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による水 - 立命館大学
藍寧ξ 黎ギー・I鍵 微細気泡 による水質浄化技術 吉岡 修哉 立命館大学 (よ しおか しゅうや ) 理工学部 機械工学科 准教授 ― そして水環境 の再生へ 湖沼 や沿岸 部 の水 質悪化 は、水 中 の 酸素不足 に よ り進行 します。 ここで は、微 細気泡 に よる酸 素供 給手 法 を用 い て水 質 を改善 し、水 環境 を再生 させ る取 り組 み につ いて紹介 します。 改 で る 理 善 き 由 晟 警 楊 ⑬ 鯰 量 量 暑 なるので 、気泡内部 の気体 を効率 池や ダムの場合 で も、数十万か ら 良 く水 中に溶解す る ことがで きま 数百万 m3程 度 の水量 があ ります。 す。加 えて、微細気泡 には作用す これだ けの水 に酸 素供給す るわ け 近年の人為的な環境負荷 は、湖 る浮力が小 さいので なかなか浮上 です か ら、や は り大量 の微細気泡 沼や沿岸部の水中か ら酸素 を奪 っ ています。 しませ ん。 長 い ものでは数時間以 上水 中に滞留 し、気体 の溶解 を継 が必要です。 ただ し、 これは大量 のエ ネ ルギ ーが必要 とい う意味 で 続す ることがで きます。 はあ りませ ん。 酸素不足 の水中には、金属類や 有機物 など、多 くの有害物質が残 って しまい ます。 ここに酸素 を溶 解すれ ば、金属類 は酸化 させて除 去する ことがで きます。また、酸 素に よ り微生物が活性化 し、 これ らが有機物 を分解除去 して くれま す。 このようにして水質が全般的 に改善 します。微細気泡には、こ の酸素供給 を効率良 く行 う能力が あ ります。 がで きるのですか 撤 饗曇Fi何 微細気泡 とは、直径 がμm(マ イ クロメー トル)程 度 の気泡 で、「マ イクロバ ブル」とも言 われます。 気体 を水中で無数の微細気泡 に 分割することで、気液界面の面積 を広 くす ることがで きます。 また 気泡は小 さい程、内部圧力 は高 く 図 1 ダム湖内の水流シミュレーション 2 2011・ 02 0HM 巾鮨 こしで作はの 肇どのよう‡ 現在、多孔質素材や旋 回水流 を 前述 の とお り、微細気泡 は無駄 な く気体 を溶解す るので、用意す る気体 は少量 で済み ます。例 えば、 我 々が 行 っている実証 フイー ル ド 利用す る方法 な ど数多 く提案 され て い ます。 実験 で は、 100万 m3の 水 に対 し 我 々 は、空 気 を混入 した水 を高 速で攪拌す る機械 的な手法 を用 い 供給 して い ません。それで も、 こ て い ます。 この方法 は、安価 で大 い る事 を確認 して い ます。実験装 量 の気泡 を生成 す る能力があ りま すが、 一 方 で気泡 の直径が ば らつ 置 は冷蔵庫程度 の大 きさで、消費 いて しまい ます。そのため、 自然 kW程 度 です。 相手 の環境技術 には適 して い ます が、例 えば ドラ ッグデ リバ リー の よ うに、 高 い精度が必要 な医療技 術 な どには不 向 きです。 ↓ な ザ ま 毅 I響 撃 藝 [咆 穣 事 馨 尋 饉 は 広 大 な 自然 が相 手 で あ る た め、 写真 1 て、 毎分 2∼ 5L程 度 の空気 しか の酸素供給 によ り水質が改善 して 電 力 は補 機 類 も入 れ て 10∼ 20 大鷲 等鞭欝 験や、鐵爾 フィール ト て 教 えて くが い 欝饉 策摯 大学内では、気体溶解技術 の基 礎 的な研 究 と、 数値 シミュ レー シ ョンによる実験支援 を行 ってい ま す。基礎 的な実験 は、 実験室内に 用意 した 200∼ 500L程 度 の小 型 実証 フ ィール ド実験 の様子 水槽 で 行 ってい ます。 ここで は、 微細気泡 の生 成技術 の研究や温度 図 2に 示す よ うに有害物質 を有効 に除去する ことに成功 しました。 変化、 日射が溶解効率 に与 える影 響 な どを検討 して い ます。 こつい て畿 えて くだ 鐘‡ 数値 シ ミュ レー シ ョンによる実 警靡鶉囃露 験支援 では、 手 間 のかか る実証 フ ィール ド実験 をなるべ く効率良 く 浄化 とは、 汚染物質 を除去す る か、対象 地域外 へ 移動 させ ること 行 うための事前検討 な どを行 って い ます。 ここでは、対象 となる水 力 を発揮で きる環境 に戻す ことで す。「再生」は自然へ のアシス トを 意味 してい ます。 このようにして 自然 の再生能力が戻れば、あ とは 自然が 自らの力 で良好な環境 を保 つ、持続可能な社会が拓 けます。 麟 型等ρ 吻 鰈 麓 下さ 予 域 で起 きる環境 関連 の現象 (流 体、 です。現在、水処理 プラン トな ど で、 資金 とエ ネ ル ギ ー を投入 して 熱、化学反応、物質拡散 )の 予測 を試みて い ます。 これ らの現象 の 行 われてい ます。 もちろん、 きれ い になることは良 い ことなのです 害物 質 の 除去 に成功 しただ け で、 水 中に溶解す る酸素量 は増 えて い 支配方程式 はすべ て異 な ります の が、最終的な環境 へ の収支 は どう ませ ん。 これは酸素がす べ て除去 で、それぞれ を連成 させ て同時 に で しょうか。水 を浄化す るための 予測す る必 要があ ります。 これ に エ ネル ギ ー を化石燃料 の燃焼 か ら のために消費 されて しまい 、水 中 に残 らないためで あ り、実験終了 よ り、微細気泡 を投入す る場所 や 得 て い た ら意味が な く、我 々 はこ 深度、そ の速度 な どの決 定 に役 立 てて い ます (図 1)。 また、実験 が の よ うな一 方的 な 「浄化 Jは 目指 し 後、水質 は元 に戻 って しまい まし 「浄化 Jし て た。 つ ま り、現状 では て い ませ ん。 い るだ けで、環境 の「再生 Jま では 上 手 くいかなか った際 の原 因究明 前述 の とお り、水 中 の酸素 は水 に も利用 して い ます。 実証 フイー ル ド実験 は、 宮城県 をきれ い に します が、そ もそ も自 現在 の フイール ド実験 では、有 実現 で きて い ませ ん。そ こで、 よ り効率良 く酸素 を供 給す る技術 の 研 究 をさらに進める必要があ りま 惣 の 関 ダ ムで、NPO環 境 生 態 工 然 の水 には豊富 な酸素が含 まれて いたのです。 つ ま り、多少 の 自然 学研 究所 と共 同 で 行 って い ます 災害や短期 的な気候変動 によって 近 い将来、世界的 に水不足 が深 ここでは、大型 の実験 水 中に汚染物質 が入って も、豊富 装置 を用 い て酸素供給 の実証試験 を行 って い ます。 フィール ド実験 な酸素 によ り自動 的に除去 されて 刻 に な る こ とが 予 想 され て い ま す。我 々の技術 は、少 ない消費 エ いたのです。 これが、 自然 自らが ネ ルギ ー で専用設備 を建設 す るこ 本来持 つ 、環境再生能力です。 近年 の人為的負荷 は、 この環境 とな く、現地 にお いて水 質改善 を (写 真 1)。 は大掛 か りですが、宮城県 の 自治 体 関係者 の協力 によ り、順調 に推 移 して い ます。 2009∼ 2010年 、貯水 量 100万 再生能力 の処理量 を超 える化学物 質 を水環境 に投入 して い ます。そ m3の 満水 時 に約 1か 月 間、酸 素 のため、水 中 の酸素が消費 されて 減 少 して い ま 40 30 濃 度 20 [mg/L] 00 P04-P D― Mn D― Fe 物質名 (NH4 N:ア ンモニア性窒素、P04P:リ ン酸態リン、 D― Fe:溶 解性鉄、D― Mn:溶 解性マンガン ) 図2 酸 素供 給 による有 害 物 質 の減 少 (2009年 実 証 試験 結 果 ) そ のために も、 一 日も早 い実用化 を 目指 して い ます。 また、安価 で大量 の気泡 を生成 で きる我 々の技術 は、見方 を変 え 単 に環境水 に酸 素供給 して一 時 献 で きる技術 とも言 えます。近年、 る と、気泡 生成 の低 コス ト化 に貢 洗浄技術 や水処理技術 な ど、微細 気泡が活躍す る分野が増 えて い ま 水 中 の酸素濃度 す ので、その コス トを下 げ る新 し い技術 シーズ としての展 開 も考 え その もの を大幅 て い ます。 こ とで は な く、 NH4-N 実施 で きる ことか ら、 この 問題解 決 に貢献 で きる と考 えて い ます。 す。 我 々の 目標 は、 的な浄化 を行 う 10 す。 にナ 曽カロさせ、 自 然が環境再生能 3 2011・ 02 0HM 胤器≫善〓軍鐸 一一I■■ 吉岡 修哉 供給実験 を行 い ま した。その結果、