の減価償却費を算出するために、減価償却資産の耐用年数 等に関する財務省令で定められた耐用年数を「法定耐用年数」といい、日 本の公共事業ではこれを建替更新の目安にすることがある。 【Portfolio】イタリア語で「書類入れ」のこと。 ポートフォリオ 先進自治体の例では、公共施設の評価手法として、公共施設が持つ価値 軸として2つの指標(利用度や必要性等)を用い、それぞれ優先度の高い ものを抽出する分類評価方法として用いられている。 参考資料 用語 説明 ―ま行- 【Management】 ビジネス用語として、経営上のさまざまな資源・資産・リスクなどを管 理し、経営上の効果を最適化しようとする手法のことで使用している。最 マネジメント 小の投資で最大の効果。 マネジメントは一般に「管理」と日本語訳されるが、経営上の行為とし て、「評価・分析・選択・改善・回避・統合・計画・調整・指揮・統制・ 組織化」などさまざまな要素を含んだ用語であり、これらを総合した一連 の概念として捉える必要がある。 【Management・cycle】 マネジメントサイクルとは、仕事をどのような過程で回す事が効率よく マネジメントサイクル 業務を行えるようになるかという理論。 Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の頭文字を取った PDCA サイクルが一般的に用いられている。 目標耐用年数 使用者が施設の目的や用途に合わせて設定する耐用年数のこと。→物理 的(構造的)耐用年数、法定耐用年数 ―や行- 障がいのある人に対するバリア(障壁)を取り除くというバリアフリー ユニバーサルデザイン に対して、障がいのある人や高齢者のために特別にデザインするのではな く、最初からすべての人に使いやすい建物とする考え方。→バリアフリー 用途変更 →コンバージョン 施設のライフサイクルコストを最小化したり、長寿命化するための管理 の方法で、施設および設備の異状の有無や兆候を事前に把握・予測し、計 予防保全 画的に修繕・取替更新を行うことで、故障による停止や事故を防ぐととも に突発的な出費を抑え、施設の部材を適切な管理のもと保全する。→事後 保全 ―ら行- 【Life・Cycle・Cost】 ライフサイクルコスト (LCC) 施設の一生に必要な費用のこと。施設の設計・建設費などの初期投資(イ ニシャルコスト)、施設での事業を運営するために必要なコスト、施設の 維持管理に必要な改修から解体まで施設にかかるコストとなる。 【Running・cost】 維持管理運営費用 ランニングコスト ここでは、施設での事業を運営するために必要なコストと施設の維持管 理に必要な改修から解体まで建物にかかるコストのことを言う。→イニシ ャルコスト 【Renewal】 一般には、リニューアルは、リノベーションとほぼ同じ意味。 リニューアル リノベーションが、比較的改修範囲が大規模で、性能・機能向上を図る ものを指すのに対して、リニューアルはリフォームのような一般的な修繕、 改修からリノベーションまでの幅広い修繕・改修までを含んだものと考え られる。→リノベーション、リフォーム 参考資料 用語 説明 【Renovation】 一般にリノベーションは、完成から時間が経過した施設を現在および将 来の使用に耐えうるように修繕・改修すること。 リノベーション 施設は完成後、時間の経過とともに、性能・機能の低下(経年劣化)、 法令の改正や技術の向上などによって新築時の水準が現在の水準に適合で きなくなる陳腐化、資産価値の低下などが生じる。このような施設の当初 の性能が低下したことに対して、新たな付加価値を再生すること。 【Refining】 リファイニング建築とは、老朽化した建物のスケルトン(構造体)を活 リファイニング建築 かしながら、大胆なデザイン転換やリノベーション、コンバージョンなど により、まったく新しい建物として蘇らせる再生手法のこと。首都大学東 京の青木茂教授が提唱、実践している。(「公共建築の未来」㈱総合資格) 【Reform】 リフォーム リフォームは老朽化した建物を建築当初の性能に戻すことを言い、新た な付加価値を再生するリノベーションより比較的に小規模な改修工事のこ と。→リノベーション 施設の老朽化(劣化)には、次の種類がある。 1)物理的劣化:主として時間経過により施工時点から、当初の性能・機能 の状態から低減して損耗を生じていくこと。 老朽化(劣化) 2)機能的劣化:施工された時点から、社会の変化に伴い要求される性能・ 機能が高まった結果、それらの要求に対して陳腐化が生じていくこと。 3)社会的劣化:施工された時点から、敷地の利用形態の変化、施設の利 用形態の変化に対応できなくなり改変できない状態を生じていくこと。 ―アルファベット- FCI(残存不具合率) →残存不具合率(FCI) GIS 【Geographic Information System】の略。地理情報システム。 【Seismic・Index of Structure】(略:Is値) Is値(構造耐震指標) Is値(構造耐震指標)とは、耐震診断により建物の耐震性を示す指標。 →耐震性、耐震補強工事 【Poly Chlorinated Biphenyl】の略。 PCB ポリ塩化ビフェニル化合物の総称。慢性的な摂取により体内に徐々に蓄 積し、様々な症状を引き起こす毒性が報告されている。 【Private・Finance・Initiative】の略。直訳すれば公共サービスの「民間 資金主導型の手法」。 従来、国や地方公共団体(公共)が自ら行ってきた公共施設等の設計、 建設、維持管理、運営を、民間の資金・経営能力および技術的能力を活用 PFI して行う、社会資本整備の手法。従来型の公共事業の手法は、「設計」、 「建設」、「維持管理」、「運営」について、それぞれ「委託契約」や「請 負契約」として、別々の民間事業者に発注し、または公共施設等の管理者 が自ら行うのが一般的だが、PFIでは、「設計」から「運営」までを一 体の契約として締結し、一つの事業者が一括して行う。 参考資料 用語 説明 【Public Private Partnership】の略。 PPP 「官民連携」。施設の設計・建設を業務に含む「PFI」や施設の管理運営 を民間に委ねる「指定管理」、様々な業務を委託する「業務委託」など幅 広い官と民の連携による事業手法の総称。→官民連携 【Public・Real・Estate】直訳すると、「公有不動産」戦略。 民間企業の経営活動であるCRE戦略から派生した概念。 CRE戦略は企業価値向上の観点から不動産投資の効率性を最大限向上 PRE戦略 させること。再開発や証券化、売却、賃貸で収益を上げることも含まれる。 ファシリティマネジメントやアセットマネジメントとの明確な線引きは難 しいが、PREという場合には、対象として「土地も含む不動産である」 ということが特に意識されていると考えられる。 【Value・For・Money】の略。 PFI事業における最も重要な概念の一つ。支払い(Money)に対して VFM 最も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方のこと。 従来の方式と比べてPFI事業の方が総事業費をどれだけ削減できる か、あるいは同じ事業費でどれだけサービスの質や機能を高めるかを示す 指標。 この計画は東洋大学受託研究契約に基づき、東洋大学PPP研究センター根本祐二教授の監修を受け策定しました。