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虚実

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虚実
「一般用漢方製剤承認基準の改正について」(案)に関するパブリックコメント
ご意見の内容
ご意見に対する回答
1
通し番号2「加減涼膈散(回春)」の名称についてですが、
「回春」という言
葉を用いるのは、精力剤と誤解されて誤用・濫用されるおそれがあり、妥当
でないと思います。したがって、「万病回春」の著者であるキョウ廷賢の名
前を取り、
「加減涼膈散(キョウ廷賢)
」とするべきだと思います。なお、
「キ
ョウ」の漢字は、この意見フォームでは使用できませんが、ユニコード 9F94
にあります。
ご指摘のとおり、訂正します。
2
通し番号 25「補陽還五湯」の効能・効果について
一般用医薬品としての効能・効果設定は難しいが、承認基準(案)の記載で
は、処方の特徴が十分に表現されておらず、また、使用目的を曖昧なものに
している。そのため、原典の効能・効果にある半身不随、口眼歪斜、言語蹇
渋等より、承認基準(案)の効能・効果に「半身不随」「口唇や顔面のしび
れ」「言葉のもつれ」を追加することを要望する。(同旨を含めて 10 件)
改正案の効能・効果については、漢方医学の臨床医が加わった「一般用漢方
処方の見直しを図るための調査研究班」(厚労科研費の研究班 班長:合田
幸広(国立医薬品食品衛生研究所生薬部長))
(以下「研究班」という。
)での
調査結果を踏まえ、漢方医学の臨床医を含む専門家で構成された「一般用医
薬品漢方処方に関する検討会」
(以下「検討会」という。
)において、一般用
医薬品の効能・効果としての適切性を審議された結果に基づいて設定し、一
般用医薬品部会において了承されています。
3
今般提示の神仙太乙膏の効能・効果において、弊社承認書の効能効果欄記載
内容と異なる箇所があり、本案では「軽いとこずれ」とあるが「軽い」の表
現が不明確なため、「とこずれ」で良いのではないか。また、効能・効果に
「その他の肉芽形成(火傷)」を追加していただきたい。
改正案の効能・効果については、研究班の調査結果を踏まえ、検討会におい
て、一般用医薬品の効能・効果としての適切性を審議された結果に基づいて
設定し、一般用医薬品部会において了承されています。
4
今回、厚生労働省が「一般用漢方製剤承認基準に追加する新規31処方」
(案)
を提案して下さったことは、これからの漢方治療の更なる発展を願う者にと
っては、大変喜ばしいことと感謝申し上げます
新規31処方中、特に、25『補陽還五湯』の追加について意見を申し述
べたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます
『補陽還五湯』は、中国清朝の医師・王清任によって書かれた「医林改錯」
の中の処方の1つで、脳卒中後遺症と考えられる半身不随、口眼歪斜、言語
蹇渋、口角流涎、大便乾燥、小便頻数、遺尿失禁を治療するために創られた
処方で、臨床的には治療効果が優れており、
「漢方の臨床」上、陳大義によ
る脳血栓の験方として『補陽還五湯』を紹介している。筆者も、70 代男性
の脳梗塞後遺症患者に処方して効果を上げております。2006 年に、中国で
出版された「王清任研究集成」
(中医古籍出版社)では、脳梗塞後遺症以外
にも、『補陽還五湯』を用いて糖尿病性神経障害、心筋梗塞、外傷性脳損傷
研究班の調査結果を踏まえ、検討会において、審議された結果に基づき、
「処
方構成」に記載されている構成生薬の割合を設定し、一般用医薬品部会にお
いて了承されています。実際の審査においては、基準を外れるものを含めて、
具体的な文献等に基づき、個別に審査されます。
1
「一般用漢方製剤承認基準の改正について」(案)に関するパブリックコメント
後遺症、外傷性複視など多くの疾患の治療に成果を上げた報告がなされてお
ります。
現代にも確かな有効性を保持している『補陽還五湯』の処方構成は、黄耆
4 両;120g、当帰尾 2 銭;6g、赤芍 1 銭半;4.5g、桃仁・紅花・川きゅう・
地竜各1銭;3gとなっており、黄耆が 4 両;120gと特に大量用いられてお
ります。これは『補陽還五湯』を創った王清任が脳梗塞によって生じたと思
われる半身不随などの症状が、元気が失われた気虚によって気や血が巡らな
くなって生じると考えたことによるものです。黄耆は、元気を補う作用以外
にも血管拡張作用・強心作用や覚醒作用などが認められるとの報告がありま
す。その他の生薬、当帰尾 2 銭;6g、赤芍 1 銭半;4.5g、桃仁・紅花・川きゅ
う各1銭;3gは、ほとんどが抗凝固・抗血栓作用を有する活血化お薬であり
血行を再開させることが目的で用いられております。地竜 1 銭 3g は経絡を
通わせ痛みを取り、運動をなめらかにする作用があります。もともと黄耆に
は人事不省や出血による救急時に用いられた補気剤で、突然の意識障害や運
動失調にみまわれた脳卒中症状から回復させることが出来るのは、これまで
歴史的な経過を経て臨床的にも効果が証明されている黄耆の大量投与が『補
陽還五湯』処方の最も肝要な内容となっていると考えられます。主薬である
黄耆は、処方上、4両;120gとすることは困難かもしれませんが、1~
4 両すなわち、30~120g とすることが最低限必要と考えます
『補陽還五湯』の処方追加に際し、
[成分・分量]については、従来通り 黄
耆5gではなく黄耆 30~120g として下さいますようお願い申し上げます。
5
新規31処方として漢方製剤が増えることは喜ばしいと感じています。しか
し、気になる点が見受けられましたので、コメントを送らせて頂きました。
日本伝統医学として、薬の効能・効果を体力で示すのは、おかしいと思われ
ます。
加藤久幸が、「日本の漢方の虚実定義の文献的研究」
,日本東洋医学雑誌第
43 卷 5 号,1993 にしめしたように、昭和の初め頃に虚実の定義に変化がみら
れています。
この変化については、松宮光伸は『漢方の常識非常』
、八坂書房、1997 年の
中で「吉益東洞の「万病一毒」論,
「毒をもって毒を制する」考え方,腹診
重視,漢方理論の排除など東洞独自の診療法の影響。江戸後期から明治にか
漢方処方製剤はその人の証にあったものを適切に使用する必要があります。
研究班の調査結果を踏まえ、検討会において、一般用医薬品にあった「しば
り」を表現するため、虚実という考え方に対して、体力を基準とした「しば
り」とすることが適当であるとされ、これまでの一般用医薬品部会において
も了承されています。なお、これまでに作成した基準においても、
「しばり」
を付けています。
2
「一般用漢方製剤承認基準の改正について」(案)に関するパブリックコメント
けての蘭方,西洋医学の導入による漢方の衰退。それに伴う人材の不足。昭
和の漢方復興期における一般の人や医療・薬業関係者へのアプローチのため
の簡略化。それのまた専門家への逆影響。日本人が抽象的概念を好まないこ
と。理論を応用するのに必要な具体的な知識の不足。日本人の簡易,簡便さ
を好む性向とそれが幽玄さ,深奥さを内蔵していると思いたい性癖。鍼灸に
おける虚実の捉え方の影響。」と述べています。
これら多くの研究から、この昭和に起こった薬の効能・効果を体力で示す方
法は過去と断絶した使い方と指摘されています。江戸期の後世派・古方派両
派とも、本来は、効能効果が「体力虚弱なものの次の諸症」などというよう
な使い方はしていませんでした。効能効果については、明らかに、従来の伝
統医学から離れた使い方といえるでしょう。
使用目標など、今後の方針にも係わる重大な問題とおもわれるので、指摘を
させて頂きました。
6
現在保険薬価収載されている148処方(エキス製剤147+軟膏1)につ
いてまとめた報告書を作成しましたが、現在改正作業中のものも含め、一般
用漢方製剤承認基準に取り上げられた処方の中に、保険薬価収載された14
8処方のうち下記の3処方だけが収載されていません。
・大承気湯(だいじょうきとう)
・葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)
・腸癰湯(ちょうようとう)
これらの処方は、保険薬価収載されている重要処方ですので、是非とも次期
の改正時には取り上げていただきますよう、お願い申し上げます。
一般用医薬品の漢方処方承認基準に新しく 31 処方を追加することについて
意見募集を行っています。ご意見の内容は今回の意見募集とは直接関連しま
せん。
7
本案件はいわゆる OTC として薬局で売られる漢方エキス製剤の新規認可で
す。しかしながら、今回検討されている31処方の内容を鑑みるに、効果及
び安全性に関してあまりにも検討が不十分です。
まず効果に関してですが、例えば「かろう(使用できない文字だそうです)
薤白白酒湯」の効果効能を「背部にひびく胸部・みぞおちの痛み、胸部の圧
迫感」と記述しております。しかしそもそもこの薬は、虚血性心疾患の治療
薬として用いられるものです。これまで挙げられている臨床報告・古典の記
載もほとんどがそれに関連するものです。みぞおちの痛みは例えば逆流性食
道炎でも生じますが、それにこの処方を用いるのはまるで筋違いです。また
研究班の調査結果を踏まえ、検討会において、一般用医薬品の効能・効果と
しての適切性を審議された結果に基づき、効能・効果を設定し、一般用医薬
品部会において了承されています。また、安全性に係る注意事項については、
必要事項について添付文書等で注意喚起を行います。
3
「一般用漢方製剤承認基準の改正について」(案)に関するパブリックコメント
烏苓通気散は身体表現性障害の症状としての消化管や乳房の痛みに用いる
薬ですが、今回の基準案にある「下腹部の痛み、乳腺の痛み」では、ウィル
ス性腸炎から乳がんの痛みまで含むことになり、訳が分かりません。漢方の
素養のない薬剤師がこれまた漢方の素養のない患者に対し、このような曖昧
な適応でこの薬を売るとすれば、国民の健康に被害を与える恐れがありま
す。
次に、安全性に関する懸念について述べます。今回挙げられた31処方に
は、トリカブトの加熱製剤である附子や、間質性肺炎を惹起する可能性が強
く示唆されている黄ごん(使用できない文字だそうです)を含む処方が多数
含まれます。たとえ含有量がわずかであっても、個体によっては附子による
不整脈や黄ごんその他による間質性肺炎を起こしうることは既によく知ら
れているところです。また言うまでもなく、甘草含有処方は低カリウム血症
に注意すべきで有り、とりわけ利尿剤との併用はこれをよく承知する医師に
よる注意深い観察の元でのみ許されることでなければなりません。今回の基
準案で、こうした有害事象についてどのように記載されるのか、公表されて
いる文案では全く分かりません。漢方薬は薬で有り、適応を誤れば毒になる
ことはもちろん、正しく使用しても一定の有害事象は避けられません。薬で
あれば当然のことです。今回の案は、あまりにもこれらについての配慮を欠
いたものであり、考え直されるべきです。以上提案します。
一般用漢方製剤承認基準の改正について先ほどパブリックコメントをお送
りいたしましたが追伸いたします。この基準案では「外台四物湯加味」の効
能・効果として、「のどが痛くて声が出ない感冒」とあります。これでは急
性喉頭蓋炎すら適応に含まれることになります。急性喉頭蓋炎は極めて危険
な急性疾患で、一刻も早い診断と専門医への転送、救命救急措置が必要とさ
れ、またどれほど手を尽くしてもしばしば死に到る疾患です。しかしながら、
患者の初期自覚症状は強い咽頭痛のみであり、命に関わる急な疾患であると
言う認識は浸透しておりません。どうして安易に漢方の適応症にしてよいも
のでしょうか。漢方専門医として改めて注意を喚起いたします。くれぐれも
慎重にお取り扱いくださいますように。
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「一般用漢方製剤承認基準の改正について」(案)に関するパブリックコメント
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漢方薬の広い利用は、今後の日本の医療費削減や QOL 改善に非常に有用であ
ることは間違いありません。
今回認可されるという31処方も使い方によっては大変有用でしょう。
しかし、附子や黄ごん、麻黄、甘草など、使い方を誤ったり、または尐量で
あっても過敏体質の人にとっては命にも関わりかねない生薬が、知識のない
一般の人向け一般の薬局で販売されることには大変な危惧を感じます。
漢方薬の作用は、穏やかですが大変強力で、一般の認識とは異なり、紛れも
無い「薬」で、
「劇薬」といえるものも用いられている。
正しい知識のもとで正しく運用されて初めて正しい効果を発揮します。
OTC でなく、医療用漢方の認可をこそ勧めるべきで、OTC はむしろ廃止すべ
きです。
現在、多くの漢方処方製剤が一般用医薬品として広く使用されています。今
後とも、漢方処方製剤の使用に際しては、適正な使用が行われるように使用
上の注意による消費者への情報提供等の安全対策を行います。また、承認基
準へ追加される 31 処方については、研究班の調査結果を踏まえ、検討会に
おいて、審議された結果に基づき、一般用医薬品部会において了承されたこ
とから追加されるものです。
9
補陽還五湯について
意見1「成分・分量」について:
「黄耆 5,当帰 3,芍薬 3,地竜 2,川キュウ,桃仁 2,紅花 2」とある原文
中の黄耆の分量については,「5~60」と幅をもたせるべきある。
理由:
補陽還五湯の原典である『医林改錯(いりんかいさく)』では,黄耆 4 両,
当帰 2 銭,芍薬 1 銭半,川キュウ・桃仁・地竜・紅花 各 1 銭とある。この
場合,分量換算は 1 両=10 銭 であることから,黄耆の分量は他の生薬と比
べ尐なくとも 20 倍は配合されている。
また『中医処方解説』では,補陽還五湯の黄耆配合量は多い方がよいとされ,
症状によって配合量が 30~120gと加減されている※。
今回示された黄耆の分量「5g」は,これらの文献の配合量に比べて明らか
に尐ない。
本処方が十分な効果を発揮するため,黄耆を多く配合した『中医処方解説』
を出典の一つとしてあげ,黄耆の分量は,
「5~60g」と幅をもたせる必要が
ある。
※『中医処方解説』医歯薬出版社(1982)における補陽還五湯の処方分量:
黄耆 30~120g,当帰・芍薬・川キュウ・桃仁・地竜は各 6g,紅花 3g。
研究班の調査結果を踏まえ、検討会において、審議された結果に基づき、
「処
方構成」に記載されている構成生薬の割合を設定し、一般用医薬品部会にお
いて了承されています。実際の審査においては、基準を外れるものを含めて、
具体的な文献等に基づき、個別に審査されます。
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